- 1二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:03:32
- 2二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:09:13
極月学園に移れ
- 3二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:12:47
真面目にプロデュースしたいの分かる
問題山積の現状に取り組みたい - 4二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:13:28
声がね・・・
- 5二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:15:39
学マスで現状一番曇ってるキャラだし仮に二人三脚で歩を進めていったときのPラブの破壊力が異次元になりそうだと思っているんですよ
- 6二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:21:20
まるで広みたいな思考してるな(でもちょっとわかる)
- 7二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:22:20
姉に負け初星にも負け己自身にも負けたアイドルが
かつて憎しと敵視した学Pに絆されスターダムへ駆け上がり脳を焼かれるさまを見たいわ!見せてちょうだい - 8二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:25:18
実際才能はあるっぽいから認知がひん曲がってるのを解消して姉に挑んで…ってやったらなかなか面白い話になりそうな気はするんだけど
自分も含めて携わってるものみんなイヤ!ってレベルのプレイアブルの問題点全部盛りぐらいにこんがらがってるっぽいから解消しようと動く事すら拒否されそうで難易度が凄そうだけど
全部ほどけて晴れやかな顔を見られたらめちゃくちゃ感激出来そうだよね - 9二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:28:06
この女の一切の曇りない笑顔が見たい
- 10二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:29:14
プロポーズしたいかと思ったら違った
- 11二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:29:20
学Pと相性は良さそうではある
- 12二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:33:07
めちゃくちゃ依存しそう
男の娘だとなおよし - 13二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:34:32
もちろんめちゃくちゃプロポーズもしたい
- 14二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:34:54
性格はさておき見た目がぶっ刺さってる人は結構いそう
- 15二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:35:37
撫子もプロデュースしたい
- 16二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:35:52
ライバル出るたびに初星転入プロデュースするんじゃ極月学園の意味無いし極月学園キャラはプロデュースできないままだと思うんだよね
- 17二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:42:41
落ちぶれた後のこの子自分をスカウトしに来たプロデューサーに対してどんな挙動するんやろ
藁にもすがる思いで言われた通りにするのか腹の中では自分が成り上がるための踏み台にしか思わないのか - 18二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:52:10
雨の日に学Pに拾われるのがあまりにも似合う女
そしてお前も学Pに籠絡されるんだよ - 19二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:54:31
りんははともかく3人組は兼役させてるし、今のところガチで実装する気はなさそう
- 20二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:04:59
今後も登場するなら3Dモデルに期待ぐらいかな
プロデュースはきびしいとおもう - 21二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:13:09
- 22二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:15:34
初星学園を蹴散らしてく極月編がいつかの周年で実装されるよ
- 23二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:15:47
エイプリルフール企画でもし極月学園の生徒をプロデュースしたらとかどうですか
- 24二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:19:16
良すぎる
- 25二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:23:21
丁度何処にもないから四音さんをスカウトするSSを書いていたところだ
気が合うな - 26二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:30:31
自分で書いておいてなんだが感情的に「あなたが!すべてに絶望して大嫌いだったボクを変えてしまったから!今更あなたのいない世界になんて戻れるはずないじゃない…」ってぶちまけてくる方がいいか?
- 27二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:45:35
問題山積で本人が拗らせまくってるし最初は絶対学Pを利用しようとしてくるだろうかこそ、ラストで打算のない笑顔見せられたら泣くと思う
- 28二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:53:36
やはりここはエイプリルフールに1日限定で極月組をプロデュースできるようにしてみてはどうか
- 29二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:55:55
このキャラデザでボクっ娘なのがめちゃくちゃ良い味だしててぶっ刺さってる
テンプレすぎるほどのかませ悪役なのも逆に新鮮で好きだわ - 30二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 19:56:32
この場を借りて今日書いた四音SS供養しても良いやろか
それとも別スレ立てた方が良いかな - 31二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:00:58
- 32二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:07:48
- 33二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:09:19
親愛度1
街の外れ。
都会の喧騒から少し離れた河原に、その少女は佇んでいた。
一目見ただけで分かる整った顔立ちに、手入れの行き届いてる長髪。そして極月学園の服に包まれている抜群のスタイルを持つ存在。
その少女は『かつて』極月学園のエースと呼ばれていた、白草四音。
整った身なりとは裏腹に、その瞳は深く、深く澱んでいた。
もうお前に興味はない。
先日、N.I.Aの舞台で姉から言われたその言葉。
その力はあまりにも絶大で、自身がこれまで築いてきた力も何もかもを文字通り奪い去られた。 - 34二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:10:17
チナクラモト結果出し失敗からの学P初星追放からの月極転入復讐世界線を実装してもいいのよ
うーむコンシューマーなら有りそうだけどソシャゲだと無理だ - 35二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:10:30
今では白草四音は極月学園では腫れ物のように扱われ、取り巻きも今や1人とていない。
「なんで……」
ポツリと声が漏れる。
自分は出来うることを全てやってきた。努力を怠ったつもりはない。
それでも足りないから、必要ならば汚い手も使った。相手を蹴落とすことも躊躇わなかった。
凡ゆる手を使って、極月学園のエースに成り上がっていった。だというのに。
「なんで月花姉様は、ボクを見てくれない……!」
先日のあの冷たい眼差しが脳裏に浮かぶ。まるでゴミを見るかのような、何もかもを見捨てるようなあの瞳。
姉妹だからこそ分かる。
きっとあの姉は、私を見ることはもうないだろうと。
「ボクは……どうすれば良かったんだ?」 - 36二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:10:58
NIAも惨敗で学園の居場所がなくなって月花からも愚妹呼ばわりされ撫子からも見放されてズタボロ状態になって茫然状態で繁華街を彷徨っていて悪い兄ちゃんにからまれたところを偶然学Pが見つけて助けて事情を聞くと、四音が大泣きしながら感情をすべてぶちまけて、半ば同情もありつつも学Pが初星学園の転入を勧めてプロデュースするところまで幻視した
- 37二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:11:42
その慟哭は鈍色の空へと向けられただけで、誰かの返事を期待したものではなかった。
しかし、その問いに答えるものがそこにはいた。
「アイドルを楽しんでいれば、貴女はきっと優勝していたと思いますよ」
「……っ!?」
驚きと同時に振り向くと、そこには一人の男が立っていた。
年齢は自分よりも少し上くらいか。その服装には見覚えがあった。
「初星学園の……プロデューサー?」
それは白草四音を縛る鎖に、小さな亀裂が入った瞬間だった。 - 38二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:12:44
親愛度2
「何か御用かしら? その服装、初星学園のプロデューサーでしょう? 貴方のような下等な男が私に話しかけるなど、烏滸がましいにも程がありますよ?」
先ほどまでの慟哭をすぐに虚勢で覆い隠し、四音はいつものように高圧的に相手を見下す態度を取る。
何より先ほど聞かれた言葉。それをすぐに忘れさせたかった。
この白草四音が弱音を吐く姿を見られた以上、生きて返すわけにはいかない。
そう考えている四音に対し、そのプロデューサーは思いもよらない言葉を放つ。
「単刀直入に言います。白草四音さん。貴女をプロデュースさせてください」 - 39二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:13:50
「……は?」
言われた言葉に一瞬思考が止まってしまう。何を、この男は何を言っているんだ?
プロデュース?初星のプロデューサーが?このボクを?
意味が、何一つ意味がわからなかった。
「……な、何を仰っているか理解に苦しみますね。初星学園のプロデューサーは揃いも揃って頭のネジが外れているのかしら?アイドルだけに飽き足らず、随分とイロモノの集まる場所のようですね?」
暴言とも取れる言葉も意に介さず、そのプロデューサーと名乗った男は失念していたとばかりに懐から名刺入れを取り出す。
その所作が、何故か四音を更に苛立たせていく。 - 40二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:15:04
「失礼しました。名乗るのが遅れました。自分はこういうものです。若輩ながら、初星学園のプロデュース科に所属しております」
差し出された名刺を見て、四音は務めて冷静に振る舞う。
「……ご丁寧にどうも、と私が言うとでも?良い加減に目障りです。さっさと私の視界外へと立ち去ってくださる?」
募る怒りを抑え込みながら、その名刺を一瞥して受け取る所作すら見せないようにする。
一瞬だったが名刺には一年生と記載があった。恐らく実績と呼べるものも何一つ持たない男だ。
「先日のN.I.Aのパフォーマンス。お見事でした」
「何……?」
「歌唱力、ダンス力、そしてそれに合わせた服装や髪型を構成するビジュアル力。どれをとっても素晴らしかったと思います」
「何を……急に何を言っている……?」
その男の並べられる言葉に、纏っていた虚勢が剥がれ落ち、素の白草四音が出てしまう。 - 41二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:16:06
「ただ惜しむべきはその素晴らしい努力が、その場の誰にも向けられていなかった。そこにいない『誰か』にのみ向けられていた。だから貴女は勝てなかった、と分析しています」
『誰か』に向けられていたと言われ、四音の中に動揺が生まれる。
それは今まで誰にも言われたことのない図星だったからだ。何故ならボクが見ているのは、仲間でもファンでもなかったから。
見ているのは、ただ一人だから。
「……貴女が『誰を』見ているのか大凡検討は付きます。それがどれ程苦しく、過酷な選択なのかも」
「は……」
そしてそれに被せるように放たれた言葉に、四音は限界を迎える。
お前が、ボクの……何を知っているんだ? - 42二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:16:59
「貴女は……」
「黙れ!!」
その男の言葉を無視して怒りを放つ。
「……何が……何が言いたいんだお前は!? お前に何が分かる!? 同情か!?同情のつもりか!?ふざけるな!!エリートのボクを!!お前のような一つも実績がないプロデューサーが!!馬鹿にするんじゃない!!」
その激昂は止まらない。
「誰の力も借りやしない!!ボクは必ず!!必ず!自分の手で超えてみせる!!どんな手を使っても!!どれだけ嫌われようとも!!ボクは月花姉様を!!超えてみせるんだ!!」
そしてその怒りは次第に虚空へと掻き消えていく。 - 43二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:18:16
「ボクは……ボク、は……」
「それです」
「は?」
「俺が貴女をスカウトしようと思ったら切っ掛けです」
四音の怒りが収まるのを見計らって、プロデューサーは冷静に自身の話を進めていく。
まるで何事もなかったかのように。
「お前……本当にネジが飛んでいるのか?今のを聞いて、まだ話を続ける気か……?」
「はい。先ほども言った通り、今の感情こそが俺がスカウトしようと思った切っ掛けですから」 - 44二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:18:58
親愛度3
冷静な態度を崩さないプロデューサーに毒気を抜かれ、四音は次第にトーンダウンしていく。
こいつには何を言っても無駄なのだと何となく理解してきたから。
「……お前がボクをスカウトする理由がない。……ボクにはもう何も残ってない。極月でも腫れ物扱いだ。そんな奴をスカウトすれば、どうなるかくらい分かるだろう」
思いっきり怒りを発露したせいか、頭が妙に落ち着いていた。
もう怒る気すら起きない。
「意外ですね。貴女にも他人を心配する心があるなんて」
前言撤回。やっぱり怒りは収まりそうになかった。 - 45二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:19:52
「失礼しました。話を戻しましょう。リスクがあるからスカウトする理由がないと仰られましたが、俺にはちゃんとした理由があります」
「……それは?」
プロデューサーは静かに言葉を続ける。
「貴女にアイドルの才能を見たからです。俺とって、スカウトする理由はそれだけで十分です」
「……」
あぁ駄目だ。
本当にこの男はネジが吹っ飛んでいる。そもそもこいつにはネジ穴すらなさそうだ。ボクは一体何と会話させられているんだ?
「……ボクの評判くらい知っているだろう?やってきたことだって、初星に知れ渡っているはずだ。そんな程度の理由で、よりにもよって他校のボクを引き抜こうとする意味がわからない」
「驚きました。ご自身がしてきたことがどれほど悪いことなのか、ちゃんと認識されていたのですね」
本当に何なんだろうこの男は。
ボクをスカウトすると言えば、事実とは言え躊躇いなくモノを言ってくる。 - 46二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:20:52
「一応……今ボクは真面目に話をしているつもりなんだけど……あっ」
そして咄嗟に出てしまった言葉に、思わず自身の口を塞いでしまう。
言うべき言葉ではないことを、言ってしまったから。
プロデューサーを見ると、先ほどまで感情がなかったその表情を、小さく綻ばせていた。
不覚にも、その表情に少し胸が高鳴ってしまう。
「失礼しました。確かに貴方はお世辞にも褒められた性格ではありません。自身が輝くためなら相手への妨害をまるで厭わない。コネクションを使い最早不正にも近いゴリ押しも平気で行う。正直貴女を見ていて快く思う人はそういないでしょう」
「……お前、さっきボクをスカウトするって言ってなかった?聞き間違い?」
もう反論する気も起きないと思っていたが、ついツッコミを入れてしまう。
プロデューサーはと言うと、先ほど綻んでいた表情も再び無表情に戻っていて、四音は何処か残念に思いながらも疲れたように目を向ける。 - 47二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:21:43
「現状を確認したまでです。それを踏まえたとしても、俺がスカウトを止める理由にはならない。そうお伝えしたかったからです」
「なんで……」
その言葉に偽りがあるとは思えず、四音は小さく聞き返す。
何がこの男をそこまで駆り立てるのか、本当に理解できなかったから。そして次に放たれた言葉に、四音は初めて目を見開く。
「貴女は、諦めなかったから」
パキンッと音が聞こえた気がした。鎖が砕けるような音が、ボクの耳に聞こえた気がした。 - 48二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:23:34
親愛度4
「諦め……え?」
この男と話し始めて、何度目になるかもわからない動揺が襲う。
でもこれまでとは明らかに違う。困惑とは違う動揺。
プロデューサーは気にすることなく続けてくる。
「白草月花というあまりにも大きな存在を姉に持ちながら、貴女は立ち向かうのをやめなかった。向き合うのをやめなかった。そのための努力を、惜しまなかった。俺はN.I.Aのライブを見て、そう感じました」
「……」
わからない。
この男が何を言っているのかわからない。
そしてどうして自分の目元が熱くなっているのか、ボクにはわからなかった。 - 49二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:24:45
「先程も言った通り、貴女のやり方はとても褒められたものではありません。同じような事は二度とするべきではないと思います。でも、そのやり方は変えるとしても、その姿勢だけは捨てないで欲しいとも思います」
「姿勢……?」
「『ある物を全て使って』輝こうとするその姿勢は、まさしくアイドルを目指す人の姿です。だから俺は、貴女をプロデュースしたいと考えました」
「は……はは……」
あぁ。
なんともまぁ、変なプロデューサーだ。
自分で言うのも変な話だが、こんな終わりかけのアイドルもどきに手を差し伸べるなんて。
正気の沙汰じゃない。
でも、だとしても。
頬を伝う何かに気がつかないフリをしながら、プロデューサーを見ずに言葉を繋ぐ。 - 50二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:25:39
「……きっとキミは、ボクをスカウトしたことを後悔する」
「しませんよ。そんな生半可な覚悟でこの場に立ってはいません」
「……ボクは変われない。きっとまた問題を起こす」
「そうかもしれませんね。でもそれを止めるのも、プロデューサーの仕事です」
「……もしかしたら、キミはボクと一緒に地獄に落ちるかもしれない」
「その時は地獄の果てまで付き合いますよ。アイドルとプロデューサーはそういうものです」
頬を伝う何かは止まり、乾いた笑いが出てしまう。
あぁ、負けだ。ボクの完全な負けだ。
こんなプロデューサーが初星学園にはうじゃうじゃいるのかと思うと、極月学園が勝てないのも当たり前だと思った。
でも、嬉しいと思ってしまった。
生まれて初めて、白草月花の妹ではなく、白草四音として見て貰えた気がしたから。 - 51二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:27:42
「では白草さん」
「四音」
「え?」
「四音で良い。そう呼んで」
プロデューサーは意外そうな顔を少しだけ見せ、また小さく綻ばせる。
また、胸が小さく高なる。
「承知しました。では四音さん。先程、貴女は俺を実績のないプロデューサーと言いましたね」
「……何?根に持ってるの?」
「実績ならこれからできる予定です。こちらを」
手渡されたのはUSBメモリ。
これからのプロデュース予定だろうかと考えていると、今日何度目になるかもわからない想定外の言葉がプロデューサーから放たれる。
「貴女の曲です」
「へ?……は!??」
プロデューサーの言葉に驚愕の声をあげる。
曲?ボクの……曲!?
以前、持ち歌すらないと煽られたことが脳裏に浮かぶがすぐに掻き消えていく。 - 52二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:28:22
「じ、冗談じゃ……?実績どころか……在籍すらしていないアイドルの曲を作れるわけ……」
そうだ。如何に初星のプロデューサーといえど、そんな無茶がまかり通るわけがない。
「はい。かなり無理を言って作って貰いました。この曲が使われる事がなかったら、俺も退学になる条件でどうにか学園長から許可を頂きました」
「は……?」
いや、え?
「先程言った通り、地獄の果てまで付き合います。その覚悟で、貴女をスカウトしにきました」
どうやらこのプロデューサーは、ボクが思っていたよりも遥かにヤバいやつのようだ。
「これからよろしくお願いします。四音さん」
その言葉に喜びと恐怖を覚えながら、手に持ったUSBを眺めることしかできなかった。
おしまい - 53二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:29:33
三が日早々神が降臨している……!
- 54二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:29:35
- 55二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:31:12
- 56二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:43:19
ワンチャン、Pが極月に交換留学みたいな感じで極月学園の子をプロデュースできるシナリオとか来ないかな
縦の繋がりがある学マスのシナリオの都合上、難しいのは理解しているけど - 57二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:53:30
一人称ボクとか色々まだ開示してなさそうな含みがあるのが気になる
次がHIFである都合四音は出る幕なさそうだからそっちで開示されるってことはないだろうし - 58二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:58:29
- 59二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:11:57
はみ出しそうだよね
- 60二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:22:20
- 61二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:32:05
とりあえず姉は当確として前座で誰か来そうではある
- 62二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:32:50
ちょっと手が滑って続き書いちゃったから供養しても良いかな……。
- 63二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:37:15
- 64二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:39:47
- 65二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:40:14
親愛度5
「それでどうするの? 転校したは良いけど思った通り針の筵だけど」
初星に転校して少し経ち、正式に契約を結んだプロデューサーに問いかける。
「居心地悪いですか?」
何をわかりきったことをそっぽを向く。
「ですが虐められたりはしてないでしょう?」
「まぁ……」
転校初日、まずボクがやらされた事は各方面への謝罪だった。
プロデューサーに引きずられるように、迷惑をかけた人たちを盥回しにされた。
初星の奴らに頭を下げたくなんてなかったが、プロデューサーに開口一番「一緒に地獄巡りをしましょう」と言われて何も言えなくなってしまった。 - 66二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:41:17
しかしその謝罪行軍のお陰か、居心地こそ悪いが虐められると言った事もなかった。
きっとプロデューサーがボクの知らないところで相当手を回したんだろうとは思う。
そういえば謝罪して回った相手の中に、いつか持ち曲マウントを取ってきた女。藤田ことね?もいた。
正直揉めるかとも思ったが意外とすんなりと終わって驚いた。
どうやら事前に向こうのプロデューサーにも話を通していたらしく、あの時とは打って変わりまるで叱られたチワワのように藤田ことね?は大人しくなっていた。
「時間は掛かるでしょうが少しずつ針を減らすしかありません。ですが暫くは一緒に針地獄を楽しみましょう」
「……」 - 67二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:42:18
分かっている。
針の筵なのはボクだけではない。プロデューサーも同様に、色々と言われていることを知らないわけがなかった。
「……ボクをスカウトして後悔してきた?」
「いえ全く。寧ろ楽しくなってきています」
「何?マゾ?」
ボクの皮肉にも鉄仮面を崩さず、プロデューサーはこちらを見てくる。
「それで四音さん。こちらの提案したプロデュースプランは目を通して頂けましたか?」
「念の為聞くけど、これの何処がプロデュースプラン?」
プロデュースプランと言ってはいるが、中身は慈善活動やライブの裏方ばっかりだった。
レッスンや休暇もちゃんと組まれてはいるが、その大半は何かの手伝いに当てられている。
「このボクにこんな事やらせるなんて良い度胸してるよねキミ」
「説明が必要ですか?」 - 68二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:43:18
「……いや……しなくて良い」
こちらの制止を気にも止めず、プロデューサーは言葉を続ける。
「四音さんは能力だけを見るなら既に高い水準に達しています。ですがアイドルは個の能力だけでは意味がありません。ファンに愛されてこそ意味があります。今の四音さんは愛されるどころか嫌われてるレベルなので論外にも程があります」
「しなくて良いって聞こえなかった?ボクの声聞こえてる?あと流れるようにボク……私をボロ雑巾のように言うのやめてくださる?」
このプロデューサーはいつもこうだ。ボクの意なんて介さずにやりたい放題やってくる。とりあえず皮肉混じりにかつての『白草四音』の仮面を被って見るが、やっぱりと言うかまるで効果はない。
ただ振り回されてるはず、なのに何故か嫌ではなかった。
「ですが嫌われてるのは1つのアドバンテージでもあります。何故ならそれだけ四音さんは『注目』されていますから」 - 69二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:44:24
注目されている。それは確かに事実ではあるけど。
「今はマイナスまで落ちてる四音さんの評価を0まで戻す時期です。なので表立ってのアイドルとしての活動はもう少し我慢してください」
「……」
以前ならこんな事を言われたら強く反発していただろうに、随分と飼い慣らされたと感じる。
でも初星学園に来てからの時間は、極月の頃に比べて充実しているのもまた事実だった。
ずっと独学で走っていた極月と違って、今は導いてくれる人がいるから。
「あぁ、あと」
癪ではあるけれど、ボクと地獄の果てまで行くと言い張った変なプロデューサーがいるから。
「四音さんは今見たいな素の姿の方が素敵だと思いますよ」
「……っ」
それだけ言うとプロデューサーは会議があると言い部屋から出ていってしまう。
プロデューサーがいなくなった部屋で、負け惜しみみたいに小さく呟く。
「本当に……変なプロデューサー……」 - 70二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:45:19
親愛度6
「随分と丸くなったわねあなた」
「あなたにだけは言われたくないんだけど」
『初星』の制服に袖を通している少女。かつて共に極月に在籍していた賀陽燐羽にノータイムで言葉を突き返す。
「とても献身的じゃない。初星に来てからはライブにも出ずに裏方や慈善活動ばかり。極月にいた頃のあなたが今のあなたを見たら、それこそ泡を吹いて倒れるんじゃないかしら?」
それに関しては何も言い返せなかった。
極月にいた頃の白草四音と今ここにいる白草四音は、まるで別人になっているのだから。 - 71二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:46:06
「……ボクはプロデューサーにやれと言われたからやってるだけだ。何も変わってはいない」
「そ。じゃあ前のハリボテみたいなお嬢様口調をやめたのも、そのプロデューサーとやらの指示?」
素の姿の方が素敵だと思いますよ。
あの言葉が脳裏によぎり、すぐに振り払う。
「……違う」
「あら図星? 随分とそのプロデューサーに惚れ込んでるのねあなた」
「ほ、惚れ込んでなんてない!」
思わず声を荒げてしまうが、すぐに抑え込む。ダメだ。どうにもあのプロデューサーに会ってから自身のペースが乱れ切っている気がする。
「丸くなったと言うなら、あなただってそうじゃない」
「まぁ、そうかもね」
賀陽燐羽は少し苦笑いしながらこちらの意趣返しを軽く流してくる。 - 72二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:46:51
「あれだけ駄々捏ねられちゃうと、降参するしかないもの」
何処が嬉しそうに言うその横顔は以前と違って影もない。所謂、憑き物が落ちたような顔をしていた。
「あなたも似たようなものでしょ?」
そう言われるとあの日のプロデューサーに言われた言葉を思い返してしまう。
「別に……ボクには……一緒に地獄の果てまで付き合ってくれる人がいるから……それだけ……」
ポケットからあのUSBを取り出す。
一度だけ聞いて、そしてまた封印することにしたボクだけの曲。
でもその一度だけで十分だった。この曲に込められてる意味を、理解できたから。
いつかこの曲を、ライブという場所で歌いたいと思えた。
それだけで十分だった。
本当に、おかしなプロデューサーだ。 - 73二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:48:05
そんなことを考えていると、隣で燐羽が顔を赤くしてることに気がついた。
「え……なにそれプロポーズ?あ、あなた本当に……」
「へ?あっ、ち、違う!!!」
慌てて取り繕うボクに、燐羽はまだ顔を赤くしたままクスクス笑う。
「良いじゃない。メッキの剥がれた今のあなた。極月の頃とは比べ物にならないくらい素敵よ」
「……」
悪戯っ子のような笑みを浮かべそう言われると、何も言い返せなくなる。
本当に、初星に来てからのボクはあの頃とは別人になってしまっている。
「ねぇ四音。今度私、リハビリがてら小さなライブに参加するの」
「それが何?」
「前座の枠がまだ空いてるのよ。今のあなたなら、任せても良いわ」
「……」
以前までのボクなら、きっと馬鹿にするな、と怒っていたと思う。この白草四音を前座扱いするな、と。
でも。
ライブに参加できるかもしれない。その事実が、ボクの胸を高鳴らせていたのも事実だった。
「……少し待ってて。プロデューサーに、聞いてみる」
「えぇ。楽しみにしてるわ」 - 74二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:49:59
親愛度8
最初にあったのは戸惑いだった。
ライブでボクが裏方の作業をしていると、初星の学生は怯えたように避けてきた。
当たり前だった。
ボクが何をしたのかなんて、みんな知っているのだから。
「四音さん。手を止める時間なんてありませんよ。次は照明の移動です」
何故か一緒に裏方に参加しているプロデューサーにそう言われ、ボクは無言でそれに従う。
こんな時間になんの意味があるのだろうと、思わなかったら嘘になる。
ボクはエリートだ。
こんな下っ端労働はボクがやる事じゃない。
本来ボクは、あの輝くステージに立っているべきだ。 - 75二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:50:52
なんて思ったのも最初だけ。
メッキを粉々にされたボクは、あまりにも弱く、そして何も知らなかった。
あの輝くステージの下には、これだけの苦労があるなんて思いもしなかった。
終わると同時に寮に戻り、ひっくり返って熟睡する。
そんな日々を続けていると、次第にボクへの視線も違うものになっていった。
避けられることもなくなっていき、それどころか挨拶もされるようになってきて。
「い、いつもありがとうございます!白草先輩!」
ある時、控え室にドリンクを持っていくと中等部の子にそう言われ、呆気に取られたのを覚えている。
何でボクはこの子に感謝されたのだろう、と。
ステージが始まる。
その子はお世辞にも歌もダンスも上手とは言えなかった。だけれど、ステージに登って全力で前座をこなす姿に、何故か目を惹かれた。 - 76二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:51:29
「プロデューサー」
「どうしました四音さん?」
「あの子は、なんであんなにキラキラしているんだろう?」
それは心の底からの疑問だった。歌もダンスも、間違いなくボクの方が上手い。
だというのに、何故か、その子から目を離すことができない。
ボクがあの場にいても、これほど惹きつけることなんてできる気がしない。
「それはきっと、あの方がアイドルを心から楽しんでいるからです」
アイドルを楽しんでいれば、貴女はきっと優勝していたと思いますよ。
初めてプロデューサーに会った時に言われた言葉。それが脳裏に浮かぶ。
「四音さんにとって、アイドルとは何ですか?」
「それ、は……」 - 77二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:52:03
ボクにとってアイドルは手段だ。全てを蹴落として駆け上がるための。
そうだ。
いつか月花姉様を超えるための、手段でしかない。
ボクにとってアイドルは、楽しいものなんかじゃないんだ。
「四音さん」
「……」
「例えその始まりが何であれ、貴女の積み上げてきた研鑽は決して偽りではありません。今もなお、地に落ちて全てを失ったと思っていても、その努力が無意味になる事はない」
プロデューサーの言葉が脳に染み込んでくる。何を言いたいのか、分かってしまう。
「でも……ボクには……きっとあんな風に楽しむことはできない」
他人を蹴落とし、周りを使い潰し、自分だけのために進んできた過去。
そんなボクがアイドルを楽しむ未来なんて、想像できなかった。 - 78二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:52:32
「四音さん。今ここには過去も未来もありません。そして、もちろん白草月花もいません」
「え?」
「今ここには、貴女がいつかあのステージに戻る日を夢見るファンである俺と、あのステージに夢をみるアイドルの卵である貴女しかいません」
「夢を、みる?」
「今ステージにいる方に、輝きを見たのでしょう?」
「あ……」
全てを使って輝こうとするその姿勢は、まさしくアイドルを目指す人の姿です。
またあの日のプロデューサーの言葉が脳裏に過ぎる。
そうか、ボクは今初めて、アイドルを。 - 79二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:53:59
おしまいになります。
ご供養失礼しました。
毒を抜かれた四音さんを見たい反面、毒だらけの四音さんも見たい矛盾。
早く実装して欲しい。 - 80二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:27:18
乙です
これもう既に学会が2.3度爆撃にあってるぞ(即死 - 81二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:55:47
年明け早々良いもの読めました、乙です
- 82二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:16:41
極月組って既にそこそこコアな人気集めつつあるよね
常に誰かのスレがいくつかは立ってるの見かけるし - 83二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 06:32:19
あそこまで突き抜けちゃうと逆にプロデュースしたくなるジレンマ
- 84二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 07:47:20
- 85二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:27:49
ハァハァ……。
し、親愛度10まで書き切ったので、供養させていただけませんか……! - 86二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:36:12
親愛度9
「N.I.A以来のライブですね。どうですか気持ちは」
「ライブと言っても、ボクは所詮前座。仕事をするだけで」
燐羽に誘われたこのライブ、プロデューサーに確認したところ二つ返事で参加しましょくと言われた。
てっきりまだ暫くは地獄巡りとでも言うと思ったのだけど。
「そろそろ蜘蛛の糸を掴んでみても良い頃合いです。もしダメで落っこちるなら、一緒に落ちましょう」 - 87二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:36:48
スカウト時から思っていたが、このプロデューサーはボクに対しての感情があまりにも重すぎる気がする。
「アイドルとプロデューサーはそういうものですから」
「……ボクの考えを読まないでほしい」
「四音さんがわかりやすだけですよ。……間も無く時間です。準備は良いですか?」
「……うん」
「四音さん」
「何?」
「行ってらっしゃい」
「……っ!うん、行ってきます」 - 88二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:37:57
ステージに立つと、生まれて初めての景色が目の前に広がっていた。
何故か、声が聞こえる。
初めて。ファンの声が、このステージで。
ずっと独りで立っていたはずのステージなのに、今は周りに沢山の人がいるのだと分かる。
照明が動く。あれを動かすことがどれだけ大変か、今のボクにはわかる。
声援なんて、ないと思っていた。
前座でしかないボクは、見向きもされないと確信していた。
そのはず、だったのに。
「白草せんぱーい!!」
「四音ちゃーん!!」
こんな場所に立つことなんて、きっとないと思っていたのに。
アイドルなんて、所詮手段でしかない。そう、思っていたのに。
身体が熱い。だけれど頭は澄み渡っていて。
あぁそうだ。
自然と動いてしまう。
今ボクは、楽しいと感じている。
積み上げてきたものを全てここで出し切ってしまいたいと思うほどに。
「そっか。これが、アイドルなんだ」
始まった瞬間、ライブのボルテージは、前座とは思えないほどに上がっていく。 - 89二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:38:42
「あらあら。四音ったら、前座の意味がわかっているのかしら? これじゃあメインを喰ってしまう勢いじゃない。まぁ、どうせこうなると思ったから、私のライブに呼んだのだけれど」
苦笑いしながら賀陽燐羽は隣に立つある男へと声をかける。
「あなたもそう思っていたから許可をしたのでしょう? 四音のプロデューサーさん?」
「はい。正直、こうなることは容易に想像できました」
四音のパフォーマンスはやはり破格のものであり、それが『誰か』ではなく、まだ拙いながらもしっかりと『ファン』に向けられている。
こうなれば、どうなるかなど想像に難くない。
並のアイドルのライブであれば、メインすらも喰らい尽くしてしまうだろう。
そう、並のアイドルであれば。 - 90二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:39:30
「四音さんの復帰には一年はかかると思ってました」
プロデューサーは自身の見通しの甘さを自重するように、声を落とす。
「四音さんは俺の想像以上に献身的に、裏方の作業をこなしてくれました。だから復帰予定を大幅に早めることにしたのですが、問題はその場所でした」
白草四音というアイドルの卵は、スペックだけを見るならば初星の上位に食い込むレベルだ。
問題があったとするならばその性格と行い、それによって生じた悪評。しかしそれらが改善されつつある今、残るはその復帰の方法だけになっていた。
「四音さんクラスになれば、前座という枠に収めることは困難でした。ご本人はやってくださると確信していましたが、こうなってくると今度はそのスペックの高さが邪魔になる。何とももどかしい気持ちでした」 - 91二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:40:17
他にもテレビ出演や雑誌などアイドルとしての活動はあるが、一番安全かつ最短距離なのはライブにでてもらうことだった。
何よりも、四音がそれを望んでいることを理解していたからこそ、プロデューサーとしてはそれを叶えてあげたかった。
ステージからは目を逸らさず、淡々とプロデューサーは言葉を続ける。
「ですが、メインを貼るのが賀陽燐羽さんであればその問題は不要なものです。あなたは『まだ』四音さんよりも上にいる方ですから、喰われる心配をする必要がない。その点において、改めてお礼を言わせてください」
その一言を聞いて、燐羽はとても嬉しそうに笑う。
「ふふふ……あははは!まだ、なんてあなたもあなたで四音に相当惚れ込んでいるのね。確かに、あなたならあの四音の手綱を握れても不思議じゃないわね」
「担当に惚れ込まないプロデューサーはいませんよ」
「はいはいご馳走様。ふふ。じゃあ私は行くわ。どっかのおバカさんが前座で無茶苦茶やってくれたから、良いリハビリになりそう。それじゃあね四音のプロデューサーさん」
燐羽と入れ替わるように、四音が小走りにこちらへと駆け寄ってくる。
「プロデューサー……っ」
「素晴らしいステージでしたよ。四音さん」
プロデューサーは穏やかな笑みを浮かべながら、息を切らせて『笑顔』を浮かべている四音へと言葉を繋ぐ。
「おかえりなさい」
「……うん。ただいま」 - 92二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:41:26
親愛度10
「お前が愚妹のプロデューサーか」
「はい。若輩ながら、四音さんのプロデュースをさせて頂いています」
そこに立つのは白草月花。白草四音の姉であり、極月どころか世界にもその名を轟かす正真正銘のトップアイドル。
「くく。驚いたぞ。あの愚妹の手綱をここまで握るとは。先日のステージ、N.I.Aの時とは別人かと思うほど素晴らしいものだった。間違いなくお前の手腕だろう」
「いいえ。俺は四音さんが自身の努力を出せるように少し手伝っただけです。あのステージは、四音さんの実力です」
先日行われた四音と燐羽のライブは、伝説のミニライブ、と言われるほどにネットを中心に話題になっていた。
メインを圧倒するかのようなパフォーマンスを見せる前座の白草四音。そしてその前座を霞ませてしまうほどに圧巻の歌唱力を放ったメインの賀陽燐羽。
そのおかげか、四音にはアイドルとしての仕事の依頼がどんどん舞い込んできている。 - 93二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:42:18
「お前は愚妹を……いや。四音を何処まで連れていく気だ?一番星か?それとも更に上のトップアイドルか?」
「いいえ。違います」
「何?なら何処に?」
予想していた返答と違ったのか、少し眉を顰めて聞き返してくる。
それに対してプロデューサーはいつもと変わらぬ口調で返事をする。
「地獄の果てまでです」
言われた月花は珍しくキョトンとした後、普段からは想像が出来ないような笑い声をあげる。
「くく……あっはっはっは!!」
ひとしきり笑った後、上機嫌に月花はプロデューサーへと向き直る。
「そうか。共に地獄に行こうと言われれば、あの堅物の四音も白旗をあげるしかなかったか」
そう言うと白草月花はもう話すこともないとばかりにその場を去っていく。
その背に何処か、満足感を漂わせながら。 - 94二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:43:14
「いつまで隠れているんですか四音さん」
「……驚いてる。月花姉様って、あんな風に笑うんだ」
今日姉様に会うとプロデューサーに伝えられたボクは、ノータイムで会わないと返事をしていた。
でもやっぱりと言うべきか、気になってしまって近くに隠れて様子を伺っていた。
「会わなくて良かったのですか?」
「……今はまだ、良い」
「そうですか」 - 95二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:45:13
また懐からUSBを取り出す。
曲名はまだ決まっていない、ボクだけの曲。だけれどその歌詞の意味はわかる。
窓に映る月の美しさに焦がれてもがき苦しむ一羽の鳥。
鎖を砕いて、籠を抜け出し、部屋からも飛び出して、空へと舞い上がる。
月へ行こうと飛び出した先には、美しい景色がこれでもかと広がっていて。
世界はこんなにも広いんだよと、伝えてくれる歌詞。
言ってしまえば単純。だけれど間違いなくボクに合っている歌詞だった。
まだ歌えていないこの曲を歌った時こそ、姉様に会いに行こうと思っていた。
「プロデューサー」
「なんですか四音さん?」
照れる気持ちを抑えながら、プロデューサーへと向き合う。 - 96二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:46:01
「ありがとう。ボクをスカウトしてくれて」
「……悪いものでも食べたんですか四音さん」
「これでも真面目に感謝してるつもり」
「失礼しました。正直、貴女にその言葉を言われるのは一年後くらいかと考えてましたので」
「まぁ、それは分かる」
初星に来てから他人を蹴落とそうなんて考えることもなくなった。随分と優等生になってしまったと感じる。
それもこれもこのプロデューサーが隣にいたからで。
「四音さんが沢山問題を起こすと思って用意していた対策も、見事に全て無意味になりました。とても清々しい気持ちですよ本当に」
「……プロデューサー、やっぱり本当はボクのこと嫌いなんじゃないの?」
こんな会話も今では違和感なくできる。
プロデューサーが、どれだけボクに惚れ込んでいるかなんて今更確認するまでもないから。
あの月花姉様に対して、地獄の果てまで連れてくなどと言うくらいなのだから。 - 97二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:46:53
「冗談はさておき。四音さん、改めてお礼を言わせてください」
「何に対しての感謝?」
「あのライブは俺にとって人生の中でも最高のものでした。本当の白草四音を、見ることが出来たから」
「は……?」
最高のライブ?
まだ前座なのに?
ボクはまだこの曲を歌ってないのに?
キミに感謝されるのは、この曲を歌った後だ。今はまだ、その時じゃないのに?
そう思うと自然と身体が動いてしまう。プロデューサーに寄せるように。
「本当にありがとうございっ……!?」
だからその口を塞ぐ。
今はまだ言わせない。その時が来るまで。
「プロデューサー」
身体を放すと、珍しく狼狽するプロデューサーがそこにいた。
そんな姿がなんだかとても可笑しくて。
約束のUSBを見せながら心からの笑顔で。
「その言葉は、一緒に地獄の果てについた時にボクに伝えて?」
おしまい - 98二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 10:50:07
- 99二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 12:41:49
縦の繋がり考えると燐羽以外の極月の子をプロデュースするには移籍くらいしか無さそうだしな
- 100二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 13:09:01
- 101二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 13:40:16
普通におもろいの笑う
可能性は0じゃないし運営アピールしてゆけ〜 - 102二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 14:48:58
- 103二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 16:19:27
初星に来るんじゃ無くてこっちが極月に行く方がいい
課題曲は「黒」で - 104二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 17:30:40
- 105二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 19:23:14
四音Pは広P並みに脳が焼かれているのだろうね
- 106二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 19:26:46
名スレ過ぎる
ありがとうありがとう! - 107二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 19:34:20
運営さんにホントに頼むで
てかここまで人気になるなんて想定してたんやろか