【閲注】相澤先生関連のSSを書いていく・15

  • 1125/01/12(日) 22:02:22

    相澤先生最推しで雑食なスレ主が先生関連のSSを書いていく
    CP無夢クロスBLNL左右非固定何が飛び出てくるかわからねえ 覚悟してくれ
    CP関係はBLは右寄りでNLは左寄りだったはずだが女攻めも普通にあるごめんな

    このスレいったいどこまで行くんだろうな
    最近はドルパロ転生澤がアツい
    飽きるその時までこの設定を擦っていくぜ

    平日の昼間は来れないので雑談がてら保守をしてくれるととてもとても助かる

  • 2125/01/12(日) 22:02:46
  • 3125/01/12(日) 22:03:09
  • 4125/01/12(日) 22:04:11
  • 5二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:04:12

    たておつ
    未だにフリーレンクロスで脳を焼かれています

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:04:55

    たておつ
    俺が好きなのは相澤兄妹!

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:05:51

    たておつです
    自分は公安組との話が好き

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:06:46

    たておつ!
    俺はスレ主の描く♀澤に脳焼かれたぞ!
    15スレ目もよろしくだスレ主!

  • 9125/01/12(日) 22:07:56

    おつあり!
    じゃあ出していくぜ

     室内は奇妙な緊張感に包まれていた。

    「ここまで全問正解……」
    「SNSの反応どんな感じ?」
    「最初はアンチ湧いてたけど今は応援に変わってる」
    「このまま終わってほしいですね……」

     BLACK CASE事務所の大きなテレビはマネさんが買ってくれた物だ。それをソファに座って四人で見つめる。映っているのは我がグループの救世主SHOTAと知らぬ者は居ない元ヒーローオールマイトだ。
     いよいよ最終問題に差し掛かろうというところでCMに入る。全員がため息を吐いた。
     全員分のお茶のお替りを注ぎに光木が立ち上がる。

    「彰が誘ってくれてよかったですよ、流石に実家でこれを見るのは胃に悪すぎるので」
    「元旦に集まってくれて俺も助かったよ」

     ショータがオールマイトとペアを組んで年始の格付けチェックに出ると聞いたとき、最初に感じたのは嫉妬よりも恐怖だった。
     最近はショータもだいぶバラエティに慣れてきたし、格付けに出るだけだったらそこまで心配もしなかったと思う。でも相手はあのオールマイトだ。

    「流石に相手がオールマイトじゃね……俺一人じゃ受け止められなかったんだわ」
    「俺も一人で見るの怖すぎたから今日招集かけてくれて助かった」
    「俺も」

  • 10125/01/12(日) 22:08:34

    >>9

     別にオールマイトという人が怖いわけじゃない。一回本人を見たことがあるけど凄い優しかったし、バラエティに出る姿を見ても威圧的だなと感じたことは一度もない。

     ただ、オールマイトになんらかの粗相をしてしまった時の世間の反応が怖すぎるってだけで。


    「オールマイトに粗相をしたとなったら世間全部が敵になりますからね……」

    「ただでさえショータ口悪いからさあ、変な切り抜き方されてんんじゃないかってひやひやする」

    「今日は借りて来た猫みたいに大人しいよね」

    「ショータはオールマイトのこと好きらしいし、緊張してるんじゃない?」

    「あっ、CM開ける」


     光木が淹れてくれたお茶を啜りつつ画面に注目する。最終問題は牛肉で、ショータは既に部屋に移動した後だった。

     超一流に用意されたお菓子に手をつけず、近くにある水を飲んでる。

  • 11125/01/12(日) 22:09:01

    >>10

    『SHOTAくんお菓子食べんの?』

    『今食べると味覚変になりそうなので……』

    「お前変になるような味覚持ってないだろ」

    「蓮! 本当のこと言うな!」

    「寄りにもよって最後の食事系がショータですか……」

    「これ謝罪文出す準備しといた方が良いんじゃね?」

    「ショータはなんか番組のこと言ってたんだっけ?」

    「言ってない。「今日は家族と飯食うからパス」って言われてる」

    「じゃあワンチャン正解引けたか?」


     不愛想なガキのメッセージは「一緒に見るのが気まずいから嫌」なのか「本当に家族と飯を食うから見れない」なのかライン引きが難しい。

     SNSをチェックしていた拓哉は眉を顰めていた。


    「うわ……」

    「どした?」

    「ショータのアンチがいきいきしてる」

    「そんな汚いもんを自分から見に行くなよ」

    「彰見て! デクがめっちゃ応援してくれてる!」

    「ん~、あ~、デクはオールマイトのガチオタだからなあ。下手したら今日のでアンチになる可能性もある」

    「嘘だろ」

  • 12125/01/12(日) 22:11:53

    >>11

     蓮が絶望した顔でこっちを見て来るけど絶望したいのはこっちなんだわ。デク……というか、ショータを応援してくれているヒーローの殆どは昔の大戦で凄い功績を挙げた雄英高校ヒーロー科の人たちだ。

     で、その世代の人たちって大体オールマイト現役時代にヒーローを志してるからみんなオールマイトのことが好きなんだよな。

     しかも噂によるとデクのクラスの副担任でもあったらしい。その世代の担任やりたくねえな。

     今までついたヒーローの顧客が全員アンチに回る可能性があんの怖すぎる」


    「ショータ可哀想……今でも逆風あるのに」

    「本当にね、こんな重責十六歳の子供が背負う物じゃないよ」

    「頼むショータ~! なんとか上手いことやってファンを繋ぎ止めてくれ~!」


     もう収録が終わってるからどうにもならないんだけど蓮の祈りに俺も便乗する。

     もうここまで来たら祈るしかないんだわ。頼む頼む頼む。俺らはもうお前がライブ会場で怒鳴られてるところなんて見たくねえよ、お前はいつも大丈夫って言うけどな。

     ショータが食事ブースに入って、部屋の緊張感が最高潮になった。

  • 13125/01/12(日) 22:12:26

    >>12


     ‡


     近くの神社で初詣をした帰り、ちょうど出久たち緑谷家とかち合った。そのままババアと引子さんの長話が始まって、こんな寒いところでなんだからと緑谷家にお邪魔する形になった。

     俺は逃げようとしたけどババアが腕を引いてきたので仕方なく一緒に家に行く。おい出久笑ってんなよあとで頭爆破してやっからな。

     ……と、少しだけの滞在かと思ったらババアが長話をし続けて、結局晩飯一緒に食うことになったわけなんだが。


    「頼むSHOTAくん全問正解してくれ……!」

    「オールマイトを二流にすんじゃねえぞSHOTAぁ……!」

    「あの二人何?」

    「なんか最近同じアイドルの子が好きみたいでねえ」

    「へー! 勝己、あんたアイドル好きなんだ、どの子?」

    「やかましいババア! 声聞こえねえだろうが!」

    「ほらこのBLACK CASEっていうグループのSHOTAくんですって」

    「ああ! あの炎上した子! へえ~、勝己まだ好きなんだ、珍しいね」

    「……っ、……!」


     これ以上何を言っても揶揄われると判断して言葉をぐっと飲みこむ。クソ、家では絶対にこうなるからいってなかったのに。

  • 14125/01/12(日) 22:13:12

    >>13

     格付けもSHOTAの出演が決まってから録画していたらシークレットゲストでオールマイトが出てきて目ん玉飛び出るかと思った。

     出久に「お前知ってたんか?」って聞いたけど「知ってたら平常心でいられるわけないだろ」と至極当然の返答が来た。そりゃそうだ。しかもオールマイトとSHOTAがタッグを組むと聞いたら、まあ盛り上がらねえわけもなく。

     盛り上がるって言うかもうこれ祈りなんだけどな。


    『さあ今回、最高級のA5ランク牛肉と、スーパー特売で買った牛肉、そして! 絶対にアカン肉をご用意しております』

    『はい、絶対にアカン食材はこちら、アライグマの肉になります!』

    「アライグマ……」

    「の肉……」

    『なおこのアライグマを選んだ場合はどんなランクであれ映る価値無しになるのでお気を付けください』


     司会の言葉にSHOTAは神妙な顔で頷いていた。こいつはこういう場面でふざけるようなやつではない、やつではないが。


    「これ大丈夫か……?」

    「SHOTAくんその、美味しいの範囲がかなり広い子だよね」

    「前にドッキリでクソまず飯提供されて「美味しいですね」って真顔で答えてたの忘れらんねえわ」

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:14:04

    >その世代の担任やりたくねえな

    今あなた達が見ている後輩のことですよ…

  • 16125/01/12(日) 22:16:03

    >>14

     SHOTAの味音痴はファンの中では有名な話だ。

     味音痴というか、出久が言うように「美味しいの範囲がかなり広い」ってのが正しい。何でもかんでも美味しいに変換されてるのは正直テレビを見てる側からしても恐怖だ。アイツの口の中どうなってんだ。

     とはいえ、味を覚える能力自体は低くない。前の番宣で食ったもんの金額を当てる番組に出た時は「高級レストランでの味」と比較して近いもんを当てて見事三位を取ってた。そういう能力はある。


    『この番組に出ることが決まってから、一流のレストランでしっかりと予習をしてきました。大丈夫です』

    「本当か?」

    「さっきの最高級シェフで前科あるからな……」

    『もしダメだったら今度復習として美味しいご飯一緒に食べに行こうね』

    『俺食べるならラーメンが良いです』

    「食うの肉だっつってんだろ」

    『ううん、高校生の胃袋だなあ。美味しい焼肉屋さんは?』

    『良いんですか!』

    『あのすみません「あり合わせ」のお二方、負けるの前提で話すのやめてもらえませんか』


     美味しい焼肉屋、と言われてSHOTAの目が輝く。こういうところはガキっぽくていい表情だ。思わず口元が緩むとババアがにやりとした視線を向けて来たので戻す。

     SHOTAの前のメンバーが食事ブースに入っていった。俺らが集中してテレビを見ているせいで周りが静かになる。その心遣いはありがてえ。

  • 17125/01/12(日) 22:16:50

    >>16

    「オールマイトが二流になるところは見たくないけどSHOTAくんが叩かれるところも見たくないんだよ~、お願いだから正解引いてSHOTAくん……」

    「アイツ敵多いからな」

    「そんな素行悪いのこの子?」

    「素行は悪くないんですけどちょっと言葉足らずなのとグループ発足の経緯が複雑で悪口をいう人が多いんです」

    「へえ?」


     ババアが興味ありげにこちらに体を向ける。

     俺は話したくなかったから出久に視線を向けると、勝手に説明を始めた。


    「BLACK CASEに所属しているSHOTAくん以外の四人は元々大手事務所に所属してたDD9ってグループの子だったんですよ」

    「あ、それなら名前だけだけど知ってる。なんか最近見ないけど」

    「はい。このグループのMITUKIさんが事故で“個性”トラブルを起こしてしまって。それ自体は大きな問題じゃなかったんですが元々グループ内の人気格差が酷くて荒れてた一部のDD9メンバーから攻撃をされて、MITUKIさんについていたマネージャーさんと他三人がグループを脱退することになったんです」


     MITUKIって名前が出るとババアが「その子はわかる」って顔をする。あいつ俳優業でめちゃくちゃドラマ出てるからな、アイドル知らなくてもわかる。

     そうだ、MITUKIの存在だけなら俺だって炎上騒ぎが起きる前から知ってた。ただDD9ってアイドルは名前しか知らないレベルで、正直視界にすら映ってない。

  • 18125/01/12(日) 22:20:02

    >>17

    「人気格差……世知辛い世の中だね」

    「はい。で、MITUKIさん含めて四人でアイドル業をやることになったのがBLACK CASEなんです。でもその四人だけだとどうしてもスキャンダルの印象が強すぎてどうにもならないってことでオーディションで新メンバーを募集したんですよ」

    「へえ、それがSHOTAくん?」

    「そうです!」

    「なんていうか……荒れそうだね?」

    「実際荒れたみたいで……」


     グループ脱退、それからの新メンバー募集。

     まあ当然元グループのファンからは恨まれて当然で、新グループを推してる奴らからもヒーローに気に入られてるが故のゴリ押しだと思われて良い顔はされない。

     世間での人気はいまのところSHOTAが圧倒的だが、現場でのチェキ指名や握手会じゃあグループ内でも真ん中程度の人気しかなかった。

     通販では真っ先に完売するから、多分現場に行きづらい雰囲気が出てんだろうな。俺や他のヒーローが現場に出るようになって漸くファンを公言しても良い方向にいってるがそれも今日の番組でおじゃんになりかねねえ。

  • 19125/01/12(日) 22:21:20

    >>18

    「そっか、じゃあこの子は敵が多いんだ」

    「はい」

    「勝己、ちゃんと応援してる? 言葉にしないと伝わらないからね」

    「うるせえババアこないだも現場行ったわ」

    「現場」

    「ライブのことです」

    「へえ! じゃあ今度私も連れてってよ」

    「自分でチケ取れや」


     誰が親同伴で推しのライブ行くんだよぜってえ嫌だからな。でもこいつほっといたらマジで勝手にチケットとっていきそうだな……それも嫌だ……。

     おい引子さん誘ってんじゃねえぞ!


    「SHOTAくんの番だ!」


     出久の声でテレビを見る。

     間抜けなアイマスクをつけられて視界から『似合ってるなあ』と弄られているSHOTAの元に、料理を持ったスタッフがやってきていた。

     心臓が痛くなり始める、頼むから不整脈とか起こすなよ。


    『さあSHOTA、ちゃんと当てられるか~?』

    「Aが特売、Bがアライグマ、Cが正解……」

    「Bだけはやめて……!」


     Aを食べてもSHOTAの顔は無反応だった。ほっと胸をなでおろしたのも束の間、Bを口に含んだ時室内で悲鳴が起きる。

  • 20125/01/12(日) 22:22:47

    >>19

    「わ゙ー! 頷いてる!」

    「おいやめろやめろやめろ」

    「完全に勝利を確信した人の頷きだよ!」


     食べた時に何かはっとした表情をして、更に深く頷いた。おいそれアライグマだからな、アライグマだからな。

     スタジオの中でも笑いが起きていた。


    『SHOTA少年、アライグマ美味しいのかな』

    『オールマイト! 諦めんでくださいよ!』

    『まだわかりませんって! まだわかりませんって!』

    『これB選んだらオールマイトも消えますからね』

    『初めての経験だなあ』

    『そんな経験一生せんでええですよ!』


     オールマイトの朗らかな顔で一瞬和むけどこっちは緊張しっぱなしだ。オールマイトを画面から消すなんてことになったらどんなバッシングがあいつに降りかかるかわからない。

     まだ十六のガキなんだ、少しは世間の目も優しくなったって良いだろうがよ。


    「Cで頷け、頷け……!」

    『さあCを食べるが……』

    「あっ、頷いてる!」

    「オッシャ! Cそのまま選べ!」

    「なんか試合見てるみたいだね」

    「勝己ぃ~、父さんサッカー見た時も同じくらい盛り上がってほしいなあ」

    「だまれ」

  • 21二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:24:16

    ヒエ…
    こっちの肝も冷える…

  • 22125/01/12(日) 22:27:14

    >>20

     全部を食べ終わって、SHOTAが神妙な顔つきになった。この選択一つで芸能人生全部終わるかもしれないという緊張感はない。

     この脱力した感じがかつての担任と重なる。あの人もこういう重大な局面の時、極力緊張を見せない人だった。


    『さあ、出した答えは……!?』


     札を挙げる手が映った瞬間、部屋の中が絶叫で包まれた。

  • 23125/01/12(日) 22:27:35

    >>22


     ‡


    『俺が選んだのは……Bです!』




    .

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:27:50

    あっ

  • 25二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:28:13

    お”あっ

  • 26二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:28:16

    ミ゜ッ(断末魔)

  • 27二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:29:01

    ヒェっ

  • 28125/01/12(日) 22:30:03

    >>23

    「ショータ!」

    「ああああああ馬鹿舌!」

    「バカー!」

    「オールマイトを画面から消すな!」


     事務所の中はしっちゃかめっちゃかだった。

     Bの札を挙げる我が事務所きってのホープは表情をキラキラさせている。そんな奇麗な顔でアライグマ選んでるんじゃないよ。


    『Cのお肉も美味しかったんですが……』

    「じゃあCを選びなさいよ」

    『でも、Bのお肉が本当に美味くて。いや本当に凄い美味しかったです。こんな美味い肉食ったことない』

    「バカ~!」

    「こんなイキイキとした顔するショータ初めて見たかもしれない」

    「イキイキすんな」


     いつも死んだ顔してるあいつがこんなきれいな顔するとは俺も思わなかったよ。でもこの表情アライグマ食った後に出てくるんだ……別のところで見たかったな。

     SNSを恐る恐る見るととんでもない勢いでハッシュタグの投稿がされていく。

     だがそこに流れてくる文字列は俺たちにとっては意外な物が多かった。

  • 29125/01/12(日) 22:30:54

    >>28

    「……案外世間は受け入れてくれてる感じだ」

    「マジ!? デクは!? ダイナマは!?」

    「二人ともうわあ~! とか馬鹿舌! って言ってるけど弄りの範囲内かな……イヤホン=ジャックは死ぬほど爆笑してる動画がチャージズマの垢から投稿されてる」

    「そら笑うわ」


     ヒーローのアンチ化はどうやら避けられてるっぽい。まあそもそもヒーローやってる人たちが高々バラエティでのやらかし一つでアンチ化するわけもないか。

     世間の評価も基本的に爆笑してる人が多くて、アンチの意見はあんまり見当たらない。少しだけ安心した。


    『こんな美味しい肉がこの世にあったんですね……初めての体験です』

    『アライグマだからだよSHOTA少年』

    「ふっ」

    「オールマイトって結構ちゃんとツッコミするんだな」


     ボフンと音を立てて二人が画面から消えた。

     オールマイトを画面から消すなんて言う暴挙が罷り通っていいのか。


    『自信はありますか?』

    『自信しかないです。今日ここにきて一番の自信かもしれません』

    「その自信はどっから来るんだよ」


     スタッフの問いかけに自信満々で答えるSHOTAを見てオールマイトがHAHAHAと大笑いしてる。怒る人の笑い方じゃなくて本当に楽しそうに笑ってくれているのが救いだ。

  • 30125/01/12(日) 22:31:57

    >>29

     スタジオからは完全に姿を消しているオールマイトは、声だけでもわかる上機嫌さを見せてくれる。不機嫌さは一切ない。


    『今度美味しいご飯食べに行こうねSHOTAくん』

    「連れてってやってください」

    「美味さという物を叩きこんでやってください」

    『ふふっ、そんなにアライグマって美味しいのかな。ちょっと気になっちゃうね。どこで食べられるんだろう』

    『ジビエ専門店でもあまり取り扱ってはいないらしく、今回番組も専門で卸売りをしている小売店から買わせていただきました』

    『なるほど』

    『通販とかでも売っているらしいですね』

    『そっかあ、じゃあ今度買ってみようかな』

    『オールマイトって料理するんですか?』

    『するよ、こういう体になってからは特にね。ジビエ料理はしたことないけどチャレンジしてみようかな』

    「オールマイト消されたのに神過ぎないか?」

    「これが長年ナンバーワンをやっていたヒーローの精神か……」

    「あまりにも聖人すぎる……」

    「オールマイトはとっくに成人じゃね?」

    「とても素晴らしい人のことを聖なる人と書いて聖人というんですよ蓮」

    「へえ~賢くなったわ」

  • 31125/01/12(日) 22:33:47

    >>30

     蓮のバカさも今は癒しだ。

     SNSの騒ぎ方も今はだいぶ落ち着いて、アンチが一生懸命燃やそうとしているがそれよりも絵面の面白さが勝っており炎上には至っていない。

     それどころか優しいオールマイトの株が上がっていてファンからもまあまあな高評価をいただけていた。オールマイトのファンって優しい人が多いんだな。


    「あ、デクコメントしてる」

    「なんて?」

    「『オールマイトのジビエ料理楽しみです! SHOTAくんは次頑張ろう』だって」

    「次呼ばれたくねえ~」

    「こんな胃が痛いの一回きりでいいよ」

    「ダイナマは『今度肉送るからちゃんと味覚えとけ馬鹿舌』だそうです」

    「安定すぎるファン仕草」

    「お肉有難うございます! みんなで美味しくいただきます!」

    「ダイナマの差し入れマジで質がたけぇし量もあるから有難すぎんだよな」

    「僕らも差し入れの頭数に入れてくださってるの嬉しいですよね」


     自信満々な顔でアイツ一人しかいないBの部屋で待機をしているところに司会が結果発表にやってくる。何が起こるかわかってるが、完全にジャズバンドの時と同じ勝利を確信した顔をしているショータに、一周まわって笑いが込み上げてきた。

  • 32125/01/12(日) 22:34:58

    >>31

     司会が扉に手をかける。結果が分かっているのに緊張する無音の一瞬を経て、最初に開けられたのはワンランクダウンのAの部屋。ここに三分の一ほどの人数が入っていたが、皆「映す価値無しじゃなくて良かった」と胸をなでおろしている。

     SHOTAの姿は見えていないがテロップで「自信満々な顔をしている」とだけ書かれていた。


    『さあ、残るは映す価値無しの部屋と正解の部屋』


     司会の手が扉に再びかけられる。Cの部屋では殆どの人が入っていて、皆必死に祈りを捧げていた。良かったですね、その祈り届きますよ。

     そして、また一瞬の間を置いて……



    Bの扉が開けられた。



     映す価値無しとなっていたショータの姿が映り、彼が立ち上がって司会と握手をするために手を伸ばしたところで司会の動きが止まる。


    『美味かったんよな?』

    『え……はい』

    『こんな肉食べたことなかったんよな?』

    「無言でうなずくな」

    「やばい捨てられた犬みたいな顔してる」

    「泣くなショータ~」

    『そぉれはちょっとヤバイな』

    『え、いや、ちょ』

    『オールマイトに美味しいご飯連れてってもらうんやぞ』

    『嘘だろ!?』

  • 33125/01/12(日) 22:38:14

    >>32

     ガチの悲鳴が出て、またボフンと音を立ててショータの姿が消えた。Bの部屋が閉じられてCの部屋が開けられる。

     Cの部屋がすごい喜んでいるけど俺らとしては映らなくなったショータの方が心配だった。アイツあんな悲しそうな顔するんだ。


    「え、ショータ大丈夫?」

    「なんかガチ泣きしそうな顔してなかった?」

    「見たことない顔してましたね」

    「あ、戻ってきた戻ってきた」


     正解者たちがスタジオに戻ってから、ワイプで画面外を移動しているショータが映し出されている。真っ青な顔は今まで見たことあるようなものではなくて、思わず胸がぎゅってなった。

     スタジオ外でパイプ椅子に座ってるオールマイトを見つけると、小走りになって駆け寄って奇麗に土下座をする。それをオールマイトが「大丈夫だから」と言って立たせてあげていた。


    「え、え、本当に大丈夫か?」

    「カメラ見えてないけどこれ泣いてない?」

    「あ゙ー、今マイクに泣き声入った」

    「わー、泣かないで泣かないで」


     ショータがガチ泣きしてるという事実を受け止められなくて事務所が騒がしくなる。さっきまで馬鹿舌だのなんだの言っていたがそんなこと吹っ飛んでしまった。

     スタジオの人たちがトークをしつつ何人かが心配そうに画面の外を見ていた。

  • 34125/01/12(日) 22:39:39

    >>33


     ‡


    「あわわわわわ」

    「これガチ泣きじゃねえか?」

    『す、みませ』

    『謝らなくていいよ、とても貴重な体験で楽しかったし。ただ今度一緒にご飯行こうな』

    『ゔ、ぁ、はい』


     涙を一度拭うとそこにはいつも通り精悍な顔つきのSHOTAが居た。だが、どう見ても泣いた後だとわかる目の赤みに胸が締め付けられる。俺は疾患あるんだぞ、もうちょい心臓に優しい顔しろ。


    『一番美味しいと思ったものを選んでくれたんだろう?』

    『っ、は、い』

    『それが一番さ。君が自信満々にこれ美味しい! って言ってるのを見て私も嬉しくなったんだぜ』

    『オールマイトさん……』

    『だからね、気にしなくて良い。若い子が美味しいもの食べて美味しいって笑顔でいてくれるのがおじさんには何より嬉しいことだからな』

    『オールマイトはおじさんじゃないです……』

    『ははっ! 嬉しいねえ』


     オールマイトに優しく抱きしめられると、カメラの角度で見えないが肩から緊張が抜けちまったみたいだった。

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:44:05

    小動物みたいで可愛いの気持ちと可哀想な気持ちでぐちゃぐちゃだよ

  • 36二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:46:07

    16歳のクソ生意気な子供が憧れのヒーローの前で泣いちゃうの可愛い
    こんなんファン大興奮だろ

  • 37125/01/12(日) 22:46:48

    >>34

    「まあこのくらいの年の子だったらこれが普通よねえ」

    「オールマイトを画面から消すってだいぶ心にきちゃうわよね……」


     自分が子供の頃はどうだったかと思ったが、敵連合に捕まっても心臓爆破されても泣くことはなかったけど、自分がオールマイトを終わらせちまったってわかった時は死ぬほど絶望した。

     こいつも似たような気持ちなのかな。そう思うと同時に別の思考が頭の中に入ってくる。


     ──こういうとこ、先生には似てねえな


     やっぱり彼はあの担任とは別人なのだと思い知らされる。最初から分かっていたことで、今は彼個人を推している身としては別にどうでも良いのだけれど。

     ただ、ああやっぱりそうなのだな、と思う自分が居ることがどこか腹立たしかった。


    「次の現場で喝入れてやるわ」

    「やっかいおじさんじゃん、やめなよかっちゃん」

    「ンだゴラ、プロがカメラの前でメソメソするもんじゃねえだろ」

    「また「正論さえ言えば自分の意見が通ると思っているの痛いおじさんですよ」って真正面から言われるよ」

    「あはははは! 勝己あんたそんなこと言われたの!?」

    「じゃかあしかぁ!」

  • 38125/01/12(日) 22:47:50

    >>37

     黒歴史を掘り返されて思わず叫ぶ。アイツも正論さえ言えばいいと思ってるタイプだからな、ブーメランだぞ。

     だがまあ、年始一発目の現場は幸いにも非番だ。あいつも番組の反応に怯えてるだろうし、あまり普段のノリで行かない方が良いだろう。

     いつの間にかエンディングに入り、番組が終わる。SNSを弄っていた出久が声を出した。


    「あ」

    「どした」

    「SHOTAくん結構平気みたい」

    「なにが?」


     差し出された携帯の画面を見て右手の爆破が起動した。幸い携帯にも家具にも傷はついていないが、身の内から湧き上がる苛立ちとほんの少しの安堵感が脳に到達する。


    「あンのクソガキ……!」

    「あはは、いつも通りで良かったね」

    「俺だってまだ二人で飯行ったことねえんだぞ!」

    「それはかっちゃんが恥ずかしがって誘われたがらないからだろ」


     映し出されていたのは、元旦でもやっているレストランへ飯に行ったことを報告するインソタの投稿。メンバーには「家族と過ごす」と嘘をついていたことの詫びも書かれていた。

     投稿文は「美味しいご飯を教えていただきました」、写真はオールマイトとのツーショット。

     コイツ、現場行ったら覚えとけよ……!

     そうは思うも、ぎこちないアイドルスマイルとオールマイトのファンサ全開な笑みを見たら少しだけ心配していた心が落ち着いた。

  • 39125/01/12(日) 22:52:48

    >>38


     ‡


     オールマイトの運転する助手席で眠るわけにはいかない。健康的な体が睡眠を欲するのをどうにか阻止して、高速を走る車のフロントガラスを見つめた。


    「今日はありがとう、ご両親と一緒に居たかっただろうに」

    「いいえ。両親からも是非行ってきなさいと言われましたし、オールマイトさんとご飯に行けて楽しかったです」


     あのあと、オールマイト行きつけの店が元旦だけ特別営業をするということでご飯に誘われた。あんなことがあった以上こちらが拒否をするという選択肢はなく、有難くご馳走してもらうことになった。

     超がいくつ付くかわからない高級店の牛肉は口の中で解けて正直味なんてよくわからない。そんな顔をしていたらオールマイトが「実は私も庶民出身だからね、あんまり味はわからないのさ」と耳打ちをしてくれた。

     それが少し、心の痛みを和らげた。


    「今の時間はもう放送が終わってる頃合いかな」

    「そうですね、メンバーから偉い数の連絡が来ているので……」


     俺の声が淀むと「次は頑張ろうな」と声をかけられる。「はい」と答えるが正直次は欲しくなかった。


    「それにしても君が泣くのは意外だったな」

    「そう……ですか」

  • 40125/01/12(日) 22:58:36

    >>39

     それに関しては俺も同じ意見だった。

     相澤消太であった時は親友が死んでも涙を流すことはなかった。ドライアイだから涙の総量自体が減っていたこともあるだろうけど。

     涙とは結構無縁の生活を送っていて、表情筋も死んでいた。だからこの体で生活をしても涙を流す経験は本当に少なくて、あの時しゃくりあげながら泣いてしまったのは誤算だった。

     オールマイトがスタジオの裏でポツンとパイプ椅子に座ってるのを見たら、何故か知らないが泣けてしまったのだ。


    「……本当に、プロとして失格なことをしてしまいました」

    「そうかな? ああいう年相応なところを見せるのも君の仕事だと思うぜ」

    「オールマイトさんは俺に甘すぎます」

    「気に入ってる子は甘やかしたくなるもんさ」


     嘘つけ。

     貴方が緑谷に案外スパルタだったのを俺は知ってる。優しいけれど甘いわけじゃない貴方は、相手と話すとき必ず相手を対等に見る。

     俺はきっと、対等にすらなれていないから、こんなにも甘く優しくしてもらっているのだろう。情けなさが余計に募った。

  • 41125/01/12(日) 22:59:25

    >>40

    「昨日はカウントダウンのコンサートで徹夜だったんだろう? まだ眠いんじゃないのかい」

    「いや、そんなことは」

    「マネージャーさんから予定表貰ったけど睡眠時間一時間も取れてないだろ、寝てて良いよ」


     こんな状況で寝れる物か。

     そう言ってみるが、オールマイトは運転しつつ笑みを浮かべるばかりだ。元旦の高速道路は空いているが、移動距離を考えるとまだ到着には時間がかかる。

     この人は結構頑固者だ。

     自分の知らない知識に関してはかなり柔軟な対応を見せるが、こと自分の得意分野だと柔和な態度をしつつ絶対に譲歩しない。だからこそ前世ではだいぶウマが合わなかったわけだが。


    「……わかりました。じゃあ、着いたら起こしてください」

    「任せな!」

    「絶対に親に寝たとこ見せないでくださいね」

    「HAHAHA、承知した!」


     あんな放送をされて、しかも助手席で寝こけていたら厳しい両親に何と言われるかわからない。ただでさえ二人はオールマイト世代なのだから。

     目を閉じるとすぐに睡魔がやってくる。

     二秒で寝れる特技は未だに健在で、すぐに暗闇の底に思考が落ちて行った。

  • 42125/01/12(日) 23:01:01

    >>41


     ‡


     すぐに聞こえてきた寝息に驚くことはなかった。完全に彼が眠ったのを確認して、私の頬は緩む。


     彼が相澤消太の生まれ変わりであることに気付いたのは、ほんの些細なことがきっかけだった。


     最近の情勢を把握するためにネットニュースを流し見していると、DD9と呼ばれるアイドルグループから脱退した四人が新たにグループを作り、そこに新メンバーを募集するというニュースが目に留まった。

     いつもならばあまり興味のないニュースだったけど、所謂サバイバルオーディションと呼ばれるジャンルは最近かなり流行りとなっていて、全然アイドルに興味のない人でも知っていることが多い。

     ここは話題の為にきちんと見ておくべきか、と見たことが始まりだった。


     ──そこで、彼を見つけた。


     一目見た時に感じたのは違和感。そして、踊ったり喋ったりする彼を見て、次第にその違和感が既視感に変わっていった。

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:01:44

    オルマイ気づいてたの!?

  • 44125/01/12(日) 23:04:45

    >>42

     その既視感の正体は、十四年前に死んだ私の先輩でもある教師だった。最初はただの勘違いだろうと思ったが、それで済ませられるような体の動かし方ではないことは明白だった。

     彼は長いこと一人アングラで活動していたせいかかなり体の動かし方に癖があった。それは一朝一夕で身に付くものではないし、同時に簡単に消し去れるものでもない。

     流行りのヒーローならば動きをまねした可能性もあるが、相澤くんの戦闘データはどこにも残っていない、彼の関係者であることは間違いなかった。


     ──最初は隠し子を疑ったんだったか


     もし相澤消太の子供が居たのなら、それはそれでいいと思う。だが、あの葬式で泣きくれていたお母様がそんなことを知っているとも思えず、つい調べてしまった。

     何か変な事件に巻き込まれていやしないかと。

     けれどどれだけ調べても出てくるのは無関係の証拠ばかりで。流石に自分の勘が鈍ったかと思いかけていた矢先、炎上騒ぎの発端となる動画が出てきた。


     ──あれを見て、私は君が『相澤消太の生まれ変わりじゃないか』と推測した。


     荒唐無稽な話だ。

  • 45125/01/12(日) 23:05:59

    >>44

     だがそれほどに、彼の考え方は相澤消太と似ていた。同じだったと言っても良い。所々少年らしさが垣間見えるところもあったが、素でいるほどにあの冷静沈着で合理性の塊な彼の存在が目立っていった。

     また、いくつか意図的に考えの違う人間を演じようとしている部分も見受けられた。そう言う仕草を見るたびに、彼である確信が芽生えていった。


     ──最終的に確信できたのは、マイクと一緒にご飯に良く彼を見た時だったか


     マイクは、彼のキャラクターから想像もできないくらい身内判定が厳しい人だ。いまだに私は彼にとって身内の数に数えてもらえてない。まあ私は秘密主義だし彼ともそんなに話す機会がなかったから当然ともいえるけど。

     そんな彼が、頻繁にSHOTAとご飯を食べ、プライベートの家にまで招き入れていることを知った時、やっと確信が持てた。

     そしてはじめて彼と会ったあの日渡された、三十五年前のオールマイトカード。


    「……君が、私に憧れてくれていたのは飲み会で気づいていたのにね」


     きっと自分の遺品から持ってきてくれたのだろうことが分かって嬉しかった。本当に、心の底から。

  • 46二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:07:44

    うわぁ…わぁ…

  • 47125/01/12(日) 23:07:53

    >>45

     相澤消太であることが分かったからと言って、私が特別前世の彼を求めて行動することはなかった。

     ただ彼は、プロヒーローであると同時に私に教師としての世界や教え方を背中で教えてくれた尊敬する大事な先輩だ。

     私がどうせ先に死ぬだろうから、その時は彼に喪主をしてもらいたいなあと思っていたくらいだ。緑谷少年には荷が重いし、塚内くんは仲が良かった自覚があるから葬式では何も気負わず泣いてほしかった。

     だというのに、先に逝かれてしまった。真っ黒な葬式会場で多くの人から悼まれる彼を見て、同業の死もかけがえのない友の死もたくさん見て来たのにそれらとは違うぽっかりとした穴が開いたのがわかった。

     ああこれは、師匠が死んだときと同じ気持ちだ。

     私は知らずの内に、彼を対等なヒーローではなく自分の少し上の位置に置いていたのだ。

     もっと生きる君が見たかった。

     そんな、願う事すら傲慢な思いが知らずの内に胸に蔓延った。彼を見つけたのは、そんな思いが少しずつ融解して思い出の一つになろうとしていた頃のことだった。


    「今度は、ちゃんと見させてくれよ」


     この命の保証がされない世界で、自分の寿命ギリギリまで彼の活躍を見届けたい。

     教育者の後輩であるオールマイトではなく、ただの人生の先輩として。

  • 48125/01/12(日) 23:09:13

    >>47




    「君が生きている、それだけで私の背中は押されるんだぜ」



    .

  • 49二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:10:37

    その言葉ここで言うのはずるいよ……泣いちゃうじゃん………

  • 50二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:11:14

    おかしい…俺は格付けパロをゲラゲラ笑いながら見ていたはずなのに今泣いてる…

  • 51125/01/12(日) 23:11:47

    >>48

     君がいつかかけてくれた言葉を、眠る君へとかける。

     気付かなくていい、知らなくていい。私は君の人生でそんな多くの役を貰えなくていい。

     どうか、幸せに生きてほしい。願いはそれだけだった。

     その願いをかなえることがどれだけ大変か私たちはわかっているから、手を差し伸べずにはいられないんだ。


    「だから、助けが必要だったらいつでも呼んでくれよ」


     もう筋骨隆々な私はいなくても、必ず飛んでいくから。

     ガラガラの高速道路を飛ばして、帰路を急ぐ。

  • 52125/01/12(日) 23:14:28

    >>51

    以上です!お付き合いいただきありがとうございました

    最後までオルマイが気付いてるかどうか悩んだけどこの着地になりました

    オルマイは生きるということがどれだけ大変かを知っているのできっとまた出会えた喜びより今度こそはどうか幸せな人生を全うしてほしいと思っているだろうなと


    そしてそのためには過去の人間関係は出来るだけすっきりしていた方が良いだろうとも思っていそう

    あまり自分から関わることはないけど助言とか求められるとガチですっ飛んでくるのでテレビ業界はオルマイお気に入りのSHOTAくんにあんまり失礼なことが言えなくなっていく

  • 53二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:18:36

    途中までゲラゲラ笑ってたのに最後のオルマイの独白で泣いちゃったよ
    自力で先生に気付けたの流石元No.1
    本当にかっこいいよオールマイト

  • 54二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:24:08

    最高だったよスレ主
    自信満々で消し飛ばすSHOTAも自分のやらかしに年相応に泣いちゃったSHOTAもすごい微笑ましくて可愛かった
    転生した先生に普通に関わるマイクと遠くから見守るオールマイト、2人とも違う姿勢だけどそれぞれの良さがあっていいな

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:28:40

    緩急の付け方がえぐくてずっと泣いてる

    途中までSHOTA可愛い~格付けパロ楽しい~って笑ってたのに


    >私は君の人生でそんな多くの役を貰えなくていい。

    >どうか、幸せに生きてほしい。願いはそれだけだった。


    ここオルマイの優しさ溢れててやばい

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:29:52

    既にマイクと特訓した結果のこれなんだよなと思うとジワジワと笑いがきたわ
    あとメンバーが集まって心配そうに見守ってるのもすごいいいなって思った
    最後のオールマイトには痺れたよ

  • 57二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:37:32

    スレ主転生ってギミックを使うのがうますぎないか?
    ドルパロの旨さも死ネタの切なさも共存してるのヤバい

  • 58二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:43:10

    スレ主が書いてくれるからこそのssであることはわかってんだけど…!わかってんだけど…!
    この興奮をここ以外で話せねえのつれえよ…!あまりにも話が良すぎる

  • 59二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:49:00

    オールマイトが気付いてたってことを知った上で指名されたとこからss読み返すと泣きそうになるな
    SHOTAが素直にサインねだってるとことそれに応えて自分もサインもらうオールマイト見てすごい優しい気持ちになってる

  • 60二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:50:36

    文章の緩急が上手いんよ…!
    自信満々なSHOTAくんにニコニコしてたのに
    オルマイの独白で泣いちゃった

    どうすんだよSHOTAくん将来大御所2人の喪主になっちゃうぞ…
    いやオルマイは相澤先生に頼む予定だっただけで
    SHOTAくんには頼まないかもだけど

  • 61二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:04:08

    オルマイ
    ・相澤先生に喪主になってほしかった
    ・SHOTAのことを遠くから見守りたいけどいざとなれば飛んでくる
    ・それはそれとして元旦の特別な日にご飯を奢るため車を出す

    マイク
    ・SHOTAに喪主になってほしい
    ・SHOTAを近くから支えてる
    ・相澤の遺品を保管している

    対比がいいなあと思ったけどこれもしかして超級のセコムが2人になったってことですか?

  • 62二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 08:22:44

    一作目の時も思ったけどスレ主死ネタの切なさ描くの上手すぎて本当に心臓ギュンってなる
    格付けはテレビの前で見守ってた人達と一緒に一喜一憂できて楽しかった!

  • 63二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:01:53

    よーし朝からいっちょ大笑いするかと思ったらなんか泣いてたんだ……スレ主話書くの上手いね……

  • 64二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:10:04

    SHOTAくん美味しいの幅が広いだけで味の違いはわかるなら、高級肉も分かってたんじゃない?
    多分アライグマの美味しさにテンションあがっちゃって美味しい牛肉じゃなくて美味しい肉を選んだんじゃ…

  • 65二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 10:37:12

    かっちゃんがファン仕草するのも心臓痛くなるのも耳郎ちゃんが大爆笑するのも親に説明するのがデクなのもオルマイの聖人ぶりもSHOTAの年相応なところも全部可愛い〜ってなるんだけど

    ところどころでお出しされる相澤先生はもう死んでるという事実に胸が苦しくなる…

  • 66125/01/13(月) 16:59:26

    ただいま
    感想もらいすぎてて返せねえ!
    反応たくさんもらえて嬉しい!
    ありがとうめちゃくちゃ嬉しい!ありがとう!

    今日はねまだドル澤の熱が強いから
    BL映画(PG15)の男を誑かす魔性の少年役に抜擢されたドル澤を書くつもりだよ

  • 67二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:27:17

    今回のドル澤も楽しみ!
    未成年相手にそんな仕事とってきて大丈夫かマネージャー
    また彰からの風当たり強くなるぞ

  • 68二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:44:29

    やったあドル澤だ〜!って思ってたら内容見て変な声でた
    未成年がそんな仕事受けて大丈夫??っていう心配と映画を見た人間の反応がものすごく気になるっていう2つの心がある

  • 69125/01/13(月) 19:57:14

     ニュースサイトに踊る文字を見てショータは目を逸らす。携帯の画面を見せてきた男は不機嫌な表情を隠さないまま舌打ちをした。

    「絶対にやめとけよ」
    「……わかってる」
    「お前まさか受ける気じゃねえだろな?」
    「受ける気はない、でもなんていうか……断る言葉をまだ探してる」
    「はぁ?」

     いつになく攻撃的なマイクが顔を顰める。
     彼の言い分はよくわかる、もし自分が彼の立場だったら同じようなことを言っていただろう。
     煌々と光る画面には「宇津木監督、SHOTAへ熱烈オファー!」の文字。

    「宇津木監督つったらそりゃ良い映画を撮るよ。コアなマニア向けって揶揄する奴らもいるけどな、一般的な評価は海外でも高い評価を貰ってる名監督だ」

     だがな、とマイクは続けた。

    「あの人が撮るのはいつも過激な絵面だ。今回の実写映画だってそう。原作が原作だろうが、アイドルでしかも未成年のお前が出るような作品じゃない」
    「だからわかってるって」
    「お前案外押しに弱いだろうが。大体マネージャーは何してんだよ」

  • 70125/01/13(月) 19:57:35

    >>69

     ショータは手元にあったオレンジジュースを飲んで目を逸らす。こうなるから今日はマイクの家に来たくなかったのに、仕事先の帰宅時を狙われたせいで家まで連行された。

     既にこの家にはショータの服や生活用品がある程度置いてあり、家族もマイクならばと泊まることを気にしない。気にするどころか、仕事が終わる時間が不定期な以上わざわざ家に帰るより信頼できるヒーローの元に居た方が良いと泊まりを推奨する有り様だ。

     ここで駄々をこねた場合マイクに児ポの疑いがかけられてしまうし、そうなったらこの快適な居候生活がなくなってしまう。相澤はいつも通り笑みを浮かべてマイクの家に喜んで来た体になっていた。


    「マネさんも断るって言ってる。だけどうちは弱小事務所だし、今は宇津木監督が直で俺にオファーをしてる感じだな」

    「それやべえだろ、知り合いの事務所から圧力かけさせるか?」

    「やべえもんか?」

    「まず事務所通さねえこと自体が業界的にルール違反だけどよ、何より拒否権のない新人アイドル、しかも未成年にPG15の映画主演を直で頼んでくるなんてコンプライアンスも真っ青だ」

  • 71125/01/13(月) 19:57:56

    >>70

     未成年、と言われてショータは少しむず痒くなる。この体になってから自覚はしていたが、体感としては四十五年生きているおっさんだ。体に多少感覚が引っ張られるとはいえ自分の自意識が未成年であるという自覚はあまりない。

     だがたしかに、自分が教師時代生徒にそんなことを言う輩が居れば真っ先に警察に通報していたことは想像に難くなかった。


    「……悪い、そこまで意識まわってなかった」

    「ダロ、俺の方から影響力ある大御所に連絡して事務所通せって圧かけっから。そんでちゃんと第三者が居る場所でしっかり断れ、良いな」

    「……」

    「おい」

    「それ、なんだが」


     ショータの言葉は歯切れが悪い。

     元々言葉で表現することがあまり得意ではない彼は、特に自分の意志を表示する時口ごもる。相澤消太の時でさえ生徒を導くという名目がある際はキビキビと動けるものの、自分の為に判断をすることが苦手でマイクの判断に便乗することがあった。

     その悪いところが出ている。


    「……何」

  • 72125/01/13(月) 19:58:28

    >>71

     だから、マイクはここで辛抱強く待ってやる必要がある。先日の格付けチェックで泣いてしまった彼を見てから、体に引っ張られる割合が考えているよりも多いことは明白だ。あまり追いつめたくはなかった。

     マイクの剣呑ながらもじっとした態度に相澤は視線をさ迷わせ、口を開く。


    「マイクは、この原作読んだことあるか?」

    「ないケド」

    「一応話が来てから俺は読んだ」


     ショータはぽつりぽつりと話し始める。明確な言葉を避けるためではなく、自分の心を整理するように。


    「最初は俺も、AV未満の色物映画に出るわけねえだろって思ってた。だけどあの人が……監督があんまりにも必死だったから、ならせめて原作を読んだ方が良いって思って」

    「……」

    「そうしたら、主人公の境遇が……俺と重なりはしないんだけど、でも、多分前世の都合をしらない人から見た『SHOTA』はきっと、こう映ってるんだって、そう、思って」

    「それで絆されちまったって?」

    「断ることは決めてる。流石にここでキャリアに傷をつけるわけにはいかねえし、この原作を肯定することは……俺には出来ない」

  • 73125/01/13(月) 19:58:53

    >>72

     だけど、と彼は続けた。


    「同じくらい、俺に頼みたいって思っている気持ちもわかる。だから、どう言って断ることが一番誠実なのかを考えてる」


     原作を肯定することはできないが断るには誠実な対応をしたい。マイクにとったは難解な言葉だった。

     彼が確りとした目でそう言う物だから、マイクもそれ以上は言えなくなってしまう。


    「……とりあえず、事務所には掛け合っておくからな」

    「それは助かる、有難う」

    「本当に無理やりキャスティングされそうになったら言えよ」

    「……いつもお前には助けられたばっかだな」

    「おうそうだ、腐れ縁様に感謝しとけ」


     マイクはそう言って手に持ったショータと同じオレンジジュースを飲みほした。オレンジの酸味が喉に引っかかって、やっぱりリンゴの方が良かったかなあ、なんてどうでも良いことを思っていた。

  • 74125/01/13(月) 19:59:12

    >>73


     ‡


     ショータが家に入り浸るようになってからいろんなものが増えた。今彼が寝ているマットレスもそのうちの一つだ。流石にもう寝袋で寝ていないよな? と聞いた記憶も今では随分古く感じる。

     幼い彼の寝息が聞こえて、マイクは残った仕事を片付けるために起き上がる。静かに自室の扉を開くとPCを立ち上げて次の企画の資料を作った。その作業が案外早く終わってしまうと、気になったのは昼間のショータの言動だった。


    「……」


     つい、電子書籍アプリを立ち上げる。一冊で完結する話のそれは七百円程度で買えた。昔から本を読むのは早い方だった、時間を確認して読了時間を逆算する。

     今から読めば恐らく二時には読み終えることが出来るだろう、三時間は寝れる計算だ。

     ページを開いて、老眼が始まりかけた目を細める。

  • 75125/01/13(月) 20:02:50

    >>74


    膿の底へ続く道


    主人公・船頭海(せんどう かい)は東京でやり手の不動産屋だったが、仕事の最中“個性”使用を疑われてしまい信用を失って地元に戻り漁師となる。

    仕事も人間関係も上手くいかない彼の前に現れたのは、高齢化が進む島には珍しい少年だった。少年は自分を「貝」と名乗りお揃いの名前だと喜んでくれた。

    仕事終わりに彼と会うことが唯一の楽しみとなっていた海は、ある日貝が島の男と外で致しているところを目撃してしまう。

    激昂した海は「じゃあ俺も抱かせてくれよ」と貝に縋りつくが、貝はそれを拒否した。金ならいくらでもあると彼を説得するが、それでも貝は首を縦に振らない。

    そのまま姿を消した貝だが、それでもまだ島の男と関係を持っていることは狭い島内では有名な事だった。

    次第に彼に救われ、狂わされた男たちが貝を殺すことを考え始める。しかしそれは地獄への入り口でしかなく……

  • 76125/01/13(月) 20:03:09

    >>75

     最後まで読んで、マイクは携帯の電源を落とした。時間は既に六時を回っていた、三回読み直してしまったせいだ。


    「あ゙ー……」


     眉間をもみほぐして、天井を仰ぐ。胸のうちに去来する感情に折り合いをつけることができない。


     ──この原作を肯定することは……俺には出来ない


     思い起こすのはクソがいくつ付くかわからない真面目な彼の表情だ。


     ──同じくらい、俺に頼みたいって思っている気持ちもわかる


     マイクに向かって吐いたあの言葉が、今重しのように心にのしかかっていた。


    「そういうことかよ」


     誰も聞いていない言葉を吐きだして、少しでも心を軽くするために呼吸をする。歳のせいか、それとも教師という生き様を選んだせいか、視界を暗くすることしか自分の感情を宥める方法が見つからなかった。

  • 77125/01/13(月) 20:03:38

    >>76

    一旦ここまで!

    23時くらいに続き投げに来るよ~

  • 78二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:12:04

    ちゃんと抑止力になってくれる大人がいてよかった!って気持ちとちょっと映画の内容が気になり始めた自分がいる
    続きがめっちゃ気になる

  • 79125/01/13(月) 23:01:01

    >>76

     ‡


     最近人が頭を下げる光景を目にすることが多い気がする。芸能界とは年下の方が頭を下げる場所ではないのだろうか。

     SHOTAは冴えない中年男性の風体をする男に「良いから頭をあげてください」と前と同じようなことを言った。暫くしてから男性は上体を起こし、頭にかいた汗をハンカチで拭う。寂しい頭部だった。


    「いやすまない。これといった役者を見るとどうしても歯止めがかからなくなってしまって」

    「こうしてお話しできる機会を与えていただいたのだし、俺は問題ありませんよ」


     宇津木見津葉。

     社会派作品を世に幾つも送り出している実力派の映画監督だ。興行収入は振るわないものの見た人の心をつかみ、海外賞にノミネートされたこともある。

     今回問題を起こした張本人であり、今SHOTAがアプローチを受けているその人だった。


    「それで、話は考えてくれたかい?」

    「はい。今日はその返答を」


     SHOTAは背筋を正した。まっすぐにこちらを見つめる男性の目を同じように見て、それを下方へと移動させる。そのまま頭をゆっくりと下げ、先ほど見た男性と同じ体勢を取った。

  • 80125/01/13(月) 23:01:39

    >>79

    「お断りさせていただきます」


     しっかりとした言葉で言い放つと、一瞬頭上で空白の時間が出来た。そのあと深い深いため息の音が聞こえ、ソファに凭れ掛かる音がした。

     SHOTAは体を起こす。そこには失意に暮れる冴えない男がいた。


    「……理由を聞いても?」

    「俺はこの原作を肯定することが出来ません」

    「イメージに傷がつくから、とかではないんだね」

    「それも勿論あります。ですが一番の理由は、この原作を実写として世に出したくないからです」


     部屋にはSHOTAの希望により他の人はいなかった。途中までマネージャーが渋っていたが、マイクが説得をしてくれた。


    『あいつの口から、話させてやってください』


     マネージャーに第三者を同席させるべきだと強く言われた、それは正しいことだと思うし自分が同じ立場ならたとえ泣かれようが大人をもう一人ここに置いただろう。

     だがマイクはSHOTAの意見を汲んでくれて、間に入ってくれた。他の大人が入る隙を与えないでくれた。


     ──……ありがとう


     いつも、アイツには世話になってばかりだ。


     ここから話すのはSHOTAではなく相澤消太としての言葉だ。他の誰にも聞かせたくはない。

  • 81125/01/13(月) 23:02:18

    >>80

    「実写で出したくない?」

    「はい」

    「どういうことだろう」

    「……この話の『貝』は、序盤から中盤にかけて島の男たちを手玉にとり、誑かし、体の関係に発展しようとしたら焦らすように逃げる魔性として描かれています」


     十七歳の少年『貝』

     彼は中盤まで謎だらけの存在だった。所謂オムファタールの概念として描かれているのではとも疑った。


    「でも、終盤からその考えは覆される」


     『貝』は大人たちから殺されそうになった時「やめて」「助けて」「怖い」と泣いた。子供が大人に縋るように、悲鳴を上げて震えあがっていた。

     結局彼は殺されてしまい、その死体すら男たちによって汚された。息絶えた彼の白い体は島には不似合いで月光に照らされたそこは舞台のようだと記されていた。

     ……そう、舞台だった。人々は『貝』という人物に物語を見出していた。

     『貝』が死んでから島はもっとおかしくなった。

     みんな見ていた『貝』の人格が違うのだ。ある者は海のように魔性を見出し、ある者は自分の死んだ子供の代わりのように振舞っていると言い出した。

  • 82125/01/13(月) 23:02:55

    >>81

     そして、彼の過去が空かされていく。


    「『貝』は自然派に傾倒した親のせいで都会から島に引っ越してきた高校生です。島に高校は無く、仕事をすることを余儀なくされました。彼はずっと寂しかった、友達が欲しかった」


     けれど同年代の人など女も男もいない。

     だから、せめて同性の人と話がしたかった。船で休んでいる男の人の元へ遊びに行き、この島のことを教えてもらって話をした。『貝』はそれでよかった。

     だが、都会からやってきた洗練され中性的な『貝』は、娯楽のない島の男たちにとっては劇薬だった。皆好き勝手な人物像を彼に当てはめて、勝手に人格を想像した。


    「友達が出来たと浮かれていた『貝』に、ある日悲劇が起こる……それが、『海』が見た性行為、あれはレイプだった。『貝』は途端に島の人間が信じられなくなり、狭い島の中を逃げ回って殺された」


     勝手に理想を押し付けられ、蹂躙され、人生丸ごとすべて奪われた少年。それが『貝』だった。

     彼の人生を訥々と語ってから、相澤消太は再度宇津木を見た。

  • 83125/01/13(月) 23:14:17

    >>82

    「この話の気持ち悪いところは最後だ。『海』は彼を殺してしまったことを悔やみ服役を終えた後島に戻ってくる。そしてその時のことを島のみんなにこういうんだ」


     あまりにも悍ましい最期を思い出して、相澤の顔が顰められた。


    「俺は恋人を殺した、罪深い男だ。どうか今日は全部忘れるために酒をくれ」


     言葉を引き継いだのは宇津木だった。

     無表情の顔がこちらを見ている。


    「『海』は結局、自分の好きなように『貝』を捻じ曲げた。どれだけ伝える努力をしても相手が捻じ曲げたら意味がない。愛の無情と、思い込みと人間の恐ろしさ、謎が紐解かれるほどに増していく『海』という人間の悍ましさ。それがこの話のキモだ」


     先ほどまでの頭を下げていた男はいない。狡猾な蛇のように目を細めてこちらを見る映画監督に、けれど相澤は視線を強く返す。

     彼はそれを笑って流した。


    「だから、俺を選んだんですよね」

    「ああそうだ」

    「俺が、世間から好き勝手に捻じ曲げられ、貶められるような生き方をしているから」

  • 84125/01/13(月) 23:17:11

    >>83

    「そう。君はいつか『貝』のようになるだろう。だからこそ、その前にこの映画で君を撮りたい」


     嫌味の言葉ではなかった。

     この男は純粋に、映画の一部としてSHOTAを欲している。芸能界で生きてきたならば多かれ少なかれ、世間に人物像を捻じ曲げられた人ばかりだろうが、彼らの殆どはSHOTAが持っているものを持っていない。


    「……俺が若いからですよね」

    「そうだ。君が若いから。私は『貝』のキモは少年であることだと思っている。聖人であってはダメなんだ、未成年で、これから先夢や希望が待っている、そういう人物でなければこの役を演じるには足りないんだよ」


     臆することなく彼は言う。未成年の役を成人の役者がやるようになって久しいが、彼はそれでは不満足なのだろう。

     それに関しては相澤も同意だった。この話は未成年でなければ話の全てを表すことができない。SHOTAという人物は、大した後ろ盾もなく売り出し中でこれ以上なく使い勝手とイメージの合う人物だったのだろう。

     だからこそ、相澤はここで自分を守らなければいけない。首を緩く横に振った。


    「これは、救われない少年の話でもあるでしょう」


     当たり前のことを言えば、宇津木は酷く驚いた顔をした。

  • 85125/01/13(月) 23:20:05

    >>84

     当たり前のことを言えば、宇津木は酷く驚いた顔をした。


    「それが……ああ、君は、それが嫌なのか」


     そして、ひどく落胆したような顔をされる。


    「所謂ハピエン主義ってやつかい?」

    「バッドエンドの良さを否定しませんよ。ただ、これを人間が演じるという一点については同意できません」

    「そこが引っ掛かるな。何故?」


     最初から言っている「実写にしたくない」の意図を彼は理解しかねている。きっとフィクションの世界を撮ることに命を懸けた人にはわからないだろうことを、相澤は言葉を尽くして伝えるしかなかった。


    「実写とは、一番現実に近いフィクションだと俺は思っています」


     彼は目を細めた。まるで合格を出すような嫌らしさで。


    「そうだね、その通りだ。だからこそ一番人に近い物で演じる必要性がある」

    「そこには同意します。ですが、現実に近いからこそ俺は人の取り扱いを間違えてはいけないのだと思うんです」

    「取り扱い?」

    「この場合は未成年の取り扱い、でしょうか」


     宇津木の目が少しばかり探りを入れる色合いになった。きっとおかしなものが映っているだろう。目の前に居るのは十六歳の少年なのに、言っていることがまるで大人のようなのだから。

  • 86125/01/13(月) 23:27:39

    >>85

     彼はその違和感をたまらず口に出した。


    「君、教師とかやってた?」

    「そういう役ならいつかいただきたいですね」


     はぐらかして、本心には付け入らせない。

     SHOTAを守れるのは相澤だけだった。そうしてほしいと、自分の口で伝えさせてほしいと願ったのは相澤だ。再度頭の中でマイクに頭を下げる。

     この状況を作ってくれたことに感謝を。


    「人が演じる映画は人の心を動かします。それは良い方にも、悪い方にも。悪い方に動かす映画が全部悪いわけじゃないけれど、俺はこの映画を見た後に子供たちが絶望を抱かないとは言えません」


     憧れの同年代のアイドルが出演しているから見ようと映画館に足を運んだ子供たちが、その無残な有り様に涙を流してほしくない。表現の自由の名のもとに心に傷を負ってほしくない。

     それは表現をするSHOTAの願いであり、その願いを受け取った相澤消太の弁明だった。


    「アイドルは夢を与える仕事です。表現の為と言ってファンを傷つけるとわかっている映画の実写を演じるわけにはいきません」

  • 87125/01/13(月) 23:28:14

    >>86

     再度、深く頭を下げる。

     今度は長い沈黙が流れた。

     何分くらいこうしていただろうか、頭上でため息が聞こえた。


    「あーあ、君みたいな売れたがりの子だったら押せば受けてくれると思ったんだけどな」

    「……」

    「頭上げて良いよ。ここまでしっかりしてるとは想定外だ。しかもちゃんと後ろ盾を得てるしねえ、まさか君にあの大手監督とのコネがあるとは思わなかったよ」

    「あれは……ええ、気を利かせてくれた人が居て」


     マイクの伝手が無ければこうして面と向かって拒絶することも出来なかっただろうし、きっと今よりひどい嫌がらせを受けていたことだろう。

     そうでなくても、彼や彼と仲のいい監督の映画に今後出ることができなくなっていたかもしれない。それは、グループ全体の問題だ。


    「根回しもしっかりして、そのうえでそんだけしっかり断られちゃったらね。まあ俺も引き下がるよ」

    「有難うございます」

    「でも君不思議な子だね」


     宇津木は帰る支度をしながら呟いた。

     心当たりのあるSHOTAは背筋をピンと伸ばす。黒い目をしっかりと見つめられて、胃がひっくり返りそうなくらいの緊張感に包まれた。

  • 88125/01/13(月) 23:29:08

    >>87

    「大人びた子っていうのは幾らでもいるけれど……君はそうじゃない。なんだろうな、人生二周目って言うの? そう言う感じがするよね」

    「褒められてますか?」

    「いや? 気持ち悪いねって話」


     言葉の最後に馬鹿にされてSHOTAは面食らう。

     彼は去り際に手を振った。


    「『君』が居ればSHOTAが『貝』になることはないのかな。まあ、その日が来たら私を訪ねると良い、最高の映画を撮ってあげるから」

    「そんな日が来ないことを祈ってます」


     男の背中を見送ってSHOTAはソファに深く腰を掛けた。外で待機しているマネージャーに一報を入れ、BLACK CASEのグループチャットにも投稿をしておく。

     全部終わると、自分の手が震えていることに気が付く。

     中身がどれだけ相澤消太であっても、SHOTAはまだ十六歳だ。そして、ヒーローを目指して激動の中に身を投じたわけでもない、普通のメンタルを持った少年だ。


    「っ、ふ……ぅ」


     勝手に涙がこぼれて嫌になる。

     ああ、怖かった。実家に戻ったらきっとアイドルをやめろと言われてしまうから、今日はマイクの家に帰りたい。こういう時にデリバリーをしてくれる美味い飯が食いたかった。

  • 89125/01/13(月) 23:32:28

    >>88

    以上になります!

    相澤消太の記憶を使うけど肉体はあくまで十六歳の普通の高校生というSHOTA

    過去の記憶があるだけで自分の体で経験値を積んだわけじゃないし強く見せてるけどヒーロー科の同年代よりずっと心がもろかったら可愛いよねって言う

    マイクのことも昔の記憶で親友だと思ってるけど同時に甘えられる兄貴分と認識もしてる

    そういうアンバランスさが好きです

  • 90125/01/13(月) 23:34:08

    あとこれのifルートで現場でおじさん俳優の性癖にクリーンヒットしてしまったせいで複数人にマワされるSHOTAとかも考えてたけどあまりにも可哀想でやめた
    でも少年の体を好き勝手されるのは可哀想で可愛いよね

  • 91二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:39:19

    綺麗な意見書こうとしてる途中にスレ主から>>90の地獄ルート出されてちょっと笑っちゃった

    かわいそう可愛いのもエロいのも好きな人間だからそっちはそっちで気になっちゃうよ


    本編で辛いことある度に素直に泣いちゃうSHOTAもかわいそ可愛いよ

  • 92二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:41:11

    前回といい今回といい泣いてるSHOTAくん見たらこっちまで辛くなるな
    メンバーにマイク、オールマイトと頼れる大人をもっと頼ってくれ

  • 93二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:44:29

    スレ主の書くSHOTAに愛着沸きすぎてて地獄ルートを見たいけど見たくねぇな…って思った自分に驚いたんだよね SHOTAだけど相澤だし、相澤だけどSHOTAだしっていう共存してる感じが絶妙 すぐ泣いちゃうの本当に可愛い

  • 94二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:45:46

    貝ルート辿るSHOTAくん見たくねえ…いやエロいのは好きだけども
    なんか美味しいもの食べて楽しいことしてキラキラアイドルだけしててほしい

  • 95二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:48:35

    わかるSHOTAに愛着わいてる
    このスレにしかいないはずの人格なのにな…
    兄貴分みたいにマイクに懐いてるSHOTA可愛すぎるしSHOTAの為にマットレス買ってあげるマイク良いやつすぎる
    マイクにとっても親友兼弟分なんだろうな

  • 96二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:51:16

    メンバー内にも強火のセコムいるし芸能界に長年いて地位獲得してきたマイクとかもう社会的にとんでもない権力持ってるオールマイトがいるから存分に利用してくれSHOTAくん
    記憶に精神と体が追いついてないチグハグ加減からくる独特な不安定感あってすごい応援したくなる

  • 97二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:57:56

    今回監督もだけどBlack Caseに入る経緯といい世間からの逆風といい16歳が受け流すにはあまりにもキツい経験してるからめちゃくちゃ甘やかしたくなる
    みつきと彰の気持ちが痛いほどわかるし前より幼さの残る親友を近くで見守ってるマイクの気持ちも考えちゃうな

  • 98二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 06:44:00

    SHOTAくんに美味しいご飯食べてひたすらでろでろに甘やかすところとかがみてえ…
    オールマイトとマイク頼む

  • 99二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 12:27:37

    いっぱい幸せになって欲しいのになんでだろうな
    こう…もっと泣いてるところが見たい気もするのは…

  • 100二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 17:39:25

    3次創作失礼

    ifルート見たくて書いた

    スレ主に比べたら酷い文だけど

    Writeningwritening.net

    パスワード:sukui

  • 101二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:43:49

    地獄ルートがガチモンの地獄すぎて泣いちゃった
    スレ主が救済ルートを本編にしてくれて良かった
    泣きながら抜く羽目になるとこだった

  • 102125/01/14(火) 19:04:10

    ただいま!

    >>91>>92>>93>>94>>95>>96>>97>>98>>99

    わーい!いっぱい反応とか感想とかありがとう!

    SHOTAに愛着わいてくれてる人いっぱいいて嬉しい


    >>100

    やったー!三次創作だ!

    嬉しい!有難う!地獄だ!

    これ貰い物ページ作ってそこに載せてもいい?

  • 10310025/01/14(火) 19:09:24

    >>102

    いいんですか!?

    こちらこそありがとうございます!

  • 104125/01/14(火) 19:14:21

    >>103

    SSまとめ(相澤先生中心雑多) | Writening自作発言とかしないでね 注意書き無しで色々飛び出してくるよ、気を付けてね CPなし# 1.ホークス+相澤 https://writening.net/page?s53aVA 2.山田+相澤 https://writening.net/page?VTUG4H 3.マイク+捏造…writening.net

    作品ページに頂き物置き場作ったよ~!

    書いてくれてありがとう!

    嬉しい!


    いよいよ古のホームページになりつつあるな


    今日は21:00くらいに持ってくる予定だよ

    ごめんねまだドル澤の熱が冷めやらないからドル澤の話だぜ

  • 105125/01/14(火) 19:18:05

    21時と言ったなあれは嘘だ
    前編を投げていくぜ

    「私はあの子と最後にした会話すら思い出せない」

     そう泣きくれる女性を前に、俺が何を言えただろう。
     交通網が復活していないせいで死に目にも会えず、冷たくなった息子の手を握りしめることしかできない女性は冷たい霊安室で嗚咽を漏らした。
     葬式でも彼女は泣いていた。
     皴の刻まれた顔を丸めた紙みたいにして、参列する人々に頭を下げながら。ただただ涙を流していた。

    「どんなヒーロー活動をしていたのかも知らないのよ」

     彼女と人らしい会話をすることが出来たのは葬式が終わり、彼女の息子で俺の親友の体が壺一個分まで縮んだ後のことだった。
     話があると呼び出されて、リビングに通される。
     俺は東京で遊ぶときはお前の家を宿代わりにしてやるからなと言った果たされなかった約束を思い出していた。

    「アイツはアングラで活動していたから、無理もありません」
    「それでも知ろうともしなかった。ヒーローって言う危険な仕事に就いたのを反対していたせいかもしれないわ」

     そう言って相澤の母は笑う。
     どうしてだろうか、泣いていた時よりもずっと危うく感じる彼女の表情に俺は「仕方ないことですよ」とフォローにもならない言葉を言った。やはり彼女ははかなげに笑うばかりだった。

  • 106125/01/14(火) 19:18:36

    >>105

    「ねえひざしくん。お願いがあるの」

    「なんですか」

    「あの子の遺品、持って行ってくれないかしら」

    「い……」

    「ああ大丈夫、そんな多くないから。トランクケース一個分くらい。これでも、かき集めたんだけれど」


     そういう問題ではないだろう。

     声が出かかって、止まる。

     彼女が持ってきた物はどれも子供が持つおもちゃのような物ばかりだ。中学時代受験勉強に使っただろう参考書も混じっており、本当に「かき集めた」のだとわかる。


     ──この人の中の相澤は、高校時代で止まってるんだ


     家に残ったわずかな痕跡は彼女が心から愛した子供の形をしていた。


    「不思議よね、死んでしまってこんなに悲しいのに……家にはあの子がいた証しがほとんどないの。私にはそれが耐えられなくって」

    「相澤のお母さん……」

    「お願い持って行って、捨てても良いから」


     女手一つで育て上げた息子の最期に、彼女は何を思ったのだろうか。やっと泣き止んだ眦からまた涙がこぼれていて、俺はそれを受け取る以外彼女の心を保つ方法がわからなかった。

  • 107125/01/14(火) 19:19:05

    >>106

    「あ」


     彼女のことを思いだしたのはついていたテレビのおかげだった。

     すっかり入り浸っているショータが興味深い物を見る猫のようにじいっと画面を見つめていたので釣られてみたら、そこにはあの日の女性が立っていた。


    『さあ次は話題沸騰! 老舗煎餅店『あいざわ』をご紹介します! 何と言っても百年前から続くこの醤油煎餅が特に人気なんですよね?』

    『ええ。最近はこのおいしさが若い方にも伝わったのか嬉しいことに以前よりも注文数が増えておりまして』

    「母さん」


     美しい着物を着て凛とした表情で画面に映る女性を見て、ショータは呆然と呟く。マグカップを握る手に力が込められていた。

     十六年ぶりに見た彼女の姿は多少老けてはいたもののあの頃よりも幸せそうだった。俺は胸をなでおろしたが、同時に自分の眼下にいる少年の姿が気になった。


    「……気になるか?」

    「別に」


     気になっている時の声音だ。

     マイクは彼の横に座る。少しだけ細い肩が撥ねる。

  • 108125/01/14(火) 19:19:39

    >>107

    「お前が実家から送ってもらったって持ってきてくれた煎餅、美味かったよなあ。職員室でみんなでわけてさ」


     季節の変わり目になると、必ず相澤の実家から送られてくる煎餅は職員室の名物となっていた。一度だけ一緒に同封されてる手紙を見たことがあるが、体と人間関係を心配するありきたりで優しい言葉が書かれていた。

     ショータは思い出したのか、ふっと頬を緩める。


    「一人じゃ食いきれねえ量だったからな」

    「特にわさび醤油味が美味かった」

    「あれは俺が一番好きな味だった」

    「だからって七割わさび醤油はちょっとやり過ぎだよな」

    「本当に」


     とりとめない話をしていると、『あいざわ』の特集が終わる。

     新しい特集へと移っていく画面から、彼は視線を外した。マグカップにそそがれたコーヒーを飲む。


    「……元気そうでよかった」


     本当に心から安心したような声を出すものだから、「お前が死んだ時は大変だったんだぞ」なんて口に出すことは出来なかった。そんな意味のないただ追い詰めるだけの言葉を言うような意地悪さは持っていない。

     コーヒーを全部飲みほしてから、机に置き去りにされていた俺のコップも一緒に台所へと持っていく。その背中がいやに小さく見えてしまって、言わなくていい言葉を言った。

  • 109125/01/14(火) 19:20:10

    >>108

    「……行ってみたらどうだ?」

    「どこに」

    「実家」


     ゆっくりとショータが振り返る。

     視線が「何を言ってるんだ」と訴えていた。


    「もう関係ない人だろ」

    「関係ねえって顔出来てないから言ってんのヨ」

    「……」

    「煎餅買って、元気か確認するだけでも良いだろ。別に息子だって明かす必要はねえんだからさ」

    「それは……」

    「気になんだろ、お母さん」


     わかりやすくショータは言い淀む。

     表情筋は仕事をせず、硬直していた。しばらく悩んだ顔をして、視線を左右に彷徨わせてから「そりゃあ、まあ」と小さく小さく答えた。

     それが嬉しくて、俺はこいつの腕を引く。貴重なオフなんだぞと恨み言を言われながら、外に出れる私服に着替えさせて玄関まで引っ張った。学生時代にはちと遠いが年甲斐もなくはしゃいで足が踊る。

     ばたん、と俺のテンションと反比例した玄関が閉まる音が、やけに耳についた。

  • 110125/01/14(火) 19:20:58

    >>109

    とりあえずここまで!

    今日持ってこれれば続きを持ってくるし出来そうになければ明日持ってくるよ~

  • 111二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 19:46:31

    冒頭のマイクとお母さんとのやりとりの切なさと後半のちょっとしたワクワク感の差がすごい
    続きも楽しみ!

  • 112二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:10:44

    職員室で母からですって言って煎餅配ってる先生想像したら可愛すぎてしにそう マイクのわくわくっぷりが不穏ですが… 平和な再会になってくれ…!

  • 113125/01/14(火) 21:22:20
  • 114二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:58:14

    こう見るとアイドルになってから心労案件がずっと続いてるのエグいな
    心操くんがファンになった理由も知れて嬉しい

  • 115125/01/14(火) 22:13:10

    >>109

     東京とは思えない閑静な街並みを歩くと、道沿いに現れる現代には似つかわしくない平屋。引き戸をがらりと開けると、畳と醤油の匂いが鼻をついて時代を忘れさせる。

     百五十年以上の歴史を持つ老舗煎餅屋『あいざわ』は町の人に広く親しまれて今もなお営業を続けている。だが今日は平日ということもあり人の入りはなく、店には誰も立っていなかった。後ろにショータがついてきていることを確認して、店の奥に声をかける。


    「女将さーん!」


     “個性”に触れない範囲で大きな声を出すと店の奥から「はあい」と軽やかな返事がして、半歩遅れて足音が聞こえて来た。後ろでショータが硬くなっているのを感じ、あえて前に出す。

     現れたのはテレビで見た時よりも幾分か表情の柔らかい女性だった。


    「どうも、ご無沙汰してます」

    「あらあらひざしくん。ようこそいらっしゃい、いつこっちに寄られたの?」

    「ついさっきですよ、テレビで『あいざわ』が出ているのを見たので」

    「嬉しいわあ。奇麗に映っていたかしら?」

    「女将さんはいつだって奇麗ですよ!」

    「あらやだお上手」


     軽い世間話をしつつ、女性は俺の斜め前を陣取る。まるで呉服屋のお得意様になったような気分になりつつ、隣に居たショータを前に押した。

  • 116125/01/14(火) 22:13:40

    >>115

    「ほら、挨拶」

    「ど、どうも……」

    「あらこんにちは、可愛い子ね。芸能人の方?」

    「今売り出し中のアイドルでSHOTAって言うんスよ」

    「しょうた……まあ」


     あまりテレビを見ないこの人は顔を見てもピンとこなかったらしく、説明をすれば口元を抑えた。そして眉を八の字にして微笑む。


    「うちにも同じ名前の息子が居たのよ、ひざしくんから聞いているかしら?」

    「は、はい」

    「そんな緊張なさらないで。どんなお名前でもお店に来ていただけるのは嬉しいんだから」


     相澤の母は口元を覆ったままコロコロと笑う。

     名前が一緒ということで要らぬトラウマを刺激してしまうことを考慮していなかった自分を恥じていると「ちょっと待ってね」と言って彼女が奥から幾つかのサンプルを持ち出した。

  • 117125/01/14(火) 22:17:21

    >>116

    「好きな物を持ってって」

    「いやそれは」

    「良いの良いの。久しぶりだもの。買うのなんて今度で良いわ」


     そう言ってカラフルな煎餅のパッケージに、ショータの目が懐かしさから優しく細められる。


    「全部美味しそうですね」

    「ええ、ええ。全部うちの自慢の作品ですのよ」

    「……あれ」


     ショータはサンプルを全部見まわして、呼吸を止めた。口を一度引き結び、恐る恐る女将さんの方を見る。


    「あの、わさび醤油味って、ないんですか?」

    「あ」


     相澤が存命だった時一番好きな味だと言って仕送りに入っていたわさび醤油はサンプルの中にはなかった。あれだけの量を量産していたのだから生産を取りやめたわけではないだろうと俺も女将さんを見たが、彼女が気まずそうに頬をさするばかりだ。


    「ああ、もしかして消太がひざしくんに?」

    「はい。いつも仕送りの品を分けてもらっていて」

    「そうなの……ごめんなさいね、もう何十年も前にわさび醤油味は生産をやめているの」

    「え」


     驚きの声はショータから飛び出た。

     俺も声が出せなくなる。何を言うのが正解かわからなくて固まってしまうと「そんなに好きだったの?」と女将も驚いた風な声を出した。

     好きだった、というか。

     俺はショータを横目で見る。彼がショックを受けているのは明らかだった。

  • 118125/01/14(火) 22:18:40

    >>117

    「その、な、なんで……?」


    「あの子がこの家を出てからね、ラインナップの見直しをしたの。そうしたらわさび醤油だけ売り上げが少なくって……結構すぐに生産はしなくなったのよ」


    「仕送りをしてくれていた分は」


    「あれはねえ。あの子が好きだって言っていたから。だから、仕送りをする時だけ商品と別に作っていたの。一度にたくさん焼かないといけないから、きっと一人で食べるには多い量になってしまったのね」

  • 119125/01/14(火) 22:23:01

    >>118

     目の前が真っ白になりそうだった。

     隣で「そうですか、食べてみたかったです」と顔に出さずに言うショータは俺よりずっと大人だった。もしくは俺よりも思考が止まってしまっているかのどちらかだ。

     彼を横目で見ると、手が震えている。


    「もしかしてひざしくん好きだった?」

    「えっ、ええ。あれ凄く美味しくて」

    「やだわごめんなさい。……食べる人が居なくなったから、レシピももう無いの。他のだったら好きなだけ持ってっていいわ。あ、そうだ新作があるの、ちょっと待ってて」

    「あ……!」


     奥にパタパタと駆けていくその人を捕まえることも出来なかった。通路を曲がって見えなくなった背中のせいでこの空間は俺とショータの二人だけ、静けさがやかましいくらいに漂う店内は息苦しい。

     ショータの手が、服の裾を引っ張った。


    「悪い、マイク」

    「なんでお前が謝んだ」

    「……お前が多分、今一番罪悪感を覚えてるから」


     情けねえ、こんなガキに気を使われてる。

     本当はちょっと顔を見て懐かしの味を食べれればそれでよかった。こいつも片親で自分を育ててくれた母を心配していたことは間違いないし、そうするのが一番いいと思ったんだ。

  • 120125/01/14(火) 22:24:41

    >>119

    「気ぃ、使わなくていい」

    「相澤」

    「ショータって呼べ」


     昔の癖が出てしまい、指摘されるまま謝罪する。

     寒い風が引き戸を揺らしていた。

     どれくらい待っただろうかと時計を見ると一分も経っていなかった。もう体感では一時間は待ったというのに。

     奥から、また小走りでこちらにやってくる音と奇麗な着物の女性の姿が見えた。女性は手に二つの袋を持ち、一人の大きな体の男を引き連れている。

     先に、手に持っていた袋を手渡される。


    「これは……」

    「新作と定番商品を詰めた特別セットよ。今度その形式で売ろうと思うの。先にお二人に食べてほしくて」

    「良いんですか? 有難うございます」


     ショータが他人行儀に笑顔を見せると、彼女は頬を染めて笑った。だがショータの目の奥は笑っていない、隣にいる男に移る。


    「あの、こちらの方は……」


     女将は緊張した顔になった。それがきっと俺らにとって良くない報告であることは明白で、口の中が渇く。彼女は神妙な顔つきで横に居る人を紹介した。

  • 121125/01/14(火) 22:25:07

    >>120




    「紹介いたします、ウチの跡継ぎの椎葉くんというの。この間養子に迎えたのよ」




    .

  • 122二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:26:20

    人の心!!???

  • 123125/01/14(火) 22:33:06

    >>121

     頭を殴られたような、そんな衝撃だった。


    「養子……」

    「どうも」


     少年の頼りない声が取り繕う隙も無いほどの動揺を浮かべるが、目の前の二人は気づいていないようだった。

     彼女の発した木庭は俺の頭の奥を焼き焦がした。冷や汗と脂汗、それから動悸が止まらない。

     女将は上品な口紅を引いた唇でどうにか笑みを浮かべるが、その顔は少し引き攣っていた。


    「……ひざしくんに言うのはちょっと迷っていたの。貴方はすごく消太と仲良くしてくれていたでしょう。葬儀に当たって沢山迷惑もかけたし……そんなあなたに、考えた末の決断とはいえあまりにも失礼ではないかと思って」

    「そ、んなことは」


     今不安なのは隣の少年だ。

     だがここで出て行ってしまったら、きっと彼女から話を聞く機会は一生なくなってしまう。頭の奥がぐるぐると渦巻いていた。


    「どうして、養子をとられたんですか?」


     冷静な声は横から飛んで来た。

     アイドルSHOTAの顔を浮かべて、彼は話しやすい空気を作ることに専念したようだ。女将は「そうねえ」遠くを見つめて言葉を選んだ。


    「最初は弟子を取るだけで良かったの。血縁に拘らないし、店を継ぐのに家族になる必要はないって思っていたわ」

  • 124125/01/14(火) 22:34:25

    >>123

     彼女の言葉を引き継ぐように、隣の男が口を開く。


    「自分が、相澤の名を名乗らせてほしいとお願いしたんです。自分はこの家の味に惚れて修行させていただいたので……叶うなら、相澤の店も、名も、一緒に継いでいきたいと」

    「そう、だったんですか」

    「亡くなった息子さんや、そのご学友の方には申し訳ないとも思ったのですが」

    「そんなことないと思います」


     ショータは食い気味に否定した。


    「しょ、SHOTAくん……?」

    「自分は十年前、大きな災害に合いました。身近な人の中にも家族を亡くした方は大勢います。でも、みんな今はそれぞれの幸せをつかんでいますし、俺もそれを嬉しく思います。不幸になった人は一生不幸のままでいなければいけないなんてことはありませんよ」


     僅か十六歳の少年に諭され「まいったな」と椎葉は首の裏を掻いた。

  • 125125/01/14(火) 22:34:53

    >>124



    「息子さんだってきっと喜んでいます」



    .

  • 126125/01/14(火) 22:35:31

    >>125

     ほんの少し躊躇いのある声で、けれど勢いをつけて言い切った。


    「マイクさんから聞いた消太さんは、人の幸福を心から願う人だったようですから……って、俺が言うのは生意気ですね」


     自分でツッコミを入れると、それまで呆然としていた女将がはっとしてショータの手を取る。そして深々と頭を下げた。


    「わ、頭上げてください」

    「いいえ、有難うSHOTAくん。湿っぽい話にしてしまってごめんなさいね、明るくしてくれてありがとう」

    「い、いいえそんなことは」


     謙遜してショータが頭を振るが、女将は彼の手を離そうとはしなかった。ただ俺だけが、この場所で胸の内を苦しめる罪悪感に苛まれていた。

  • 127125/01/14(火) 22:37:13

    >>126


     ‡


     帰りの車の中は静かだった。

     先ほどまで笑顔を振りまいていた助手席の少年はピクリとも動かない。後部座席にはお土産に持たされた煎餅が山ほどあった。


    「……マイク」

    「なあに」


     出来る限り、いつも通りに反応してやる。

     顔は見えないけど、その肩が少し震えているのは見えた。喉の奥から、揺れる息が漏れる音も聞こえた。それを、何も知らないふりをする。


    「相澤消太は、死んだんだな」

    「ああ」

    「じゃあ俺は、なんなんだろう」


     随分と哲学的なことを言うな、と茶化す気にはならない。鼻声になった声に返せる誠実さを考えた。


    「……そりゃ、SHOTAだろ」


     結局、そんなありきたりなことしか返せない。

     後部座席に山と積まれた煎餅が、車の揺れで音を立て崩れた。少なくとも相澤家にはもう、帰らぬ息子を待ってなく母はいなかった。

  • 128125/01/14(火) 22:38:43

    >>127

    「お前が居なくなったら、相澤消太がここに居ることを知っている人は、いなくなるんだな」

    「居てほしいのか?」

    「どうだろう、わからん」


     鼻を啜る音がする。

     だが、嗚咽はもう漏れていないようだった。


    「わかんないんだ。世界にSHOTAとして評価さえされればいいのか、相澤消太としての部分を受け入れてほしいのか、俺にはもう、わからない」


     遠くに投げかけるような、張りのない声。

     それはあの日、マイクに遺品の整理を頼んだ彼の母に似ていた。


    「俺は、なんなんだろう」


     もう一度同じ問いをする。

     同じ答えを返せばいいのに、そうすることはできなかった。

     彼女は最後まで息子のことに気付かなかった。彼女にとって子供の相澤消太は十八歳まで家に居た少年で、プロヒーローとして活躍をする無精ひげの男ではなかった。

     わさび醤油味の煎餅を作る方法も失われ、すでにあの家に相澤消太の居場所はなかったのだ。

     沈黙と煎餅の山が崩れる音だけが、車内に響いていた。

  • 129125/01/14(火) 22:41:13

    >>128

    以上です!

    書いてて思ったけど私は多分ドルパロが好きって言うか死ネタが好きなんだなあと思いました

    でも死ネタが好きというよりは死んだ後の人の温度感みたいなのが好きでえ…

    どんな特別な人でも死んでしまったら思い出になる努力をされてしまうし生きている人と同等には扱ってもらえないという無情さが良いよねと思っています

    相澤消太はね死んだんですよ


    今日はここまで!

    寝るぜ!

  • 130二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:53:14

    息子が死んだ以上家系が途切れるのは間違いなくて家の味に惚れ込んだ弟子が名を継いでくれるのはむしろありがたいことだしお母さんも救われてよかったねと思うのに…実の息子が転生してしまっているばっかりに…

  • 131二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:00:59

    自分が好きだからと言う理由でもう店頭に並んでない煎餅を仕送りで送ってくれてたけどもう自分が死んだからレシピもなくなっちゃって
    自分は転生して生まれ変わったけどもう「息子」の位置は埋まってる
    なんだこれ…なんでこんな…つら…

  • 132二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:02:52

    誰が悪いとかじゃなくただただタイミングが悪いというか……すれ違ってるというか…………
    遺された人が前向きに生きる努力をしてる途中で相澤消太の記憶を持って生まれてきたばっかりにSHOTAだけが宙ぶらりんになってるのが辛い
    でもめちゃくちゃ癖に刺さるわこの話

  • 133二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:04:50

    これまでは権力と戦うSHOTAを相澤が守ってくれてたけど、相澤のことは誰も守ってくれないんだ
    マイクとオルマイが前世に気がついてること、A組がSHOTAを見て相澤を思い出してくれていることが救いだなあ 今までSHOTAくんかわいい食べちゃおって感じだったけど今回はダメージ食らった 相澤のために煎餅製造されてたところまではオッ、良かったね!ってなってたのに…

  • 134二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:06:31

    なんだろう
    涙が出るとかそう言う感じじゃないし話がすごい残酷とかグロとかそういうわけじゃないのにたぶん今まで読んだ中で一番きついかもしれない

  • 135二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 23:23:24

    辛さがじわじわくる
    読み返すほどにダメージを喰らうのにやめられない

  • 136二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 06:45:34

    ワイ「スレ主の書く先生曇らせとか見てみたいな〜(ニチャニチャ」
    スレ主「貸せ 先生の曇らせはこうやる」

  • 137二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 11:10:27

    普通なら前向けて良かったねで終われるのに先生が記憶ありで転生したばっかりにとんでもない大事故が起きてる
    なんならこのタイミングで会いに行ったのも大事故
    でも誰も悪くない、やるせない………

  • 138二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 18:10:39

    死ぬほど辛いし悲しくなるのになぜかSHOTAが泣いてたり精神的にやられてるとこを見るとこう……なんというか……クるものがある………
    ワイはクズのヴィランや………

  • 139二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 18:32:00

    これスレ主が曇らせとして認識して出してきてるのかわからないからあんま言うべきではないんだけど
    先生曇らせって基本生徒とか友達とかを奪う感じのシチュが多い中で「相澤消太でいられる場所をなくす」っていうシチュを出されて呻いてる
    一晩経っても呻いてる

  • 140二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 19:56:44

    ごめん勝手に語ってるだけだから無視して



    ・転生は死んだ人が別の人生をまた生きる

    ・生まれ変わりは死んだ人が別の人として生きる

    ていうふわふわした区別を勝手にしてたんだけど、

    スレ主のドル澤読むとあぁ相澤先生は生まれ変わったんだな〜って勝手に納得しちゃった


    生まれ変わったからSHOTAはSHOTAであって相澤消太じゃないんだよな、いくら相澤消太記憶あっても


    >>100の三次創作も途中まではSHOTAの人格消えちゃって相澤消太が交代人格として出てくる!?とか思ってたけど

    生まれ変わりだからSHOTAが壊れちゃったらそこで終わりなんだよな〜てただひたすらやるせない気持ちになっちゃった

    いやほんと文章上手いね…

  • 141125/01/15(水) 20:39:46

    ただいま〜
    なんかめちゃくちゃ色んな感想とか考察とかもらってる…!みんなありがとやで!嬉しい!

    曇らせで書いたつもりはないんだけども
    意図としては「別人として16年生きてきたのに過去の自分から離れられなかった相澤消太の自業自得」みたいな感じを考えてた
    死んだ人間は絶対に生きていた頃には戻れずそこに死者を無理に戻そうとすれば報いを受けるというのが個人的な死の考え方なので

    今日は書けないからまた明日くるで!
    そろそろ普通のすけべも書きたくなってきたので通常のイレ先とのすけべを明日は書くと思うよ

    おやすみやで!

  • 142二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 20:43:00

    そっか曇らせのつもりはなかったのか…良かった(?)と思ったけど

    >「別人として16年生きてきたのに過去の自分から離れられなかった相澤消太の自業自得」

    ここ曇らせより怖い

  • 143125/01/15(水) 21:11:38

    >>141

    ごめん!

    これだと曇らせで考えてた人を非難してるように見えるんだけどそういう意図はないっす!

    私は二次であれ一次であれ創作物は世に出したら読んだ人の好きに解釈してもらうべきだと思っているのでみんな好きに話してもらえると嬉しい


    今度こそ落ちるで

  • 144二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:48:29

    >死んだ人間は絶対に生きていた頃には戻れずそこに死者を無理に戻そうとすれば報いを受ける

    この当人の思いとか善し悪しに関せず平等に報いがくる感じ苦しいけどたまらん

  • 145二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 22:35:12

    確かにそう考えるとあの養子は死んだ相澤消太が自分から生きた家族に関わりに行こうとした報いになってるのか
    この感じだと相澤消太とSHOTAが若干グレーな状態で関わってるマイクとの今後も怖くなってくるな

  • 146二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:01:30

    スレ主のキャラが好きって感じの語り口と「それとストーリーは別ですよね」みたいな感じの話の作り方めちゃくちゃ癖になる
    一次創作も見たくなる

  • 147二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 06:43:25

    次書くのスケベなの!?
    嬉しいけど温度差で風邪引く

  • 148二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 12:27:05

    スレ主いつもお疲れ様
    ここ最近毎日書いててくれてありがとう

    すけべも楽しみにしてるぜ

  • 149二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 18:15:31

    スレ主の死生観がすごい好きだから死ネタもブッ刺さるんだよな
    すけべ話も楽しみ!

  • 150125/01/16(木) 19:27:47

    ちょっと今日はちゃんとしたの書けそうにないぜ
    代わりに出すタイミングを逃してたドル澤のssとは名ばかりのト書きでお茶を濁すぜ
    次に書きに来れるのは日曜になりそう
    保守頼む!

    〜なんかのバラエティ〜
    司会:じゃあこの番組ではおなじみの「ドキドキアタック」をしてもらいましょうかね
    REN:出た
    司会:ルールは簡単!お二人には司会の耳元でドキドキすることをささやいてもらいます!より司会をドキドキさせた方の勝利です!
    SHOTA:これ俺やっても大丈夫ですか?(絵面的に)
    司会:SHOTA君の場合はコンプライアンスに配慮してちょっと離れてもらいます
    SHOTA:なるほど
    司会:お題は「日常の一コマ」です。甘くドキドキする言葉をお願いします
    REN:よし来た!任せてくださいよガキに負ける俺じゃないんで!
    SHOTA:こないだのダンス対決ではガキにボロ負けしたけどな
    REN:終わったことを蒸し返すの良くないよ
    司会:それでは始めていただきましょう、先攻RENさん!お願いします!

  • 151125/01/16(木) 19:28:32

    >>150




    REN:……ねえ、今日はずっと一緒に居てもいいでしょ?



    .

  • 152125/01/16(木) 19:29:12

    >>151

    司会:おお~……不倫相手?

    REN:え!?

    SHOTA:25日は本当の家族のクリスマスだから26日くらいは一緒に居ても良いでしょって言ってくる不倫女みたいなセリフ

    REN:なんてこと言うんだよ!

    司会:いやまあちょっとドキッとしたけどね。ちなみにどんなシチュエーションを想定したの?

    REN:え、いや……いつも忙しくて中々会えないから今日くらいは一緒に居たいねってわがままを言う年下彼氏の立場みたいな

    司会:忙しいの彼女の方の設定かよ。どう考えてもお前の方が忙しいでしょうが

    SHOTA:たぶん前のドラマの役が好評だったからそれでごり押ししようとしたんでしょうね

  • 153125/01/16(木) 19:29:36

    >>152

    REN:おい!おい!冷静に分析すんなって!次お前だからな!

    SHOTA:……任せろよ

    司会:SHOTAくんまだ十六歳でしょ、想像できる?大丈夫?

    SHOTA:大丈夫です完璧にこなしてみせます

    REN:絶対ぼろくそに言ってやるからな覚悟しろよ!

    SHOTA:パワハラってここで訴えられます?

    司会:嫌な先輩だねえ~

    REN:誰も俺の味方になってくれない!泣くからな

    司会:さあ!それでは始めていただきましょう、後攻SHOTAさん!お願いします!

  • 154125/01/16(木) 19:30:43

    >>153




    SHOTA:確定申告の為に集めてたレシート、シュレッダーにかけちゃった




    .

  • 155125/01/16(木) 19:31:18

    >>154

    司会:ドキドキした~

    REN:それ違うドキドキでしょ!?

    司会:いやほんと凄いわ、もう血の気がざあって引いて心臓バックバク音たてたわ

    SHOTA:シュレッダーに吸い込まれていくレシートを見て正気に返るんですよね

    司会:SHOTAくん個人事業主だっけ?

    SHOTA:いえ、雇われです

    司会:だよねえ、どこで確定申告なんて覚えるの?

    SHOTA:この時期はお世話になってるヒーローの方が忙しそうなので気になって勉強しました

    REN:ダイナマさんとかあの人事務雇ってないから一人で全部やってるって言ってたしな

    SHOTA:そういう人の事情をカメラの前で言うもんじゃないよ

    REN:あっ、ダイナマさんすんません

    司会:マジでどっちが上かわかんねえな

  • 156125/01/16(木) 19:31:59

    >>155

    SHOTA:ところで勝敗は……

    司会:そりゃもちろん……SHOTAくんの勝利!

    REN:俺の方が恋愛的なドキドキはしたでしょ!?

    司会:いやSHOTA君の方がドキドキした

    SHOTA:ありがとうございます

    REN:またSHOTAに負けたあ~!MITUKIとAKIRAに慰めてもらいます

    司会:たぶん二人はSHOTAくんの味方になると思うよ

    REN:まあでもTAKUYAよりは中立に立ってくれるんで

    司会:あっ、完全な味方がいない感じかあ

    REN:泣いちゃうからやめてください

  • 157125/01/16(木) 19:32:39

    >>156

    ~家~

    マイク:お前さあ、昨日OAされたレシートのシュレッダーってもしかして

    SHOTA:独立一年目でやらかした時の実体験

    マイク:一年目から独立ヒーローってのも大変ねホント

  • 158125/01/16(木) 19:39:41

    >>157

    以上です!

    こういうところで案外真顔でノリの良さを出してくる澤だと可愛いなって思ってる

    ここらへんの対応の仕方は一生懸命勉強した成果


    じゃあすまん日曜にまたくるね!

    その時はちゃんとしたの持って来れるように頑張るぜ

  • 159125/01/16(木) 21:10:45

    ごめん念のためなんだけど
    これ司会は男です

  • 160二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 23:25:06

    このレスは削除されています

  • 161二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 06:09:28

    相澤先生時代レシートシュレッダーして絶対大絶叫したんだろうな…
    保守了解だぜスレ主

  • 162二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 07:22:35

    レシートシュレッダーとかこっちまで肝冷えるわ
    意外とこういうポカやってる先生いいな

  • 163二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:12:35

    報いの破壊力を受けたあとだとどうしても怯えてしまうが16歳だけど大丈夫?って聞かれてるSHOTAメタクソ可愛いな
    絶対心の中で(16じゃねえしな)って思ってそう

  • 164二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 19:31:27

    さらっと流されてるけど絶対SHOTAの味方してるTAKUYAで笑ってしまう
    TAKUYAとSHOTAの絡みも見てみたい

  • 165二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 22:35:49

    SHOTA強火勢がマイクのことどう思ってんのかも気になる
    普通にBLACK CASEだけのわちゃわちゃとかも読みてえ…

  • 166二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 23:30:44

    メンバーとのわちゃわちゃ癒される
    MITUKIとかあんまりヒーローとくっつきすぎない方がいいみたいな忠告してたけど今のマイクとの距離感どう思ってんのかも気になるな

  • 167二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 10:03:45

    SHOTAがバラエティの対応一生懸命勉強してるの可愛すぎるな
    自分の苦手なバラエティもこなせるようにいっぱい頑張ってるの愛おしすぎる

  • 168125/01/18(土) 16:44:20

    明日の夜に多分来れる〜
    お茶を濁すためにドル澤の小ネタを投げておくんだけど

    SHOTAの持ってるもので今一番高いのはオルマイからお正月にお年玉感覚でプレゼントしてもらったコート(200万)で次点はマイクからお下がりとしてもらったヘッドホン(120万)本人は値段を知らない
    モーニングルーティンの動画撮った時特定班が見つけてトレンドに入ってしばらくバラエティでいじられまくった

    そして日曜に書く話はドル澤とは無縁の相澤先生のすけべだぜ

  • 169二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 18:19:00

    ヒーロー2人あんたらほんまそういうとこやぞ…
    動画から特定した後アンチが貢がせてるだの事務所に優遇されてるだの喚くとこまで見えた

    すけべざわ嬉しい!日曜が楽しみだ

  • 170二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 18:40:08

    オールマイトきっと長く使える良いものをって思ってプレゼントしたんだろうしマイクもこれならアイツも使いやすいだろうなって所のやつくれたんだろうな
    ただそれが16歳の子供が持つ金額じゃなかっただけで…

  • 171二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 21:11:18

    2人とも軽い気持ちでとんでもないもんプレゼントしてて笑った
    貰ったプレゼント見て両親もメンバーも青ざめてそう
    スレ主のスケベまじで癖に刺さるから助かる
    楽しみに待ってます

  • 172125/01/18(土) 21:35:13

    寝る前にドル澤の小ネタが降ってきたから置いとくね

    今まで炎上したRENのうっかり発言ランキング

    3位
    道歩いてたらかっけー兄ちゃんがくれた!(白い粉の写真)(捜査後に中身は小麦粉で悪戯だと判明)(事務所が謝罪)

    2位
    家族が死んじゃいそうだから病院までの交通費貸してって言ってきた人に新幹線代奢ったった!困った時はお互い様!(後にMITUKIから謝罪)(事務所も謝罪)(警察の公式アカウントから寸借詐欺の注意ポスト)

    1位
    SHOTAのグッズ買えなかったみんな!受注するっぽいから転売から買うのマジやめて!あとなんかマネさんが次からSHOTAのやつはロット増やすから大丈夫って言ってる!(このあとファンの「今までSHOTAだけ少なかったんですか?」のリプに「元々俺より多かったけどさらに倍にするっぽい!」と返信してさらに大炎上)

  • 173二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:01:00

    RENがとんでもない地雷原駆け抜けマンで面白いけど周りの大人の心労凄そう
    馬鹿ゆえの詐欺被害は百歩譲って目を閉じれても裏側の情報流出はアカン……ファン同士の火種にしかならん…………

  • 174二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 08:02:58

    RENはあれだな
    ジャンル外からみてる分には楽しいけど推してたりするとトレンド見て肝が冷えたりするタイプだな

  • 175二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 09:29:25

    なんかたまに内情を漏らすしSHOTAの苦手な分野は大体RENが得意だしでアンチの体のいい叩き棒としても目つけられてそうだなREN
    本人めちゃくちゃ愛嬌もあるし魅力的だけど推してたらずっとハラハラするタイプだ

  • 176二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 09:51:11

    DD9の差金か?ってくらい結構な爆弾を自発的に落としまくってて笑うわ
    多分SHOTAが来るまでは叩かれやすいメンバーの位置にRENがいたんだろうな

  • 177二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 13:42:33

    なんかRENのファン層混沌としてそうだな
    あと他メンと比べるとSHOTAとかRENは炎上経験しすぎて拗れたママ気質のファンも多そう

  • 178125/01/19(日) 21:19:19

    日付変わる頃に持ってくるよ~

  • 179125/01/19(日) 23:34:37

    ごきげんよう!

    相澤兄妹スケベ

    ただし妹の下剋上の為妹x兄だぜ!

    お兄ちゃんが妹にケツを開発されてるぜ

    いつか書きたいと思ってた下剋上なので楽しんでくれると嬉しい

    【R18】相澤兄妹下剋上 | Writening 最近妹の機嫌が悪い。  兄と同じように合理主義者であると周りから認識されている彼女だが、実際のところ彼女の性質は幼少期から兄の真似をしていたせいな所が多分に含まれている。  だから、時折兄にすら…writening.net

    明日は来れないから多分火曜か水曜に来るぜ

    お休み!

  • 180二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 23:59:18

    兄妹澤が2人揃ってどんどんドスケベになってく…
    相変わらず妹相手に弱い先生最高だし普段セッで好き勝手動く兄が何も取り繕えなくなるくらい妹に身体作り変えられるのも最高だった
    ありがとうスレ主

  • 181二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 00:08:42

    相澤兄妹だあ〜!
    インモラルな兄弟愛最高すぎる
    お兄ちゃんのこと大好きな妹も妹のこと大好きなお兄ちゃんも好き
    サド気質全開な兄澤が妹澤に攻められてんのたまんねえ

  • 182二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 00:10:22

    気持ち良すぎて漏らす妹も可愛いし未知の快感に手加減忘れちゃう程強く妹に縋り付く兄貴も可愛い
    今度は是非妹にペニバンで掘られてくれ
    なんなら兄貴も気持ち良すぎて漏らせばいいよ
    普段のヤられてる分たっぷり仕返ししちゃえ妹澤

  • 183二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 06:43:02

    ひゃ〜どえっちで最高
    ありがとうありがとう

  • 184二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 11:26:51

    普段ヤる時はペース握ってる兄澤が乱されまくってるの最高
    兄妹澤はインモラルになればなるほどいい!

  • 185二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 21:57:42

    この兄妹可愛すぎるな
    妹に縋る兄貴もそんな兄貴が愛おしくて仕方なくなる妹もとにかく可愛すぎる
    ずっと2人の世界にこもってて欲しい

  • 186二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 22:13:25

    兄澤が気持ち良すぎて腕折っちゃうのいつもは本当に加減してたんだなってのがわかって愛おしい
    兄妹澤とかいうここでしか摂取できない設定ほんま好き

  • 187二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 08:02:29

    怖がる先生いいな
    兄妹の互いへの異様なクソデカ愛情が見れるたびにんまりしてる
    ずっと別邸でぐだぐだやってて欲しい

  • 188二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 08:02:59

    兄貴のこと抱きたくて悩んでる妹澤可愛い
    兄貴風吹かせて大変なことになる兄貴も可愛い
    この兄妹可愛すぎるな…

  • 189125/01/21(火) 18:45:43

    ただいま!
    保守&感想ありがとう!嬉しい!
    兄妹澤はいくらでもモラルをぶっ壊して良いと思ってるから書いてて楽しかった

    今日は22時〜23時くらいに一本持ってくるよ〜!
    もうスレも終わるから次スレに投稿するね

  • 190125/01/21(火) 18:57:32

    これは温存してた小ネタなんだけど
    ドルパロ澤に出てくるTAKUYAは若干SHOTAにガチ恋気味でグッズを通販で買ってるのがバレて事務所に怒られてる
    まあまあ性欲を抱いてるけど未成年に手を出したらダメだしそもそもSHOTAメンバー内でギスりたくないだろうし…で必死に隠してる
    マイクにも太客ヒーローたちにもバリバリ嫉妬してる

  • 191二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 19:13:20

    思わぬ角度からの刺客でびびった

    これ知ってから>>156読み返してあぁ………ってなってる今

  • 192二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:19:32

    メンバー全員への愛が重いのは知ってたけど、そうだったのかTAKUYA
    あのオファー寄越した映画監督とか特にムカついたやろな

  • 193125/01/21(火) 22:42:04
  • 194二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:43:35

    もう16か早いな

  • 195二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:44:12

    埋め

  • 196二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:44:53

    埋めるぜ

  • 197二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:44:54

    うめ

  • 198二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:45:30

    スレ主についてく…

  • 199二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:46:21

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 22:46:49

    200ならこれからもスレが続いていく

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています