- 1二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:39:42
小説の書き出し、1行目に衝撃を受けた、素晴らしいと感じた小説をあげてってほしい
自分からは京極夏彦の魍魎の匣から
「祖母が亡くなつたので急ぎ歸省した。
都會を離れる歸省の列車は空いてゐた。
この車輛にはくたびれた老婆がひとり乗つてゐるだけだ。
休日でも無いのに田舎に向ふ者など誰も居らぬのだらう。
何と今日は良い天氣だ。
車窓からの風が裸にに心地良い。働かに故気の匂ひがした。何と心地良い。
連日の潡務が祟つてすつかり寝入つてしまつた。
白河夜船で昔の夢を見てゐると、何時の間にか前の座席に男がひとり座つて居た。
色の生良い、若いのか歳をとつてゐるのか判らぬ男だな。随分と眼さうな、人形のやうな顔だ。こんなに空いてゐるのに、何を好んで此處に座つたものか。
つらつらそんなことを考へる。男は亜を持つてゐる。
大層大事さうに膝に乗せてゐる。
時折運に話しかけたりする。
眠い目を擦り、いつたい何が入ってゐるのか見極めようとするが、如何にも眠かつた。
塩か花瓶でも入ってゐるのか。
何とも手頃な善い運である。
男は時折笑つたりもする。
「ほう」
匣の中から聲がした。
鈴でも轉がすやうな女の聲だつた。」
を紹介したい。
あまりにも引き込まれる書き出しで、あの分厚さの文章を辟易することなく読み切りたいと言う気にさせてくれた書き出し - 2二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:40:47
超ベタだけど「メロスは激怒した」
- 3二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:43:22
夢十夜の「こんな夢を見た。」
シンプルだし特に捻りもないけど長々と前置きされるより入ってきやすくて印象に残ってる - 4二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:45:52
ドグラ・マグラ
巻頭歌
胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか - 5二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:47:34
伊坂幸太郎 重力ピエロ
春が二階から落ちてきた
この一文で購入を決めた - 6二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:47:53
百鬼夜行シリーズならそれよりも
「あなたが――蜘蛛だったのですね」
から始まって満開の桜の情景描写に移る絡新婦の理が好き - 7二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:48:04
スレタイ見て思い出したのは「春が二階から落ちてきた。」で始まる(多分…)『重力ピエロ』だな
伊坂幸太郎氏による小説で映画化もされたサスペンス
仙台の街で起こる奇妙な連続放火事件にしっかり者の兄と少しユニークな弟の二人が挑み、やがて予想外の真実に直面する - 8二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:01:17
それは四月一日――よく晴れたエイプリルフールの日のこと。
わたしたちの町に、名探偵が引っ越してきたの!
はやみねかおるの「そして五人がいなくなる」より
子供の頃だけどこの一文にすごくわくわくした - 9二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:07:40
- 10二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:11:21
ちょっと毛色違うけど初見お腹痛くなるくらい笑った『流れよわが涙、と孔明は言った』の書き出し↓
孔明は泣いたが、馬謖のことは斬れなかった。
硬かったのである。
「どういうことだ……」
孔明はうめいた。首切り役人もうめいた。馬謖もうめいていた。
概ね、同じ理由でうめいていた。 - 11二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:15:07
きょう、ママンが死んだ。
- 12二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:16:14
- 13二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:17:57
- 14二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:20:55
泥に深く穿たれたトラックの轍に、ちいさな女の子が顔を突っ込んでいるのが見えた。
まるでアリスのように、轍のなかに広がる不思議の国へ入っていこうとしているようにも見えたけれど、その後頭部はぱっくりと紅く花ひらいて、頭蓋の中身を空に曝している。
そこから十フィートと離れていないところに、こんどは少年が横たわっていた。背中から入った弾丸は、少年の体内でさんざん跳ね回ったあと、へその近くから出ていこうと決めたようだった。ぱっくりひらいた腹からはみ出た腸が、二時間前まで降っていた雨に洗われて、ピンク色にてらてらと光っている。かすかに開いたくちびるから、すこしつき出た可愛らしい前歯がのぞいていた。まるでなにか言い残したことがあるとでもいうように。
虐殺器官/伊藤計劃 - 15二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:21:39
- 16二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:06:29
「山椒魚は悲しんだ。」が好き
- 17二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:12:47
今は昔、夢漏町幕府の頃、さる山寺にイックーさんという、たいそうイキやすい小坊主がおったそうな。
- 18二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 05:28:29
正直いって、はじめて会ったときは、チャールズ・ストリックランドが特別な人間だとは思いもしなかった。
いまでは、ストリックランドの価値を認めない人間はいない。価値といっても、偶然の幸運に恵まれた政治家や、栄光を手にした軍人のそれではない。
政治家や軍人の価値は、本人ではなく地位にあり、状況が変われば価値も変わる。
肩書きをなくした首相が口ばかり達者な小物だったり、軍服を抜いだ軍人が田舎の名士に落ちついたりする例は、いくらでもある。
だが、チャールズ・ストリックランドの価値は本物だ。 - 19二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 05:46:06
一行ってムズいな…
書き出しならいくらでもあるのに - 20二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 06:13:31
1の時点で一行限定じゃなくない?