【疑問】本当に需要と供給で価格が決まるんか?

  • 1リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:33:40

    やる夫、今日は異端の経済学者、ピエロスラッファの『商品による商品の生産』について勉強するだろ

  • 2リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:34:10

    >>1

    スラッファ?学部で経済学はそこそこ勉強したけど聞いたことないお 異端ってどういうことだお

  • 3リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:34:50

    >>2

    それも当然だろ スラッファの理論はあまりにも特殊だからな

    彼が遺した唯一の著書が『商品による商品の生産』なんだが...この本、ページ数がたったの100ページ程度しかない ただモデルを簡潔に説明しているだけでそこから何を読み取ればいいかを考えるだけでも大変だろ

    しかし一般的な経済理論と比較すると大きな特徴がある この本では均衡価格を分析する上で「需要」という言葉が全く出てこないんだ 

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 20:35:34

    なんか懐かしい空気が

  • 5リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:36:23

    >>3

    「需要」が出てこない? 限界革命以降の効用関数から分析を始める経済学の潮流からすると時代遅れに聞こえるお

    それって労働価値説みたいなもんなのかお?

  • 6リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:38:14

    >>5

    あながち間違ってもないだろ スラッファの意図は「新古典派経済学」以降に忘れ去られた「古典派経済学」を現代に復権するところにあったといえるからな

    実際『リカード全集』の編纂を担うほどスラッファは古典派経済学に精通していた


    正確にいうならスラッファは『商品による商品の生産』の巻末でアダムスミスの支配労働価値説について触れたのみで、

    スラッファの理論に労働価値説を認めるかどうかには多くの論争がある

  • 7リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:39:19

    >>6

    だが、ここではその論争に深入りするつもりはない。やる夫、今日は、スラッファの理論の基本的な枠組みを理解することに焦点を当てよう


    まず経済全体が自給自足的な状態にあることを想定する

    つまり生産されたものは全て生産手段として再び利用される

    さらにここでは簡単のために2つの生産物について考える

    1つ目は小麦で、2つ目が鉄だろ


    280クォーターの小麦+12トンの鉄→400トンのクォーター

    120クォーターの小麦+8トンの鉄→20トンの鉄


    この時、合計で400トンの小麦と20トンの鉄が生産されているがこれらは全て再び生産手段として用いられることになる この場合、経済は再生産可能な状態にあるといえる

    この時、小麦と鉄の交換比率はどうなる?

  • 8リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:40:27

    >>7

    えっいきなり意味わからんお

    単純にそれぞれの方程式を解いて1トンの鉄と10クォーターの小麦を同じ価値だと考えればいいのかお

  • 9リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:41:54

    >>8

    ああ、そうだな

    じゃあここに豚を加えてみよう

    240 qr. wheat + 12 t. iron + 18 pigs -> 450 qr. wheat

    90 qr. wheat + 6 t. iron + 12 pigs -> 21 t. iron

    120 qr. wheat + 3 t. iron + 30 pigs -> 60 pigs


    この場合「全体で考えた場合」は10qr.の小麦=1t.の鉄=2匹の豚が商品の相対価値となるな


    特筆すべきはここでは各商品の生産に必要な他の財の投入量の総和が、一対一で直接釣り合うとは限らなくなることだ

    鉄と小麦しかない経済ではどちらの生産でも使われた小麦の価値は等しい。

    しかし、これは財が3つ以上になると成立しない。3財以上になると「どのペアをとっても同じ価値」という関係は必ずしも成り立たず、全体の交換システムが「循環的」にバランスすることによってのみ成り立つようになる。

  • 10リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:43:04

    >>9

    さらにここから商品の数を無数に増やすことによって一般化した経済体系を考えることができるだろ

    一般化して表現するために、まず生産物'a'を考える 'a'の年間生産量をAとする 同様に生産物'b'、'c'...の年間生産量をそれぞれB, C...とする

    さらに、Aを生産するのに必要な生産手段としての'a', 'b', 'c'...の量をそれぞれAa, Ba, Ca...とする

    同様に、Bを生産するのに必要な生産手段としての'a', 'b', 'c'...の量をそれぞれAb, Bb, Cb...とする

    この時、生産手段の割合が全て等しければ、すなわち、

    Aa:Ba:Ca:...= Ab:Bb:Cb:... = ...

    が成り立つのであれば、それぞれの生産物の価格をpa, pb, pc...として、以下の式が成り立つことになる


    Aapa + Bapb + Capc + ... = Apa

    Abpa + Bbpb + Cbpc + ... = Bpb

    ...

  • 11リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:44:14

    >>10

    ちょ、ちょっと待つお! 急に数式が増えて意味がわからなくなったお!?

    と、とりあえず大量の商品が生産されているということを式で表現してそこから価格の決まり方を分析しようということでいいのかお!?

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 20:45:01

    やる夫の知識量が既に一般あにまん民と乖離していてついていくのが大変だお

  • 13リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:48:50

    >>11

    も、申し訳なかっただろ

    ここでいいたいのは複数の商品(生産物)からなる自給自足的な再生産システムの価格がどのように形成されているかということなんだ


    一般にある商品は別のある商品の生産に使われている

    そしてそういう社会が持続的でいるためにはその商品を生産するために必要な商品が安定して生産されている必要がある

    ということは商品の相対価格とはそれがその安定して商品を生産するための交換比率になるわけだ

    そして、一つの財を価値の標準として選択しその価格を1に固定すると残りの価格が一意的に定まるということがいえる

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 20:50:00

    このレスは削除されています

  • 15リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 20:51:25

    >>13

    正直よくわからんけど、需要曲線と供給曲線から均衡価格を導き出す考え方とは全く違うのはわかったお

    でもこれって生産費説の亜種みたいなもんだお?つまり生産にかかったコストから商品の価格が決まるっていってるのと同じに聞こえるお

  • 16リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:01:17

    >>15

    まぁそう思われるのも仕方ないが彼の著書をみると「生産費用」といった一面的な用語を避けているのがわかるだろ

    そしてマーシャルによって生産費価値説(労働価値説)と効用価値との折衷が近代経済学ではされたわけだが、そもそもスラッファはそのマーシャルによる折衷自体を批判している経済学者でもある

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:03:02

    このレスは削除されています

  • 18リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:05:28

    >>16

    さて、スラッファに関する余談を話すときりがないから話を戻すだろ ここまでは余剰のない生産体系を考察してきた


    しかし、現実の経済では再生産に必要な生産量以上の量を生産し、その余剰を分配している

    ここでは余剰を利潤率rと賃金率wとで分配していると仮定する


    それを>>10の式と合わせて考慮すると以下のような方程式が得られるだろ

    (Aa​pa​+Ba​pb​+⋯+Ka​pk​)(1+r)+La​w=Apa​,

    (Ab​pa​+Bb​pb​+⋯+Kb​pk​)(1+r)+Lb​w=Bpb​,

    ...

    (Ak​pa​+Bk​pb​+⋯+Kk​pk​)(1+r)+Lk​w=Kpk​.

    ここで、

    r は利潤率。

    La,Lb...は各産業で投入される労働量を表し、賃金wを掛けることで「賃金支払い」を表す

  • 19リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:06:08

    >>18

    ちょっと待つお これだと未知数の数はk個の価格に加えて利潤率r,賃金wが増えてk+2になるお

    一つの商品を価値尺度としておいて、k個の価格をk-1個の価格にできたとしてもこのままじゃ方程式閉じれないお

  • 20リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:07:50

    >>19

    その通りだろ スラッファはこれを自由度1の体系と呼んだ


    ここから示唆されるのは利潤率rと賃金率wのどちらかを体系の外部から定まる独立変数として選んで体系を閉じることができるということだろ

    前提としてスラッファは利潤率と賃金率を相反関係にあると定義しているからどちらか片方が定まれば片方も得られるからな スラッファ自身は以下の言葉によりここでの議論を締め括っている。


    「利潤率は生産システムの外部(たとえば貨幣利子率の水準など)によって決定されるだろう。ゆえに、これからの議論では利潤率を独立変数として扱うことにする」


    言い換えれば、スラッファは体系の外部から与えられる利潤率の水準からそれぞれの商品の相対価格も決定されると考えていっていいだろ

  • 21リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:12:24

    >>20

    うーん、利潤率が貨幣利子率によって決まる...?よくわからないお 

    貨幣利子率っていうのは今でいう中央銀行が決めてる市場金利って理解でいいのかお それに利潤率なんてのは産業によって違うものなんじゃないのかお

  • 22リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:14:35

    >>21

    正直俺もこのあたりの理解は曖昧なんだ いくつか考察はできるけどな

    彼を古典派経済学の現代版後継者と冒頭で言っただろ 古典派経済学では資本家がどの産業部門に資本を投資するか この競争によって長期的には各部門における「均等利潤率」が得られると考えていたんだ

    アダムスミスの有名な「神の見えざる手」を思い出すだろ あれは価格メカニズムの比喩として援用されることが多いけど古典派経済学の文脈ではこの均等利潤率を得られるまでの競争過程を表すと言った方が適切だろ


    いずれにせよスラッファモデルにおいて価格決定は、利潤率や賃金率といった「分配」に関する変数が核心にあるということがわかる

  • 23リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 21:16:28

    >>22

    最後にスラッファに関する小ネタを一つ紹介しよう。

    スラッファの老後の金のタネは日本国債だった

    戦時中、彼は日本国債を全財産を投じて買ったらしい 勝とうが負けようが彼は日本が成長すると信じていたようなんだ


    結果、日本は戦後復興を成し遂げ彼のただ一度の資産投資は50倍になって返ってきた


    スラッファについては他にも哲学者ヴィトゲンシュタインの前期から後期に至るまでの影響を与えたと言われたり(顎をさする逸話の他に『哲学探究』の前書きに直々に名前も書かれている)、スラッファの本をきっかけにケンブリッジ資本論争という論争が巻き起こったりしたんだがこの辺も調べてみると面白いだろ


    おわり

  • 24二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:19:53

    やる夫シリーズ懐かしい

  • 25二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:23:02

    あにまんでやる夫スレだと…ありがとう

  • 26二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:27:00

    今回はって事は次回もあるのか!?

  • 27二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:32:38

    乙です
    翠星石や水銀燈などのローゼンキャラも出して欲しいな

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:40:03

    さっぱりわからなかった。と言うことがわかった。

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:41:40

    「利潤率は生産システムの外部(たとえば貨幣利子率の水準など)によって決定されるだろう。
    って事は需要のある無しよりも政策金利の方が市場に与える影響が多いって事なのかな?

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:44:49

    >>18の式は(原料価格a×量+原料価格b×量+…)(1+利潤率)+賃金支払い=価格ってことでいいのか…?

  • 31二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:47:45

    スラッファは利潤率と賃金率を相反関係にあると定義しているってところはマルクス経済学に近い考えなのかな?

  • 32リカード好きの匿名さん24/12/29(日) 22:05:38

    >>29

    スラッファの場合は意図的に市場競争を分析から排除していて商品の「生産」を分析した場合にそれぞれの相対価格が利潤率によって決まるという結論に至るという感じです

    >>30

    原文からコピペしただけなのでアレなんですがそれであっていると思います

    >>31

    この賃金利潤関係は著書の中にある「標準商品」のアイデアと関わっているのですが価格の話からは外れるので省きました。 スラッファにマルクスっぽさを見出すかどうかはもうずっと論争されてる感じがあります

  • 33二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:10:53

    このスレは"基本の枠組み"ってことはまだ発展形がある…ってコト?

  • 34二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:12:17

    利潤率を上げると賃金が下がるって関係なら力が強い雇用者側がギリギリまで利潤率を高めて賃金を切り詰めようとするのでは

    格差がめっちゃ拡大しそうだ

  • 35二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:12:27

    まあ普通に考えたらどんなに需要が低くても赤ザヤにしてまで売らんしなぁ

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています