- 1二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:39:34
- 2二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:41:01
魔女……処女検査……閃いた
- 3二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:41:23
愛称と蔑称を同列に語ってはいけない
- 4二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:41:49
2着目は魔法少女ミカでいこう
- 5二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:42:46
- 6二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:43:13
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:44:54
…逆だったかもしれねえ(多分)
- 8二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:45:42
- 9二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:47:13
- 10二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:49:27
- 11二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:50:44
うん、ホントにそういう自虐止めようね
- 12二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:51:23
勇者はただの雇われで魔王は事業主だから……
- 13二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:59:14
- 14二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 15:55:13
結局のところ小さな積み重ねでしかない、と気づいたのは随分早かった覚えがありました。
車椅子を必要とする自分に向けられる目線は多種多様。
幸いにも私の周囲には理解ある方が多く、そして社会もまた福祉に力を注いでいる。
ええ、私はきっと恵まれている。
けれど、幼少期から可憐で草原で風に揺れる一輪の白百合が如き美少女であり『天才』だった私は幼くして気づいてしまう。
───違うのだと。
同じ人間は一人として存在しない世界であっても私のそれは個性と呼ぶには少々重過ぎて。
だから必ず差異が生まれる。
たとえば気を遣って道を開けてくれる親切を受けた時。たとえば車椅子用にわざわざ用意してくださったスペースに案内された時。たとえば手荷物を代わって届けてくれる優しさに触れた時。たとえば……映画館のような施設でお金を払う時。
これは当然、贅沢な悩みでしょう。そんな悩みは持ってはいけないとすら思ってしまいます。
でも、想うのです。
───孤独を。
社会の中で自分は人とは違うと理解してしまう出来事がある度に、孤独が積み重なるのです。
社会や周りが、世界は正しいのです。間違っているのは私のつまらない感傷の方。
でもどうしても時折小さく積み重なったそれが、ほんの少し縁から溢れてしまう。寂しいと思ってしまう。
だからつい、それを誤魔化すように「超天才美少女だから1000円でした」なんて嘯いて。
───今貴方に抱きしめられている。
ごめんなさい、先生。私はずるい女です。
ごめんなさい、先生。世界はこんなに私に良くしてくれるのに贅沢な悩みで心を苛むぐらい弱くて。
ごめんなさい、先生。私は天才で、美少女で、だから。
「もう少しだけ……こうしていて」
孤独に喘いだ私の心をどうかもう暫く貴方の体温で温める弱い私を許して下さい
- 15二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:04:25
「障がい者料金あるんや!安いやんけラッキー」ってできる当事者も世の中にはいるけど、そういう人が>>14のヒマリみたいな寂しさを今までに持ってなかったとは口が裂けても言えないのよな
スレチで申し訳ない、駄目なら消してください
- 16二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:06:44
魔女裁判でミカを全裸に…
- 17二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:21:15
お婆ちゃんだから大人料金じゃなくて、そういうこと?
- 180時の鐘が鳴ったから25/01/13(月) 16:28:53
魔女、なんてたった二文字。
1秒だって口にするのに時間はかからない。
本当に大した事のない言葉。辞書にだって当たり前のように載っている。御伽話にも出てくるごくごく普通のよくある単語。
───この魔女め!!
針みたいだなんて思った。力が足りないなんてこれまで考えた事なかったぐらいには私はちょっと強くて、誰も私の世界で私を傷つけたりはしなかったのに。たった二文字の言葉は心臓に刺さった針みたいに、なのに鋭く研がれた短剣で喉笛をついたみたいに。深く刺さって今も抜けないままでいる。
なんて事ない言葉なの。別に大した言葉じゃない。たったの二文字で、それを相手が口にする理由だって自分が一番理解してる。知っている、何をしたか。分かってる、自分の罪を。
だから別に言われるのは構わない。色々片付いて謝肉祭だって無事に終わって、でもまだそれを口にしないと我慢できないんだなーって。
……我慢できないぐらい許せないんだなって、分かるから。
でもね、でもさ。
───痛いの。
私が悪いのは知ってるつもり。私が間違ってたのも分かってるつもり。私が迷惑をかけて人の気持ちを踏み躙ってしまったのも、その罪の重さも理解したいと心から思う。だけど、時々すっごく『痛い』の。針が刺さったままずっと抜けなくて血が少しずつ流れていくの。泣いてるみたいにずっと、ずっと。
だから、つい口にしちゃった。迷惑なんてもうかけたくないのに。可愛いとこだけ見せていたいのに。早く貴方の元から巣立って一人前の大人の女性に見られたいのに。
冗談めかして「私は魔女だから」って。まるで構ってほしい安っぽい言葉の中に雫を隠して。
つい、口にしちゃった。
───“ミカは魔女じゃないよ”
ねぇ、先生。私毎日頑張ってるよ。一生懸命罪を償えたらって思ってるよ。笑顔できらきらしてて貴方がお姫様って呼んでくれたから、それに相応しいように頑張ってるの。
───“だから自分のことをもう傷つけないで”
でも駄目だった。ごめんなさい。大した事じゃないのに、こんな二文字で傷つく資格なんて私にはないのに。強い私の魔法が解けてしまう。貴方の厳しさ/優しさで魔法が溶けちゃうの。
だから───。
「もうちょっとだけ……おはなしきいてくれる?」
今日だけは素敵なお姫様じゃなくて、貴方に弱い自分を見せる生徒にならせて下さい - 19二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:47:02
- 20二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:50:05
- 21◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 17:54:23
大体アリスちゃんの話でけたけど解釈不一致だたらごめん……
あと長くなるからトリつけるね…… - 22◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 17:56:41
アリスは、分かりませんでした。
「はぁ……はぁ……っ。離して、よ……ユズ」
アリス達は予算申請に来たんです。ユウカを攻略して見事新作ゲーム開発の予算を獲得するクエスト。
ゲーム開発部のみんなでパーティを組んでユウカを倒すぞーって出発して、アリス達はセミナーまでやって来て。それから
「だっ……駄目だよ、モモイ」
───乾いた音が鳴りました。
「……頭を冷やしなさい、モモイ。ユズ、ミドリ」
アリスは分かりません。どうしてアリスの頬は熱いのでしょうか。
「うん、ありがとうユウカ。行こう、ユズちゃん、お姉ちゃん」
アリスは分かりません。どうしてアリスの頬は痛いんでしょうか。
「えと……その……よっ、よろしくお願いします!ユウカ先輩……!」
アリスは分かりません。どうして、どうして。
───どうしてモモイは泣きそうな顔でアリスの頬を叩いたのでしょうか。
「……ねぇ、アリスちゃん。少し珈琲飲みましょうか」
アリスには分かりません。 - 23◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 17:58:26
『部費が少ないのは……アリスが魔王だからですか……?』
アリスはそう口にしました。和気藹々した雰囲気でした。いつもみたいに冗談をアリス達は言い合ってユウカから予算がドロップしないかクエストに挑んでいました。だけど、アリスがそれを口にした途端、空気が冷たくなって。
それからすぐにアリスの頬が熱くなりました。
「最近ノアが凝り出してね。セミナーにちょっと良い豆を置くようにしてるの。あ、でもアリスちゃんは苦手よね?」
ユウカの問いに頷く。苦手かどうか。YESかNOの二択で答えられます。だからアリスは分かります。
「カフェオレ、とかが良いかしら?モカとかも出来るけどチョコレートシロップの在庫がま「分かりません」……そう、ね」
でも、アリスは分かりません。
どうしてアリスはモモイに叩かれたのでしょうか。
どうしてモモイは叩いたのは自分なのにあんなに辛い顔をしていたのでしょうか。
どうしてモモイ達は、みんな悲しい目をしたのでしょうか。
「ねぇ、アリスちゃん。なんで、モモイは怒ったんでしょうね?」
怒る。腹を立てる、不満や不快なことがあった時に我慢できない気持ち。アリスのストレージにある情報ではそう習いました。
「……アリスは分かりません」
でも、だから分かりません。いつもの冗談です。本気じゃないです。第三者を侮辱するような誰かが傷つく話題でもないはずです。なのに、どうしてモモイは泣きそうになるぐらい怒ったのか。
「そっか……そうよね、いきなりビンタされたんだもの。分からないわよね」
いつの間にかアリスの視界は真っ黒です。
目深く帽子のツバを下げてはいません。
アリスの前髪で視界が覆われているだけです。 - 24◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:07:25
「頬、まだ痛い?」
痛いです。ユウカが渡してくれた濡れたタオルを装備しましたけど、頬だけじゃなくて今度は胸部まで痛くなってきました。もしかするとモモイのビンタはスリップダメージを追加してくる攻撃だったのかもしれません。そんなことも、アリスは分かりませんし知りませんでした。
「そっか、痛いよね。痛かったよね」
はい、アリスは痛いです。今も痛いです。珈琲とホットミルクを入手したユウカがアリスの隣に座ってくれます。でも実は痛いだけじゃなくて寒いんです。四肢の末端にエラーが生じています。室温に変化はないのにどういうわけか冷たく感じるんです。
「寒い、かぁ……そうね、そんな風にもなるわよね」
はい、異常事態です。緊急事態です。何故だかどうしてかアリスにはちっとも分かりません。分からないけれど、漠然とした⬛︎⬛︎を感じます。
痛み以上に。
「……えぇ」
「⬛︎いってアリスは感じています」
それを正しく口腔から発声できたかアリスには不明です。アリスが自分で口にしたのにどういうわけかアリスの耳には入ってきません。ユウカの声もどこか遠く感じます。アリスの聴覚センサーに異常が発生しているのでしょうか。
「ねぇアリスちゃん。アリスちゃんは何が⬛︎いのか、良かったら私にだけ内緒で教えてくれないかしら?」
二人だけの秘密でね、とアリスの左側から聞こえてくるユウカの声。
内緒、秘密。その単語の意味は知っています。だからなのでしょうか、分かるからでしょうか。
アリスはちょっとだけ、何故だかホッとしたんです。
「……モモイがどうして怒ってるかアリスには分かりません」
「うん」
「…ミドリがあんなに寂しそうな顔をしたのかアリスには分かりません」
「うん」
「ユズが、なんでアリスを心配してるのか分かりません」 - 25◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:09:05
分からない。分からない。分からない。色んな冒険を一緒にしてきた大事な仲間なのに、モモイ達の気持ちが分からない。だから、⬛︎い。
「っ!モモイがっ……どうしてアリスを叩いたのか分かりません……」
さっきまであんなにアリス達は楽しかったのに、どうして叩かれたのか、アリスにはちっとも分かりません。だから⬛︎い。
「モモイが……っ!モモイがっ!……どうしてあんなに怒ったのか、なんで、どうして……あんな傷ついた顔をしたのか、分かっ、分かりません!」
アリスは勇者です。ミレニアムでした視力検査のクエストだってもちろんプラチナトロフィー、最高判定です。だからアリスは見ていました。
「ありっ……アリスは……!」
叩いた瞬間のモモイの表情も、叩いて『しまった後』のモモイの顔も。
去り際のモモイの目に揺れていた水面も。ぜんぶ見てしまった。だから⬛︎い。
「……あんなに怒らせてしまったから!だから!……だから、みんなに嫌われちゃったんじゃないかって……それが『怖い』です」
怖い、辛い、苦しい。アリスの頭の中でエラーが頻発しています。0と1が未来を見せます。演算された結果が出力する想像の未来図は。
ユズにミドリに、モモイに。嫌わられちゃうそんな未来が。
「それはきっと怖いことね」
どうしてなのかわからない。どうして怒ったのか分からない。分からないまま嫌われてしまったかもしれない。怖い、アリスは怖いんです。 - 26◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:14:16
「じゃあ……アリスちゃんは何がきっかけでモモイが怒ったかっていうのは分かるかな?」
分からない事だらけでもその質問はアリスには分かりました。叩かれる直前。その時のメモリーに残っているから。
……嘘を、つきました。アリス、知ってます。本当はわかってます。気づいてます。メモリーを思い出す必要もありません。モモイが手を振りかぶったのは。
───部費が少ないのは……アリスが魔王だからですか……?
アリスがその冗談を口にした直後のこと。
「えぇ、そうね。アリスちゃんが……冗談を言ったのがきっかけね」
でも、分かりません。アリスは『もう』勇者です。あの時モモイ達と勇者になるって、なりたい自分を選んだんです。だから今更魔王になんか『なるわけがありません』。なのにどうして。モモイ達は何が嫌だったのか、それがアリスには分からなくて。
「ねぇ、アリスちゃん。考えてみて?もしも先生が……そうね」
ユウカがまたアリスに質問します。
想像してみろと言います。その言葉にアリスの頭はのろのろと働き出して。
「“私はなんにも役に立たないからね”“私なんかいなくてもいいんじゃないかな”」
一瞬で。
何故だか分かりません。でもカッと痛い熱さを覚えたんです。
「なんて事を先生本人が『冗談で』言ったら……アリスちゃんはどう思う?」 - 27◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:25:13
頭の中で火花が飛びます。理解できない激情で気づいた時にはアリスはソファから立ち上がって口を開けたり閉じたりしています。言語機能にエラーが起きたように何も声は出ません。思考回路がめちゃくちゃです。
だってそれは。アリスは先生にそんなことを思ってほしくなんかないんです。
だからアリスはそんな冗談は───。
「うん、私も嫌。そんな言葉は聞きたくないし冗談でも言ってほしくない。アリスちゃんも同じ気持ちなら、どうして貴女は先生にそれを言ってほしくないんだと思う?」
「だって先生は!……先生はいつだってアリス達を助けてくれます。何度だって助けて一緒に冒険してきました!先生は確かにマスコットです、でも、『違うんです』!先生はすごくて、優しくて、いつも傍にいてくれて!大好きな人で、大事な人で……だから……」
ユウカの言葉に導かれるようにアリスの喉からわっと言葉が飛び出しました。
でもそれはすぐに地面に落っこちてしまいます。
まるでMP管理が出来てなかった魔法使いみたいにアリスの言葉も不発します。
でもユウカは、ちゃんと受け取ってくれました。
「そうね、だから私も『大好きな人を否定するような言葉は冗談でも言ってほしくない』の……たとえそれが自分自身に向けてであってもね」
そう言ってユウカはアリスの手を引きました。まるで重力スキルを受けたように、立ち上がっていたアリスの身体はポスンとユウカのところに不時着します。
「いい?アリスちゃん。アリスちゃんが言ったのは冗談だった。それは貴女にとっては別になんて事のない話。きっとアリスちゃんの中ではあの一件はちゃんと昇華されて───自分のなりたいものを、勇者であることを選んでる。それは私も嬉しい、でもね」
髪を撫でながらユウカが懐かしむように話しています。冒険の記録をめくるようにゆっくりとした口調です。それを聞いてると不思議と赤くにエンチャントされてたアリスの思考は穏やかになってくる気がしました。
「さっきのたとえ話のように、それが冗談であっても言っちゃいけないこと。そして友達だからこそ『言ってほしくないこと』がある。モモイにしろミドリ達にしろ、少なくとも今回のアリスちゃんの発言は、自分を自虐するような今回の冗談は間違いなくそれだった」 - 28◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:28:56
言ってほしくない、こと。アリスは魔王だと呼ばれました。アリスは魔王として生まれました。それは事実です。それを一度は受け入れて、でも今は勇者になると決めたんです。
けどそんなアリスが自分のことをあの時のように魔王だなんて言うのを『モモイ達が』聞いたら。もしも同じように先生が自分の魅力やこれまでの冒険を自虐する。
違います。
『否定する』言葉を冗談でも言ったら。
アリスはどんな気持ちになるか、もう分かってます。
「アリスちゃん。貴女にとってゲーム開発部の子達ってどんな関係?」
アリスにとってのゲーム開発部。それは宝物です。
大好きで大切で、失いたくない。かけがえのないアリスのパーティ。
「そう、友達で仲間で、大事な人。それは逆も同じでモモイ達にとってのアリスちゃんだってそうなの」
そしてそれを、モモイ達もそう思ってくれるのなら。
「魔王じゃないの、貴女は。そしてモモイ達にとって、私にとって。貴女は魔王じゃなくて勇者であることを選んでくれたミレニアムの大事な仲間なの」
アリスがもう分かります。さっきユウカが話してくれたたとえ話の時のようにきっと頭に火花が飛びます。自分を卑下してほしくなんかない。
「それなのに冗談でも自分のことを魔王だーなんて言われたら。悪様な自虐を、たとえ自分自身であっても大切な人を否定されたら……」
だってそれは。アリスにとってその人が大切な人だから。
「私もきっと嫌だって、苦しいって、悲しいって思うの。だからモモイは怒ったの───貴女に貴女を否定する言葉なんて言ってほしくないから」 - 29◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:41:50
アリスは分かりませんでした。
「ぁっ……ありすは……ありすはどうしたらいいんでしょうか……」
ユウカから大事なメッセージを受け取りました。アリスの中の疑問は解消されました。モモイの行動の動機だって判明しました。でも、一つ。
「あっ、ありす……言っちゃ、いっちゃいけないこと……言いました……!モモイ達に悲しい思いを、嫌な思いを!……させてしまいました……」
解決してない事があるんです。解決したい物がアリスにはあるんです。でもその方法が、解決の手段がまるでアリスには分かりません。
「ゆぅかぁ……ありっ、ありす……どうしたら……」
アリスには分かりません。言ってはいけない冗談を口にしました。大好きなモモイ達に嫌な気持ちをさけてしまいました。モモイが思わず叩いてしまうぐらい、辛い気持ちにさせてしまいました。
もうこれじゃあ、やっぱりアリスはモモイ達に嫌われ───。
「じゃあとっておき。魔法の言葉を教えてあげるわ、アリスちゃん」
アリスの髪を撫でるユウカの手が止まったかと思うと、そんな言葉が聞こえてきました。顔を上げるとユウカが微笑んでいます。
「実はね、私こう見えて魔法使いなの。それもとびっきりかんぺき〜な、ね」
そっとユウカの指がアリスの頬を撫でてくれます。あったかいユウカの体温はアリスの肌を通してじんわりしました。 - 30◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:51:18
「いい?アリスちゃん。これから貴女はこの部屋を飛び出してモモイ達に会いに行くの。それでモモイたちを見つけたら、いい?たった一言、けどしっかり心を込めて今から教えてあげる魔法の言葉を言ってみて」
───そしたらきっと仲直り出来るから
魔法使いにジョブチェンジしたユウカはそう言ってこっそりアリスに魔法の言葉を教えてくれました。
それはたった五文字の言葉です。容量だってとても小さいです。でもアリスはその単語と使い方を改めて記憶領域に登録します。だってこれは魔法使いから教わった大事な呪文。
決して忘れちゃいけない大切な贈り物。
「……その顔なら大丈夫。いってらっしゃい、アリスちゃん。きっと貴女なら魔法を使えるから」
そしてセミナーの部室からアリスはまた冒険に旅立ちます。今度の冒険はきっととても短い筈です。でもちょっとだけ……いいえ、とっても緊張する冒険です。でも大丈夫。だってユウカが教えてくれたとっておきの呪文がアリスにはありますから。
「はい!アリス、大事なクエストの攻略に出発します!」
ちょっと冷めたミルクを一気に飲んで、HPもMPも万全です。いざ出発と光の剣を手に取って、アリスは冒険の一歩を踏み出そうとして───。
「ユウカ!嫌な気持ちにさせてごめんなさい!それから魔法の言葉を教えて、アリスを助けてくれて!」
アリスは勇者です。今教わった魔法以外は光属性の攻撃魔法がメインウェポン。ユウカみたいにとっておきはありません。
だから代わりに。
「───ありがとうございました!」
とびっきりの笑顔とたくさんの気持ちを言葉に乗せました。 - 31二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:56:13
文豪め…
読ませるじゃねぇか… - 32二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:57:13
どのひとのもとてもすき(語彙消失
- 33二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:58:49
軽い気持ちで開いたのにとんでもねぇ文豪スレだった……
- 34◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 18:59:40
【蛇足のおまけ】
で、いつまでそこで隠れて見てるわけ?
……はぁ、柄にもないことしちゃったわ。
もうっ、揶揄わないで!
でも……そうね。あんなに仲が良いあの子達でも今回のようにちょっとした事ですれ違う。
どんなに通じ合っていても、私達は一人だって同じ人間はいない。スワンプマンなんて勘弁願いたいからね。そして違うから、それぞれにそれぞれの感情や価値観があるからどうしたって齟齬が生まれてしまう。
だからこそ、間違えた時は素直に、誠実に対応する。
昔は簡単に出来たのにだんだん難しくなってきたそれを、アリスちゃんを見習って私も気をつけていかなきゃ……って。
もー!ノア!いつまで笑って……る……の、よ?
せ、先生!?い、いつからそこに……?
たまたま書類を持ってきたら泣いてるモモイ達を見かけたから、ケアを済ませておいた?
その足でこっちに急いで来た?
とっても良い諭し方だった、ユウカは良いお母さんにな、る……ね……
……もおぉぉぉおぉ!
せーんせーい!来てたならもっと!早く!そう!仰って下さい!もうっ! - 35◆cbItSHG.3g25/01/13(月) 19:02:14
- 36二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 19:04:41
1時間でこれをお出しできるのは化物と言うほかない
- 37二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 19:06:55
しんみりしたと同時に独白でも天才で美少女の部分は全く揺らいでなくてニヤリとした
- 38二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 19:46:10
- 39二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:06:30
- 40二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:19:03
あまりに良い…
これ程の読ませる文、尊敬なのだ - 41二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:21:48
言葉に込められた気持ちの言語化が上手過ぎる
- 42二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:27:43
ええはなしや…
- 43二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 04:33:41
- 44二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 06:22:33
保守
- 45二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 18:16:57
あげ