見つけましたよ、杏山カズサPart4

  • 11824/12/31(火) 21:10:04

    ここだけ15年前に行方不明になった杏山カズサを探し続けていたレイサがいる世界。
    なお、カズサには30分程度道に迷ってたぐらいの認識しかない。

  • 21824/12/31(火) 21:11:11
  • 31824/12/31(火) 21:11:43

    【簡単なあらすじ】

     「見つけましたよ、杏山カズサ!」
     ある秋の夕暮れ。コンビニで。ちょっと買い物をした帰り道。背後から声を掛けられ、振り向くと。
     一つに縛った髪。ワインレッドのブラウスと、タイトスカート姿の大人。
     宇沢。彼女は、その大人の女性は、15年後の宇沢だった。
     各自治区に悪名轟かすバンドへと変貌したSUGAR RUSH。
     一緒に卒業したかったからと叫んだアイリは、みんなは、一年生で停学になったまま、30才を超えていて。
     みんなは、この秋の暮れ。15年後の10月の終わりに、SUGAR RUSHの活動を辞めると言った。
     隠されている。みんなが知っていて、私が知らないことがある。
     もやもやを抱えつつの、終わりへ突っ走る最中、宇沢が襲われた。
     ワカモさんに。
     状況が読めない私たちが提供されたスケバンたちのアジト。
     キヴォトスでは御法度の、お酒の密輸入に使っていた倉庫に現れたのは。
     そのワカモさんをひきつれた先生と。
     『大人のカード』で呼び出されたスズミさん。
     スズミさんは30を超えた同級生ばかりだった私には若々しく。あの頃のまま。
     告げられた私たちの体の秘密。世界の秘密。
     そして、もうすぐ消えてしまうみんなの話。
     便利屋68の手引きでなんとか先生の前から逃亡が叶うも、押し寄せる現実に、私は嵐の波間をただよう木の葉のよう。
    「アケミはね、レイサ。あなたを”S.C.H.A.L.E”のトップに――”先生”に据えようとしているわ。今の先生をその座から引きずり落す形で」
     便利屋68の社長。アルさんが言う、その策謀。
     S.C.H.A.L.E。アケミ。SUGAR RUSH。
     それと――私。
     みつどもえならぬ、よつどもえの、まさに四方から押し寄せる波に。
     たゆたえども沈まず。
     私は、水面にへばりつかなければならない。

  • 41824/12/31(火) 21:11:59

    まさかのPart4。
    ここまで完走をつづけられているのも、手の遅い私に代わりみなさまが保守してくださっているおかげです。
    本当に本当にありがとうございます。
    メンタルクソザコで申し訳ない。

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 21:31:28

    たておつ

  • 6二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 21:31:48

    スレ立てありがとうございます

  • 71824/12/31(火) 21:34:21

    こっちにかかるかなと思ったら、意外と前スレで投稿済んでしまいました!
    ごめんちゃい。

    とりあ10まで埋め。
    締まらぬ。

  • 81824/12/31(火) 21:37:19

    あと2時間半で2024が終わるのこわい

  • 91824/12/31(火) 21:40:56

    明日時間あったらちょっとした小話でも書くかもしれませぬ
    お正月だしね
    いや本編書けって話なんだけど
    お正月だしね
    何書こうかな
    お正月だしね

  • 101824/12/31(火) 21:41:37

    10

  • 11二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 22:27:58

    本当自分で書けないから誰か書いてくれねぇかなってぶん投げた概念こんなに大きくしてくれて感謝感激だよ

  • 121824/12/31(火) 22:44:38

    >>11

    出たわね元凶。

    お世話になってます。


    どう転んでもほっこりにこにこふんわりじんわりなSSになれないの草

    四苦八苦できるよき概念でございます!

    ありがとうございます!


    せっかくお借りしているのです、手を出したからには最後まで書くやで!

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 00:43:32

    新年おめでとうございます、作者様、スレの皆様、カズサ、シュガーラッシュのみんな

  • 141825/01/01(水) 07:23:53

    あけましておめでとうございます。
    本年もどうぞよろしくお願いします

    みなさまに実りある一年でありますように

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 08:55:48

    皆様あけおめです
    それはそれとして、前スレに誘導貼るの忘れたのを今更気づいたよ

  • 16二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 18:17:31

    >>15

    前スレの187レス目にこのスレの誘導あるよ

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 18:20:05

    他はなんとなく意図がわかってきたけど先生がこのタイミングでシュガラを嘲笑うように盛大に妨害をかました理由がわからんな

  • 18二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 23:57:03

    とりあえずアケミと切り離そうとしてたのかな先生

  • 19二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 09:36:37

    前スレ44
    「いやいや、きっしょ」
    めちゃくちゃ言いそうで好き

  • 20二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 09:54:32

    別スレで紹介されてたのを見かけて知って、初代の最初の数レス読んで感激した者なんですけど、まだ続いてるのを今知った……!嬉しい……!!
    とりあえず過去ログ読んできます……!

  • 21二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 11:35:52

    >>16

    なるほど、ssの前に有ったんですね

  • 22二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:47:50

    今更だけど 「見つけましたよ、杏山カズサ」SSの作者様って カヨコ「なに聴いてるのって?」の作者様だったんですね
    あの時はお世話になりました、教えてもらったThe Earl of Salisburyなどは今でも聴いています

  • 23二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 08:28:48

    最初から怪しかったけどなんだかんだ友好的だし味方側かなと思ってたアケミがこちらをただ利用していた実質敵だった展開には脱帽した

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 15:56:07

    >>23

    同様に立ちはだかり敵だと思った先生は、その実やっぱり先生だったことに安心した

  • 25二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:52:08

    スケバンちゃんと別れちゃったのはちょっと寂しい

  • 261825/01/04(土) 09:46:20

    三が日終わったってマ?

    絶望です。

    じっくり書けるぜ! と思っていたら書初めが終わりません。

    タスケテ。


    >>20

    そうなんだよ、まだ終わってないんだよ

    気付いたら先生VSシュガラVSアケミの謎構造だよ

    望まれてた15年後概念じゃないかもだけど、もうしかしたらこんな世界もあるかもねって楽しんでおくれ

    いやほんと、面白いけどむずっかしい概念

    だって15年に比べてスイーツ部が一緒にいたの数か月だけだし……いなくなってからのが長いって絶望だよね

    そりゃアケミとも仲良くなるわ


    >>22

    わお。ですです。まいどです。あけましておめでとうございます。まさか読んでくださってた方もいらっしゃるなんて!

    私もあのスレで教えていただいたiwamizuやfenneszばりばり聴いてます。

    ソールズベリー伯爵聴いててくれてうれしい。2015年に亡くなった人が1960年代に弾いた17世紀の音楽。

    受け継がれるってすばらしい概念

    音楽キャラでスイーツ部ってのがいるよってあそこで教えていただいたので、お勉強中がてら書いてみたらとんでもない長編になって草です

  • 27二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 19:09:06

    (執筆)がんばれ♡

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 02:39:47

    ここまで一気に読んじゃった

  • 29二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 13:15:47

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 22:58:34

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 02:30:41

    シュガーラッシュの子らは、ここからどう動くのか期待

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 11:09:37

    >>23

    アケミからすると利用しあってただけの関係なのかも

  • 331825/01/06(月) 16:28:51
    春風 | Writening■春風  一枚の写真が送られてきた。それは、見慣れた場所のもの。私の家のドアの写真。  送って来た相手の名前を見て、私の心臓は――そのたった一回の鼓動で破裂してしまうんじゃないかっていうぐらい飛び跳…writening.net

    あけましておめでとうございます。

    さわやかな新年ですね。

    きょうは元旦です。

    誰が何と言おうと元旦です。

    なので、これは書初めです。お納めください。

    ……なんでこんななげーの書いたんやろなあ。


    ちらっと上がったのですが、前回はカヨコで書いてまして……。

    いまも便利屋出てきてますし、せっかくということで、便利屋で書いてみました。

    アルとカヨコが一緒に”卒業”のためキヴォトスの外に出たあとの、ちょっとした隙間の2人です。

    ムツキとハルカは退学したってことで書いてみました。

    初期シュガラもすこーーーーしだけ出てます。

    なお、ハルカも隠れ音楽ファンでカヨコと意気投合していて、なおかつフツーに現代の映画や音楽がキヴォトスにもあるっていう感じです。作中に出てくるのはEaglesのDesperadoと映画スタンド・バイ・ミーです。一応……。

    そういうのが許せる方だけ……。すみません。

    本編のちょっとしたオマケと思って読んでいただければ……。


    というわけで、あけましておめでとうございます。

    エンディングまでどうぞよろしくお願いいたします。

  • 34二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 23:38:05

    うおっ……なっげぇ……!

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 06:01:02

    SS感謝!!
    なんとも読み応えのある量で嬉しい
    じっくり読んでいきます

  • 36二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 17:03:49

    本編でハルカがアルちゃん呼び捨てしてるんだって思ってたからエピソード嬉しい

  • 37二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 23:34:21

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 05:58:16

    一応保守

  • 39二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 16:49:13

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 01:28:09

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 09:56:27

    保守山カズサ

  • 421825/01/09(木) 16:30:23



    「……おお」
     百鬼夜行連合学院自治区。
     私は、来るのは初めてだった。お祭りで有名だという話は聞いていた。話はその通りで、自治区の境を過ぎてすぐ、色とりどりの提灯が道路の両脇に提げられている光景が目に入ってくる。そして、近くの木も遠くの山も紅や黄色、緑に茶色と、それが目に痛くない自然の色合いで、化粧をしたように色づいていた。
     圧巻。
     思わず、声が漏れるほどに。
     助手席の開かれたウィンドウから入ってくる風はしんと冷たくて、キヴォトスの中心地に近いトリニティよりもよほど北に来たことを物語っていた。
     運転しているアイリも風景に見惚れて、ゆっくりと、楽しむように、アクセルを抜く。
    「カズサちゃんは初めてだよね。私たちも、秋の百鬼夜行に来るのは久々なんだ」
     アイリの言葉に、ヨシミが繋げた。
    「年末年始はすごい人だかりになるのよ。そこでライブをやることは毎年の恒例でね。カヨコさんにアドバイスをもらうきっかけにもなってて……」
    「重火器や爆弾をバンバンやり合う中で主役になれるような音楽ありませんか、ってね。最初はわけわかんなかったよ。しかもメタルとかヘヴィロックはイヤだっていうし。たまたまその時聴いてたのがシューゲイザー系の音楽でさ。『こんなのは?』って半ば呆れながら聴かせてみたら」
    「もうほんと、バッチリだった!」
    「あなたたちの話はカヨコから聞いていたの。アケミ達と付き合っているくせに、スケバンに染まっていない不思議な連中だとね」
    「レイサを除いて、ね」
    「……別に染まったつもりはないんですよ」
     昨晩、一人にしてくださいと言って部屋に引っ込んだ宇沢は、今朝になってもずっと消沈しているように静かだった。ここに着くまでもずっと黙りこくって、車窓から見える景色をぼんやり眺めたり、下を向いたりするだけで。みんなが声を掛けてもどこか上の空。架け橋としてアケミとみんなを繋ぐ役割であり、アケミ以外のスケバンともかかわりが深かった宇沢にとって、自分が利用されていただけなのかもしれないという便利屋の話は、衝撃だったんだろう。

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:05:18

    そりゃレイサはいろいろ思うところはあるよね

  • 44二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 02:34:19

    たまには後ろを振り返って、これまでの道程を考え直す時間も必要さ

  • 45二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 12:40:30

    やはり衝撃的なものだったか

  • 461825/01/10(金) 16:15:48

     しかもそれが、スケバンのための自治区を作るために自分がシャーレの先生に据えられようとしているなんて突拍子もない大きな話であることも。たった一夜を明かしたところで、悩みが消えるわけがない。自分は”内”に入れていたつもりだったのに、まったくの”外”だった。長い間付き合ってきた人の知られざる計画。
     助手席に座って道の指示をしていたアルさんは、バックミラーで宇沢の顔を覗き込むように体を動かして、言った。 
    「アケミはカイザーコーポレーション相手にもそうやって食い込んでいったわ。毎日少しずつ増える壁の染みには気付けないみたいに、時間をかけてゆっくりじっくり、自分の色に染め上げていく。はじめは真っ白な壁紙だった部屋が、ふと気づくと真っ黒になっているようにね。ま、気持ちはわかるのだけど……」
     不快な顔をするわけでもなくて。何を考えているかわからない無表情で頬杖をつく。
     でもふと、雰囲気を変えるような明るい声で、アルさんは後部座席のカヨコさんに見返った。
    「この時期なら紅葉祭りがやってるわ。あそこならちょっと寄れるんじゃない?」
    「ああ、あれは郊外でやってるんだっけ。百鬼の祭りでは規模も小さいしいいと思う。でも私はハルカたちを待たなきゃいけないから……。アル、一緒に行ってあげなよ」
    「いいえ。あなたも最近働きづくめだったのだから、息抜きついでに行ってらっしゃいな」
     アルさんはくるくると豊かな桃色の髪を指で回した。
     SUGAR RUSHのバンドワゴンは、ハルカさんとムツキさんが別ルートで運んでいる。私たちはブラックマーケットで借りたレンタル装甲車を使い、あえて自治区にまたがる環状線を使い堂々と百鬼夜行入りを果たしたが、ナンバーも車種も割れているバンドワゴンはそうも行かない。下道で、人目も検問も少なそうな道を選んで、偽造ナンバープレートを付けたうえで、こちらに向かっていると言う。
    「ん……。そしたらお言葉に甘えようかな。その代わり、ハルカたちが合流したらアルも来ること。それが条件」
    「わかったわよ。まあ、そんなに遅くならないでしょ」

  • 471825/01/10(金) 16:17:59

     くすぐったそうにアルさんが笑った。
     友だち。仲間。上司と部下。ないまぜな関係性がごちゃまぜになったような、熟成された関係性。一言で説明できない便利屋68の関係性は、例えるなら。背伸びした値段の複雑な味のスイーツを「美味しい」としか表現できない、自分の舌と語彙の稚拙さに悔しさを覚える感覚に似ている。
    ”お友だちって仲間じゃないもん”
     昨晩の酔っ払いに言われた言葉。
     あれはきっと、それでもまだ……不完全な状態のことを指しているんだと思う。先生とワカモさん。先生と宇沢。宇沢とスズミさん。SUGAR RUSHと宇沢。みんなとアケミ。アケミとスケバン。SUGAR RUSHのみんな。それから、みんなと私。間近にあるだけでこれだけの、でもどの関係性とも同じようで違う便利屋68の関係性。 
     提灯を北極星にして進むこと20分ほど。人通りが多くなり、ペイヴメントに粗雑な骨組みの屋台がちらほらと出始めたあたりで、「この辺りで停めましょう」とアイリの肩が叩かれた。
    「チョコバナナ……わたあめ……りんご飴に……大判焼き……! 主の御国だ! 私は天国に来た!」
     路肩に車が停められるや否や飛び出て行ったナツを「ガキかあんたは!!」と怒鳴ってヨシミが追いかけていく。さっきからずっと屋台の正面に書かれている文字をぶつぶつぶつぶつと唱えていたナツは、この使い古したパレットのような無秩序の紅葉の景色よりも、紛れ込んでくる味のある空気にすっかり脳をやられていたのだろうことは想像に難くない。
     ぼんやりする暖房の効いた車内から降り、ぐぐっと体を伸ばすと、バキバキと腰と背中から音がする。

  • 481825/01/10(金) 16:20:30

     昨日も今日も、かなりの長時間を車で過ごしている。さらにその前からあの薄暗いアジトで軟禁されていた身としては、太陽があるうちにこうして外で思い切り体を晒すのは、しかも自由な時間として体を晒すのは、なんだかとても久々。
    「じゃあアル、周波数はこれで……。みんな、あんまり私から離れないでね。はぐれたら探さなきゃいけないから」
     ナツとヨシミが去っていった方を一瞬だけ見てからカヨコさんは言った。
     先生が基地局の通信履歴をリレーして位置情報を割り出せるとわかった以上、うかつにスマホの電源は入れられない。だから便利屋の人たちはもっとアナログな、キヴォトスではハイランダーやヴァルキューレでしか使わないような無線機を――もっとも、それすら15年前の感覚――使うことで、当たり前に使っていた遠隔通信のひとまずの解決を試みていた。
     確実かと言われればそうではないけど、不確定要素ならば、いい方に転ぶかもしれないという理由で。
     カヨコさんと同じ無線機をいじっていたアルさんはにやりと笑う。
    「お酒の飲みすぎはダメよ」
    「いやいや、お酒売ってないし」
     そのままアルさんは運転席に座り、シートベルトがカチンと鳴る。
     そのまま扉が閉められようとして、私は思わず「すみません」と手を伸ばした。
    「宇沢、あんたは?」
     万全とは言えないし、未だに顔をしかめはするけど、襲撃されてからちょうど一週間。せいぜい『動かせなくはない』ような状態に回復してきた宇沢に声を掛ける。肩を貸せば歩ける程度にはなっているのだ。
     しかし宇沢は「私は大丈夫です」と言って、力なく、へらへら笑った。
     外に出ることに乗り気でないのがもう一人。
     落ち着かない視線で、体を縮こませていたアイリ。
    「一応、あの、私たち、百鬼夜行でも指名手配されてまして……」
     車体の向こう側にはすでに、いろんな人や音があふれている。このまま進めばさらに人が増えるのは想像に難くない。紅葉祭りだと言っていた。お祭りだ。人出がないところに祭りは存在しえない。
     カヨコさんは「ああ、それは大丈夫。ちょっと待ってて」と言って、ふらりと屋台の並んでいる方面に足を向けた。
     しばらく待っていると腕にいくつかのお面を抱えて戻って来る。
    「百鬼夜行のお祭りにはこういうのが必ず売ってるんだよね。これ付けてれば顔が隠せるでしょ」

  • 491825/01/10(金) 16:22:13

     私に渡されたのは狐面。プラスチックで作られた軽くて安っぽいお面。
     ワカモさんと同じ。なんだか、ヤな気分。
     他にも変顔して手ぬぐいを被っているもの。デフォルメされたうさぎ。ねこ。今流行しているのだろうかわいいキャラものや、目線の定まらない変な顔の鳥のお面など、色もデザインもさまざまなお面が、私たちにひとつづつ配られた。
    「まあこれがあれば確かに顔は隠せますけど……あの、スケバンさんたち、とかは……」
     手に持った、口をタコのように尖らせた男の人のお面を複雑そうな顔で受け取ったアイリは、なおも言う。
     顔を隠して祭りに溶け込んで、惰性で街を歩く自治区の治安維持部隊はなんとかごまかせるとしても。もし私たちだけを探している奴らが居たとしたら、こんな付け焼刃の変装なんてなんの意味もない。
     アイリの心配に、カヨコさんはねこのお面のゴムをツノに引っ掛けながら言った。
    「それも大丈夫。というか、こっち来てるくせにあんまり知らないんだね。百鬼夜行の自治区はちょっと特殊なんだよ。観光に特化しているくせに、拠点を張ろうとする組織にはものすごい排他的。保守的というかなんというか、私たちもそれですごく苦労させられて……。だからここにはスケバンたちの支部も存在しない。みんながライブするときくらいしか、スケバンの姿を見たことがないよ」
    「そうなんですか」
     目を丸くしてアイリは、納得したように歯を見せた。山から吹き下りる冷たくて乾燥した風がアイリの長い髪を揺らす。
    「ふぐむぐ! もごもごむーまぐ!」
    「うわっ……あんたりんご飴と綿あめ同時に食べるとか気持ち悪くなんないの……?」
    「むっもぐ!」
     この少しの時間で両腕にとんでもない量の食べ物を抱えたナツが帰って来た。ヨシミに襟首を掴まれたその目は輝いている。さすがにここまで天真爛漫な30代を見ていると、私の表情も固まるというものだ。
     ヨシミは車の中にいる宇沢を見て「なんだ、レイサは来ないの」と言って「それなら」と襟首から手を離した。
    「私も先にアジトの方にお邪魔させてもらっていい?」
    「私はかまわないけれど、いいの? 言っておくけど、昨日の山小屋より多少マシな程度で、なんにもないわよ」
     助手席に腕を回して後部座席に体をひねりながらアルさんが言う。

  • 501825/01/10(金) 16:25:40

     ヨシミは体を一度大きく伸ばして一息吐いたあと、髪をかき上げて言った。
    「作業を進めたくて……。いろいろ問題が湧き出たのは確かだけど、やらなきゃいけないことが消えたわけじゃないし」
     座席に残されたノートPCは開かれたまま、煌々とブルーライトを放射している。画面にはわけのわからない波長のグラフがいくつも連なり、つまみやレバーのようなグラフィック。同じく座面に投げられたヘッドホンからは、耳を澄ませばシャリシャリと音漏れしていた。
     私を探し続けた15年の総決算。最初で最後のアルバム制作。
     『世界の例外制御』とやらが働いて、膨張した神秘がなんやらでみんなが居なくなるタイムリミットだと言った時まで、あと10日もない。ハロウィンのライブまであと一週間。区切りとして存在するお祭りは、もう目と鼻の先。
    「プレスはもう間に合わないからせめてストリーミング配信には……。ライブ音源が録れるかわかんないけど、最低限の調整で入れられるようにしておかないと、なにもかもが間に合わなくなる」
     がりがりと頭を掻きながら、腹立たし気にヨシミが言った。
     昨晩もどうやら徹夜で作業していたようだし、車の中でもずっとPCの画面を見ていた。活動に協力してくれてきた不特定多数の”みんな”に向けた作業は、ヨシミの両肩に掛かっていると言っても過言ではないと、ナツも言っていた。音周りをいじれるのはヨシミだけだと。
    「というわけで」と車に戻ろうとしたヨシミに声を掛けたのは、カヨコさん。
    「あとどれだけ残ってるの?」
     とんとんと煙草の箱を叩きながらカヨコさんが言った。
    「ソフトの使い方だけ教えてくれれば手伝うよ。シュガラの音作りはある程度理解できているつもりだし」
     本当ですかと、あまり作業の手伝いにいい顔をしなかったヨシミの顔が輝いた。
    「既存音源使うのでほとんどの作業がマスタリングなんですけど、まだ新曲の調整が終わってなくて……」
    「え……初期のもそのまま使うの? 再録は?」
    「しません! そのまま!」

  • 511825/01/10(金) 16:29:38

     一歩引いて、風の流れを確認するように揺れる髪の毛を見つめていたカヨコさんは煙草に火を点けた。「……まあ、そういう発想から名盤は生まれるものなのかもね」と、煙を細く吐き出しながら笑うカヨコさんにヨシミは「やった、カヨコさんの耳なら信用できる!」と満面の笑みを見せた。
     私はもう一度、車の中に視線を戻す。この流れなら、ヨシミもお祭りを見に行くのだから。アルさんだってきっと夜には合流して、みんなが行くのだから。
    ”だから、いっぱいわがまましよう?”
     薄暗い車内で、張り付けたような笑顔を見せている宇沢に、言った。
    「宇沢、あんたも行こうよ」
    「……私はいいですよぉ。毎年見てますし」
    「いいからいいから」
    「うわっ、ちょ。行くなら自分でやりますから――」
     靴を履かせ、腰が壊れそうな体勢でゆっくりと座面を滑らせて、肩に腕を回して立ち上がる。
    「あいたたたっ。せ、せめてもうちょっとゆっくりお願いします!」
    「ごめんごめん。どう、歩ける?」
     見てくれが大人になっても、ほとんど私と変わらない身長の宇沢。その宇沢の全体重が私の方に掛かる。
     えっちらおっちら。一歩一歩。
     かたつむりみたいな慎重さで歩く宇沢が耳元で言う。
    「ほら、歩くのはまだやっぱり……」
     ほんと、面倒なことをしてくれたもんだ。ワカモさんは。
     七囚人。先生の武器。一発や二発撃たれたところでどうってことない体の、どこが一番弱いのかをきちんと理解している。
     一週間でここまで回復するのだから後遺症が残るほどのものではなくて、大したことがないっていうのも、きっとわかった上でのこと。
    「百鬼夜行は起伏の多い土地です。杏山カズサは百鬼夜行のお祭り初めてでしょう? せっかくなんですから、スイーツ部のみなさんとぜひ――」
    「じゃあ、いっそおぶるか」
     肩がけしていた銃をヨシミに放る。
    「ちょちょちょ、うわっ!」
     するりと体を抜き、支えを失った宇沢の体が前のめりに倒れる。
     それを、私の背中が受け止めた。
    「よいしょっと」
    「いっ!」
     耳元で宇沢の痛がる声がする。けど、それもすぐに、宇沢の意識は違うところに向いた。

  • 521825/01/10(金) 16:31:30

    「おおお、おぶわれるのは! 重いですから! さすがにぃ……!」
    「抵・抗・す・る・な!」
     だらんとぶら下がる足と、突っ張るように背中に張られた腕。なかなか力が入るようにはなっているとしてもまだまだ弱い。それに、力を入れ続けるのは困難。
     ほんのすこしだけやりあっていると、両肩からずるりと伸びた宇沢の腕。ぴったりくっつく宇沢の体。
     耳元で、不服そうな低い声で宇沢がごちた。
    「まさか杏山カズサにおぶわれる日が来るとは……。宇沢レイサ、今日のことは一生の記憶から抹消します」
    「介護される練習だと思いなよ」
    「その介護って怪我の介護って意味ですよね!!?」
    「――うるさっ。耳元ででかい声出さないで。で、どうなのよ、痛みは」
    「……歩くよりはマシです」
    「ならいいじゃん」
     っしょと。
     宇沢の体を背負い直す。軽いんだよ、あんたは。近ごろの不摂生でまた体重を落としたんじゃないだろうか。
     背中でぶつぶつ文句を言う宇沢の顔に、アイリがにこにこしながらお面を付ける。
    「観光案内所とかに行けばきっと車いすとか置いてるんじゃないかな」
     アイリの言葉に私の耳のすぐ横で宇沢が声を出す。
     背筋に虫が入ったみたいにぞくぞくする。
    「いえ、お祭り運営委員会の本部テントがあります。そちらに一通りのものが用意されているはずです」
    「おお、さすがシャーレ職員」
    「このお祭りの担当も私でしたからね」
    「……じゃあ、身元割れちゃうんじゃ?」
    「別にレイサ本人が『貸してください』って言いに行く必要ないでしょ」
     バタン。車のドアが閉じられた。
     車にはもう、アルさんしか乗っていない。
     何度も切り返し、Uターンして元来た道を戻っていく車を、みんなで見送る。道行く人の何人かが迷惑そうな顔をして車を見やるけど、すぐに前を向き直して、目の前の”楽しそう”に足取り軽やかに進んでいく。全員がお面をつけている変な集団も、一瞬だけ見るけど、さほど珍しいものでもなさそうに「浮かれてんね~!」と囃されるだけ。
     わかってる。こんな風に、遊んでいる暇なんてないって。こんなことしている暇があったら、今すぐみんなにいろいろなことを問いたださねばいけないって。

  • 531825/01/10(金) 16:34:01

     でも。だって。
     すこしだけ。すこしだけでいい。半日でも、一時間だけでもいい。
     私は宇沢を背負い直す。「痛っ」と小さく、宇沢がうなる。全員が万全な状態ではない。私だって、心の中はどろどろだ。
     元気がない宇沢。煮詰まっている私。
     今晩。
     今晩、私はみんなにすべて言う。不安に思ってること、教えて欲しいこと。みんなはどう思い、私はどう思っているかを。同じ話でも、みんなの口から聞きたいことを。
     私たちはそれだけじゃない。やらなきゃいけないことだけじゃない。そういう関係じゃない。それはあくまで延長上の話。
     もっと雑に、もっと楽しく。
     友だちとして、もっと遊ぶべきだろう。
     そんな簡単なことを決心するのにずいぶん時間をかけてしまったと思う。
    「宇沢さ」
     最後になるかもしれない、みんなで遊ぶということを、私はしたい。
    「いろいろあるよね。あったと思う。あんたも、みんなも、私を置いて大人になっちゃって、考えなきゃいけないことがたくさんあるだろうし、それとは比べものにならないとしたって……。私だってもやもやをいっぱい持ってる」
    「はい?」
     だから。
    「けどさ。今だけは少しだけ、子どもに戻ってよ」
     山がちな百鬼夜行の乾燥した空気を思い切り吸い込んで……。
     ”楽しそう”に向けて足を踏み出す。
     わがままを。私のしたいことを、みんなに押し付けよう。
    「私と同じ、子どもにさ」
     私はスイーツ部の中で、一番大人に憧れていたのかもしれない。どこか斜に構えて、一歩引いて、落ち着いた立ち位置に立とうとしていた。
     風に乗って運ばれてくる”楽しそう”、”美味しそう”の空気。
     お面に開けられた小さな穴から見える、私だけが知らない土地のお祭り。
     この一瞬を。
     真っ白な時間を一緒に楽しみたい。
     何も考えず、ただ、みんなと一緒に、楽しいだけの時間を。
     ”楽しい”しか感じない時間の一つぐらい、今の時間に繋がる私にも、あっていいはずなんだから。

  • 54二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 23:55:26

    やりたいことやっちゃえカズサ

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 09:16:34

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 19:53:11

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 05:56:13

  • 581825/01/12(日) 16:27:26



     D・Uの高層マンションの一室。
     連邦生徒会からもS.C.H.A.L.Eからほど近く、けれどビルとビルに挟まれた、街行く人が一切気に留めない建物の最上階。
     385キロ。サポートしてくれる者たちがラックアップすら手伝えない重さのバーベルを3発。それを3セット。キヴォトスに生きる神秘を宿した者たちですら規格外の筋トレを、栗浜アケミは必ず日に一度、20年近く、欠かすことなく行ってきた。
     最後の一発を上げてラックにバーを乗せたあと、牛か獅子か。小柄な生徒ならば吹き飛ばされそうな一息をつく。ふるふると震える腕を投げ出して、ぼんやりと天井を仰ぎ、薄く笑った。
     また、落ちた。
     トレーニングはデータだ。日々曖昧になっていることがデータ化される。数字になる。
     差し出されたタオルで汗を拭い、しっかり冷やされたBCAAで喉を潤す。
     ここ一年だけで10キロは落ちた。
     500キロに届こうとしていたベンチプレス。怪我に細心の注意を払い、毎日欠かさず。筋肉のための休息も軽重量のトレーニングに留め、決して鉄から逃げることはなかったこの人生。
     全盛期という言葉を使いたくなくとも……。現実は否応なしに、私の首を締めあげてくる。
    「残酷なものですわね」
     28を過ぎた頃から記録は伸びなくなった。それどころか昨日持ち上げられた重さが上がらなくなった。メンタル的な問題でもない。ただ、上がらなくなった。肉体的には変わりがなく、相変わらず美しい身体であるのに。筋肉量だって変わっていないのに。ただ、上がらなくなった。残酷だ。残酷以外なんと言えばいい。年を取った。それは、私の体は終わりに向かい始めていることに他ならない。
     キヴォトスの人間ならばこう言い換えられる。
     私の体に残っていた神秘の残滓が使い切られようとしている。
    「――SUGAR RUSHの世話係が、アケミに面会させて欲しいってアジトを回ってるみたいよ」
     世話係が。
     ……ということは便利屋か。
     ガシガシと顔を拭いて「最寄りのアジトで待機させといてちょうだい」と伝える。
     ここは私と、私が信用するスケバンしか知らない秘密の場所。私がここまで大きくなる前。夢が夢であった頃から付いてきてくれた者だけが入れる秘密の部屋。
     なんせ……『弱い』私が見られる、唯一の場所なのだから。

  • 59二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 21:40:45

    ありがとう

  • 60二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 06:49:14

    アケミにも時間はないのか

  • 61二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 12:40:53

    終わりは皆へ平等に配られる

  • 62二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 17:13:46

    やっと追いついた。アケミの策略、先生の思惑、シュガーラッシュの願い…どれが叶うのか…

  • 63二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 01:05:08

    老いはつらいね

  • 64二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 01:57:44

    ソレが減少せずにあり続けるのも辛いとは思う
    唯一置いていかれる側としての視点を持ってるクズノハだけがカズサの気持ちを理解できる

  • 65二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 09:41:39

    そっか、そういえばカズサは消えてたからすり減ってないのか……残される側の気持ち考えたらそっちも辛い

  • 66二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 20:17:11

    アケミも年か

  • 67二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 05:38:07

    残った時間で何を成すのか

  • 68二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 15:54:54

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:41:01

    保守

  • 70二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 09:46:36

    先生のらしくないやり方もタイムリミットが関わってたりするんかね

  • 711825/01/16(木) 16:16:54

    「だから便利屋を関わらせるのはやめようって言ったじゃんか。絶対なんか脅されてきたパターンだよ」
     私の友人の一人。それこそ、矯正局に入れられる前の、さらにずっと前から。私がスケバン道を歩み始める前から一緒に居る、いわば幼馴染。名代として渉外の場に行ってもらうことも多いので、私と同じか、それ以上に他組織との関係性を熟知している。
     その彼女が言ったのだ。
     レイサがワカモに襲われたと聞き、すぐに便利屋に連絡を取ろうとした私に『便利屋は止めた方が良い』と。組むなら瑕疵のない契約内容で縛れと。でも私は、先生が動いたということで焦っていた。既存のテンプレート文で、ずさんな契約をしてしまった。そう。彼女は便利屋と手を組むことを最後まで反対していた。
     シェーカーが差し出される。良く冷えたBCAAとは違い、こちらは人肌に温まっていた。
     一息に胃にぶちこむと、ぬるりとしているくせに粉っぽい。人口香料の化学的な香りが鼻につく。味は関係ない。ぬるさすらも。外の世界の高性能品をキヴォトスの技術で魔改造した一品。レイサに渡しているものや、杏山カズサに飲ませたものとはまったく違う。味なんか度外視。美味しい不味いじゃない。ただ、摂取するものだ。
     胃に溜まった液体に気分が悪くなりながら「脅されたって、なにを?」と、わかりきったことを聞く。
     彼女は空になったシェーカーを受け取りながら「結論から先に言うね」と言い。
    「止めよう。この計画。うまくいきっこない」と目を伏せた。
    「今更なにを……。あとは連邦生徒会から認可を下ろさせれば、私たちの悲願が叶いますのよ」
    「うまくいったと思うよ。あのままだったら。なにもしないままだったら」
     ギィ。
     インクラインベンチに座って足を組み、ちゃぷちゃぷと空のシェーカーを揺りながら彼女が言う。質のいいパンツスーツ姿でこの汗と鉄の世界に居るのは奇妙に映る。
     私はあの時、あのタイミングで、レイサがS.C.H.A.L.Eに回収されることを恐れた。SUGAR RUSHが日和ることを許さなかった。杏山カズサの身に降りかかった不幸をかすがいにして繋がったレイサは、私が描いた夢を実現させるための切り札。先生が”大人のカード”で奇跡を起こすのなら、私はレイサを使って奇跡が起こせると夢を見た。

  • 721825/01/16(木) 16:21:15

     そして、夢は現実になっていた。間違いなく。つい先日まで。
     幼馴染はシェーカーをぷらぷら振り続けながら言った。
    「分岐点が出来ちゃった。組織を縮小させるか、一から作り直すか。そういう分岐点が。泥すすって、後ろ指さされて、生ごみ漁ってさ……。一本道にしてきたのに。分岐点、できちゃったよ」
    「疑えば目に鬼を見るものですわ。怯えた者はすべてを敗北に結び付けるようになる」
    「敗戦処理を考えなきゃいけない」
     足を踏み鳴らしながら立ち上がる。
     床に散らかった鉄たちがガチャガチャと音を立てる。パンプアップした体は、我ながら威圧感を醸すには最適だ。
     でも、彼女は姿勢一つ、みじろぎ一つしなかった。
    「アケミだって賭けになるのはわかっていたはずだよね。そして、賭けに負けたことも。便利屋が介入してきた。世話係とあの子たちを離したってことは、そういうこと。奴らが道具としてでなく、便利屋として動き始めたら……。戦争するしかない」
    「叩き潰せばいいまで、ではなくて?」
    「そうやって奪い返した神輿を信仰する人なんている? 勝ちは揺るがないにしろ、策は必ず打ってくる。なんせ鬼方がいるんだから」
    「だったら……信仰なんてものはいくらでも改変できます。レイサを奪ってから考えれば後手を打てばいいだけで――」
    「あんた自分で言ってたよね。シスターフッドの信仰になんの意味もないって。つぎはぎと形骸と改ざんの歴史を仰いで、そこに神はもはやいないと。神はいない。あんたはそう言ったんだよ」
     ことん。床に置かれたシェーカーをぼんやりと眺めながら幼馴染が言う。
     便利屋。便利屋68。
     金さえ払えば何でもする。相手がS.C.H.A.L.Eだろうと、連邦生徒会だろうと、アビドス大砂漠の化け物だろうと、ミレニアム地下の大蛇だろうと、それは変わらない。依頼は必ずこなす。こなせてしまう。だが、やつらに金を払って首輪をつけられたと喜ぶのは三流以下。やつらは、自分のテリトリーを守るために金を稼いでいるに過ぎない。
     本質を見誤ったつもりはない。私たちが自治区を作ろうと画策することで、彼女たちのテリトリーを犯.すことはなかった。
     作るだけなら。
     自然の流れに任せ、”そうあるように”世界が動くのならば、彼女たちは何もしなかっただろう。

  • 731825/01/16(木) 16:23:56

     そこに少し手を加えようと驕った人間が現れたから動いた。結果を待ちきれず、圧搾しようとしたから、便利屋は動こうとしている。
    「神輿を担ぐのは簡単。でも、そこにおわす神さまは私たちに慈悲をくれるかな? 血に染まった手を合わせ欲望に眩んだ目で仰ぎ見る人に、慈悲を? 私なら神輿を下りて町の片隅で物乞いをする貧者にパンを与えるね。宇沢ちゃんの本質は自分本位の正義。そして、その正義を向けるのは、もはや私たちではない。私たちの貧者の仮面は剥がされたと見て良い」
    「神、ですか」
     懐かしい。もはや、懐かしい。
    「神など、首を捕まえてこちらを向かせればいいだけです。鎖で繋いで神輿から離れられないようにすればいい。所詮神など人が飼う畜生にすぎません。犬や猫と同じ。隷属させて思うまま動くよう、自我と誇りを奪い、調教すればいいんです」
    「……あんたさあ」
     認めない。認められるはずがない。
     失敗したと。負け戦に踏み込んでしまったなどと。
     歯ぎしりをして私をにらみつける幼馴染の気持ちは痛いほどわかる。私だって、こんなことを口に出したくない。
     でも、出さねばならない。組織の方向性は、私の一挙手一投足で決まるのだから。上に立つ者が曖昧な態度を取れば、末端は動かない。強く、こちらが正義であると信仰させなければ、今まで積み上げて来たものは脆く、崩れていく。
     崩れたら最後だ。私の――私の舞台は終わる。幕引きとなる。
     はあ、と幼馴染は大きくため息を吐いて、 床に置いたシェーカーをつま先でちょん、と蹴った。
    「諦めよう、アケミ」
     カランと倒れ、転がる。
    「先生と宇沢ちゃんを敵対させるだなんて……。そんなの、失敗するに決まってるじゃん」
     かすれた声で彼女が呟いた。子供のころからころころとよく笑い、明るく、頭が回る。だからこそ渉外に当たって、私よりもよほどうまく物事を取りまとめてくれる。そんな彼女が見せる、寂し気な顔。
     私は――私は、この心のざわめきを知っている。感じたことがある。

  • 741825/01/16(木) 16:25:45

    「時間はかかったかもしれない。先生はまだ40代だし、そもそも代替わりだって本当にあるのかわからない。今の先生でS.C.H.A.L.Eが解体される可能性だってある。職員の一人である宇沢の発言権じゃ、真っ黒な私らに自治区を持たせるなんてことはできないし。だから今のうちに力で奪い取ろうってのはわかるけどさ……。わかるだけだよ、アケミ。あくまで理屈ではの話」
     淡々と私の夢を書いた画用紙に添削を入れていく幼馴染に悪意はない。私のことを。そして組織の、私と同じぐらいスケバンたちのことを第一に考えている私の友人の言葉は、放射線のように私の体に穴を空け、通り過ぎていく。
    「あのね、アケミ。待って、待って、待って、待って。いっぱい裏工作仕掛けて、買収して、もっともっと時間を掛ければ宇沢ちゃんを押し上げることができた。S.C.H.A.L.E存続に必要な名声だっていくらでも作ってあげられた。シュガラの子たちみたいにあんたは消失しない。だから、いくらでも時間をかけることが出来たのに……」
     放射線は銃弾になり、大砲になる。
     私は。
     なぜ?
     私は、このために生きて来た。
     キヴォトスと闘うために。
     勝つために。
     力でねじ伏せるために。
     闘争。
     ミレニアム郊外の放棄された都市を買い上げたのはもう何年も前の話。無駄にハイテクノロジーで金食い虫だった土地の利権を手に入れ、それでもそこはやはりミレニアムの自治区内。行う事業のすべてはミレニアムに報告義務があり、監査だって入る権利を持っている。年に一度、まとまった金額の上納だって必要だ。ミレニアムへの隷属によって、権利は成り立つ。自分たちの土地といえど、とてもではないが学園を作るなど不可能。
     自治区を作る。それは、このキヴォトスにおいて不可能とも言えるべき所業。ゆえに、成功させればそれは、世界に勝ったことに他ならない。そのためには莫大な資金で土地を準備し、莫大な影響力を持って協力者を得て、寡頭制の連邦生徒会の首を縦に振らせて上意下達にミレニアムから独立させる。そこが勝利。物的に、精神的に、すべてのものを意のままにして初めて成し遂げられること。
     力でねじ伏せるためには力が必要。
     肉厚な大きな手。自分の手のひらを見つめる。
     この力は――私のこの恵まれた力は、もう、消えようとしている。

  • 751825/01/16(木) 16:27:21

    「私の力が消える日も、そう遠くありませんわ」
    「……それは組織として? それともあんた個人の、そのバカげたマッスルパワー?」
    「バカげたって」
     ふっと笑いが出た。こんなこと、他の奴らに言われたら叩き潰してる。
     この子は分かっている。わたしのトレーニングをずっと間近で見て来たのだから。日々落ちる鉄の重さを見て何も言わずとも、何も思っていないわけではないはずだ。
     私は、この部屋だから。一緒にいるのが幼馴染だから。
     言った。
    「私が一キヴォトス人だったら、きっと組織はここまで大きくならなかった。……違う?」
    「……まあ」
    「私に力があるから、なんとなくで慕ってくれる子も、従う企業もあった。なんとなくがつながって、大きくなって、今がある。そうして張り巡らせた糸は……私の力が無くなるとともに消えるでしょう。根っこの浮いた細木に寄りかかるバカはいません。どっしりと根を張り豊かに葉をたくわえる巨木に、人は宿するものでしょう」
     何かを言いたそうに口を開きかけた幼馴染に手のひらを向け、口を閉じさせる。
     わかってる。
     こういうとき人は「そんなことはない」と言って人を慰めることを。
     今わたしに必要なのは慰めではなくて。この道を最後まで、どこを最後にして走ればいいのか。それを決めること。
     私も、34になった。
     大人だと思っていた先生の、あの年を超えて久しい。
     人生を振り返るにはまだ早いとも言えなくなってきた。
    「キヴォトスに自治区を一つ新設する。私はこの所業を舞台だと思っています。場末の小さい劇場に立つ女優では成し遂げられないことをしなくちゃいけない。100万人の観客を総立ちさせるような、歴史に残る舞台を演じなければならない。そのためには全盛期の年齢で、神がかったの演技を、完璧な脚本と演出で演じなければなりませんのよ。脚本と演出はあなたたちが仕上げてくれた。けれど年齢は、演技は――私は? ……お姫様が主役の脚本を、老婆が演じたところで。はっ。指を差されて笑われるだけですわ。100万人が入る舞台に観客はおらず、歴史には残らない。なにも。なにも、成し遂げられず、野心をくわえたみずぼらしい老婆は、スポットライトと万雷の喝采を浴びる夢を見ながら一人死んでいく。そんなのはあまりに惨めだと思わなくて?」

  • 761825/01/16(木) 16:28:05

    「こんの……バカ!!」
     パン、と私の頬が張られた。
     痛みを感じないし、なんなら張った本人が手首を押さえて「あーもう! いてぇ! クソ! お前もうちょっと柔らかくなれよ!」と地団太を踏んでいる。
    「だったら100万人のサクラ用意してやるっつーの!! そこまでが脚本! そこまでが演出家!! スケバンなめんなよアケミ! てめーだけがスケバンやってっと思うんじゃねえ!」

  • 77二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 22:35:26

    保守

  • 781825/01/16(木) 22:38:28

    ブルーアーカイブしたい……
    これじゃあブラックアーカイブだよぉ……

  • 79二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 08:56:05

    みんな抱えてるものがあるな

  • 80二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 19:10:31

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 02:36:02

    たった一人のスケバンにだって、譲れないものはある

  • 82二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 12:12:36

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 16:32:03

    このレスは削除されています

  • 841825/01/18(土) 16:35:23

     幼馴染に頬を張られる。長い付き合いで一度もなかった事に、私の心は……心は。
     ……。
     ……。
     ……――。
     変わらなかった。何も。
     もうそんな、感情論や青い慟哭で心が動くほど私の心は瑞々しくはないのだ。そんなものですべてを手放すわけにはいかないのだ。長かった。金をかけた。人を動かしてきた。長い時を捨てるなどということは、私にはできない!
     手首を抑えて息を荒げ、未だ青の渦中に立っている幼馴染に私は言う。
    「幹部連中を集めなさい」
    「へへっ……。なあに、また悪巧みならいくらでも付き合ってやるから……」
     なにかしらが。自分の慟哭が私の心に届いたのだと一瞬錯覚したような笑顔を見せた幼馴染の顔が固まる。
     私の顔を見て。何一つ、思いとどまろうとしない顔をする私の顔を見て。
    「カイザーのPMC担当とヘルメット団に連絡を。計画は継続されています。アビドスの軍事基地跡に人を集めなさい。それから加入して2年以下のスケバンには『レイサたちの居所を確定させろ』と通達して。どうせもう、あの山小屋にはいませんわ」
    「アケミ……おまえ……!!」
    「私は『為せ』と申しました」
    「……」
     大きく息を吸って。乱れた心を調えるやり方は、昔から変わらない。自分の中に乱流するいろいろに蓋をして、飲み込んで。

  • 851825/01/18(土) 16:35:46

    「いいんだな?」
     そうやって。なんだかんだ、私といっしょにいてくれた。
    「勝てば良いだけです。スケバンに二言はありません」
    「……バカ野郎が」
     スマホを取り出し、トレーニングルームの外に出ていく幼馴染の背中を見つめていた。
     バカ野郎ですか。
     ……。
     バカにしか為せないことだってあるのです。バカにならねばならねばならないときだってあるのです。
     34になった。
     人生を振り返るにはまだ早い、とは言えない年に。
     ワークベンチに寝転がり、頭上の鉄の棒をぼんやりと見る。トレーニングはいい。やれば結果が出る。
     スケバンのスケバンによるスケバンのための自治区を作る。そのためにわたしはやってきた。
     やってきたのだ。
     結果の出ない過程に意味はない。結果が出ないということは、私の努力が結果を出すまでに及ばなかったということ。そんなはずはない。そんなことはない。私は正しく、やれるべきことをやってきたはずだ。
     自治区を作るために。世界に蔑ろにされたスケバンたちを。私を救うために。
    「杏山カズサがいなくなったから」
     わかっているのだろうか。
     いや、わかるはずがない。
     主観的な事物を客観視できるほど、杏山カズサは成熟していない。あのぐらいの年齢はみなそうなのだ。私もそうだった。誰しもが通る道で、いつしか、それができるようになっていく。
     自分がいなくなったことで。この世界のたった一人がぽんといなくなった、それだけのことで。一体どれほどの嵐が巻き起こったのか。
     蝶の羽ばたきは遠い地で嵐を起こし。
     羽を休める蝶は夢を見る。
     ドアの向こうの荒々しい電話の声を聞きながら、私は静かに、目を閉じた。
     自分が蝶でないことを理解したうえで。

  • 86二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 00:18:07

    まあ言ったらアレだけど、ドロップアウトした子供達を保護する学校とかは本来あって然るべきだと思う
    学校が国で生徒が国民のような扱いになっているキヴォトスなら尚更

  • 871825/01/19(日) 07:53:28

    そうよねえ
    それやらんからアリウス分校トリニティ追放からのベアトリーチェルートだし……
    そういう人がキヴォトス外に出ないのは、退学したら出れない説を推していく所存

  • 88二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 18:41:08

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 23:40:07

    カズサが居るままだったらシャーレと繋がりなかったんだもんな

  • 90二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 02:06:24

    生徒1人の失踪、それがここまで大ごとになるとは思いもしなかっただろう

  • 91二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 11:02:39

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 21:37:13

    ここまで付き合ってあげてるアケミの幼馴染ちゃんも、優しいなぁ……

  • 93二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 05:54:00

    若い頃って良くも悪くも猪突猛進で、考えなしで動けちゃうからね……それが若気の至りであり、若さでもある

  • 94二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 17:01:34

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:36:21

  • 96二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 06:14:17

    体の衰えと目に見える変化があるなら、精神的にもツラいね……

  • 97二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 16:15:57

  • 98二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 23:12:58

  • 99二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 06:58:47

  • 100二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 15:28:44

  • 101二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 22:08:23

    じゅ

  • 102匿名R25/01/24(金) 01:48:59

    ぎょ

  • 103二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 06:50:56

  • 104二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 16:02:21

  • 105二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 23:14:55

  • 106二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 10:46:57

  • 107二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 20:23:05

  • 108二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 07:45:59

  • 109二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:41:55

  • 110二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 01:27:19

  • 111二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 13:18:44

  • 112二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 22:29:04

  • 113二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 09:58:19

  • 114二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 09:58:36

  • 1151825/01/28(火) 16:22:59



     百家争鳴。
     侃侃諤諤。
     丁々発止。
     どんがらがっしゃん。
     つまりは、うるさい。
    「床抜けないかなー」
     ずるずるとコーヒーを啜りながらムツキが上を見る。音がするたびに家が揺れ、振動する天井を。廃キャンプ場だから人がいなくて助かった。街中の建物でこれだけ大騒ぎしていたら、いくらキヴォトスとはいえど、百鬼夜行の治安維持部が――百花繚乱がドアを叩くに違いない。
    「そんなやわな建物じゃないよ。いくらしたと思ってんの」
     カヨコはぷう、と煙を吐き出した。煙たい中に濃いバニラの匂い。20の誕生日から、彼女はずっと同じ銘柄を吸っている。探せばいろんな種類があるだろうに、凝り性のカヨコらしいと言うか……。
     そして灰皿は常に新しい。ポケットに3つも4つも灰皿を入れて、ジャケットのポケットをぷっくりさせたハルカが、今か今かと交換のタイミングを伺っていた。
    「……ハルカ。申し訳ないのだけどこれに氷と水足してちょうだい」
     私はそわそわしているハルカにグラスを突き出す。
    「え、あ、申し訳ありません。濃く淹れすぎましたか?」
    「口の中が甘ったるくてベッタベタなのよ。死ぬほどさっぱりしたものを口にしたいの」
    「わ、わかりました」
     ぱたぱたとスリッパを鳴らしてキッチンに向かうハルカの揺れる髪を見送り、どすんばたんと揺れる天井を仰ぎ見る。
     ひたすら甘かった。認識も甘かった。
     わたあめ、ベビーカステラ、りんご飴。チョコバナナ、チーズハットグ、あんず飴に薄皮たい焼き。それから出店していた百鬼夜行の有名店のお汁粉、あんみつ、まんじゅうに最中。それ以外にもたくさん。締めにはパフェと抹茶ラテ。SUGAR RUSH。その元になった部活は『放課後スイーツ部』というらしい。あの子たちは、とくに10日もしないうちにと言われている3人も、わざわざ消えなくとも……。遠からず糖尿病かなにかで死んでいたのではなかろうか。とにかく、今日一日、いや、数時間で数年分の糖分を摂取した気がする。吐く息が甘い。ずっと鼻の奥が甘い。舌が甘い。甘かった。あの子たちは化けものだ。

  • 1161825/01/28(火) 16:24:46

     さんざっぱらお祭りではしゃいで帰って来て、お腹がてんてんのままお風呂に入り、さて一服でもとコーヒーを準備した。そしたら杏山カズサは「ちょっと時間ください。こいつらと話があるんで」とSUGAR RUSH3人の首根っこを掴み、宇沢レイサを担ぎ上げて二階に上がっていった。そこから数分経ってから、二階はずっと、猛獣か何かを放したんじゃないかというぐらい騒がしい。
    ――だから先生が言った通り! 言った通りですぅ! すみませんすみません! 
    ――あんたたちの口からもう一回説明しろォ! 今までどんな気持ちで過ごして来たと思ってんのさ!
    ――だってぇ! びっくりさせちゃうと思ったからぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ~!
    ――カズサすとっぷすとっぷ! アイリの口からなんか出てる、出ちゃってる! ナツ、あんたも止めるの手伝いなさい!
    ――こうなったキャスパリーグはアケミでも連れてこないと止めらんぶはっ!!
    ――次そう呼んだら殴るからな!
    ――ナツさぁん! 杏山カズサ、いったん落ち着きましょう! 不安にさせてたことは土下座でもなんでもして謝りますから! お話しする時間がなかったんですよ!!
     ……。
     防音加工などしていない建屋に響き渡る声。どすんばたん。どんがらがっしゃん。
     それなりに頑丈な家だ。売りに出されていた築年数の浅いログハウスに補強工事まで入れている。映画に憧れて、浴槽の下から外に繋がるトンネルだって増設した。そう簡単には壊れない、はずだ。
     さすがに銃声が聞こえたらハルカを突入させよう。
     カヨコがくわえ煙草のまま立ち上がりCDプレイヤーの電源を入れる。少し古い激しめのグランジ・ロックが流れ始め、上の声はほとんど聞こえなくなった。
    「喧嘩するほどなんとやら、かな。……あ、これこっちに置いてあったんだっけ。懐かしいな」
     ちょうどキッチンから戻って来たハルカを、カヨコが手招きする。CDを見せると、あのハルカが子供のような笑顔を浮かべて、カヨコと肩を並べる。
     頬杖をついたままにこにこして人の背中を眺めていたムツキは、こちらにくるりと向き直り「そういえば私たちって喧嘩したことないね」と言って、ニタァと唇を吊り上げた。

  • 1171825/01/28(火) 16:26:09

    「してみる? 喧嘩」
    「なんでよ……。この癖の強い社員たちをまとめられる私の手腕を、素直に褒めなさい」
    「だよねぇ。喧嘩するのもばかばかしいもん」
    「どういう意味よ! ――けぷっ」
     声を大きくするのに腹に力が入ると、なにか甘い汁が胃から上がってくる。慌てて飲み込んだ。
     いくらスイーツ部と言って舌がぶっ壊れているとしても、胃の容量はそんなに変わらないはず。こんな状態でぐらぐら揺らされたら、そりゃ甘いミックス汁がこぼれても仕方ない、とコーヒーを飲もうとした。
     ……そうだ、ハルカにカップごと渡したんだった。
    「ハルカぁー。コーヒーちょうだいな」
    「あ、すみません」
     がぶりと一口。インスタント・コーヒーじゃない、濃く煮だされた自然な酸味が舌に広がり、残る。いつもはもっと切れの良い味を好むけれど、今はこのまったりと残る苦みが生命線だ。
     それにしても。
     ……。
    「普通、消えてしまうってわかっていたら、伝えるわよね」
     私のつぶやきに、ムツキは「私は言い出さない方もおバカさんだと思うけど。ね? ハルカちゃん」と、なぜかハルカに話を流した。
    「言い出せない気持ちもわからないでもないよ。そもそも、非現実的だしさ」
     棚にCDを戻し、カヨコは灰を灰皿に落としに戻ってくる。
    「私ら世代から――いや、キヴォトスの歴史では初めてなんじゃない?」
     そのまま、ぷうとひと吸いして灰皿に煙草を押し付けた。
     すぐにハルカが手を伸ばし、新しい灰皿に換えられる。
    「『学生のまま年を重ねる』なんて? しかも1年や2年じゃない。私たちだって、辞めるか卒業するかの二択しか考えてなかったわけだし。くふ。低学歴の私たちは、ここクビになったら生きていけないなぁ~。そしたらハルカちゃん、一緒に死んでくれる?」
    「あ、はい。よろこんで……。臓物ぶちまけて派手に死にましょう」
    「いまさらクビにするわけないでしょ……。ああそうだ、カヨコ。アケミたちの裏は取れた?」
    「取れたよ」
     ぽちぽちとスマホをいじってテーブルを滑らせる。
     受け止めたスマホの画面には、表ファイルにびっしりと文字や数字が書きこまれていた。

  • 1181825/01/28(火) 16:27:47

    「それはミレニアムの廃都市……『エリドゥ』の区域を買い上げた企業の名前。前に見せたやつの、完全版だと思ってくれていい。フロント企業はできるだけ網羅したつもり」
    「どれどれ~?」
     ずいと体を乗り出して画面を見ようとするムツキを、体を傾げて迎える。線の太い銀髪。私と違って、重さで髪がまっすぐになるのは、正直羨ましい。
     そして、画面が見えない。
    「ムツキ、ちょっと見えない」
    「なるほどなるほど。うわ、すっごいお金もちだねー」
     聞きなさいよ。
     まあ、前に見た資料なら、目を皿のようにしてまで見る必要はないのだが。
    「そりゃキヴォトス中にアルコール密売網持ってて、他に違法賭場にサロン……それから警備会社と用心棒業。港湾関連も9割抑えてるし。不動産にも手を出したって言ってるけど、持ってる土地は局所的で限定的。空港周辺とエリドゥだけ。やる気ないのが一目でわかる。スケバンも年々減少傾向だし、新事業に力を入れる意味もないしね」
    「弱体化したカイザーコーポレーションの一部事業を奪ったって感じなのに、よく手を組めてるなぁ。最近は空港も手出してなかったっけ?」
    「周辺は押さえてるけど、本丸は無理そうってのが正直なところ。あそこは連邦生徒会の天下り先として利権でガッチガチに固めてるから」
    「あー、だよねぇ。さすがに手が出ないかぁ」
    「だからこそのレイサだね。あそこまでズブズブの人間がシャーレの顧問になったら、……傀儡にできるし。レイサはSUGAR RUSHを通して恩を売られてるから、断れるはずがない。新任早々いろいろ暴露されて不祥事になるの避けるのは当たり前だからね。そしたらたぶん、物流は全部アケミの手中に落ちる。そこから生まれる利益は……ちょっと想像つかない。とりあえず、キヴォトスの王になるんじゃない」
    「根を張られてるのを剥がすのは難しいなあ~……」
     ムツキはそのまま、私の足に頭を落とした。
     そのまま起き上がってこないようにムツキの頭に手を添える。撫でられていると勘違いして、ぐりぐりと手のひらに頭を押し付けて来る。

  • 1191825/01/28(火) 16:29:20

     見えるようになった画面。知ってる企業、知らない企業。仕事を依頼されたことのある企業すらある。こうしてみると、いかに手広くやっているかが見えてくるというものだ。学生を辞め、キヴォトスで生きる術を持たないはぐれ者たちを吸収していったアケミの組織には人材に事欠かない。商売の仕方を教え、好きに稼がせ、月に一度、いくらかの金を上納させる。
     わかりやすい構造だ。
    「さて……。どう動く?」
    「そうねえ……」
     街の隙間、人の間で動く私たちには想像もつかない大きな組織と成ったスケバンたち。これだけ大きくなれば派閥の分裂が起きそうなものだけれど、綻びが見えない現状でわかるのは、アケミのカリスマの影響が強すぎるということ。特殊だ。便利屋の3人が私に向けてくれる好意を、あの巨大さで維持できているのがおかしい。末端に至るまで、全員がアケミを崇拝し、敬愛し、寄す処としている。そう。あそこは組織でありつつ、アケミを頭として、みなが細胞であり、筋肉であり、骨なのだ。
     私が憧れた孤立したアウトローとは違う、けれど同じアウトロー。
     シンパシーは感じれど……。
    「ハルカ。あなたはどうしたい?」
    「うええぇっ。わ、わたしですか」
    「シャーレか、スケバンか」
    「あ……あぅ」
     眉を下げてあちこちに目線を彷徨わせるハルカを見ながらコーヒーを飲む。
     ここまでしといて、というのもなんだが、私たちがSUGAR RUSHとレイサに味方する理由はない。カヨコは個人的な付き合いがあったとはいえ、私たちとしては彼女たちにしがらみもなにもないのだから。
     一度は邪魔させてもらった。あの段階での、どちらの決定打も潰させてもらった。あの子はジョーカーになった。なってしまった。今、現状において、レイサを手元に置いた方が意見を通すことができる。先生がどこまで気付いているかはわからずとも、シャーレだ。連邦捜査部――自治区の垣根を超えて情報を集めるのが専門なのだから、私たちよりもずっと前から、アケミが何を企んでいたのか……知っていたと見た方がいい。だからこそ、あの時、あのタイミングで直接動いたのだ。
     私たちの身の振り方は0か1。シャーレに付けばアケミとの対立は避けられず、スケバンの夢に付けばシャーレを。先生を、追い落とす必要がある。
     どちらかにレイサを預ける。それで決着は付く。

  • 1201825/01/28(火) 16:30:31

    「第3の選択肢もあるよ、ハルカ」
     カヨコがくきくきと首の骨を鳴らしながら言った。
    「どちらにも付かないで、このままトンズラさせてもらうっていうね。まあ、それは――」
    「えー? カヨコっち、それマジで言ってる?」
     私の足に頭を乗せたままムツキが言った。
     顔を見ないでもわかる。きっと、目をぎらぎらさせて、おもちゃを取られそうな猛犬みたいな顔をしていることだろう。
    「こんな面白そうなことに関わらないなんてヤダ」
    「あくまで選択肢の話。アケミと敵対したときのリスク半端じゃないから、一応ね。私たちの今後にも関わるし」
    「いいじゃんいいじゃん。それぐらいヒリついた方が楽しいし!」
     ぐいと体を起こして、ムツキは輝かんばかり、な顔で言った。我ながら危険思考の幼馴染を持ったものだ。
     アケミと敵対した場合。仕事の領域は被ってはいないけれど、あの組織力に目を付けられると、厄介としか言いようがない。私たちの仕事の邪魔をされて、木っ端なら振り払うことが出来るとはいえ、次から次へと数の暴力で押し切られてはどうしようもない。私たちは少数だ。4人しかいない。100人や200人が波のように寄せ返されては歯が立たない。
     そして、シャーレと敵対した場合。
     アケミのことだからキヴォトス中と全面戦争になるようなことにはしていないはずだ。あちらこちらに根を張っているに違いない。だから、表向きはすんなりと首を挿げ替えることができるのだろう。だが……だけど。それは、私たちの恩師に背を向けるということ。依頼人にまで牙を剥く、我を通してやってきた私たちの背中を預けた人を、二度と振り返らないことに他ならない。
     確かにそれはアウトローの極地ではあるのだけど。
     でも。だからこそ、我を通すのが筋というもので。
     ハルカに聞いたのは、きっと同じ意見を持ってくれているから。狡い上司だ。自分の決定を、部下に代弁させようとしている。
    「……あの」
     ハルカが口を開いた。
    「そもそも、SUGAR RUSHの皆さんはどちらかに付こうとしているのですか……?」
    「――第4の選択肢だね」
    「は、はい」
     おずおずと私の顔色をうかがうハルカに、先を促した。

  • 1211825/01/28(火) 16:31:07

    「『シャーレかスケバン』か。『放置』するか。どちらも、至極当たり前のことでは……あると思います。わ、私は先のことを考えるのは苦手ですので、どの選択肢を取ればどういう結果になるのかわからないのですが……。ここは『SUGAR RUSH』に付く、という形でもいいのではないでしょうか……?」
    「うま味がないわね。どちらかに付けば、しばらくは豪遊できるぐらいのお金が確実に手に入るってことを考えたら?」
     私はハルカに言う。
     レイサをアケミに引き渡しても、シャーレに引き渡しても。私たちはそのどちらにも金を請求できる。そういう会社として、学生時代に、便利屋の方針を決めた。不確定要素。決して一から十まで信頼できない会社として。誰の味方にもつかず、だからこそ。
     このやり方はかつての風紀委員を見て学んだのだ。上意下達の軍隊のような扱いをされるのだけは、私はイヤだった。でも、確実さは欲しかった。あくまで道具として。使い方を熟知しなければ使用者が怪我をするように。その分、うまく使えば、確実な効率と成果を渡す。ヒナと風紀委員のいいとこどり。頭を悩まされた敵はつまり、それだけ完成されていたということなのだから。
     しかし、こんなわかり切った質問は。こんな程度の低い話は、ハルカはものともせず、言い返してくる。
     わかってる。そう。わかっている。
     私の中で答えは、もう出されている。
    「アルはそんなやり方を好みませんし」
     よどみない答えだった。
     自分の意見ではなく、あくまで私の考えを推察して、間違いない答えを出してくる。
     そう。私は、気に食わない。仕事で大変世話になったスケバン組織に付くことも、恩師である先生に付くことすらも。
     これは彼女たちの舞台だ。
     彼女たちのステージなのだ。
     あんたがたはどっちの味方につく? と聞くことはナンセンス。まったくナンセンス。選択は彼女たちが行うべきであり、その選択を行うための道具になるのが、便利屋68でありたい。
     もしこんな事態にありながら、他人に意見を求めるような愚か者であるのなら。彼女たちはそもそも、今、この場には居られなかったはず。これは彼女たちの舞台。役者として壇上の人であるからこそ、今、ここにいる。

  • 1221825/01/28(火) 16:32:19

    「ま、幸いそれなりに蓄えもあるしね。私は賛成」
    「くふふ。私もさんせー☆ なんだかんだ言ってカヨコちゃんも暴れたいんじゃーん」
    「もう無理だよ……。動きすぎると筋肉痛とは別のけだるさが出るんだから」
    「さすがアラフォ――」
    「まだアラサー」
    「お、おうぅ……。おっけーおっけー。とりあえず銃下ろそっかカヨコちゃん」
     ため息を点きながらホルダーに銃を戻し、煙草の箱を手に取るカヨコは、ちらりと私を見て言った。
    「どうする? 社長。うちら3人の意見は決定したけど」
     決定してしまったのなら、私はもう、そうするしかない。私一人の便利屋ではない。私一人が決めたところで、彼女たちが動かないなら、なにもできない。
     私は一度大きく深呼吸して、裁定した。
    「これから便利屋68は宇沢レイサとSUGAR RUSHの道具として動くわ。右と言えば右、左と言えば左。まだ眠いというのなら、三千世界のカラスを殺しましょう。ただし、もしあの子たちが、行方を他人に委ねたら、その時は……あの子たちのこれからと、これまでを、すべて捨てさせる。私たちはレイサを先生に渡し、シャーレ側で行動を開始する。いいわね?」
     異議なし。3人の声が重なった。
     これは私たちが道具として動く条件。そうならないであろうことはわかっていても、便利屋の根幹として、言葉にしなければいけないことだ。万が一私が指示を出せなくなっても、便利屋が便利屋として動くための方針を決めておく。
     私が指示を出せなくなっても。
     ――私が、いなくなっても。
     声は聞こえなくなっても、未だどすんばたんとログハウスを揺らす上階の、件の子らを床の下から仰ぎ見た。
    「こんなことになるのね」
     シャリっと、カヨコが安物のライターのフリントを擦った音がして、ふわりと、濃いバニラの重たい煙の臭いが部屋に満ちた。煙草は最初の一口が美味しいんだ、とカヨコは良く言う。でも、その言葉を聞くたび、私は笑いそうになってしまう。
     初めて煙草を吹かしたとき、その最初の一口で顔を真っ赤にするぐらいむせてたカヨコを思い出してしまうから。
    「神秘の膨張だっけ? よくわかんないし理解するつもりもないや」
     ぷう、と煙を吐き出してカヨコが言う。

  • 1231825/01/28(火) 16:32:39

    「レイサもカズサも消えない。前を持たないカズサはともかく、レイサはいろいろなものを抱えたまま、後を生きなきゃならない。前だけ抱えていなくなるSUGAR RUSHとは、意見が割れるかもね」
    「そういう打算的なこと、考える余裕あるのかなー」
    「腐ってもシャーレだから。あの子はあの子で頭が回るよ。アケミと手を組んだのが失敗とは、私は思わないし」
    「人探しや扇動ならうってつけですしね……」
    「そういうこと」
     氷が溶け始めたグラスに口を付ける。溶けた分、表層は苦みが薄れ、さっぱりしていた。
     人がいなくなる。予兆なしに。そんな世界の理不尽を受けなければならないキヴォトスに、私とカヨコは戻って来た。最初のひと吸いのような断片的な映像は頭にある。けれど、きちんとした記憶はない。繋がる前後の、あるはずの記憶は思い出せない。初めからないかのように振る舞う奇妙な映像。まるで、むりやりその部分に差し込まれた、ショートムービーみたいに。あの不思議な卒業のプロセスは、カヨコの言う通り、よくわからないし、理解しなくてもいいことなんだろう。
     誰が為の世界か。
     噂程度を信じるほど、私たちは木っ端ではない。
     これを解き明かそうとするミレニアムの、あのアンドロイドの子は、元気にしているだろうか。カヨコはエリドゥの情報を取るのに会って来たはずだから、あとで聞いてみよう。
    「もし、私が同じ状況になったら」
     カヨコが言った。
     珍しく笑顔で。
    「全員道連れだから。その時はよろしく」
     テーブルに頬杖をついたムツキは、煙草をくわえたカヨコの顔をにこにこと笑いながら見て、言った。
    「いいよー」と。
     私も、異議なし。

  • 1241825/01/28(火) 16:33:16

    1週間以上も音沙汰なくて失礼しました……
    保守、ありがとうございます

  • 125二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 23:49:16

    心強い味方ができたね

  • 126二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 02:56:02

    便利屋の決断
    なんとも頼りになるけれど、折れるのは許されないのと同義

  • 127二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 12:05:37

    >>124

    楽しみにしてました!

  • 1281825/01/29(水) 16:12:23

    うえっ……
    スレの保守時間短くなってりゅ?
    すみませぬすみませぬ

  • 129二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 23:59:22

    便利屋かっこいい

  • 130二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 06:43:45

    まあスケバンや不良も良い奴はいるから悩ましいところ

  • 131二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 14:58:21

    アケミと手を組んだのも、短期的に見れば間違いじゃないんだスケバンの数の力は偉大だし……それはそれとして相手側もこちらを利用する算段だっただけで

  • 132二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:40:23

    カヨコが「道連れだから」って笑うの、なんか魅力あって美しい

  • 133二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 05:47:20

    最初のシュガーラッシュらの喧嘩シーン、想像するとわちゃわちゃしててちょっと面白いな

  • 134二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 13:57:36

    大人組は反論の余地ないからなぁ

  • 135二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 22:07:55

    便利屋の子ら、ただ利用されるだけじゃなくて自ら動いてるの良いよね

  • 136二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 06:32:17

    >>132

    返事が「いいよー」って軽いのも、彼女ららしさがあって好き

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 15:17:39

    保守

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 23:22:32

    放課後スイーツ部、バンド名に恥じぬSUGAR RUSHっぷりなの笑う

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 06:06:48

    そういや神秘云々置いといても、アリスはどっちみち生き続けるのか……

  • 140二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 14:57:15

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 23:47:20

    >>132

    同じく

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 05:15:19

    便利屋の子たちは意見が一致した
    使い方さえ間違えなければ、現状を穿つ一丁の銃となってくれるだろう

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 13:23:31

    良いスレだ

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 22:03:35

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 07:16:58

    補習

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 15:56:15

    授業

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 16:28:53

    アル、ポリシーを持ってて格好いいと思った

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 00:00:30

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 08:13:47

    保守

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