【ss】トレーナーさんの手

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:28:10

    「冷えるんですか?」

    日差しは暖かいけれど、曇ればまだまだ冬の寒さ続くこの頃。
    手がかじかんで仕事にならないと、自動販売機で買ってきた缶コーヒーを両手の中で転がしていたところにダイヤの声。
    ダイヤ──サトノダイヤモンドは、トレーナーである自分の担当ウマ娘だ。

    「まあね。ダイヤは大丈夫かい?」
    「はい!私、手は温かい方なんです!」

    えへへ、とこちらへ両手を突き出して得意気な表情──かと思いきやハッとして
    「よろしければ触ってみます?」

  • 2二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:28:24

    ──うむ、たしかに温かい。
    差し出されたダイヤの、小さな手を握る。
    先程まで持っていた缶コーヒーとは比べられないが、ほんのりとぬくもりが伝わってくる。
    「ダイヤは温かいな……」
    「ふふっ」
    このままこの手を離したくないが、こんな場面を誰かに見られてはさすがに気まずい。
    名残惜しいがこれくらいにしておこ「そうだ!」……ん?

    「トレーナーさん!少しお待ちいただけますか?」

    止める間もなくトレーナー室から退散するダイヤ。
    ふと、なにかを閃いたようだったが……
    そんなダイヤの帰りを待つこと数十分。
    缶コーヒーの熱も冷め、再び手が冷えてきた頃にダイヤは戻ってきた。
    勝負服姿で。

  • 3二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:28:47

    「お待たせしました、トレーナーさん!」
    「そっちも待ってもらっていいかな!?」

    理解が追いつかない。あの会話の流れからどうしてこんな状況になってしまったのか。
    最近ゴールドシップに釣られて、おかしな行動をとるダイヤを目撃したことがあったが、あれは釣られてなどなく素のダイヤだったのでは……
    考えを巡らせる中、目の前にダイヤの手──いや、ダイヤの勝負服の袖が現れた。

    「ダイヤ?」
    「さぁ、袖の中にお手をどうぞ」

    いわゆる『萌え袖』とでも言うのだろうか、その長い袖には煌びやかな装飾が施されている。
    高貴でありながら可憐さをあわせ持った、サトノダイヤモンドに相応しい勝負服。
    そんなところへこの手を入れろとおっしゃるのだ、我が担当は。

  • 4二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:29:13

    「さ、さすがにそれはちょっと……誰か来るかもしれないし」
    「ご遠慮なさらず」

    その眩しい笑顔には逆らえなかった。
    恐る恐る袖に手を通そうとして、フリルが当たる。柔らかい肌触り、いい素材だ……
    勝負服の出来に感心しつつ手を進めると、フリルとは違った柔らかい感触──ダイヤの手のひらだ。
    袖の中でダイヤの手をそっと握る。先程とは違った握り方……巷ではこれを恋人繋ぎと言うらしいが、この際忘れよう。
    もぞもぞと、ダイヤの手が優しく握り返してくる。
    自分の指と指の間に、ダイヤの指。袖の中ということもあり、先程より体温が伝わってくる。
    お互いに顔を見合わせると、笑みがこぼれた。

    「トレーナーさんの手、温かいですね」

    ──たまには寒い日もいいものだ。

  • 5二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:29:58

    いいSSだった
    ありがとう

  • 6二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:30:00

    あと30連で天井なので書きました。
    手と懐が冷たいよダイヤちゃん…

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:30:12

    寒いのに熱々ですねぇ!

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:34:30

    >>5

    >>7

    こちらこそありがとう!

    ダイヤちゃんシナリオではやく熱々になりたい!!

  • 9二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 01:16:28

    良いね…

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 01:33:34

    やるかやらないかで言えば間違いなくダイヤちゃんはやる

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