- 125/01/17(金) 23:29:53
- 225/01/17(金) 23:37:00
「先生!待ってください!わたくしはまだ、先生と一緒にいたいのです!」
「先生!」
「お願いします!先生!」
「先生!!」 - 3二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 23:40:27
「先生!!」
気がつけばそこは、先程までいた真っ暗な世界ではなく自室のベッドの上でした。
そして何故かわたくしの傍に、先生もいらっしゃいました。
「倉本さん、ようやく目を覚ましたんですね……!気持ち悪さなどはありませんか?」
「先生、わたくしは一体……」
「倉本さんはレッスン中に突然倒れてから、三日三晩眠り続けていました。病気などではなく、一切原因は不明でして」
ああ、今までのあれらは全て夢だったのですね。
安堵と共に脱力してしまい、倒れる私を先生が支えてくださいました。 - 4二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 23:45:38
「大丈夫ですか、ひどくうなされていたようですが」
「先生がとても近いのに触れられない、遠いところへ行ってしまう夢を、ずうっと見ていました。とても悲しい夢を」
「安心してください。先生はこの可愛い教え子を放って、いなくなることはありません」
なぜか先生の近くにいながら、不安に押しつぶされそうなのは、それでも見続けたあの光景が目に焼き付いて離れないからでしょう。
「先生、わたくしのことをぎゅっと抱きしめてほしいのです」
「倉本さん、それは」
「先生を近くに感じたいのです。もうどこにも行ってしまわない、そんな確信が欲しいのです。だめ、でしょうか……」
わがままを言ってることも、それが先生を困らせてしまうことも分かっていましたが、口に出さずにはいられませんでした。
先生はいつだって厳しくて優しい、わたくしを導いてくださって、そんな先生の腕の中に、少し痛いくらいに抱きしめられたわたくしは、ようやく心の底から安心出来たのでした。 - 5二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 23:52:53
落ち着いてから気づいたのは、先生の目の下のクマと血色の悪い肌でした。わたくしよりも調子が悪そうですわ。
「先生はわたくしの心配ばかりしていらっしゃいますが、ご自分の心配もなさってください!ひどい顔色ですわ」
そう切り出すと先生は目を逸らしながら、バツが悪そうにこう返すのでした。
「お恥ずかしい話ですが、倉本さんが心配であまり眠ることもできず」
「まあ、わたくしのせいだったのですね……」
「気にしないでください、これは俺が勝手に体調を崩しているだけですから」
「いいえ、そんなことありませんわ。このまま先生も倒れてしまってはいけません。わたくしはもう平気ですから、先生がベッドで休んでください」
わたくしはベッドから立ち上がって、ぱんぱんとくしゃくしゃになっていたシーツを整えて、先生のために明け渡します。
「……ここで断っては、俺と同じように倉本さんを心配させてしまいますね。分かりました。しばらくベッドをお借りします」
「ゆっくり休んでいってくださいな」
その後で、先生がわたくしの三日も寝ていたベッドに入っていることに気がついて、密かに悶えてしまったのはまた別の話ですわ……。