- 1二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:28:33
- 2二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:30:44
- 3二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:40:13
- 4二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:42:01
(劇の後も外れない輪っか)
- 5二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:42:54
ヒナがチョークスリーパーした方が早いだろ!
- 6二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:44:38
孫悟空に裸絞めをかける三蔵法師!?
……史実の西域まで旅した三蔵法師ならそのぐらいやれてもおかしくなさそうなタフネスはありそうなんだよな - 7二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:45:08
ヘッドロックで直接マコト悟空をシメるスタイルのヒナ法師
- 8二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:49:15
八戒と沙悟は誰がやるのか気になる
- 9二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:50:20
- 10二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:53:04
- 11二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:02:06
- 12二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:09:42
トリニティでの上演を見て自分たちもやりたい自分が三蔵法師でミカが孫悟空!と騒ぎ始めてミカにどうどうステイステイされるナギちゃん
- 13二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:11:15
- 14二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:12:34
その日、ゲヘナに平穏が訪れた(劇場を除く)
- 15二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:20:37
牛魔王とか金角銀角とかが倒された時特撮みたいに爆発演出が入るのか
- 16二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:41:56
「もう法師一人でいいんじゃないかな」ともっぱらの評判!!
- 17二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:49:33
ゲヘナ西遊記は毎回フィナーレでセットがド派手に破壊されるのがお約束なんだよね
- 18二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:49:53
マコト「分身の術!」
(煙の中から現れるマコトのコスプレをした忍者研究部) - 19二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:56:31
- 20二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:57:21
ウケるかウケないかでいえば間違いなくどこの学校でもウケそうだな
絶対面白いし - 21二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 11:59:43
付き合いのあるアルちゃんから誘われて公演を見て、早速自分たちもやりたがるアビドス組
ホシノ「うへ~、やはりここは先輩のおじさんが三蔵法師を」
シロコ「ん? 先輩は牛魔王でしょ?」
ホシノ「シロコちゃん、その即答ぶりは何なのかな」(例の臨戦無表情画像) - 22二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 12:01:01
ヒナ法師の馬役をやってるアコイオリチナツ
絵面は完全に騎馬戦 - 23二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 12:04:42
公演が忙しくて風紀委員会への嫌がらせをしてる暇がないマコト
社会奉仕活動で縛り付けて間近で監視されている問題児共
各校での公演を通じて友好アピールも達成
めっちゃヒナ得プロジェクトだなこれ……そりゃ>>2で嬉々として名乗りも挙げに来るわけだ
- 24二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 19:35:58
イイ笑顔のヒナがマコトをヘッドロックしてるのは絵面がもう西遊記というよりクレしんなんよ
- 25ゲヘナ西遊記一章24/12/28(土) 19:47:31
昔々、ゲヘナ自治区はヒノム火山
その頂上に転がっていた金剛石の塊から、ある日一人の生徒が生まれました
石から生まれた生徒、略して石生(いしせい)と呼ばれた彼女は瞬く間に暴れん坊揃いのゲヘナ自治区を纏め上げ生徒会長として君臨します
しかしゲヘナのトップに立ってなお、彼女の顔は浮かないままでした
「どうされたんですか石生議長。ただでさえ人相の悪い顔をますます不機嫌にして」
「人相が悪い、は余計だ!いや何、大した事ではないんだが…」
そうして議長は語ります。
「私は今、万魔殿の長として権力も立場も欲しい儘にしているが所詮これも一時の栄光。いずれは年を取り他の生徒と同じように寿命を迎えてしまうのだろう」
「それを思うと、何もかも虚しく思えてしまってな」
何十年先の話をしてるんですか。その前に卒業とか進学・就職とか色々あるでしょ、と
側近である生徒は思いましたがそれはさておき
「でしたら、遥か遠く山海経に住まうという仙人に師事してみたらどうです?」
「仙人だと。何者だそいつは?」
「えーっと、ざっくり言えばものすごく修業した事でとんでもなく長生きできるようになった人達の事です。何でも修行のおかげで不老長寿の領域にまで達してるそうですよ」
「何だと!何故もっと早くに言わない!!いや責めるのは後だ!私は今からその仙人とやらの住処まで行ってくる!!しばらく帰らんからイブキたち他の生徒の面倒は任せたぞ!!!」
「あっちょっと!……行っちゃった。修業は無茶苦茶厳しいとか聞いたんですが……ま、いいでしょう。あの人ならちょっとやそっとじゃ死にはしないでしょうし」
こうして石生は遠路遥々、山海経まで旅立ったのでした - 26二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 19:53:34
このメンツの西遊記ならモンキーマジック似合いそう
- 27ゲヘナ西遊記一章・その224/12/28(土) 19:59:16
石生議長が山海経に旅立っておよそ10年
ついに石生議長――改め、羽沼マコト議長は念願の不老長寿の術を修得するに至りました
「キキキッ!さすがは私!こんなにも早く念願の術を極めるとはな!」
「それにしても……ええい腹立たしい!あの頭でっかちな伝統脳の師匠め!師匠だからとこちらが下手に出ていれば厳しく当たり散らかしよってからに……!」
「ちょっと山海経の外で術を披露しただけで『門外不出の秘術を人前で晒すとは何事ですか!貴方のような不逞者は破門です!』などと怒鳴り散らすとは!何という心の狭い輩だ!」
うーんこの自業自得&自己中心っぷり。流石はマコト議長です
「まあいい、目的は達成したんだ。師弟の縁も切れたのならば、こちらの自由にさせてもらおうか!」
こうして10年ぶりに生まれ故郷のゲヘナへと帰郷したマコト議長
それからの彼女は、旅立つ前以上に自由奔放かつ傍若無人に振舞うようになりました - 28ゲヘナ西遊記一章・その324/12/28(土) 20:07:55
ある時は気に入らないトリニティに筋斗雲ですっ飛んで行っては暴れ散らかし
「キャーッ!ゲヘナの角突きよーッ!!」
「正義実現委員会を呼んで!早く!」
「キキキッ!今日は何をしてくれようか…!」
ある時はトリニティの正義実現委員会副委員長相手に仙術でいたずらを仕掛け
「……(ハスミが座った椅子に脆くなる術を掛ける)」
バキャッ!
「なっ!!い、椅子がどうして!?」
「キキキッ、どうやら貴様の体重が相当耐えかねたらしい。これを機にダイエットでも試みてはいかがかな?」
またある時は仙術を使って他人のプリンをこっそり盗み食いし
「またイブキのプリンを食べたんですか、先輩?(ギロリ)」
「うえーん!」
「ごめんなぁあああーっ!まさかイブキのだとは思わなかったんだぁあああっ!」
このように、乱暴三昧やりたい放題
部下たちの忠告にも耳を貸さず、彼女は毎日のように好き放題振舞い続けました
ですが……そんな日々が永遠に続く筈もなく。とうとうある日、彼女は連邦生徒会のお釈迦様に封印されてしまいます - 29ゲヘナ西遊記一章・その424/12/28(土) 20:23:10
「クソッ!ええい出せ、ここから出せ!」
「残念ですが、あなたをここから出すわけにはいきません」
「あなたはやり過ぎました。これ以上は連邦生徒会ちょ、もとい釈迦如来である私でも庇う事はできません」
「ですから、そうですね――ざっと五百年ほど、その五行山の下で大人しくしててください。あ、言っておきますけど仙術で抜け出そうとしたり破壊しようとしても無理ですからね?」
「おのれ…!この恨み、この屈辱忘れんぞ!」
「ご心配なく。五百年経てば、その封印を解きに一人の生徒が現れます」
「彼女の名前は空崎ヒナ。ゲヘナ自治区に秩序と風紀を齎す法師です」
「あなたは彼女と共に旅に出て、志を同じくする仲間たちと出会い、そうしてゲヘナの為に尽力するのです。そうすればまあ、トリニティとか他所の自治区に迷惑をかけまくったあれこれは何とかなるでしょう。多分」
「おい!最後の方だけなんか雑になってないか!?あとゲヘナのために働く事とトリニティとの関係改善に何の関係がある!?」
「まあまあ、細かい事は気にしない気にしない。それではまた、五百年後までごきげんよう」
「あっおい!こら待て!せめて暇潰しになるものくらい置いていけェ!」
こうしてマコト議長は五行山の下に封じられる事となりました
はたして、釈迦如来の言っていた生徒は現れるのか……
ここまでのお話は、私こと棗イロハの提供でお送りしました - 30二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:26:52
乙! めっちゃ面白いわ
カグヤ師匠が似合いすぎる
そしてこうして小説になったところを見てみると、予想以上にマコトの孫悟空適性の高さにゲラゲラ笑った
会長如来のアバウトさも想像できてジワる - 31二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:29:25
おそらくハヌマーンマコトと言いたかっただけであろうスレが伸びておる、まるで如意棒だ
- 32ゲヘナ西遊記二章24/12/28(土) 22:50:38
さてさて、マコト議長が封印されてから五百年
その間キヴォトスでは様々な事が起こりました
シャーレの先生がガチャに課金し過ぎたせいでホストクラブでアルバイトし始めたり
アビドスでは廃校の危機から逃れる為、片っ端から銀行とカイザー系列企業を襲撃したり
ミレニアムのゲーム開発部とやらが敷地内に巨大カジノ施設をおっ建ててはセミナーとC&Cにぶっ潰されたり
あれ程高貴を謳っていた筈のトリニティでさえ身内にファウストという巨悪を生み出す始末
当然我らがゲヘナ自治区も例外ではなく、むしろ先に上げたどの自治区・人物よりも混沌を極め尽くしておりました
「ヒャッハー!優等生狩りの時間だァ―!!」
「オラオラ!ガリ勉共は黙って今日の昼メシと小遣いを出すんだよぉ!」
「ああん?テメェ何見てんだコラァ!慰謝料よこせ詫び石よこせ何でもいいから出しやがれ!!」
(ド派手な爆発音と破壊音)
このように、ゲヘナ自治区は最早人が住める場所ではなくなりつつあったのです
しかし世に絶望あれば希望もまたあり
かの連邦生徒会長もとい釈迦如来が言い残した『五百年』、その終わりはすぐそこまで迫っておりました…… - 33二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:56:42
今ふと気付いたけど
「キキキッ!」ってマコト議長の笑い声、孫悟空(=猿)にピッタリなんだよな…… - 34二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:57:27
やったー第二章だ
楽しみにしてます。無理しないようにしつつ頑張って下さい - 35ゲヘナ西遊記二章・その224/12/28(土) 23:00:39
(足音)
「zzz……zzz……」
「ねえ」
「zzz……zzz……」
「もしもし?」
「zzz、zzz――」
「起きなさい、この石生(ゲシッ)」
「ぐはっ!?な、まてまてイロハ!イブキのプリンを食べたのは私じゃな」
「いつまで寝ぼけてるの。しっかりしなさい」
五百年の間、ほぼ眠りこけた状態で過ごしてたマコト議長
彼女が目を覚ますと(叩き起こされると)、そこには見覚えのない生徒が立っていました
「な、何だ。誰だお前は!このマコト様の眠りを妨げるとは、良い度胸しているな!?」
「眠りって……こんな大きな山に押し潰された状態でよく眠れたものね。まあ、別にどうでもいいのだけど」
「どうでもいいだとぉ!?貴様、私があいつにどんn「そんな事より。あなたが伝え聞く古の万魔殿議長、羽沼マコトで合ってる?」
喚き散らかすマコト議長を他所に、淡々と素性を確かめる生徒
口調は平静を保っていましたが、有無を言わさない凄みと圧を前に猛り狂っていたマコト議長も思わず息を呑みます
「あ、ああ。そうだ、この私がゲヘナ学園の生徒会・万魔殿議長の羽沼マコトだ!」
「そう。やっぱりあの人が言ってた事は正しかったのね」
「おい!人に名前を聞いておきながら自分は名乗らないなど無礼じゃないか!こっちが名乗ったんだ、お前も名乗ったらどうなんだ!?」
「ああ。そういえば言ってなかったわね」
「私は空崎ヒナ。ゲヘナ学園の新入生で、風紀委員会の委員長を務めている者よ」 - 36ゲヘナ西遊記二章・その324/12/28(土) 23:11:20
「そらさき、ひな……?それに風紀委員会、だと……?」
マコト議長は押し潰されたまま、首をかしげます
どこかで聞いたような名前、というのもありましたが。それ以上に風紀委員という名前に何の心当たりもなかったからです
ですがそれもやむを得ない事でしょう。何しろ彼女が暴れてた頃のゲヘナには、そんな組織存在すらしていなかったのですから
「それで、早速なのだけれど。この山をどかす方法について何か――」
「ま……まてまて、待て!空崎ヒナ、と言ったな!風紀委員とは何だ、そんなもの聞いた事ないぞ!」
「当然でしょう。だって、私が立ち上げたのだから」
「立ち上げた、だと……!?貴様、万魔殿に何の断りもなく立ち上げたとでも言う気か!いい度胸しているな!」
「あら。おかしな事を言うのね。自由と混沌がうちの気風でしょう?だったら、生徒会を無視して新しい組織を立ち上げるのも勝手で自由だと思うのだけど?」
「ぬぐっ!?」
「それに、今のゲヘナじゃそういった問答自体意味がないって事――知るわけないでしょうね。ずっとここに封じ込められてたのだから」
「何ィ!?どういう意味だ、それは!」
マコト議長の詰問に対し、ヒナ委員長は平然と答えていきます
今のゲヘナが、完全に無法地帯と化している事。その煽りを喰らい、他所の自治区にまで悪影響が出始めている事。流れを止め得るシャーレの先生もまた、暴徒と化した生徒にバイト先ごと襲われ長期入院している事……
「ま、まさか……そんな事に、なっていようとは……」
「現実に打ちのめされるだけの理性は残っていたみたいね。安心したわ」
「そ、それで?貴様は何故ここに来た?今更、このマコト様に何をさせようというのだ!」
「そんなもの決まっているでしょう」
「あなたには万魔殿議長として、ゲヘナ学園のトップとして――私の、いえ私たちゲヘナ風紀委員会の後ろ盾になってもらうわ。このゲヘナ自治区に平和と秩序を取り戻す為にね」 - 37ゲヘナ西遊記二章・その424/12/28(土) 23:25:33
「貴様らの後ろ盾だと!?何故私がそんな事をせねばならん!」
「理由は三つ。まず一つ目は、万魔殿がゲヘナ学園のトップだから。腐っても、どれだけ落ちぶれ泥にまみれようと『生徒会』の地位と権威はキヴォトスに存在する自治区の象徴であり要でもある。それこそ、どうあれここを無視して事を進めるには様々な法が邪魔立てする程度にはね」
「二つ目は、ちゃんとした後ろ盾があった方が何かと都合がいいから。今のまま私たちが暴れようと、無数に存在する不良集団の一つとしか見なされない。なら、その活動を認可し保証してくれる上層部がいてくれるに越した事はない……どんなに無能で役立たずな連中だったとしても、ね」
「そして最後の一つは」
ヒナ委員長は目を細め、かろうじて山の下から飛び出てるマコト議長の頭を掴みました
「んなっ!?き、貴様!何を――」
「黙りなさい。――元をただせば、あなたが生徒会長としての役目も責任も全うせずやらかし暴れ尽くしたからこうなってる。なら、その責任の欠片でも、小粒でも取らせなきゃ気が収まらないと思うのは……至極当たり前の事じゃないかしら?」
その視線は正しく絶対零度。その殺意は天井知らず
今まで感じた事のない威圧(オーラ)を前に、さしものマコト議長も何一つ言い返せずプルプルと震えるばかりです
「さあ、選びなさい羽沼マコト。このまま一生山の下でぐうたら眠るだけの余生を過ごすか、私に救われて万魔殿議長の座に帰り着くか」
「…………も」
「も?」
「もしも。そうもしも、だが。ここで、私が、『断る』と言ったら。どうなる?」
(ヒナの溜息)
「別に。その時はあなたを見捨てて、今日も風紀委員としての『仕事』を始めるだけよ」
「手始めに、そうね……本当に何の役にも立たなかった、生徒会を潰して乗っ取る所から始めましょうか?今ならクーデターし放題だもの。むしろこれまで誰にも奪われてなかった事自体、一つの奇跡と言っていいんじゃないかしら」
「!!」
生徒会を潰して、奪う
その暴言を耳にした瞬間、羽沼マコトは自分の中で何かが弾けるものを感じ取りました
脳裏に甦るのは、大事な後輩(イブキ)を筆頭に(実情はどうあれ)自分に仕え尽くしてくれた部下たちの顔
そして、マコト議長は―― - 38ゲヘナ西遊記二章・その524/12/28(土) 23:36:47
「……………………った」
「?何かしら、聞こえないのだけ」
「分かった、と!!そう言ったんだ!!貴様の後ろ盾にでも何にでもなってやる!!!」
「だから――だから、空崎ヒナ!!とっとと私を、このマコト様を!!ここから解放してみせろ!!」
マコト議長の絶叫に、ヒナ委員長は一瞬だけ驚いた表情を浮かべます
しかし次の瞬間、それはもう悪魔的な微笑みに変わり――
「いいでしょう。万魔殿議長、羽沼マコト。あなたをここから解放します」
(ジャキッ)
「?お、おいちょっと待て。そのバカでかい銃は何だ。どこから取り出した?いや、それ以前に……お前、何をするつもりだ!?」
「何って、当然あなたをそこから解放するつもりだけど?これだけの大きさとなるとちょっとやそっとのC4じゃ吹っ飛ばせないし……」
「だから――今から私の愛銃で粉砕させてもらうわ。この『終幕:デストロイヤー』で」
そう言うと、ヒナ委員長は躊躇も迷いもなく銃口を五行山に向けます
一方泡を喰ったのはマコト議長。咄嗟に声を張り上げようとしますが、全ては遅すぎました
「ま――!」
「大丈夫。射撃には自信、ある方だから」
(直後、マシンガンの凄まじい斉射音と巨大な何かを破砕するような轟音)
(その中に紛れる形で、マコトの悲鳴が響き渡る)
(時間にしておよそ数分。ステージの上にはスモークがありったけ焚かれ――やがて、それらが晴れた頃)
(そこには粉々になった五行山と目を回し四肢を放り出すマコト。そして満足げな顔のヒナ委員長の姿がありましたとさ)
めでたしめでたし……には少々早いですが今晩はここまで
続きはまた今度、じっくり語っていく事にしましょう
以上、万魔殿戦車長・棗イロハの提供でお送りしました - 39二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 23:48:38
GJ!とても良い!
クッソ強い、デカい銃を軽々と扱う三蔵法師が違和感ないわぁ
ヒナとマコトの問答からの大道具破砕シーン、めっちゃ盛り上がるだろうな
しかし本当にマコト悟空とヒナ法師、似合っててさまになるな。元ネタの孫悟空と三蔵法師の関係性ともマッチしてそうだし
知性や責任感の高さもヒナと三蔵法師で似合ってるし、ほんとにダジャレスレから発展して瓢箪から駒が出た感じだな……まさに金角銀角の瓢箪と白龍馬かな - 40二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 23:51:05
五行山に押しつぶされてお仕置きされてるというのに
やれ暇つぶしの道具をよこせとか、それがないと眠りこけてたりとか
この面の皮のぶ厚さとタフさしぶとさはさすがマコト議長やでぇ - 41二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 09:58:06
仙術の使い方がクソガキ過ぎて笑うのよ
- 42二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 09:58:25
高校生の劇で西遊記というのもめっちゃ王道だなあ
- 43二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 10:30:14
※連邦生徒会長は不在なのでシッテムの箱に搭載されてた合成音声を使用しました
- 44ゲヘナ西遊記・幕間:前編24/12/29(日) 12:14:03
「ああそうそう。旅立つ前に、あなたに渡しておくものがあるわ」
そう言って、ヒナ委員長は懐からあるモノを取り出します
それは金色に輝く輪っかでした。ヘイローにも似たそれは、ピカピカに磨き抜かれシンプルながら見る者を虜にする魅力に満ち溢れていました
「何だこれは?」
「ここに来る前、職人に作らせたの。久方ぶりに生徒会に復帰するのだもの、なら相応の箔付けってものが必要でしょ?」
などと。嘯いておりますが
真実は次の通りでした
ホワンホワンヒナヒナ~
『それで。これを、例の石生とやらに渡せばいいのね?』
『ええ。それは連邦生徒会、もとい天界に代々伝わる至宝の一つ。頭にかぶらせる事で、如何なる凶暴・凶悪犯だろうと確実に束縛し屈服させられる優れものです』
『屈服するって、具体的にはどうすれば?』
『簡単です。ここにリモコンがありますので、この赤いボタンを押してみてください。そうすれば輪っかが勝手に縮んで容赦なく頭を絞めつけてくれますから、後は相手が音を上げるまで放置するだけでOKです』
『……新手の拷問器具か何か?』
『なっ!し、失礼な!私たち連邦生徒会が大昔のシスターなフッドみたいな集まりの同類だとでも!?それにこれはれっきとした連邦生徒会に代々伝わる至宝です!断じてミレニアムのエンジニア部さん達に依頼して作らせた急造品とか、そんなんじゃありませんからね!?』
『別に聞いてないのだけど』
『と、とにかく!あの石生が何かやらかそうとしたら、その輪っかとリモコンで何とかしてください!いいですね!?』
ホワンホワンヒナヒナ~ - 45ゲヘナ西遊記・幕間:後編24/12/29(日) 12:14:20
「ふむ。箔付けの代物、か……」
(さすがに不自然過ぎたかしら。まあそうよね、いくら伝え聞く万魔殿議長があんなだったとしても、こんな成金アクセサリーに飛びつくわけ)
「キキキッ!気が利くじゃないか、空崎ヒナとやら!上に仕える者としての心構えというものを分かっているようだな!(躊躇なく輪っかを被るマコト)」
「………」
残念ながら。非常に残念なお知らせですが
我らがゲヘナ学園の生徒会長殿は、そんな悪趣味金ピカアクセに飛びつく程の考えなしだったのです
結果的に見れば思惑通り、なのですが。こんな奴を味方にしたのは間違いだったのではと、ヒナ委員長は人知れず頭を抱える羽目になるのでした
「さあ行くぞ空崎ヒナ!我らがゲヘナを取り戻す為の、長い旅の始まりだ!」
「…………はぁ。もう何でもいいわ。行きましょう」
そしてこの後、案の定マコト議長が早速やらかし。試しにとばかりにヒナ委員長がリモコンボタンをポチっとするのですが
その話はまた、別の機会に……
- 46ゲヘナ西遊記三章24/12/29(日) 12:28:57
こうして始まったマコト議長とヒナ委員長の長い長い旅路
その道のりは、最初から波瀾万丈に満ち溢れておりました
「おいそこのお前ら!命が惜しけりゃ有り金全部置いていけ!」
「キキキッ!早速お出ましか!このマコト様に逆らおうとはおろk「邪魔。どいて」ぶへぇっ!!?」
「なっ!?お、お前仲間をぎゃああああっ!!」
「私が片づける方が早い。さっさと終わらせて、旅を続けるわよ(デストロイヤー乱射)」
「私の名は猪ハル戒。あなた達が最近ゲヘナで噂になっている、万魔殿と風紀委員?とやらのコンビですわね?」
「ですが。そう易々と私が屈服するとお思いに「飲食店の連続爆破テロ、その主犯を確認。これより確保に移るわ」ちょっ!?まだ話のとちゅ――!」
「ハ―ッハッハッハッハ!よくぞここまで来たな愚か者め!だがこの流沙河を取り仕切る温泉開発部に出くわしてしまったからにはただで帰すわけにはいかない!!」
「具体的には、我々と共に温泉開発活動への協力を「鬼怒川カスミ、じゃなかった沙悟浄カスミ。無差別破壊テロ容疑および脅迫の現行犯で確保する。覚悟しなさい(ジャキッ)」ひ、ひ、ひええええええっ!?」
「……なあ。あいつ一応三蔵法師役だよな?なのになんで孫悟空である私を差し置いて戦ってるんだ?というか、もうあいつ一人で良くないか?」
正直私もそう思います
ですが、一応西遊記なので最低限の体裁は必要と言いますか……まあ、とにかく頑張ってくださいマコト先輩
「雑だなぁ!」 - 47ゲヘナ西遊記三章・その224/12/29(日) 12:55:18
頼れる仲間?を引き入れながら、さらに旅を続けていくヒナ委員長ご一行
彼女たちの前には、多くの強大な違反生徒たちが立ち塞がります
「よく来たねヒナっちとそのお友達!でも残念、この平頂山は私(あたし)たちキラキラ部の縄張りなんだ!どうしても通りたいというのなら、ヒナっちの身柄を賭けて金角キララと――」
「私、銀角エリカと勝負しようか。あ、委員長はこっちで捕らえたから、今回はそっちの三人で頑張ってね。よろしくー」
「きゃーたすけてー(棒)」
「おい!猿芝居が過ぎるだろ!?あと思い出したように三蔵法師ムーブするなぁ!!」
「というか、ここまで散々暴れてきたのに今更感が半端ないですわね……」
「そもそもいつの間に捕まってたんだ……?」
「部長!助けに来たよ!」
「おお、お前は我が温泉開発部の頼れる尖兵・紅孩児メグ!!」
「何ィ!?そんな奴が今更になって何の用だ!」
「何って――部長がおっかない風紀委員長に攫われたって聞いたから、助けに来たんだけど?」
「クッ!?び、微妙に正論だ……」
「当たらずとも遠からずなのが否定できませんわね」
「お、おいヒナ!元はと言えば貴様のやらかしだろう!責任もって相手を――」
(『三昧眞火の煙がつらくて戦えません』というプラカードを手に、舞台袖に引き篭もっている)
「ヒナぁあああっ!?」
「よーし、いっくよー!!」
「ちょっ、ちょっとまて!舞台上で火炎放射器はぎゃぁああああっ!!」 - 48ゲヘナ西遊記三章・その324/12/29(日) 12:56:31
「聞いたところによると、この街では『三大仙』と呼ばれる三人の極悪生徒たちが暴れてるらしいわ」
「まあ。物騒な話ですわね」
「まったくだ。苦労させられる我々の身にもなってほしいというものだというのに!」
「ここまでろくに戦ってこなかった癖に何を言ってるんだお前ら……。それでヒナ、その三大仙?とやらはどんな奴らだ?」
「それは――」
「よく来たね、風紀委員長とその仲間たち。私が虎力大仙・鬼方カヨコだよ」
「鹿力大仙・浅黄ムツキちゃんだよ~!くふふっ、よろしくね~♪」
「よ、羊力大仙……伊草ハルカです。よ、よろしくお願いしますっ!」
((((ここで便利屋かぁ……))))
「そして私が三大仙を纏め上げる真の大仙――――そう!大仙社長・陸八魔アルよ!!」
「いやそんな奴原作にいないだろ」
「とりあえず全員まとめて確保するわね(ジャキッ)」
「な、ななな、なんですってぇ――ッ!!?」
数多の凶悪生徒たちを倒し、打ちのめし、確保しては牢屋にぶち込みながら
ヒナ委員長ご一行の旅は続きます
そして――
- 49二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:13:18
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- 50ゲヘナ西遊記三章・その424/12/29(日) 13:14:31
旅を続けるヒナ委員長ご一行の前に、今度は火焔山という燃え盛る山が立ち塞がりました
大昔、ヒノム火山が噴火した際そこから吹き飛んだ火山岩が元となって生まれた山
今なお燃え盛り人々の往来を阻む山は、今まさに一行の行く手を阻む最後の障害として君臨したのです
「これじゃ通れないわね……」
「おいヒナ!今までのようにあの邪魔くさい山を吹き飛ばすなりしてどうにかできないのか!それこそ、私を封じ込めていたあの忌々しい五行山を吹き飛ばした時のようにだ!」
「さすがにそれは無茶ぶりというものでは?」
「というか。むしろそういうのは仙術が使えるマコト議長殿の役割じゃないのかね?」
「やかましい!それでどうにかできるのなら、とっくに何とかしている!どうにもできないからこいつに縋っているんだあだだだ!?」
「マコト、うるさい。ちょっと黙ってて(輪っかリモコン、スイッチオン)」
しばらく考える事およそ数分
やがてヒナ委員長は何かに思い立ったようで、ぽんと手を叩きました
「そういえば、この近くに鉄扇公主とかいう生徒が住んでると聞いた事がある。確か、その生徒が持つ『芭蕉扇』というオーパーツは、どんな大火も瞬く間に鎮められる力を持つのだとか」
「まあ、そんな便利な道具が?」
「それは良い事を聞いた!では早速、その鉄扇ナントカとやらの下に行ってみようじゃないか!」
「そうね。マコト、行くわよ――――マコト?」
返事がない事を訝しがり、マコト議長の方へ振り返るヒナ委員長
するとそこには、輪っかに締め付けられ頭を真っ赤にしながら悶絶するマコト議長の姿がありました - 51ゲヘナ西遊記三章・その524/12/29(日) 13:14:50
- 52二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:53:05
マコトもそこそこ強いんだろうけど全部ヒナが持っていくのがギャグ過ぎる
マコトの知り合いが何故か500年ほど経ってても生きてて「散々苦労して不老になった意味がないではないかチクショウ!!」と喚くマコトをシバくヒナが見えてる - 53ゲヘナ西遊記四章24/12/29(日) 22:55:43
芭蕉扇を求め、鉄扇公主の住処まで足を運んだヒナ委員長ご一行
そこで待ち受けていたのは、ヒナ委員長にとって見慣れた顔でした
「よくぞ来ましたねヒナ委員長。いえ、空崎法師」
「チナツ……あなたが鉄扇公主だったなんて」
「おい、今更その設定(=三蔵法師役)持ち出すのか?」
「そういえば一応この劇って西遊記という話でしたね」
「私たち完全に好きな呼び方で呼んでたからなぁ。というかまともにお師匠呼びしてる奴もいなかったのでは「(ギロッ)」ひっ、ひええええ!」
「……コホン。改めて要求するわ、鉄扇公主。あなたが持っているという芭蕉扇、それを私たちに貸してほしい」
「断る、と。そう申し上げたら?」
「遺憾だけど――力づくで頂戴する事になるわ」
「なんで三蔵役のあいつが一番好戦的なんだ……というか、それでいいのか三蔵法師」
「まあ、西遊記は西遊記でも『ゲヘナ』西遊記ですもの。むしろこれくらいが私たちゲヘナらしくてよろしいのでは?」
「うむ、違いないな!」
「そうですか。ならば、仕方ありませんね」
「出番ですよ、我が夫――牛魔王様」 - 54ゲヘナ西遊記四章・その224/12/29(日) 23:14:43
鉄扇公主・火宮チナツがそう呼ぶが早いが
彼女の背後から爆炎が上がり、一人の生徒が現れました
「っ!」
「なななっ、何だ何だ!」
「……フッフッフ、よくぞここまで来ましたね。ヒナ委員長とその下僕たち」
「何ィ!誰が下僕だ、誰が!せめて弟子と呼べ!いやこいつの弟子など金輪際ご免「マコト、うるさい(リモコンスイッチオン)」だがぎゃああああ!!」
「相変わらず学習しませんわね……」
「まあ、あれが我らが議長殿の良い所と言うべきではないか?」
「五百年経ってもその体たらくとは……つくづく相変わらずのアホ議長っぷりである意味安心しました」
「ですが。その茶番もここまでです」
「今日というめでたい日をもって、ゲヘナ自治区の支配権は万魔殿から我ら牛魔党へと移り変わる!そしてその暁には、ヒナ委員長を迎え入れゲヘナは新たな夜明けを迎える事でしょう!」
「そう――この私、牛魔アコ王の手によって!!(ドドン)」
大仰な口上と共に現れたのは、ゲヘナ風紀委員会行政官・天雨アコ
その服装はいつもの痴女ふ、もとい行政官としての制服でしたが全体的に牛柄アレンジが施されたものとなっておりました
ちなみに横乳が出てるのもいつも通りです。……ガチで痴女の類か何かでは?
「今聞き捨てならない暴言を耳にしましたが!?」
「いや聞き捨てならないというか、シャレにならんのはお前のその恰好だろう。何だその頭のおかしい牛柄スタイルは?」
「率直に言って、恥ずかしいの一言に尽きますわね」
「何なら風紀委員会が考えた新手の罰ゲームかと思ったぞ。正直、かなりゾッとした」
- 55ゲヘナ西遊記四章・その324/12/29(日) 23:21:46
「んなっ!!?だ、黙って聞いていれば言いたい放題……!私だって好きでこんな格好してるわけじゃありません!!」
「本当は玉龍(原典における、三蔵法師を乗せた馬)役として、イオリやチナツと一緒に出る予定だったのに……!それが『いや、アコちゃんは牛魔王役でしょ?どっからどう見ても適役だと思うけど』『そうですね、私もアコ行政官は牛魔王がお似合いかと』などと……!」
「何ですか、私はそんなに牛みたいな肥満体形だとでも言いたいんですか!?」
(絶対その首元のヤツが原因だろう……)
(左手の手錠といい、どういうセンスをしていらしたらああなるのでしょうね?)
(まあ、半分くらいは豊満な胸元のせいでもあると思うがな!)
キレ散らかす牛魔アコ王はさておき「さておき!?」
牛魔党トップからの誘いを前に、ヒナ委員長は毅然とした顔で拒絶します
「ずいぶんと好き勝手言ってくれたみたいだけど、アコ。その誘いはきっぱり断らせてもらうわ」
「なっ!何故ですかヒナ委員長!!私の誘いに乗って下されば、全て上手く行くんですよ!それとも、ヒナ委員長はゲヘナが今のまま、荒れ放題な自治区である事を許容するとでも!?」
「そんな事は言ってないし、望んでもいない」
「私はただ、ゲヘナに秩序と平和を齎したいだけ。別に政治だとか権力だとかに興味はないし、今ある生徒会から簒奪する気もない」
「それに――ぶっちゃけ、面倒だものそういうの。ただでさえゲヘナは荒れてるんだから、そういう細々としたしがらみは生徒会にでも押し付けて私は治安維持に専念したい」
- 56ゲヘナ西遊記四章・その424/12/29(日) 23:33:45
(想像以上に好き放題言いますわね、ヒナさん……)
(まあ、ヒナ委員長はああいう奴だよ。むしろ彼女が人並みか、それ以上に権力欲の持ち主だったら我々もずっとやり易「(ギロリ)」ひええええっ!!?)
「……キキキッ!言うではないか、空崎ヒナぁ!!」
「?」
「っ、マコト議長、何を――」
「分からんのか、天雨アコ。こいつはな、言外にこう言い放ったんだ。『お前の政治力は、お前がアホと罵った議長以下だ』と」
「!!」
「いや。私は別にそんなつもりじゃ」
「所詮お前はこの風紀委員長の下でこき使われるのがお似合いだという事だ!分かったら身の程を弁え、さっさとバショーセン?とやらを我々によこせぐえええええっ!?」
「調子に乗らない(リモコンスイッチ、オフ)。まったく、どこまで行っても反省しないんだから……それで?どうするのアコ。私としては、チナツに言った通り芭蕉扇さえ渡してくれれば引き下がるのだけれど?」
「……」
「あ、アコ行政官。じゃなくて、牛魔アコ王様?私たちはどうすれば……ほら、イオリもさっきからずっとあそこで出るべきなのかどうか困ってますし(舞台袖を指差しながら)」
鉄扇公主チナツの言葉にも耳を貸さず、呆然と座り込む牛魔アコ王
そこに、勝利を確信したような口調でマコト議長が堂々と出てきました - 57ゲヘナ西遊記四章・その524/12/29(日) 23:40:03
「どうしたアコ行政官、いや牛魔アコ王?愛しの風紀委員長に袖にされた挙句、無能呼ばわりされて言葉もないか?」
「……」
「フン、まあいい!おい、そこの鉄扇公主とやら!さっさと芭蕉扇をよこせ!どうせお前の夫も戦意喪失したんだ、ならこれ以上粘る必要も」
「何を言ってるの、マコト」
「えっ」
「何ィ?」
「あなたはこれから、アコと戦って芭蕉扇を奪い取るのよ。そういう段取りだったでしょう?」
「…………は?」
「あ、あの。ヒナ委員長、何を?」
「――?」
「何を、じゃない。これは演劇で、演目はゲヘナ『西遊記』。なら、主人公である孫悟空と牛魔王の対決は避けては通れないくだりでしょう?」
「そして。今この場において牛魔王役が誰で、孫悟空は誰なのか――説明するまでもないと、そう思っていたのだけれど?」
「「「……………………」」」
なんという事でしょう
まさかの平和的解決かと思いきや、ヒナ委員長からの更なる予想外な提案
さてはもしや、先程大事な部下を貶されたのが余程頭にきたのでしょうか――
- 58二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 23:46:51
すげぇ……ほんとにThe ゲヘナって感じのカオスっぷりだし
途中で設定がどうとか言っちゃうぐだぐだっぷりも学生の劇ならではのノリと勢いって感じで良いわ - 59ゲヘナ西遊記四章・その624/12/29(日) 23:49:00
「ひ、ヒナ委員長……」
「立ちなさい、天雨アコ。あなたにまだ私の部下であるという自負が残っているのなら、今こそ証明してみせなさい」
「それとも。私が信頼した生徒は、私が参加している劇を台無しにするような人間だったのかしら?」
「――ッ!!」
「いえ、いいえッ!滅相もございません、ヒナ委員長ッ!!天雨アコ、これより全力で牛魔王役を全うさせていただきます!」
そう言い放ち、勢いよく立ち上がる牛魔アコ王
……もうこれ何の劇でしたっけ、というツッコミは胸の内に留めておく方が吉でしょうか?
「さあ行きますよ、孫悟空……いえ、マコト議長!あなたに立ち塞がる大妖怪として、不肖天雨アコ全力で行かせてもらいます!!」
「お、おいちょっと待て!さっきまで別に戦わなくてもいい感じな、そんな展開だっただろう!?何を今更やる気を出して」
「問答無用!ほあちゃぁーッ!!」
「ぎゃああああっ!!?」
かくして、再起した牛魔王もとい牛魔アコ王は勢いよくマコト議長へと襲い掛かります
その様をやれやれと見守るのは、猪ハル戒と沙悟浄カスミ
さらにヒナ委員長がどこか満足げに見届ける中、二人の激闘は日が暮れるまで続くのでした……
では、今宵のゲヘナ西遊記はここまで
語り部は私、棗イロハの提供でお送りしました
イオリ「あの……ところで、私の出番っていつ?」
あっ
- 60二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 07:58:37
きっと最終章で出番あるよ
- 61二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 08:02:19
乙です
アコとマコトのどつき合いの場面で
きっと客席はアホほど沸きまくっただろうなぁ - 62二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 08:02:58
「問答無用!ほあちゃぁーッ!!」で笑わない奴がいるとは思えねえ
- 63二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 09:49:33
ステージという狭い舞台ならスナイパーライフルのマコトがやや不利か
- 64ゲヘナ西遊記最終章24/12/30(月) 20:15:14
かくして死闘(という名のキャットファイト)の末、どうにか芭蕉扇を奪い取る事に成功したマコト議長
途中病院から抜け出してきた先生がイオリの脚を舐めようとしたり、その光景を目の当たりにしたヒナ委員長の脳が破壊されかけたりとひと悶着もありましたが
”イオリ!さきっちょだけ、さきっちょだけでいいから!”
「だーっ!離れろこのヘンタイ!!というか入院してたんじゃなかったのか!?」
「せ、先生……そこまでイオリの脚が……?」
まあそれはさておき
ヒナ委員長ご一行は再び火焔山の麓に戻り、芭蕉扇を一扇ぎします
するとなんという事でしょう。あれ程燃え盛っていた炎は瞬く間に鎮まり、辺りに清涼な空気が流れだすではありませんか
「ぜえ、ぜえ……こ、これでようやく通れるようになったわけだな」
「そうね。お疲れ様、マコト。もうその芭蕉扇はいらないから、チナツに返しておいていいわよ」
「あ、いえ結構ですヒナ委員長。私どもとしても元々ヒナ委員長の為に用意してただけの小道具ですので」
「そう。じゃ、この劇が終わったら適当に捨てておいて頂戴」
ともあれ、これでようやく旅を続ける事ができます
火焔山を越え、一行が目指す先はいよいよ天竺……ではなく
「何ィ?おいどういう事だ、この劇は『西遊記』だろう?ならば天竺以外どこを目指すと言うんだ」
「あら。言ってなかったかしら?」
「私たちの最終目的地はゲヘナ学園中心部、万魔殿の本部よ」 - 65ゲヘナ西遊記最終章・その224/12/30(月) 20:23:02
「万魔殿本部、だと……」
ヒナ委員長から告げられた言葉に、唖然と立ち尽くすマコト議長
一方、猪ハル戒と沙悟浄カスミは既に知っていたのか驚きもせず平然と受け入れておりました
「いえ、私たちもたった今知らされた所ですわ」
「まあ薄々そうじゃないかとは思っていたがな。そもそもキヴォトスに天竺という地名など存在しないのだから」
「なっ……ならば何故もっと早く言わなかった!?」
「「聞かれませんでしたから/聞かれなかったからな!」」
悪びれもせず、堂々とそう宣う二人
わなわなと震えるマコト議長を他所に、ヒナ委員長はいつもの口調で先を促します
「何してるの。目的地は告げたでしょう、ならさっさと帰るわよ」
「い――いやいや待て待て!!何故万魔殿本部に行く必要がある!?さてはヒナ、貴様ついに私にクーデターをあだだだだ!?」
「(リモコンスイッチ、オフ)馬鹿な事言わないで。それに、アコの前でも言ったでしょう。『政治だとか権力だとかに興味はないし、今ある生徒会から簒奪する気もない』と」
「な、ならば何故……?」
本気で困惑するマコト議長に対し、ヒナ委員長は小さくため息を一つ
そして、どこまでもいつもの淡々とした口調で答えました
「万魔殿本部に行く理由なんて、一つしかないでしょ?――あなたの、羽沼マコト議長の復活をゲヘナ全体に知らしめる為よ」
- 66ゲヘナ西遊記最終章・その324/12/30(月) 20:43:34
「私の、復活?」
「……どこまで世話を焼かすの、あなたは。それとも、五百年眠りこけてたせいでまだ頭の方が覚醒しきっていないのかしら?」
(頭が回らないのは、眠りこけてたのが理由だけではないと思うのですが……)
(あれだけ何度もギュウギュウ締め付けられていればなぁ。やはり我らが風紀委員長は生粋のドエs「(ギロッ)」ひえっ!)
余計な事をヒソヒソ口走る愚弟子二人を睨みつけ、ヒナ委員長はマコト議長と相対します
優に三十㎝近い身長差のある二人ですが、不思議とその光景は互いの対等ぶりを見せつけるものがありました
「思い出しなさい、出会った頃に私が言ってた事を。――元々私は、最初からあなたを万魔殿のトップに返り咲かせる為に動き回っていた。あなたという『柱』を欠き、この五百年衰えに衰えたゲヘナ学園生徒会・万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の権威を取り戻すという目的の為に」
「!!」
「私たち『風紀委員会』という新たな武力を手に、ゲヘナ各地で暴れ回る不良生徒たちを鎮圧・屈服させて回る五百年前の生徒会長……万魔殿復活の狼煙としてはこの上ないアピールになったでしょ?」
「お前……」
「私は権力にも地位にも興味はない。風紀委員長の座に収まったのも、私より適任な生徒がいなかったから。……本当はより優れた生徒がいたらその人に押し付けるつもりだったのだけど、まあこれはどうでもいい話ね」
「さあ、行きましょうマコト議長。あなたの帰りを万魔殿で多く……かどうかは保証しないけど、部下たちが待ちわびているわ」
そう言い、先導するかのように歩き出すヒナ委員長
その背中に、マコト議長はぽつりと言葉を投げかけました
- 67ゲヘナ西遊記最終章・その424/12/30(月) 20:43:50
「一つだけ聞かせろ」
「何?」
「何故。どうしてお前はそこまで私の、いやゲヘナの為に奔走した?それ程の力が、それ程の意志があればどこの学校に移ったとて立派にやっていけただろうに。……まあ、あのいけ好かない羽根つき共の学校は除くが」
マコト議長の問いに、ヒナ委員長はしかし振り返る事はなく
ただ、一言だけで返しました
「ゲヘナが好きだから」
他に理由がいる?と、そう背中で告げんばかりに先を行くヒナ委員長
その返しに、マコト議長は虚を突かれたような顔になりましたが……やがて、いつもの小憎たらしげな笑みを浮かべ颯爽と歩き出しました
「そうか。そうか…………キキキッ!やはりお前は、どこまで行っても――」
最後の言葉はちょうど吹いた突風の中に呑み込まれて
誰の耳に届いたのか、何を言ったのかも分からないまま虚空に消えていきましたとさ
「あとイロハ!『小憎たらしげ』は余計だ!」
おっと失敬
- 68二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 20:52:30
うおおおおお!めっちゃ面白かった!
ぐだったりハチャメチャやったりしてるくせに最後すごいかっこいいの最高です
確かにこれは『西遊記』じゃなくて『ゲヘナ西遊記』の劇なんだなあ
でも確かに原作西遊記と違って、生徒会の権威が失われて乱世になってたから鎮圧して回ってたんだよね
それでいて西遊記の妖怪たちとの戦いとも合致していて上手い
そしてイオリと先生あんたたちはそれでいいのか…… - 69ゲヘナ西遊記最終章・その524/12/30(月) 20:52:52
こうして、五百年の時を経てゲヘナ学園は再び元の姿を取り戻しましたとさ
いえ、正確には新たな組織が加わった為完全に元通りでもないのですが……まあ、細かい事ですね
どうあれ、ゲヘナの復活と時を同じくして。他の自治区もまた、少しずつかつての在り様を取り戻していきます
ミレニアムでは相も変わらずゲーム開発部やエンジニア部等のやらかしにセミナーが頭を痛め、
居丈高なトリニティとティーパーティーは「ファウストなどという生徒はうちに存在しないし、全く関係もない」と断言し、
アビドスではタカナシナイトを名乗るヒーローにより銀行強盗が完全に鎮圧され、
そしてシャーレの先生も、無事退院し業務に忙殺されながら生徒たちの面倒を見続けています
……正直、最後の件に関してはもう少し入院しててもよろしかったのではと思いますが
まあ、何はともあれ
「ヒナ委員長!また万魔殿から嫌がらせの要求です!」
「はあ。今度は何?」
「それが、『今度の軍事演習ではそちらの参加人員を前回の半分にしろ』と!あと、『どうせ空崎ヒナ一人で事足りるのだから、雑兵などいくら頭数を揃えた所で無駄だろう?キキキッ!』とも言ってました!」
「……アコ、今から少し席を外す。その間の業務はお願い」
「ハッ!了解しました!……ちなみにですが、どちらへ?」
「決まってるでしょう。あの大馬鹿議長の頭を、もう一度締め上げてくる(例のリモコンを取り出しながら)」
我らがゲヘナもまた、騒々しい日常といつもの混沌を取り戻したのでした
めでたし、めでたし?
- 70ゲヘナ西遊記最終章・おしまい24/12/30(月) 20:57:38
- 71二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 21:21:54
試してみよう
“大人のリモコンを取り出す”