- 1二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:27:57
- 2二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:28:12
トリニティに来ていた私は用事を済ませシャーレに戻ろうとすると、
イチカから呼び出され現場へ向かった。
そこには数人の正義実現委員会に囲まれている、ストローハットを被った
ヒフミより頭一つ小さい背丈の生徒がいた。
"おまたせ、イチカ。"
「来てくれてありがとうっす、先生。」
"うん、それでどうしたの?"
「いま抑えてもらってる生徒なんですけど
ブラックマーケットに行こうと何度も学園から出よとうしていたっす。
さすがに何度もというと、口頭注意だけじゃ効かなくなるっすし…。」
「なにより、理由も言ってくれないと私らも対処に困るので…。」
"なるほど、それで。わかった、私の方から話を聞きだしてみるよ。
ひとまず開放してあげれないかな?"
イチカは頷くと、改めて危ないとこに近づかないよう念を押し
委員会メンバーを引き連れて去っていった。
残された私と彼女には、少し気まずい空気が漂う。
"とりあえず、シャーレに行こう。ここだと話したいことも話しにくいと思う。
君の名前は…"
「ひ、日向マナ…です。」 - 3二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:28:35
マナと共にシャーレに戻り、話を聞いてみようとコーヒーを淹れて
向かい合わせに座る。
最初は落ち着きがなく、そわそわしていたけれど
ぽつぽつと歩幅を合わせるように話し始めた。
「と、友達を探しているんです…
トリニティに入学前にいなくなった友達を…」
「けど、おかしいですよね、普通…
だって、もう何か月も経っているのに。」
"友達がいなくなったときには捜索届は。"
「出しました、捜査はあまり進展がなくて…
そのうち、連邦生徒会のごたごたで流れてしまいましたけど…」
私が来る直前の事が生徒の希望の芽を摘んでしまったと考えると不甲斐なく思ってしまう。
今はそれより、マナの友達の事だ。たしかに既に失踪から何か月も経っている人物を探すのは現実的ではない
酷なことだけど、もうその友達は…とあるまじき考えが過ぎったところをマナが自身でさえも言う
荒唐無稽な話しの続きを口にする。
「私、いつからか"夜目"が効くんです…
こう、両の掌を前に出して目を開けると、なんと言うか…
探しているものが、炎の様な光となって見えるん、です…。」
私の目の前には、腕を正面にかざしている様にしか見えなかったが
たしかに、その体はブラックマーケットの方角を向いていた。
"わかった。友人を探すのを手伝うよ。"
「えっ…、信じてもらえるんですか?」
"うん、根拠もなくブラックマーケットに行こうとしている訳では無いのは見ていて分かった。
なにより、生徒が困っているのは見逃せないしね。" - 4二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:30:07
こうして、ブラックマーケットに共に足を運んだ。
が、聞き込みによる手掛かりは無いに等しく、マナに先導してもらう形で
私とマナはブラックマーケット内を西へ東へ彷徨った。
「せ、先生、さっきの噂は何か関係があると、思いますか?」
聞き込みをしたスケバン達が話してくれた噂。
それは、ここ最近ブラックマーケット内で行方不明が発生しているという事だった。
後ろ暗い者達が大手を振れる場所で、行方不明の噂が立つのはある意味珍しい、
くわえて奇妙なことに行方不明者は数日と経たないうちに戻ってきているらしい。
"まだ分からない…、ただ組織的な犯行なら
そこから情報が得られるかもしれない、ヴァルキューレにも話を聞いてみるよ。"
「あ、ありがとうございます…」
突然、マナが声を上げた。
「あっ!ち、近い、今まで歩いても歩いても縮まらなかったのに…っ!」
走り出したマナの後ろを追う、狭い小路に入り何度か右へ左へと曲がれば
人気もいない行き止まりへと誘われた。
「はぁ…はぁ…、何も無い…?そんなはず…!」
「せ、せせっ、先生!!」
"っ!!"
お互い息も整わぬまま、顔を上げるといつの間にか
来た道は靄のようなものに覆われ、腕をかざしたマナは何かに怯えるように声を張り上げていた。
私はマナの後ろから靄が迫ってくるのが見え、咄嗟にマナを庇う形で靄の前に出て…
目の前が黒く塗りつぶされた。 - 5二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:30:28
"そのあと気がついたら、ここに…。"
「は、はい、私も気がついたら、目の前が真っ暗になって…。」
なんとも不思議な目に遭遇した、私達がいたコンクリづくりの路地から
牧歌的なあぜ道広がる平野に立っている、もしや行方不明事件と関係が…?
私は、アロナに現在地を教えてもらおうとシッテムの箱を起動した。
「s…生…先生、ここは…d、こか、おかし…です!」
"ア、アロナ?"
シッテムの箱の画面には砂嵐が混じって、アロナの声が途切れて聞き取れない。
「あっ!せ、先生、ひ、人がいます!
私、道、聞いてきます。」
アロナに呼びかけていると、マナは私達以外の人を見つけたらしく
その人に向かって駆けていった。
私も視線をアロナから向けて見てみるが、どうも様子がおかしい。
マナが見つけた人は、足がおぼつかず首も座っていないかに見える。
嫌な予感がして、マナへ駆け寄ろうとした瞬間、
「き…、きゃああぁぁ!!!」
割くような叫び声が上がった。 - 6二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:30:57
マナが叫び声を上げた場所から、数km離れた地点に
二人の少女が遠くから木霊する声を捕らえ、
その方角を向くと銃声が2回聞こえてくる。
「密猟者ー?」
「声からして、また行方不明者かもな。
ほら、行くぞ。」
「了解ー。」
二人は、なるべく周囲に居る"奴ら"に気づかれないように
静かに声の方角へ走り出す。腕に着けていた腕章が衣擦れと共に揺れた。 - 7二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:31:33
私は、今にも腰が抜けそうなマナの腕を掴み、抱き寄せるように強引に引っ張る。
マナがいた場所に思い切り腕が振り下ろされて、空気が割く音が聞こえる。
目の前にいるのは、キヴォトスでは皆無と言える人間の男性だ、けど
服装はとても古びてる、なにより皮膚が腐敗しているかのようにぐずぐずと肉が抉れて
目も白っぽく濁っている、声も喉奥から絞り出すかのようだ、まるで…
「ゾ…ゾン、ビ?」
"と、とにかく逃げよう!"
ゾンビから背を向け二人して駆け出す、ちらりと振り返ると
腕をだらんと振りながら走って追いかけてきた!?
まさかの走るゾンビに驚いた、けど追い付かれるほど速くはない
このまま振り切るまでと意を決した瞬間、マナに真横に押し倒された。
「す、すいません先生!ですが…。」
マナが振り向いた先には、別のゾンビが手にした鎌を振り下ろしていた。
いつの間に…、追いかけてきているのとは別のゾンビが突如私たちの横から現れていた。
這いながら逃げ直そうと体を起こす、ふと隣を見るとマナはリボルバーを取り出した。
「は、はぁ…はぁ、う、撃ちますよ!」
"マナ、それは…!"
あれは人間なのか、それともミメシスか異様なほど人間に近いそれに思わず、
マナに撃つなと言いそうになる、今は状況が環境がそれを許さない…。
ドンッ!と銃声が響いた後には、何ごともなく近づいてくるゾンビと
ふらついたマナだった。 - 8二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:32:00
"えっ。"
「も、もう一回…!」
またもや、放たれた銃弾はあらぬ方向に飛び
やはりゾンビはなんともなく、マナは上を向いた腕をぷるぷるさせていた。
「せ、先生!逃げましょう。」
"ま、マナ?…うわっ!!"
振り返ったマナが私の腕をつかんで強引に駆け出す。
つま先がもつれそうになるのを堪えながら足を動かす。
「す、すいません、先生。私、銃…うまく扱えなくて…。」
"大丈夫だよ、今は逃げよう。"
マナに手を引かれ改めて、駆け出したが突如アロナが叫んだ。
「せ…生!!止まってください!」
咄嗟に足に力を入れ先導しているマナごと体を無理矢理止める。
マナの鼻先を銃弾が掠めた。
通り過ぎた銃弾の反対には力なく銃を構えたゾンビが私たちを見ていた。
動きを止めてしまったことで、ゾンビとの距離は僅か数メートル。
「はっ、はっ…、そ、そうだ!お、お守りで…」
マナは自身の腰に手を回すが震える手ではうまく物を取り出せるようではない。
私はともかく、マナだけでも…そう考えた瞬間、後ろから声がした。
「伏せてな。」 - 9二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:32:22
私達の後ろから、少女が飛び出す、袖に嵌められた腕章が揺れ
目の前のゾンビの頭が胴体から切り離され、もう一体のゾンビは
振り下ろされたそれに頭がはじき飛ばされた。
"や、槍…?"
残心をとる少女の手には、身の丈よりも小さな小型の槍が握られ
肩にはハルカが使っているようなポンプアクション式の銃を下げている。。
呆気に取られているともう一人、銃弾が飛んできた方から赤黒く汚れた護拳を嵌め
ストックまで伸びたハンドガードが特徴的なライフルを担いだ少女が現れた。
「サヨ、500ヤード先に"感染者"迂回もできるけどどうするー?」
「あー…、いや、余所のお嬢さんに加えて先生もいる。最短で行こう。」
「了解ー。」
サヨと呼ばれた少女は私をちらりと見た後、もう一人の少女に指示を出す。
気の抜けた返事と共に、銃声と彼方で人影が倒れるのが映った。
ガキン!とトリガーから沿うように伸びたレバーを倒し排莢する音が響く。
二人が私達に向き直る。
「んー?」
助けてくれた少女の1人がマナを見つめている。
それを制すように槍を持った少女が提案した。
「二人とも、ひとまずオレらに付いてきて貰おうか。」 - 10二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:33:04
道中、サヨと呼ばれていた少女が先導し一緒にいた少女に挟んでもらう形で平野を抜ける。
時折目に映るゾンビたちは極力避けるか彼女たちが、槍やメリケンサックで音もなく排除する。
極力目線を隠していたが、マナは血肉がはじけ飛ぶ凄惨な光景を目にしてしまったらしく
表情が青白くなってしまっている…。
おそらく彼女たちも生徒なのだろう、このような人知れない場所で
限りなく人に近い異形をためらいなく排除している様を苦々しく思う…
それにしても、落ちついてきたとは言え、アロナの様子がおかしい
シッテムの箱をチラリと見ると、後ろから刺すように声が飛んでくる。
「ここ、通話は使えないですよー。
使えるのは短距離無線くらいー。」
無線機をひらひらと片手で弄びながら
間延びした口調で釘をさす。
ここはいったい何なのだろうか、私と同じ感情を宿したマナと目が会う。
そうこうしている内に、私達の目の前には不規則に連なるように停車した
貨物車の群れが道を塞いでいた。
「足元、気をつけなよ。」
サヨが貨物車の扉を開け中に入っていく、私とマナも彼女に続き
何度も扉を開けては閉めを繰り返し車内を通って別な車両に移っていく。
そして幾度かの扉を開けると光が差し込んだ。
"ここは、駅…?"
扉の先には、かなり古風な造りの広い駅みたいだ。
周囲には、案内してくれたサヨ達と同じ腕章を着けた少女たちが
どこか厳戒態勢のような空気を纏いながらも、私達を歓迎してくれた。 - 11二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:33:45
「おかえりサヨコ、後ろにいるのが今回の迷子?」
「そ、まさか早瀬のお気に入りがいるとは思わなかったが…」
なるほど、彼女はサヨコっていうのか…いや、そんな事より
知っている生徒の名前が出てきたことに思わず割って入る。
"早瀬って、もしかしてユウカを知っているの?"
「まぁな、それは追々…その前にオレらの会長が待ってる。」
駅の構内に入ると、外観と同じくらい使い込まれているが
とても綺麗に整頓されている。
軋むことも無い木造の廊下、階段を渡り、駅長室とプレートが付けられた
角部屋に私とマナは案内される。
「会長、入るよ。」
ノックもそこそこに、サヨコは扉を開けズカズカ室内に入っていく。
やや広い室内には、応接用と思われるソファとテーブル、そして
正面の上品な設えの机に、1人の生徒が座っていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:35:25
「ただいま、会長ー。
報告通り、迷子のシャーレの先生とトリニティのお嬢さん連れてきたー。」
「ありがとねぇ、ニィナ、サヨコ。
さて、初めましてだね、シャーレの先生とそちらのトリニティのお嬢さん。」
「ぼくは、周藤リコ。よろしくねぇ。」
ゆったりとしながらもどこか達観とした雰囲気の少女が
座っていた机から離れ、私達の前で丁寧に挨拶をする。
私達を案内してくれた2人はリコの隣に並ぶ。
「2人の事はもう紹介されているかな?」
「あっ、そういや名乗ってなかったな。」
「おやぁ…?」
「オレは、木ノ下サヨコ。で、こっちが籔島ニィナ。」
「どうもー。」
おとぼけたやり取りの中で、案内してくれた2人の名前を知る。
私とマナも自己紹介を返した。
"私はシャーレの先生だよ。"
「わ、私はトリニティ総合学園1年の、日向マナ…です。」 - 13二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:36:10
私はこの場所と彼女達について聞きたいが、正直色々あり過ぎて
何から聞こうか迷ってしまい言葉が籠ってしまったのをリコが遮る。
"君たちは…、"
「気になるかい?まぁ、隠すほどの事でもないからねぇ。
安心して、ちゃんと教えてあげるからさぁ…」
ニィナがカーテンを閉め、薄暗くなった室内が
剣呑とした妖しい様子を醸し出す。
優しく穏やかな声が知りたかった最初の1節を告げる。
「ようこそ…呪われた地、祝福から外された学校…
ルイスパリッシュ統合学園へ。」
「歓迎するよ…先生、お嬢さん。」
To Be Continued… - 14二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 20:37:19
このレスは削除されています
- 15二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:03:18
っていう感じに始まる既に廃校となった学園が舞台のイベスト?
みんな好きにこの学園の生徒や設定を作ったりしてもらって構わないよ。
…正直、リアルタイムでss更新できるか怪しいから、力を貸してほしい
一応学園の元ネタとしたのは、このゲーム
https://store.steampowered.com/app/594650/Hunt_Showdown_1896/?l=japanese
- 16二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:15:04
- 17二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:17:05
- 18二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:17:09
祝福から外れた者が感染者って感じかな?
物資に乏しくて銃の手入れ出来てなさそう…
なんか日常に出来た異世界への隙間ってような雰囲気 - 19二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:19:13
ごめん別の者が見えてたわ…なんか街に食べられるみたいだ…
- 20二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:19:20
- 21二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:19:46
- 22二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:20:09
ご飯食べたら載せる。ちょっと待ってね
- 23二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:28:36
ホストアポカリプスってやつか…
フライパンで戦う生徒がいそう - 24二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:34:24
設定載せる前に、まぁ今後明かされるか使われるか分からない
ネタバレ擬きもあるのでご注意を。あと設定は変わることが合ったりなかったりします。 - 25資料:学園25/01/07(火) 21:36:14
[ルイスパリッシュ統合学園]
広大な土地にある、3つの学校が1つに統合された学園。
湿地帯にあるルイシアン農業校、交通の要となる都市部に位置するデルタ商業校、
金鉱山がある山岳付近の丘陵地に位置するセイブル工業校の3つの学園だった。
同じ土地に存在する学園で、3校同士で頻繁に交流があるほど学園同士の仲は良好
ある時、3校同時が定員割れという事態が起こってしまい、当時の学長と生徒会は
どうせなら、統合してしまえば?という比較的緩い考えにより
現在のルイスパリッシュ統合学園へと変遷していくことになる。
統合したことで、各学園を示した、農業科、商業科、工業科に加え普通科が追加される。
生徒会は、伝統と歴史に準じて上位三名は元となった3校の科の生徒が入る決まり、と言われているが
実際は偶然そうなったのが、そのまま慣習となってしまっているだけで普通科の生徒が生徒会長になったこともある。
学園では3校時代から、新入生は献杯と呼ばれる葡萄水と祈祷を行う行事があり、
これらを行った生徒たちは"夜目"が効き「暗視」が使えるという。
本編が始まるおよそ1年前に、各地で頻出する地を這う異形達により
学園内の荒廃が進行、生徒会も尽力したが力及ばず連邦生徒会も入り学園は封鎖
以降は学園全体が原則立ち入り禁止区域に設定されるなど、異例の措置が取られている。
新入生入学前だったため、当時学園に在籍していた生徒は1、2年生のみで
例外なく全生徒は他学園に転入している。
下地にしたのは元のゲームと同じルイジアナ州 - 26資料:観光協会25/01/07(火) 21:38:42
[ルイスパリッシュ観光協会]
当時の生徒会メンバーを筆頭に他学園に転入した一部の生徒たちによる
連邦生徒会非認可の課外活動組織。
目的は、ルイスパリッシュ統合学園の復興、保護、保全
現在は、学園を忘れてもらわないために歴史や資料の管理
イベントの開催も計画しているが、異形の存在により上手くいっていない。
異形からとれる"証拠"や噂を聞きつけて侵入してくるならず者たちの
取り締まりも行っており、協会員全体の練度は高い。
行政に反していると理解しても活動を行うのは、愛しく懐かしき学園を想う心。ただそれだけである。
デルタ商業高の4番目に大きい駅を協会本部として再利用、活動拠点にしている。
生徒たちの武器は、主に元ネタと同じで1890年代ごろの古風な銃を使用している。
参考:Hunt:showdown wiki
武器 - Hunt: Showdown 日本語攻略 Wikiハンターは武器を2つ所持することができ、それぞれの武器はLarge(3マス), Medium(2マス), Small(1マス)の3つのカテゴリに分かれている。 装備できる武器は2丁で計4マス。詳しくは下記のように制限される。 プライマリにLargeの武器を装備 → セカンダリはSmallのみ装備可能。 プライマリにMediumの武器を装備 → セカンダリはMediumかSmallを装備可能。 プラjpngamerswiki.com - 27二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:39:39
マナちゃんの夜目ってそういう事なのね
- 28資料:協会メンバー25/01/07(火) 21:39:42
[協会メンバー]
周藤リコ
ルイスパリッシュ観光協会の協会長を務める
現ミレニアム学園3年生にして元ルイスパリッシュ生徒会の副生徒会長。
穏やかで老練とした雰囲気を纏っている、協会の相談役。
本人曰くお飾り会長。
武器は、カタナとライフル弾と散弾を装填できる複合リボルバー
木ノ下サヨコ
ルイスパリッシュ観光協会のNo.2であり協会のまとめ役。
現ミレニアム学園2年生でリコと共にミレニアムで先進技術による農業や酪農の研究をしている。
荒い言葉遣いやキツめの目つきとは裏腹に、気さくなさっぱりした人物。
武器は、炸薬ボルト投擲機構がついた槍とポンプアクションライフル
籔島ニィナ
ルイスパリッシュ観光協会で主に侵入者の取り締まりや環境調査によるフィールドワークを担当している。
現ヴァルキューレ警察学校2年生で、生活安全局に努めている。
編入でヴァルキューレ入学というなかなかの能力をもっているが
実際はダウナーなのんびり屋。
武器は、短距離スコープを装備したレバーアクションライフルとSAA - 29資料:トリニティ、シャーレ25/01/07(火) 21:41:39
[トリニティ]
日向マナ
友人と共にルイスパリッシュ統合学園に入学しようとしていた
トリニティ学園1年生。
ルイスパリッシュ統合学園が廃校になったと聞き、友人と共にトリニティに進路を変えるが
入学数か月前に、友人が失踪。
時間が経っても手掛かりがなく、連邦生徒会長の失踪のごたごたで
捜査がうやむやになってしまったのを機に諦めかけるが、先生と出会い再び捜索を開始する。
本人の特技として、夜目が効き"暗視"が得意。
武器は、中折れ式のシングルアクションリボルバーと単発式のソードオフショットガン
後に、リボルバーはニィナの手によりストックが付けられる。
[シャーレ]
先生
外からやってきた、シャーレの先生。
イチカからの呼び出しによって、マナと出会い友人を探すために
共にルイスパリッシュ統合学園に赴くが何者?かにより
マナと共に学園内に迷い込むことになる。
学園内では、謎の力により外部との通信が活かせないので
アロナは窮屈がっている。 - 30資料:???25/01/07(火) 21:42:32
- 31資料:異形25/01/07(火) 21:43:26
[異形]
闇から出づる人ならざる亡者たち
普段は、昼夜問わず学園内を彷徨い音に敏感、見つけると襲い掛かってくる。
倒しても倒しても何処からともなく現れており、調査を行った者たちは
ここはある意味、時間が止まった悪夢と称した。
この中でも、"ターゲット"と呼ばれる大型の個体は
特定の建物内を占拠する形で現れ、倒すと神秘を有した純金や純銀のような
"証拠"を残すため、噂を聞きつけた怪しい勢力が学園内に侵入する理由にもなっており
学園閉鎖の原因にして、協会の悩みの種となっている。
歩兵
1800年代後半の服装をした男女の異形
腐敗の様なただれた肌とうなり声をあげ、普段はよろよろとした動きで彷徨っているが
生者をみつけると、小走りで近寄って襲い掛かる。
耐久力は低く、拳銃なら2,3発、頭を狙えば素手でも一撃で仕留めることが出来る。
歩兵に限らず、異形の者は総じて耳が良い。不用意に銃を構えるのは得策とは言えない。
装甲兵
丸まった枯れ木の様な固い外皮装甲に覆われた膨れた異形。
動きは遅いが、有り余る堅牢さを持っており頭部も外皮で隠れているため
高い破壊力を持つ武器以外では、正面切って戦闘するのは正気ではない。
肥大した片腕のかぎ爪も特徴。 - 32二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:43:26
呼ばれてる…?
神隠しってやつだな - 33資料:異形25/01/07(火) 21:43:50
感染者
胸部から突き破った毒蟲の巣を持つ、女性の異形。
体に毒を持つ虫を巣くわせており、常に周囲を飛んでいる。
感知範囲が広く、見つかると毒蟲をけしかけてくるので非常に厄介。
弱点の頭部も、向き出た巣の影響で、背中側に垂れ下がっており狙いづらい。
本体が倒れれば蟲も息絶える。
肉頭
ぶよぶよと肥え太った頭の無い人型の異形と、周囲を這うヒルにより構成される異形。
異形は頭が無く、高い髄力と脂肪により強固で強い力を持ち相手取るのは非常に厄介である。
周囲のヒルは肥沃者の頭部の代わりを担っており、下手にヒルに手を出すと肥大者に伝わる可能性があるため
手を出すのは避けるのが良い。
猟犬
骨がむき出しのまさに地獄から這い出てきたような猟犬。
常に複数で活動しており、見つかると素早い動きで、鋭利な牙と爪による失血に見舞われる。
歩兵もそうだが、稀に頭部に鉄兜を被っている個体も報告されている。
異常者
常に燃え盛っている痩せこけた人型の異形
見つかると、走って襲い掛かってくるが何より厄介なのが
銃撃を受けると爆発し周囲を燃え上がらせるため非常に厄介。
それ以外では爆発も起きないため、近接であれば比較的安全に処理ができる。 - 34資料:異形25/01/07(火) 21:45:02
[ターゲット]
スパイダー
人よりも大きい蜘蛛の異形。
建物内に巣を張り、こちらの動きを制限させたうえで
素早い動きと毒の牙で仕留めようとしてくる。
巨体以外にも、胴体が抉れた人の頭部の様な異様な形をしている。
火が有効。
ブッチャー
豚の頭部を持った屠殺者の格好をしている異形
巨体に見合ったタフネスを誇り肉かけフックとなっている片手で襲い掛かる。
何度か攻撃を加えると発火し、延焼を用いながら果敢に攻撃してくる。
ターゲットは占拠した建物からは出ないため危なくなったら
外に出るのも手だろう。 - 35資料:異形25/01/07(火) 21:45:21
アサシン
複数の蟲が人の形を持った異形
普段は蟲の姿となって建物内を移動しており、攻撃の時だけ
顔が抉れた人の姿となって、手から生やした刃で切りつけてくる。
攻撃し続けると、蟲をこちらに纏わせて視界を封じてくる。
スクラップビーク
ペストマスクのような金属製の鳥の頭と義足を持つ人型の異形
バックパックに廃材や人の一部の様な物を収集しており
手斧等の武器で攻撃してくるほか、投擲、有刺鉄線を敷くなど
他のターゲットと比較すると高い知能を有する行動を起こす。
報告では、接敵時に落とした物資を拾い活用してくるといった行動も見られた。 - 36二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:47:38
以上、設定でした。
異形は元ネタのゲームに登場する敵まんまです設定も
ちなみに、これらの資料(一部除く)は観光協会メンバーと卒業する直前の3年が
作り上げたという設定です。 - 37二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 21:51:25
もともと住んでる生き物に未知の寄生虫が取り付いてそうだな…みんなお風呂どうしてるのか気になるな
- 38二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:11:17
ちなみに、マナの友人の名前が無いのは
単純に決まって無いからです。
なんか良い名前あったらどうぞ。 - 39二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:13:17
沼田クシロちゃんとか?
- 40二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:25:52
先輩達の決死の探索で培われた地図を元に物資を集めたり耕作で日々を生きていそう
普段はトランプしたり探索や農業してそう - 41二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:32:30
- 42二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:34:06
なんというか別荘と言うか…でっけえ部室って感じがした
- 43二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:42:56
食事とか生活とかどうしてるのかな
駅舎の前でキャンプしてる感じなのかな - 44二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 23:17:15
元々通ってた人からは懐かしい元故郷か…なんか過疎化を怖く表現した感じだな
- 45二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:06:02
- 46二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:29:43
【1話エピローグ兼2話プロローグ】
「さて、話をしたいところだけどもう暗くなるからねぇ…
今日は帰った方がいい。」
「えっ!?で、でも…」
ぽんっと気の抜けた柏手を打って
リコは解散を指示する。
私もマナも事情を知れると思ったら突如梯子を外され困惑する。
驚きながらも食って掛かろうとするマナの顔を見て私は腕で彼女を止める。
「せ、先生…!?」
「先生の言うとおりにしな…酷いよ。
あなたの顔色。無理もないか…」
「そういうことだよぉ。それに夜は怖い。
大丈夫、聞きたいことはちゃんと教えるからねぇ。
だから今日は帰って、ゆっくり寝たほうがいい…」
「ニィナ、送ってあげなさい。」
「はーい…」
ニィナに連れられ、部屋を後にする。
扉が閉まる直前まで、リコはにこにこと手を振っていた。 - 47二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:30:26
揺れる車内で、青く不安げな表情をしたマナが俯いている。
ミラー越しに運転してくれているニィナと目が合った。
「大丈夫だよー。私達は学業以外は基本あそこにいるからねー。
それに、こっちも聞きたいことがあるからさー。」
"聞きたいこと?"
「それもこれと含めて明日ねー。」
そう言って、突き上げられた片手にはマナが使っていたはずの
リボルバーが指に引っ掛けられていて、マナは気分が悪いのを
気にすることもなく声を上げた。
「わ、私の!?いつのまに?」
「安心して―。ちょっと窮屈そうだからさー。
協会に来てくれればちゃんと返すよー…おっと。」
徐々に減速し、トリニティ最寄りの駅で停止する。
マナを先に出して後に続く、窓越しにニィナにお礼を言う。
「先生もここでよかったー?」
"うん、ありがとう。あとは私が彼女を送るよ。
…それより、"
「信じれない―?ひどいなぁ、これでも市民の安全のために
日々活動してるんだよー。…信じれないかもしれないけどさー。」 - 48二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:30:56
平坦な口調だけど、どこか寂しそうな悲しそうな遠い瞳が
ニィナの…彼女たちの苦労が思い浮かばれる。
"ごめん、信じるよ。君たちの事。"
口をふっと笑みに変え、信じすぎるのもどうかと思うよー。と
言いながら車を発進させニィナは夜道に消えていった。
車を見送ったあと、未だ不安そうなマナをトリニティ学園前まで送り
私もシャーレに戻ることにした。
不意にリコが言った言葉を思い出す。夜は怖い…と。 - 49二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:31:35
薄暗く灯るガスランプ一つを囲み、駅舎の一室に
リコを含めた生徒達がひそひそと声を交わす。
「どうする、会長?」
「どうもこうもないねぇ、不可思議な事が起きてるし
外にも影響が無いわけじゃないしねぇ。」
「いずれは知られるってことか…」
「私達の活動に影響があるかもしれないよ。」
「言ってもうちらは、どこにも属してないし属すとこも無くした。
互助会以下だよ。」
「もしもの時はー、いろいろ使うからさー。」
「怖…、ニィナお前、今の自分の学校どこか知ってて言ってる?」
「というか、あんた何してんの?」
「今日迷子になってた子の銃を弄ってるー。」
「えぇ…」
「本当に何してんだお前…、怒られたほうがいいよ。」
話題が二転している間に、リコとサヨコ含めた数人は話を詰める。
「どのみち、先生は確実に首を突っ込む。
オレ達が傍で様子を見るしかない。」
「同感、だけど味方につけれれば私達の悲願に近づく。」
「そうあって欲しいけどねぇ…ひとまず最悪を想定して
色々動いて貰うかも…すまないねぇ。」
「気にすんな、会長が想像しているのはオレらも同じだ。
そしてもう一つ…」
「トリニティのお嬢さん…気になる
というより、どこか引っかかるよ…」
静かな夜は頼りない灯と潜む様な小さな喧騒に溶けていった。 - 50二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:32:28
取り合えずここまで、おやすみ。
- 51二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:33:56
- 52二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 06:01:03
- 53二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 11:25:51
- 54二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 17:50:06
移動する時に関わりそうな人…
- 55二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 19:05:09
- 56二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 19:06:00
とりあえず睨み合ってる生徒たち…?
- 57二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:13:28
このレスは削除されています
- 58二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:18:20
- 59二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:23:41
- 60二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:36:18
翌日、マナと共にルイスパリッシュ統合学園へと赴いた。
昨日はわかりづらかったが、学園までの道はやけに寂れているのが印象に残る。
隣でマナは両手を突き出し何かを見ていた。
"マナ、大丈夫?"
「あっ、は、はい…大丈夫です。
昨日ゆっくりは眠れませんでしたけど…」
"無茶はしないでね。"
廃れた線路を辿っていくと、古い造りの駅のホームが見える。
かすかに見える黄色線を越えた淵に、昨日知り合ったばかりの少女が
しゃがみこんで手をひらひら振り私達を見下ろしていた。
「やぁやぁ、よく来たねぇ…先生、お嬢さん。」 - 61二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:37:09
見下ろしていた少女、リコに案内され
私達は昨日訪れた駅長室に再び通された。
中にはサヨコ含め数人の生徒たちが
物々しい空気感を漂わせながら待機している。
ソファに通された私とマナの前に、コーヒーと
艶やかな焼き色のアップルパイが出された。
「実は林檎がいっぱい採れたんだよぉ、
よかったら消費するのを手伝って欲しくてね。
話も…長くなりそうだからねぇ。」
目の前に座ったリコは、コーヒーを口にし一呼吸置く。
私もひとまず彼女に倣ってコーヒーを一口…酸味がアクセントのあっさりとした味わいだ
シャーレではあまり飲まない味に良い意味で驚く。
隣のマナはアップルパイに手を付けたみたいで、口に手を添えながら
遠慮がちに美味しいと目を輝かせていた。 - 62二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:38:10
「さて、昨日の続きを始めよう、何が聞きたいのかな?
先生、お嬢さん?」
"此処は、君たちは何者なのか、教えて欲しいな。"
私の質問に、部屋にいた生徒たちはリコの後ろに並ぶ。
「ここは、「ルイスパリッシュ統合学園」既に廃校となった呪われた地の学園だよぉ。」
「きみ達の目の前にいるのはその残滓、「ルイスパリッシュ観光協会」
この学園の復興を目標に、保全や昨日のきみ達の様な迷子や密猟者の保護をしているよ。」
「改めて挨拶しようかね、ぼくは周藤リコ、「ルイスパリッシュ観光協会」の協会長をさせて貰ってるよぉ。」
リコを含め、後ろに並んだ生徒達の腕章が頷きと共に揺れる。
少なくない視線にさらされながら、マナが口を開いた。
「あ、あの、私、友達を探していて…先生は私を信じて
ブラックマーケットまで付いてきてくれて…」
「やっぱり、ブラックマーケットからか…
友人を探してるのは分かったが、場所が場所だ。
危ないことでもやってるのか?」
納得といった感じでサヨコが口を挟む。
それを慌てて否定しながらマナは話を続けた。 - 63二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:38:15
お腹減ってきたな…
- 64二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:39:13
「ち、違います!え、えっと…信じられないかもしれませんが
私は、こう、両腕を目の前にかざして目を開けると、なんというか…」
「"夜目"が効く…違うかい?」
「…はい。」
リコはマナの次の言葉を言い当て、私もマナも驚愕に染まる。
「そして探してる物が炎のような光で揺らめいていたり?」
「はい、橙色の明るい光で…」
マナの言葉にリコの目尻がピクリと動いた。
「きみ、この学園を知っているね?」
マナがここを知ってる?
彼女を見ると苦笑いしながら答えた。
「は、はい、私が知っている時と
雰囲気が違い過ぎて…気づかなかったです…」
「だろうなぁ…」
観光協会の誰かがぼやいた。 - 65二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:40:03
「私、友達といっしょにここに進学する予定で
体験入学にも来ていたんです…。
けど、入学数か月前に廃校の知らせが届いて…」
「色々あったからね、先生達も見たでしょ、あの異形。
あれが私たちの学園が亡くなった原因。」
"ところで、マナの夜目がここを指してた理由は…"
「それは思いつかないけどねぇ、"暗視"が使えるのは
ぼくたち学園の者くらいのはずだけどねぇ…。」
沈痛になりかけた雰囲気を変えるように尋ねた質問は
別の種を作るだけだった。
「そもそも暗視は献杯をしないとダメだったよな。」
「あれ?当時の体験入学ってそれもやってなかった?」
「やってた筈だよ、あくまでジュースを使った簡易的なの。」
「緑色のラベルのやつね。」
「はて…ラベルなんて無かったような…」
「そうそう、あれ美味しくてつい盗みn…」
「「「ん?」」」 - 66二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:40:31
1人、リコだけ発した言葉に後ろの生徒全員がリコを見る。
「あの時、ジュース用意したの誰だっけ」
「生徒会のはずだ…」
「たしか生徒会長が用意する予定だったんだよね?」
「あぁ~、そうそう、急遽来場者に向けてのスピーチをしなきゃとかでねぇ
ぼくが代わりに、倉庫から体験用の…」
「会長、体験用のは倉庫じゃなくて準備室のクーラーボックスのはずだよ…」
「…おやぁ?」
それまでの静かな空気が爆発した。
「それ、献杯用の葡萄水だよ!?」
「なにやってんだアンタ!」
「そら夜目も効くようになるわなぁ!?こいつは耄碌してっけど!」
「ババァが!後進に道を譲る時かぁ!?」
「昼間っから酩酊してんじゃねぇぞ!」
「お客さんにへんなもん飲ませないでよ!」
「わ、悪かったよぉ…っていまババァって言わなかったかい!?」
リコに無数の小言や小突きが突き刺さる。
それまでの空気がどこへやら、学生らしい楽し気な喧騒が
私とマナの前で繰り広げられる。
揉みくちゃにされながらも、何とか佇まいを直したリコが
こほんと咳をして、話を戻す。 - 67二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:41:24
盗み飲みしたんか!?
- 68二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:41:25
「さて、お嬢さん、きみはここで友達を探したい。
昨日ここで見たものを知っても、それでも探すのかい?」
マナとリコの視線が交差する。
時間にして数秒だったけど、それよりも長く感じる程。
「はい。私は彼女を見つけたい。」
「わかった。サヨコ。」
後ろに立っていたサヨコは、テーブルに近づき
マナの前に一丁の銃を置く。
それは、昨日ニィナが持って行ったマナのリボルバーだった。
「わ、私の銃…あれ、けどストックが付いてる?」
「ニィナいわく、お前の小さい手や線の細い体じゃリボルバーじゃ窮屈ってな。
ストックがあれば少しは使えるようになるってさ。」
「あ、ありがとうございます!あの、ニィナさんは?」
マナの銃を調整した件の本人がいないことにマナは疑問を持つ。
たしかに今日は一度も彼女を見ていない。
サヨコが至極当たり前の回答をする。 - 69二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:43:08
「アイツは今日、出勤。」
"出勤?"
「ニィナはヴァルキューレ所属だからな。」
一瞬の沈黙、マナが私よりも先に驚く。
「に、ニィナさんヴァルキューレの方だったんですか!?」
「そ、ちなみにオレと会長はミレニアムサイエンスクール。」
"あっ。だから、ユウカを知っていたんだね。"
「あぁ、ま、それなりに仲良くさせて貰ってるよ。」
「ぼく達は、廃校の一部を占有してる。おかしな集団だけど
ちゃんと別な学校に編入しているからねぇ…」
その言葉を皮切りに、生徒たちからは
実はあなたと同じトリニティよ。あーしはゲヘナ!と
生徒たちが別な学校に属していることを教えてくれる。
「そういう訳で納得してくれたかい?」
「はい。」
"君たちが新しい場所で
学生生活が送れているみたいで良かったよ。"
話も一段落し、リコが暗くなる前に出ようかと言った。
いよいよ、と緊張が走るのもつかの間、サヨコが待ったをかける。 - 70二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:43:47
「その前に、マナだっけ?
アンタは訓練。」
「えっ…」
「ストックが付いたとはいえ、すぐ的に当たる訳じゃないしな。
腰に隠したその散弾銃があっても、今のアンタじゃいざってときには頼りない。」
「あ、あの…」
「ほら、行くよ。」
サヨコに手を引かれ、慌ただしく部屋を出るマナと
後に続いて他の生徒達も部屋を出て持ち場に戻っていった。
私とリコだけがこの場に残される。 - 71二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:44:16
コーヒー、入れ直そうかね…」
新鮮な湯気が立つコーヒーを片手に、リコは語る。
「ちょっとわざとらしかったかねぇ…?
先生と話したいことがあってね。」
"そのために私と2人きりに?"
「そう、先生もこの学園の事は知りえていたんじゃないのかい。
まぁ、それよりも…あのお嬢さんの"夜目が効く"の事だよ。」
夜目、マナいわく探し物が揺らめく光となって見える特技。
「先生の事だから、ぼく達のも夜目が効くこと察しているだろうねぇ。
ぼく達は「暗視」と呼んでいる、というのはまぁどうでもいいかな。」
「ぼく達も彼女と同じものが見えるんだよ…」
リコはマナと同じように両の掌を正面に向け目を開ける。
「1つだけ…ひとつだけ違うのは、ぼく達が見える光は青い揺らめきなんだよ。」
To Be Continued… - 72二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:46:06
まさか…賞味期限切れ!?
- 73二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 00:46:49
ちょっと生徒数多くて見づらいからセリフの横に名前を書いてくれると読みやすい
- 74二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 11:03:12
廃校になった関係で各地の学校に編入したけど仲良くやれてるのはいいね
- 75二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 12:42:10
面白いよ
続き待機 - 76二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:14:46
- 77二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:28:58
- 78二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 21:46:18
- 79二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 21:48:49
- 80二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:27:06
- 81二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 10:30:36
続きが楽しみ
- 82二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 10:31:32
おお…走行中の景色良さそう
- 83二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 16:06:56
汽車の前に空っぽの貨車(ラピュタのアレ)を繋いで
生徒をその貨車に乗せて走らせながら感染者を蹴散らすとか楽しそう - 84二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 22:29:31
- 85二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 00:45:42
- 86二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 12:30:40
保守
- 87二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 14:19:43
保守の時間のスパンってどれ位が良いのかな
- 88二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 19:05:39
保守
- 89二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:50:31
- 90二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:32:40
「ぼく達が見える光は青い揺らめきなんだよ。」
青い光…マナは炎の様な光と言っていた
それを聞いて、私は赤やオレンジと言った
明るい色を想像していたが、リコの言うことが本当なら
マナとリコ達では見えているものが違うのだろう。
"どうして見えてるものが違うのかっていうのは?"
「見当もつかないねぇ、そもそも「暗視」事態も不可思議なモノ…
それ以上の事は分かってないよぉ…」
「唯一言えるのは「暗視」に必要なのは
この地で育った葡萄、この地で湧いた水、
そして…この地で伝えられた言葉、それだけだよぉ。」
彼女達にも原因は不明らしい。
私はもう一つの疑問を投げる。
彼女達がどうして、ここに残っているのか… - 91二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:33:14
"君たちはどうして廃校となったこの学園に?"
「それは、理由を知ってて聞いているんだよねぇ?
だとしたら少し…意地悪じゃないのかい?」
"うん、調べさせてもらったよ。
連邦生徒会の報告では災害により荒廃が進行
学園の維持が困難になり、土地ごと封鎖されているって。"
「まぁ、そんなとこだねぇ…
災害ね…公にはそう記録されいるんだねぇ。」
"本当の原因は昨日私とマナを襲った…"
「そう、突如としてこの地を覆った闇から這い出るモノたち
原因もなにもかも不明、ぼく達に仇なす事くらいかねぇ。」
詳細はこれだよぉ、と棚から分厚い資料を取り出した。
パラパラと数ページ覗いてみると、発生時期や習性、写真に考察
リコ曰く当時の3年生と共に数ヵ月で記録したと言っているが
そうとは思えないほど仔細に纏められており、昨日私とマナが出会った
異形、"歩兵"の情報も載っていた。
資料を閉じて、私は自分に言い聞かせるように
リコに宣言した。
"うん、状況は分かった。
私にどこまで、できるか分からないけど
「先生」として君たちの力になるよ。"
リコは目を丸くしたと思ったらすぐに表情を戻し
私に忠告をする。 - 92二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:33:56
「とても嬉しい言葉だけどねぇ…
昨日ニィナにも言われたんじゃないのかい?
信じすぎるのもどうかとって…」
"そうだね、けど君たちの話を聞いて
先輩の、学園への想いを冒涜するような子達じゃないってのは
既に知っているよ。"
「……はぁ、なんというか…いつか後悔するよぉ、先生。」
手で顔を覆い呆れたようにリコはぼやく
稀にこのような反応を生徒達からもらうなと片隅で考えていると
リコは雰囲気を正して、私に問う。
「先生、知った通り、この学園は危険だよぉ…
それでも、あのお嬢さんに着いていくのかい?」
"もちろん。"
「だよねぇ…、先生、ひとつ約束してほしい
協会の外では絶対に我々から離れず、我々の指示に従うこと。
この学園はあなたにとって、危険すぎるからねぇ。」
射貫くような視線に、静かに強く頷く。
「そろそろ、お嬢さんの訓練も終わっているだろうねぇ。
気を付けてねぇ…先生。」 - 93二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:34:34
リコとの話し合いを終え、駅舎の表に出ると
疲れた表情をしたマナが出迎えてくれた。
「せ、先生…話は終わりまし…た?」
"そ、その前に大丈夫?マナ。"
「だ、大丈夫…です。」
「厳しいようだが、ここは広大だし危険だからな。
その体調のまま走って逃げるくらいは出来てもらわないと困る。」
「あはは…、けどサヨコちゃんの言うことには同意かな。
頑張って!マナちゃん!あーし達もサポートするから!」
サヨコの後ろからピョコっと飛び出した
綺麗な金髪とそれに見合った溌剌な少女は
フレンドリーな様子でマナをフォローする。
"えっと君は…"
「ちゃんとした挨拶がまだだったね。
あーしは、山城リリ!
ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやってるよ。
ニィナが今日はお仕事だから、あーしが代わりに手伝うって事。」
"よろしく、リリ。"
「マナ、先生、準備はいいな。行くよ。」 - 94二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:34:58
昨日入ったバリケード代わりの貨物車を抜け、
私達は再び、不気味なほど静かで牧歌的な景色が続く
ルイスパリッシュ統合学園に足を踏み入れた。
マナの暗視に従い、私達は周囲に気を配りながら
目的地を目指す。
「ひ、光が大きくなっています…
結構、近いかも…です。」
「ってことは、デルタ地区内か。
案外すぐ終わりそうだな。」
"この学園ってたしか3つの学校が一つになってるんだよね?"
「そうだよ。いま、あーし達がいるデルタ地区にあった
デルタ商業高、ここから西に進んだ位置にあるセイブル地区のセイブル工業高、
北に位置するルイシアン地区のルイシアン農業高が統合してできたのがルイスパリッシュってわけ。」
「広すぎるから、リリが目指してる鉄道が発達してるとこもあったんだが
今じゃ見る影も無いのがな…、先生、ここが観光地としても栄えてたなんて信じられると思う?」
"サヨコの口ぶりからだと、かなり賑わっていたんだろうね。
私も見て見たかったよ。"
「…まぁな。」
誇らしげにそして寂し気な表情を浮かべながら、
サヨコは肯定した。
リリも同様だが、やはりその瞳は遠くへ向けられている。
代々の誇りが原因不明の何かに一瞬で崩壊させられた気持ちは
想像に難くない。
それでも、彼女達は気丈に今できる事を模索し実施している。 - 95二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:35:25
サヨコの指示に従い、歩道から草むら、時には建物の中や
陰に紛れながら気配を消して進む。
「あ、あのどうしてここまでコソコソする必要が…?」
「1つは、無用な戦闘を避けるため、ここは補給もままならないし
時間の無駄になる。あいつらはヤってもヤっても何処からか現れるし…」
「もうひとつは…」
リリが言葉を続けようとした瞬間、パン!と甲高い銃声が何処からか響く。
音の聞こえ方からして遠方のようだ。
「今みたいに誰かがいた時に撃たれないためだよ。
ここはスマホが使えないし、密猟者もいるから
同士撃ちを避けるためにも基本は隠れて行動するの。」
"密猟者?"
「あぁ、異形の中には「ターゲット」と呼ばれる奴らがいてな。
そいつらが金になりそうなものを落とすから、どこからか知った奴らが
この学園に入り込む。特にブラックマーケットから来たのがな。
他にもアンタらみたいな迷子とか。」
ブラックマーケット…、そういえば私とマナもそこから
この学園に迷い込んだ。
なにか関係があるのか、それとも何か惹かれるものがあるのか…
ん、なんだろう?微かに遠くに見える赤い服の人影と目があったような…
そう思った瞬間、黒い靄の様な物が小刻みな雑音を刻みながら、こちらに近づいてくるような… - 96二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:35:57
"サヨコ、なにか靄が…"
「靄…?、まずい!感染者!」
「まかせてサヨコちゃん!」
目の前に躍り出たリリは片手に握っていたリボルバーを
即座に正面に構え、一発銃声を響かせた。
音が完全に止む前に感染者は倒れ、靄も霧散する。
「す、すごい…あの距離で、一発…
頭の位置も背中側にめくれているのに…」
「どう、マナちゃん?あーしはこれでも、
ピストルの腕は協会内でもかなりのものなんだよ。」
自慢するように、リボルバーをクルクル回しホルスターに収める。
華麗なガンプレイに私とマナはおぉーっと感嘆の声を上げた。
「とりあえず感染者に襲われなくて良かった…
解毒剤を持ってきてはいるが、先生が喰らったらどうなるか…」
"えっ、毒?"
「先生が見た靄はね、小さい蟲たちだよ。
感染者は抉れて肥大化したあばらの中に毒を持った蟲の巣があるの。」
その一言に私とマナはゾッとする。
昨日の歩兵以外にも、異形がいるのは見せてもらった資料から分かってはいた。
だが、その危険さを正しく認識できていなかったのかも知れない。
私は無意識に唾を飲み込み、マナも銃を握る手が強くなっている。 - 97二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:37:39
「マナ、目的地は?」
「えっ、あっ、はい!」
マナは暗視を使うと、一つの建物を指さした。
「工場用の納屋か…嫌な感じがするな…」
「サヨコちゃん、もしかしたら当たってるかも…」
暗視を使ってマナが示した大型の納屋を見ているリリが呟く。
サヨコは少し考えた後、少し離れた位置にある赤い屋根の櫓を指した。
「ひとまず、あそこに行く。連絡も入れたい。」
近づいてみると櫓と言うよりは高床式の住居といった
赴きある建物で屋根には、大型のアンテナが設置されている。
「ここはね、広大な学園内の…まぁ、休憩所と言うか自然観測所って言ったらいいかな?
異形が現れてからは、本来の使い方に加えて
協会や他の休憩所と連絡を取る中継基地も担ってるの。」
「だ、だからアンテナがあるんですね。」
リリが説明してくれたそばで、サヨコは特定のリズムで
扉にノックをしていた、密猟者がいることからおそらく符合のようなものだろう。
反応が無いのが分かると、ゆっくりとドアを開け
私達を呼び込む。どうやら誰もいないみたいだ。
中はこじんまりとしたワンルームで小さなコンロもついていることから
数日の寝泊まりはできる環境みたいだ。
リリは机に備えられている無線機を操作しだした。
その間にサヨコは私達に現状を確認する。 - 98二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:38:25
「マナ、あそこにいるんだな?」
「は、はい、今も光はそこを示してます。」
「…そうか。」
"どうかしたの?"
難しい顔をしながら、サヨコは続ける。
「オレとリリもあの納屋を示してる。
ただし、オレ達の場合は人じゃなくて"ターゲット"だ。」
「ターゲット?」
「ひと際大きな異形だ、特定の建物から出る事は無いが
他の異形と比べると強大で、"証拠"っていう金や銀の様な物を落とす。
さっき話した密猟者の原因だ。」
"待って、同じ場所をさしてるってことは…!"
「あぁ、最悪を想定した方がいい。」
その言葉を理解した瞬間、飛び出そうとするマナをサヨコは抑える。
「落ち着け!まだそう決まったわけじゃない。」
「で、でも!」
「そのためにも、リリが今連絡をとってる。
焦って、あなたがターゲットの餌食になる方がよっぽどありえる。」
焦燥した様子で窓の向こうを見るマナは、何かを見つけたようで
急に大人しくなる。
「サ、サヨコさん、あれ…」
「どうした…?」 - 99二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:38:57
マナが指さした方を見ると、私達の観測所の目の前を
3人のスケバンが全力疾走しているのが見え、その後ろを追うように
3匹の犬が駆ける。
スケバンは後ろを振り返ることも無く、私達が目指す納屋へと前進する。
「嫌なことってのは、どうしてこう連鎖するんだ!
リリ!納屋に向かってる奴がいる!」
「嘘!?」
通話していたリリが慌てた様子で、窓に近寄ると
スケバンたちは納屋へ避難する直前だった。
「最悪…!」
「もっと最悪だ、リリこれで納屋を見て見な。」
サヨコは、リリに単眼鏡を手渡す。
私は、シッテムの箱のカメラを起動させズームして納屋を見てみる。
ボロボロの外観だが、それ以外に特に異常はないように思えたが
窓がやけに白い…いや白い何かがへばりついている…?
"蜘蛛の巣…?"
「そうだよ先生、ターゲットはスパイダーだ。」
「このまま、納屋へ直進する!
マナは先生の傍に!」
「わ、わかりました!」 - 100二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:39:54
連絡を手短に済ませ、急いでスケバンたちの後を追う。
納屋の前で唸っている犬が私たちの足音を耳にし
こちらに振り向いた、痩せこけ頭部やあばらの骨が見えている
ありえない形相に息をのむ。
3匹の内、2匹が挟み込むように動く
リリが腰のホルスターから2丁のリボルバーを引き抜き
弾丸を発射する、左に動いた犬は頭に当たり活動を停止するが
右に動いた1匹は前足を掠めただけで、鈍くなるが止まるそぶりは見せない。
「あ、当たって!!」
恐怖を紛らわすように祈りながらマナのリボルバーから弾が2発放たれ
1発は横を通り過ぎたが、2発目は体に命中し倒れ伏した。
「ナイス!マナちゃん。」
残る1匹は、噛みつく寸前のとこをサヨコが槍で薙ぎ倒した。
刹那、納屋からスケバンと思われる叫び声が上がる。
「リリ、マナ、弾を込め直したらすぐに同じ入り口から納屋に入る。
先生はいつでも外に出られるように扉の近くに、ターゲットは建物内からは出てこない。」
"分かった。"
マナとリリは弾を込め直し、サヨコは扉に手をかけ待機する。
リロードが完了した二人はサヨコの目を見て頷く、サヨコは勢いよく扉を開けた。 - 101二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:40:25
広い納屋の中は、巨大な蜘蛛の巣が所々に張られ人が作った人工物よりかは
もはや"巣"と呼べる様相へと変化していた。
「サヨコちゃん、上にいる、近づいてくるよ。」
「オレが引き付ける、リリたちはスケバンの保護を優先して。」
ガサガサと何かが這う音が壁や蜘蛛の巣を伝わって聞こえてくる。
私とマナ、リリは隅で震えている3人に近づく。
"大丈夫!?"
「ひっ!?だ、誰だ?アンタら!」
「大丈夫、落ち着いて。あーしはルイスパリッシュ観光協会のリリ。
こっちはシャーレの先生、君達を保護しに来たよ。」
「ほ、本当か…、こ、ここに来てから変なのばっかに追い回されて
お、おまけに連れが化物に襲われて苦しそうだし…。」
しだれかかるようにスケバンの一人に体を預けていた子は
青白い顔で、見るからに衰弱していた。
「毒…スパイダーに噛まれたね…」
「リリ、来るぞ。」
「マナちゃん、先生達をお願い。」
「は、はい!」 - 102二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:40:56
暗視でスパイダーの動向を追っていたサヨコは
暗視を止め、もう一つの得物のポンプアクションライフルに持ち変える。
不快な足音を響かせながら、穴の開いた天井から巨大な蜘蛛、スパイダーが顔を出した。
サヨコはすぐさま、スパイダーに向けて発砲する。
銃身下部の給弾機構を素早く前後させ、手動とは思えない連射射撃を繰り出し
スパイダーに撃ち続ける。
弾丸を受けながらもスパイダーは天井を進み、スケバンに前進するのを
待ったをかけるようにリリの2丁のリボルバーが火を噴く。
顔面に銃弾を浴びたスパイダーは甲高い奇声を上げ
スケバンを無視し、再び上に隠れる。
「2階に逃げたか。」
「動き回ってる…暗視で追い続けるのはキツイかな。」
2人は、暗視で見た位置と音から出現場所に当たりをつけるが
モグラ叩きのように、出現しては隠れてを繰り返すスパイダーに翻弄されかかっていた。
「リリ、次にあいつが顔を出したら
限界まで引き付けてから撃ってくれ。
オレは2階に向かう。」
「無理しないでね。」 - 103二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:41:20
リリは頭の中で、右に4発、左に3発と残段数を数える。
巣の上を歩いているのか、足音が小さくなったスパイダーを暗視で追う。
再び壁の隙間から、階下に顔を出しそうになるのを察知すると
サヨコにアイコンタクトを送り、受け取ったサヨコは2階に駆け上がった。
スパイダーはサヨコの足音に反応し、リリの前に姿を現す。
ここでリリが発砲すればスパイダーは上に逃げる、そこをサヨコが仕留める
壁を這いながら直進するスパイダーに狙いを定め、シリンダーが回転する。
銃弾が着弾するが、スパイダーは壁から離れ床に接地するとバッタの様に
勢いよく跳躍した。
「しまっ…!」
思わずしゃがんでしまったリリの背には、先生とスケバンが固まっている。
このままでは、彼女達が…数秒が長く引き延ばされる。
リリは動けと強く念じながら、右手を伸ばした。 - 104二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:41:45
スパイダーがリリを飛び越し突進してくる、マナは自分の後ろと
迫る脅威に呼吸と動機が荒くなる。
逃げ出したくなる心とすくむ手足を、友人に会いたい
ただそれだけで無理矢理動かした。
「あ、ああぁぁ!!」
腰に差していた単発式ショットガンを構え迷いなく引き金を引く。
轟音と共に炎がスパイダーを焼いた。
「ドラゴンブレス弾…」
燃え盛りながら吹き飛びひっくり返ったスパイダーは
もがき、奇声を上げながらも再び起き上がる、もういちど襲い掛かろうとするのを
2階から飛び降りたサヨコの槍がスパイダーの頭に突き刺さる。
「これで落ちろ!」
スパイダーから足を下ろし、槍を引き抜くと
異形はぽろぽろと黒い煤の様な塊に崩れ落ちた。 - 105二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:42:21
"マナ!大丈夫!?"
「せ、先生…はい、ただ…その…」
「マナちゃん、大丈夫!?」
「は、はい、リリさん…けど、その…」
歯切れが悪いまま、マナは言った。
「こ、腰が抜けて…」
マナは、へなへなとそのまま床に腰をつく。
ひとまず安心した様子に、私とリリはホッとする。
リリは、マナをお願いと私に頼み、スケバンたちに近寄る。
「待たせてごめんね、ちょっとチクっとするよ。」
マナは注射器を取り出し、毒を受けたスケバンに注射をする。
スケバンは顔色が悪いのは変わらないが、呼吸が穏やかになっているのを見ると
解毒剤は効いたみたいだ。
「ひとまず安心だね、けどちゃんと医者にかかってね。」
「あ、ありがとう…。」
「良かった…あたしたち、もうここで死ぬのかと…。」 - 106二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:42:54
スケバンたちに安堵していると、奇妙な声が聞こえる。
サヨコの方へ目を向けると、倒されたスパイダーに向かい何かを唱えている。
マナも気になっているみたいで、私は肩を貸してサヨコに近よる。
"何をしているの。"
「浄化だよ、人だって亡くなったら念仏唱えて
天に送るでしょ?同じだよ、穢れをそのままにしないように。」
「浄化…」
唱え終わると、スパイダーだったものが青く燃え上がり
熱の無い光がチリチリと燻る。
マナは浄化という言葉を噛み締めているように見える。
もしかしたら、彼女の友達は…
燃え残りの様な小さな光が収まると、金属の様な物が
煤の中から顔を出す、おそらくこれが"証拠"だろう。
"ん?これは…"
「どうした、先生?」
私は証拠の下に埋もれた、紙の切れ端を拾い上げる。
それはボロボロのノートで、古びて少し滲んでいるが何かが書き込んであった。
横からノートを覗き込んだマナは、文字を見た瞬間血相を変える。 - 107二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:43:30
「せ、先生、それ見せてください!」
"マ、マナ、ちょっと暴れないで…"
「み、見せて…あっ!」
ノートを見ようと体を捩っていたマナは腰が抜けているのを忘れて
そのまま床に倒れこんだ。
「なにやってるの、あなた…」
「す、すみません…」
サヨコに呆れられながら、マナは何とか体を起こす。
私はノートをマナに渡すと、紙面をまじまじと見て呟いた。
「ま。間違いないです…これは、友達の字です……」
To Be Continued… - 108二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:46:09
- 109二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 10:19:58
乙でした
しっかり楽しませて貰いました
戦闘描写とか良かったですよ! - 110二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 12:15:38
次の話で、マナの友人の名を出そうと思っているので
次更新するまでに出た案をダイスで決めようと思います。 - 111二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 12:47:55
お待ちしてますよ!
- 112二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 14:19:18
続き来て嬉しい!
友人のノートが見つかったけど本人はどうなったのか… - 113二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 17:15:10
- 114二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 19:06:37
- 115二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 19:28:55
全然いいですよ。大歓迎です。
- 116二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:52:44
元ルイスパリッシュ統合学園の大地に太陽の陽が当たる。チチチと小鳥の鳴く声が僅かに聞こえ、眠る者を起こそうとする。
金曜日の放課後から元ルイスパリッシュ統合学園に集合していた少女達は各々のペースで目覚めを迎えていた。
…が、寝袋で不貞不貞しく眠りこける少女が1人居た。目にも鮮やかなシルバーブロンドの髪をリボンで纏めている。
その時、不貞不貞しく寝ている少女に近付いてくる1つの影があった。右手にフライパン、左手にお玉を持って。
「起きろ、リリ。朝ご飯だ」
カンカンカン、と軽快に鳴らされる金属音を頭上で響かされ、リリと呼ばれた少女はモゾモゾと寝袋に潜り込もうとする。
「抵抗は無駄だ、朝ご飯が冷める」
「スズちゃんやーだぁ」
スズと呼ばれた黒髪に獣耳を生やした、背が高くスレンダーな少女は、リリから寝袋を引き剥がしながら答えた。
「リリの大好きなオレンジも用意してる」
「ホントに!?」
「ああ、だから早く顔を洗ってくるといい」
寝袋から抜けだしパタパタとタオルを片手に駅舎の外にある水道へと走って行く友人を見て、やりきったとばかりにスズは小さく息を吐いた。 - 117二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:53:32
「今日は東の方の線路の様子を見に行くんだったな?」
「そうだよー。分岐のポイントとか枕木の痛み具合を調べるの。あと給水塔も軽く」
「そして『アレ』の整備も、と…」
食後のコーヒーを飲んでいたスズはチラリと駅舎の脇に停車されている汽車を見た。
「バーミリオン号、何時になったらマトモに走らせられるのかな…折角ボイラーもミレニアムに掛け合って高性能な『強烈沸騰・瞬間湯沸かし君』に改造して貰ったのに」
オレンジを食べ終えてやれやれと肩を落とす友人にスズは声を掛ける。
「私達の活動は微々たるものだが、リリの頑張りは皆から認められている。それに私もバーミリオン号が元気に走る姿を見たい」
「えへへー、ありがと」
その時不意に1発の銃声が響いた。2人は素早く銃を取ると駆け出す。
「行くよスズちゃん! 今日もルイスパリッシュの為に!」
「ああ…!」
私達の青春《ブルーアーカイブ》は、まだこれからなのだ。 - 118二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:54:24
お目汚し失礼しました。
リリとスズを使って『とある日の日常の一コマ』
みたいな感じで書かせて貰いました - 119二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:06:08
- 120二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:20:46
いえいえ、此方こそどう致しまして
- 121二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:39:15
寝る前の保守
- 122二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:01:22
ほ。
- 123二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 15:09:02
果たしてこの学園を襲った災厄は祓う事が出来るのか
暗視の謎とは? 化け者共は何所から来たのか
謎を紐解いていく今後の展開に期待と待機 - 124二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 15:26:22
そういえば、言ってなかったけど
スレ画は、マナのつもりでトリモブの立ち絵に麦わら帽子を被せてます。 - 125二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 15:51:48
成る程、そう言う事だったのか
- 126二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:05:26
- 127二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:10:44
「ま。間違いないです…これは、友達の…クシロの字です……」
マナが興奮した様子で告げる。
今すぐにでもその場で調べ始めそうなのをサヨコが止める。
「手掛かりが見つかったのはいいけど、今は一度帰ろう。
陽が傾いてるし夜は怖いと会長も言っていたよな?
オレ達だけならいいがマナと先生は慣れていないし、怪我人もいる。」
視線を合わせたサヨコに見つめられ、マナは下唇をぐっと噛み締め小さく頷いた。
"大丈夫、確実に友達に近づいてるよ。"
「…はい。」
腰の抜けたマナに肩を貸し、スケバンを介抱している
リリへと向くと、私達が入ってきた納屋の扉から数人の
観光協会の生徒達が入ってくる。
「リリ、いるか?
ターゲットと密猟者は?」
「スズちゃん!こっちだよ!」
頭にシロコに似た三角耳を立てた長身の彼女は
リリに駆け寄り、共にスケバンの保護に回る。
私達も、応援に来てくれた協会の生徒と共に
協会本部に戻ることにした。 - 128二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:11:42
「なるほどねぇ…うん。お疲れ様、みんな。
それで、これが証拠と共に出てきたノートかねぇ…」
「保護した人達はひとまず大丈夫。
経緯を聞いてみたら、
いつもの通りブラックマーケットで
お金に釣られて雇われた密猟者だったみたい。」
駅長室にて、私達はリコに今回の仔細を報告していた
保護したスケバンたちも無事なようで、協会の生徒により
元の場所に送り届けているとのことだった。
そして、私含め皆の視線はひとつのノートに向けられる。
リコやサヨコ曰く今まで証拠以外の物が
ターゲットから出現したことは無いらしい。 - 129二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:12:33
「はい、お嬢さん。」
「あっ、はい…え?えっ!?」
リコはノートを何の気なしにマナに渡し、
渡されたマナは唐突なことにあたふたと困惑している。
「君の友達のなんだろう?
なら君が目を通すべきだと、ぼくは思うねぇ。」
「は、はい…ありがとうございます。」
マナはボロボロのノートに綴られた滲みかけた文字を
なぞるように読み始めた。 - 130二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:13:44
『進学を考えなくちゃいけない時期になった。
マナからルイスパリッシュ統合学園の体験入学に誘われた。
学園には4つの科があるみたい、マナはどこにしようかと目を輝かせていた。
私は、どうしよう。マナはどの科にするって言うかな。』
『マナと一緒に体験入学に行ってきた。
生徒会の副会長の案内で「献杯」っていう少し変わったレクリエーションをした。
マナは注がれたぶどうジュースを渋いねと苦笑いしていたけど
いっしょにそうだねって返したけど。とても、染み入る味だった。
学園の先輩たちは、だれもがどの科の人たちも優しくて熱がある。
マナはルイスパリッシュ統合学園に進むって決めたみたい。
私は───』
『あれから、目を開けると闇の中に光が見えるようになった。
周りがざわめき立って、一つを見つめる、いや見つめられているような。
何故か、あの静かな闇が私を見つめる暗闇が、少し心地よいような。
まだ、マナには言ってない。』
『私をみつめる視線は、まるで呼びかけるようで
気が付いたら私は、あの暗闇の中にいた。
私とマナが住んでいた場所とはまるで違う。
とりあえず、歩いてみることにした。』
『ずっと歩き回っても、闇は晴れることもなく水のように纏わりついてくる。
よくわからない化物が辺りを闊歩している。
呻き声と放たれた銃声だけが響くこの光景にも慣れてしまった。
時折、目を開けると光が眩くの見える。
それに近づくけど結局、暗闇に戻ってしまう。
闇に溶けないようにもう少しだけ歩き続けてみようかな。
──なら、どうするかな。』 - 131二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:14:17
傷んだレコードみたいに、飛び飛びの文章は
書いた人の人となりとその身に起こった背景を記している。
ノートの内容はマナの友達の日記だったようだ。
マナは、途中から声が震え上ずっていたけど
堪えて最後まで友達の痕跡を咀嚼していった。
"マナ…"
「す、すいません…けど、や、やっと友達の、
クシロの手掛かりが…」
ノートを抱きしめ、零れ落ちそうになるものを
隠すようにマナは俯く。
「友人はまだ生きてるかもしれないねー。よかったー。」
"うわっ!?"
「きゃっ!!」
私とマナが座るソファの後ろから、
囁かれる声に私とマナは素っ頓狂な声を上げて
ソファから飛び上がりそうになる。 - 132二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:14:40
「ニィナ…あなた…」
「さすがにどうかと思うよ、ニィナちゃん…」
「おやぁ…?学校終わりかい、ニィナ。」
いつの間にか入室していたニィナは
どうもー。と、どこか気の抜けた平坦な口調で
マイペースに挨拶をする。
その服装は最初に見た時と違い
ヴァルキューレの制服を身にまとっている。
「この学園にいるとして、場所の手掛かりあるのー?」
「あっ…」
"たしかに…"
ニィナの言葉に捜索が再び振り出しに戻ろうとしたのを
リコの一声が変える。
「お嬢さん、本当にそれが探していたものかい?」
「えっ…あっ!」
ニィナは何かに気づいて、両の手を正面に向け目を開いた。
ノートを見た後、室内を見渡し、そしてある一点を指した。
「あそこに、かすかに光が見えます。」
"かすかにって事は…"
「デルタ地区を超えて、セイブル地区ね。」
「暫くは、光を追うことになりそうだねぇ…。
……少し考えを改めないといけないねぇ。」 - 133二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:15:29
外に出て駅舎の庇の下に腰かける。
流れそうになったものは中途半端に引っ込んでしまったけど
それでも瞼が少し赤くなっているのを夜風が冷ます。
私の横から、マグカップが差し出された。
「コーヒー、いる?マシュマロ入りだけど。」
「あ、ありがとうございます…」
サヨコさんが差し入れてくれたコーヒーを有難くいただく。
カップの表面を埋める、焼き色のついた純白のマシュマロが
ぷっくりと浮き上がって黒いコーヒーを優しい色に変えている。
ふーふーと少し冷まし、一口…、優しくふわふわとした甘さが
苦みを抑えてくれて飲みやすい。
「ねぇ、マナの友達ってどんな人ー?」
「あっ!あーしも気になる!」
「えっ、え!?」
いつの間にか両隣をニィナさんとリリさんに挟まれた。
サヨコさんは、やれやれと言った様子で壁に背を預けている。
彼女…クシロのことをマグカップを見つめながら、その人となりを口にする。 - 134二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:17:32
「そ、そのクシロは、やさしくて、賢くて、私の言うことを基本肯定してくれて
自分の事をあまり出さない、まるでガラスの器みたいな、そんな人で…。」
「わっ!マナちゃん、ベタ褒めだね!」
「えっ、いや、そ、そんな…それくらいお世話になりっぱなしだったから…」
瞼が冷えるどころか顔が熱くなってきた。
口に出すと自分に言い聞かせてるみたいで余計に恥ずかしくなる。
「ふーん…ガラス…」
「長い付き合いなの?」
「あ、はい…ほとんど幼馴染って言っても差し支えないくらいです…」
「いーねー、幼馴染!」
「サヨとリリともそれくらいの仲だけどねー。」
「なにを張り合ってるんだ、あなた…
その前に、ニィナとは高校からでしょ。」
サヨコさんたちのやりとりに思わず笑ってしまった。
ニィナさんが先輩を笑ったなーと、からかってくるのを
2人が軽くいさめてくれる。
ふとサヨコさんと目が合うと、安堵が混じった穏やかな視線を感じる。
あっ。たぶん、サヨコさんは心配してくれたんだ…
マグカップと同じくらいの優し気な温かみに気づいて
すこし気持ちが楽になる。
きっと会えることを願って、腰に差した「お守り」。
ショットガンのグリップに付けたクシロと一緒の
十字のアクセサリーを後ろ手に撫でた。 - 135二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:20:20
2人きりになった駅長室で、私とリコは
机の上のノートを挟み、コーヒーを啜る。
ふと、リコが私にとある疑問を聞いてくる。
「先生は…お嬢さんの友達をどう思ったかい?」
"そうだね…とても友達想いの子って感じかな。
ノートに書かれた文からも、マナを想ってるのが見えるからね。"
「うん、そうだねぇ…」
リコはにこりと私の言葉に肯定したけど
含みのある感じに、彼女が求めているのは
そうでは無いということがわかる。
"あまり、こういった言い方はしない方がいいけど
この文からでも、自分に迷ってる…そんな感じがするかな。"
「自分に迷う…ねぇ…、うん、納得したよぉ。」
"どういたしまして…?" - 136二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:21:30
1人得心がいったようで、リコはコーヒーに口を付ける。
とりあえず彼女の思考のつっかえが一つとることはできたみたいだ。
「先生、ぼく達は闇を覗いて光を見ることができる、
それは「暗視」を使えない人も同じだと思うねぇ。
宵闇に惑った人が北極星を見つけるように…
でも、闇が…光が、人を見ていると誰が知り誰が否定できるんだろうねぇ…」
リコは暗視をしながら私を見つめる。
"それは…自分自身、じゃないかな…?"
「うん、そういう事だよぉ…。」
抽象的な会話をマグカップに残るコーヒーの香りが包む
私はマナとマナの友達の行末が良くなることを願ってカップの残りを仰いだ。
To Be Continued… - 137二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:33:54
遂に手に入った友人の手懸かり
でもそれは新たな謎を産んで
果たしてクシロは何を見たのか?
闇に一歩踏み込んだ先に何が待ち受けているのか
楽しみで仕方ありませんね - 138二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 00:00:32
明日に備えて保守
- 139二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 11:30:39
ほしゅ
- 140二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 17:35:00
反映するか未定だけど
ルイスパリッシュ統合学園の知名度ダイス
劇中でそれなりに広いって記述したので
最低30から
30でワイルドハントやオデュッセイア
50で百鬼夜行や山海径や赤冬
100でトリニティ、ゲヘナ、ミレニアム
dice1d70=67 (67) +30
- 141二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:09:36
わーお知名度が高い
…って事はルイスパリッシュが閉鎖されたって
かなり大騒ぎになったのでは??
キヴォトスの新聞の一面に載りそう
でも生徒会のバタバタでマトモな支援を得られず放置…
うーん悲しい事件ですね - 142二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:40:40
そして元々3つだった学園が統合された後に
諸々の事件があって閉鎖、生徒達は各学校へと転校したのだから
実はる - 143二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:42:37
実はルイスパリッシュ統合学園の閉鎖騒ぎは
新聞だけじゃなく、生の声として
各学校に生徒伝手にも広がっていったのかな? - 144二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:48:03
そして定員割れを起こして統合したとはいえ
商業、農業、工業、新設した普通の4つの学科を抱えてたのだから
キヴォトスに流出した生徒の数は決して少なくないハズ…
おやおやぁ?こうなるとルイスパリッシュの話が余所の学区で話を聞かないのが妙な事になってくるぞう?? - 145二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 19:46:13
適当に下駄吐かせたダイスが洒落にならない数値になってる。
外からどういう風に見られてたかなってフレーバーになればいいな程度だったのに… - 146二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 19:58:34
これは余程ルイスパリッシュに起きた異変が生徒達の恐怖になって
口にするのも憚られる呪われた学園
みたいな事になってますねえ! - 147二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:34:50
突然自治区内に異形の生物が現れたことで廃校になったと言われても、よその人達には信じてもらえなさそうだよね
- 148二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:35:48
ちょっと妄想SSをサラサラしますね
「がたんごとーん…がたんごとーん…」
時刻は夜。ゲヘナ学園敷地内のとあるアパートにて。
枕元で掌に収まるほどの小さな汽車のオモチャを弄びながら、山城リリは擬音を呟いていた。
「リリ、まだ夜更かしをしているのか。もう寝たらどうだ?」
二段ベッドの上の段から声を掛けてきたのは友人の桂城スズだった。片手には読みかけの文庫本が1つ。
「やだ。あーしは寝たくないよー」
「そうやって、何時も遅刻する」
「だってさぁ」
山城リリは枕を抱えると体を起こして桂城スズへと向き返る。
「来ちゃったじゃん。あの子。マナちゃん」
「彼女とあなたの夜更かしに何の因果関係が?」
「シャーレの先生を呼び込んだ」
山城リリの言葉に桂城スズは己の獣耳をピクリと立てた。
「若しかしたら。若しかしたらだよ? シャーレの先生のお陰で、あーし達の念願叶ってまたルイスパリッシュの学校が元通りになったなら、あの自然豊かな大地を汽車に乗って走り回れるんだよ?」
「…リリ」
「ホント、酷いよ…入学して、少ししたら、急にあの化け物が現れて、私達の学校も青春も滅茶苦茶にされて、皆離れ離れになって…殆どの子達はまるでルイスパリッシュって言う学校なんて無かったって言わんばかりに口を噤んじゃってさ…」
普段は溌剌とした少女の、今は消え入るような心細い声を聞いて、桂城スズは山城リリの隣に身を寄せた。
「帰りたい。帰りたいよ、スズちゃん。私達の学校はこのゲヘナじゃなくてルイスパリッシュなんだよ…?」
「…大丈夫だ。きっと帰れる。リリの言ったとおり、先生も来た。嵐は何れ去り、陽は必ず昇る。今暫くの辛抱だ。ルイスパリッシュの闇が晴れたその暁には、共に汽車を走らせよう」
「うん…うん…」
めそめそと涙を流す友人を、桂城スズは優しく抱き締め、ベッドに横になった。そして毛布を手繰り寄せる。
「今夜はもう寝よう。明日は週末に向けて食料品の補充もしなくちゃいけない」
「…うん、そうだね」
「あぁ…おやすみ、リリ。愛しい友よ。良い夜を…」
「おやすみ…スズちゃん」
そして2人の部屋は静かに灯りが落とされた。 - 149二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:37:41
山城リリと桂城スズのとある一日を妄想してみました
ルイスパリッシュ時代から付き合いがあり、色々と対照的な2人がルームシェアしてると可愛いなって思いました - 150二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:43:46
- 151二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:07:22
よい刺激に成った様で何よりですー
- 152二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 00:23:09
ダイスの出目のお陰でルイスパリッシュの生徒達が口を噤んだか、大規模な情報統制が為されたのか
新たな謎にワクワクしつつ続きのSSを期待しつつ待機保守 - 153二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 09:46:17
保守
- 154二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 14:35:15
スレ落ち前に保守出来なさそうなので保守
- 155二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:00:28
ちょっと今週、更新できるかなぁ?なので
ダイスで協会メンバーを1人作ってみる。
学年
dice1d2=2 (2) +1年
一人称
dice1d4=1 (1)
1.私 2.アタシ 3.自分 4.その他
身長
dice1d40=10 (10) +140cm
髪色
dice1d256=233 (233) -1
dice1d256=34 (34) -1
dice1d256=150 (150) -1
武器はdice1d3=1 (1)
1.メインのみ 2.サブのみ 3.メイン、サブ両方
メインdice1d6=4 (4)
1.ボルトアクション 2.レバーアクション 3.フォーリングブロック
4.ポンプアクション 6.二丁拳銃 5.その他
サブdice1d4=2 (2)
1.リボルバー 2.自動拳銃 3.ソードオフ
4.その他
- 156二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:41:00
- 157二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 22:32:47
- 158二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 22:44:36
- 159二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 22:52:17
「これはこれで」と思って貰えてありがたい限りです
- 160二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:15:41
「ルイスパリッシュ統合学園?えぇ、知っているわ。
というより、知らない人のほうが少ないのじゃないかしら。」
「まだ新興って呼ばれるうちよりも歴史も地理も大きかったのに
ほんの数ヵ月で閉鎖になったものだからこっちでも大騒ぎだったわ。
元々3つの学校が集まってできた場所だから経営破綻したんじゃ…って噂もあったけど、
特異現象捜査部だけは訝しんだ目でその噂を見てたわね。」
「ルイスパリッシュ統合学園ね…知ってる。
ゲヘナにも編入してきた生徒がいるわ。」
「申し訳ないけど、詳しいことは知らないわ。
その時期はゲヘナも内部の改編とかで色々忙しかったから…
でも、そうね諜報部や編入した生徒から聞いた話だと、公式見解と同じ
重篤な災害としか言わないけれど、実際は化物が出たとか…
噂どころか与太話の域を出ないわね。」
「ルイスパリッシュ統合学園ですか…えぇ、存じております。
私たち、トリニティ総合学園にも編入してきた方々が在籍しておりますから。」
「残念ながら我々も、未曽有の災害により閉校せざるを得なくなった…という連邦生徒会の
発表以上の事は何も情報を掴めていませんね。
それに現在は連邦生徒会長が失踪してしまった事に噂は流されてしまっています。
情報の流れと言うのは、時に残酷と言えますね。」
- 161二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:18:29
「ルイスパリッシュ統合学園?あぁ、知ってる知ってる。
ここ含めて、3大校に匹敵するって言われてた学校が
あっという間に無くなったの。不思議だよね、ほんと。
知ってますか?連邦生徒会は災害と宣言しているけど本当は…
世にも恐ろしい化物が出てるって…
散々聞いた?よくある尾ひれのついた噂?あぁ…そうですか…
じゃぁ、もう一つこういうのは聞いたことは?
いまはもう廃校になったルイスパリッシュ統合学園に存在する"協会"のことを…
あなたが勇気がある人なら、訪れてみるのもいいかもしれませんね?」
更新の代わりに幕間として、連邦生徒会長失踪前後に
クロノスがルイスパリッシュ統合学園について有力者と生徒にインタビューという体のssです。
- 162二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 05:11:03
良いですね、実に良い
- 163二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 12:46:23
むむむ…?
各学園が入手した情報は連邦生徒会の会見と同じ重篤な災害…?
化け物の話は噂止まり…
そして政治の場に立つ生徒よりも
一般の生徒の方が真実に近い情報を持ってる…?
これはどんどん焦臭くなってますねえ! - 164二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 13:42:00
- 165二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 20:46:53
- 166二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 23:57:17
保守ッ
- 167二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 11:40:15
保守ー
- 168二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:23:48
政治の場と言うより『学園全体を制圧可能な多数を動かせる人間』に『信憑性の有る情報』が渡らないって印象も有る
もしかして土地に軍事行動レベルの多数が来ない様に思考誘導する神秘が宿ってたり
証拠が文字通り『怪物の証明と言う概念』が結晶化したオーパーツの類(つまりこれが無ければ見ていない者への情報伝達が阻害される)の可能性が有るのでは・・・? - 169二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:35:35
- 170二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:46:45
語呂が良いですねぇ、その名前
- 171二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 01:47:27
気が付けば170まで行ってますね
保守 - 172二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 11:10:31
続き待機
- 173二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 11:41:33
次の目的地はセイブル地区か、そこでクシロを見つけられるかな?
- 174二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 14:41:34
果たしてソレは本当にクシロちゃんなのか…
- 175二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:01:15
「最近トリニティでよく会うな、先生。
なにか頼まれごとをされているのか?」
"やぁ、アズサ。
うん、生徒の頼みでね。
一緒に人探しをしているんだ。"
今日もルイスパリッシュに向かうため
マナを迎えにトリニティに来ているとアズサに出会う。
人探しをしていることを伝えるとお疲れさまと労ってくれた。
「しかし、トリニティで人探しは大変そうだ。
私にも手伝えることがあったら言って欲しい。」
"ありがとう、けど気持ちは嬉しいけど
ここには生徒を迎えに来ているだけで探しているのは別の場所なんだ。
ルイスパリッシュ統合学園っていうところなんだけど…"
「ルイスパリッシュ統合学園…聞いたことがない。
すまない先生、力になれそうになくて。」
申し訳なさそうに言うアズサをそんなことは無いと諫めて
逆にアズサは何をしているか聞いてみる。 - 176二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:02:04
「ヒフミと一緒に販売終了してしまったペロロを探しに行くんだ。」
"そうなんだ…"
その時、ヒフミと、というアズサの言葉
私が言ったルイスパリッシュという言葉
二つの要素がどこか不安な気持ちを覗かせる。
私は一応…一応、アズサに忠告をした。
"アズサ…分かってはいると思うけど
ブラックマーケットには近づかないようにね。
最近、危ない噂があるから…"
「?。あぁ、分かった先生。」
不思議そうな顔をしながらアズサは頷く。
うん、とりあえず大丈夫かな…
「せ、先生~…お、お待たせしました…」
声の方に振り向くとマナが駆け寄ってくるのが見える。
私はアズサに、またね。とお別れをし
マナと共にルイスパリッシュに向かうことにした。 - 177二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:02:33
「アズサちゃん、お待たせしました。」
先生が去った数分後入れ替わるように
ヒフミがアズサのもとにやってくる。
アズサは先ほどまで、先生と居たことを告げ
そういえばと思い出し、ヒフミにとあることを尋ねた。
「先生はトリニティの生徒と人探しをしているらしい。」
「人探しですか、トリニティで?」
「いや、ルイスパリッシュ統合学園というとこらしいんだ。」
ルイスパリッシュ統合学園、その言葉を咀嚼した
ヒフミの顔がサッーと青ざめた。
「る、ルル…ルイスパリッシュ統合学園!?」
「どうしたんだ?ヒフミ。」
「せ、先生は本当にそこで人探しを…!?」
ヒフミの様子にアズサは不思議がるが
驚愕を隠さないままヒフミはアズサに
ルイスパリッシュ統合学園の事を教える。 - 178二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:03:15
「アズサちゃん、ルイスパリッシュ統合学園は
既に廃校になっているんです。
その理由は疫病が流行ったとか、鉱山から毒ガスが漏れたとか
様々なんですが、実際は人を襲う化物が出てきたらしく…
と、とにかくルイスパリッシュ統合学園は土地ごと入れなくなってる危険な場所なんです!」
鬼気迫るような勢いにアズサは気圧されながら分かったと返す。
多少落ち着きを取り戻したヒフミにアズサはもう一つ
先生から言われたことを思い出した。
「そういえばヒフミ、先生がブラックマーケットには近づくなと言っていた。
最近危ない噂があるらしい。」
先生からの忠告を告げた瞬間、ヒフミの耳と眉がピクリと動いたのをアズサは見逃さなかった。
「ヒフミ?」
「……あ、あはは…。」 - 179二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:04:07
ちょっと長くなりそうな感じなので
ひとまず導入だけ…もしかしたら続きは次スレつくるかも - 180二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:15:37
更新乙ですよ
良いですねぇこのお話が動いていく感じ
…そしてヒフミは真逆ルイスパリッシュに何か関わってたりしないよね??やたら詳しいって…