- 1◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:33:19
- 2◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:33:40
青の陣営/連合陣営 ()内はサーヴァントのマスター
剣:ローラン(アンジェ・シュヴァルツ)/シグルド(ヘルカ)
弓:アルジュナ(ヨハナ・バーナー)/ギルガメッシュ(グナーテ・ウヌグ)
槍:エルキドゥ(エンキ・シュヴァルツ)/ジャガーマンinタイガー(グロリア・オブシディアン)
騎:コロンブス(レダ・スレブロ)/マリー・オルタ(ソンブル・ローブリュー)
術:ネロ・クラウディウス(ボイド・ヴィッテルスバハ)/太公望(宝・黎明(パオ・リーミン))
殺:百貌のハサン(ヒメル・ハプスブルク)/山の翁(死徒トッド・エンゲル:死亡済み)
狂:スパルタクス(ベヴストザイン・ムジーク)/土方歳三(バーナード・ソザートン) - 3◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:33:55
- 4二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:34:48
新スレマジ!?!?!?!読んでました!!!!!!期待!!!
- 5◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:35:13
- 6二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:35:31
待っていたゼェ!この時を!!
- 7◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:37:37
- 8◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:37:58
- 9◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:47:10
🎲や安価については、進行やこれは決めてみようか、という時に利用させて頂くくかもくらいで頻度は低いと思います
また、SSの内容が必ずしも既存の🎲/安価に忠実ではないことをご理解下さい
大体必要なことは挙げたかな?ということで早速書けてる分を投下していきます - 10◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:48:20
『11月8日 聞くもの亡き晩鐘』
ベルリン郊外 とある空き家
「ふーぅ。いやはや、この僕を随分と手こずらせてくれた。流石は時計塔から聖杯大戦へと選抜されたマスター、と褒めるべきかな? ……あぁ! もう聞こえていないか、絞りカス!」
時間帯に似つかわしくない陽気な声が木霊する。
月明かりしかない室内の二つの人影の片方が、片割れを向いてそう吐き捨てるように言った。
片割れの女は答えない。彼女は己の血溜まりにその半身を浸し、とうに命を失っていたのだから。
声をかけた人間――否、この男は人間ではない――も、そんなことはわかっている。
なにせ自らの手でその首筋を引き裂き、血を飲み下し、死を与えた相手なのだから。 - 11二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:48:45
うおー!お久しぶりです!
- 12◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:50:30
- 13二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:51:20
このレスは削除されています
- 14◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:52:46
トッド・エンゲルは、死徒と呼ばれる吸血種である。
元の自分の名など覚えていない。覚えているのは、こんな怪物に成り果てる前からずっと、命を奪うことが至高の悦楽だったということだけだ。こうなった切っ掛けも、故郷を連続殺人事件で騒がせて楽しんでいたところで、標的にした相手が死徒であったため、返り討ちになったというだけのもの。
一度(ひとたび)人間としての死を迎えながらもその殺人嗜好は欠片も変わらず、彼は親から自立できる程に成長すると、人間社会へ悪夢を土産に帰ってきた。
その所業は常人だった頃よりも大規模に、しかし密やかに鮮やかに。
殺し、血を啜り、死者を冒涜し、更なる悪辣と暴虐を成す日々を過ごした。
彼らを目の敵にする聖堂教会の代行者を逆に生ける屍に変えてやったこととて、一度や二度ではない。
まさに“徒(いたずら)に死を運ぶ者”の面目躍如と言うべき、最悪の生き方を続けてきたのだ。
「さぁ、屍の君には無用の長物となったそれを僕が貰おう! 聖杯戦争の参加権……その美しい赤の令呪を」
そんなトッドは、芝居がかった独言を続けながら殺した女魔術師の死体の右手を引きちぎり、口に含む。
ぐちゃぐちゃ、ぼりぼりと不快な咀嚼音をしばらく響かせた後、彼は窓に掲げた己の右手を見上げて満足そうに笑う。
普段の彼の殺人はそのまま殺人が目的だが、今回は少々事情が違った。 - 15◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:56:42
本来、同盟者たるボイドとの計画では、トッドは裏方に徹する筈だった。
イレギュラーな聖杯大戦。その勝利を磐石とするべく、トッドは協会側が送るバックアップの人員を殺して回るというもの。
敵陣営の席とはいえ、マスター権を奪って彼自身が参戦するのは事前の計画とは異なる。
ボイドに荷物を届けた際にわざわざ断りを入れ、このような行動に出たのには理由がある。
『…………ぁ……がァぁぁあぁァァァアアぁぁあぁぁ!?!?』
彼は先日、口封じのために殺す筈だった標的に、手痛い反撃を受けて撤退を余儀なくされた。
『ホムンクルスゥ゛!次はァ、テメェが生きてようがァ死んでようがァ、ボコボコにして、この世界に一片の塵も残さず消し去ってやるゥ! そこの小娘も同じようにだァ!!!』
あまつさえ、それまで魔術に触れたこともない少女に、その最後の一押しを喰らわされた。 - 16◆zIKR/QD4og25/01/11(土) 23:58:15
「……あんな……この僕があんな辱しめを……捕食者が獲物から逃亡させられるなど、セルバンテスの小僧以来の屈辱だ!」
当時のことを思い出して激情を再燃させたトッドが、普段は獲物を誘うのに利用している甘いマスクを歪めて歯軋りをする。
肉人形は致命傷によって自分の撤退直後に死んでいたのを、回復後に知った。
しかし、あの少女の方が見つからない。
あの小娘は確実に生きている。
加えて、貧民街には強大な神秘が顕現したらしき痕跡があったので、信じがたいがサーヴァントが召喚されたらしい。
聖杯戦争を止めようとしていた肉人形とお友達ごっこをしていた小娘が召喚した、と考えるのが最もわかりやすい。ならば、自らもサーヴァントを召喚し、憎き小娘を見つけ出し、サーヴァントごと殺してやる他にこの屈辱を晴らす術はないではないか。
歪んだ決意を新たに、トッドは女魔術師が用意していた召喚陣をそのまま使って英霊召喚を試みる。 - 17◆zIKR/QD4og25/01/12(日) 00:01:41
今夜はここで一区切りです
続きはまた明日に
合間はSSの感想やこの聖杯大戦についての雑談など、ご自由にお使いください - 18二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:32:56
ふぁ復活しとる!?
やったぜ! - 19二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:41:19
この後死んだんだよね…と思うの盛大なフリで笑う
- 20二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 07:05:32
続き本当に楽しみだ……楽しみすぎるから今までの流れ全部読み直してきちゃおう
- 21二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 10:06:22
復活されて嬉しい
- 22二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 12:12:25
トッドは階梯的に間違いなくジェスターより格下だし相手は初代様だしで万に一つも生き残る目がないのがひどい
入念に潰されてる - 23◆zIKR/QD4og25/01/12(日) 17:30:38
こんばんは
今夜分は、トッドが首を出すまで投げていきます
・
既に多くのサーヴァントが召喚され、残る席(クラス)は“橙”の陣営のアーチャー、アサシンの二体のみ。彼が狙うのは、元々召喚陣にその準備されていたのもあって後者のサーヴァントだ。
基本的にサーヴァントのクラスは指定できないが、バーサーカーとアサシンだけは下準備や詠唱などによって指定できるのだという。
(ああ、死徒(ぼく)の召喚に、一体どんな英霊が応じるのだろうなぁ。アサシンは皆、山の翁とかいうのが招かれるそうだが……教義とやらを大義名分に気に入らない奴を殺す殺し屋の頭目だ! 誰が来てもきっと話が合うことだろう!)
逆らうのなら、それはそれ。なんのための令呪か。
そう内心で醜悪に舌舐めずりをしながらも、召喚が大詰めを迎える。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」
――しかし英霊は、彼の前に姿を現さなかった。 - 24◆zIKR/QD4og25/01/12(日) 17:35:34
「……? 失敗か?」
死徒の身体能力は、魔術師のように術式で強化するまでもなく常人とは隔絶している。この程度の夜闇などで、目の前から出現した筈の存在を見失いはしない。それにも拘わらず、彼は自ら召喚した筈の英霊を知覚できていなかった。
故にこそ、そもそも喚び出せていなかったのだとはじめは考えた。
しかし、確かに召喚は成功していたのだ。ただ、彼がその姿を視ることができていないだけで。
「なんだ、鐘の音?」
ところで。
トッドのような死徒は、限りなく不死身に近い怪物だ。先の大戦で幾千幾万の同胞を容易く殺せるほどになった人間でも、彼らを殺すのは困難を極める。
しかし尋常な手段で殺し得ぬ怪物でも、死がないわけではない。 - 25◆zIKR/QD4og25/01/12(日) 17:43:03
「おい、居るんだろう!? サーヴァント、アサシン! 僕がお前のマスターだぞ、姿を見せろ!!」
明らかに不自然な鐘の音に、俄に不信感を覚えたトッドが声を荒げて周囲を見渡すが、やはり女の死体以外ここにはない。サーヴァントの姿もない。
彼は知る由もない。その鐘の音は、罪に塗れ、人としての終わりすら失って久しい彼にとっての、最後の慈悲であることを。
「ええいふざけたサーヴァントだ! いいだろう、令呪をもって命ずる。我が前に姿を――」
――晩鐘は、汝の名を指し示した。
「あらわぇン?」
そしてトッドは、眼前にアオい炎を灯シた髑髏を認メ、次に自分ノ視界がグルリと回ッタノニ気付き、続いテ自分ノ首が落チてイルコトを知リ――
――己の死を思い出した骸は、朝を待たずにその姿を世界に溶かして消えていった。 - 26◆zIKR/QD4og25/01/12(日) 17:45:18
あらゆる命の消えた静寂を取り戻した空き家。
その屋根に立って朝日を望む彼は、本来人間の術式で喚べる筈のない英霊だ。
彼は決して人間の欲望渦巻く儀式になど現れない。人類によって生まれる大災害を滅ぼすための英霊たちの頂点、その一角。現れる筈のない存在。
それが現れたという異常事態。或いは、この聖杯大戦には正しく彼が“必要になる”時が来ることを示唆しているのか。
真相がどうであれ。
幽谷の使者はただ、その剣を振るうべき天命を待ち続ける。
・
今夜は以上となります
次回は“橙”のライダー主従になる予定です - 27二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 18:53:31
主人公に大きな因縁があって死徒とかいうメイン格ある属性あるのにあっさりナレ死したな
- 28二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:31:26
- 29二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:35:43
パオちゃんとの因縁はさておき、初代様とFakeの偽殺主従みたいな関係になるには実力もしぶとさも運命力も、足りないものが多すぎた
- 30二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:44:29
協力関係者が自分の計画をマジに台無しに出来る存在召喚したとかいうとんでも事態
- 31二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:54:43
またしても何も知らないボイド・ヴィッテルスバハ(37歳)
- 32二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 01:13:25
まーたボイドおじのデバフ(起源)が発動しれらあ
- 33二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:53:30
次はソンブルちゃんとマリーオルタか
- 34二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 17:02:47
素質はあれだけど起源見ると型月作品的にはおっ?ってなる起源持ちなんだよなソンブルちゃん
- 35二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 17:19:33
とはいえ幸せに繋がりそうかというと……
- 36◆zIKR/QD4og25/01/13(月) 17:43:26
こんばんは
先日の予告通り、“橙”のライダー主従の一幕です
この後少し入れないので冒頭だけですが、10時過ぎ、日付が変わる前には続きをもう1つ投下予定です
・
『11月9日 百合よ染まれ、美しい黒へ』
フランスとドイツの国境に建つ検問所。
そこへたった一人で向かう少女がいた。
近くに親らしき姿はない。そもそも大人の姿が見当たらない。
まるで喪服のような黒一色の服装も、寒空の下で異質さを助長していた。
「君、こんなところに一人でどうしたんだい? 親御さんは?」
「え、えっと………私は……」
不審といえば不審だが、繊細そうな少女を威圧する気になれなかった警備員が、怯えさせないよう注意を払いながら声をかける。
声をかけられた少女は警備員を見上げるが、分かりやすくビクついている。配慮はしたつもりだが、子どもと大人の体格差は如何ともし難い。怯えさせてしまったか。 - 37◆zIKR/QD4og25/01/13(月) 23:04:19
お待たせしました
続きです
・
怯えさせてしまったか。
そう思った警備員と少女の間に、ふわりともう一つの影が入り込んだ。
「ごめんなさい、警備員さん。私たち、伯父様を訪ねに来ましたの!」
入ってきたのは少女と似た髪色、姉と思われる年上らしき少女だった。
彼女はソンブルと呼んだ少女に代わって警備員の前に立ち、愛想のよい受け答えをする。
花のような笑顔に呆気にとられ、警備員はいつの間に居たのか、なんて疑問も浮かばない。
「お父様は先の戦争で、お母様は病気で死にました。私たち、それでドイツの伯父様を訪ねに行きますの。そうでしょう、ソンブル?」
「……え、ええ」
そう言葉をかけられたソンブルは、姉に頷き一呼吸すると、警備員を見上げて言った。
「そうなんです。私たち、ドイツに行かなくちゃいけないんです」
ソンブルに見上げられた警備員は、自身を見つめる紅い瞳から不思議と目を離せず、みるみる内に思考がぼんやりとしていく。
「そうかい。気をつけて行くんだよ」
それからのことを、彼は覚えていない。
彼女らに言われるがまま、あっさりと少女たちを通してしまったのだった。 - 38二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:53:55
魅了されとる
- 39二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 07:35:39
保守
- 40◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 12:00:13
こんにちは
本日はお昼にも投下してみようかと思います
・
暗示によって国境を越えた魔術師の少女は今、ベルリンへ向かう列車に揺られていた。
席に座る彼女は、固い表情で周囲に気を張り詰め続けている。
(ソンブル。もう休みなさい。魔術の誤魔化しも、いい加減に限界でしょう?)
そこで小さな体での無茶を嗜める言葉がかけられた。
このコンパートメントにはソンブル一人。先ほどの少女はいない。しかし声だけが彼女に聞こえる。
ソンブルは、その言葉に首を振らない。
「ライダー。ベルリンはまだ先だけど、“青”の陣営が道中で仕込けてこないとも限らない。眠ってる暇なんてないわ」
ぶっきらぼうに答えた彼女は、鞄から液体の入った瓶を取り出した。
中身は体調を整える霊薬であるが、少女の調合の腕前は甘く見積もっても並みの域を出ず、体にかけている負荷を思えば気休め程の効果に過ぎない。
当人がそれをわかっていない筈もないのに、彼女は小さな体で昨日から殆ど眠らずに活動している。
「いいから、少しは休みなさいな」
「! ちょっとライダー、また実体化して……返しなさいっ」
そして、嘆息と共に現れた可憐な少女が、ソンブルから瓶を取り上げた。
ライダーと呼ばれた彼女は咎めるソンブルに構わず、その隣に座ると―― - 41◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 12:03:37
「……え」
――彼女はソンブルを抱き寄せ、その頭を自身の腿に乗せた。
俗に言う膝枕だ。状況が理解できずに硬直する少女。
ライダーはソンブルに、聞き分けがない子どもへ言い聞かせるように語りかける。
「楽になさい。寝床は粗末だけれど、そんな薬を飲むよりはマシよ。断言してあげる」
「でも」
「周囲の警戒なんて、サーヴァントでもできることよ。それに私には睡眠も必要ない。生身のあなたが戦う前から神経を磨り減らすのと、マスターとして調子を整えておくこと、どちらが効率的だと思う?」
「…………うん」
ライダーの言葉に、主人である筈のソンブルは反論が浮かばなかった。
抵抗を諦めて今はただ、微睡みに身を任せる。
そこに、ライダーの言葉への納得以外の感情があったことを、ソンブルは知らない。
その温もりの名を、彼女は知らない。 - 42◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 12:06:49
次の更新で橙ライダー主従の話が終わります
結構長くなってしまった
とはいえなんだかんだでメンバーが出揃ってきて、ギルエルによる開戦も間近に迫ってきました
お楽しみ頂ければ幸いです - 43二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 13:02:26
バブ味を感じている……
- 44二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:24:59
本当の家族にろくな扱い受けてないからね……
- 45◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 20:38:32
こんばんは
お昼の続きです
・
ソンブル・ローブリューと、彼女がライダーと呼ぶ少女。
彼女らは言うまでもなく聖杯大戦の参加者、マスターとそのサーヴァントである。
属するのは時計塔が中心となった“橙”の陣営。
しかし、ソンブルもまた、未知の戦場へ送り出すに足ると見込まれた実力者であるかというと、答えは否だ。
ライダーは――かつて革命の混沌の中、断頭台を己の血で染めた彼女は、この現世で最初に見た光景を目に焼きつけている。
『あなたが、私のサーヴァントなの?』
声の震えを押し殺しての、簡素な問いだった。
聖杯の後押しがあってさえ召喚だけで消耗し切るような、か弱い少女を立たせるものは一体何なのか。
思わずサーヴァントである彼女の方が戸惑い、すぐには答えられなかった。
『……聞いてるの? ちゃんと答え……っ』
痺れを切らしたソンブルが詰め寄ろうとして、前のめりに倒れ込むのを、ライダーは咄嗟に抱き止めた。
『ええ、私があなたのサーヴァントよ。ライダー、マリー・アントワネット。召喚に応じ参上しました』
『……そう。それなら、いいの』
立ち直った少女はライダーから離れると、すぐにベルリンへ出発するとだけ言って、現在に至る。
『……運がなかったわね、私なんかに喚ばれちゃって』
出発前の最後の呟きを、ライダーは聞き逃さなかった。 - 46◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 20:44:01
かつて王妃であった英霊は、膝に寝かせた小さな少女を見下ろして思う。
なぜ“いい子の自分”ではなく憎しみに染まったこんな自分がわざわざ召喚されたのか、ライダーは納得してしまった。
これは、見捨てられない。万民に愛され、国を愛する王妃でなく、子を持ったただの母親として来なければならないわけだ。
『ソンブル。お前は姉さんの代わりに聖杯大戦に行きなさい』
魔術は神秘の性質から一子相伝が基本とされるが、兄弟姉妹が揃って親から魔術を教わることも、存外珍しくない。
その理由は、俗世間における後継者事情と概ね同じ。要は予備(スペア)である。
欧州魔術社会に出回った“聖杯という願望機がドイツで使われるらしい”という情報で竦み上がった、フランスの有力者たちから突き上げを喰らい、なし崩しに参戦することになったローブリュー家は、体面のために躊躇なくその予備を死地へ送り出した。
その生け贄となる子羊が、ソンブルであったのだ。
『……どうせ死ぬんだよ、私なんか……』
縋る者を求める子どもの手は、憎悪に染まった彼女をもってしても、その憎悪の根源ゆえに振り払うことが出来ない。
守ろう。たとえどんな悲惨な結末が待っていても。
戦おう。たとえ如何なる英雄豪傑、魑魅魍魎が居ようとも。
殺そう。たとえどんな“正しさ”が立ちはだかろうとも。
絶対に、この手は放さない。 - 47◆zIKR/QD4og25/01/14(火) 20:52:40
以上で連騎主従参戦は終了です
ローブリュー家の参戦理由はざっくり言うと、普段隠蔽とかに利用してる関係者(フランスの有力者)が聖杯にビビってるので「ちゃんとうちは対処しました」という体面作りにソンブルを派遣(ローブリュー家自体は聖杯に懐疑的)
ソンブルは政治的な体面のために生け贄に出された
みたいな感じです - 48二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:26:13
割と納得できる理由かつ不憫度が高まる
- 49◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 00:10:28
朝保守できないかもしれんので一応
次回の更新ではいよいよギルガメッシュ召喚に行きたいと思います
おまけ 概念礼装
★4 色褪せぬもの
効果:毎ターンNP5%獲得&毎ターンHP300回復
かつての少年の日の思い出。
その姿を忘れたことはない。
それが何故なのかは、考えたこともない。
あれこそが、羽化によって成るべき「蝶」の姿と思ったか。
己が魔術の理想に見えたか。
違う。違うのだ。
歳月が流れ、少年が老い、妻を持ち、子を持ち、尚も決して忘れ得ぬ。
ただ、きっと。
生涯で、儂(おれ)がそれを認めることはないのだろう。 - 50二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 00:13:30
バナおじ拗らせてんなあ…
- 51二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 07:36:01
ほしゅ
- 52二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 15:54:19
保守(セイバー)
- 53◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 22:49:26
こんばんは
今夜の更新です。ようやく最後の英霊の召喚となります
・
『11月9日 黄金出陣』
山は、遥か昔から異界とされてきた。
ドイツでも、中世には魔女の住処と喚ばれたハルツ山地が存在するなど例外ではない。
そんな人の世界から離れた地で、人の世にあらざる者が喚び出されようとしていた。
既に最後の一騎を除いた全てのサーヴァントの席が埋まり、本格的な戦いまで秒読みといった段階。時計塔で首尾よく触媒を受け取った足でドイツに潜入したグナーテも、ドイツの山中にてようやく英霊召喚に取りかかっていたのである。
彼女が用いる触媒は蛇の化石。近年発見された人類最古の神話において、水浴びをしていた英雄から不死の霊草を奪い取ったという蛇のもの。
これに誘われる英霊は十中八九、此度の大戦における最強の一角となるだろう。
(……正直、そんな英霊の手綱を握れるかと言うと、不安しかないけれど)
そんなことを考えていたグナーテであったが、幸か不幸か、その不安は的中することになった。 - 54◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 22:51:39
「答えよ。貴様が、不遜にも王の光輝に縋らんとする魔術師か?」
息を呑もうとして、それにすら全神経を総動員させられる威圧感。
それは、金色の豪奢な玉座と共に現れた、これまた金色の鎧、金色の髪で、全身を金色に染め上げたような英霊の放っているもの。
これは、たとえ全人類に否を突きつけられようと己の望みを是として押し通すような、そんな強烈な自我が成せる業だ。
彼女もまた、強い自我によって歩んだ先にいま現在の姿を持つからこそ、それが鮮明に感じ取れた。
暴力的なまでの“我”への恐れ。畏れ。怖れ。
「――ええ、確かに。私が貴方を招いたマスターです。アーチャー、ギルガメッシュ英雄王」
その膝を突き、ひれ伏したくなる衝動を抑え、グナーテ・ウヌグはあくまでマスターとして毅然と応じた。
自身を真っ直ぐに見据える赤い瞳に、金色の英霊は何を感じたのか。
「……フン、なるほどな。我を戯れに付き合わせるだけの覚悟は用意してきたらしい」
そう言いながら玉座を立った英霊は、グナーテを見下ろして厳かに告げる。
「サーヴァント、アーチャー。貴様との契約を認めよう。精々我を興じさせることだ、雑種」 - 55◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 22:58:22
「しかし、聖杯大戦とはな」
最後の戦闘準備も終わったと、戦場となるであろうベルリンに向かう道すがら。
山道を歩き通したグナーテが麓の街を一望できる崖にまで出た所で、その横に居た金色の英霊はそう不満げに鼻を鳴らした。
「我の宝を狙う雑種が13匹。有象無象を潰していく退屈さを今から思うだけで、流石の我も気が滅入るわ」
「アーチャー? 貴方いまなんて……」
しかし続いた言葉がグナーテとしては聞き捨てならない。
13、それは確かにこの“橙”のアーチャーを除いたサーヴァントの数だ。しかし、この聖杯大戦は総勢14騎が7対7に分かれてのチーム戦。
それを踏まえて、このサーヴァントはなんと口にした?
「陣営など下らぬ。何処の者であれ、我が宝に手を伸ばす賊に変わりはない」
グナーテの抗議染みた視線に籠る意味もわかっている、とばかりにギルガメッシュは言葉を紡ぐ。
語られるのは、唯我独尊、傲岸不遜、英雄王による英雄王のための法。
彼にとってはこれから奪い合われる聖杯も自らの所有物であり、聖杯を求めて集った英霊たちも、等しく己の財宝を狙う盗賊に他ならないのだということ。
少なくとも敵の“青”の陣営は7騎が集結しているというのに、この英霊は共同戦線の筈の“橙”の陣営すらも、現在進行形で敵と認識しているわけだ。
一先ず同陣営のサーヴァントと合流する予定のグナーテだったが、内部崩壊まで秒読みだったことをここで知る。 - 56◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 23:00:48
「大体、陣営の名が“橙”を冠しているのが気に食わぬわ。我の陣営なのだから、相応しいのは黄金以外あるまいに」
戦慄するグナーテを他所にギルガメッシュは、どこまでも、ある意味清々しいほど自分本位に語り続ける。
「とはいえ、有象無象を間引くのは王の仕事でもない。雑種が間引かれ、我が直々に裁くに値する者が現れるまでは、姿を変えて過ごすとしよう」
「……アーチャー」
そう言って彼が虚空から取り出した小瓶を握ったところで、再びグナーテが彼の仮初めの名を呼んだ。
「なんだ雑種。臣下の分際で我に指図する気か?」
瞬間、英雄王の赤い瞳がグナーテを射抜く。己の意を妨げることを許さぬ、とりつく島もない態度。
この僅かな時間でも、彼の自尊心と揺るがぬ王者としての在り方はよく伝わってきた。それを曲げさせるには、全て令呪すら不足だろう。
「そうじゃなくて……」
それはそれとして、いまグナーテが聞こうとした用件は別であった。
訝しむ英雄王に対して、彼女は少しの逡巡の後、ついにそれを口に出す。
「……その、“だいたい”と“だいだい”ってひょっとして、ジョークだったりするのかしら?」
「――なるほど。貴様には、王のジョークのなんたるかを叩き込んでやる必要がありそうだ」
斯くして、英霊十四騎はついに出揃った。 - 57◆zIKR/QD4og25/01/15(水) 23:03:10
以上となります
英雄王もなかなか難しい。許容ラインや琴線がなかなかわからないですね - 58二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:05:12
金ぴかの気配察知して内心ウキウキしてるエルキドゥはいる
- 59二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 01:40:02
ドイツ内の聖堂教会一同の隠蔽デスマーチ開催か
- 60二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:18:57
クレアさんの酒と煙草の量が凄い事になってそう
- 61二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 18:16:09
クレア「もうさァッ無理だよアイツら暴れまくるんだからさァッ」
- 62二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 18:53:19
酒はともかく煙草はこの時代健康に良い扱いされてたから止める人Zeroで灰皿凄い事になってるのは間違いない
- 63二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 19:00:21
子供の前でも遠慮なく呑んで吸う酒ヤニカスシスタークレア
- 64◆zIKR/QD4og25/01/16(木) 21:30:10
こんばんは
今夜はウルクコンビがウキウキで出かける話です
・
『11月9日 流れ星二つ』
ヴィッテルスバハ邸
英雄王がこの世に顕現し、グナーテが敷いていた結界を出たのと同時刻。
その唄声は、ベルリンより広く響き渡った。
「――ランサー?」
庭園の広場で素振りを行っていたエンキは、己のサーヴァントの奇妙な行動に戸惑いを見せる。
傍らで主を見守っていたランサーは、突然立ち上がったかと思うと、咆哮――そう表現するにはあまりに美麗な声だったが――を天地に響かせたのだ。
普段、この庭園で木漏れ日を浴び、小鳥の止まり木になっていたような彼のこの行動は、召喚から一週間も経っていないとはいえ、珍しいことと断言できた。
その咆哮を終えたランサーが、マスターであるエンキに目を向け、言葉を紡ぐ。
「……マスター。詳しい説明をする時間がなくて申し訳ないけど、いますぐここを離れる許可が欲しい」
その突拍子もない申し出に、流石のエンキも瞠目した。
「さもないとここを吹き飛ばすことになる」
「なんだと?」
そして続いた爆弾発言には、思わず傍らに置いていた剣に手を伸ばし、次いで自らの手にある令呪を意識する。
当のランサーの方は、マスターの行動を見て己の発言を自覚し、ハっとなっている。これまた、普段の穏やかな彼からはかけ離れた姿だった。 - 65◆zIKR/QD4og25/01/16(木) 21:40:54
「ああ、ごめん。巻き添えで吹き飛ぶことになる、というのが正確だね。言葉選びを間違えた。僕自身、自分で思っているよりも動揺しているみたいだ」
「……巻き添え? 敵の襲撃ということか、それなら大佐殿にも連絡して迎撃態勢を」
「その必要はないよ。知らない人が居ると、彼も機嫌を悪くしてしまうだろうし――
――なにより、僕が一人で会いに行きたいんだ」 - 66◆zIKR/QD4og25/01/16(木) 21:41:45
そう告げたランサーの表情は変わらぬ優しい笑みだが、エンキは息を呑んだ。
声音は穏やかだが、言葉には揺るがぬ強い意志が宿っている。強硬に止めれば彼も従うかもしれないが、先ほどの言葉通りなら、拠点であり大聖杯が収められているヴィッテルスバハ邸が吹き飛ぶ事態になるだろう。調ランサーが嘘を吐いたこともない。
「わかった。……どうやら、止める理はないようだな。出撃を許可する、ランサー。大佐殿には俺から言っておこう」
「ありがとう、マスター。彼女(ノイン)との約束もあるからね、必ず君のもとに戻ると約束するよ」
そう微笑んだのを最後に、ランサーは一息で夜の闇へと飛び出していった。
凄まじい速さにも拘わらず音もなく、庭園の花一つ散らさず駆け抜けていった己のサーヴァントを見送りながら、エンキは思う。
出立しようというランサーの高揚が滲んだ顔は、今までの姿の中でも最も人間らしく、美しい笑顔に見えたと。 - 67二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 22:25:06
あまり深く追求せず要望を聞き入れるエンキ君はマスターとして当たりですね
- 68二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 00:21:43
カニファンみたいなギャグ時空だとプロジェクトX風の聖堂教会の様子が描かれた会が絶対ある
- 69二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 00:24:14
教会だけでなく協会の方も「極東のマイナー儀式やろ?」認識だったのがkm単位のクレーターでわからされるのよね……
- 70二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 00:54:28
隠蔽デスマーチの時点でほぼ死にかけの中突然乱入してきた女神レイド戦に組み込まれそうな酒ヤニカスシスター
ムジーク、ソンブルの次くらいに不憫な人 - 71二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 07:30:13
保守
- 72二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 13:16:09
程よく腕が立って死んでも換えが効く丁度良い能力値してたせいで…
- 73二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:02:09
ドイツには砂漠とかないけど戦う場所どうするんだろう
普通に山か峡谷が乙るのかな - 74◆zIKR/QD4og25/01/17(金) 20:47:11
こんばんは
今度はギルガメッシュサイドです
・
「……アーチャー?」
先程の大地の鳴動を聞いてから動きを止めていた英雄王に、グナーテが訝しんで声をかけると――
「フハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
凄まじい高笑いが返ってきた。
笑わねば裡から沸き上がる歓喜で破裂するとでもいうかのように、彼は笑い声で山を満たす。
そのまま笑いながら、握っていた瓶をグナーテへ投げ渡した。
「若返りの秘薬だ、くれてやる。貴様には丁度よかろう。ありがたく拝領せよ、グナーテ」
「え、そんなあっさり――いまなんて言いました?」
「娯楽の、ジョークのなんたるかを貴様に叩き込むのは後回しだ。手始めに、王の威光を眼に焼きつける栄誉を賜す!」
目を白黒させるグナーテを気にも留めず、ギルガメッシュはその手を再び虚空へ伸ばした。 - 75◆zIKR/QD4og25/01/17(金) 20:47:53
今度現れたものは瓶などとはわけが違う、短剣のような奇妙な鍵だった。
それが世界の扉を開くと、これまた奇妙な形をした、一振りの剣が彼の手の中に現れる。
英雄王ギルガメッシュ。
その名は近年解読されたばかりの真新しいものだが、人類最古にして英雄たちの頂きに君臨する英雄の中の英雄こそがその正体。
紀元前、後世の人間がメソポタミアと呼ぶ土地の都市国家ウルクを治めた半神半人の王。あらゆる英雄たちの原典とされる原初の英雄。
彼女はこれから、その神話の真の姿をその目で見ることになる。
「寝覚めで不機嫌だろうが、暫しの饗宴に付き合って貰うぞ、エア」
金色の英雄はそう剣に呼びかけ、傲岸に一歩を踏み出す。
「何、退屈はさせん。誰一人な!」
そして二歩目で、グナーテの前からその姿をかき消した。 - 76◆zIKR/QD4og25/01/17(金) 20:50:29
二つの星が夜空を行く。緑の星の後を黄金の星が追い、共に西へ西へと向かっていく。
「これは……ちょっと、いきなり張り切り過ぎじゃありませんか?」
冷や汗を流す黒髪の青年が、双星の奔る空をベルリンから見上げて呟いていた。
・
以上となります
次回は再会のエヌマエリシュ - 77二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 20:55:39
まあトップサーヴァントが初っ端全力全開でぶつかり合い始めだしたらな……
- 78二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 00:58:34
開幕10割やらかす古代ウルクコンビにほぼ全員が大困惑してるだろうな
- 79二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 01:43:33
- 80二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 09:45:01
保守
- 81二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 20:06:10
あげ
- 82◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:34:08
こんばんは
今夜は親友たちの再会の挨拶です - 83◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:36:02
『11月9日 天地乖離す神話の戦い:Ⅰ』
ヴィッテルスバハ邸
「申し訳ありません、大佐殿。自分の独断でランサーに出撃を許可した処分は如何様にでも」
「構わんよ、シュヴァルツ君。……ところで、“橙”の陣営にランサーの知己が召喚された可能性が高いと?」
「ランサーの話ぶりから考えると、おそらく」
「ふむ……」
己のサーヴァントが館を飛び出すのを見送ったエンキは、彼への言葉通りボイドへ包み隠さず報告を行っていた。
それを受けたボイドの顔色は冴えない。冷や汗がこめかみを伝っている。
なにせランサー……エルキドゥの交友関係を考えて真っ先に現れる英雄と言えば――
「……うむ。むしろ、彼を召喚できた幸運を喜ぶべきだな。改めて、君達の独断については不問としよう。代わりにマスターたちを広間に集めておいてくれたまえ」
「了解しました」
「開戦の号砲には丁度いい。これから我々が身を投じる戦いが如何なるものなのか。ここで一つ、目にしておくべきだと思っていたのだよ」
余裕に満ちた顔で語るボイドの目は、既に派遣した使い魔が荒れ果てた大地に入るのを捉えていた。
その余裕が、数分後には見る影もなくなることなど知る由もない。 - 84◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:37:46
《はっはっはっは! いきなりサーヴァントが単独行動とは災難だなグナーテ。かの英雄王、儂(おれ)のバーサーカーに負けず劣らず血気盛んらしい》
「うっさいわよバーナード」
ギルガメッシュが飛び立った崖の上。
傍らを飛び回る蝶から聞こえる軽口にドスの利いた声で返したグナーテは、自らのサーヴァントが飛んでいった西方を向いて告げる。
「そんなことより、すぐに時計塔に伝えなさい。この聖杯大戦は……君主のお偉方が考えてるような、ちゃちな代物なんかじゃないってね」
その顔はひきつった笑みを浮かべていた。
彼女は一足先に、これから何が起こるのかを理解していたからである。 - 85◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:43:30
そこは、先の戦争において“西部戦線”と呼称された戦場跡の一角だった。
ろくに草も生えていない不毛の大地。辺り一面に覗く、砲撃によって刻まれた弾痕。蚯蚓が這い回ったようにあちこちへ張り巡らされた塹壕。
人間の大戦の爪痕を深く残す只中。そして新たな魔術師たちの大戦が幕を開けようとする始まりの地に、“青”のマスターたちをはじめとした数多の魔術師たちの使い魔の視線が集まっていた。
そこに居たのはエルキドゥである。
彼は、自分に続いてやって来た英霊がいる夜空を見上げていた。
その上空の英霊――ギルガメッシュは、反対に地上のエルキドゥを見下ろしている。
二人は“青”と“橙”の対立する二陣営にそれぞれ属するサーヴァントであり、かつては友情を交わしながらも敵対する立場。
しかし、そんなことは今の彼らの思考の片隅にも存在しない。
一言もなく、ただ彼らは同時に笑う。彼らにとって、開戦の合図はそれで充分。
周囲の無粋な視線など欠片も意識になく、彼らは惜しみなくその力を見せつける。 - 86◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:46:39
ギルガメッシュの持つ剣、その円筒状の奇妙な刀身が回転を始め、唸りをあげる。
「エアよ、存分に謳うがいい」
エルキドゥの足下の不毛の大地が、魔力を帯びてうねり出す。
「嬉しいよ、ギル。また君とこうして、性能を比べることができるなんて」
どちらも世に名だたる英雄たちといえど凌げる者が何人居るかという、下手をすればそれだけで全てを決しかねない一撃だ。
二人は、死を超えて再会した友へ向けて、その一撃を躊躇なく解き放つ。
彼らの結んだ友情は、たかが一度や二度の殺し合い如きで揺らぐものではないのだから。 - 87◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:49:33
世界を引き裂く乖離剣の一撃。宝具においても規格外、世界そのものすら破壊し得る対界宝具に分類される力。
英雄王の一振りが、破滅の一撃が、一片の慢心もなく地上に振り下ろされる。
それは空間を切り裂き、この世界を撹拌する嵐となって、眼下の英霊目掛けて突き進むだろう。
「「エヌマ――」」
対するエルキドゥもまた、全機能をこの一撃に捧げる。
星から湧き出したマナを一身に纏った彼は、その身を巨大な光の槍へと変じた。
彼が槍の英霊として招かれた所以。
エルキドゥは、引き裂かれる世界を縫い留める楔となる。
「「――エリシュ!」」
斯くして。
かつての大戦の戦場で、新たな大戦の火蓋が切られる。
この戦いがいったい如何なるものなのか。それを、この戦いに目を向ける全ての者たちに知らしめながら。 - 88二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 21:53:36
この状況を嬉々として見てるのヘルカ嬢くらいしかいねえ
- 89二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 21:57:02
↓この辺にこんなんどう秘匿したらいいんだよとなってるクレア
- 90◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 21:57:17
今夜は以上となります
ダブルエヌマエリシュの描写はFakeと同じものになりそうなのであっさり目です
やっとここまで来れた - 91二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 21:58:47
乙
この開戦の裏でノインちゃんにイシュタルインストールされてるんだよな…… - 92◆zIKR/QD4og25/01/18(土) 22:15:07
森なんかにも配慮するエルキドゥにとって砂漠と似た条件になりそうなのがここしか思いつかなかったけど、ドイツ北東部にあるベルリンから西部戦線なのでざっと千km以上飛んでいる
二人がそれをできる規格外でよかった - 93二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:21:40
スパP「圧制者の気配を察知」in地下牢
- 94二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 00:16:11
- 95二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 10:30:46
保守
- 96◆zIKR/QD4og25/01/19(日) 17:43:34
こんばんは
ドイツ聖杯大戦、その開幕戦にもうしばらくお付き合いください
これだけでしばらく戻れませんが、日付が変わるまでに続きも上げる予定です
・
『11月9日 最後のイレギュラー』
ドイツ西方 旧西部戦線
宝具が激突した余波によって幾つもの竜巻が起こる荒野。
その中心で、この天変地異を起こした張本人である二人が地上に降り立ち、向き合っていた。
「まったく」
互いに湛えた笑みを崩さぬまま、金色の英霊が口を開く。
「周囲の気遣いのためにこの我を……わざわざこんな所まで呼びつける戯けは、おまえのほかに居らん。却って安心したぞ」
その口から出てきた言葉は、相も変わらぬ傲岸不遜。
しかしその態度には、彼が雑種と見下す者たちへのそれとは明らかに違う気安さがあった。
「まあ、殺風景だがこれを作ったのが雑種どもと思えば、多少感心もするが。雑種どもの欲徳は、ついにこれほどの景色を築くに至ったのかとな」
辺りを見渡して言った彼の口調は人間の愚かさを嘲る皮肉そのものに聞こえた。 - 97◆zIKR/QD4og25/01/19(日) 17:44:31
「楽しそうだね、ギル」
しかし、眼前に立つエルキドゥにはそうは聞こえなかったらしい。
その言葉にギルガメッシュはふんと鼻を鳴らすと、目の前の友に視線を戻した。
「しかし、この不毛の地とて蟲が湧いていようにな。おまえはとうとう、命の選別を行えるほど成長してしまったのか?」
「僕にその資格はないよ。道具である僕の在り方はマスター次第さ。ああ、でも。マスターは今回、僕に君に会いに行く許可をくれただけだ。この大地に恨まれるのは、僕だけでいい」
「一度死んでも変わらぬな、おまえは」
「そう言う君は――」
そうして、死を越えて再会を果たした盟友たちが暫く言葉を交わす様を見ている魔術師たちは皆、ただただその力に圧倒されていた。 - 98二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 22:26:10
ほしゅ
- 99◆zIKR/QD4og25/01/20(月) 00:01:02
「ふ、ははははは! これが英霊の戦いか……凄まじい、聞きしに勝るとはまさにこのこと。この力を正しく導けば、祖国の再興も現実にできる! 素晴らしい!」
陣営の主立った者たちを集めた広間で興奮気味に語るのはボイド。
集まっていた他のマスターや軍人たちは、人知を超えた光景に何も言えない。
「……ふむ、諸君もこの戦いが如何なるものなのかはよくわかってくれたと思う。シュヴァルツ君、機を見てランサーに撤退を命じてくれたまえ」
「……申し訳ありません、大佐殿」
「?」
しかしエンキは、ランサーの全開の宝具解放で消耗しながらも了承ではなく謝罪を口にした。 - 100◆zIKR/QD4og25/01/20(月) 00:02:15
ボイドがどういうことか尋ねようと思った瞬間、映像の中のギルガメッシュが再び空へと飛び上がったのに気付く。
「……まさかとは思うが、シュヴァルツ君」
彼らの様子を見ていた魔術師たちの殆どは、てっきり先の激突で力を使い果たしたとばかり思っていたが、それはまるで見当違いである。
二人の児戯は、まだ始まったばかりだったのだから。
「彼ら、まだやる気なのかね?」
その問いにエンキが頷くのと、二騎の英霊が再びその力を振るったのは同時だった。 - 101◆zIKR/QD4og25/01/20(月) 00:06:16
今夜は以上となります
- 102二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 00:35:29
頭痛と吐き気に襲われる聖堂教会の皆様
- 103二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 07:34:06
ほしゅ
- 104二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 08:18:01
- 105二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 17:45:01
保守
- 106二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 21:04:44
- 107二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 00:17:35
- 108二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 07:30:04
保守
- 109二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 11:37:30
時代的に禁酒運動が強い頃だから小言多そう
- 110二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 20:12:20
保守
- 111◆zIKR/QD4og25/01/21(火) 21:52:19
こんばんは。続きとなります
・
「彼ら、まだやる気なのかね?」
その問いにエンキが頷くのと、二騎の英霊が再びその力を振るったのは同時だった。
夜空に現れる、星を霞ませるような無数の黄金の波紋。ギルガメッシュの背後に開かれた宝物庫の扉。
そこから剣、槍、斧、数多の武具が射出され、雨のように降り注ぎ――
――それを、エルキドゥが大地から放った無数の武具が撃ち落とす。 - 112◆zIKR/QD4og25/01/21(火) 21:54:09
それはまさに戦争だった。
人類がこの地で、国家と国家という一大集団によって築いた、否、それ以上の地獄を彼らはたった二人で形成している。
一撃必殺の応酬に、今度こそボイドすら言葉を失う。
この暴威を前に人間ができることなどありはしない。
そう全ての者の心に刻まれようとしていたその時。
《そこまでにお願いします、ご両人》 - 113◆zIKR/QD4og25/01/21(火) 21:54:45
誰もが、その乱入者に目を奪われた。
こんな戦いに割って入るこの愚か者はどこの誰だ、という意味で。
「……不粋な。その蛮勇、万死に値するぞ」
上機嫌だったギルガメッシュが、雰囲気を一転させて闖入者へ目を向ける。
「……」
エルキドゥは友人ほど激しい怒りを見せていないものの、その視線には疑念が乗っていた。
この二騎から意識を向けられる。それだけで常人ならば潰されてしまいそうな重圧だったが、受ける者もまた英雄だ。
「僕はキャスター。一応枠としてはあなたと同じ“橙”になりますが、それは置いておいて……」
涼しい顔――嘘である。二人に見えないようにしつつも冷や汗をかいている――をしながら、彼は自らを送り出した小さな主のために見栄を張る。
「お二方、今夜はその辺りでお開きにして頂けませんか?」
そしてキャスター――太公望はその言葉を、いままさに再会の喜びを分かち合う二人の英雄に言い切ったのだった。 - 114◆zIKR/QD4og25/01/21(火) 21:59:36
ウルクコンビの祝宴に乱入した太公望、というところで今回は以上となります
次回はここに至るまでの経緯、もっと前のSSで書かれていた昼間のパオちゃんたちに視点が行くかなというところで、ちょっと🎲や安価で細かいところを決めながら筋書きを固めようかと考えています - 115二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:03:18
乙
こんな馬鹿みてえな規模の大破壊やってる奴二人の間に割って入るサーヴァントとそれを送り込むマスターとか絶対ヘルカちゃん興味持つわ - 116二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 00:54:04
面白い方の味方な愉快犯だからこの件でパオちゃん側に付いたの説得力がある
- 117二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 07:35:01
ほしゅ
- 118二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 17:40:38
保守
- 119二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 23:26:02
ほしゅ
- 120二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 07:34:00
楽しみ
- 121◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 19:12:43
こんばんは
今夜はこの先の展開の🎲&安価を始めたいと思います - 122二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:16:45
お、久しぶりのやつだ
- 123二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:16:53
待ってました!
- 124◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 19:18:40
参照.スレ31
安価ダイスで架空のFateシリーズを作る31|あにまん掲示板初代スレhttps://bbs.animanch.com/board/2097575/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/2302886/https://telegra…bbs.animanch.com~これまでのパオちゃん~
ベルリンにやって来たパオとキャスターは当面の拠点を探している最中、監督役のシスター、クレアに出会った
教会で彼女から現在の状況を説明されたパオは、クレアから改めて問われる
聖杯戦争という殺し合いに参加するのか、と
これに友人との約束のため、聖杯戦争を止めると宣言したパオだったが……
- 125◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 19:26:49
ここからパオちゃんたちが夜(エルギル再会)までどのように過ごすのか、>>130ぐらいまでで🎲しようと思います
- 126二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:31:00
拠点探し続行
- 127二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:32:27
拠点(ヒメルの物)を見つけてして陣地作成
- 128二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:35:41
霊地としてよさげな所はだいたい青の監視があったので適当な宿へ
- 129二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:35:59
探索と索敵
- 130二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:36:10
長旅かつ宿無しという事で見かねたクレアがこの日だけという事で一泊を許可
- 131◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 19:36:43
dice1d5=4 (4)
- 132◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 19:38:59
🎲の結果>>129となりました
探索と索敵……探索(実質ベルリン観光)と敵地っぽいとこの偵察って感じになりそうですかね
- 133二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:40:26
ワンチャンマスターの誰かないしは恋人君と遭遇しそうね
- 134◆zIKR/QD4og25/01/23(木) 23:10:34
方針も決まったところで、31のSSから繋げる形で教会を出るシーンです
・
聖杯戦争を止める。固い決意をもってそう叫んだパオ。
思わぬ剣幕に面食らうクレアだったが、すぐに冷静さを取り戻した目でパオを見返す。
「……そうですか」
その顔に先ほどまでのあまりにもぎこちなかった愛想笑いはなく、代行者のそれに切り替わっていた。
「ならば監督役として、あなたたちの参戦を受領します。よろしいですね?」
「はいっ」
「……では、行きましょうか、マスター。参加者となった以上、中立の教会に居座っているわけにはいきません」
「うん。行こう、キャスター」
パオはキャスターの言葉に頷き、キャスターと共に教会の出口へ歩いていく。
「パオさん」
その背中へ、最後にクレアが声をかけた。
今まさに教会を出ようとしていた少女が振り返る。
「これは監督役ではなく、いちシスターとしての言葉ですが……あなたの勝利を願っています」
「……! クレアさん、色々ありがとうございました!」
パオは彼女にそう言ってペコリと頭を下げると、今度こそ外へ踏み出したのだった。 - 135二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 07:32:11
おつ保守
- 136二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 14:52:16
このシスター聖職者らしい事出来たな
- 137二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 21:14:09
酒とタバコジャンキーだし信仰心も味噌っ滓だけど代行者になるくらいには聖職者なんですよ
- 138◆zIKR/QD4og25/01/24(金) 23:33:25
こんばんは
書けた分上げておきます
・
『11月9日 ベルリン道中』
教会を後にした二人は、またベルリンの市中を歩いていた。
既に時刻は午後5時を過ぎようかというところで、空も随分暗くなってきている。
「さてマスター。そろそろ日が暮れます」
「そうだね、キャスター」
二人は俄に増してきた寒さで白い息を吐きながら、夜になろうとしている空を見上げて話す。
「……拠点、どうしましょうか」
「そうだね」
そう。彼らは本当なら、ベルリンでの拠点を探している最中だったのだ。
その途中でクレアと遭遇したため、成り行きで話を聞くことができたが、肝心の拠点は未だ見つかっていない。
遠く中国からやって来た彼らにベルリンで頼る当てなどある筈もなく。
言い逃れようのない根なし草、あるいは家なき子。参戦を表明した以上、まさか戻って中立の教会に泊めてくださいとは言えまい。 - 139二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 09:00:27
保守
- 140◆zIKR/QD4og25/01/25(土) 20:09:22
こんばんは
その都度書きながらでペースは落ちてしまいますが、本日も進めていきたいと思います
・
「マスター! なんとしても今夜の寝床を確保しましょう!」
「そんなに慌てなくて大丈夫だよ。キャスターなら野宿でも何とかできちゃうんでしょ?」
「それは、そうなんですが……ねぇ?」
キャスターの意気込みはパオの温度差の違いすぎる返しで肩透かしを食らってしまった。
元々その日暮らしをしていたパオは幼い見た目に反して落ち着いていて、キャスターの方が焦っているのが対照的である。
とはいえ、彼の焦りも「子どものマスターに寒空の下で野宿を強いたくはない」という保護者的目線から来るものだったのだが。 - 141二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 21:51:51
まあ太公望的には幼い妲己みたいなもんだしな
- 142◆zIKR/QD4og25/01/25(土) 22:37:27
「こっちとか、いい感じの場所がないかな?」
彼のそんな心中を知らず、既に屋根の下で眠るのを諦めていたパオが風を凌げそうな路地へ入っていく。彼女を見失わないようキャスターはその後ろに続く。
「――マスター」
そこでキャスターが、不意にパオを呼び止める。
先ほどまでの緩さが鳴りを潜めていて、その声は真剣だ。まるで何かに警戒しているように。
キャスターが気づいたもの
dice1d3=2 (2)
1.こちらを監視する使い魔
2.近くに潜む一般通過魔術師
3.百貌の監視
- 143二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 01:23:27
青か橙かどっちかな?
- 144◆zIKR/QD4og25/01/26(日) 01:34:32
「気づいていますよ。姿を見せては如何です?」
パオの前まで進み出て庇うように立つキャスターの言葉。
彼女からすると、気づくも何もさっぱりで、自らのサーヴァントが真剣に言っていること以外は何もわからなかったが、その言葉が向けられた相手はそうではなかった。
「……なるほど、私の隠形を看破するとは。流石は英霊といったところか」
そんな呟きと共に、男が路地の陰から現れた。
「マスター、あの男は魔術師です。感じからしてマスターではなさそうですがね」
「あの人が、魔術師……」
キャスターから告げられ、パオも緊張感を纏う。
魔術師。まだ見ぬこの聖杯戦争を引き起こした黒幕と同じ存在だ。 - 145◆zIKR/QD4og25/01/26(日) 01:36:23
まじまじと見つめる少女の視線を怯えと受け取ったのか、魔術師の男は鼻を鳴らす。
「令呪を晒しながら歩くマスターがどんな者かと思ったが、見た目通りのガキのようだな。そんな小娘を抱えて勝てると思うか、サーヴァント?」
「と、言いますと?」
「そんな小娘など捨てて、この私と契約しろ!」
「!」
この男は、聖杯戦争に惹かれてベルリンへ入り込んだ在野の魔術師たちの一人だった。
口火を切った彼はそのまま、自らが如何に歴史ある家に生まれ、魔術師として優れているか、自分と組むことによるメリットや、お前も万能の願望機が欲しくて召喚されたのだろうだとか、様々なことを捲し立てる。
当のキャスターにまるで響いている気配がないことに気づきもせずに。 - 146二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 10:30:28
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:45:57
Fakeで出てきたような魔術師だ
- 148二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 22:02:38
ほしゅ
- 149◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 00:17:22
こんばんは
遅くですが、続きを投下していきます
・
「――さぁ、私と契約を……」
「ダメ!」
キャスターの適当な相槌を受けながら一通りの勧誘の言葉を吐き切った男は、答えはわかっているとばかりにサーヴァントへ手を差し伸べる。
そんな男へキャスターが口を開こうとしたその時、それより先に少女がキャスターと男の間に割って入った。
「なんだ小娘。私が話しているのはそのサーヴァントだ、令呪さえ寄越せばお前に用など――」
「キャスターは私のサーヴァントです。聖杯戦争は私たちが止めますから。帰ってください!」
「……なんだと?」
瞬間、男が殺気立つ。
言葉の意味を理解してではない。魔術の心得さえ見受けられない、取るに足らないと見切っていた小娘に口答えをされたという事実に憤ったのだ。
しかしパオは魔術師の視線に、真っ向から睨み返す。 - 150◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 00:32:41
緊張はもう消えていた。彼女が一週間前に遭遇したあの怪物と比べれば、恐ろしくもなんともない。
教会で改めて己に誓った“彼”との約束を思えば、こんな相手に怯えている暇などあるはずがない。
主の切った啖呵を見届けたキャスターは、改めて魔術師への返答を告げる。
「ええ、まあこの通り。我がマスターは聖杯戦争を止めることを望んでおり、僕も彼女の望みを叶えるべくこの戦いに臨んでいます。このお話はなかったことに」
「行こう、キャスター」
「……!」
それだけのやり取りであっさりと背を向けた二人。己の望むように事が運ぶと信じて疑っていなかった男は、路地を出ようとする彼らの後ろ姿を見て歯軋りし、その内パオの方へ右手を翳した。 - 151二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 07:32:37
保守
- 152二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 12:16:37
昼保守
- 153◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 22:35:42
こんばんは
ワンチャン狙いのモブ魔術師に絡まれたパオちゃんたちの続きとなります
・
やがて、魔術師のその掌に魔力が集まり、呪いを成す。
魔力と呪詛のブレンドされた弾丸が、怒りのままに少女の背へ放たれようとした瞬間――
バシン!
「がぁっ!」
風を切って飛来した何かに魔力弾が掻き消され、衝撃と共に魔術師の右腕も弾かれた。
骨まで折れてはいないが、痺れて腕が上がらない。
そして前方には、先ほどまでなかった鉄鞭を握ってこちらへ振り返っているサーヴァント。
開かれたキャスターの凪いだ眼が男を射抜く。
「ぐっ……」
そこでようやく、男は自分の死を意識した。
あの英霊がその気なら、今の一撃は腕を痺れさせるどころか容易くへし折っていた。そもそも腕ではなく頭を打ち抜くことだってできたのだ。 - 154◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 22:37:01
いま自分は目の前の男に生殺与奪を握られているのだと理解して、滝のような汗が流れ出す。
「――」
しかし、結局。
男の命を断つ追撃を、キャスターが放つことはなかった。しばらく男を見つめた彼は、前に向き直り、少女の後に続いてそのまま路地から姿を消したのだ。
「っ……くっ……ぐぅ……!」
男は屈辱と憤怒に染まって独り、夜まで震え続けた。
しかし翌日、彼は用意していた拠点も放棄してベルリンを脱することになる。
聖杯戦争へ臨もうとした男の野心は、ただの一撃であっさりと打ち砕かれていたのだった。 - 155二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 22:41:35
早々にベルリンから離脱できたの幸運だな
- 156◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 23:22:25
路地での一件から数十分後。
夜の街を歩くパオは、キャスターの言葉でベルリンの端までやって来ていた。
「……キャスター、もしかして、また道に迷ってたりは……」
「マスター、あちらを」
「?」
その意図が読めない少女は、昼間自信満々に道を間違えた前科もあって不安げにサーヴァントを見るが、今度の彼は動じずにある方向を向いて言った。
キャスターの言に従ってパオが向いた方から、冷たい風が吹きつける。 - 157◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 23:23:02
ここから見えたのは、遠方の小高い丘に建つ大きな、パオには見慣れない洋館だった。
だが彼女には直感が走った。
あれこそが、自分が目指す場所であると。
「マスターもお気づきになったようですね。……霊脈の流れや、感じ取れる結界など諸々の要素からすると、あの館に儀式の中枢があると思われます。今は僕の術で誤魔化してますが、これ以上近寄ると流石にあちらの警戒網に触れますので、ご注意を」
少女にはさっぱりわからないが、キャスターが言うにはあの館、それどころかその麓の街の区画まで魔術的な防御が所狭しと敷き詰められているのだという。 - 158◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 23:25:00
「……あそこに、聖杯があるんだ」
パオは、この儀式を引き起こした原因である聖杯がどんなものなのかよく知らない。
“聖杯”というのだから、まあ杯の形をしているのだろうという程度のぼんやりとした認識だった。
だがこうしてそれが手の届きそうな所までやって来て、気が引き締められる。
もしや、キャスターの頭にはもう既にあの館を攻略する段取りが――
「よし、偵察も済みましたし帰って作戦を練りましょうか!」
「…………うん」
「あれ? マスター? なんだか凄く視線が冷たいですよ?」
しれっと言っていたが、もうキャスターはちゃっかり先程の魔術師の拠点を割り出し、拝借する算段を立てていたらしい。
「いやあ、彼の繋がりを辿ると割とあそこから近場だったもので」
抜けているのか、抜け目ないのか。
自らのサーヴァントがよくわからなくなる少女であった。
そして彼らは、動乱の夜を迎える。 - 159◆zIKR/QD4og25/01/27(月) 23:27:08
これにて一区切りです
次は太公望が乱入する直前のことを書くことになります - 160二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:30:19
哀れ魔術師……自業自得?そっすね
- 161二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:32:46
- 162二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 01:33:27
魔術師が拠点にしてたとこだし人が文明的に暮らせるようなとこだろうな
- 163二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 10:16:03
朝保守
- 164二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 20:12:48
ほしゅ
- 165◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 21:31:37
こんばんは
太公望が乱入に至るまで。書いていこうと思います - 166◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 21:35:59
ある住宅
「……ぇ……まだ…る………彼ら……」
「んぅ……キャスター?」
夜のベルリン市街。その片隅に建つ一軒家。
ベルリンに入り込んでいた魔術師が用意していた工房でもあったそこは今、結界も何もかもキャスターの陣地に作り替えられていた。
そこで恐る恐る初めてのベッドに身を委ね、あっという間に健やかな寝息を立てていた少女。彼女は、傍で漏れ聞こえたサーヴァントの声に瞼を上げた。
「おや、起こしてしまいましたか。申し訳ありません、マスター」
「ううん……なにかあったの?」
目を擦りながら、近くに居るキャスターに尋ねるパオ。 - 167◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 21:39:55
寝ぼけ眼に見つめられた青年は、伝えるべきかという少しの逡巡の後、彼女の問いに答えを返した。
「先程、サーヴァントの戦闘が……此度の聖杯大戦の第一戦が始まりました」
「ほんとうっ?」
飛び起きた少女に、キャスターは頷きで返す。
「幸いここからはかなり遠方……西方の戦場跡で戦っていますが、凄まじい規模です。恐らくはいまぶつかっている両者が、この大戦の中でも一、二を争う力の持ち主でしょうね」
この場にいながらにして、その“かなり遠方”の出来事の詳細を見ているように語る青年。
もうパオもその辺りにいちいち疑問は抱かない。よくわからないが、とにかく凄い術師なのだというキャスターならば、遠くで起こっていることをリアルタイムで知覚するのは容易いことなのだろう。
重要なのはそこではない。 - 168◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 21:46:20
「まだその人たちは戦ってるの!?」
「ええ。初撃から宝具を使ったというのに戦闘を続けて、このまま夜明けまで撃ち合う勢いです」
「私にも見せて」
「……わかりました。音や光は一応僕の方で抑えておきますが、気を強く持ってください」
そう言って、僅かな躊躇いと共にキャスターが見せたのは地獄の具現だった。
空から飛来した槍が突き立つだけで、その体積の数倍の範囲の大地を抉る。
かと思えば、大地からも同様の剣が打ち上げられ、向かってきた斧とぶつかって爆ぜることで、夜空を街の明かりより強烈に照らしている。
《ハハハハハハハ!》
高笑いを上げているのは、この光景を作り出した片割れ。
身に纏う金色が、辺りに引っ切りなしに起こる目を焼くような閃光を、ギラギラと乱反射させている。
この、当事者たる彼はもちろん――もし人間が居たのならば――ただ居合わせただけで即死する死地で、黄金の男は心底から愉しそうに笑っていた。 - 169◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 21:53:47
「…………っ」
パオはその光景に言葉が出ない。無意識に握りしめた拳が震える。もしもこの戦いがこの地で繰り広げられていれば、街は夜明けを待たずして更地に変わっていただろう。
事実、もう一方の当事者である“青”のランサー――エルキドゥがベルリンから離れ、ギルガメッシュを誘引していなければ、少女の想像は間違いなく現実のものとなっていた。
――これが、聖杯戦争。
(ヴィナシスさんの、止めたかったもの)
自分にその思いを託してくれた友の言葉を想起した彼女の胸が熱を帯びる。
居ても立ってもいられず、隣の青年を振り向いて、
「マスター」
薄く紫がかった、宝石のような瞳と目が合った。 - 170◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 22:02:22
「僕らは、“青”と“橙”の二陣営に属さぬ第三勢力です。“青”のような地盤も、“橙”のような組織による支援も受けられない、孤立無援の乱入者です」
昼間の穏和な雰囲気を潜めたサーヴァントは、諭すように自分たちの状況を語る。
「そして、両陣営の戦いに割り込むような大立ち回りをすれば、当然両陣営の目は正体不明のイレギュラーである僕らに向きます。ことによっては、そのまま両陣営から磨り潰されるということもあり得ます」
キャスターが語ったのは至極当然の道理である。
三つ巴の戦いといっても、実際に三者が真正面からぶつかり合うことはまずないだろう。
例えば、強力な一人に残り二人が協調して対抗しようとするか、逆に弱小な一人が息を潜めて残る二人を争わせ、漁夫の利を狙うか。
馬鹿正直に二者の戦いに割って入ったところで、余計な消耗をするばかりで基本的に利益はない。
当然、勝利が遠のく可能性も高まる。
そして聖杯戦争は殺し合い。敗北とは即ちパオ自身の死でもあるのだ。
「それでも貴女は、あの戦いを止めることを望まれますか?」
勝利を、友の意志を全うするというのなら、彼らの気が済むまで勝手にやらせておけば自分たちは何も困らない。
そこで敢えて命を危険に曝すのか。
キャスターの問いにパオは―― - 171◆zIKR/QD4og25/01/28(火) 22:06:37
今晩はここまでとなります
お付き合いありがとうございました - 172二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 01:49:02
どの陣営にも属さない孤立無援の乱入者、こんな陣営に強力する奴なんて…
頭のおかしい享楽主義者がいたわ - 173二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 07:36:09
おつ保守
- 174二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 17:17:15
着々と積み上がるヘルカ合流の説得力
- 175二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 22:27:13
ほしゅ
- 176二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 00:51:23
そりゃこんな面白い逸材いたらそっちに着くもん
- 177二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 07:32:54
保守
- 178二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 17:31:34
保守
- 179◆zIKR/QD4og25/01/30(木) 22:57:01
こんばんは
太公望とパオちゃん、乱入まで
続きを上げていこうと思います - 180◆zIKR/QD4og25/01/30(木) 22:58:25
彼女がこの戦いに身を投じたのは、初めて友達となったヴィナシスの遺志を継いでのことだ。
災いを招く聖杯戦争と、それを引き起こした魔術師を止めることこそが、自分に人生を与えてくれた彼に報いる唯一の方法であると信じて。
「……ごめんなさい、キャスター」
その誓いを思えば、一時の感情は抑えて冷静に見に回るべきではないか。
聖杯戦争に挑む以上は命懸けなのは変わらない。しかし、徒に危険に身を曝すものでもないだろう。
「お願い、あの戦いを止めて!」
宝黎明(パオ・リーミン)は、そんな思考をぶっちぎって叫んでいた。
かつての彼女は、貧民街でのあの怪物の暴虐を止められなかった。その果てに、友達を失った。
そしていま、貧民街の一件など比べるのもおこがましいような大破壊を。世界の滅びを演じるかのような地獄を。
これらが起こり、今まさに続いているという事実を、許しておくことができなかったのだ。 - 181◆zIKR/QD4og25/01/30(木) 23:03:46
「ごめんなさい、キャスター……ほんとうに、ごめんなさい……っ!」
言ってしまってから、涙と共に謝罪の言葉が溢れてくる。
如何に見過ごせないと言ったところで、実際にあの死地に赴くのは彼なのだ。自分が、ただでさえ尋常ではない死地へこの先の戦いの展望もなく行ってこいと命じるのだ。
こんなものは子どもの癇癪だ。理路整然と介入にメリットがないことを語ったキャスターはきっと、忠告の甲斐もないと呆れて――
「承りました、マスター」
「……へっ?」
手を取ったサーヴァントの答えに、逆に少女の方が面食らった。
先程の彼は、あの戦いに割って入ることの無益さをあれだけ語っていたではないかと。
「言いましたね」
「じゃあこんなの……」
「リスクを理解された上で、それでも行くと仰るのならば、僕はその望みを果たせるよう最大限努力しますとも」 - 182◆zIKR/QD4og25/01/30(木) 23:13:12
青年は笑ってそう言うと、俯く少女の頭に優しく手を置いた。
「――いいんだよ、難しいことは」
その、これまで聞いたことのない声色に、思わず顔を上げたパオだったが、彼の顔はいつも通りだった。
「ああは言いましたが、僕だってこの戦いに招かれた英雄ですからね。子どもの真摯な願いと命、両方守れないでどうします」
少女の涙を拭いながら、彼は穏やかに微笑んで。
「さあ、宝(パオ)。泣かないでもう一度、胸を張って言ってみてください。必ず帰ってきますから」
キャスター――太公望は、二人が出会った雨の日の夜のように少女と目線を合わせて、彼が付けた名を呼んで願いを問うた。
然る後、太公望は少女の言葉に頷いて、その宣言通りに彼の戦場へ踏み入ったのだ。 - 183◆zIKR/QD4og25/01/30(木) 23:23:27
以上となります
毎回ほぼ全鯖に思ってるけど、太公望の喋り方これでよかったかな……
次回は再び、乱入したギルエルの戦場に戻ります - 184二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 23:29:39
こんなカッコいいことを言っているが後々冷や汗ダクダクになる模様
- 185二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 23:52:05
顔立ち玉藻族にそっくりな女の子にこんなこと言ってるのが巡りめぐってカルデアで知られると、コヤンたちにゴミを見る目で見られてそうな太公望
- 186二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 07:31:32
保守
そろそろ次スレかな - 187二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 16:33:02
保守
- 188◆zIKR/QD4og25/01/31(金) 21:45:11
こんばんは
今夜の分の更新を進めようと思いますが、残り僅かなのでSSの更新は次スレで行おうと思います - 189二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:50:44
OK
- 190◆zIKR/QD4og25/01/31(金) 21:52:53
- 191◆zIKR/QD4og25/01/31(金) 21:53:30
埋めがてら、妄想した概念礼装をば
★4 騎士の修練
効果:攻撃力をアップ(20%)
彼は剣。彼は盾。
責務のために、その身を鋼の如く鍛え続ける。
鋼の鍛練の攻撃版のイメージ - 192二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:53:32
よし残りは埋め
- 193二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:53:52
立て乙
- 194二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:59:03
埋め立て
- 195二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:59:37
埋め
- 196二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:59:48
埋め
- 197二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 22:04:37
うめ
- 198二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 22:18:57
埋め
- 199二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 22:20:45
うめ
- 200二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 22:33:49
埋め