- 1先生25/01/11(土) 23:35:05
- 2二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:36:08
先生失格じゃん
- 3二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:36:58
ほうほう
- 4先生25/01/11(土) 23:37:14
先生が頑張ってミカを保護する話ですね。
- 5先生25/01/11(土) 23:37:28
立ったので投稿。
かんしゃ~~~ - 6二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:37:38
- 7先生25/01/11(土) 23:37:47
ナギサに呼ばれ、トリニティで会議をした帰り道、ふと遠くから生徒たちの笑い声が聞こえて来た。
「キャハハハハ! あの魔女、あんなボロボロの水着の為にマジになっちゃって、馬鹿じゃないの!?」
「本当にね~~、流石に引くわぁ」
"魔女"という単語に紐づく不穏な言葉に、自身の鼓動が速くなるのを感じた。
(……ミカ!?)
私は咄嗟に先の女子生徒たちが来た方向へ駆け出す。
角をいくつか曲がれば、視界に蹲るミカの姿が映った。
「ミカッ!」
あまりにも弱々しく、小さな背中を見て弾かれたように傍に寄り、すすり泣くミカの背を擦る。
「せん、せぇ? どう、して……あはは、こんなとこ、見られたくなかったのにな」
髪は乱れ、顔が涙でグチャグチャになったミカの胸元には、大事そうに抱きかかえるいつかの水着があった。
「また、嫌がらせされたの……? もしかして、こんなことがずっと?」
私の問いかけに対し、ミカは大粒の涙をボロボロと零しながら私の胸元に頭をうずめる。
それは私にとって、紛れもなく彼女からのSOSであり、問いかけに対する肯定としか捉えられなかった。 - 8先生25/01/11(土) 23:38:04
「……ミカ、ミカはまだトリニティにいたい?」
再び、彼女に問いかける。
旨にうずめる彼女の頭が、小さく左右に動いた。
「分かった。ねぇミカ、きっと後で迎えに行くから――だから、あの屋根裏部屋で待っていてくれないかな? 大丈夫、すぐに行くから」
私が微笑みながらそう告げると、ミカが私の方へ顔を上げて上目遣いのままコクリと頷いた。
その後、駆け出すミカの後姿を見届け、すぐにナギサにモモトークを送る。
―――――
――――
―――
――
―
正に晴天の霹靂だった。
私は先生に対し、常に何か助力できないかと問い続けてきた。
しかしその度に先生はニヘラと誤魔化すように笑って、いつかきっとナギサに助けてもらうから。と言うばかり、私はやはり子どもとしか見られていない、大人である先生は私を頼ってくれない――。 - 9先生25/01/11(土) 23:38:22
そう思っていたのに、先ほど先生から来たモモトークにはたった一言『ナギサ、手を貸してくれ』だった。
無論、私は二つ返事を返す。
手助けする内容は分からない、どんな要求をされるかも知らない、それでも先生であれば手放しで助けられる、助けたいと思える。
そんなワクワクとした心持ちで待っていれば、先生がドアを開いて部屋に入ってきた。
「あ、せんせ――」
先生を呼ぼうとして、声が途切れる。
私には人の心は分からない、人の感情も上手に読み取れない、でも、そんな私でも直ぐに理解できた。
先生は、怒っている。
激怒している、憤慨している。
その感情が何に対してなのかは分からないが、私がつい今まで抱いていた感情はすぐに冷めていき、代わりに嫌な汗が頬を伝った。 - 10二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:38:37
(管理しっかりね…ここミカの嫌悪者居るから…ダメな時は爆破も最終手段に…)
- 11先生25/01/11(土) 23:39:05
「やぁナギサ、急にごめんね。会議が終わってすぐだったのに、時間大丈夫だった?」
そう私に笑いかける先生からは、先ほど感じた威圧感はない。
いつもの、先生。しかし、それが先ほど見た先生の姿とあまりに乖離していて、ちょっとした不気味さを感じさせた。
「いえ、問題ありません。それで先生、先ほどのモモトークの内容ですが、どうされましたか?」
私の問いかけに対し、先生はキョロキョロと周囲を見渡して口を開く。
「ごめんね、出来れば二人きりで話したいんだけど」
その言葉に私は頷き、警護しているティーパーティーの監督官と正義実現委員会の子たちに目配せした。
それに気づいて、皆ぞろぞろと部屋を出て行く。
「ありがと、あんまり誰彼構わず聞かせる話じゃないと思ってね」
「……一体、どのような内容なのでしょうか」
私は先生の目の前のソーサーにティーカップを置き、紅茶を注ぎながら問いかける。
すると、先生は短く「ありがと」と言って紅茶を一口飲むと、軽く息を吐いて口を開いた。 - 12先生25/01/11(土) 23:39:23
ひぇ、忠告感謝です
- 13先生25/01/11(土) 23:39:44
「ナギサは、今ミカがどうなってるか知ってる?」
「ミカさん……ですか?」
「うん」
正直、ここで彼女の名が出るとは思わず、言葉が喉に詰まる。
私の大事な友人であるミカさん――。
無論、凡その事情は知っている、生徒による陰湿なイジメ、それに対しミカさんが苦しんでいることも。
「はい、存じています」
「……ナギサは、ミカの親友だよね?」
「はい」
「どうにか彼女を……ミカを、助けてあげられないかな?」
それは、先生に最も突かれたくない所だった。
まるで直接心臓を握られているかのような感覚が支配し、呼吸が浅くなる。
「私も、本当は助けてさしあげたいのですが……」
そこまで言うと、先生の大きな手が私の頭にポンと乗った。 - 14先生25/01/11(土) 23:40:02
「え?」
「……ごめんね、ちょっと私も冷静じゃなかったみたいだ」
私に困ったような笑みを浮かべ、先生が頭を撫でる。
「い、いえっ……その……」
「ナギサだって、親友がそんな目に合ってるのは辛いよね、許せないよね。でも、下手に助けちゃったら派閥や勢力争いの火種になりかねない、護れるものも護れなくなる。そうなんでしょ?」
「……ッ」
先生が、私の心を溶かすように優しくそう告げた。
私だって助けたかった、裏で色々動いてもいた、それでも限界は――ある。
トリニティの安寧、ティーパーティーのホストとして生徒を護らなくてはならない。
ミカさんを救うために、この座を降りるという事に関してはなんの躊躇もない、しかしまともに機能するティーパーティーが私だけである現状では、ミカさんを救うための行動が、最終的に彼女を更に苦しませる選択になりかねない。
先生は、そこまで理解しているのだろう「気付いてあげられなくて、ごめんね」と言って更に私の頭を撫でてくれた。 - 15先生25/01/11(土) 23:40:44
「ナギサ、ミカをシャーレで保護するよ」
「え?」
それは全くの予想外な提案だった。
「だからナギサには、ミカの学籍を残したままにしてほしいんだ」
「そ、それはどういう……いえ、可能なのでしょうか?」
「連邦捜査部シャーレは――連邦生徒会長によって付与された権限のもとに、あらゆる規約や法律による規制や罰則を免れる超法規的機関だ、今までやってこなかっただけで、生徒一人を元の学園に所属させたままシャーレ預かりにすることなんて簡単だよ」
そう言って先生はスッと立ち上がった。
「そ、それは理論的には可能ですが……! シャーレは中立的な組織、なのにトリニティの生徒、それも元ティーパーティーを擁するとなれば、各学園首脳部が黙ってませんよ!? それこそ、シャーレがトリニティに吸収されると思われても仕方が――!」
去ろうとする先生の背にそう叫ぶと、振り返った先生はまたあのニヘラとした笑みを浮かべて口を開いた。
「大丈夫、私の生徒たちなら、きっと大丈夫――ヒナも、マコトも、ユウカもリオも分かってくれるよ。チェリノやニヤはどうかな、あんまり興味ないかも? キサキやルミ、リンちゃんにカンナもあまり関係のない話だし……ホシノやミヤコはちょっと、拗ねそうだけど」 - 16先生25/01/11(土) 23:41:00
つらつらと出てくるのは各学園のビッグネームたち。
嗚呼、そうか先生の生徒に対する信頼は、先生がこれまで積み重ねて、歩んできた軌跡の結晶なのだ。
ともすればその結晶にひびが入ってもおかしくない行動――。
でも、それでも――。
ミカさんを、助けてくれるのですね。
「ありがとうございます、先生」
片手を挙げて去っていく先生の背に、私は泣きながら頭を下げた。 - 17先生25/01/11(土) 23:41:14
「やぁミカ、お待たせ」
屋根裏部屋で待っていると、先生が片手を上げて私の名前を呼ぶ。
「先生」
あんまり見られたくなくて、顔をシーツにうずめた。
きっと泣きじゃくったせいで目は腫れてるだろうし、メイクだってぐちゃぐちゃのはずだ。
髪だって綺麗にしていない。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、先生はベッドに腰かけ、私の髪をやさしく、まるで水を掬うように持ち上げた。
「せっかくの綺麗な髪がぐしゃぐしゃだ」
そう言って、先生はブラシで私の髪を解き始めた。
優しいブラシの感触と暖かい先生の手の温度が伝わってくる。 - 18先生25/01/11(土) 23:41:31
無意識に羽根がパタパタと揺れた。
それと同時に、独りぼっちだった先ほどまでとは打って変わって、整理を付けたはずの気持ちが、感情が、まるで決壊寸前のダムのように私の内で溢れそうになる。
「先生」
「ん?」
先生は優しい声音で返事をしてくれる。
それがどうしようもなく心強くて、ズブズブと引き返せない底なし沼にはまるように、私を引き込んでいく。
「私、頑張った、よ。でも私は悪い子だから、取り返しのつかないことをして、皆に迷惑をかけて……不良生徒の魔女だから――」
そこまで絞り出すように口にして、また大粒の涙が溢れ出していることに気付いた。
それを理解した瞬間、堰が切れたように感情がとめどなく溢れ出る。
「先生にも迷惑かけたくなくて、変わった私を……見てほしくて――」
まるで子どもみたいに泣きじゃくりながら、ボロボロと溢れ出す言葉を、先生は優しく相槌を打ちながらずっと聞いてくれていた。
――どれほど時間が経っただろう、天辺にいた陽が傾き、黄昏が窓から差し込んでいた。 - 19先生25/01/11(土) 23:41:53
「ねぇ、ミカ」
少しの静寂を、優しい先生の声が破る。
「ミカさえ良ければだけど、私の生徒にならない?」
「……ぇ?」
何を言っているのか、理解できなかった。
馬鹿な私の頭を頑張って使ってみたけど、それでも分からない。
私はもう先生の生徒の一人の筈……一瞬嫌な想像が脳裏を過ったが、先生が紡いだ言葉で私の不安は一気に吹き飛んでしまう。
「シャーレに、来るかい?」
それは、きっと一番求めていた言葉だった。
それは、私が諦めてしまっていた希望だった。
それは、胸の奥にしまい込んでいた、私の願望だった。
「ほん、と……?」
「あぁ」
「嘘じゃ、ないよね? え? でもそんなこと、ナギちゃんが……」
そう、ナギちゃんがそんなこと許すだろうか、あんなに政治とか派閥とか気にしてる彼女が……。 - 20先生25/01/11(土) 23:42:03
いくら馬鹿な私でも、どうあれ私がシャーレに所属するというのは悪手だと理解できる。
でも、先生は私のその言葉に対して待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で一枚の紙を差し出してきた。
「これ……嘘」
そこには、私の学籍はトリニティのまま、留学という形でシャーレに行くことが記されていた。
それに伴い、シャーレはただの組織としてではなく、学園としての側面も持つことになるようだ。
この短時間でここまでしてくれたのか、私の為に。
私は、その事実にいつの間にか止まった筈の涙が、再び零れる。
「せんせぇ……」
"ありがとう""大好き"伝えたい言葉は無数に浮かんでくるのに、溢れる涙と嗚咽がそれを許してくれない。
でも、先生は全て分かっているかのように、優しく私を胸元に引き寄せて抱きしめてくれた。
「ミカ、帰ろうか」
その言葉に、私は号泣しながら先生の胸にしがみついた。 - 21先生25/01/11(土) 23:42:16
「やぁミカ、おはよう」
「おはよ☆先生」
ミカがシャーレに来て一週間が経った。
最初こそ各学園からの電話や、連邦生徒会との調整でてんてこ舞だったが、やっと落ち着きを取り戻しつつある。
ミカはシャーレの生徒となり、寝食は全てシャーレの部屋でしている。
私も家では無くシャーレで寝泊まりすることもある為、あまり褒められた状況ではないが、今は仕方ないだろう。
「先生コーヒー飲む?」
「ありがと」
テトテトと私が買ってあげたジャージ姿で給湯室に消えていくミカの背中には、あの時見た弱々しさも絶望感も感じない。
良い方向へと進んでいる証だろう。
ふと、室内にインターホンの音が響いた。
「あれ、先生こんな時間に誰だろうね?」
時刻は夜の20時、普段であれば生徒が訪ねてくる時間ではない。
ミカは給湯室から顔だけ出してキョトンとしているが、私は笑みを携えドアを開いた。 - 22先生25/01/11(土) 23:42:42
「……こんばんは」
「やぁ、久し振りだね」
ドアを抜けてきたのは――。
「えっ! 嘘!? ナギちゃんにセイアちゃん!? なんで!?」
ティーパーティーの二人、ナギサとセイアだった。
「実はこっそりとね、ミカの留学お祝いパーティーをしようと思って二人を呼んでたんだよ」
フフンと、少し大げさにわざとらしくそう言ってみれば、ミカは目を丸くしたまま硬直してしまっていた。
しかし、すぐにハッとした様子で給湯室に引っ込み、目だけを出してこちらをジト目で見つめてくる。
「ちょ、ちょっと先生~? 私めっちゃ部屋着なんですけど!? 教えといてよね!」
「ご、ごめんごめん……」
「別に君の部屋着に興味は無い、さ、パーティーといこうじゃないか」
淡々とそう告げるセイアだが、その口調はどこが軽やかで耳と尻尾がピコピコと揺れていた。
分かりやすい子である。 - 23先生25/01/11(土) 23:42:57
「私たちは準備をしておきますので、ミカさんは着替えて来てください」
ナギサはそう微笑んで指をパチンと鳴らすと、後ろからズカズカとティーパーティーの監督官たちがテーブルや椅子を運び込んできた。
「……まさかとは思うけどナギサ、お茶会のセット持ってきたの?」
「ええ、そうですが……?」
何の気なしにそう告げるナギサを見て、セイアに視線を移すと、セイアは肩をすくめる。
「私は止めたぞ」
そんなこんなでパーティーの準備をしていれば、着替えて来たミカが元気よく部屋に入ってきた。 - 24先生25/01/11(土) 23:43:24
「わー! すごいじゃん!」
部屋は簡単にだが装飾を施し、部屋に入ってきたミカには『本日の主役』と書かれたたすきをかける。
照れ照れと頭を掻きながら笑うミカを記念にと写真に収め、その日はティーパティ―の、ささやかなパーティーを楽しんだ。
「ね、せんせっ」
「ん?」
ピザを頬張っていると、隣に来たミカがピトリと肩をくっつけてくる。
少し離れたところでナギサとセイアは並べられたジャンクフードを物珍しそうに吟味していた。
「……先生は、本当に私の王子様だったね」
「なんだって?」
何かを呟いたミカの言葉が聞きとれず、私は耳を彼女に近付ける。
ふと、頬に柔らかい感覚がした。
「!?」
弾かれたようにミカの方へ振り向けば、赤面したミカがもじもじとしながら俯いている。
ボトリという音がして咄嗟にそちらを見ると、ナギサとセイアが目を丸くして皿に取っていたピザを床に落としていた。
「ふふっ、せんせ、忘れちゃった? 私は悪い子……なんだよ?」
私含め全員が啞然としている中、悪戯っぽくミカは笑ってみせた。 - 25先生25/01/11(土) 23:43:55
終わり。
感想いただけると嬉しいです。
ではでは~~~ - 26二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:51:29
中々良かったです!ミカ幸せそうで何より…
- 27二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:55:57
結局のところ権力者の協力で逃げたわけだな。
- 28二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:23:43
このレスは削除されています
- 29二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:24:41
権力者に媚びるだけの薄汚い女
- 30二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:25:42
ミカは贖罪から逃げシャーレは中立性を失った
BADENDである - 31二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:26:42
このレスは削除されています
- 32二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:27:27
- 33二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:28:02
先生は生徒のやりたい事を応援するスタンスなのになぁ
トリニティでやり直したいというミカの思いを応援してやれなかったのかぁ - 34二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:33:54
やっぱユウカがミレニアムのトップ扱いなんだな
- 35二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:39:01
SS乙です
上でも結構言われてる(まあミカアンチが難癖つけてるだけなのかもしれない)けど、せっかく学籍は残ってるって状態なら復学頑張る後日談も見れたら嬉しいです - 36二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:40:49
確かに見てみたいですね…!勿論スレ主さんの無理のない範囲でですが…
- 37二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:42:39
これならキヴォトス中にいるであろう学籍無しの子も助けるべきだよね
- 38二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:49:59
- 39二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 01:04:40
スケジュール見るかぎり相当設備とか整ってるからなシャーレビル
おまけにそれも2フロア分だけでビルの高さ考えるとまだまだ色々あってもおかしくない
一時的に受け入れて更生したの確認してからシャーレ保証の元で生徒の少ない、けれど平和な中小学園に転入させてく事業とかやってそうだよね
- 40二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 01:07:23