- 1二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:31:58
- 2二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:33:18
という訳でスランプでSSの続きが投稿できず落としてしまったスレの復活です。
スレ主としてせめてSSを完結させようと思って立て直しました。
前スレ
【超閲覧注意】すみませんここにくれば|あにまん掲示板bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:40:52
前回までのスレ主のSSのあらすじ。詳しい内容は前スレ読んでください
5歳のサオリと一緒に暮らしている、10歳の少女ミズメは、サオリの姉代わりとしていつも冷たいサオリにダル絡みしながら仲睦まじく暮らしていた。しかしクリスマスの日にサオリが栄養不足から倒れてしまい、ミズメは周辺を牛耳るオートマタの集団の拠点から食料を盗み出した。
サオリに生まれて初めてお腹いっぱい食べさせることはできたが、オートマタの集団が二人の拠点の近くまで迫る。
ミズメはサオリに帽子を託した後、ドアを封鎖し拠点の中に閉じ込め、オートマタの集団を迎え撃つ。 - 4二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:43:41
という訳でSSの続きを最後まで投下!!
ミズメは帽子を外すと、サオリの頭に勢いよく被せ頭を豪快に撫でる。
「そんな心配すんなって!!サオリちゃんはここで私の宝物を守っててくれ。妹がくれた大事な物なんだ」
サオリが顔を上げると、ミズメは満面の笑みを浮かべて、扉を閉め外に出て行った。サオリも追いかけようと、ズシンという地響きと共に扉が開かなくなる。いざという時のバリケードとして置いてある壊れたベッドを倒して蓋をしたのだ。
サオリとて、このアリウスという環境で5年生き延びた子どもである。困惑は残っているが、体と頭を働かせ拠点の奥から金槌を持ってきて扉横の壁へと叩きつける。しかし、金槌程度のサイズに5歳の腕力では、いかに廃墟を流用した拠点といえど、せいぜい人差し指程度の小さな穴を開けるのが精々だった。サオリが穴から外を覗き込めば、そこには見慣れたオートマタの集団と対峙するミズメの姿があった。
「あんたたち、ここになんの用かな?」
「とぼけてんじゃねー。用があるのはお前自身だ」
「おいおい、まさか幼女趣味があるっていうのか?性格が悪ければ趣味も悪いんだなあんたら」
「舐めてんじゃねーぞ!!俺たちから食料を奪ったのはテメーだろ。こっちは何人もお前の姿を見たって言ってんだよ」
「まぁまぁ、もしかしたら見間違いかもしれないぞ?私の顔を見たって奴、私に近づいてじっくり確認してみろ」
両手を上げた状態のミズメに近づく3体のオートマタ。顔を確認するために覗き込んだ一体のオートマタは瞬間、ガゴンという鈍い音と共に路上に転がる空の薬莢と添い寝する結果となった。
「金属の体でも頭に肘は痛いだろ?」
「テメェ!!やる気か!!」 - 5二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:44:57
ミズメは倒れたオートマタを盾にしながら、自身のアサルトライフルのトリガーに指をかけ、近くの2体に向けて発砲する。2体が倒れたことを確認すると地面を這うほどに体を低くして、被弾面積を最小限にしながら蛇のように柱の陰に隠れる。
遮蔽から遮蔽へ高速移動を繰り返すミズメの姿はオートマタのカメラにも捉えきれず、一体、また一体と孤立したものから刈り取られていく。
圧倒的に今まで戦ってきた相手よりも小さい子ども相手でオートマタたちが油断していたのもあるが、その優位性を存分に活かした戦い方は多対一ながらも完全に周囲を自分のペースに引きずりこんでいた。
「姉さん…凄い!!」
サオリは感嘆の声を漏らし、始めて見た姉代わりの全力に小さな穴を夢中になって覗き込む。このまま全員倒した後は、仲間が来る前に別の拠点を探した方がいいかもしれない。そんなことを考える余裕すら生まれていた。
──────視界の端に何か影がちらつくのが見えた。
「姉さん!!」
サオリの声は銃声に遮られ、届かなかった。パァンと乾いた音が鳴ると、ミズメは頭から地面に倒れ伏す。背後には先ほど肘を打ち込んだオートマタが立っており、銃口からは硝煙が立ち上っていた。 - 6二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:46:03
どうやら足に被弾したようであり、必死に両の手を動かしもがいているが一向に立ち上がる気配がない。もはや逃げ出すことすら叶わない芋虫の周囲には、鳥たちが集まりピーチクパーチクとこれからの処遇について話し始めた。
「こいつ、どうするよ」
「見せしめは必要だよな」
「それじゃ、しっかりと痛めつけてやるか」
感情豊かで無慈悲な死神たちは、まず一体がうつ伏せに倒れたミズメの右手を持ち上げると、別のオートマタがその右手の肘目掛けて足を踏み抜く。ゴギと鈍い音が響き、遅れて聞こえるのはミズメの喉から漏れたようなうめき声。いかに丈夫なキヴォトスの生徒といえど、10歳の少女が金属の塊に細腕をプレスされれば、まるで針金のようにひしゃげてしまった。
「うっあぁぁぁぁぁぁ……!!」
「これでもう銃も撃てないな」
「中々いい声だす出すじゃねぇか」
「次はどこにする?左手?あばら?」
「もう面倒だし、全員で適当に蹴り飛ばして遊ぼうぜ。そもそも小さすぎて、狙いをつけるのめんどくせーよ」
見せしめとは何だったのか。娯楽を選ぶような口ぶりででサッカーが始まると、ボールはパス回しで地面を転がり、シュートで空を飛び壁に打ち付けられ、真っ赤な跡が壁に残った。鋼鉄のスパイクに皮が剥け、血が溢れ、箇所によっては骨が飛び出す。 - 7二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:47:26
「姉さ…」
顔面蒼白のサオリはあまりにショッキングな惨状に叫びそうになるが、地面に転がったミズメは左手の人差し指を口元に持っていき、『静かに』のジェスチャーをする。いつから覗いていることに気づいたのだろうか。そのいつも通りの笑みはサオリに一かけらの平常心を取り戻させてくれた。
(そうだ…今私がいることが敵に気づかれたら、姉さんの救出ができなくなってしまうんだ。ここは不用意に音を出すべきではない)
サオリはゆっくりと、音を立てないように穴を広げていく。心臓の音だけがバクバクと馬鹿でかく聞こえ、額には汗がにじみ流れ落ちていく。目に汗が入ることも厭わず、一瞬の瞬きすらしないままサオリは壁を掘り続ける。全ては最愛の姉を助けるために。今まで守り続けてくれた彼女に恩を返すために。
「おい、俺たちの食料をどこにやった。それさえ答えれば殺さないでおいてやるよ」
「…食えるだけ食った後、今まで弾薬とかをツケで買ってたやつに、残りは奪われちまったよ」
「まぁ、そんなところだろうな。お前みたいな無鉄砲が生き残れるだけの物資をまともに集められるとも思えん」
「で、答えたから助けてくれるのか?」
「本気にしたのか?」
「まさか。これ以上悪くなることはないから、一応聞いてみただけだよ」
騙し合いと奪い合いの中で生きてきたミズメは希望など持たない。だからこそミズメは唯一の希望を守るために、宝箱の中に大事なモノを全て置いてきたのだ。 - 8二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:48:16
「さ~て、たっぷり痛めつけてやったし、そろそろ殺してあげるとするか」
「見せしめなら、派手にやった方がいいよな?」
オートマタたちは全員で懐からありったけの爆弾を用意すると、爆弾に衝撃を与えないように気をつけながら、ミズメの上にゆっくりゆっくりとジェンガを積み上げるように一つ一つ様々な種類の殺意を重ねていく。
「姉さん!!何してるの!!早く逃げて!!」
最終的にミズメを埋め尽くさんばかりの火薬の山が形成された。壁の穴は今やっと拳半分程度の大きさに達したところだ。サオリは何度も何度も金槌を振るい壁の破壊を試みる。もはや破壊音など気にする余裕はない。小さな穴は少しずつ、ほんの少しずつ大きくなるが、サオリの体が通るようになるまでには後10分は殴り続ける必要があるだろう。
「待って…待って待って待って待って!!!いかないで!!死んじゃダメ!!!」
オートマタたちはミズメから距離を取ると、最後の手榴弾のピンを抜き、指先でクルクル回す。会話はサオリの位置からでは雑音にしか聞こえないが、何かジョークでも言ったのか一際大きな笑い声だけは妙に耳に残った。 - 9二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:48:52
(ごめんなぁ、サオリ。本当はお前が大きくなるまで一緒にいてやりたかったのに、こんな所で私はリタイアだ。無責任にお前を置いて死ぬくせに、こんなこと思う資格ないだろうけど……強く生きてくれ。生きてくれれば、それだけでいい)
「嫌だ嫌だ嫌だ!!姉さん!!ずっと一緒にいてよ!!」
血がにじむほど強く握りしめた金槌を振るうサオリの目の先には、どうしようもない壁を隔てていつも通りの笑顔で口をパクパクと動かし、何かを伝えようとするミズメの姿。
──────ありがとう、サオリ。会いに行けなくてごめん。ア
そこで世界は白に包まれた。
「姉さーーーーん!!」
サオリの悲鳴にも似た叫びは、白い光の中にサオリの意識と共に溶け込み、闇へと消え去った。 - 10二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:49:55
サオリが目を覚ました時、周囲には瓦礫が飛散し扉のあった箇所は剥き出しの骨組みが残るのみとなっていた。
(頭が…割れてるのかってぐらい痛い。耳もよく聞こえない。でも、なんとか足は動きそうだ)
辺りには既にオートマタたちの影はなく、火薬の臭いと地面がえぐれた爆破跡だけが先ほどの光景が現実であったことを物語っている。サオリは唯一手の届く範囲にあったへし折れた柱を支えとして、歯を食いしばって体中に力を巡らせ動き出す。
「姉さん!!姉さん!!」
返事はない。虚しく反響しただけの叫びは、音を焦りへと変換しサオリの心に戻っていく。
サオリは周囲を見渡す。散らばった爆弾の破片、山になった瓦礫、黒く煤けた空の薬莢、地面に散らばったそれらの中に銃身が折れたミズメの銃をサオリは見つける。サオリと銃を直線で結び、更に線を伸ばした先の突き当り、そこに目線を移せば、壁に沿うように捨てられたゴミにしか見えない真っ黒な塊。よく見ればソレは人型程度の大きさであった。
「違う。違う!違う!!」
言葉とは裏腹に身体は最悪の想定を確信しているかのように衝動的に駆け出す。
いつもミズメの方から触りにくるので、サオリから触りに行くことは滅多に無かった。もう少し触れておけば、もっと反応して上げれば、触れ合っておけば、そんなことを思いついて、頭を振る。まだ結末は決まっていない。サオリは力いっぱい抱擁をして、ギリギリ五体らしきものがくっついている黒い物体に呼びかける。 - 11二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:52:23
「姉さん!!違うよね!!生きてるんだよね!!こんなの姉さんじゃないよね!!」
揺らしていると、サオリの膝に何か硬い物が当たった。
破れた胸ポケットからポロリと零れた四角い金属は、ミズメの愛銃の弾と同じ種類のマガジンだった。最愛の姉の体は、燃え尽きたまま放置した炭のように、真っ黒で冷たく、ピクリとも動かなくなっていた。
「う、おぁ!!うぁぁぁぁ!!!!おおおおおぁぁぁ!!!」
嗚咽混じりの絶叫は、サオリの喉が潰れるまで叫び続けても止めてくれる人のいない、ひたすらに虚しいものであった。
~Fin~ - 12二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:57:17
以上です・・・とりあえず書きたいところまでは書き上げました。
後は概念について好きに話してください…スレ主のSSはスレ主の解釈でしかないのでもちろんそちらと違ってもけっこうです(本来姉的存在に名前ありませんし)
SSとか書いてくれたら泣いて喜びます - 13二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 22:12:42
懐かしいスレだ・・・復活したのか
- 14二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 22:43:13
いきなり重たいんですけど・・・?いや前スレでゆっくり仲を深めた後ではあるんだが
- 15二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 07:24:40
これはサオリもトラウマになりますわ
- 16二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 07:43:07
前スレのゾンビ映画嫌いのネタを当てはめるなら燃えながら普通に歩いているタイプのゾンビを苦い顔で観るって感じかな
- 17二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 14:23:05
サオリはここからミサキやヒヨリに会うのか
最初の頃はかなり荒れてそう - 18二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 20:25:17
起き上がってくるゾンビを生き物として否定する主人公を見て、それでも起き上がって欲しかったとか思ってしまうんだろうな
- 19二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:58:14
誰か・・・誰かサオリとアズサの出会いを書いてくれ
最初から妹だと気づいてても、気づいてなくても美味しいと思う - 20二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 09:06:52
最悪帽子を見て、姉を殺して奪ったと思われるかもしれないぞ