【トレウマ・SS】地下バ道の逢瀬

  • 1全二レス(予定)25/01/12(日) 22:31:58

    ……ファンサとかで誤魔化せるだけの間はターフに居続けたけど、アイツは結局出て来なかった。いつもなら最前列にいて、レースが終わればウザったさを覚えるくらい『よくやった、最高だった』とか褒めちぎってくるのに。ラスト仕掛けるタイミング図るのに周囲を軽く見回した時は、確かにあの暑苦しい顔が視界の端に映っていたんだけど……。

    勝利の余韻に浸りきれず、少しイラつきながら地下バ道を進んでいると

    「お疲れ様。中々来ないから何かあったんじゃって肝を冷やしたよ」

    アイツが——アタシのトレーナーが居て、いけしゃあしゃあとそんな事を言ってのけた。いつもなら適当に……内心の照れがバレないよう適当に返すところだけど、今日はそういう気になれない。

    「……ずっと、ここにいたワケ?」
    「まあね。……ほら、あの子を育てるためにもたまには無茶振りだってしなきゃだろ?だけど、近くにいるとどうしても助け舟出しちゃうからさ」

    聞いてもいないことをつらつら話し始めるのは、アタシの機嫌に気付いての事か、それとも何も考えていないのか。ともかく、これで納得がいった。

    コイツももう新人って訳じゃない。随分長く一緒に走ってきたから、チームも、コイツのとこで学ぶ新人のサブトレだって持つようになった。あの子とはそのサブトレの事だろう。

    コイツの性格上、女の人だからってことはあり得ないけど、新人時代の自分を重ねてしまってるのか妙に甘いのだ。いや、甘いというと少し語弊があるかな?厳しくする時はちゃんと厳しくするし。ただ、アタシの時にはできた『見守る』というのがどうにも出来ないらしい。困っていると辛抱できずに助け舟を出してしまうのだ。

    だから、コイツは今ここにいる。勝利後のインタビューとか対応とか全部彼女に丸投げするために。……流石にどうよ?と思わなくはないけど、まあチームの後輩達には結構しっかり者が多いしなんとかなるだろう。あの人自身、学生時代にアタシの走りを見て、それまで決めていた進路も何も全て放り捨ててトレーナーを目指すような無茶をやれちゃう人らしいし。

    はあ、とため息。事情はだいたい分かったし、理解した。けれど、それで満足した訳じゃない。まだトレセン学園に在籍してるとはいえ、もうティーンではないのに、こんな事を考えてしまうのは我ながら面倒な女とは思う。

  • 2全二レス(予定)25/01/12(日) 22:32:10

    それでも、いつも邪険にしてるレース後のやりとり。それをできなかった不満は理屈じゃ消えない。やっぱり、勝った時も負けた時もどんな時も真っ先にコイツの顔を見て、声を聞いて、それでウザいと思いたい。……そういうもんでしょ、アタシにとってアンタは単にトレーナーって訳じゃないんだから。

    トレーナーの首に手を回して、少し背伸びをする。……コイツ、せっかくアタシがいいリップ贈ってやったのに塗るのサボってんの?相変わらず唇がガサついていて、こっちの唇に傷がつきそう。アンタが相手じゃなかったらソッコーで跳ね除けて、恨み言の一つ二つ言ってやってるところだ。

    そんなありえない仮定をしながらも、キスは止めない。そうしていると、最初は呆気に取られて奪われるだけだったトレーナーも、腰に手を回して受け入れ始めた。

    もう少し続けていたかったけど、いきなりの事だ。トレーナーは充分に酸素が足りてないはず。仕方ないので容赦してやって、一端離れる。

    「……他のとこじゃ、ダメか?」
    「うっさい。……三回」

    けんもほろろに突き放すと、トレーナーもそれ以上何も言わずに短いのを二回してくれた。二回、そうたったの二回だ。

    「……三回って言ったんだけど?」
    「ああ……さっきの入れないでって事か」

    そんなすれ違いに呆れながらも最後の一回をしようとして、止められた。

    「そろそろ控え室に戻らないと不味い。……続きはそっちでしよっか」

    もうそんな時間だったんだ。それならしょうがない、少しだけ我慢してやろう。名残惜しく思いながら仕方なく離れる。……とは言っても、我慢させられる以上は、お返しにそれなりのことはしてもらうけど。少なくともさっきみたいな軽いのをもう一回なんてのじゃ、済まさない。

    「……ライブまで時間あるんだから、そのつもりでいてよ」

    そう言って手を差し出すと、トレーナーも苦笑しながら握ってくれた。相変わらず大きくて、温かい手だ。自分が最後にこちらへ降りてきたのだから今この辺りに他人の目はない。とはいえ、ここを抜ければそうもいかない。すぐに離さなきゃならないのに手を繋いでも仕方ない気もする。それでも、どうしてもこうしてしまう。それもそうだ。恥ずかしくて二人きりの時……それも夜みたいな妙なテンションになってしまう時くらいにしか言えないけど、アタシは——

    ——アンタの事を愛しているから。

  • 3おしまい25/01/12(日) 22:34:03

    たまにはあけすけならひゅらびゅじゃなくて密やかなものもいいよね…… あとシチーさってブチギレとまでは行かないけどそこそこ機嫌悪いって時は圧の強い笑みを浮かべてそう(偏見)



    前回書いたやつ

    寝言ドーベルwww|あにまん掲示板アンタの寝言、どうなってるのよ……「好きだ、好きだ」って何度も何度も、囁き続けて……。こんな事を、添い寝なんかをするんだもの。第一、もう恋人になれたんだし。言われなくたって分かってるのに。アンタとアタ…bbs.animanch.com
  • 4二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:39:51

    愛が重くてめんどくさい!そういう女の子っていいよね!!

  • 5二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:46:01

    コイツら控室でライブ時間までぴょいするんだ!

    …と言うのは冗談で膝枕とかハグとかして貰いながらの仮眠とかそんな穏当な感じのイチャイチャになりそう

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:53:34

    唐突に無茶振りされる新人ちゃんに悲しき現在…

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:03:38

    トレーナー尻に敷かれてそう

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:30:08

    新人ちゃんがトレーナーとしてまず覚えたのはシチーさんの機嫌を感知することだった…

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:43:31

    >>8

    シチーはちゃんと新人ちゃんに圧がかからないよう自制してるぞその分お家とか物陰でシチトレが大変な目に遭わされてるけど

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:48:31

    URA職員の間には『三年超えてもまだ組んでいるトレーナーとウマ娘の待合室にはノックした後充分時間を取ってから入室する』みたいな慣習ありそう

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:53:16

    私は常々思う お互いゾッコンの女性側優位シチュってエッチだよね…と

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:59:34

    昔はシチーを振り回す(無自覚)側だった男がすっかりよわよわになってしまってウッ

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:02:49

    ウザいと思うとこまでがセットなのめんどくさカワイイ
    甘え方教えたのはトレーナーだから責任取らないとね

  • 14二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:05:12

    ……ウザっ(シッポブンブン

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:34:45

    身長差が堪りませんよ

  • 16二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 02:24:26

    これさては新人ちゃんが文句の一つもつけてやろうと控え室にノックなしで入ったら事の最中の二人を目撃するパターンだな?

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:54:22

    >>16

    横目のシチーに立場をわからされそう

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