【夢・閲覧注意・SS】鉄道員メグリ

  • 1スレ主25/01/13(月) 13:35:54

    俺の名前はメグリ バトルサブウェイの鉄道員だ
    今日4つ下の弟達 ノボリとクダリがサブウェイマスターに任命された

    【このスレの概要】
    サブウェイマスターのノボリとクダリの兄である"メグリ"が主人公の夢SSをスレ主が好きなように書き連ねます 祝日だし
     
    【注意事項】
    ・別スレで吐き出したスレ主によるスレ主のための夢だけで構成されています
    ・あらすじを文章化したら我慢できなくて詳細を書きたくなりました 吐き出す場所がここに選ばれてしまいました
    ・夢主やオリキャラや捏造等が苦手な方は逃げてください
    ・暗い系の話しが苦手な人も逃げてください やや暗いです
    ・別スレで似たような書き込みを見て苦手だなと思った方も逃げてください 恐らくそいつはスレ主です

  • 2スレ主25/01/13(月) 13:37:28

    〜XX年前〜

    俺の名前はメグリ 9歳だ
    ポケモンバトルが得意でクラスで一番強い!!
    この前も友達が他の学校のやつに絡まれてるのを相棒のテッシード「テッシー」と一緒にバトルで軽くひねってやったし
    さっきも4歳下のかわいい弟たちが野生のポケモンに襲われた時も軽く追い払ってやったところだ
    「メグリ兄さま ありがとうございます」
    弟のノボリが俺に嬉しそうにお礼を言う
    「ぼく メグリ兄さんみたいに強くなる」
    ノボリの双子の弟であり俺のもう一人の弟 クダリがすごくキラキラした目で俺を見る
    「俺は兄ちゃんだからな!!当然だ」照れ隠しに2人から視線を外しながらそう言った
    「ポケモンバトル 兄ちゃんが教えてやるよ」声が上ずりそうになるのを抑えながらそう言って最後に「面倒だけど」と付け加える
    次の瞬間弟たちに腰に抱きつかれてそのまま後ろにすっ転び 二人の頭をぐしゃぐしゃと撫でた

  • 3スレ主25/01/13(月) 13:38:13

    「メグリ兄さま 流石でございます またお手合わせをお願いいたします」
    ノボリが瀕死になったポケモンをボールに戻す
    「まぁこんなもんじゃないか お前ら物覚え良いからすぐ俺みたいになれるよ」
    そう言いながら さっきまでは負けるんじゃないかと内心焦っていたことによる手の震えを抑える
    「メグリ兄さん 次はぼく」
    「待ってろ ダブルバトル用にポケモンかえるから」
    ポケモンバトルを弟たちに教えるようになって1年は経っただろうか
    最初はもちろん2人は俺に勝てなくて手加減してやっていた でも気がついた時には手加減しなくても負けることが多くなってきた
    「お前ら用に手加減するパーティー組む俺の身にもなれよ」2人に聞こえる声で独り言のように呟く
    「待たせたなクダリ じゃあ軽くやるか」そう言って勝てるかどうか不安な気持ちを押し殺して2匹のポケモンを繰り出した

  • 4スレ主25/01/13(月) 13:39:18

    勝てない バトルで弟たちに勝てない
    「手加減しでやらないとなぁ 負けて泣かれたら俺がやだし」そう言いながらエースのテッシーをモンスターボールに戻す
    「メグリ兄さん ノボリ すごーくいい戦いだった」
    「ありがとうございます メグリ兄さま」
    弟たちが何の疑いも無く俺のポケモンバトルの腕を褒めてくる
    「メグリ兄さん 忙しい?? 次はいつ??」
    「わかんねぇ 学校の友達にもバトル教えなくちゃいけねぇから」
    嘘だけど嘘じゃない 本当に頼まれることだってある

    最近は言い訳をして弟たちとのバトルの時間から逃げてる
    逃げてるわけじゃない 学年が4つも上なんだ
    俺は弟たちよりも勉強することは多いし宿題だってあるんだ

  • 5スレ主25/01/13(月) 13:41:03

    学校の廊下で弟たちのクラスメイト達とすれ違った
    「今のノボリくんとクダリくんのお兄さんじゃない??」ヒソヒソと小声で話しているのを背中に受けながら廊下を歩く
    回り道をすればよかった 
    次の授業は移動しなきゃいけない授業なのに休み時間ギリギリまでテッシーと校庭裏で特訓をしていたせいだ
    自分の教室から目的地まで最短距離を通るために 普段は避けている弟たちの教室の近くを通ってしまった
    「ブラボーでした!!」
    「うん すごーく強い」
    聞き慣れた声がして思わず聞き耳を立てた 弟たちの声だ
    「へー ノボリくんたちよりつよいのー??」
    「勿論でございます!!」
    「相棒のテッシードとのコンビネーション 最高バツグン!!」
    「クダリくんたちのおにいちゃんとたたかってみたーい」
    俺の話だ 一瞬足をとめそうになる
    が 教室へと急ぐ
    弟たちが俺よりも強いという事に気がついたら
    俺はなんて言われるんだろうか

  • 6スレ主25/01/13(月) 13:45:08

    ある日の晩飯時 今日も嫌な話題が上がる
    「今日 バトルの授業で技構成を褒めて頂きました」
    ノボリが母さんに言う そして母さんがそれを褒めた後にいつもの余計な一言が来る
    「メグリ兄さまの技構成を参考にさせて頂いたのです 流石でございます」
    勝てない俺に嫌味かよ 嫌味じゃないのはわかってる
    「よかったな」
    話を広げないようにテレビから視線を放さず答える
    「メグリ兄さん ぼくもすごーく褒められた メグリ兄さんに勝てたときのパーティー」
    「へー」俺がこう返しても弟たちは学校で褒められた事とそれが俺のお陰だとでも言いたいのか話を続ける
    俺のお陰だったらなんなんだ 俺に話を振ってくるな
    母さんは優しい笑顔でよかったわねと言うと俺にもどうかとエガオで聞いてきた
    ちょうど見てた番組が終わったところだった
    俺は急いで晩飯をかっこんで「宿題やったら友達とゲームする約束してたから」と言って自分の部屋に逃げ込んだ

  • 7スレ主25/01/13(月) 13:47:51

    「あー卵買い忘れたな まぁいいか…」
    買い物帰り 家の近くに来るといつも何かしら買い忘れを思い出す
    一人暮らしもだいぶ慣れてきたがかわりに独り言が増えてきた気がする

    俺は今 ライモンシティのバトルサブウェイで鉄道員として働いている
    とにかく早く家を出たくてポケモンバトルもそれ以外の学問もとにかく頑張って就活した
    「テッシー これそっち置いといてくれ」
    進化してナットレイになった相棒にレジ袋の一つを渡す
    手慣れたもんでトゲで袋を破くこと無く受け取りテーブルの上に置く
    「明日からまた出社だ 頑張ろうぜテッシー」
    そろそろニックネームを変えたほうがいいんだろうな思いつつも相棒の方を見ると嬉しそうな鳴き声が返ってきた
    テッシーの蔓と同じ様な緑色の制服は結構気に入っている

  • 8スレ主25/01/13(月) 13:51:12

    「君が配属されたばかりのメグリ君か 話はきいてるよ」
    「いえ 自分はまだまだです」
    研修生の時にそれなりにバトルの成績をおさめた俺は「クラスで一番強い奴」から「新人にしては強い奴」になっていた
    それでも俺はよかった
    ここだと「ノボリとクダリのお兄さん」じゃないからだ

    今日はバトルの研修だった 本配属されてからもまだたまにあるらしい
    「なかなかやるね 君のナットレイまだまだ伸びしろあるし 頑張ってね」
    「はい 精進いたします!! ご指導ありがとうございました」
    1手の読み違いで勝てたかもしれない先輩に頭を下げる
    いや 勝てなかっただろうな
    自分の靴を見ながら次はテッシーに勝たせてやりたいと強く思った

  • 9スレ主25/01/13(月) 13:53:42

    「ナットレイ パワウィップ」
    今日もバトルをご所望の乗客を捌く
    「まじかよ!!20戦目だったのに!!」
    命中不安技だが相棒のナットレイは難なく当ててくれた ニックネームは少し前にナットレイにかえた
    「またのご乗車お待ちしております」
    最後の乗客を笑顔で誘導し 改札口まで見送る

    「明日から長期休暇かぁ 久しぶりに家に帰るぞナットレイ」
    相棒も実家に帰るのが嬉しいのかロッカーからカバンを取り出す俺の後ろで小躍りしている
    就職してから2年ぐらいは研修となれない激務で長期休暇でも実家に帰る気力がわかなかった
    「久しぶりに母さんと ノボリとクダリにも会えるぞ」
    ナットレイのトゲを避けて頭を撫でてやる
    弟たちに会うのは本当に久しぶり すごく楽しみだ

  • 10スレ主25/01/13(月) 13:58:28

    実家についた日
    弟たちが年甲斐もなく駆け寄ってきてポケモンバトルをしようと言ってきたが母さんの「疲れてるんだからゆっくりさせてあげなさい」の一言で落ち着いた
    「連休は長いんだ いつでも相手してやるよ」
    そう言いながら弟たちの頭を引き剥がした後 やっと玄関の中に入れた
    こうなるだろうと弟たちと戦う用にポケモンは用意していたし
    いざとなればサブウェイで普段使っているポケモンもいる
    俺は学生とはもう違うんだ
    「バトルサブウェイではどのような方々とバトルをするのですか??」
    「本気のバトル できる??」
    サブウェイに乗ったことがない弟たちがずっと質問をしてくる
    「よし じゃあこの前 兄ちゃんが戦ったすごい乗客の話でもしてやるよ」
    久しぶりに弟たちとするポケモンの話はすごく楽しかった
    子どもの頃に戻ったように母さんにもう寝なさいと怒られるまで話は続いた

  • 11スレ主25/01/13(月) 14:00:30

    「おー!!ノボリ強くなったな!!」
    今日は約束通り弟たちとポケモンバトルをしていた
    「メグリ兄さまが帰省されると聞いて調整しておきました お手合わせ ありがとうございます」
    ギリギリで勝利した最後のポケモンをボールに戻す
    「メグリ兄さん 次はぼくと本気のバトル ポケモンバトルは真剣でないと つまらない」
    「待てよ お前らと本気で戦えるパーティーにするの大変なんだぞ バトルサブウェイで使ってるやつそのまま持ってきたら俺が本気出せないしな」
    自分でも説明口調だと自覚しながらダブルバトル用にポケモンを用意する
    用意した4匹はバトルサブウェイで俺がよく使っている
    構成だ
    そしてさっきノボリと戦った時の3匹も普段から仕事で使っている
    手加減用のポケモンなんて必要無かった

  • 12スレ主25/01/13(月) 14:02:58

    長いと思ってた長期休暇も終わりが近い
    明日の昼にはまた一人暮らしの家に帰る
    今が最後の家族での晩飯だ
    俺は長期休暇だったが巷はただの平日
    弟たちは学業があり意外と一緒に遊ぶ時間無かったなどと話しながらも 俺はどこかで良かったと思っていた
    「メグリ兄さま 実はわたくし達からお話しが…」ノボリが急にかしこまり 隣でクダリも持っていたスプーンを置いて座り直す
    「なんだよ急に」
    母さんの方をチラ見するととても嬉しそうな笑顔をしている
    「なんだ??彼女でもできたのかよ??」俺がノボリをおちょくると「いえ」と軽く首を振った後にノボリが続ける
    「わたくし達 バトルサブウェイへの就職を目指しております」
    俺はその一言に笑顔が凍りつきフォークを落としそうになった

  • 13スレ主25/01/13(月) 14:05:13

    「なんでだよ お前らならリーグ関係とか他にも色々あるだろうが また俺がお前らと比べられる」そう言いそうになった

    「この子たちメグリを驚かせたかったのよ」母さんの言葉で意識が現実に引き戻される
    「ぼく ずーっとメグリ兄さんに憧れてた」
    「わたくし メグリ兄さまを目指して精進してまいりました」
    弟たちは小さかったあの時と同じ目で俺をみてる
    嘘偽り無く俺の事を強いトレーナーだと思ってくれている 嬉しいし ちょっと恥ずかしいし 本当は俺よりも強い弟たち

    俺は持ってたフォークを皿の上に置くと立ち上がり弟たちの方へ行くと「そうか!!待ってるぞ!!」そう言って二人の頭をぐしゃぐしゃと撫でた

  • 14スレ主25/01/13(月) 14:06:17

    激務に追われ日々が過ぎ 季節がかわる
    「もうこんな日か」
    部屋の壁に掛けてあるカレンダーを見ると丸で囲っている日か近づいていることに気がつく
    バトルサブウェイの採用試験合否結果が発表される日だ
    「なぁ ナットレイ 二人とも」
    不合格かな 合格かな どっちできこうかと声が詰まる
    ナットレイは 大丈夫二人は受かる とでも言いたげに鳴く
    「どうだろうな」
    と俺は返した

  • 15スレ主25/01/13(月) 14:10:59

    合発合否表当日
    仕事なら良かったのにちょうど休日だ
    教えなきゃ良かったのに 休みだからライブキャスターも出れる と言ってしまった
    自分の合否発表の日のように落ち着かず何か取りに行っていつもの席に座っては また何かをするため席を立つ
    自分の時と違うのは心の底から合格の発表を待っていると同時に 心の底そこから不合格も望んでいる気がしているところだ
    俺は最低の人間だ 弟たちを騙してきた罰だ
    弟たちに尊敬され続ける人間でいようと嘘を重ねたせいで最低な人間に成り下がった
    何もしていないとそんな事を考えてしまう

    テーブルの上に置きっぱなしにしていたライブキャスターが鳴る 着信音に慌てて駆け寄ると俺のベッドの上で寝ていたナットレイがタオルケットを引っ掛けたまま俺の後ろに続く
    「どうだった??」
    久しぶり とか 元気か とか 何から話したら良いかと悩んでいたはずが俺の口から出た言葉は結果を求めるものだった
    『メグリ兄さま 実はわたく…『ぼくたち合格 二人とも!!』
    『クダリ!!』
    画面の中で弟たちがわちゃわちゃとじゃれ合い後ろの方で母さんが笑っている声がするのをぼーっと見つめる
    「よ…よかった…」
    本心から出た言葉だった そう感じて安堵の息をつき椅子に座る
    『ノボリったら メグリに一番最初に教えるって言って私にも教えてくれなかったのよ』
    『クダリっ わたくしがっ!!』
    『アハハハハ』
    画面の中の幸せな光景をを見つめながら俺はこぼれそうな涙を軽く拭いた

    入社祝いは…無難に財布とか名刺入れとか色々考えたが
    「やみのいしと…かみなりのいし とかでいいかな」画面を見ながら俺は呟いた

  • 16スレ主25/01/13(月) 14:13:34

    あんなにも不安だった弟たちの入社は 俺が考えていたような影響は無かった
    学校なんて小さい集団ではないし入社したては研修で忙しい
    弟たちと職場で顔を合わせてバトルに挑まれる事なんて全くない
    そもそも俺が二人の兄である事を知っている人はほとんどいない
    わざわざ比べられることも今のところはない
    そんなことよりもいかに乗客達を捌くかが俺達の仕事だ
    みんな入社したての研修生の事を気にする暇はない
    今日も俺は緑色の制服を来て相棒と一緒に仕事をする

  • 17スレ主25/01/13(月) 14:17:44

    入社した新人達の研修が終わり本配属が決まる季節
    寮を出られるようになったノボリとクダリにある提案をされる
    3人で一緒に住もうとのことだ
    なんの因果か知らないが 兄弟3人同じ部署になったので記念にとのことだったが丁重にお断りした
    理由は特に思い浮かばなかったが「女 呼べなくなるだろ」と言った時の二人の表情が今にも目に焼き付いている
    同じ部署に弟たちが来ても周りは俺が二人の兄だと気が付かないやつが大半だ
    俺は子供の時ほど二人にそこまで似ていないし 双子と言う事象のインパクトがでかいのだろう
    そして二人には職場で俺の事を兄と呼ぶなと言ってある
    「メグリにぃ… メグリさま こちらの書類は…」
    「ああ その書類は」
    仕事の事を弟たちに教えるのも楽しかったし教えられる事があるのも嬉しかった
    「またわからない事があればきいてください ノボリ君」
    そう言って先輩として 心からの笑顔で弟たちと接する

    他にもポケモンバトルの腕で勝てないからと陰湿なことをするバカな奴から人知れず弟たちを守ったり
    仕事の悩みを打ち明けられた時には呑みにも連れて行った
    一人でバトルサブウェイで働いていた時よりも充実した日が続いていった

  • 18スレ主25/01/13(月) 14:21:45

    俺の名前はメグリ バトルサブウェイの鉄道員だ
    今日4つ下の弟達 ノボリとクダリがサブウェイマスターに任命された

    俺は今日も緑色の制服を着て仕事をしている
    「メグリさんの弟さん達すごいですね あの若さでサブウェイマスターだ」
    隠していても流石にバレる 2人が俺の弟だと知っている人が増えてきた
    黒と白の制服は遠目でも緑の中ならすぐわかる
    「ええ 自慢の弟たちです」
    俺はそう先輩に返して拳を握りしめる

  • 19スレ主25/01/13(月) 14:23:34

    弟たちはサブウェイマスターになっても変わらなかった
    前より職場で直接顔を合わすことも減ったし休みの日が合うのも少なくはなった
    それでも厄介客の対応は俺の方が上手いし
    たまに飯に誘うと弟たちは子どもの頃みたいに喜んだ
    ただポケモンバトルだけは断った
    俺は正直に「もうお前らには勝てねぇよ」と打ち明けた日から外で二人に合う時は相棒のナットレイ以外は連れて行かなくなった
    二人はまだ俺のナットレイを「テッシー」と呼んでいた
    俺は訂正しなかった

  • 20スレ主25/01/13(月) 14:43:31

    今日も俺は緑色の制服を着て仕事をしていた
    「えっ!? メグリ先輩ってボス達のお兄さんなんですか!?」
    休憩室から最近本配属された新人達の声がする
    「そんな驚くことかよ」
    「だってあの二人とメグリ先輩とあまり似てないですし」
    聞かなきゃ良いのに廊下で立ち止まり聞き耳を立てる
    俺も子どもの時よりは二人と似ていない自覚はある
    「それに…なんていうか…」
    何を言われるのか 俺は脳内で色々と余計な予測をする
    「ボス達って人間らしくないって言うか メグリ先輩は人間味ありますし」
    「お前 どういう意味だよ 絶対ボス達に言うなよ」
    新人達の笑い声が廊下まで響く
    二人は人間離れした実力なのに 俺には無い
    「そういう意味かよ」俺は小声で呟いて廊下を歩き始める

  • 21スレ主25/01/13(月) 14:45:27

    サブウェイマスター様はお忙しい
    俺はただの鉄道員 職場でお二人にお会いする機会はさほどない
    職場で二人を避けるのは簡単だし もし用があってもお二人の時間を奪わないよう事務的にすぐ終わらせる
    休みの日もお二人と合わないようにシフトを調整する事はさほど難しくはない
    被ってしまった時にもライブキャスターの電源を切ってナットレイをボールに入れてベッドに籠もればいいだけだ

  • 22スレ主25/01/13(月) 14:48:43

    俺はいつまで意地を張っているんだろう
    サブウェイマスターの二人を避けて
    今日も俺は緑色の制服を着て出社した
    事務所に入ると先輩が俺に手招きをする
    「メグリ君 サブウェイマスターのノボリさんどこに行ったか知らない??」
    「俺に聞かれても困ります」と言いたいのをこらえて「どうしました」と聞き返す
    「それがさ…」先輩は小声で続ける
    「昨日から無断欠勤で…」
    一瞬先輩の言っている言葉の意味がわからなかった
    「 あのノボリが??」 思わず聞き返す
    「そうなんだよ クダリさんならやりそうだけどさ ははは 君の弟なんでしょ 何か知らないかなって…」
    「クダリも無断欠勤なんてしませんよ」
    先輩の無礼な冗談に思わず反論する
    「あ いや クダリはなんて 彼なら何か…」
    いいかけて昨日はクダリが休みだったことを思い出す
    だから俺は昨日 ライブキャスターの電源を切ってベッドに潜り インターホンが何度なっても全て居留守を使ったんだ
    「休みの日に連絡するのは悪いと思ったんだけどさ クダリさんに連絡したけどわからなかったみたいで 君にも電話したけど繋がらないし…」
    先輩の声が段々遠くなっていく様な気がした

  • 23スレ主25/01/13(月) 14:50:48

    「すみません サブウェイマスターのノボリさんのお兄さまですよね」
    今日も変な輩が絡んでくる
    「ノボリさんはお兄さんに憧れてバトルサブウェイに就職されたとお聞きしました 弟さん心配ですよね」
    「一言ください」
    マイクとカメラを持った輩だ
    「弟さんがサブウェイマスターに就任された時はどういう心境でしたか??」
    一瞬足をとめかけるが黙って駅の構内に入る

    「大変そうですね」
    無事に出社してかけられる言葉が気の毒そうな同僚の言葉だった
    「流石にここまでは入ってこないから 仕事してる時が一番静かだよ」俺は同僚に笑って返す たぶん笑えていた
    「まぁ…でも…一番大変なのはクダリさんですかね」
    「どういう意味だ」
    聞き返した俺の言葉に同僚が一瞬固まる
    「え…と… マルチトレインはしばらく運転見合わせで…シングルトレインとマルチトレインの乗客数が増える上に結局シングルトレインも出てるし…」
    「そうだな そうだよな あいつは頑張ってる」
    俺は一瞬何を考えたんだろう

  • 24スレ主25/01/13(月) 14:52:56

    「そして 弟の昇進を妬み 犯行に至ったと」
    「違います!!」
    俺は暗い部屋で顔が見えない相手に反論をする
    ライトは俺だけを照らしている
    「では ノボリが失踪した日は何をしていたのかな ライブキャスターの電源を切って 訪問者に全て居留守を使っていたとでも?? 一体どうして」
    「それは それは…」
    「ノボリが居なくなることによって クダリへの職場での負担を増やし 疲弊していく様をみたかったのですね」
    「違う 俺のせいじゃない!!」
    俺が机を思いっきり叩くと照明が倒れて光が相手の顔を照らす 俺が冷たい目でこちらを見つめている

    俺は慌てて飛び起きる
    また同じ夢だ
    呼吸を整えるために深呼吸をする
    周りを確認すると間違いなくここは職場の仮眠室だ もう完全に目は覚めているらしい
    ベッドから起きて時計を見る 仮眠室に来てから5分も経っていない
    軽く伸びをしていると足音が近づいて来た
    この時間に仮眠室に来るとしたら同僚のあいつだろうかと何人か候補を思い浮かべて入ってくるのを待つ
    また変な夢をみたと愚痴ぐらい聞いてくれるだろう
    扉が開くと白い制服が見えた

  • 25スレ主25/01/13(月) 15:16:53

    「あ」
    俺は固まる
    クダリは今 こんな時間に休憩は取れないはずだ
    「よかった メグリ兄さん まだ起きてた」
    クダリが笑顔で話しかけてくる 俺は思わず顔をそらした
    どうやら俺の同僚が今なら仮眠室で俺に会えると言ったらしい そんな事を話しながら近づいてくる
    「なんだよ サブウェイマスターは今忙しいだろ 何が聞きたいんだよ」俺はあの休みの日に何をしていたと答えるべきか思考を巡らせる
    「メグリ兄さん ちゃんと寝れてないってきいて」
    同僚が余計な告げ口をしたようだ
    「ノボリ きっと帰ってくる だから大丈夫だよ メグリ兄さん」
    「お前も俺が何か知らないかさぐりに来たのか」そう言おうかと顔を上げるとクダリと目が合う
    笑っているが目の下には今まで見たことがないクマがあり目が少し涙で潤んでいる
    「ああ そうだな」俺はそう返したそれ以外に何を言うべきか考えた
    「お前の顔見たら元気でたわ ありがとな」そう言うとクダリは笑顔で踵を返した
    「ぼく 行かなきゃ 絶対20連勝させないでってお願いしてきちゃった」
    そう言いながら部屋を出ていった
    俺の同僚も随分無茶なお願いを受けたようだ

  • 26スレ主25/01/13(月) 15:18:59

    人間は良くも悪くも慣れる生き物だ
    気がついたらマイクを持った輩たちはノボリが居ないことに慣れて他の刺激を探しに行ったようだし
    マルチトレインの運転見合わせによる乗客の混乱も今は無く 前からこうだったかの様な動きをしている
    先輩や同僚達も俺にいちいち同情するような声をかけるのはやめてくれて 以前のように戻った
    次は警察がノボリを見つけた時にまた環境がかわるんだろうな なんとなくそんな事を考える余裕ができた
    今まで通りと違うことは職場で弟とよく会うようになった事ぐらいだ
    サブウェイマスターで忙しいはずの弟とよくすれ違う様になりついでに二言三言交わすようにもなった
    答えは簡単で俺がわざわざ避けるのをやめたからだろう
    用事がある時に仕事以外の話をするようにもなったしいちいちシフトを意識するのもやめた
    顔を見る度に弟は笑顔を俺に向ける
    仕事の疲れはあるようだが それでもやっと今の状況に慣れてきたんだろう
    俺も弟の笑顔を見ると正直安心する
    このままきっと ノボリも無事に帰って来る なんだかそんな気がしてくる

  • 27スレ主25/01/13(月) 15:20:28

    「すっごく強くて ポケモンとのコンビネーション 最高バツグン!!負けちゃったけど すごくおもしろかった」
    「そいつこの前も言ってなかったか??バケモンかよ」
    久しぶりに上がる時間が被った弟と更衣室で雑談しながら一緒に帰り支度をする
    厳密に言えば先に弟が着替えていたところにたまたま俺が合流して 帰り支度が終わった弟がカバンを抱えたまま椅子に座って話しているのをききながら俺は着替えている
    着替え終わってカバンに荷物をしまい込む
    ちょうど話しが一括りして更衣室内が無言になる
    「じゃあ ぼく帰るね」
    「あ あのさ」
    椅子から立ち上がったクダリを思わず引き留める
    「なに??」
    「久しぶりに家族で飯でもどうかなって」
    なんだか断られる気がしてずっと誘えなかった
    「兄ちゃん奢るぞ」
    取ってつけたように続ける
    クダリは笑顔をこちらに向ける
    「うん 行こう!!」

  • 28スレ主25/01/13(月) 15:23:10

    何年ぶりだろう弟達 いや弟を飯に誘ったのは
    弟達が本配属で来たばかりのときによく3人で飯に行ってたのを思い出す
    「なんでもいいぞ 好きなの頼めよ」
    「うん ありがとう」
    目の前の弟は大きくなったが子どもの時と何も変わらない
    どうしようかなと鼻歌まじりに言いながらメニューのページをめくるクダリをみていると 明日にでもノボリが見つかったと連絡が来そうな気がしてきた

    色々落ち着いたらまた3人で飯に行こうと誘おう
    でもノボリの事だ すぐに仕事に復帰して心配した母さんに俺が小言を言われる
    そしてまたなかなかシフトが合わなくなるんだろうな

    色々と考えているとページをめくるクダリの手が止まった
    「ノボリ…帰ってこないのかな」
    人に聞かせるつもりのなさそうな声量で俯いたままのクダリが呟く
    「ん??」
    俺はなんと言ったらいいかわからず 聞き返すとクダリは「なんでもない ほら これおいしそう」期間限定だってと続けながらメニューを指さして俺に笑顔を向ける
    いつもの笑顔だ ここ最近職場で会う度に見せてくれる笑顔
    子どもの頃の笑顔と違う事に 俺はやっと気がついた

  • 29スレ主25/01/13(月) 15:28:19

    「おいしかったね」
    「せっかく兄ちゃんが奢るって言ったのにお前…」
    店を出るとき結局弟が自分の分は出すと言ってきかなかった
    店の外に出た俺は特に何も言わずに弟達の家の方向へ歩き出す
    俺の家が逆方向なのは勿論わかってるし クダリもその事についてはなにも触れずに着いてくる
    「そういえばさ お前ら家事とかどうしてたんだ 当番制??じゃんけん??」
    少し踏み込みすぎた質問かと思いながらも聞いてみる
    俺は弟達がどうやって過ごしていたのかを知らない
    断られても良いから きいておきたかった
    「当番制 シフト決まった時に決めてた だけど前にノボリ 朝ごはんの当番だったのに寝坊して…」
    そこからずっと クダリはノボリの話をしていた
    「ノボリ お皿に移すときにひっくり返すの失敗 でも すごーくおいしくできて シビルドン達と取り合いになった」
    「なんだよそれ」
    俺の知らない二人の話 俺は笑いながら相槌を打つ
    とても他愛のない話 仕事の事じゃない話
    弟たちの家の前について俺は足をとめる
    「送ってくれてありがとう メグリ兄さん おやすみ」
    クダリが足をとめた俺の隣を通り過ぎていく
    「あのさ」
    クダリが立ち止まり俺を見る
    「いや おやすみ また飯行こうな」
    いいかけた言葉を飲み込んで 俺はクダリに手を振りながら背を向けた

  • 30スレ主25/01/13(月) 15:31:07

    家に帰ってから前に読んだ眉唾物のオカルト雑誌を広げる
    ジャイアントホールの底がシンオウ地方に続いてるなんてことを扱うようなよくある雑誌だ
    俺はページの角を折って目印を付けていたところを広げた
    「金色のリングが現れた後に忽然と消えた街…」俺はその下の記事にも目をやる「ポケモンじゃない生物が突如出現 ウルトラホール…」このページには被害者が消えた事件がいくつか書かれている
    本当に被害者がいるのか分からないが 最後は必ず「ではないだろうか」とあまり信憑性のない言葉で終わっている
    こんな雑誌にノボリのいる場所が書いているはずはない それでも何か 警察とは違う方法で弟の事を調べられないだろうか そう思ってオカルト本を調べるようになってしまった
    次のページにはオーパーツ特集「蔵からヒスイ時代のものと思われるバトルサブウェイの制服のボタンが…」
    俺は軽く記事に目を通す 記事では開かずの蔵を取り壊した際 ヒスイ開拓時代の物と一緒にバトルサブウェイの制服のボタンによく似た物が出てきたと大袈裟に書かれている

  • 31スレ主25/01/13(月) 15:34:34

    夜中に部屋を軽く片付けて手紙を書く
    前から準備していたカバンを担いで 俺のベッドで寝ているナットレイをボールの中に戻す
    一応ブレーカーを落として部屋の鍵をかけた
    こっそりと職場に潜り込み残っていた有給の申請を全部繋げて出す 申請が下りるかどうかは知らない
    同僚たちの座席に「すまん たのむ」と書いたメモと共にバトルサブウェイで使っているポケモン達のボールを置いた
    最後に弟たちの家に寄り ポストのなかにさっき書いた手紙を入れる
    「兄ちゃんが絶対に見つけてやるからな ノボリ」そう呟いて片手で帽子のツバを持ち上げる
    空が少し白んできていた

    少し前からバトルサブウェイでのパーティーから外した 相棒のナットレイだけを連れて
    俺はジャイアントホールへ向かった

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 02:04:11

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 02:18:13

    面白くて一気に読んだ
    続きが気になる

  • 34スレ主25/01/14(火) 07:35:48

    俺は見通しが甘い

    「もういい!!ナットレイ!!もどれ!!」
    「ヒュラララ…」
    瀕死なのにまだ戦おうとするナットレイをボールに戻す

    俺は考えが甘い

    「恐怖!!ジャアントホールの人食いモンスター!?」オカルト本の記事の見出しが頭をよぎる
    俺はとにかく走る 冷えた身体が思ったように動かない

    今までずっとそうだった 自分で思ってたことと全部逆になってきた

    カバンからげんきのかけらを出そうか考えているときに手に持っていた懐中電灯の明かりが消える
    替えの電池ならある カバンの中だが
    どっちに向かって走ってるかも分からない 後ろから気配がずっとついて来ている それしか分からない
    「一か八かモンボ投げるか??いや こんな暗闇で…」
    自分の足音と呼吸音と心音が暗闇の中でとてもうるさい
    ただやみくもに走っている いつ壁に激突してもおかしくない
    「ナットレイだけでも逃すか?? いや…」
    瀕死のナットレイをボールからだしたところで一匹で外まで逃げられるだろうか
    「わっ」思わず声が出る 突如襲われる浮遊感 頭の片隅で「落ちてる」と同時に「死」がよぎる

    ああ 神様 どうか俺に 兄らしい事をさせてください

    身体中に強い衝撃を感じた

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 19:10:38

    夢って書いてあるのに夢も希望もない…おかしいな…

オススメ

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