(CP、閲覧注意)ゼイユ、危機一髪!?(立て直し)

  • 1二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:42:45
  • 2二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:44:27
  • 3二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:45:38

    「ハルトさん、すごかったんですよ!学園定食に学園ビザ、学園ポテトに学園シェーキまでぺろりと平らげちゃって・・・」
    ギャラリーに交じって見ていたというタロが興奮気味に語る。その様はまるでフードファイターの如くであったというが、明らかにおかしい。
    いくら成長期とはいえ、ハルトの胃袋にそんなに詰め込めるはずがない。
    「(これもマナフィの影響?)」
    「(おそらくですが・・・)」
    ますます止める必要が増えたかもしれない。主に健康面がとんでもない状態で体を返される羽目になる。
    「すごいのは完食後ですよ!ハルトさん、けろりとした顔で『足りんなぁ~』って唸ってたんですから!うちのグランブルにも見習ってほしいです
    ・・・そしたら、最近特別講師としてリーグ部に来ている人が、『サンドイッチ作ってやる』って言いだして・・・
    ついていっちゃいました。知り合いみたいでしたけど。」

    「ぽにっ!?」
    「あの・・・もしかしてその方・・・人って、長い茶髪の男子生徒・・・とか?」

    「そうそう!その人です!特別講師用の部屋で、ハーブをめいっぱい使ったサンドイッチを食わしてやるから大食いちゃんは覚悟しろ~・・・的なことを・・・あれ?ゼイユ?」

    タロが話し終わったとき、二人の影は特別講師用待機室へと消えていた。

  • 4二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:47:22

    「いや~!ハルトとサンドイッチ作るなんて、久しぶりだな!ちょっとは上達したか?」
    「(・・・・・・?なぜ具をこんな高所から落とすのだ、こやつは・・・?しかしそれでいて具材を一切こぼさないのは確かに凄腕ではあるが)」
    マナフィの番が回ってきた。少々面倒くさくなったのか、具材の赤いハーブを次々と放り投げるマナフィ。
    「お・・・おおお!すげぇぜ、ハルト!まさかここまで上達してるなんて・・・!食欲含めて、完全に成長期ちゃんってやつだな!」
    無論、ハーブは全てサイコキネシスで正確な位置に着地させた。やっとのことでサンドイッチにありつける・・・そう思った時、
    ふと、ハーブから懐かしい香りが漂ってきた。
    「この香りは・・・」
    「ふふん、気が付いたか?ただのハーブじゃないぜ!俺とハルトがうんと頑張って、マフィティフを完全復活させた、
    あの秘伝からスパイスさ!ここぞというときのために新しく採っておいたのさ!
    いやー大変だったぜ!ネモのやつに稽古つけてもらってたから、何とかヌシは・・・」
    ピリッとした香りが、マナフィの鼻腔をくすぐる。
    脳裏にふと、いつかもわからぬ情景が思い出される。

    『坊!こっちに来てみなよ!』
    『なんじゃ、余は海皇学を受けねば、また父上に叱られ・・・』
    「いいじゃんいいじゃん!こっち来なさいっての!」
    浅瀬の洞窟内に、無理矢理引っ張られてきてしまった。
    こいつは母親がエライらしいが、余の父親の方がその何倍もエライのだと、ジーランスの先生が言っていた。
    最初にあった時から、こいつはずっと生意気だ。今こそ、わからせてやらなければならないのかもしれない。
    『坊、これこれ!サイコーにいいにおいがして、食べると力がモリモリ湧いてくんの!』
    『・・・!』
    たしかに、いいにおいがする。脳みそがさえわたるような、いい匂いだ。

    『あたししか知らないんだからね、これ!あんただから教えてあげるんだから!』
    『!?』
    『めったに生えてこないけど、今回はあんたにあげる!いっぱい勉強して、最強の神様にならないと許さないんだから!』
    彼女は、大きな口の中から白くて鋭い歯を見せつけて、心底楽しそうに笑っていた。

  • 5二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:52:19

    「「!?っっっっ!?」」
    ゼイユとオーガポンの全身が凍り付いた。いや、少し違う。
    まるで一瞬で海底に沈んだような感覚。息ができない・・・というより、「息をしてはいけない」というようなプレッシャー。
    当たりを見回すと、どうやら学園中のほとんどのポケモンが同じような状態に陥っているらしい。
    炎タイプや地面タイプ等のポケモンに至っては、一瞬で気絶してしまったものもいるようだ。
    突然のパートナーの不調に、あたふたと狼狽える学園トレーナーも散見される。
    ゼイユ達二人は、おそらくそれぞれが半分ポケモンであるがゆえに、まとめて対象になったのだろう。
    「ぽ・・・・・・!?」
    「ぐ、ガッ・・・!?」
    この廊下の先に、目的の部屋がある。あと少しで、追いつく。
    そしてその部屋から、

    尋常ではない『神気』があふれ出していることを、二人は本能的に理解する。
    水の抵抗を感じるがごとくの緩慢さで、ようやくドアに手をかけた。

    次の瞬間。

    ドアから、まるでハイドロポンプが発射されたかのように、少年が射出された。
    水圧でぶち破られたドアは木っ端みじんに大破し、衝撃でゼイユ達は廊下の壁に叩きつけられる。
    威力10倍のアクアジェットの如く、少年は次々と学園の壁を破っていく。
    水の抵抗に耐えられなかったのか、スグリから借りた服はビリビリにちぎれ飛んだ。
    最速まで加速したカマスジョーよりスピードを上げた少年の体は、ついに建物の外・・・海中の小ドームの内壁まで到達。
    まるで発泡スチロールでも破るかのように、バリアをぶち破る爆音を轟かせながら、大海原へと躍り出た。

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:56:54

    立て直しありがとう!

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 23:28:23

    支援

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 23:41:18

    『緊急警報!緊急警報!これは、訓練ではありません!何者かによって、学園の海中バリアが破られました!
    現在、大至急バリアの復旧が行われていますが、校舎の一部が水没する危険性があります!
    皆様、ロビー、もしくはテラリウムドームへ避難してください!
    繰り返します!これは訓練ではありません・・・・・・!』
    学校じゅうに警報が響き渡る。生徒たちが声を上げて、バチュルの群れを散らすように避難経路を走っていくのが見えた。
    ゼイユ達の体からは、あの不快なプレッシャーは消えてなくなっていた。しかし壁に叩きつけられたことには変わりない。
    全身の痛みを抑えて、何とか立ち上がる。

    「ぽに・・・」(悪い予感、的中したみたいね・・・)
    「は、はい・・・おそらく、ペパー様がサンドイッチに秘伝スパイスを使い・・・ヌシ化、したものかと・・・」

    ゼイユ達は、既にハルトからヌシやスパイスの思い出話を聞いていた。
    タロの話から最悪の事態を想像してはいたが、まさかここまでとは・・・

    しかし、起こってしまったものはしょうがない。もはやアレは止められない。
    マナフィがどこへ向かっていったかもわからないのだ。もはやお手上げであった。
    (う、うう・・・!あたしのデートがぁ・・・!レストラン、ローリングドリーマーの予約がぁ・・・
    ハルトが一年かけてやっと手に入れた、最高級のディナーだったのに・・・
    ハルトが・・・あんなにうれしそうにあたしを誘ってくれたのに・・・)
    膝をつきながら、ゼイユは打ちのめされた。
    人間には戻れない。ハルトに至っては目覚めることすらない。
    もはや、デートなど夢のまた夢である。

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 23:45:45

    「諦め・・・ません・・・!」
    「ぽに・・・!?」(オーガポン・・・!?)

    「まだ、追う方法はあるはずです・・・!ゼイユ様が明後日のこと、この世の何よりも楽しみにしていたのは、この身体から伝わってきました・・・!
    わたくしは・・・決めているのです・・・!お二人の邪魔をする者は、誰であろうと、ブっ飛ばすって・・・!」

    燃えている。ゼイユの眼の中で、オーガポンの星が燃えている。オーガポンの気迫に、ゼイユは少し勇気づけられた思いだった。
    しかし・・・
    (でも、もう、手がかりが・・・)
    そこで、部屋の中に倒れている影が目に入った。
    「ぽにぽにお!?」(マフィティフ!?)
    ペパーの相棒、マフィティフだ。老犬であるが、今なおバトルに血気盛んのツワモノである。
    (まさか・・・!?)
    全身べっしょりと濡れそぼっていたが、命に別状はないようだ。
    そうだ、ヌシ化直前まで一緒にいたペパーなら、何か手掛かりを知っているかもしれない。
    ゼイユは一縷の望みをかけ、マフィティフの体をゆさゆさと揺さぶった。
    「ぽにお、ぽにぽにー!」(ペパーでしょ!起きなさいよ!)
    「グ…ルゥ・・・」
    「まだ息がございますわ!」
    「なんや、騒がしいのぉ・・・」

    マフィティフの後ろから、長身の男子生徒が起き上がる。
    「んん・・・?なんや、ボールの中で寝とったと思ったら、いっつのまにかびしょびしょやないかい!
    水も滴るいいポケモン、ってか!ガハハ!」
    絶対にペパーではない男を見上げながら、ゼイユ達はフリーズした。

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 23:46:20

    復活してくれて本当に良かった
    乙です

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 23:55:54

    こちらこそ保守出来なくてすまない
    完結まで応援するよ!

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 11:03:22

    続きだ!やったー!

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 13:58:35

    待ってたぜ!!

  • 14二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 20:30:05

    保守だ!

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 23:58:14

    「ん?んん?・・・」
    ペパーは自らの全身をくまなく観察すると、のしのしと姿見の前まで移動し、己の姿を見た。
    「ほげえええええ!おっちゃんめっちゃイケメンになっとるやんけ!ていうかペパーのボンやんけ!こりゃあイマドキのJKにもモテモテやでホンマ!」
    「ゼ・・・ゼイユ様・・・」
    「ぽにおーーーー!」(あんた何モンよっ!!!)
    「んおっ!?さっそくカワイ子ちゃんたちが寄ってきたやんけ!モテる男はツラいのぉ~
    ・・・せや!ここはひとつ、おっちゃんがペパーのボンになっとる間に、カワユイ彼女の1人や2人こさえてぶほぉ!!」

    「ゼイユ様っ!?ツタこんぼうはおやめください!」
    「ぽに・・・」(僇す・・・)
    「ひえええ~~~っ堪忍してぇな!堪忍してぇな!冗談やんけぇっ!」

    モンスターボールの中から解き放たれた哀れなペパーは、しっぽの中から木の実をぼろぼろと落とし、完全に白目をむいて凍り付いていた。
    気色悪い行動をしないようにロープで縛られたヨクバリスが、這いつくばりながらペパーに話しかける。
    「ボン!ボン!堪忍なぁ!代われるもんなら代わってやりたいでぇ・・・!」
    「ぽに」(お前もう黙ってろ)
    「結局ペパー様も海神様の餌食に・・・どこへ行ってしまわれたのやら・・・」
    「ん?もしかしてボンの親友のハル坊のことかいな?それやったら、吹っ飛んでく前に言ってましたで!
    『パルデアか、そこに居るのか』ってもんで!もしかしたら、パルデアの海まで泳いでいくつもりなんやないやろか?」

    「ぽにっ・・・!?」
    「ブ…ブルーベリー学園から・・・パルデアまで・・・!?6000キロ近くございますよっ!?」
    いや、ありえる。あの速度で海中を突っ走れるならば、1日かかるかどうかといったところだろう。
    次の行き先は決まった。
    「ぽにーっ!」(行くわよオーガポン!デートまでには、絶対間に合わせるんだからっ!)
    「はいっ!ゼイユ様っ!」
    少々BPは張るが、専用のカイリューライドを手配すればパルデアには半日で着く。二人は、すぐさま走り出した。

    「あれっ!?ちょっと!?おっちゃんのことほったらかし!?せめて縄ほどいてぇな~!!
    ボン~~~~!そろそろ起きてくれ~~~~~っ!!」

  • 16二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 11:27:11

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/20(月) 21:37:34

    『こちらが、今回の供物でございます。海神様、どうか、入れ替わりの加護を、わたくしめにお与えください・・・!』

    『佳い。朕は平等だ。対価さえ払えば術を施す。対象のものと同衾するがよい。望む結果が得られよう』

    相も変わらず、老いた男が地上の供物を持って訪宮する。
    術を掛けられた男は、大喜びで自らの治めるクニへと帰ってゆく。
    3~40年に一度のインシデントだった。

    地上のごちそうを頬張っていると、海の方から見知った顔がやってくる。
    『陛下、・・・人間どもにその力を使うのはおやめ下さい。・・・御身が穢れます』
                  ・・・・・・
    『ほう、存外お前、人間どもが好きなのだな』
    『別に、そういうことではございません。人間なぞ嫌いです。
    ああやって、陛下の力を使って何も知らぬ仔の身体を乗っ取り、無理矢理生きながらえる・・・おぞましいにもほどがありますわ』
    『朕はそんなことはどうでもよい。地上の供物は旨いし上手い。それ以上でも以下でもない。これも一つの、海と地上の共存だと言えんこともないのではないか?ン?』

    『・・・・・・』
    『なんだ、言いたいことがあるなら申してみよ、ホウエンの。・・・・・・畏まった言い方では、朕の心になぞ届かんぞ』
    『・・・・・・失礼いたしましたわ、陛下。今日は供物をお持ち奉ったのですが、陛下には必要無いようでしたわね・・・どうぞ、地上の珍しい食べ物を存分にご堪能下さいまし』
    『どうした、何を臍を曲げておる、待て、待てというに、おい!・・・あやつも喰いたかったのか・・・?』

    なんだかもやもやした気持ちのまま、玉座へ座る。ホウエンのが持ってきたという、玉手箱を開けてみた。
    『これは・・・』

  • 18二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 08:15:10

    海が荒れている。匂いが濃くなってきた。
    少し塩辛い、ホウエンの海の匂いだ。
    何故だ。何故姿を見せなくなった。何故。
    眷属に調べさせた。人間に捕まっていた。
    馬鹿め。油断するからそんなことになるのだ。まったく、あの馬鹿は昔から何一つ変わっていない。

    ・・・・・・いや、あれが捕まるはずがない。
    先代なら兎も角、あの『いいにおいの薬草』を童の頃から山ほど喰ってきたのだ。
    純粋な戦闘能力であれば、朕すら凌駕するやもしれん。
    それが、油断であっさり捕まるものか?
    簡単だ。
    自分から捕まったのだ。
    自分から、海を放棄したのだ。
    即ち、朕を見限り、棄てたのだ。朕を。朕を。余を・・・!

    聞き出さなくてはならない。海を捨てた理由を。人間を選んだ理由を。

    ————————————————————————

    『君が・・・海の皇子、マナフィ・・・?』
    人間の訪宮は、もう何年ぶりだろうか・・・入れ替わりの力を欲するのか、それとも捕獲目当てか・・・

    『・・・!?』

    匂いがした。ホウエンの、海の匂いが。
    この小僧ではない。こやつが捕獲したのなら、もっと匂いは濃いはずだ。
    こやつの近しい人間に、下手人がいる。

    『小僧、取引だ』

  • 19二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 18:51:35

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん25/01/21(火) 23:43:21

    お話としても続きが気になる

  • 21二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 09:38:14

    ヨクバリスのおっちゃんってあにまん発祥なのかな

スレッドは1/22 21:38頃に落ちます

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