- 1二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 17:58:01
- 2二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 17:58:41
- 3二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:00:27
たておつ
- 4二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:10:49
ざっとしたまとめ
何かする度に叱られ反省部屋に入れられる内に何もしなくなってしまい無気力症候群を発症するコユキ
ミネに診察を依頼する先生
診断結果にショックを受けるユウカ
とにかくコユキが興味を示した物を大量に買おうとするノア
見かねて面倒を見始めるモモイ
悪気は無いがちょいちょい余計な一言を言ってしまうアリス
コユキは絵本や積み木、ブロックに興味を持ち症状を回復させていく - 5二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:11:58
前スレは割と辛かった部分もありましたね…
- 6二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:13:56
次スレ立ったか…
- 7二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:14:02
- 8二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:18:04
- 9二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:18:51
マインクラフト…
- 10二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:20:59
グラフィティ描こう!
- 11二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 18:22:56
- 12二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 21:27:36
セミナー曇らせスレかと思ったら平和でほのぼのしたスレだった
- 13二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 21:28:36
- 14二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 05:01:38
SS投稿したかった...
- 15二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 11:51:37
- 16二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 11:56:28
あにまんでは読みたかったら書くしかないんだ…
- 17二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 12:16:58
忙しくて書けなかったんだ
- 18二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 12:30:25
プロットはあるけど設定が結構変わっていて別物になってしまったんだ
- 19二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 12:31:54
前スレ主は立て逃げしてたみたいだし好きに書いてもまあええやろ
- 20二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 13:16:36
昼飯食ったら書いてみる
- 21二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 17:06:13
進捗:元スレ34あたり
- 22二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 17:26:21
コユキが無気力症候群を発症したことによる一連の騒動はひとまずコユキが改善の方向向かうようになったけどそれはそれとしてアリスと同レベルかそれ以上に中身の幼いコユキに対して妙な感情がもたげて来て葛藤するモモイ
とか誰か書いてくれねぇかなぁ… - 23二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:14:26
...それは、「アリ」だ
- 24二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:17:42
アリスと同じような庇護欲が湧いてきてコユキに寄り添おうとするモモイ...
- 25二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 22:50:55
ここのコユキ若干幼児退行してない?
- 26二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 02:52:00
もともといたずらっ子で、そこに無気力状態が重なった結果興味を示さない子供のようになったのかも
- 27二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 07:54:16
この前の新年のあいさつ動画での動きとか完全に幼児だから
ここでは精神も退行させた。反省はしている後悔はない - 28二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 12:54:28
ほほえましかったのでgreatでした
- 29二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 13:58:55
- 30二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 18:21:35
小説進捗:ストーリー構成70%
- 31二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 02:42:44
コユキ「えと……」
モモイ「(ごくり)」
コユキ「その……」
ユウカ「いけるわよ……!頑張って!」
モモイ「ねぇ、解説受けるの私じゃなきゃダメ?」
ユウカ「あなた以上の適任はいないわよ」
モモイ「数学ならカリン先輩とかに説明できた方がわかりやすいような……」
コユキ「には……それはもうできたんですよ」
モモイ「できたの!?!?!!!?!」
ユウカ「スナイパーの空間把握能力舐めない方がいいわよ」 - 32二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 08:15:51
- 33二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 15:10:44
電子系はどうしようもないし本は性格的に読まなさそうだからああなったのかなあ
- 34二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 21:39:32
あの部屋とか見てると本当に情緒幼児なのでは?ってなる
- 35二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 01:32:15
倫理観あれなので...
- 36二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 12:59:48
- 37二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 15:37:31
- 38二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 18:02:16
来週の日曜日(1/19)までに無気力症候群コユキのSS書きます。
それまで保守してくれると嬉しいです。 - 39二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:04:44
ほ
- 40二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 06:39:30
- 41二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 06:41:05
そういやプレステ30周年だったな
- 42二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 14:04:02
コユキ「……(ブロック遊び中)」カチャコチャ
モモイ「ねえコユキ」
コユキ「ん〜?」カチャコチャ
モモイ「ブロックで色々作れるゲームがあるんだけどね」
コユキ「ホントですか!」
モモイ「予想以上に食いついてきた!」
コユキ「どんなゲームですか?」
モモイ「じゃ〜ん!マインクラフト〜!」
コユキ「??まいん…くらふと…?」
モモイ「やっぱり聞いたことないか〜知ってたら既にやってそうだもんね」 - 43二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 22:40:20
まかせろり
- 44二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 04:04:02
ブロックガチ勢コユキにマインクラフトなんてやらせたら寝食を忘れて遊び続けそう
- 45二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 09:07:11
- 46二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:00:42
ちょっとお労しいポイント…
- 47二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:06:39
スティーブ(マイクラ主人公)もご飯食わんと死ぬようにコユキもご飯食べなきゃ死ぬからちゃんと食べなとゲームを絡めてなんとか説得すればいけないかな?
- 48二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 02:05:47
コユキ「には〜」ピコピコ
ユウカ「こ、コユキ…」オズオズ…
ノア「コユキちゃん…」
モモイ「もーダメだよコユキ!スティーブだって食べないと死んじゃうんだからコユキも食べないとダメだよ!」
コユキ「はーい!」
ユウカ「ほっ…」
ノア「モモイちゃんが居れば安心ですね…」 - 49二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 08:31:57
スイッチ版だろうか
- 50二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 13:59:37
マイクラ内ですごい建物作りそう
- 51二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 14:25:46
- 52二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 15:35:43
- 53二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 19:10:24
1歳下なだけなんですが…
- 54二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 05:20:51
そんな、毎日抱きしめて愛情を伝えている筈では…
- 55二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 11:46:23
今まで叱り続けていた人が急に抱きしめてきたらとても怖くない...?
- 56二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 13:57:29
SSを投稿したかったとつぶやいていた>>14です。
プロットが完成したので今から本文執筆してきます。
- 57二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 15:15:46
歯車に乗った針が動く音が部屋中を伝う。
銀行の金庫室にしかないような鉄扉の外から、清掃ドローンが動く音が聞こえる。
窓の外からは鳥の声や楽しそうな声がする。
見上げると、針が15時を周っていた。通りで足のしびれを感じるはずだ。
それにおなかもすいた。眠くもある。
ベッドと壁に3方を囲まれたスペースから立つ。暗がりから抜け出したおなかが食前の準備運動を始めた。
ベッドの上に、水色の布で包まれたお弁当箱を見つけた。ユウカ先輩が朝に用意してくれたお弁当だ。
先輩の声が頭の中で響く。
「いい?私は遅くまでシャーレの仕事を手伝ってくるから、それまで余計なことをしないでよ?」
「わかってますって。今日の私は一味も二味も違いますよ!」
「そういわれると逆に不安になるんだけど…」
先輩はあきれた顔でそういって、反省部屋から出て行ったんだっけ。
その後にノア先輩が来たのも思い出した。いつものあの怖い笑顔で「ユウカちゃんが帰ってきた後に困らせちゃダメですからね?」と言っていた。思い出すだけでも縮こまる。
でも、今日こそは𠮟ってばかりいる二人に一泡吹かせられる。今の今まで何もしていないのだから、ユウカ先輩を困らせてノア先輩に叱られることは起きないはず。
そう思いつつお弁当に手を伸ばす。
―でも、お弁当を食べてしまったら。ユウカ先輩がこれを洗うことになる。ということは、また先輩を困らせることになるんじゃないか?
私の中で自分の声が渦巻く。
―そうなったら、叱られるかもしれない。それは嫌だ。
伸ばした手が引いていく。
そのまま床にお尻をつけて、ひざと体をくっつけて丸まった。
それから何もしないまま、ただ待ち続けた。
鳥の声が聞こえなくなっても、空の色が橙色から藍色になっても、ずっとずっと丸まっていた。 - 58二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 20:40:11
これはユウカ特攻
- 59二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 01:23:27
保守
- 60二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 08:17:58
ユウカとノア泣き崩れるわ
- 61二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:12:28
小針がおやつの時間と反対に向いたとき、扉の向こうから話声がしてきた。
一つはいつも聞いているけど、いつもより調子がよさそうな先輩の声。
もう一つは今年になってから聞くようになったのんきな大人の声。
それを聞いた私は立ち上がって、扉の方へと向かった。ご飯を食べていないからか、普段より動きが鈍く感じた。
扉の前についたとき、菫色の先輩と子供が一生懸命書いた落書きのような3頭身の大人が見えた。
そして私は、褒めてもらうことを期待して声を出した。
「にはは!先生!ユウカ先輩!私、お留守番してる間に!」
あれ?いつもより声が出にくい。
「私何もしませんでした!!ずっと待ってました!」
いつもならこれくらいで大声を出せるのに、今日はなんだか調子が悪い。
「あそこの角で座って何もしないで小さく丸まって」
長く続けて話すのが難しい。
「時計の音が響いてて鳥の鳴き声がして」
だめだ。これだとまた困らせてしまう。
「外から楽しそうな声が聞こえてきて清掃ドローンが廊下の向こうで掃除して」
変に思われないように。
「お腹が空いて眠たくなってお日様が低くなって夕焼けになっても」
いつもの粘り気のある調子で。
「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずーーーーーーっと何もしないで待ってたんです!」
明るく。
「凄くないですか!?凄いですよね!!褒めてもいいんですよ!!」
言い切ったすぐ後に、肺が焦ったのか荒っぽく運動してしまった。 - 62二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:16:05
こんなコユキが元気になって活動した結果、例の無理矢理過酷されたユウカスレみたいな展開になってしまったら
- 63二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:26:51
見た目落書き先生なのかよ!!!?
- 64二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:30:12
- 65二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:42:33
- 66二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 17:39:14
全てが裏目に出てしまった世界線
- 67二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 17:43:23
破壊力10倍で辛すぎて続き読むのが怖い
- 68二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 18:04:50
コユキの態度は、私と先生を不安にさせるには十分だった。
不自然に小さかった最初の声。無理して話したかのような途中の口調。終わった後の息切れ。
何よりも、動きが非常に少なかった。いつもならぴょこぴょこ飛んだり腕を振ったり、何か話しているときは常に体のどこかが動く活発な子だというのに。
足は棒のようだし、手は握りしめられて体にくっついている。
先生の方を見ると、やっぱり私と同じおかしさを感じているようだった。その証拠に髪がいつもより立っている。
肩をこすりながら部屋を見回す。積み木は散らかったまま、というより朝から何も変わっていないように見える。
アヒルのおもちゃも動いた感じがしない。ノアならこれも完璧にわかるだろうか。
ベッドの枕もシーツのしわもお弁当箱の包みも・・・お弁当箱?
「コユキ?お弁当は・・・?食べたの?」
胸が締め付けられてくる。呼吸が速くなる。
コユキが両手の指と指を絡めて揉み合わせる。お願いだから、食べたと言って。
「いえ、食べてませんよ?」 - 69二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:31:00
\(^o^)/オワタ
- 70二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 04:27:46
ち、違っ、そんなつもりは…過ぎる
- 71二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 07:43:41
どうして…
- 72二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 11:18:20
心臓が力いっぱい胸を叩き、そのせいで荒っぽい悲鳴が骨から伝わってくる。
肘は両脇に引き付けられ、口は棒がつっかえたように開きっぱなしだ。
目の前で起こった状況が目に入らないでいると、先生が私の意図を汲んでくれた。
「ええ!?コユキ、どうして食べなかったの?」
コユキは肩から体をぎこちなく揺らして答えた。このとき私は自分が知的なことを悔やんだ。そうでなかったら推理も起こりうる事態も頭をよぎることはなかったのに。
「だって、お留守番がありますし・・・。それに、お弁当を食べてしまったらユウカ先輩が洗うことになって、困らせちゃうから・・・」
私は足の力が抜けて体制を崩してしまった。急いで立て直したが、それ以外は直せそうにもない。
鎖ような何かで肋骨が絞められているのか、息が苦しい。頭も酸欠な気がする。
そんな頭でも、普段から彼女を叱ってばかりいた私のせいってことは導き出せる。一と一を足したら二になる、それくらいの簡単なことだ。
でもそれ以上のことまではできなかった。だから私は先生の方を向いた。どうしてもっと早くからこうなるって気づかなかったんだろう。
かろうじて出た私の声は、感情がこもっていない抑揚のないものだった。
「先生・・・」
「うん、伝手をあたってみるよ」
私はただうなずいた。動脈が虚ろな気持ちを全身に運んでいた。 - 73二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 16:36:23
ずっとシャーレオフィスでの留守番だと思ってたけど
そういや初代スレは特段何処の留守番とは書いてなかったな… - 74二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 20:52:38
ユウカ先輩と先生はそう言って部屋を出て行った。宝石から飴細工のようになっていった菫色の瞳がおじゃんになった期待とともに今も私の頭をさまよっている。
「・・・褒められなかった」
どうして?私はただ言いつけを守っていただけなのに。なんで褒められもしないどころかあんな顔をされたのだろう。
先生と先輩はどこに行ったんだろう。ノア先輩でも呼んでくるんだろうか。そうなったら怒られる?
出口に一歩足を踏み出す。今から全力で走れば逃げられる?いやだめだ。おなかがすいてるせいで力が出ない。
ならもう怒られる?嫌だ。そもそも怒られることなんてしてないのに。じゃあなんで二人とも褒めてくれなかったの?
私の目が部屋をぐるぐる回るように、頭もぐるぐる回って元に戻ってくる。
二、三周したころ、突然私の中で妙案が出てきた。横隔膜が一気に押された声が出た。
「あっ!!!」
きっと、まだ足りなかったんだ。それなら。
「もっと何もしなければいいんだ!!!」
縮こまっていた体が緩んでいく。緩みすぎたのか、よろめいて一歩下がった。
そのまま倒れこむようにして人をだめにするソファ・青に座る。
それから思いついたことの練習のためにめいいっぱい息を吸おうとしたら、突然知らない人の声がした。
「失礼します」
凛とした固い声で入ってきたその人は、水色の長い髪にこれまた水色の羽、緑色の瞳、そして金色のトリニティの校章のついた白い服とピンクの十字のついた白い帽子を付けていた。
でも・・・どうしてこんな人がここに?
「救護騎士団団長、青森ミネと申します。あなたが黒崎コユキさんですか?」 - 75二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 04:30:37
程々に何かやってイタズラや悪い事せず待ってれば褒めてくれたんだよなあ…
- 76二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 15:08:52
積み木やアヒルのおもちゃで遊んでユウカが作ってくれたお弁当を食べてお留守番してれば褒めてくれたんだろうなあ
- 77二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 18:20:31
ちょっと今日の更新は無理そうなので保守お願いします
(ブルアカライブと巨大数が重なったため) - 78二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 23:47:33
ほ
- 79二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 06:13:36
叱られ続けた結果がこれか…
- 80二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 15:16:34
「最近の食欲はどうですか?」
「うーん・・・あんまり食べる気になれないです。ユウカ先輩やノア先輩が置いていってくれるお弁当は特に」
質問に答えつつ、なぜ急にミネさんがやってて診断をしているのかを考える。
先生が「伝手をあたってみる」と言っていたから、それでやってきたのは間違いない。でもどうしてお医者さんを呼んできたんだろう?
「その前はどうでしたか?」
ミネさんの目を見る。お互い床に座ってるけど、正座の立ち振る舞いとこちらをまっすぐに見つめてくる瞳からはとても嘘をつけそうにない。本当のことを言って先生や先輩たちに心配をかけたくないのに。
「話しにくいことでしたら、話さなくてもかまいません」
でもこう言われたら、黙れそうにもない。なるべくいつもの元気な感じで声帯を動かす。
「えっと、前は普通に食べられてました」
私の声は上ずっていなかっただろうか?瞳の中の星は揺れてなかっただろうか?
「なるほど。それと、無理に話さなくても大丈夫です。声が小さくても聞こえますから」
もくろみはとっくにばれていた。この人の前で隠すのは諦めるのがよさそうだ。
「睡眠はきちんと取れていますか?」
「うーん、前から寝ようとしてもうまく寝付けないときがあるんです」
そのとき、私の口が大きく開いて、引き締まっていた気を声から吐き出した。ミネさんの眉と羽ががぴくりと動いた気がした。
「その理由は話せますか?」
「お昼はお留守番があるから寝られないんです。夜は―」
言いかけたところで、昨日の夜に考えていたことを思い出した。緩んでいた体が岩のように固まる。それに引きずられて顔が下がり、ミネさんの目と自分の目が合わなくなった。
「・・・ちょっと、その」
「いえ、話しにくいのなら話さないで大丈夫です」
すっとんきょうな声が自然と出ていた。
「えっ?話さないでもいいんですか?」
岩のようだった体がすぐにだめにするソファのようになった。ノア先輩と似たような人だから、てっきり無理やり言わされるのかと思ってたのに。
「はい。無理に聞き出してもいいことはありませんので」
くっついていた唇同士の間に空気が入ってくる。いっつも二人に痛いところを突かれて吐き出されてたから、こんな言葉を言ってくれた人は先生以外で初めてだった。
この人の前では、少しだけ素直に話してもいいのかも。 - 81二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 18:46:38
ギャグなしのミネ団長はほんと頼りになるなぁ…
- 82二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 02:41:22
暴走してないミネ団長はこんな感じなんだろうなって気がする
- 83二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 06:53:09
足が疲れてきたので、両足を前に、両手を背中の後ろに伸ばして床に座る。ミネさんの質問はまだ続いている。
「最近、自分の中で変わったことはありますか?」
「う~ん」
背中と両手を上げて下を見る。ぱっと思いつかなかったので周りの積み木を見つめる。
すると、積み木が引っ張ってきてくれた。
「あ、ありました。最近、積み木で遊ぶのが減ったんです」
ミネさんの腕が脇を押した。同時に羽もさっきより高くなった。
「なんだか遊ぶ気がおきないんです。本も長く読めなくなってきてるんです」
さっきの話に引っ張られて次の話が出てくる。連想ゲームのように。
「セミナーの仕事にも集中できなくなってきてます。先輩たちに声をかけられても反応できないこともあるようになってきました」
「先輩以外の人の声が聞こえても何も思わなくなってきました」
「あと・・・反省部屋に入れられても今まで以上に何も思わなくなってきました」
「それと、考えることが疲れるようになってきました。こうして何か話すのもです」
出てこなくなったので、口を閉じた。一気に出てきたせいか、頭がもやっとしている。
ミネさんは一つ一つにうなずいた後、うつむいたまま指をあごに当てている。羽も少し体の方に寄せられてる。
少したって、ミネさんが口を開いた。
「事情は大体わかりました。お話ありがとうございました」
ミネさんは立ち上がって、出口の方に歩いて行った。あれだけ長く座ってたのに、足がしびれた様子はどこにもない。
ミネさんが部屋を出ようとしたとき、心配することがあった。
「あっ、ちょっと待ってください!」
ミネさんがこちらに振り返る。黄緑が混ざった緑色の瞳がこちらを見つめる。
「今日お話したことは・・・ユウカ先輩、ノア先輩、それと先生に内緒でお願いします」
「わかりました」
そういうとミネさんは、今度こそ反省部屋から出ていった。 - 84二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 14:08:10
どうして隠すの…?
- 85二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 14:15:35
- 86二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 18:56:20
「ミネ、どうだった?」
私とノアと先生はミネ団長からの結果を待っていた。あちこちをさまよっていた目と足と髪をくるくる触っていた手が定位置に戻った。
団長が口を開く。瞬きのせいでストップモーションのようにカクカクして見えた。
「診断の結果、無気力症候群の可能性がありますね」
「無気力症候群・・・?」
ふと、最近のコユキのことを思い出した。そういえば、最近は仕事中退屈そうに足をぶらぶら振ったり、腕を後ろに上に横に曲げたりすることが少なかったような。
「やる気が起きない、自発性の低下、自分以外のことに無関心になる、集中力と思考力の低下、食欲の低下、症状は他にもありますが無気力になっていく精神疾患です。原因は過度のストレスや疲労と言われています」
自分でも気づかないうちに手が頬に触れていた。口はのどのつまりを解消しようと何度も唾を飲み込む。魚の骨なんてつまってないのに。
頭の中ではコユキの様子が反響する。団長が言っていたこととぶつかり、一緒になって脳内をめぐっていく。
「このままだとコユキは・・・」
「そのまま放置すると、生活に支障をきたす可能性があります」
それを聞いた私の口は、きっとへの字に曲がっていただろう。胸と腕には鉛がいつの間にか入れられ、肩と目はそれに引きずられるように、下へと向かった。
私はノアの言う通り感情表現が豊かなようだ。
「わ、私のせいなの…?」
自分を責める言葉が次から次へと出る。かろうじて声は抑えたけど、肌に爪を立てることは抑えられなかった。
私を見ていたのだろうか、ノアが私を呼んだ。隠してるようだけど、声に力が入っていなかった。
「ユウカちゃん・・・」
「改善させるには、会話とバランスの良い食事、質の良い睡眠。そして好きなことをして過ごす事ですね」
どうにかしないと―そう思っても、内側に向いた心は灰色の口調を出すよう命令した。
「はい・・・」
「できる限りやってみます」 - 87二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 03:53:04
1スレ目の内容に肉付けしたら辛さが増大した…
- 88二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 06:52:47
疲労が蓄積したため、本日の更新はお休みとさせていただきます
- 89二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 16:13:19
- 90二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 00:16:11
感想スレの筈が事実上の2スレ目になるとは
保守 - 91二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 07:13:38
ミネさんがユウカ先輩と先生に加えて、ノア先輩まで連れて戻ってきた。緩んでいた体が手先足先から石化した。
やっぱり怒られる?いや、ミネさんの診断で何かあったから?じゃあなんでミネさん以外も?
ミネさんが口を開く。この人は悪いことは話さないだろうけど、その後は・・・。
前言撤回、悪いことだ、悪いことだった。私が無気力症候群の可能性があること、その改善方法だった。
気軽に話せる友達なんていない。好きなことは二人に迷惑がかかる。
三人がこっちを見つめてくる。そんな目を見たくなかったから今まで何もしなかったのに、どうしてこうなったの?
ユウカ先輩が近づいてくる。体が先輩の髪色になった冷たい海のように冷えていく。
それにつられて体をひねる。叩かれてもいたくないように。
私に手が届く距離まで来た。とっさに出口がどこか探して、伸ばした足を体の方へ丸める。
先輩の手を見る。腰のあたりにあった手が上げられる。
「ピッ」
両腕を頭の方に上げ、両手も使って顔と頭を覆う。
そのまま後ろに後ずさる。心臓が一拍ごとに叫ぶ。
先輩の足音が遠ざかる。先生が何か話したような気がした。
救いの言葉であってほしかった。でもそれは近づいてくる二人の足音で壊された。
やられる・・・!
体を一気に前に出す。二人を見向きもせずにミネさんの後ろに走っていく。この人なら私を守ってくれそうだったから。
そのまま後ろまできて気づく。出口の方には先生がいた。もう逃げられない。
私はミネさんの後ろに隠れて、服をつまんだ。来た道を振り返ると、二人は追ってきていなかった。 - 92二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 12:20:26
保守
- 93二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 18:15:34
反応が虐待児のそれ
- 94二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:25:45
ワァ…ァ……
- 95二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 22:36:07
泣いちゃった!!!
- 96二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 00:10:57
保守
- 97二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 07:07:26
保守
- 98二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 16:34:51
どうして…どうして…
- 99二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 16:38:27
よくよく考えなくても「加害意識ないうちに、大切にしていた後輩の精神を病ませてしまった」ってシチュエーションメチャクチャきついよな。
トラウマになるし、ノイローゼにもなりそうだけど・・・ユウカ、大丈夫か? - 100二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 17:27:12
ミネさんの服にすがりつつ目を閉じる。この先二人、あるいは先生に捕まるかもしれないから。
でもこの人なら守ってくれるはず。私に寄り添ってくれたから。
二人の足音がする。いつも私を追いかけてくる鋭い音。
両膝をきつく押し合わせ、肩を上げて首を隠す。
音がこっちに近づいてくる気がして、私は最悪の事態に備えた。
足音が三つに増える。こういうときに限って悪い予想はいつも当たる。
口の中にすっぱい唾がため込まれる。暖かい部屋のはずなのに指が冷たい。
いよいよ私とミネさんを挟んですぐのところまで近づいてきた。服を掴んでいる手の力を一層強くした。
でも、足音はミネさんから遠ざかっていって、反省部屋の外に出て行ってしまった。
目を細く開けて反省部屋を見る。先輩たちは見当たらない。
出口を見る。先生は見当たらない。
聞き耳を立てると、足音はさらに遠ざかっていったのか、聞こえなくなっていた。
ミネさんに声をかける。
「三人とも・・・外に出て行ったんですか?」
「はい」
それを聞いたとたんに、強張っていた肺が一気にほぐれて風のような息が漏れてきた。
「ああ・・・よかったぁ」
目の奥にあった星がまた輝く。ここからミネさんの顔は見えないけど、それでも彼女の輝きは私の目にも届いている。
もっと輝きを見たくなって、私は手を離してミネさんの前に移動した。 - 101二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 20:09:13
ミネさんの瞳、緑色の爽やかで落ち着く瞳が私の星を見ている。その瞳が私を押してくれた。
「ありがとうございます」
自然に口角が柔らかくなる。心の底にへばりついていた重みが取れていく。
引っ付いていた手はいつのまにか脇から離れて行って、いつもの位置に戻っていた。
気が楽になった日も、ありがとうを言えた日も久しぶりな気がする。いつも退屈で不満ばかりだったから。
ミネさんがこちらを見ている。私を包み込んでくれそうな羽と白い服に包まれた腕。
すぐに、私はそれらに、ミネさんに包まれていた。
私もミネさんを抱きしめた。胸から、頬から、腕から、手から。ミネさんの暖かさと頼もしさが私を受け入れてくれている。
腕の力を強くして、より体を押し付ける。ミネさんの匂いがする。ユウカ先輩が使っている香水と似た、でもそれよりずっと心地よい匂い。
それらが私を温めてくれるまで、全身から受け取っていた。
ミネさんからやっと離れて落ち着いたあと、改めてさっきの話で聞き逃したことを話された。
自分が無気力症候群の可能性があること。改善するには会話とバランスの良い食事、質の良い睡眠。そして好きなことをして過ごすこと。
顎に手を当てて考える。あのときはとても無理だと思った。
でも。
「私もできるだけ協力します」
信頼できる人がこの言葉をくれたのだから、もしかしたらどうにかなるかも。
ミネさんをもう一度見ると、一枚の紙を渡してきた。電話番号が書いてあった。
「救護騎士団への連絡先です。何か話したいことがあれば、いつでもご連絡ください」
「それでは、おやすみなさい」
そう言われて時計を見ると、もう9時半を指していた。眠気を自覚した目で布団に入る。
今日は落ち着いて眠れそうだ。
先輩のことは・・・明日にしよう。ちょうど一つ方法を思いついたことだし。 - 102二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 20:21:25
前スレの流れからして次は水中訓練()かヴァニタスじゃね…?
- 103二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 03:05:47
コユキが信頼の出来る人がミネ団長になっちゃった
- 104二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 06:20:29
本編コユキがここより遥かに図太くて助かった
- 105二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 08:17:57
反省部屋を出てからずっと体が重い。脊髄から末梢神経まで痛みが伝っているせいだ。
この痛みは出てきて当然だ。私があの子に与えたのが返ってきただけだから。
そのまま歩いていると、突然頭に別の痛みを感じた。頭を上げると、目の前は壁だった。
そのまま頭を回すと、隣にいたノアが私を見ていた。いつもなら絶対しない口の曲げ方と慰めるようなまなざしがあった。
ノアが手帳に視線を移す。きっと私に言う言葉を慎重に考えているのだろう。
「ユウカちゃん・・・」
きっと思いつめないでと言いたいのだろう。でも。
「私は・・・私は・・・なんで・・・」
それはとても無理な話だ。
そのまま痛みを感じていると、別の声が横から入ってきた。先生が連れてきた人の声だった。
「思いつめないでください」
あまりにもまっすぐに、堂々とした声。思わず背から肩を上げる。
彼女―団長は、私とノア、それぞれに手を差し伸べてこう言った。
「あの子のために私もできるだけ協力します」
私とノアは手を取った。団長がいてくれるのは心強いけど。
「・・・改善するでしょうか」
あの反応をされた私に。いつの間にかいた先生と団長の声が重なった。
「信じましょう」
「信じよう」
ノアもそれに続く。
「愛していることを伝えていけば・・・」
「行動と、そして言葉でも」
「私たちで、できる限りのことをしましょう」
「はい・・・」
三人に次々と視線を移す。この言葉を聞いても、まだ不安が残っている。
でも・・・私がしたんだから。私がどうにかしないと。
その日の夜はずっと今日のことが頭の中を渦巻いていて、落ち着かなかった。 - 106二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 17:37:44
ユウカ達も病みそう…
- 107二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 19:54:04
保守
- 108二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 03:14:33
なんでこうなったのか…
- 109二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 09:03:26
さすがに頭が限界を迎えたので、顔を上げて息を吸う。冬の水が冷たいのは手洗いのときに知っていたけど、ここまでとは思っていなかった。
水が髪から頬まで寒さを伝えていき、体がそれを吹き飛ばそうとくしゃみをした。
これではだめだ。3カウントもしてない。少なくとも10はいかないと。
もう一度顔を水の中に入れる。すべての水が顔を突きさす。
1カウント。水風呂に入れるんだから、顔を水に突っ込むことくらいできるはずだ。
5カウント。寒さで顔を上げたくなるが、手で頭を押さえつける。
7カウント。顔が震えてきた。くしゃみがでそう。
8カウント。
「かぼっ」
息が苦しくなってきた。くしゃみが出たせいでさらに減った。
9カウント。
「ごぶっ」
のどが暴れそうだけど、あと少し我慢。
10カウント。
「ごぼぼっ!!」
数え終わって頭を振り上げると同時に、わんぱくな声がした。
「ちょっ、コユキ!?洗面器に顔突っ込んでなにしてるのさ!」 - 110二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 12:03:59
側から見たら自殺にしか見えないの笑えない…
- 111二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 14:31:33
肺が暴れていながらも声の方を向く。ピンクの線が入った黒いネコのカチューシャをした金髪の人と、床まで届いている長い紺色の髪をした人がいた。
ミレニアムでは有名な人たちだった。・・・問題児としても人気者としても。
そんな人が私の名前を知っていたことに驚いた。ユウカ先輩から聞いていたのだろうか。
「げほっ・・・ごほっ・・・・・」
紺色の方の人、アリスさんが口を開いた。
「これは・・・・・水中訓練ですね!酸素ゲージを拡張できます!アリスもやります!」
「え?」
そういえば、この子はすべてをゲームに例えるんだった。会ったことがなかったから忘れていた。
私が返事をする前に、アリスさんは洗面器の方に向かい、顔を突っ込んだ。
と思ったら、すぐに顔を水から上げた。
「つ、冷たすぎます!」
モモイさんが洗面器の方を向いた。それはそうだろう、冬の水道水をためたのだから。
「えっ?」
小走りで洗面器に向かっていき、水に手を入れた。
「冷たっ!?」
アリスさんと同じ反応。
それから二人そろって頭を動かさずに私を見る。先輩たちが昨日私に向けてきた目と似ている。
震えた声が二人の口から出る。私は何かおかしいことをしたのだろうか。
「な、なんでこんなことしてたの・・・?」
「誰かに言われたのですか・・・?」
仕方なく、顎を少し引いて背中から力を抜いていく。少し頭が前に出てきた。
どうせなら放っておいてほしかった。 - 112二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 15:32:28
二人から目を逸らして話す。その間に洗面器の方に向かう。
「私が何かすると皆さんが怒るので、せめて呼吸くらいはしないでいられるように・・・」
洗面器の前まで来た。息を大きく吸い込み、洗面器の両端に手を付ける。
そのとき、モモイさんの声が聞こえた。
「アリスっ!!」
無視して顔を水につけようとした。だけど、おなかが両腕に捕まってしまったせいで洗面器から引きはがされた。
すぐ後ろから澄んだ強い声がした。
「アリス、コユキを押さえました!」
アリスさんを引きはがそうとしたけど、彼女の力はとても強い。
洗面器に手を伸ばしたけど、それより早くアリスさんが私を離してしまって届かなかった。
振り返ると、髪より青くなった顔をしたアリスさんが目をつむっていた。彼女の息が何度も私に当たってくる。
私の目がさらに開かれる。アリスさんに視線を刺す。
「離してください」
出てきた声は低かった。アリスさんから出てきた声は張りつめていた。
「だ、駄目です!」
もう一度大きく言う。口がゆがんでいく気がした。
「離してください!なんで邪魔するんですか!」
アリスさんが負けじと返してくる。言う通りにしてほしい。
「駄目です!あんなことはさせられません!」
視線をもっと冷たくする。あの水のように。
「あなたたちは何も関係ないでしょう!」
「だとしても誰かが苦しもうとしているのを見過ごすことなんてできません!」
「これをすれば周りから怒られなくなるはずなんです!それなら苦しむほうがましです!!」
アリスさんの口が止まる。そのすきに逃げようかと思ったけど、アリスさんはがっちりとこちらを捕まえていたために失敗した。 - 113二次元好きの一般人25/01/26(日) 18:36:59
これをすれば周りから怒られなくなるはずなんです!
↑
これ言っているの、本当に単純に何もしなければいいと心から信じているっていうのがわかる - 114二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 05:31:53
アリスに新たな描写が入っている○
- 115二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 07:25:15
アリスさんが止まったまま私を見ている。それからまた震えた声になった。
「な、なんで息を止めたら周りから怒られなくなるんですか・・・?」
私はとげの付いたままの声で話した。
「私が何かすれば皆さんが怒るんです。だったら何もしないように息でも止めていれば怒られなくなるはずなんです」
「だ、誰にですか?誰に怒られるんですか・・・?」
ため息が出てくる。ミレニアムで怒る人なんてすぐ思いつくのに。
「決まってるじゃないですか。ユウカ先輩とノア先輩ですよ」
それを聞いたとたんに、アリスさんはわけがわからないという顔になった。ユウカ先輩に似て表情が豊かな人だ。
「えっ・・・?」
アリスさんが瞬きを何度もして、さっきまで合っていた目を離す。
「ど、どうしてですか?ユウカもノア先輩も、何かしただけで怒るような人じゃないです・・・」
「・・・私以外の人にはそうでしょうね」
アリスさんにはわからないだろう。ミレニアムの人気者で、二人からも優しくされてるから。
「それなら、どうしてコユキだけに・・・」
歯を食いしばりながら話す。
「そんなの私が一番知りたいですよ」
またため息が出てきた。アリスさんが何か言おうとしたけど、つっかえたのか口を閉じた。
短い沈黙が流れたあと、アリスさんが私から腕を離した。
それからお互いに、疲れた足から向かって床に座った。
もう訓練をする気になれなかった。 - 116二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 16:20:31
アリスも曇ってしまう…
- 117二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 00:31:55
保守
- 118二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 06:37:57
先に口を開いたのは、アリスさんの方だった。
「コユキ」
ぼんやりとアリスさんを見つめる。
「なんですか」
「アリスはおかしいと思います。何かしただけで二人が怒るはずありません」
「本当にそうなら、二人かコユキが呪いにかかったに違いありません」
「それで?」
「だからアリスが呪いを解きます。冒険家から魔法使いにジョブチェンジです!」
「・・・はい?」
私は首をかしげる。すっとんきょうな声が出た。呪い?魔法使い?この子は何を言っているんだろう。
水色の輝く目がこちらを見つめたまま、アリスさんは立ち上がった。そのまま飛びそうな勢いだった。
「アリスは新たなクエストを受注しました!」
「ク、クエスト・・・?」
ゲームのナレーターのようなことを言い出した。
「呪いの解除です!こういうのは呪いを出すアイテムがあるのが普通です!」
すべてをゲームのようなこととして話すものだから、私の体は自然にアリスさんの方に傾いていた。
「コユキ!早速調査に行きましょう!まずはこの部屋からです!」
そういうとアリスさんはいきなり私の手をつかんできて立ち上がらせた。断ろうかと思ったけど、普段の私より爽やかな輝きをした目を当てられたらできるわけがない。
こうして、私はなぜか反省部屋の調査をすることになった。 - 119二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 17:20:51
保守
- 120二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 17:21:06
保守
- 121二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 18:12:10
途中からモモイ消えてない?
- 122二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 19:59:26
普段通りになったアリスちゃんを見て、私とモモイは扉にかけていた手を離し、壁にもたれかかった。
モモイが「コユキが洗面器に顔を突っ込もうとしてる!!」と扉を蹴飛ばしながら息を荒くして入ってきてから今の今までは、あらゆる最悪な予想が頭を体をしばりつけていたけど、全部外れてくれて本当に良かった。
モモイも出ていいのかと足を何度も前に出しては戻していたし。
そのまま反省部屋から離れようとすると、モモイが私に話しかけてきた。
「あれ?ユウカ、二人に会わないの?」
振り向くと、少し首を傾げたモモイが反省部屋に片足を出していた。
下に向いた頭をまっすぐに直して返事をした。
「私はいいわ」
「ええっ?あんなに心配してたのに」
モモイの眉が内よりになるのを見て、ポケットに手を突っ込む。握った手を隠すために。
「仕事があるから」
そういいつつ、スマホを取り出してスケジュールを確認する。
「少しくらいなら大丈夫だよ。それに、コユキもユウカに会いたいと思うよ」
スマホを握る手の力が強くなり、背筋が上に引っ張られる。
「そうかもしれないけど、もうすぐ年末で忙しいから。そういうモモイの方も、アリスちゃんが会いたがっているんじゃないかしら」
「うーん・・・」
モモイの頭が右往左往に揺れ動く。今のうちに。
「そういうことだから、私は部屋に戻ってるわね。アリスちゃんとコユキのことは頼んだわ」
握った手をスマホごとポケットに突っ込み、すり足で反省部屋から去る。後ろで「あっ」という声がした気がした。
誰もいないのを確認して、三秒かけて息を吸い4秒かけて吐く。
普段から問題を起こしてばかりなのに、どうしてこういうときは私に気を使ってしまうんだろう。 - 123二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 02:21:56
ユウカが逆に心配になってきた
- 124二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 07:07:33
保守
- 125二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 13:47:29
落ちる時間短くなったから気を付けような…
- 126二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 16:58:36
テストの勉強と本番で忙しくなるため、2/12まで更新頻度が落ちます。
保守をよろしくお願いします。 - 127二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 18:33:36
モモイ、おねーちゃんのように、コユキに接して欲しい、おそらくコユキに必要なのは、共感してくれる人と、光だから。
- 128二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 00:47:40
保守
- 129二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 06:00:10
保守
- 130二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 12:08:32
保守
- 131二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 16:09:40
モモイとアリスがセミナーの光になってくれるなら…
- 132二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 21:48:46
弁当箱に手を伸ばすけど洗い物が迷惑になるかもと引っ込める描写にはトラウマ刺激される人多そう
何やっても褒められなくて、良かれと思ったことや少しでも意に沿わないと怒られる状況がいつまでも続くと何をすればいいのか何をしないといいのか分からなくなるんだよね……んで何もしなければ少なくとも何も言われないからとなっていく - 133二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 23:13:39
ほ 10時間で落ちるから気を付けて~
- 134二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 23:35:15
ほ 保守 とかより感想書いたりする方が良いとは言っておく
- 135小説書いてる人25/01/31(金) 06:14:42
どうしてテスト前に保守時間が短くなるんですか...タイムライン書いて執筆して勉強しての3タスクをしなければならなくなったじゃないですか....
- 136二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 10:19:04
200レス行ったのが30分で過去スレ行きは分かるけど
なんで単発、実況、安価10時間にしたんだろなあ余裕がなくなるわ… - 137二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 13:38:11
スレ主さんへ
ここの小説を書いている人です
進捗報告や小説投稿のためにコテハンをつけてもよろしいでしょうか - 138二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 17:12:55
アリスさんが積み木を手に取って調べ始めたとき、ちょうどモモイさんが入ってきた。
そういえば、いつの間にかいなくなっていたような。
「二人とも、戻ったよー」
アリスさんはたちまちモモイさんの方に駆けていく。落ち着いた髪と目の色に反して、よく動く元気な人だ。
モモイさんの目の前まで来たアリスさんは、私とモモイさんを交互に見る。水色の瞳といいうっすら桃色になった頬といい肌といい、とにかく全部がまぶしい。
「モモイがパーティに帰還しました!」
急に理解が追いつかない言葉が来た。
「って、あれ?いつからモモイはパーティを離脱してたんですか?」
二、三秒たって、やっとアリスさんがパーティを私たちのこととして言っていたのを理解した。
顔を床からモモイさんの方へ戻す。何一つ動じていないのを見るに、アリスさんはずっとこのしゃべり方なんだろう。
考えを寄り道から戻す。あのとき一切モモイさんの声がしなかった。どこに行っていたのだろう。
モモイさんが快活な声で話す。さっきよりは落ち着いている。
「私?私はね」
「ユウカに助けてもらおうと、セミナーの部屋に行っていたの」
最初の三文字で私に振動が走り、視線がモモイさんの斜め下に落ちた。 - 139二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 00:31:43
トラウマになってるね…
- 140二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 05:16:44
- 141二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 05:42:59
ありがとうございます。
- 142二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 07:50:44
モモイさんの言葉が頭の中で何度も何度も再生される。ユウカ。ユウカ。助けてもらおうと。セミナーの部屋。
つまり、さっきの私のことがユウカ先輩に知られた。ということはノア先輩にも先生にも知られる。
なるべく小さくいようと、肘が体に引っ付く。それに合わせて息もひそめる。
両耳に感覚を寄せて、部屋全体の音を注意深く聞く。
アリスさんが先に話した。モモイさんがこの後なんて言うかで私の罰が決まる。
「ユウカに助けを求めたんですか?」
声はさっきより震えていた。どうしてだろう。
「うん。それで二人でここに戻ってきたんだけど、けんか中だったから入れなくて。だから外で見てたんだ」
私の目が皿のように開かれた。それと同時に口も開かれた。
「えっ!?」
二人が私の方に振り返ってくる。私は胸から顎や唇まで震えあがってくる。
「み、見てたんですか?い、いつからですか?」
「え、えっと、『これをすれば』って言っていたところから、だけど・・・」
聞かれた。よりにもよってそこを。
震えが消えていき、代わりに体が重くなっていった。
頭が重みでうなだれる。それに合わせて腕から手にかけて力が抜けていく。
「コ、コユキ?」
「大丈夫ですか・・・?」
ゆっくりと声の方に顔を上げるが、目を合わせることはないまま首が横へ向き、そのまま頭も下がっていった。 - 143小説書いてる人25/02/01(土) 07:51:37
- 144二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 16:14:32
かまへん、かまへん
- 145二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 00:25:34
この後のヴァニタスがどんどん重くなるやん
- 146二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 03:16:17
せやったヴァニタスの本読んじゃうんだ
- 147小説書いてる人25/02/02(日) 05:43:32
どうしてこうなったんだろう。何もしないことすらだめなら、これからどうすればいいんだろう。
誰かが私の肩をたたく。私はビクッとして上を見た。二人が私をのぞきこんでいた。
「もしかして、私がユウカに伝えたのがまずかった・・・?」
少し口を開く。ろくに話す気になれない。目を見たくない。
下を向いてブツブツと話す。
「・・・はい」
モモイさんの足がもぞもぞと動いた。アリスさんの足はモモイさんの方を向いている。
そんな二人を無視して冷たくなった頭で考える。
考えればすぐにわかることだった。ユウカ先輩が二人のことをよく話すってことは、それだけ仲がいいってことだ。
なので、何か起きたときに二人がユウカ先輩に頼るのはよくあること。
だから、二人が私を止めてきた時点で・・・私の目論見が全部ばれるのは当然だった。
そしてユウカ先輩とノア先輩にまた怒られることも。
途中でアリスさんの声がした。耳に入らなかった。
こうなることを考えないなんて、あのとき私は何を思ってこれをしたんだろう?
ああ、そうだ。あのときは褒められなかったから。それとミネさんのおかげでいつもより気分がよかったから。
途中でモモイさんの声がした。耳に入らなかった。
何かできると思いあがっていたんだ。そんなわけないのに。
私は何をしてもみんなに怒られるのに。
反省部屋の外から音がした。耳に入らなかった。
いつからか、こうなるたびにつぶやいていた言葉があった。こうすると少しは気が楽になるから。
だから今回もそうする。周りは気にしないで。
「Vanitas vanitatum et omnia vanitas」
「全ては虚しい」
ペンと手帳の落ちる音がした。 - 148二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 05:47:27
なんでコユキってこんなに可愛いの?
- 149二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 10:05:23
ほ
- 150小説書いてる人25/02/02(日) 16:02:23
反省部屋の入り口を見る。案の定、ノア先輩がペンと手帳を拾いつつ私の方を見ていた。
昨日と違ってミネさんがいないから、逃げられない。
言い訳をしようと思ったけど、ノア先輩の前では絶対に通用しない。
大人しく先輩の動きを待った。
何も音がしない。ノア先輩は口を開けたまま、瞬きをしている。アリスさんに目を逸らすと、私とノア先輩を何度も振り向いている。
モモイさんは一、二歩後戻りしてノア先輩を見ている。
今日一番の疲れが全身に届いた後で、やっとノア先輩が口を開いた。
「コユキちゃん・・・その、どこでその言葉を・・・?」
最初は黙っていた。そのうち、それにすら耐えられなくなったので口を開いた。
いつものような声は出ない。穴の開いた胸のせいで、力も元気も抜けていくから。
「前にシャーレの当番に行ったときです」
少しの間話すだけで疲れる。昨日ユウカ先輩に話したときのように。
「先生からトリニティの歴史についての本を借りました」
息をして胸にあるちくちくをごまかす。
「その本に挟んであったメモ用紙に書いてありました」
アリスさんが話しに入ってくる。普段はもっと明るいらしいけど、今はその真逆だ。
「で、では、どうして、今、それを・・・」
「これを言うと、少しは、楽になれるからです」
いつの間にか頭は床を向いていた。改めて疲れた顎を上げて三人を見て話す。
「だって、私にぴったりじゃないですか」 - 151二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 01:03:07
Oh…
- 152小説書いてる人25/02/03(月) 07:22:58
真っ先に叫んだのはモモイさんだった。間近で叫ばれたせいで耳が痛い。
「そんなことないよっ!!」
続いてアリスさんもモモイさんに乗っかる。四つの目がこちらを見て、二つの口から焦った声が出る。
「そ、そうです!この世界には嬉しいことも楽しいこともたくさんあるんです!だから、すべてが虚しいことな―」
アリスさんからうんざりしそうな言葉が出そうだったので、私はそれを遮った。
「虚しいですよ」
これ以上話すと問い詰められそうな気がした。まだ二人は食い下がる。ノア先輩は何も話さない。
「で、でも、コユキにも何かあると思うよ!ゲームとか・・・えっと、ボードゲームとか!」
「ユウカ先輩やノア先輩と楽しく話したことだってあるはずです!・・・たとえ、二人から怒られてばかりだったとしても!」
こっちに顔を詰めて必死で見つめてきても、そんな言葉は私の頭に入ってこない。だって。
「ないですよ。全部」
ノア先輩の方を見る。先輩なら全部知ってる。だってこうしたのは先輩たちだから。
「疑うならノア先輩に聞いてみたらどうですか。先輩なら全部知ってますよ。全部覚えてますから」
曲がった口を閉じる。自分から話すなんて面倒だ。
もう話す必要もなくなったので、下を向いて三人が立ち去るのを待つことにした。三人の声は耳から追い出した。 - 153二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 13:04:07
ノア…
- 154二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 15:40:57
今のこの辛い瞬間も忘れる事が出来ない…
- 155二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 16:23:19
もうこれは鬱の領域に入ってしまったのでは?
- 156二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 18:48:08
どういう方向の症状が出てるかが違うだけで本質的には同じものだし
- 157二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 23:15:31
ほ
- 158二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 00:02:53
保守
- 159二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 08:12:57
ほ
- 160小説書いてる人25/02/04(火) 13:52:50
心労が出てきたので、本日の更新はお休みとさせていただきます
- 161二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 16:53:39
ずっと暗い展開だからね…<心労
そろそろ晴らせに向かってもええんやで? - 162二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 23:49:03
ほ
- 163二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 05:18:26
この手のは感情移入するといいのが書ける分、反動がキツいからな…
- 164小説書いてる人25/02/05(水) 06:36:55
メンタル回復のために週末まで更新を停止させていただきます
- 165二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 11:59:31
しゃーない
- 166二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 18:13:39
待とう
- 167二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 23:56:06
一応保守
- 168二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 04:11:06
ほしゅー
- 169二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 08:51:48
ᓀ‸ᓂばにたす…
- 170小説書いてる人25/02/06(木) 17:08:46
メンタル回復してきたので週末にかけるかもです
- 171二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 20:13:25
応援してます!
- 172二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 03:41:44
ばにばに…
- 173小説書いてる人25/02/07(金) 06:27:41
それからどれだけたったかわからなくなったとき、モモイさんの声がした。
「コユキ・・・」
ああ、ついに怒られる時間か。今日はいったい何を言われるのだろうか。
悪い予想が頭の中で出てきてはたまっていく。そのせいで重くなった頭を上げてモモイさんの方を見た。
モモイさんは奇妙な顔をしていた。ユウカ先輩に怒られているときかそれ以上に青くなっていた。
アリスさんは、私と目が合ったとたんにおなかに両手を押しつけて視線を足元に向けた。
ノア先輩は・・・いや、今さら見る必要もない。どうせいつもの怖い笑みをしているんだろう。
それに、ユウカ先輩に怒られるより二人のような顔を見る方がつらいから。
誰も視線を合わさなくなったから、頭ごと下げて次の言葉を待ち構えた。
―これ以上苦しめるなら、早く終わらせて。
そう思ったのに、なかなか来ない。
―どうして?怒るか悲しみをぶつけるかしたいならそうすればいいじゃないですか、モモイさん、アリスさん。
―いつものように圧のある言葉で迫ればいいじゃないですか、ノア先輩。
―そうしに来たんでしょう?
心の中でつぶやいても、来ない。
耐えきれなくなって頭を上げたとき、ようやくモモイさんが口を開けた。
「「「ごめんなさい!!」」」」
「・・・え?」
私の口と目はふさがらなかった。 - 174二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 14:45:42
来た…
- 175二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 21:36:42
流れ変わるか……?
- 176二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 21:47:22
怖いなあ…今のコユキだと三人に謝らせてしまった→迷惑をかけてしまったってなりそうで…
- 177二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 05:59:24
頭の中でさっきの言葉が反響している。ごめんなさい?ごめんなさい?
それに押されて、開いたままの口が勝手に話す。
「どうしてですか・・・?」
うまく伝わらなかったのか、三人は固まったままだった。
「どうして謝るんですか・・・?」
謝るのは私の方なのに。
私に返してきたのはモモイさんだった。一瞬お互いの顔があったけど、私はまた頭を斜め下に下げて、相手の顔を隠した。
「その、私たちがコユキに・・・迷惑をかけていたから・・・」
「迷惑・・・?それは私が皆さんに・・・」
「違うよ」
私の目がそれに引き付けられ、ふさがっていく喉からかろうじて声が出てきた。
「な、なんでですか?なんで違うんですか?」
「私もアリスも、コユキの気持ちを知らないで、コユキのやろうとしていたことを邪魔したから・・・」
「そんな理由で・・・?」
アリスさんを見ても、何も言ってくれない。ノア先輩ですら何も言わない。どうして?
私の頬が、口が、ゆがんでいく感じがする。
そんな私のことなんて関係なしに、モモイさんは話してくる。
「・・・私、アリスちゃんと一緒に、ノア先輩に聞いたんだ。コユキのこと」
私の喉が完全にふさがれ、声が出なくなった。 - 178二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 06:17:10
- 179小説書いてる人25/02/08(土) 06:17:58
- 180二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 14:40:15
コユキ…
- 181二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:02:57
ほしゅー
- 182二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 03:20:42
残りレス数が少ないですが、いっぱいになったら立てますので安心してください
- 183小説書いてる人25/02/09(日) 06:43:20
ありがとうございます。
- 184二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 13:16:44
文字って何書くか重要なんだなって
- 185小説書いてる人25/02/09(日) 13:33:00
モモイさんから私に向かって言葉が投げ込まれる。普段の私のこと、無気力症候群のこと、昨日のこと、そして・・・今日のこと。
その目はどこかミネさんと似ていた。追い詰めるのではなく、慰めるような。
「私、ノア先輩から聞くまで何も知らなかったんだ。コユキがそんなことになっているなんて」
「だから、その・・・すっごく悪いことしちゃったなって思って」
「それで、アリスちゃんと一緒に相談したの。コユキの無気力症候群を治すのに協力させてって」
「そしたら、ノア先輩もOKしてくれたの」
「だから、コユキ・・・私たちに何かできることはない?さっきのお詫びもかねて・・・」
話を聞いても、なんで謝ったのかを理解したくない、悪いのは自分だと決めたい自分がいる。今までそうだったから。
でも、ノア先輩までいるこの三人は、もう引き下がりそうにない。ここで悪いのは自分と言ったら、さっきの決意を無駄にしてしまう。
だから楽になりたい気持ちを沈めて、三人にできることを探す。
・・・とはいっても、できることなんてない。これがミネさんなら、私が何もしなくてもすぐに動いていたのに。
首を振って部屋の物を見渡す。積み木や本に目が行く。
ふと、ミネさんが言っていたことを思い出した。
私はモモイさんの方に顔を向ける。目まで合わせることまではできなかった。
「・・・あの」
腕を動かす。腕は若干迷ったけど、指が本棚の方に向かって伸びていった。
「えーと、ミネさんが、好きなことをして過ごすといいと言っていたので・・・本を、読むのは、どう、でしょう、か・・・」
「うん。みんなで本を読めば、少しは気分がよくなるはず」
「知恵のクエストを受注しました。アリス、行きます!」
ノア先輩は話さなかったけど、その目はアリスさんやモモイさんと同じものを持っているようだった。
てっきり微妙な反応をされるかと思っていたけど・・・そんなことは杞憂だった。 - 186小説書いてる人25/02/09(日) 13:44:26
- 187二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 19:14:55
マジか気を付けよう
- 188二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 20:33:12
- 189二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 03:24:16
待とう
- 190小説書いてる人25/02/10(月) 06:55:31
クリスマスのお話のタイムライン作成中につき数時間ほどお待ちを
ただし、私はクリスマスイベント未履修のため妄想100%の内容になります
(一応、クリスマスセリナとハナエはいるのでそちらを参考にしたものとなります) - 191小説書いてる人25/02/10(月) 10:53:47
アリスさんとモモイさんが本棚に向かって本を選んでいる。
二段しかないし、一段に10冊もないからすぐ選べるはずなんだけど、なぜか二人は迷っているようだった。
「うーん、これは・・・」
「レベルの高い本が多いです・・・」
位相幾何学とかミクロ経済学とか代数学とか、ミレニアムなら普通に使うようなものしかないのに、この二人にとっては難しいようだ。
どうやら、ここでも自分のアイデアはまずいものだったらしい。
数十秒か十数秒かたって、二人はようやく手にして読み始めた。私以外の人が暗号解読でもしているかのような表情だった。
一方でノア先輩はというと、確率論の本を選んで読み始めていた。ノア先輩が休憩中に詩集を読んでいるときは怖くない笑顔だったけど、今は笑顔すらなしに目を開いているから不気味でしかたない。
三人が本を読み始めてから、私は誰かに命令されているような感じがした。セミナーでよく感じていたあの気持ちだった。
とにかく周りと同じことをすれば迷惑にはならないだろうと思い込んで、私は最初に目についた本を手に取った。
最近のお気に入りだった、位相幾何学の本だった。
本には集中できなかった。さっきのことがまだ引っかかっていたから。
お気に入りの本を読んでも喜びを感じなくなった自分がいた。 - 192小説書いてる人25/02/10(月) 11:22:48
私のページをめくる手が止まる。そのとき、またしてもモモイさんが一番に口を開いた。迷いがどこにもない言い方だった。
「ねえ、コユキ。他の本も読んでみない?ここにある本じゃなくて、もっといろいろな本を」
すぐさまアリスさんが落ち着いた声で話した。アリスさんは飛び上がると思わせるほどに大きく足と足の間を開けて立った。
「図書館の探索イベントです!本から知恵や謎解きのヒントを得ましょう!」
最後に、ノア先輩が二人のことをまとめた。
「では、四人で本を買いに行きましょう。コユキちゃんもいいですか?」
指示だったし、特に断る理由もなかったから賛成した。
「はい」
私は読む本が変わっても、喜びが訪れるとは思えない。だけど、モモイさんやアリスさんにとってはそうではない様子だった。
「やったあ!アリスは何を買う?アートブック?攻略本?」
「アリスはアートブックを買います。最近、欲しいと思っていた本があったんです。モモイは何を買いますか?」
「私?私はー・・・攻略本かな。ちょうど行き詰ってたゲームの攻略本を見つけたから」
私の瞳にある星のように、輝くような表情をしている二人。それを見てると喉が渇いてきた。
二人が喜んでいるからいいはずなのに、どうして私はこんなにも不安なんだろう。
どうしてまだ、迷惑をかけたかを考えているんだろう。 - 193小説書いてる人25/02/10(月) 17:41:21
次スレ作成していただけると助かります
- 194二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:36:08
- 195二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:41:13
こっちは埋めよう
- 196二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 21:21:00
うめ
- 197二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 23:10:40
埋め