- 1二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 20:51:11
- 2二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 20:51:32
時は止まることなく流れ去り、季節は延々と巡り行く。そこもまた、例外に漏れることはなく。春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎて。クリスマスと大晦日を越して、ブルーロックにもまた、新しい年が訪れた。
- 3二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 20:58:55
- 4二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 21:01:38
- 5二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 21:38:27
「やあ蜂楽くん、潔くん。久しぶりだね。」
そう言ってかつてのように爽やかな笑顔で蜂楽と潔の前に現れたのは吉良涼介であった。
「吉良くん…」
貼り付けられたような笑みに潔はばつの悪そうな顔をした。 - 6二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 21:42:00
ところがどっこいシリアスな空気感とは裏腹に与えられた試練は【新春一発芸対決】なのであった。
ブルーロックスと彼らに蹴落とされたライバル達は、恥を捨てて全身全霊で笑いを取らねばならない。 - 7二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:26:02
- 8二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:32:27
100字超えてるな
- 9二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:36:57
>>3スルーでワロタ
こういうのって先に出てるのに繋げるんじゃないの?
- 10二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:41:05
- 11125/01/03(金) 02:49:00
- 12二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 03:05:41
先行はブルーロックスだ。誰が行くかをじゃんけんで決める。「さいしょはぐー、じゃんけんぽん!」勝ったのは「お、俺?」潔世一だった。「因縁の対決ってことで俺が相手になるよ。」吉良くんが前へ進み出る。
- 13二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 09:14:26
3と4のレスも乙夜が毎日みかん配り係に任命されてみかん配り歩いてたと解釈すれば「そんな日常が続く中、」に繋げられると思う
- 14二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 09:30:09
「えー、じゃ一番手行きまーす…」
潔は渋々宣言した後、連日のように乙夜から貰っていた為大量に余っていた蜜柑を取り出し我関せずとスマホを弄っていた凪の頭に乗せた
「鏡餅ー、なんつって」 - 15二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 13:11:15
- 16二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 14:18:23
折角書いてくれたから混ぜたいなって
- 17二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:34:33
毎日みかん配り歩く乙夜おもろすぎる
- 18二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:44:04
潔が半笑いで言うと、凪は一瞬だけスマホから目を離し、頭の上に乗せられた蜜柑を感じた。バランス良く乗ったその果物に、凪の表情は微妙なものになったが、すぐに無表情に戻り、再びスマホに視線を落とした。
- 19二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:00:15
蜜柑──そう、ただの蜜柑の筈だった。
その物体に世界の運命が委ねられるなど思いもしない…いや、できない。
橙色の運命を頭に乗せた凪のスマホに小さな亀裂が入った。 - 20二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:09:07
バタフライエフェクト。日常の些細な出来事が、誰も想像しない大事件を引き起こす。潔が凪の頭に蜜柑を乗せたことで、まさかあんなことが起こるなんて、誰にも分からなかったのだ。
「……え、ヒビ?」 - 21二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:42:54
そんな凪のなんてことない二重の呟きの内、一つは知らない誰かのいいねが押されていた。だが片方は、周囲の喧騒に呑まれて気付かれないままに放置されて…果たして。
「はーい!二番手~蜂楽廻いっきまーす!」 - 22二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 02:00:52
「いや蜂楽じゃないだろ!僕だよ僕!吉良涼介の番!…ゴホン」
飛び出した蜂楽にツッコミして大きく咳払いをした。
「潔くん、無難な笑いを選んだ君はここでは落ちこぼれだ。身体を張る事こそ最重要なんだよ。」 - 23二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 06:41:55
潔はムッと眉間に皺を寄せた。
即興で笑いを求められても咄嗟に出来る事なんか限られている。
「なら吉良君は何をするんだ?」
その言葉を待っていたと言わんばかりに彼は口角を上げた。 - 24二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 14:53:56
勝ち誇ったようにパンパンと手を叩く。
「さあ、持ってきてくれ!」
すると、竹や餅の仮装をした男たちがガラガラと何かを運んできた。潔は驚愕する。
「ま、まさか、それは………!」 - 25二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 15:56:05
「いややっぱりずるいだろ!小道具とか用意してるし!」
他のブル
ーロックスもブーイングを飛ばす中そんな野次は物ともせずにキラーン、と笑顔を煌めかせ堂々と言い切った。
「何とでも言いなよ、僕…いや、僕達は勝つ為の努力は惜しまないさ」 - 26二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 16:19:58
そんな覚悟を決めた吉良の背後にある、男達が運んできたものは古き良き日本MANZAIの王道。しかも豪華だ。金塊入り熱々おでん、純銀の熱湯風呂、なんかすごい乳首ドリル用のドリル
- 27二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 16:28:41
なんかすごい乳首ドリル用のドリル!?
- 28二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:22:22
「いや多すぎだろ!!」
「まさかこれ全部使うのか!?」
「死ぬぞ!!?」
「勝つ為には手段なんて選んでいられないのさ……」
野次に混じって一部から心配の声が上がるも、吉良君は聞く耳を持たない。 - 29二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:40:11
「君のせいだよ潔君…あの日君に負けてから、僕は生まれ変わった」
吉良が潔の僅か目の前に迫り、語る。
「もう日本の至宝だとかそんな名前どうでもいい…僕は君に勝てるなら一発芸でも構わない!
これが僕のエゴだ!」 - 30二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:50:18
- 31二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:18:47
- 32二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:23:51
予想を裏切らない展開で笑った
- 33二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:26:46
烏「俺ェ!?!!?!?!!!??!?」
- 34二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 08:47:31
名指しされた烏は顔を引き攣らせて後退る。
「い、嫌や。そもそも敵やろ。俺は絶対協力なんかせえへんで、」
全力で拒否する烏の腕をその後ろにいた人物が捕まえた。
「いいからさっさと行けや」
「氷織ーっ!!」 - 35二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 10:14:08
しかしそこで突然放送が入る。
思わず全員が動きを止めた。
「よく聞けエゴイスト共。大変なことになった」
やけに緊迫した声の絵心が示したホログラムには、
「……蜜柑?」
なんの変哲もない橙色の果実が映っていた。 - 36二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 10:51:44
「ああ。既に多くの者が口にしただろうこの蜜柑だが、少しまずいことになりました」
確かに、脱落者達を除くこの場にいる者達は殆ど乙夜から蜜柑を受け取り食している。緊張する空気の中、絵心が再び口を開いた。 - 37二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 10:58:33
- 38二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 14:21:05
>>37ごめんナチュラルに間違えてた笑
- 39二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 15:30:12
「えっミカンあるの?俺にも後でちょーだい」
遮った乙夜が全員の視線を集めた。
「は?お前が配ったんやろ」
「いや」
モニターから絵心の声がする。
「配ったのはそいつではなく、並行世界の乙夜影太だ」 - 40二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 16:13:09
絵心が続ける。
「あー…詳細は省くが、今現在、世界各地に並行世界へと続く扉が開いている」
「扉は小さく、一度に人間1人しか入れない大きさだが…お前たちに蜜柑を配り歩いていた乙夜影汰も、そこから来たらしい」 - 41二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 16:17:51
しかしあまりにも突拍子のない話に周りがふざけ始める。
すると
「どおりで」
「凪…?」
先程までスマホを弄っていた凪が声を上げた。
「俺、このゲームリリース日からやってたのに、知らないシナリオがあったんだよね」 - 42二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 16:32:02
えっ、と困惑する周り。
「つまり、お前は並行世界の凪? でも来たのは乙夜だろ?」
すると絵心が告げる。
「それだ。…並行世界の人間が持ってきたものに触れたことで、並行世界が侵食してきている」 - 43二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 18:24:25
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- 44二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 18:39:26
「…待て。それが本当なら、こっちの乙夜は今何処にいる?」
ざわざわと話が広がる中、ふと誰かが言った。
それに絵心が至って冷静な声で応える。
「同じ世界に同じ人物はいられない。…おそらく、並行世界だろう」 - 45二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 18:54:25
「ちょい待ち。俺、並行世界乙夜ちゃんなの? 蜜柑配り歩いた記憶ないんだけど」
スッと挙手した乙夜の発言に、混乱の余り一周回って静まり返る。
むり。おれらさっかーのことしかわかんない。 - 46二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 19:20:24
このレスは削除されています
- 47二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 19:22:26
「…逆なんじゃないの」
億劫そうに凪が口を開く。
「蜜柑を食べたお前らが、全員こっちの世界に来てるんでしょ。多分そっちの俺が蜜柑を食べてなかったから、俺だけ入れ替わってないんじゃない」 - 48二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 20:17:31
「……いや、少し違う気がする」
「潔?」
凪の推理に、潔が口を挟む。
己の考えを否定された凪は少し不服そうだった。
だが高速で頭を回転させている潔は気付かない。
そして出た結論は
「…これは、夢なんじゃないか?」 - 49二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 20:38:13
このレスは削除されています
- 50二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 20:44:14
「夢なわけあるか!!」
そう声を荒げたのは、やはり吉良であった。端正な顔をおぞましく歪め潔をねめつける。
「俺たちは日本代表を諦めちゃいない。」
「......新春一発芸対決、逃げるのか?潔くん」 - 51二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 20:58:41
「戦略的撤退や、潔。ここは張り合うとこやな──」
「逃げるわけねえだろ…」
潔はにやりと好戦的な笑みを浮かべた。
「あかんこいつ」
「2台!なんかすごい乳首ドリル用のドリルを2台寄越せ!!」 - 52二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 21:46:51
「やりたない!俺は絶対やらへんぞお前ら!!」
「ええ加減腹括り」
「嫌や!!!!!」
どっと、さっきまでのシリアスが嘘だったかのように笑い声が響く。
そんな潔たちの後ろで、ぴしりと鏡に亀裂が入った - 53二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 01:14:01
「ねぇ玲王、変じゃない?」
「うん?…あぁ、多分BLTVの企画だろ。変なテンションだよな」
「今は……それでいいよ」
凪の発言に違和感を感じたが、玲王は野次を飛ばしに戻る。凪は鏡の亀裂をなぞった - 54二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 01:45:17
シリアスとギャグが交互にくるの草
これが整うってやつか - 55二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 01:59:55
凪は亀裂をひとしきりなぞった後、ボソリと溢す。
「このヒビ、俺以外に見えてないかも?」
片手に持ったスマホと鏡の亀裂を交互に見つめた。
凪が背を向けた、一発芸対決は相変わらず盛り上がっている。 - 56二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 02:27:55
氷織が熱湯風呂に入れると言うと、震えながらなんかすごい乳首ドリル用ドリルを二刀流した烏。
その姿は、かの武人宮本武蔵の風格。
「く、そ、くそぉぉお!!やったるで、乳首ドリル大回転や!!」 - 57二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 02:55:44
このレスは削除されています
- 58二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 03:40:11
相方を凪は一瞬だけ横目で捉え、再び亀裂に目を戻した。そのヒビは、まるで何かがこちらを覗き込んでいるように感じさせた。不意に、スマホの画面が揺れた。背後の笑い声が遠ざかる中、凪は一歩、鏡に近づいた。
- 59二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 05:56:16
刹那、鏡面が歪み、何かを真剣に話し合う自分達が映る…笑い声は未だ聞こえるのに。
「世界は入れ替わってるんじゃなくて、混ざってる…?」
ヒビは深く、深く深淵だけを映していた。 - 60二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 17:02:00
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