- 1124/12/29(日) 22:26:13
- 2124/12/29(日) 22:27:16
- 3124/12/29(日) 22:29:34
※1スレ目から派生のバッドエンドルート+2スレ目のハピエンルート後の後日談SSスレです
※バッドエンドルートには流血描写、キャラが死ぬ描写、胸糞描写が含まれています
※バッドエンドルート、ハピエン後日談どちらも未来捏造です
※先にバッドエンドルートを書いてからハピエン後日談に取り掛かるので、後日談のみ読みたいよって方が居たらしばらく飛ばしてください(バドエンはそんなに長くならない予定です)
※色々ガバだけど許して
上記が大丈夫な方は引き続きお付き合いいただけましたら幸いです - 4124/12/29(日) 22:30:48
「俺、玲王を忘れようとしてるみたい」
「それが出来たらさ、玲王に出逢う前の俺に戻れる」
「全部無かった事に出来る」
スマホを確認する。
返信は届いていない。
もう、疲れた。これ以上期待をしたくない。
これまで連絡が無いってことが、答えだ。
ばぁやさん達は俺を疎んでいるし、玲王に会わせて欲しいなんて願いは受け入れてくれないだろう。
「…」
スマホの画面を消し、目を閉じる。このまま眠ってしまおう。
そうして怠惰な眠りに誘われ、俺は意識を手放した。 - 5124/12/29(日) 22:31:24
白宝高校、校舎内階段。
夕焼けが空を染める頃、俺は階段に座り、いつものようにゲームを楽しんでいた。
背中に衝撃を受ける。
ぶつかった衝撃で、手にしていたスマホがこぼれ落ちた。
階段の下へとスマホが落ちていく。
その光景を、ぼんやりと見送った。
ガシャン、と音を立ててスマホが落下した。
のろのろと立ち上がり、階段を降りてスマホを拾う。
ケースに少し亀裂が入っているけど、本体は無事のようだ。
そのまま、また座り込んでゲームを再開する。
背後にあったはずの気配は、感じられなくなっていた。 - 6124/12/29(日) 22:31:42
「…おはよ、チョキ」
目覚めた世界は、色を失っていた。 - 7124/12/29(日) 22:32:48
元サッカー日本代表選手、御影玲王さん(25)が刺された事件で、御影さんが搬送先の病院で死亡していたことが関係者への取材で明らかになりました。
御影さんは搬送先で懸命な治療が行われたものの、○○日深夜に息を引き取ったとのことです。
なお、葬儀はご遺族の意向により身内だけで執り行われたことが確認されています。
警察は、容疑者が抱いていた動機の背景をさらに詳しく調べるとともに、事件に至る経緯を明らかにする方針です。 - 8124/12/29(日) 22:33:22
凪誠士郎さん(25)が所属チームを脱退し、プロサッカー選手を引退する意向を示したことが関係者への取材で明らかになりました。
引退の理由について、凪さん自身は公式の声明を発表していませんが、先日発生した元チームメイトである御影玲王さんの事件が影響していると予想されています。 - 9124/12/29(日) 22:34:50
『世界の損失だろこれ』
『御影亡くなってたんだ、ご冥福をお祈りします』
『凪のコメント無いの?マジで引退するんか?』
『サッカーなんて始めなければこんなことにならなかったのに。玲王くんを止めていれば良かった』
『関係者?犯人の情報何か落としてよ』
『犯人許せない。世界の凪を返せ』
『凪と御影が出会わなかったらもっと凪のプレー見れてたってこと?残念』 - 10124/12/29(日) 22:35:44
【事件当時に居合わせた女性の証言】
玲王さんとは同級生でした。
玲王さんは昔から文武両道で明るくて優しくて、みんなの憧れの存在でした。
そんな玲王さんに、また会いたいって思う人は少なくなかったんです。
私も、その一人でした。
だからあの日、母校で講演をするって聞いて、すぐに申し込みをしました。
一目、見れるだけで良かったのに。まさか、あんなことになるなんて思ってもいませんでした。
私は医療に携わる仕事をしていたので、その場で応急処置にあたりました。
玲王さんが助かりますようにって、祈りながら処置をしていました。
でもそれは私の役目じゃないって、凪さんに声をかけるようにお願いしたんです。
…彼の祈りも、届かなかったようですね。 - 11124/12/29(日) 22:36:29
【処置を行った医師の証言】
玲王さんとは面識はありませんでした。しかし、テレビで彼らの活躍は拝見していました。
なので、まさかあんな形でお会いすることになるなんて信じられませんでした。
…玲王さんは、搬送されて治療を施された後、ほんの少し意識を取り戻していました。
その間、ご両親やお付きの方々が必死にお声がけを行いました。
その中で皆様が、凪さんを連れてくるから、頑張ってくれ、と玲王さんに伝えました。
玲王さんは、それに対して大きく反抗した態度を見せました。
意識が朦朧としているであろう中、凪さんにだけは会いたくない、とはっきりと拒絶を示したのです。
その後…玲王さんは再び意識を失い、…そのまま目覚めることはありませんでした。
私はテレビ越しにしか、彼らのことを知りません。お二人の間に何があったのかは分かりません。
しかし、お二人を会わせてあげるべきだったのではないかと、今でも悔やんでいます。
もしかしたら、何かが変わったのではないかと、そう考えずにはいられません。 - 12124/12/29(日) 22:37:53
────────────
お前と出逢って俺の人生は変わったんだ
一緒に居ると楽しくて、幸せだった
出逢わなければ良かったんだ
出逢わなければこんな気持ちを知らずに済んだのに
そんな表情をさせたくなかった
こんな事を考えても無駄なのに
考えたくないのに思考が止まらない
何も考えたくないのに
また笑って欲しいと思っているんだ
隣で笑い合っていたかった
思い出したくない時ですら笑顔が脳裏に焼き付いていて
いつだって目が離せなくて
ずっと見ていたよ
誰よりも、ずっと
忘れられた日なんて無い
隣に居たいんだ
怖くて言えなかったけど
出逢わなければ こんな
「………」
あれから、長い年月が経過した。
ここでの生活は今日で一旦終わる。
言い渡された務めは、区切りを迎えることになる。
出所後、出迎えてくれる存在は居ない。
家族や親族には縁を切られ、俺に残っているのは多額の賠償金と、償い切れない罪だけだった。
何よりも尊い命を奪った、罪。 - 13124/12/29(日) 22:39:08
毎日のように、夢を見る。
未だに、この脳を焼き続けている。
御影玲王という人物は、俺の人生を変えた存在だった。
中学の頃、クラスに馴染めず一人で居ることの多かった俺に気を遣ってくれたのか、声をかけてくれた玲王。
あまり運動に特化していない学校だったから、比較的、体格が良くスポーツが得意な俺が単純に物珍しかったのかもしれない。
それから体育の時間で二人でペアを組むことが何回かあって、俺は玲王のかけてくれる言葉が、笑顔が大好きになった。
その笑顔を、ずっと傍で見ていたかった。俺だけが独り占めをしたかった。
けれど玲王はいつも多忙で、いつも周りに沢山人が居て。そんな玲王に声をかける勇気も無くて。それでもずっと、玲王のことが好きだった。
そんな中、また玲王の方から声をかけてくれた。
嬉しくて嬉しくて、天にも昇る心地だった。
その後、あんな思いをすることになるのも知らずに。 - 14124/12/29(日) 22:39:57
思いを馳せながら、入居予定の更生施設への道を歩く。
人気の無い道路を歩いていた、その時だった。
道の脇から複数の人が飛び出してきて、羽交い締めにされ口元を布で覆われる。
訳も分からぬまま本能的に危険を感じ、とにかく抵抗をしたいのに身体が言うことを聞かない。
おそらく即効性の薬品を嗅がされている。
怖い。助けて。誰?何の目的が?──それを考える暇もなく、次第に意識が掠れ、ついには完全に暗転した。
そして次に目を覚ました時。
俺は埃の被った小部屋で、手足を拘束された状態で横たわらされていた。
首を動かし見上げた先──男がしゃがみこみ、真っ黒な目でこちらを見つめていた。 - 15124/12/29(日) 22:41:05
男が、口を開く。
「御影玲王は、俺の全てでした。
出逢った時から眩し過ぎて、ずっと近くに居るなんて出来なくて、離れている間も身が焦がすような思いが止まらなくて、それで、」
「……」
「…それで?何だっけ?」
「……、…、」
「…ねぇ聞こえてる?」
「…な、ぎ…」
「俺の名前じゃなくて、続き言えって。お前が裁判で話してたことだろ」
「………」
「あー、まだ薬抜けてない感じ?さっさと起きろよ」
「………」
「はぁ、めんどくさ。話せるようになったら声かけて」
ため息混じりに吐き捨てるて、男はスマホを操作し始めた。
白い髪に並外れた長身。
忘れるはずも無い。
羨ましくて妬ましくて憎くて仕方無かった。
凪誠士郎、その人だった。
──────────── - 16124/12/29(日) 22:42:18
混乱のせいなのか薬のせいなのか、言葉が発せれないらしい男を視界から排除し、スマホに目を向ける。
慣れた手付きで画像フォルダを開き閲覧を始める。
ずらりと並ぶサムネイルの中から、一枚の画像を選択した。
拡大表示されたのは、夕暮れの河川敷の写真。
「はー、良い風だなー!」
「うん、風きもちー」
「風きもちー、って言いながらスマホいじんなし!」
「…今日ログボ貰ってなかったからー」
「ったくもー。風情のないやつだな。後はお前が自転車漕げ!」
「うぇ〜…」
そんな会話をしながら、実は写真撮影していたんだよね。
なんてことの無い、ただの風景がキラキラ輝いて見えたから、思わずシャッターを押していた。
一緒にいる人次第で目に映る世界が変わるって、本当なんだなって。あの時は気付いていなかった。
今は、痛い程理解している。 - 17124/12/29(日) 22:49:53
バッドエンドルート+ハピエン後日談スレになります
1スレ目、2スレ目ではたくさん♡とレスをいただき本当にありがとうございました!
また感想などいただけるととても嬉しいです!
3スレ目もよろしくお願いします🙇 - 18二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 06:34:41
バッドエンド辛いけど、スレ主さんの文才がありすぎてつい見入ってしまう......
。無理せずに頑張ってください! - 19二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 15:06:55
スレ主文才つよつよで草
- 20二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 17:17:13
一気読みしてきてボロボロ泣いてしまった
バドエンルートの凪さん怖… - 211 ごめん!今日はこれだけ24/12/30(月) 23:55:49
スマホの画面を一旦オフにして、横たわる男の様子を窺う。
顔色から察するに、薬の効果は抜けている。ただ混乱と恐怖で頭が働かないようだ。心底面倒臭い。思わず舌打ちが漏れる。
「おい、聞こえてるんだろ。状況説明してやるから、ちゃんと聞けよ」
そう声をかけると、男が再び顔を上げ、目線が合った。
怯えと困惑が入り混じった、不安そうな表情。そんな男の様子を一切気に留めることなく、口を開く。
「まず、ここは山奥の古民家。叫んだりしても助けは来ないから」
「…ど、して」
「…どうして?どうしてって言った?」
屈んでいた体制から、ゆらりと立ち上がり、頭上から男を見下ろす。男は震えていた。
その震えが、あまりに滑稽で愚かしくて惨めで。
「ねぇ、理由が分からないなんて言わないよね。俺が、お前と顔を合わせる理由なんてひとつしか無い」
脚を上げ──硬い靴底を男の顔のすぐ横へ振り下ろす。
鋭い音が空気を切り裂き、大きな衝撃音が響く。
古い木の床板が、ひしゃげて浅い亀裂が入る。
「復讐。それ以外有り得ないだろ」
男の震えと、息遣いが更に荒くなった。しかしお構い無しに言葉を続ける。
「あと、拘束を抜けて俺を倒して逃げようとしても無駄。ここには俺以外に協力者が何人も居るから、もしも俺を撒いたとしてもすぐ捕まるよ」
「……、…」
「あー、協力者って誰かって?さぁ、名前とかは覚えてないけど。みんな同じ。みんな、お前に復讐したいって思ってる奴らだよ」
「ここに居る人間は全員、今も尚…御影玲王に焦がれ続けているってこと」
みかげれお。誰よりも尊く眩しい、何よりも大切な存在。
その名前を口にする時だけ、自分の声音が柔らかくなるのを自覚できた。
そしてその名前が耳に入った途端、男の震えが収まるのを見逃さなかった。 - 22二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:55:50
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 09:00:02
緊張する…
どうなってしまうんだろ - 24二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 17:33:36
ドキドキ、ザワザワ…
- 25二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 23:08:20
ほしゅ
- 26二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 08:30:47
泣ける
いいもの見れたありがとう - 27二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 18:06:37
☆
- 28二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 23:32:59
ほしゅ
- 29二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 08:12:08
☆
- 30二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 11:54:32
ドキドキしながら待ってる