ハルウララ「ジャーン。忘れ物がなくなるノートだよ」【SS】

  • 1怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 22:35:38

     昨日、ウララさんの荷物をチェックした時忘れ物がまったくなかったわ。いえ、キングの同室の者として忘れ物など許せないからいつも夜に私がチェックしているんだけど……チェックの前に忘れ物がなかったからびっくりしちゃったの。


     キングちゃん、どうしたの?ほら、荷物ちゃんと準備できてるでしょ?

     ええ、よくやったわウララさん。やればできるじゃない。


     これで二日連続よ!いや、それじゃウララさんを信頼してないみたいでちょっと気まずいのだけれど。信じられ……信じてあげなきゃダメでしょキング。

     そうちょっとモヤモヤした思いを抱きながらもその日は眠りについた。ウララさんがあんなに嬉しそうにしてるんだから追及なんかできるわけないじゃない。もしかしたら本当に忘れ物をしなくなったのかもしれないじゃない。

  • 2怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 22:48:33

     翌日、ウララさんの準備の様子を見てない振りをして観察してたわ。するとなんていうのかしらね。いつものウララさんなのよ。普通準備する時って明日はこれだからこれが必要とか、そういえばこれを洗濯してたとか……そんな感じに。でもいつものウララさんなのよ。一回出したモノを忘れる、そんな感じの。

     異変に気づいたのは次、準備の途中度々机の上に広げたノートを見ているの。あんなノートあったかしら?しかも妙に古い気がする。


     うっららー。キングちゃん、準備終わったよ。

     あ、あら。早いわねウララさん


     見てたのバレてないわよね?そう思いながら返答する声は少し上ずる。


     ウララさん、そのノートは何かしら?私は初めて見るのだけど

     あっそうだ、キングちゃんみてみてー。これは忘れ物をしなくなる魔法のノートだよ。

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 22:50:40

    ぬ〜べ〜呼ばなきゃ、、、

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 23:00:18

    ウララ無自覚な心霊体質過ぎる

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 23:01:02

    このレスは削除されています

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 23:01:28

    >>3

    あー、思い出した。

    まことのやつか。

  • 7怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 23:10:43

     そういってウララさんが取り出したのはちょっと古い一冊のノートだった。何てことない普通の学習帳だ。……名前のところは汚れてて見えないけど。

     中を開いて見せてくれたのは確かにウララさんの持ち物だった。……結局ほとんどの持ち物が書き込まれている事に少し残念な気持ちになる。


     これはウララさんが書いてるのかしら?


     一縷の望みをかけてそう聞く。ただのメモ帳なんだと自分に言い聞かせるようにウララさんに聞いた。


     違うよ?なんかねー、かってに書いてあるの。ここを見れば忘れないようにしてくれてるんだね。


     やっぱりそうだったかと思う。最近変な事が回りで多い(トイレの幽霊とか)のにと少し頭を抱えたくなった。……だけどこれがまだ何か悪さをすると決まったわけではないし……とりあえずその日のところは様子をみることにしたわ。

  • 8怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 23:12:55

    >>3>>6

    はやい

    >>5

    いろんな所で見かけるけど自己紹介楽しい?

  • 9怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 23:32:03

     翌日、ウララさんとクラスの前で別れるとスカイさんにこの話を相談してみた。スカイさんは別に害がなければいいんじゃないかなぁみたいな感じだったけどキングが心配ならと美浦の先輩を紹介してくれたわ。


     それでマンハッタンカフェ先輩?

     ……聞いてましたよ。ですが私は別に霊能力があるわけではないので……期待に応えられるかはわかりませんよ?


     尋ねたのはマンハッタンカフェ先輩。長い青鹿毛の髪と黄色い瞳が特徴的な雰囲気のある先輩。トレセン学園の怪談にも結構オチとして出てくる人ね。


     ……それでそのノートは?

     えっと……これですね。


     トレーナーと遊びにいくと言っていたウララさんに悪いと思いながら帰宅後部屋におかれた鞄を改める。中から出てきた例のノートをマンハッタンカフェ先輩に見せると先輩は一度顔をしかめた。

  • 10怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 23:49:23

     キングヘイローさん。残念ですがこれは普通のノートです。おそらくこれを拾ったハルウララに何かが取り憑いてこれを媒介にコンタクトをとってるのでしょう。

     そんな……じゃあウララさんは

     おそらく今の所は問題ないと思いますが……出来ればウララさんの近くに誰かいるようにしてあげてください。ノートの事も話してください。

     それとなんで忘れ物なのかも気になりますね。ウララさんに憑いてるモノも何か忘れ物をしていたんじゃないでしょうか?


     あまりお力になれず申し訳ありませんが少し調べてみますとマンハッタンカフェ先輩は頭を下げると帰ってしまった。とりあえずウララさんのトレーナーさんとあと思い浮かぶ知り合いには共有しておきましょう。

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 23:51:49

    ほのぼのかと思ったらホラーなのか期待

  • 12怪奇譚シリーズ21/09/12(日) 23:52:26

    今日は切りがいいので一旦占め。また明日がんばります。ぬーべーバレはやいのよ。

  • 13怪奇譚シリーズ21/09/13(月) 11:05:22

     翌日以降、ウララさんといる時間をそれとなく増やしてみるが大きな異変は見られない。好奇心旺盛でいろんな所にいくのはいつも通りだし……なんとなく拍子抜けな気分だわ。危ない事が無いのはいいことなのだけれど……油断は良くないわね。

     そう思いながら2日目を迎えた。授業が終わってからトレーナーに頼みウララさんのトレーナーさんと合同練習をしている所にマンハッタンカフェ先輩がやって来たわ。


     ……お疲れ様ですキングヘイローさん。ウララさんは?

     あれー、カフェちゃんどうしたの?


     私とマンハッタンカフェさんが話しているとウララさんが私たちの方に寄ってきた。ウララさんの交友関係は本当に広いわね。


     ……ウララさんの顔を見に来ました。ああ、成る程。やはりウララさんはすごいですね。


     ウララさんの様子を見たマンハッタンカフェ先輩は驚きに目を見開かせる。そして私もその内容に息を飲むことになる。


     霊がウララさんに絆されてます。

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 11:07:51

    ウララはつよいなあ!

  • 15二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 11:08:22

    救いはあるんですね。

  • 16二次元好きの匿名さん21/09/13(月) 22:42:25

     それを聞いて安心をするがマンハッタンカフェ先輩の顔は渋い。ウララさんとその憑いている霊の相性がいいならいいんじゃないかしら?


     ……しかしそういうわけにもいきません。何かに長期間憑かれるということは精神、肉体にどういう影響を及ぼすかわかりません。霊がいくら好意的だとしても……ですね。それにウララさんが絆されているのはウララさんが無意識下に霊の希望に応えてる所もあるのでしょう。もちろんウララさん生来の性格もあるでしょうが


     じゃあどうすればいいのよ

     そうですね、ウララさん。


     何か探さないといけないものはありませんか?

  • 17怪奇譚シリーズ21/09/13(月) 23:16:46

     探し物?うーんとねー、勝負服かなぁ。なんか探さないといけない気になるの。


     勝負服ですか。その……どのような?


     勝負服、その時にピンと来た。私はマンハッタンカフェ先輩にその場を任せて急ぎ部屋に戻る。そして数冊の本を抱えて戻ってくる。それは割合直感いえ、第六感に近かったわ。


     ねえウララさん。ウララさんはこの中にピンと来るのがあるかしら?


     そう言ってウララさんにお母様の作る勝負服のカタログを見せた。

  • 18怪奇譚シリーズ21/09/13(月) 23:43:17

     うーん、これかな?


     そうウララさんは一つの勝負服を指指す。それはウララさんの勝負服とは似つかないタイプのモノだった。確かに嗜好とかに影響が出てそうね。


     ……G1に出れるウマ娘は多くはありません。勝負服を着るということはそれだけ重いことなのかもしれません。たまに学園支給の勝負服で走っている娘を見かけますが、たった一度のチャンスを不注意で逃してしまっては……こう未練も残るのかもしれませんね。

     ……そうね


     マンハッタンカフェ先輩の呟きがほんの少し胸に刺さった。

  • 19怪奇譚シリーズ21/09/13(月) 23:59:16

     あとがたり

     ねえキングちゃん、見てみてー

     はいはい見てるわよ。


     あのあとノートはアグネスタキオン先輩により名前の汚れの部分を復元され、もとの持ち主がわかった。その子は一回だけG1出場の栄誉を掴んだようだが、勝負服が着れる事に喜び過ぎて前日に着て回りその結果最大の晴れ舞台で勝負服を忘れるという事態になったらしい。その後中央ではうまくいかず、ローカルシリーズに行って数年、病気でなくなったそうよ。

     ……勝負服を手に入れる為にしたくもない電話をお母様にして、されたくもない小言を言われたが、大切な友人には代えられないもの。

     勝負服が届いてから件のノートには何かが書かれる事はなくなったわ。あとはこのノートと勝負服をその子の所に届けて終わり。


     ねえキングちゃん

     何かしら、ウララさん

     ありがとう


     その言葉は田舎に向けて走る列車の音と列車の窓から流れる初秋の風による幻聴か、二重に聴こえたような気がした。

     ep.未練【ワスレモノ】 fin.

  • 20二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:02:57

    このまま埋もれるのが惜しく感じる小話だった。乙

  • 21二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 00:20:17

    いい話や

  • 22怪奇譚シリーズ21/09/14(火) 00:24:02

     あとがたり(さっきのはまだ本編。)

     ……今回は協力ありがとうございました。タキオンさん

     いや、かまわないさカフェ。それよりウララ君は大丈夫なのかい?


     カフェは律儀に私に礼を言う。そんな事なら実験にもっと協力してほしい所だが……今日は貸し1で勘弁しておこう。そう思いながら自分の紅茶に手をつける。


     ……正直解決まで時間がかかりましたね。ウララさんですから大丈夫だとは思いますが、霊障として少し感覚のブレや嗜好のズレなどが出るかもしれません。魂に別人が張り付いていたのですから。


     カフェが言い切らないということは全くなんの影響もなくという訳では無いのだろう。いや、もう興味の外なのかもしれない。相談を持ちかけられれば対処はするが……


     成る程、それで……君はどうなのさ?長期間何かに憑かれると良くないのだろう、カフェ。今の君が生来の君自身だと……言えるのかい?


     悪戯にそう聞く。答えはなく、弧を描く口元と黄色の瞳で返された。
     

  • 23怪奇譚シリーズ21/09/14(火) 00:28:36

     閲覧ありがとうございました。ちょっと着地失敗した感じですね。ピタリと落とせなかった。キングちゃんと勝負服まで絡めた所までは好感触だったんだけど少し強引に展開しちゃったイメージ。あと秒でぬーべーネタバレてた。

    参考
    漫画『地獄先生ぬーべー』5巻 20年前の忘れ物の巻

  • 24怪奇譚シリーズ21/09/14(火) 00:30:03

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています