- 1124/12/31(火) 02:52:43
- 2124/12/31(火) 02:57:03
- 3二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 03:41:11
2.ウソップ
その夜はルフィの想定通りパイ祭りだった。人目につきにくそうなところに船を留め、海沿いの浜でひっそり(当社比)と宴。そこらの岩をテーブル代わりに並ぶミートパイ、ハンバーグパイ、シチューのパイ包み、グラタンパイ…。
「うんめ〜〜〜!!」
「なにこれジューシ〜〜〜!!」
「チーズ入りだ!うめ〜〜〜!!」
「焼き上がったの並べてくからな!どんどん食え!」
具材は食べてみないとわからない上に種類が多い。言ってしまえば途中半端に残っている食材の一斉処分も兼ねているのだが、そうは思わせないのは一流コックのなせる技。かぶりつくとサクッとした表面と合わせて中のソーセージがパリッと割れて、熱々の肉汁が口の中に飛び出す。美味い。
「お、ポテトだな、アチッ、あ〜この熱々が美味ェ」
「クリームパイだわ!おいし〜〜〜♡」
「おかわりありますよナミさ〜ん♡♡」
「あ、サンジ 私にもちょうだい」
「は〜〜〜〜〜〜い!!♡♡」
「おいルフィ、そっち何だった?」
「ひひゅー(シチュー)!」
熱々のシチューに目を白黒させ口を抑えながら答えるルフィに、口の周りが大変な事になっているブルックが水を差し出す。気の利く奴め。しかしシチューか、シチューも美味そう。ああでも気をつけないとキノコが入っているかもしれない。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な…っと」
平皿に盛られたパイのうち外から中身がわからないものを敢えて選ぶ。食べるまで中身がわからないのが楽しい。よしこれだと手に取ったパイにバクっとかぶりつく。じゅわっと口内に溢れる肉汁とソース。
「ルフィ!これ!ここらへんミートパイだ!」
「らいぃ(なにィ)!?」
教えてやると目を輝かせたルフィが文字通り食いついた。ミートローフをまるごと閉じ込めたようなパイにはゾロ達も釣られ、そのまま争奪戦が始まる。ウソップは発見者の権利でこそこそと3つほど拝借してその場から一歩離れた。悪いなお前ら、おれが策士で。
ガリッ
「んぐッ!?」
2つめのパイに思い切りかぶりついたら、中になにか固い物があった。食べられる固さではない。あのサンジが妙なものを入れるわけがないし、何だ?と思いながら断面を見ると、何やら白っぽいものが。
「なんだ、これ?」
つまんで引っ張り出してみると指の半分ほどもない白い棒。棒といっても真ん中が少し細い奇妙な形。はて、なにか見覚えがあるような。 - 4124/12/31(火) 03:43:26
「ウソップ〜〜!!」
「どわッ!」
あとちょっとで思い出せそう、というところでルフィが突っ込んできた。食べかけのパイを落としそうになり慌てる。一言文句を言ってやろうとしたのだが。
「危ねェな!」
「悪ィ!それよりあっちに卵がまるごと入ったやつあるぞ!たまごが半熟でうめ〜〜〜んだ!!」
「なにィ!?おいおれ様の分はあるんだろうな!」
わーッと歓声を上げて2人で角煮と煮卵入りパイの皿に飛びつく。トロトロの角煮と味のしみた半熟卵の美味さに感動したウソップは、ルフィに飛びつかれた時に取り落とした白いもののことなどすっかり忘れていた。
「いやァ、素晴らしいですね!美味しすぎてほっぺたが落ちそうです!私、ほっぺたないんですけど!」
そんなウソップの横で、ブルックがジンベエにいつもの骨ギャグを披露していた。小指を立ててパイを両手で持ちながら。 - 5二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 03:45:03
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- 6二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 03:52:31
保守できなくてすまんかった
続き嬉しい - 7124/12/31(火) 03:58:23
- 8124/12/31(火) 05:05:56
1.ルフィ
「はあ〜〜〜、うまかったあ」
粗方片付け終わった浜で寝転がり、腹を擦りながら満面の笑みでルフィは笑う。サンジのメシはいつも最高だが、今夜のパイ祭りは特に楽しかったし美味かった。ぜひまたやりたい。ああ、腹いっぱい食べたら眠くなってきた。
背中には甲板ともボンクとも芝生とも違う、少しの柔らかさのある砂。船の上と違って揺れない安定感と波の音に、本格的に眠気が圧し掛かってくる。足元に転がる空樽に足を乗せて、ルフィは目を閉じた。明日はこの奇妙な山?に登って冒険するんだ。ああいや、その前に街に行かないといけないんだった。確か買い出しと、買い取りと…。
買い取り。そう、拾った流し樽の中にあった貴金属を買い取りに出してくるとかナミが言ってた。流し樽…。
そういえばあの流し樽、普通のそれと違っていた。まあ流し樽というものに遭遇したことが片手にも足りない数しか無いので普通の流し樽を知っているとは言えないが。でも確かにルフィも、なにか変だなと思ったのだ。何が変だったのかと言われると言語化できないが。
じく…と、指に痛みを覚えた。中指だ。そう言えば流し樽の中の瓶に入っていた刃物で傷つけたんだっけ。あれ、でも今痛かったのは指の付け根だったような…。…。
「なんじゃルフィ、こんなところにおったのか」
「おいルフィ起きろ、寝るなら船に戻れ」
「あー、もうこれ完全に寝ちゃってますねえ」
「おいマリモ、ルフィを船まで運んでやれ」
「ああ?…ったく、しょうがねェな」
担ぎ上げられる浮遊感。揺れて、最後は慣れた寝床に放り込まれて。それを最後に、ルフィの意識は完全に眠りに落ちた。 - 9二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 05:22:28
このレスは削除されています
- 10124/12/31(火) 05:23:14
船番
1.ルフィ 2.ゾロ 3.ナミ 4.ウソップ 5.サンジ 6.チョッパー 7.ロビン 8.フランキー 9.ブルック 10.ジンベエ
dice2d10=5 5 (10)
- 11124/12/31(火) 05:23:46
被ったもう一人
船番
1.ルフィ 2.ゾロ 3.ナミ 4.ウソップ 5.サンジ 6.チョッパー 7.ロビン 8.フランキー 9.ブルック 10.ジンベエ
dice1d10=10 (10)
- 12124/12/31(火) 06:04:03
換金担当(ナミ確定)
1.ルフィ 2.ゾロ 3.ウソップ 4.チョッパー 5.ロビン 6.フランキー 7.ブルック
dice1d10=3 (3)
- 13二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 06:04:48
このレスは削除されています
- 14124/12/31(火) 06:05:15
安価ミス
残りを2手に
1.ルフィ 2.ゾロ 3.チョッパー 4.ロビン 5.フランキー 6.ブルック
dice3d6=3 6 2 (11)
- 15124/12/31(火) 10:55:52
・船番
サンジ、ジンベエ
・換金
ナミ、ウソップ
・買い出し
ゾロ、チョッパー、ブルック
ルフィ、ロビン、フランキー - 16二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 18:02:31
今のところホラーより飯テロが勝ってる
- 17124/12/31(火) 20:49:01
「じゃあ行ってくるなー!」
「サンジ、お前船番でいいのか?」
「今のうちに仕込みをな 代わりに買い物頼むぜ」
「ええ、任せて」
「じゃ、行くわよウソップ!…なに、そのヒゲ」
「今やおれ様も億超えの賞金首だからな!こうして変装を…おいルフィ!お前もつけるか?」
「つける〜〜〜〜〜〜〜!!」
「おれも〜〜〜〜〜〜〜!!」
「私も〜〜〜〜〜〜!!」
「…まあ、チョッパーはまだしもブルックは変装した方がいいかもな」
「あっひどい!ゾロさんひどいですよそれ骨差別です!」
「ほらほら、さっさと行かんと昼になってしまうぞ」
「んじゃ、いってきまーす!」
1.サンジ、ジンベエ
2.ナミ、ウソップ
3.ゾロ、チョッパー、ブルック
4.ルフィ、ロビン、フランキー
dice1d4=2 (2)
- 18124/12/31(火) 20:53:47
- 19124/12/31(火) 20:54:10
次
1.サンジ、ジンベエ
2.ナミ、ウソップ
3.ゾロ、チョッパー、ブルック
4.ルフィ、ロビン、フランキー
dice1d4=4 (4)
- 20124/12/31(火) 22:26:03
2.ルフィ、ロビン、フランキー
「この島の奴ら気前いいな〜!」
「確かに、やたらとおまけしてくれるなァ」
「ルフィもさっきから色々貰ってるものね」
「おう!おれこの島好きだ〜!」
「おやおや、嬉しいこと言ってくれるねえ」
「あ、おばちゃん!コロッケありがとな!うめえぞ!」
「いい食べっぷりだねえ、アンタ!ほら、これもお食べ」
「いいのかァ〜〜〜〜!!✨️」
「ありがてェけどよ、さっきも貰ったぜ?」
「なァに、気にしないでおくれ。皆一昨日の祭りの気分がまだ抜けてないんだ」
「祭り?」
「ああ、一昨日、年に1回の祭りがあったんだよ」
「祭りってどんなだ!?うめェモンでたか!?」
「そればっかりかい!まあ屋台はたくさん出たけどねェ」
「それはどんなお祭りなの?」
「一年の厄を祓って次の一年の無病息災を祈願する祭りさ」
「厄を祓う?」
「ああ。その年によくないことが起こった人がそれぞれ私物を持ち寄って、樽の中に酒と一緒に詰めて――あの山、見えるだろ?あの切り株みたいな大きな山。あそこは中が大きくえぐれててね、そこに樽を落として厄を流すんだ」
「え」
「樽…?」
「んん?なあ、おばちゃんそれって」
「おっとルフィ、コロッケからチーズが垂れてるぜ」
「えっ、わ!もったいねえ!」
「ありがとう、面白い話を聞いたわ。次はそのお祭りに参加してみたいものね」
「ああ、また来ておくれよ!」
「…なァ」
「待って、少し離れましょう」
「…んん?」モグモグ - 21124/12/31(火) 22:26:32
次
1.サンジ、ジンベエ
2.ナミ、ウソップ
3.ゾロ、チョッパー、ブルック
4.ルフィ、ロビン、フランキー
dice1d4=1 (1)
- 22125/01/01(水) 03:08:27
仲間たちが街に向かった後、サンジとジンベエは何より先にすることがあった。
「じゃあジンベエ、そっち頼むぞ」
「任された」
ばさりと大きな布を広げる。どうするかと言うと、サニー号の船首にかけるのだ。大海賊ともなればどこでもそうだが、その中でも麦わらの一味の船は目立つ。帆をたたんで船首を隠せば、ひとまず一味の船だとパット見でわかりはしないだろう。
「おれ達もすっかり有名になっちまったからなあ」
「うむ。馴染みの島でもなく数日滞在する程度なら、こういう事も必要じゃて」
なにせルフィ達は手当たり次第誰とでも率先して争いたいわけではない。なぜか毎回成り行きでそうなってしまっているだけだということを強く主張しておく。
「いくぞ!」
「うむ!」
サンジとジンベエが両端から足と水柱で布を宙に飛ばす。それをさらに微調整して、サニー号の船首はすっぽりと布に覆われた。
「よーし、こんなモンか」
仕上がりを見上げてサンジが満足気に言う。これなら最低限、悪名を振りかざして暴れようとする海賊には見えないだろう。サンジはそのまま食料庫に向かい、その場にはジンベエが残った。静かになった船の上でぐるりと辺りを見渡す。青々とした芝生やみかんの木、ブランコなど、およそ海賊船に似つかわしくない設備が詰め込まれた船。まあ、海賊船らしくないと言えば、迫力よりも可愛らしいと評されそうな船首こそまさにそれなのだが。そう思ってジンベエが布で覆われたサニーの船首に目を向けたところ。
ファサッ
「うん?」
動いた。風だろうか。念の為近づいて目視で確認するが、なにもない。見聞色にもひっかからない。やはり風か。
「ちゃんと留めておくかの」
揉め事は避けたい。島の人達を怖がらせるつもりもない。ならばこの船が海賊船だと、気づかれにくくしておいた方がいい。ジンベエは今一度、留め紐をぎゅっと締めた。 - 23二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 09:55:51
あけおめ保守
- 24二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 17:53:53
次
1.サンジ、ジンベエ
2.ナミ、ウソップ
3.ゾロ、チョッパー、ブルック
4.ルフィ、ロビン、フランキー
dice1d4=2 (2)
- 25二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 03:33:48
うん?つまりあの流し樽は…?
- 26125/01/02(木) 12:00:35
4.ナミ、ウソップ
「買い取りしてほしいんだけど」
周りに比べて比較的こじんまりとした店に入って、早速ナミは品物を出した。店主は人の良さそうな顔で「拝見します」とルーペを取り出す。品物はもちろんあの流し樽に入っていた貴金属だ。
丁寧に品物を見る店主を見ながら、ウソップはW7での事を思い出していた。まあこの量の貴金属なら、ぼったくりのようなことをされることはないだろう。実際店主は軽い会話を交えながら査定を続けた。
「これはどちらで?」
「ちょっと前に手に入れたんだけどね。でも趣味じゃないから売っちゃおうと思って」
「なるほど。確かに若いお嬢さんがつけるには、少々古いかもしれませんな」
少し時間がかかるということで、店主は2人に紅茶を淹れてきた。クッキーを添えて。
「こちらの指輪なんですけどね、特徴的なデザインじゃないですか?島の外から持ち込まれるのは珍しいものが多くて」
「へえ」
そういうものか、と思いつつ、でも確かにそうかもしれない。今まで色んな島や国に行ったが、文化形態も価値観も環境もそれぞれだ。わかりやすいところで空島、あそこでは輪ゴムがめちゃくちゃウケた。
「ところで、この島では一昨日祭りがありましてね。年に一度の大事な祭りなんですよ。一年分の厄を流す、大事な祭りでしてね」
あれ?とウソップは目を瞬いた。なんだこれ、眠いぞ。ずる、と隣でナミが力なくソファにもたれかかるのが視界の端に見えた。しっかりしろ、と頭を振るが…。
「どうしてそこで流した厄を、アンタ達が持ってるんだ」
ナミに伸ばしたはずの手は、力なくだらりと垂れた。 - 27125/01/02(木) 13:26:06
次
1.サンジ、ジンベエ
2.ゾロ、チョッパー、ブルック
3.ルフィ、ロビン、フランキー
dice1d3=2 (2)
- 28二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 19:57:06
島の人からしたら流したはずの厄が戻ってきた持ち込んだ相手だしな
戻ってきた厄がどんなことになるか - 29125/01/03(金) 03:08:08
5.ゾロ、チョッパー、ブルック
「これで全部か?」
「ええ、サンジさんの買い物メモにあるものは今ので最後ですね。チョッパーさん、大丈夫ですか?」
「おう!これくらいへっちゃらだぞ!」
大男の姿になったチョッパーはゾロと同様に大荷物を抱えている。中身は大半食料品。
「では一度船に戻りましょうか…ゾロさん、こっちですよ」
「ぅお」
ブルックの役割は荷物持ちではなく先導。主にゾロの。荷物を持ったまますぐどこかへ行こうとするゾロを逸れないよう抑えるのはなかなか大変だ。
それでもなんとか無事に買い物を終え、3人は船に向かったのだが…。
「おい」
「ええ、いますねェ」
「えッ、何が?」
前を向いたまま主語のない短い会話をする剣士コンビにチョッパーが首を傾げると。
「尾いてきてやがる」
「えっ」
「2人でしょうか」
「ええッ!?」
声がでけェ、とゾロに言われて慌てて口を噤むチョッパーを見ながら、ブルックはどうしますか?と仰いだ。ゾロはふん、と鼻を鳴らして。
「喧嘩なら買ってやるさ」
にやりと人の悪い笑みを浮かべた。 - 30二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 10:22:37
4皇の一味に喧嘩売る気かこの島人達
- 31二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:40:34
知らん間に前スレ落ちてたのか…ほしゅできなくてごめんねスレ主
続き待機