- 1二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:46:23
- 2二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:47:14
お忍びデート
隠れてお出かけする話 - 3二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:47:42
誘拐→救出
- 4二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:47:45
好意の証として羽を渡す定番シチュ
- 5二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:48:09
先生が女、はアリ?
- 6二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:48:30
先生と一緒にロールケーキを作る話
- 7二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:48:52
ナギサをぎゅっと抱きしめてナギサから漂う紅茶とロールケーキの香りを楽しむ
- 8二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:49:39
付き合ったけどお互い仕事で忙しくて倦怠期からのナギちゃんの挽回
- 9二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:50:11
当番ですよナギサ様
- 10二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:50:43
誕生日プレゼント
- 11二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:08:37
一つ書いてる間に、なんか増えてた………
でも、どれもいいなぁ…
順番に書いていきまーす - 12二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:10:08
ナシでは無いけど、スレ主は同性愛への造詣はあまり深くないので、難しいなー…とはなる。
- 13二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:19:07
定番でいいですねぇ……稚拙ですが、お納めください。
「……お待たせしました、先生。」
シャーレから少し離れた通り道。街路樹の一つの下に立っていると、黒いキャップを深々と被った女性が私の前に現れる。
「やあ、ナギサ。おはよう。」
私の前に現れたのは桐藤ナギサ。トリニティのティーパーティーに所属している私の生徒だ。
「ごめんなさい、せっかくお誘いいただいたのにこのような格好で……」
彼女は申し訳なさそうに背筋をシュンと縮ませる。
「ううん、ナギサの立場を考えると当然だし、気にしてないよ。それに、どんな格好でもナギサは可愛いからね。」
「か、かわっ……あ、ありがとうございます。」
ナギサは頬を赤らめてたじろぐ。
彼女の服装はいつもの白い制服ではなく、黒を基調とした地味な色合いだ。
遠くから見ただけでは、彼女が桐藤ナギサであるということは分からないだろう。
「それじゃあ、そろそろ行こうか。」
「…はい!」
私はナギサの手を取り、歩き始める。
- 14二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:19:51
私達は電車に乗って、百鬼夜行の地区へと赴いた。
今日はお祭りがあるとシズコから聞かされていたので、せっかくなら…とナギサを誘ったのだ。
百鬼夜行であれば、ナギサの素性を知っている人は少ないだろうから、ナギサも心置きなく楽しんでくれると思ったのだ。
「ここが百鬼夜行ですか……趣きがあると言いますか、どこか懐かしいような気がしますね。」
ナギサは初めて降り立つ土地に対して好奇心が隠せないのか、首をキョロキョロさせる。
「前に話してたお祭りの会場はこっちだよ。」
「はい。案内、よろしくお願いしますね。」
そうして、多くの屋台が並び、人々で賑わっている区域へと私達は向かった。
それからは2人でお祭りを満喫した。
狐のお面を買い、お互い頭に付けたり。
りんご飴やチョコバナナを買い、食べさせあったり。
それこそ、恋人のようなことをした。
だが、そろそろ今回のお忍びデートの本懐を達成しなければならない。
- 15二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:21:10
「ナギサ、お祭りはどうだった?」
「とても楽しかったです。今日は本当にありがとうございました。」
日も落ちて暗くなった頃、私達は人があまり来ない公園のベンチに隣り合って座っていた。
「それで…先生?会場から離れた所に来ましたが…今からどうするおつもりですか?」
暗くて彼女の顔はよく見えないが、紅潮しているように感じた。
「うん…ナギサに見せたいものがあってね。」
私は時計を確認し、遠くの空を見つめる。
「実はここ、穴場なんだ。」
「穴場……ですか?一体、なんの…」
ナギサが言葉を聞きかけた時、一つのまばゆい大輪の焔の花が、一つの破裂音と共に遠くの夜空に咲いた。
「ぁ……………」
それからその花は何度も何度も連続して夜空を彩った。
ナギサはその花火に見惚れてか、口が半開きになっていることにも気づかず、明るい夜空に目線が釘付けになっていた。
「この花火はね、百鬼夜行のお祭り運営委員会の子達がキヴォトス中の花火技師に頼み込んで作り上げた、キヴォトス最高峰の花火だよ。」
「本当に…すごいですね…こんなにも美しい花火は初めて見ました。」
ナギサが楽しんでくれていることに喜びつつ、私は高鳴る胸を抑えこむ。
ここまで来て、逃げるわけにはいかない。
「ナギサ。」
「はい?」
ナギサが花火から私の顔へと視線を動かす。その瞬間。
「好きだ。」
「………え…?」
ナギサが目を見開く。
ナギサはもうすぐトリニティを卒業する。卒業したら先生と生徒ではなくなり、必然的にナギサとの接点が薄くなる。
その未来を想像した時、胸が締め付けられるような苦しみを覚えた。
その感情がなんなのか分からないほど、私は鈍感なつもりはない。だから、そうなる前に、気持ちを伝えたかったのだ。
- 16二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:21:31
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- 17二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:28:10
「先生……それは……生徒として…ですか?」
「違うよ。異性として、好きなんだ。だから…私と、付き合ってくれないかな?」
「本気……なんですね……」
私はナギサの目を見つめる。
ナギサは頬を赤らめたまま、無言を貫く。
「やっぱり…急…だったよね。ごめ――」
謝罪の言葉は、無理やり封じ込まれた。
行動という名の、告白の返事によって。
「な、ナギサ……!?」
「ごめんなさい。ですが、これが私の答えです。先生、これから…いえ、これからも、よろしくお願いしますね。」
ナギサはいたずらっ子のように微笑む。
その何よりも愛おしい表情は、花火のおかげか、はっきりと私の目に映り、残った。
そして、ナギサは翼で私の体を引き寄せ…
再び彼女の気持ちを行動で示してくれた。
こんな感じでどうでしょう…ただのお出かけだとオチが思いつかなかったのでこうしました…
- 18二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:31:57
ナギサ誘拐からの救出ですね!
そういうの大好きです…!
「うっ……ここは…………」
目が覚めると、自分が冷たい地面の上で横たわっていることに気がつく。
何事かと体を起こそうとするが、上手く体が動かない。
その原因はすぐに分かる。
両手と両足が硬く縛られているのだ。
ご丁寧に、愛銃までもが奪われている。
「気がついたか、桐藤ナギサ。」
男性の低い声が耳に届く。
声のした方を見れば、アサルトライフルを持った筋骨隆々な大人の男性がいた。
「貴方は…一体………」
「俺は、トリニティに恨みを持った大人…とだけ言っておこう。」
彼はニタニタと嫌な笑みを浮かべながら、動けない私のもとへ近づく。
「私を誘拐して、どうするつもりですか?」
「どうするも何も、お前の心をズタズタにするだけだ。」
そう言いながら、手に持っているライフルを私に向け、容赦なく乱射した。
「ぐっ……あぁ……!」
- 19二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:33:17
「はは、いい気味だ。だが、これでお前の心を折れるとは思ってねえ。」
愉快そうに笑いながら、男はライフルによる射撃をやめた。
全身が痛い。地面に私の血が全身から流れる。私だってキヴォトス人だ。これくらいで死ぬ事はない。だが…痛くて苦しい。
その態度を見せればそこにつけ込んでくるだろう。私は強気な姿勢を崩さないように男をキッと睨む。
「何をするつもりですか?私の心はそんな簡単には折れませんよ。」
「あっははははは…!まあ、そうこなくっちゃなぁ?」
男は高笑いをする。まるで勝利を確信しているかのようだった。
「大人に楯突くとどうなるか教えてやるよ。」
再びライフルを連射する。
「うっ………!」
「さて、俺が何をするか…って話だったな。確かに、このまま銃で撃つだけじゃ、心は折れないだろう。だが……お前にとって大切な人を、お前の目の前で殺したら……?」
「なっ…!」
彼の言った言葉に思わず目を見開く。
それがミカさんなら心配することはない。たとえセイアさんであったとしても、彼女の直感力があればなんとかなるかもしれない。
でも……あの人だった場合……
「さて……俺はとある奴を呼んだ。一人でここに来るようにな。キヴォトスの人間を殺すのは面倒だからな……確実に殺せる奴を呼んだ。」
恐怖で体が震える。その言葉だけで、誰であるか確信してしまった。
駄目だ。あの人は、絶対に私を助けに来る。
それも、犯人の要求通りに。
彼が、生徒を見捨てるなんてことをするはずがないのだ。
「シャーレの先生を呼んだ。じきにここへ来るだろう。」
「貴方の狙いは私でしょう?なら、早く私を殺せばいいじゃないですか!」
つい、感情的になる。
「いいぞ、もっと恐怖に染まれ。それで、絶望しろ…!」
男は喜びの表情を浮かべる。
このままだと……先生が………
- 20二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:35:20
「ナギサ!無事!?」
「あ…………」
聞こえた。聞こえてしまった。
ここに来て欲しくなかった人の声が。
「駄目です!先生!逃げてください!」
声を上げる。でも、足音は近づく一方だ。
「逃げないよ。私は、ナギサの先生だからね。」
そう言って先生は、私達の前に姿を見せた。
「はっ…!飛んで火に入る夏の虫だな!」
私は痛みで段々と意識が保てなくなってきている。
「やめて…!」
叫んでも、手を伸ばそうとしても、犯人の銃口が、先生へと向けられるのを止められない。
その時だった。先生が、懐から、カードのようなものを取り出したのは。
「私の大切な生徒に手を出した君には、ナギサと同じ…いや、それ以上の苦しみを背負ってもらうよ。」
その声と共に、私の意識は、暗闇に落ちた。
視界が明転する。真っ白な天井。柔らかなベッド。
「ここは…………」
そこでハッとして意識を失う前の出来事を思い出す。
「先生…!うっ………」
私はすぐに体を起こす。そのせいで体が痛む。やはり、夢ではない。つまり…先生は…
「おはよう、ナギサ。」
「せん…せい…?」
私のそばには、先生がいた。五体満足、多少の怪我はあるものの、私よりは圧倒的に軽傷だった。
「ナギサが目を覚まして安心したよ。」
「先生………」
「あの後、救護騎士団を呼んでナギサをここまで運んでもらったんだ。それと、犯人はちゃんとヴァルキューレに突き出したからね、心配しないで。あと……」
「先生!」
私は、事件の概要を教えてくれている先生の言葉を聞かず、先生の胸に顔を埋める。
- 21二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:35:58
「……ナギサ。」
「先生が…無事で……よかった……」
私の目からは涙がこぼれ、先生の服を濡らす。
「私、怖かったんですよ。誘拐されたことが…ではなく、先生が死んでしまうのではないか…と。」
「ごめんね、心配かけちゃって。」
先生は泣きつく私の頭を撫でる。
「先生は、どうしていつもいつも…!エデン条約の時も、空が赤くなったときも…!どうしてご自分の身を第一に考えないんですか!」
私は、先生の服をキュッと掴む。
「それは…私が大人で、君たちの先生だからだよ。たとえ私が死ぬかもしれなくても、それは君たちを諦める理由にはならない。」
いつも言っているような言葉。でも、なぜか説得力のある言葉。
「先生……そんなことを言ってると、本当にまた生死を彷徨うかもしれませんよ…」
「ははは…そうかもしれないね。」
苦笑が耳に入る。私はそれに対して笑い事では無いと訴えるように更に服を強く掴む。
「先生……お願いですから、私の前からいなくならないでください。ずっと、ずっと一緒にいてください。」
私が懇願するように言葉を絞り出すと、先生は、
「うん。大丈夫、私はナギサの前からいなくなったりしない。約束だ。」
そう言って、私の体を強く、優しく抱きしめた。
今は、その言葉と温もりを信じることにしよう。
私は信じることの大切さを、この人から教わったのだから。
- 22二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 00:41:27
む…明日はフリーだったはずなのに、急な仕事が入りやがった………
本当は明日の時間を使って全部書こうと思ってスレを開いたんだが仕方がない。そろそろ眠いし、あと一つだけにします……
書きやすそうなやつをこちらの主観で選ぶことをご了承ください…… - 23二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 01:38:23
なかなか見ない概念だけど、想像したらめっちゃ良かったので、こちらを選ばせていただきました…
「ナギサ、今日も…いいかな。」
「ええ、もちろんです。」
シャーレのオフィス。私は当番として来てもらったナギサに、とあることを頼んだ。
「じゃあ、失礼して……」
――ガバッ
「っ……!」
ナギサが体をビクリと震わせる。私はナギサに思い切り抱きついたのだ。
そして…その体の匂いを嗅ぐ。
「…いかがですか?先生。」
「うん、すごい落ち着くよ。」
高級感漂う爽やかな柑橘系の香りと華やかで香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
「本日は差し入れとしてご用意したピスタチオのロールケーキと、今朝飲んできた、厳選された素材によるアールグレイの匂いが付いてると思うのですが……」
「うん…いいね、最高だよ。」
変態っぽいことを言っている自覚はあるが、事実なので仕方がない。 - 24二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 01:39:24
どうしてこんなことをしているのかと言われると、正直細かいことは私も覚えていない。
徹夜のしすぎで気が狂っていた時、つい勢いで当番として来てくれていたナギサに抱きついて、ナギサの服と体に付いた香りを褒めたのが始まりだったような気がする。
それからナギサは私が極限まで疲れた時には駆けつけて抱きしめさせてくれたり、今日のような当番の時には休憩の時に抱き着かせてくれたりするようになった。
意外なことに、こんな変態的な行為に対してナギサは、かなり乗り気なようで、私が何も言わなくても自分から提案してくる時もあるくらいだ。
「それで…先生。どうしますか?このまま仮眠しますか?」
「うん…お願いするよ。」
私たちはシャーレの仮眠室へと移動し、同じベッドで一緒に横たわる。
「では先生……どうぞ。」
「ありがとう、ナギサ。」
私は横に寝転がるナギサの体を遠慮なく抱きしめた。
「……やっぱり、いい匂いだなぁ…」
「ふふ、先生のお気に召しているようで何よりです。」
ナギサが耳元で囁く。
その声すらも心地良い。
- 25二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 01:40:32
だが、私は一つ、不安を覚えていることがある。
「……ねえ、ナギサ。」
「はい、どうしましたか?」
「なんで、私のこんな行為に付き合ってくれるの?気持ち悪くない?」
「いえ、むしろ私にとっては役得です。」
「役得…?」
「先生、少しだけ、離れてもらえますか?」
「え…?」
私は困惑したまま、おずおずと体をナギサから離す。するとすぐに私の体は思い切り引き寄せられた。
それも、ナギサの胸元に。
「ちょ…!ナギサ…!?」
「先生、くすぐったいです。」
「ご、ごめん。」
「それよりも、先生。耳をかたむけてください。私の心音…聞こえませんか?」
そう言われて、私は目を瞑って耳に神経を集中させる。
すると、ドクンドクン…という少し早いテンポの鼓動が鼓膜に届く。
「聞こえるよ。」
「それならよかったです。」
「え?どういうこと?」
「私は、先生のことを大切に思っています。だからこそ、疲労でやつれていく先生のことを常日頃から癒してさしあげたいと思っていたのです。」
「ナギサ………」
「そんなある日、先生は私に抱き着き、私の匂いを褒めてくださいました。その時に思い至ったのです。ハグなどのスキンシップや、その人にとって落ち着く匂い…これらはストレスの緩和に効果的とされています。心身の関係は密接ですから、心が癒やされれば必然と体も癒やされていくと思いまして。そして、今、先生には私の心音を聞かせています。これも、ストレスの緩和に効果的なものですよ。」
- 26二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 01:42:08
「そこまで考えてくれてたんだね。ありがとう。」
「いえ。先生が今まで私たちにしてくれたことと比べれば、これくらいどうってこともありません。ですから、今はこの緩やかな休息に浸って、体と心を休めてください。」
「うん、そうさせてもらうよ。」
私はナギサの優しさに甘え、紅茶とロールケーキの香り、ナギサの体の温かさ、そしてナギサの心音に包まれる感覚に身を任せる。
すると、段々と眠気が襲ってくる。
「ああ、そういえば先生。」
「ん…?」
半分寝ぼけながら返事をする。
「匂いが好きだと感じる相手とは遺伝子レベルで相性がいいそうですよ。」
「そう…なんだ……じゃあ、私とナギサの相性は……」
「はい、最高です。」
私はその言葉を聞いてから、眠りに落ちた。
先生が眠ったのを確認して、私は先生の頭を撫でる。
「おやすみなさい、先生。本当は、私も先生の匂いが好きなんですよ。だから、これからも……」
私は大好きな先生の頭に顔を埋めながら、先生と共に眠りについた。
というわけで、匂いというか香りっていうところに目を付けるのは本当に素晴らしい。書いてて楽しかったです…!
- 27二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 06:34:09
- 28二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 08:27:58
ナギちゃんは純愛がよく似合う
清楚な見た目と声そして一人で抱え込みがちだけど優しい子
もっと甘やかすべきな子
できるならナギちゃんを包み込める安心できる存在になりたい - 29二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 09:07:49
- 30二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:41:45
ちょっとだけ時間ができたので、残ったやつを全部まとめて書きました。
羽渡し、ロールケーキ作り、倦怠期、当番、誕生日
全部のせです。
私、桐藤ナギサは先生とお付き合いをさせてもらっている。
先生が私を選んでくれたことに、当時は舞い上がったものだが、今は違う。
顔を合わせるのが気まずい。というのも、最近はお互いに仕事が忙しすぎて、モモトークですらあまりやり取りができていない。
最近は仕事も落ち着き、会おうと思えば会える。でも、しばらく距離を置いていたため、熱が冷めてしまっているのではないかと思うと、会いに行くことはおろか、メッセージを送ることですら躊躇してしまう。
そんなある日のことだった。
先生からモモトークにメッセージを送られたのは。
『この日、当番としてシャーレに来てくれる?』
当番のお願いだった。でも、先生に指定された日は……。先生は何かを狙っているのだろうか。
なんにせよ、これはチャンスだと思った。
私はその日までに徹底的に準備を済ませ、シャーレのオフィスにやってきた。
ゆっくりと呼吸をして、扉をノックする。
「先生、ナギサです。シャーレの当番に参りました。」
「…入ってきていいよ。」
「失礼します。」
私は意を決して扉を開き、オフィスへと踏み入る。
「やあ、ナギサ。なんだか久しぶり…だね。」
「そう……ですね。」
やはり気まずい。お互いに苦笑いを浮かべるだけで、距離感が少し遠い。少なくとも、この状況を第三者が見たら私達が恋人関係にあるとは思われないだろう。
「では、早速仕事に取りかかります。今日やるべき仕事はありますか?」
「あ、うん。そこにまとめてあるよ。」
「では、すぐに処理しますね。」
私は先生に言われた書類を淡々と処理し始めた。今日はどうしてもやりたいことがある。早く終わらせなければ。 - 31二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:44:23
数時間後…
「先生、頼まれた仕事は全て終わりました。先生の方は、一区切り付きましたか?」
私は先生の座るデスクに近づき、話しかける。
「うん、とりあえず急ぎのものはもうなくなったかな。ナギサも手伝ってくれてありがとうね、助かったよ。」
「先生のお力になれるのは、私にとっても幸せなことですので、お気になさらず。それで…先生……」
私にはどうしても先生とやりたいことがあったが、それを口にするのを躊躇ってしまう。
でも、この機会を逃したら、完全に熱が冷めてしまうだろう。
だから、しっかりと深呼吸をして、勢い任せに言葉を紡ぐ。
「私と、ロールケーキを作りませんか?」
「え…?」
…………………
「先生、こちらのボウルに入っているものを混ぜてください。先生は慣れていないと思いますので、こちらのハンドミキサーをお貸しします。」
「うん、分かった。」
「では、その間に私は生地を作りますので…」
私は慣れた手つきで材料を混ぜつつ、先生に他の工程を指示する。
少し難しいところは先生に教えつつ、一緒にロールケーキを作る。
私にとって、ロールケーキを始めとしたお菓子作りはもう慣れたようなものだ。でも、誰かと『一緒に』というのはやったことがなく、いつもよりも難しい。
それでも、『一緒に作る』ということが重要なのだ。
「ふぅ…ようやく完成したね。」
「はい、先生もお疲れ様でした。」
「いやぁ…ナギサはすごいなぁ…いつもはこの作業を一人でやってるんでしょ?」
「ええ、ですが、こういうのは慣れですよ。先生は初めてですので、仕方ありません。」
そのような会話をしながら、私は完成したロールケーキを休憩室へと運ぶ。
- 32二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:45:22
「それでは早速食べましょうか。」
「うん。ところで……その構えは何かな?ナギサ。」
私はフォークでロールケーキの一切れを刺し、それが落ちないように片方の手で受け皿を作って先生の口元へ差し出している。
「見れば分かるでしょう?ほら、先生、お口を開けてください。」
「え、でもそれちょっと恥ずかしい……」
「私達は恋人同士のはずです。であれば、これくらいのことはしてもいいでしょう?そへとも……ミカさんと同じ目に遭いたいですか?」
「いや…それは勘弁して………」
流石にロールケーキを無理やりぶち込まれるのは嫌だったのか、先生は頬を赤らめながら口を開く。
私はゆっくりと丁寧にその開かれた口の中に一切れのロールケーキが刺さったフォークを伸ばし、食べさせる。
「……先生、どうですか?」
「うん……美味しいよ。でもやっぱりこれは恥ずかしいかな…」
そう言いながら、先生はロールケーキを一切れフォークで刺し……
「だから、今度はナギサの番だよ。」
「うっ…そう来ましたか…」
私に食べさせようと突き出してきた。
私は始めた張本人だが、このやり取りは意外と恥ずかしい。でも、どこか心地良い。
「…ごちそうさまでした。ありがとう、ナギサ、美味しかったよ。」
「そうですか、それならお誘いした甲斐がありました。」
私達はロールケーキを食べ終え、お皿を重ねてまとめて置いた。
「それでなんだけど、どうして一緒にロールケーキを作ろうだなんて言い出したの?」
「それは………最近、先生とお会いする機会が無くて、2人の時間というものをゆっくりと過ごせなかったので、何か一つのことを一緒にするということで埋め合わせができたら…と。それに今日は…先生の誕生日ですから、思い出に残るようなことがしたかったので…」
- 33二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:46:28
「ナギサ……覚えててくれたんだね。」
先生は嬉しそうに微笑んだ。
「ええ、先生も、誕生日だから私を呼んでくださったのではありませんか?」
「ははは…それもお見通しだったか。せっかくの誕生日だし、今日くらいは一日中ナギサと一緒に過ごしたいって思ったんだ。」
先生は頭の後ろを掻きながら苦笑する。
「先生………」
「ごめんね、忙しいとはいえ、ナギサと距離を置くようなことになっちゃって。」
「いえ、先生が謝るようなことでは…」
「不安にさせちゃったかな?」
「不安…にはなりましたが………それでも…」
私は先生に近づき、優しく抱擁する。
「先生への想いは、一時も薄れることがありませんでした。」
「そっか………それは、なんだか嬉しいな。」
先生は私の体を抱きしめ返してくれた。
温かい。ここ最近で忘れかけていた先生の熱が体に染み渡っていくのを感じる。
「ああ、そうでした。今日は先生にお渡ししたいものがあったんです。」
「渡したいもの?」
そう尋ねながら、先生は私から体を少し離す。
「はい、少々お待ちを…」
私はそう言いながら自身の翼に生えている羽に手を伸ばし…
「んっ…!」
その羽を抜いた。その瞬間だけ、翼に痛みが走る。
「ちょっとナギサ!?」
「……ご心配なさらず。これが、貴方に渡したいものですから。」
そして私は抜いたばかりの羽を先生に渡す。
「え……?」
「先生はご存知ないと思いますが、かつてトリニティでは、自身の羽を渡すという行為は、自分の全てをその人に捧げるという証であり、求婚の方法の一つとなっているんです。翼が生えていない人もいらっしゃいますので、そのような風習は廃れていってしまいましたが…」
「そうなんだ……って求婚!?ま、まだ早いよ…!」
先生は私の羽を受け取ろうとして慌て、後ろに下がる。
- 34二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:47:52
「そうですね。ですから、今すぐとは言いません、これはあくまで結婚の約束……ということで。受け取っては頂けませんか?」
私がそう言って一歩踏み出すと、
「……分かった。そういうことなら。」
先生は私の羽を受け取った。私の体の一部だったものであり、私の精いっぱいの気持ちを。
「……ナギサ。」
「はい。」
先生は私の体を引き寄せて、再び抱きしめる。
「大好きだよ、愛してる。」
「私も、愛しています。」
私は強く抱きしめ返す。
絶対に離れないように。互いの熱を確かめるように。
全部乗せは長くなっちゃうね。Pixivとかでやろうと思ったけどなんかログインできなかったんでこれで許してー
- 35二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 10:50:47
- 36二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 11:01:15
- 37二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 12:41:37
お着替えシチュ書けましたー!
「ナギサー?いるー?」
私はナギサの部屋をノックする。
今日はナギサに呼ばれティーパーティーの方へ顔を出したが誰もいなかった。
ミカは奉仕作業、セイアは体調不良ということは聞き込みで分かったが、ナギサの情報だけは何も分からなかった。
仕方がないので、ナギサの部屋に赴いたわけだが……
「せ、先生!?ちょ、ちょっと待ってください!きゃっ!!!」
――ドンガラガッシャーン!
とてつもない崩落音が響いた。
「ナギサ!?大丈夫!?入るよ!」
私は半ば反射的に部屋の扉を開け、中に突入した。
「あ、先生!駄目です!!」
ナギサが今までに聞いたことのないような声で叫ぶが、その時にはもう遅かった。
「あっ…………」
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
そこにいたのは、散乱した衣服類と…
下着姿でしゃがみ込み、赤面しているナギサだった。
「えっ………と………ごめん……?」
「早く外に出てください!!口が裂けるまでロールケーキとマカロンをぶち込み続けますよ!?」
「は、はい!失礼しましたー!」
私は大急ぎで部屋から飛び出した。
扉にもたれかかるようにして肩で呼吸をする。
さっきの光景が目に焼き付いて離れない。
自分の立場とナギサの為を思えば忘れるべきなのに、忘れることができそうにない。
- 38二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 12:43:24
「先生……」
扉越しに声をかけられる。
「もう、入ってもいいですよ。」
私はその許可を聞いてから、扉を開ける。
「分かった。お邪魔するね…」
中に入ると、先ほどとは打って変わって整った部屋、そして何よりいつもの制服をきっちりと着こなしたナギサがいた。
「さて…先生………本日お呼び立てした用件ですが……」
と、何事もなかったかのように自室の中で話し始めるナギサ。
だが、私は先ほどの光景が脳裏にチラついてしまい、直視することができない。
「………先生、聞いてますか?」
「へっ…!?あ…いや…………」
ナギサがジト目で私の顔を見つめていた。
「先生、何か言いたい事がありますよね?」
「えーっと…その………眼福でした…あっ…」
ナギサは一呼吸置いて…
「そうですか……言いたいことはそれですか…」
体をプルプルと震わせ、私の目前に近づいてきた。
「あ、あの………ナギサさん……?」
「もう、こうなったら…」
この展開は身に覚えがある。昆布茶の時のように、私の記憶を消そうとしてくるのだろう。
- 39二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 12:44:23
だが…予想とは大きく違っていた。
「こうなったら、先生に責任を取ってもらうしか……!」
「え…?ちょ…それってどういう……」
ナギサはとてつもない剣幕で私に迫り…
「私と結婚していただきます!」
「え、えぇえええええ!?」
とんでもない発言に思わず叫んでしまう。
「それとも……記憶を消される方が好みですか?」
やっぱりロールケーキをどこからともなくスッと出した。
「えっ……えっと………」
「さあ、どちらかお選びになってください。大人なら、ここで逃げたりなんて…しませんよね?」
ナギサの圧が強い。逃げ場のないナギサの部屋の中、私は究極の選択をせざるを得なくなってしまったのだった。
こんな感じですね。休憩時間にちゃちゃっとノリだけで書いたので、結末は皆さんの想像にお任せします
- 40二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 13:54:48
- 41二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 13:57:45
忙しい中執筆してくださっている1に感謝を
- 42二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 15:33:06
お互いにしか分からない秘密の合図って結構ロマンがあっていいなぁ…って思うんですよね。
今日はハスミからの依頼で、正義実現委員会と一緒に見回りをすることになった。
その最中だった。
「あれは…ナギサ様ですね。」
一緒に見回りをしていた委員の子の一人がそう言った。
彼女の言う通り、学生寮の庭に作られた生け垣に向かって何かをしている、ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサがいた。
「あ、本当だ。おーい、ナギサー!」
私がそう声をかけると、ナギサはこちらに気が付き、優雅に歩いてこちらに近づく。
「先生、おはようございます。正義実現委員会の皆さんも、おはようございます。いつも見回り、お疲れ様です。」
ナギサが私と正義実現委員の皆にそれぞれ挨拶をすると、委員の皆は恐れ多いと言わんばかりにペコペコと頭を下げた。
「私は正義実現委員会の子達とトリニティの見回りをしている最中なんだけど…ナギサは…庭の手入れをしてるところかな?」
私がそう聞くと、ナギサは手に持っていた剪定バサミを見せながら頷いた。
「その通りです。ふとした時にやりたくなるのですが、『いつもの庭』は今月だけで『10回』も手入れしてしまい、十分に整っていますので…寮長の方にお願いして、寮の庭を手入れをしようと思ったわけです。」
「そうなんだね。」
「あの…先生……そろそろ…」
正義実現委員の子が声をかけてくる。
「あ、ごめん、ナギサ。そろそろ行かなくちゃ。」
「ええ、それでは見回り、よろしくお願いしますね。『また』お会いしましょう。」
そうして私は、この場から離れた。
- 43二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 15:35:18
その日の夜10時。私はとある場所へと赴いた。
そこは、ナギサの数あるセーフハウスのうちの一つだ。
私はセーフハウスにたどり着くと、呼び鈴も鳴らさず、その庭へと足を踏み入れた。
「先生、お待ちしていましたよ。」
「………やあ、ナギサ。」
ここはナギサのプライベートガーデン。
ナギサ曰く、私の為に用意したガーデンらしい。
「それにしても流石ですね、先生。ちゃんと私が示した時間通りに来てくださるとは…」
「そりゃ…今日が初めてって訳じゃないしね。」
あの時の「『10回』手入れをした」という言葉はここで会う為の時間を示していた。
「先生、そちらの椅子におかけになってください。」
「あ、うん。」
言われるがままに座ると、ナギサは慣れた手つきで紅茶をティーカップに注ぐ。
「こちら、最近手に入れた上物の茶葉を使った紅茶になります。……今回は昆布茶ではありませんよ?」
まだあの時のことを根に持っているのか、ムスッとした顔でこちらを見てくる。
「ははは…そんな心配はしてないよ。それじゃあ、せっかくだし、いただくね。」
それから、ゆったりとした空気感の中、高級な紅茶を飲み、ナギサお手製のマカロンを食べながら談笑する。
「……もうこんな時間になってしまいましたね。そろそろお帰りになりますか?」
「うん、そうだね。」
私はそう答えて、席を立つ。
すると、
「先生、少しお待ちください。」
「ん?どうかした?」
私が返事をした瞬間、ナギサは私に肉薄し…
「また、こうしてお会いしましょうね。」
と言いながら、私の頬に手を添えてきた。
「ちょ…な、ナギサ…?」
「先生がトリニティ、ないしはティーパーティーの為にこれからもご尽力していただけるのであれば、次も上等な茶葉と最高のお菓子をご用意しますよ。」
言葉を連ね、私の腰にも手を回してくる。
- 44二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 15:36:42
「………そんなことしなくても、私にできることならナギサの力になるよ。だ、だから…」
ナギサの顔が近く、ナギサの息遣いを感じ、ナギサのふんわりとした香りが鼻腔をくすぐる。
そのせいか、体が謎の熱に浮かされるかのような高揚感を覚え、胸が高鳴るのを止められない。
「その…………」
その場から逃げようとも思ったけど、ナギサに触れられている手が心地よく、この距離感も胸が苦しくなるのにどこか安心する。むしろ、離れたくないとさえ感じてしまい、たじろぐことしかできない。
「……あまり先生を引き止めすぎるのも申し訳ありませんし、今日のところはこれくらいにしておきましょう。」
そう言って、ナギサは私から離れた。
「ぁ……………」
「それでは先生、また。私はいつでもお待ちしていますので。」
ナギサは意味ありげなことを口にし、軽く会釈をすると、セーフハウスの中に姿を消した。
まだあの熱は残ったままで、そんな今の私にとっては夜風が冷たすぎる。
こんな様子じゃ、寝ても覚めても、ナギサのことが頭から離れなくなるのは時間の問題だろう。
こうして、月と星々だけが知る私達の密会は一旦幕を下ろすのだった。
攻め攻めなナギちゃんも意外と合うな…と思ってこの展開にしてみました。どうでしょうか?
- 45二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 15:46:37
リクした者ではないですが素晴らしいSSありがとうございます!
立場があって自分から告白ができない分こういう魔性のアプローチをするナギサは良いですね - 46二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 01:33:59
- 47二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 13:04:02
こんな素晴らしいスレがあったとは
ナギちゃん可愛いね - 48二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 00:25:20
かわいいナギサ様をありがとう!
- 49二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 07:57:21
先生とデート