シービーに車椅子押されながら旅したい

  • 1二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 15:52:22

    シービーに車椅子押されながら旅したい

  • 2二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 15:53:33

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  • 3二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 15:54:41

    老衰で歩行が厳しくなった的な奴?それとも大けがで足に障害が残った的な奴?

  • 4二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 15:59:21

    そろそろこの旅も終わりだね
    最期はどこにいきたい?
    みたいに話しかけられたい
    散りゆく桜を見ながら話しかけられたい

  • 5二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:00:21

    最強のふたり

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:03:46

    このレスは削除されています

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:04:06

    老衰したベテラントレーナーを大人になったシービーが車椅子押しながら一緒に旅してるのを想像した

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:07:48

    >>7

    君をすっかり縛ってしまったね、って謝ったら

    キミがあたしの前で歩いてただけだよ、って言われたい

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:22:28

    >>8

    たった1レスの短文だけど俺はあなたのことが好きだ

    本当に素晴らしいレスだと思う

    ありがとう心に突き刺さった

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 16:52:22

    シービーが穏やかな笑顔で
    「それじゃ、次はどこに行きたい?」
    って語りかけてエンディングが流れるんやろなぁ

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 17:07:04

    成る程つまりテッカマンブレードのラストだな

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 17:18:39

    >>8

    それめっちゃ好きっすわ…

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 17:19:10

    >>8

    こういう文才憧れちゃう

  • 14二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:01:40

    シービースレってたまに寺山修司レベルの文才おるよな

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 18:09:07

    ワイは認知症の母親の介護を頑張ったけど生活苦で心中しようとして失敗した事件を思い出してやるせない気持ちになった

  • 16825/01/09(木) 21:55:28

    ほんの些細なことであった。

    年甲斐もなく、詰めたスケジュールを追って道程を走っていた最中だった。
    たった、それだけのことが、私から走る為の脚を奪い去っていった。
    命に関わることではないし、生涯をかけて付き合っていくようなものでもなかった。

    ただ、そう思うには、些か私は歳を取り過ぎた。

    暫くの暇を貰い、住み慣れた部屋の布団に横になりながら過ごしている。
    「有給を」と言ったそばから、理事長から止められた。
    彼女も、肩書きに負けぬ立派な女性に成長したものだと、その時ふと思った。

    今日は、サブ……いや、チーフトレーナーと担当していたウマ娘が見舞いに来てくれた。
    数ヶ月前に彼の目元にあった酷い隈は、今やすっかり消えてなくなっていた。やはり、環境が人を作るのだろう。
    安心したよ、とポツリと漏らすと二人は嬉しいような複雑なような、そんな微笑みを返してくれた。

  • 17825/01/09(木) 21:55:47

    別段、痛いとか苦しいとかいう事はなかった。

    ただ、思い通りに動かない自分の身体が忌々しかった。
    食事をしようとする時、トイレに行こうとする時、何かをする、ということに、それはずっと付き纏ってきた。
    そして、痛みを理由にして、洗い物を溜め込んでしまった時、自分の中の澱みに、目が向いた。
    側に誰かが居てくれることは、勿論嬉しかった。見舞いに来てくれる度に、気持ちが晴れるのを感じていた。

    しかし同時に、自分自身を、行く手を塞ぐ石塊だと思わずにはいられなかった。

  • 18825/01/09(木) 21:56:10

    「……あ。起きた?」

    だからこそ、午睡から私を目覚めさせたその声は、まさに青天の霹靂だった。
    目が世界に慣れない。
    かちゃかちゃ、という音と水道の流れる音がキッチンの方から聞こえてくるのだけは理解していた。
    ただ、別に、理解しなくとも。

    「君は、いつも私を驚かせてくれるね」

    ミスターシービー。

    「驚かせてた?」
    「…うーん、ごめん」

    最後に見た彼女は、制服姿だったな。

    「君も、すっかり立派になった」

    「キミもね」

    立派なものか。
    そんな思いが、幾分か晴れたような気がした。

    最後だったのだろうか。水音は止まり、私達の間には時間だけが流れている。


    「ねぇ、出掛けようよ」

  • 19825/01/09(木) 21:56:32

    ここまで流されるままになっているのも、もう何年振りのことであろうか。

    「懐かしいな」

    「まだ、8年だよ」

    彼女は屈託の無い笑みでそう言うが、今私はこうなっている。
    ゆっくりとした歩調で車椅子を押されながら、情けないことだと、ふと思った。


    住み慣れた街が、電車の窓の向こうでどんどんと遠くなっていく。
    何処に、というのと、今更という感じがあって聞かなかった。
    とはいえ、久方ぶりの遠出だ。
    こんなに突拍子もなく飛び出したことに、不安が無いではなかった。
    そんな思索も、彼女は見透している。

    「やっぱり、キミも変わってないよ」

    そう言った彼女の横顔は、未だあの頃の輝きそのままに眩しかった。

  • 20825/01/09(木) 21:57:02

    「ここは……」

    所謂、夏合宿で使う港町だった。8月も終わりに差し掛かる今は、人は居こそはすれど、あの喧騒はなく静かなものであった。

    「懐かしいね」

    堤防から見下ろす砂浜の景色が、彼女の言う通り、酷く懐かしく見える。
    そう見えてしまうのが、たまらなく寂しかった。
    日差しを眩しそうに眺める彼女が、ふと閃いたように言った。

    「降りてみよっか」

    「迷惑をかける、ってのはナシだから」

    …流石だな、と舌を巻かざるを得なかった。

    一段、一段と、彼女の手を借りながら慎重に降りていく。
    使い古したスニーカーが、柔らかな砂を踏んだ。

    「…………」

    「…トレーナー」

    「大丈夫」

  • 21825/01/09(木) 21:57:23

    一人で歩かせてくれないか、そう言うと、彼女はそっと手を離し、少し先で見守ってくれた。
    相変わらず、優しい子だ。

    砂で進むには、パワーが肝要だ。
    彼女にも、他の子にも、飽きるほどに言った言葉だった。
    足を取られ、地面に突っ伏してしまう。
    改めて、その重要性が知れた。

    「やっぱり」

    「大丈夫」

    立ちあがろうとする、だけなのに、こんなにも膝が笑っている。
    情けない。
    情けない、が。
    情けないままで終わらせたくはない。特に、彼女の前では。

    立ち上がる。
    一歩一歩、踏みしめるごとに、身体が悲鳴を上げる。
    けど、一歩一歩、確かに進む身体が、ついに彼女を追い越した。
    その少し先で、とうとう崩れ落ちてしまったが。

    「キミは、やっぱり凄いよ」

    身体を支えてくれるシービーの声が聞こえた。

  • 22825/01/09(木) 21:57:44

    すっかり夜の帳が下りた頃、私達はいつもの丘の上に居た。
    見知った街の、見知った所。

    レースに勝った時、彼女が迷ってしまった時、出かけた時、そして、最後の日にも。
    この景色がずっと側にいた。

    「どうだった?」

    車椅子の背もたれの背後から、彼女の声が聞こえる。

    「楽しかったよ」

    流れる空気の中に、私はシービーの安堵を感じた。

    「気を遣わせたね」

    「ううん」
    「ずっと、見てたから」

    優しい答えだった。
    それが、なんだか申し訳なくなった。

  • 23825/01/09(木) 21:58:04

    「すっかり、君を縛ってしまっていた」

    すぅ、と彼女が息を吸った。
    ぴり、と空気が少し張り詰めた。

    「何のことかな」

    言葉にはしなかった。
    が、心がけていたことだった。ずっと。

    「分かんないな」
    「だって、キミは」

    「アタシの前を歩いてただけなんだから、ずっと」

    じわりと、胸の辺りで、氷が溶けていくのを感じた。

    「そう、だね」

    うん、と短く返した彼女の言葉は、何処となく嬉しそうだった。

    「ねぇ、次はどこいこっか」
    「キミは、どこにだって行けるんだから」


    もう、決めていた。
    彼女が聞けば、やっぱり、らしいね、と返してくれるような、その場所に──────

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 21:58:50

    シービーに文学嗜む輩が集まってくる…

  • 25二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 22:15:37

    あ"っ

  • 26二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 22:36:54

    野生の寺山修司が降りてきてる…

  • 27二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:18:19

    シービーは生い立ちからして、祖父や祖母にあったことなさそうだから余計に老人トレーナーに懐いてそうだよね

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:32:40

    このレスは削除されています

  • 29二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:35:18

    あまりにも稚拙な絵で申し訳ない
    素晴らしいSSに心からありがとう

  • 30二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:45:09

    絵師まで現れたぞ!崇め奉れ!

  • 31二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:46:34

    ちょっともう言葉が出ないわ
    本当に美しい

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:59:16

    >>8 が強いスレかと思ったら>>8 は神だったスレで、おまけに>>29 とかいう別の神も付いてきた

  • 33二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:01:55

    フツーに泣きそうなんだが
    本当に感動した

  • 34二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:20:22

    あまりにも丁寧な描写ではっきり情景が浮かびながら、満を持して放たれる>>8 のセリフ…

    スルスル没頭できる文の美しさがすごい

    イラストも、手前に塗りつぶされた車椅子に気づいた時に一瞬息止まったかと思った

    構図やばい


    とんでもないものを見たよ、ありがとう

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:30:05

    1月上旬にして今年のウマカテ文学賞筆頭候補きたな

  • 36二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:32:20

    寝る前になんてものを見せてくれたんや……涙で枕がグチョグチョだよ……

  • 37二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:52:01

    こんな美しい時間が永遠に続いてくれますように…

  • 38二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 01:15:12

    このスレのシビトレとシービーといい、劇場版のフジとナベさんといい年配のトレーナーとウマ娘の絡みは良き·····

  • 39二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 06:53:26

    良いモノが見れましたわ
    感謝です

  • 40二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 07:32:49

    もっと一緒にお出かけしろ

  • 41二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 09:26:03

    この2人なら世界の果てまで行けちゃうんだろうな

  • 42二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 12:29:52

    2人の散歩を毎日見せてくれ

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 19:01:24

    車椅子の穏やかな初老トレーナーと、それを押す大人になった美麗なシービー…
    あまりにも絵になりすぎるわ

  • 44二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 23:27:28

    本当に優しい子なんですよ

  • 45二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 00:23:12

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 00:25:35

    上手く説明できないけどシービースレ特有のこの雰囲気がすっごい好き

  • 47二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 07:58:48

    このレスは削除されています

  • 48二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 17:19:19

    車椅子を押して進んでいくシービー達の歩みは誰よりもまっすぐなんだなって

  • 49二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 19:48:25

    最高に感動した

  • 50二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 05:31:51

    シービーがどこで何をしてきたかは分からないけどこんな時はずっと見守っていてくれそうな安心感がある

  • 51二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 15:16:27

    >>43

    美しい…

  • 52二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:39:22

    >>29

    こういう遠方に見える二人の影って構図素敵

  • 53二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:14:46

    すっかり身体に慣れた心地よい風が吹いている。
    生徒達が走り、撒き上がった芝が、時折風に揺られてはどこかに落ちた。

    やっぱり、ここは良い場所だ。

    客席の前、少し空いたスペースからそんな光景を見ていた。

    「ここに居たんだ」

    聞き馴染みのある、最近では聞き覚えのない声が後ろから聞こえてきた。

    「まだ、居たんだね」

    「そんなにフラフラしてないよ、いつも」

    「どうだろうね」

    怒ったような嬉しいような、そんな気持ちが見て取れた。

    「キミは、やっぱりキミだった」

    とはいってももう、現場の人間ではない。

    「御意見番程度のもんだよ」

    そっか、と、隣に座ったシービーの、リラックスした様子の顔が見えた。

  • 54二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:15:10

    「いつまで?」

    そう聞かれ、考える。
    答えは、胸の内に確かにある。しかし、それを出すのを躊躇っている。
    が、賢い彼女もそれとなく察しているからこそ、そう投げかけたのだろう。

    「年内には、どういう結果であろうと」

    改めて、言葉にした。
    納得感が心の中に生まれた。
    復帰直後、期限を設けた。
    そして、出来うる限り、元の自分らしくあろうとした。
    そして、現状の結果が出た。それに対して、適切な答えが出た。
    それだけだった。

    「うん」
    「じゃあ、アタシも」

    ……腰を据えている。てこでも動かないといった顔で。
    気恥ずかしくもあるが、何を言うわけでもなかった。

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:15:33

    有マ記念当日。

    鳴り止まぬ歓声の中で、私は安堵を覚えた。
    惜しくも栄光を掴み損ねた「彼女」の顔に、曇りは無かった。
    シービーに連れられた地下バ道の中で待っていた「彼」の顔に、後悔の念は無かった。
    それと共に、肩に乗っていた、何か重いものを、すっかり落としてしまったような、そんな感覚があったのだ。

    何ということはなかった。
    心から安堵したのだ。

    「君に、全て任せてもいいと思ったんだ」と、私が言った時、すっかり青臭さの抜けた彼が、子どものように大粒の涙を伝らせて、私の胸の中で泣いていた。
    シービーと、今日の主役の彼女に見つめられ、私は幸せ者だと改めて感じた。


    夜が深くなっても、私は中山の芝をずっと見つめていた。
    歓声も聞こえぬ、誰も走らない、その芝を。

    「思い返せばあっという間だった」

    思うまでもなく、言葉が口をついて出た。
    この芝に、この直線に、このコーナーに、この場所に詰まっている青春が、脳裏を駆け巡り、その度に夜風がそれを掻き消した。

    「風邪、引いちゃうよ」

    シービーが、いた。

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:15:56

    「そっくりそのまま返させてもらうよ」

    あはは、と笑うシービーの顔は、私と一緒で、あのターフを見つめているようだった。
    寂しげな顔だった。

    「これが、キミの言ってた」
    「区切り?」

    「……………まあ」

    これ以上はない、という区切りだった。
    今ある自分の精一杯を尽くして、この有マ記念は行われたのだ。

    「ついた、かな」

    言葉を、自分の中で反芻する。
    それを、何を言うでもなく、彼女は聞いてくれた。
    結果はどうあれ、これが終わりだ。これ以上はないのだ。
    そう、思うと─────

    「今日くらいは、いいんだよ」

    彼女の指が、いつの間にか伝った涙を拭き取った。
    それに気付くと、堰が切れた。

  • 57二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:16:18

    「もっと、走っていたかった」

    「うん」

    「もっと、考えていたかった」

    「うん」

    未練たらしく見えてしまうかもしれないが。

    「これが、大好きだったんだ」

    「………分かるよ」

    身体中に、喪失感と悲しみが充満する。
    悔しい。もっとやれるはずなのに。辛い。この選択をしなければいけないことが。
    だけど、そうしなければいけないということを、私の心と身体は、誰よりも知っていたのだ。

    意図もなく、車椅子は動き出した。
    グリップを掴む彼女がそうしたのだ。

    「ありがとう」

    嗚咽混じりの声が出た。


    そうでもしなければ、溢れんばかりの青春と、むかむかする程の逡巡を綯い交ぜにした、ここから離れることが出来なかったからだった。

  • 58二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 07:57:43

    このレスは削除されています

  • 59二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 10:03:00

    旅のおわりはこうも美しいのか
    ありがとう…

  • 60二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:27:41

    こういう切なさと清々しさを感じるお話に弱い……
    いい……(語彙力消失)

  • 61二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:04:06

    旅路の果て……

  • 62二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 21:17:18

    ちゃんと区切りをつけるって大変だけど大事なことで
    シービーがそばに居てくれたから頑張れたんだろうな

  • 63二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 07:20:58

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:18:32

    ええ話や

  • 65825/01/14(火) 23:59:09

    続きもなんか書きたいけど
    死ネタというか
    それに触れちゃう感じはやっぱりセンシティブかな

  • 66二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 09:57:10

    直接的な描写を避ければ大丈夫だと思う

オススメ

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