- 1マジでこわい25/01/11(土) 18:35:12
- 2二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:35:41
本編でもある絡みだ
- 3マジでこわい25/01/11(土) 19:36:54
落ちそうなので保守のためにレスします
現在大まかにあらすじを考えたところです - 4二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 19:38:37
SS作家さんいるの嬉しい
楽しみにしてますね〜 - 5二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 19:47:40
SSはなんぼあってもいいので期待
- 6二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 21:05:54
楽しみなので保守
- 7マジでこわい25/01/11(土) 22:09:41
保守もかねて出来上がっている部分を少しずつ投下する形にしようかなと思います。書きながら投下するのでいろいろと雑な部分が目立つかもしれませんが多めに見ていただけると助かります。
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「んっ…くっ……あぁ」そういって麻央は背伸びをした後、大きく息を吐いた。
(流石にしんどいな…ここのところずっと休んでないから…)
麻央は門限超過の申請書類をチェックしながら心の中でそう呟いた。日々の過酷なレッスンはもちろん、寮長としての仕事やそれ以外での後輩や同級生から頼み事が重なり麻央の体力は限界に近くなっている。
決してそれらを嫌々やらされているのではない。アイドルがレッスンに励むのは当然のことだし、寮長の仕事も後輩や同級生の面倒を見るのも自身の理想とする王子様像に近づくために必要なことと考えており、なによりそうして人に喜ばれるのは嬉しいし楽しい。そう振る舞うことこそが自分にとってのやりたいことであり、そうするためならどんな苦労をも厭わない、麻央はそう考えていた。
しかしどれほど意欲があると言っても体力は無限ではない。何でもかんでも仕事を引き受けてしまっては自身の身が持たないとわかっていつつも、頼られてしまうと心配になってつい助けたくなってしまう。それが自分の悪癖だと知りつつも麻央はそれを直せないでいた。
「いや、でもこれは早めに終わらせとかないと」そういって麻央は元の仕事に取り掛かる。すると麻央は門限超過の申請をしていないにもかかわらず未だ寮に帰ってきていない生徒がいることに気が付いた。
「またか…」麻央は大きくため息をつき、件の問題児を出迎えるために寮の入り口で待ち構えることにした。 - 8二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 22:11:17
楽しみ
- 9二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:04:14
保守
- 10マジでこわい25/01/11(土) 23:13:42
寮の入り口の前で待っていると、その問題児、藤田ことねがあたりをきょろきょろと見回しながら寮に近づいてくるのが見えた。普段は待ち伏せなんてしないからこっそり入ればバレないと思っているのだろう。
仮に見つからずに入れたとしても次の日にはお小言を食らうというのに何故こうまでして門限を破り続けるのか、麻央には不思議でならなかった。
「こんばんは、ことね」そう呼びかけるとことねはビクッと体を震わせ、冷や汗を流しながら引きつった顔をゆっくりとこちらに向けた。
「こっ、こんばんハ~…」
「遅かったじゃないか。ずっと待っていたんだよ、門限を越えても帰ってこないから行方不明にでもなったかと心配になってね…。それで、どうしてこんな時間に帰って来たのか、説明してもらおうかな?」
「い、イヤ~、そ、それは~その…エ~っとデスネ…」
言い逃れが出来ないと悟ったことねは次の瞬間、回れ右して今来た道を全力で逃走し始めた。
「あっ、こらっ、待ちたまえことね!」
「ゴメンなさ~い!!許してくださ~い!!」
「近所迷惑になるから大きな声を出すのはやめなさい!くそッ、は、速い…!待て!止まりたまえ!」
「ゴメンなさ~~~い!!」
しばらくの間逃走劇を繰り広げた後やっとのことで捕まえると、どうやら観念したのかことねはうなだれた様子で寮に連行されていった。 - 11マジでこわい25/01/12(日) 00:07:07
「ハァ…ハァ…それで?一応言い訳を聞こうか。」
全力疾走をして疲労困憊の麻央は息を切らしつつもことねに尋ねる。
「エット、その…バイトをしてて…」
バツの悪そうにそう返事をすることねに、麻央は少し呆れた様子でお小言を言い始めた。
「またバイトかい?元々ただでさえ多かったのに最近やたらと増えてきてるじゃないか。時間も遅くなっているし、働き者なのは関心するけど学生としての本分を忘れないでもらいたいね。そんなんじゃレッスンにも身が入らないだろう?」
「それはぁ…そうなんですけどぉ…事情がありましてぇ…」
「…バイトをするなとは言わないけど、せめて門限超過の申請を出してくれないか?安否確認のために必要なんだ。それと、授業とレッスンに支障が出ない範囲でバイトをすること、いいね?」
「ハイ…スミマセン…」
一通りお小言が終わった後麻央は普段の疲労に加えて先ほどの全力疾走で限界に近い状態になり、自室に戻るとすぐに眠気が襲い泥のように眠ることになった。 - 12マジでこわい25/01/12(日) 00:08:07
その翌日…
「どうした?有村。その振り付けは以前出来ていた筈だぞ。」
麻央は自身の体が言うことを聞かず、思うように動かせないことに動揺していた。
「ハァ…ハァ…あれ…?こんなはずは…」
「途中でバテてダンスにキレがなくなっている…どうやら疲労がたまっているようだな。今日はここまでにしておけ。」
トレーナーはそう言うと自身の荷物をまとめ始めた。
「そ…そんな…ボっボクはまだ…!」
麻央は今起きていることを認めることが出来ず食い下がろうとしたが、
「駄目だ。そんなフラフラな状態で続けたら怪我をするぞ。オーバーワークは禁物だと言っているはずだ。ちゃんと休息は取れているのか?寮長として忙しいのは分かるが自分も一学生であることを忘れてもらっては困るぞ。」
トレーナーの言葉に反論できず、麻央は「…わかりました」と気落ちした返事をした。 - 13マジでこわい25/01/12(日) 00:09:12
その後麻央はトレーナーの計らいで保健室のベットで休息を取ることになった。麻央は自身の不甲斐なさをベッドの中で反芻し、ますます気分が落ち込むことになった。
自身の現状と理想の王子の姿はこんなにもかけ離れているのかと暗澹たる気持ちで過ごしていると、保健室のドアが開き麻央は来客があるのを知った。
「…ことね?」
訪問者の意外な正体に戸惑いつつも、手に抱えた水筒とタオルから麻央はことねが自分を介抱しに来てくれたのだと理解した。 - 14マジでこわい25/01/12(日) 00:11:33
とりあえず今日は夜も遅いのでここまでにしようと思います。続きは明日以降も書きます。それではおやすみなさい。
- 15二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 03:36:48
保守しとこ
- 16マジでこわい25/01/12(日) 11:50:34
「カッコ悪いところを…見せてしまったかな。」麻央は少し自嘲気味にそういうと、ことねはにっこりと笑ってこう言った。
「いいえ?むしろなんか安心しましたよぉ。麻央先輩いっつも忙しそうにしてるんでぇ、どんなバイタリティしてるんだって不思議でしょうがなかったんですよ。麻央先輩も調子悪くなることあるんですね。」
「そりゃあ、ボクにだって…」
麻央は少しため息を吐くと、ことねが持ってきてくれた水筒の水を口に入れた。
「この水筒、ことねの私物かい?すまないね、わざわざ持ってきてくれて…。後日洗って返すよ。」
「あっいえ、それ莉波先輩のやつなんです。本当は莉波先輩が行こうとしてたみたいなんですけど、生徒会の用事が入って行けなくなったみたいなんです。」
「それでことねに頼んだってわけか…。本当に莉波には頭が上がらないな。それに普段ことねにバイトばかりしていていたらレッスンに悪影響だと説教していたのに、まさか自分がこうなってしまうなんて…情けない話だね」
麻央はことねに日々口にしていた言葉が自分に返ってくるこの状況に気恥ずかしさを覚えて目を逸らした。
「ホントですよぉ、自分がワーカホリックだって自覚はありますケドぉ、麻央先輩も大概ですからネ?」
「…わかってはいるんだ、でも頼まれるとどうしても力になりたくなってしまって…」
「ホントに人のこと言えないじゃないですかぁ…。何ならあたしより重症ですよ?人の心配の前に自分の心配をしてくださいよぉ」
「ングッ…」
痛いところを突かれうなだれたまま押し黙ってしまった麻央に申し訳なさを覚えたのか、ことねはこれまでとは違う話を始めた。
「あたし、少しバイトを休めることになったんですよ」 - 17マジでこわい25/01/12(日) 12:30:18
「…え?」
今までいくら言ってもバイトを休むことがなかったことねから唐突に出てきた言葉に麻央は驚きを隠せなかった。その様子を見てことねは休めるようになった理由を説明し始めた。
「莉波先輩が苦学生救済の制度を紹介してくれて、バイトを少し減らしても何とかなりそうなんです。だから今度お休みを取ろうかな~って」
「苦学生って…家計が苦しいのかい?」
「あっ…エット、実は…そうなんです…ウチ、ちょっと貧乏で…あれ?言ってませんでしたっけ?」
麻央は初めて聞くことねの境遇に困惑しつつ、今までのことねの言動に合点がいったのか、
「もしかしてバイトばかりしていたのもそれが理由かい?まったく、それを早く言ってくれれば別にバイトも止めやしなかったし、多少力にもなれたかもしれないのに…」と残念そうに語った。
「ス、スミマセン…。まぁそういう事情がなかったとしてもバイトはしてたと思いますケドね?私おカネ大好きなんでぇ~♡…まあそれは置いときまして…。」とことねは言葉を続ける。
「あたし、今回のことで少し反省したんです。自分一人で何とかしようとしてもできることなんて限られてるのに、人に迷惑かけられないから、心配かけられないからって無理して頑張って、そんで体力が尽きて全部中途半端になって…でも今回莉波先輩に助けてもらった時、すみませんここまでしてもらってって言ったら、謝る必要ないよ、頼ってもらえてむしろ嬉しいよって言ってもらえて…、その時にあぁ、あたし何でこんなこと気にしてたんだろーって思ったんです。別に人に助けを求めたところでその人が迷惑に思うかなんてわからないのにって。だから…」
そこまで言うとことねは少し間をおいて、照れた様子でこう言った。
「だから麻央先輩も一人で全部頑張ろうとしないで、無理せず休んでほしいなぁって…」 - 18マジでこわい25/01/12(日) 12:33:16
後輩からの心配に動揺と嬉しさと気恥ずかしさが綯い交ぜになった感情が芽生え、麻央は何を言えばいいのかわからなくなってしまった。
「そう、かな…でも…」
どう返答するか迷っている麻央にことねは少し悩む様子を見せると、
「ん~強情ですねぇ~…あっそうだ!だったら今度どこか一緒にお出掛けしませんか!?息抜きに買い物でも!!」と、目を輝かせながらそう提案した。
「えっ?ま、まあいいけど…」
「よっしゃー!言質頂きましたー!麻央先輩、可愛い後輩の頼みは断れないですもんネ~♡」ことねは悪戯っぽく笑うと、麻央は少し呆れた様子で、
「…ああもう、キミってやつは…分かったよ、今度誰か仕事をいくつか手伝ってもらえないか聞いてみることにするよ。手が空いたら一緒に出掛けよう。それでいいかい?」と言い、笑みをこぼした。
「ハイっ!ありがとうございま~ッす!」
「フフッ、それじゃあ誰にどの仕事を頼むか考えないといけないね。寮の見回りは手が空いてたら燕に頼もうかな…あっそういやリーリヤにレッスンを見てほしいって言われてたっけ。動けなくなった広を部屋まで運んであげなきゃいけないし…あっそういえば咲季と手毬がさっきケンカしてて仲裁したけどあれどうなったかな…こじれると面倒だからさりげなく様子を…」
「多ッ!? いくら何でも引き受けすぎじゃないですか!?最後のはもうあたしが面倒見とくんで!!ああもうあいつらホンットめんどくせ~!…」
頭を抱えることねを見て後輩の姿を微笑ましく思った麻央は、
「ことね。」
「ん、なんです?」
「……ありがとう。」
そう言って感謝の言葉を口にした。ことねは少し面を食らったのかしばらくの間無言だったが、その後満面の笑みでこう返した。
「…どういたしまして。ワーホリ同士、仲良くお休みしましょ~ネ♡」 - 19マジでこわい25/01/12(日) 12:35:38
とりあえずこれで以上となります。SSを描くこと自体初めてだったため色々と拙い部分が目立つと思いますが、最後まで書ききれてとても嬉しいです。読んでくださった方、保守してくださった方、本当にありがとうございました。
- 20二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 12:38:05
- 21二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:56:15
良いストーリーだった!
しかもこの完成度でSS初書きさん!?
すごい〜