- 1二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 01:36:09
純粋に自分がどれだけミステリーを読んできたかが気になったので
簡単に淡々と自己満で描いていく
1.カラスの親指 道尾秀介
初老の詐欺師コンビのもとに事情を抱えた少女、その姉カップル、ワンコが転がりこみ共同生活が始まる
そして彼らが一つのペテンに手を染めていく…という話。
コンゲーム×コメディの構造をとってる作品で
読み心地は伊坂幸太郎の陽気なギャングシリーズに近いかも
奇妙な共同生活やペテンを企てる部分など随所に読み応えがありスラスラ読める
普段は登場人物に愛着が湧くことはないのだが
これはキャラクターもどんどん好きになれた作品
何より終盤の展開も見どころ
読後感も良くて純粋に読んで良かったと思えた作品
ひまわりの咲かない夏とかシャドウで道尾秀介合わないか?と思った人はこっちを見てみて
続編はカエルの小指という作品があるそうだが未読 - 2二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 01:39:45
2.クールキャンデー 若竹七海
主人公の兄嫁とそのストーカーが死亡し、
容疑者として兄が疑われる
その容疑を晴らすべく中学生の主人公渚が動く
という話
この本は170ページ弱の短い物語なんだけど
切れ味抜群でとてつもないインパクトをくれる
一日で読めるからぜひ読んでみて - 3二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 01:46:29
3.屍の命題 門前典之
とある別荘で6人の宿泊者が全員別の死因で死亡しているのが見つかる
犯人とその動機は?という話
雪世界で見た天女?という謎プロローグに始まり、事件前の意味深な被害者同士のやり取り、死ぬ前にカブトムシの亡霊を見たという手記などよく分からんのてんこ盛り
真相を聞いたときに真面目な人は怒ると思う
僕は笑ったけど
特にプロローグとカブトムシの亡霊ってなんぞやという箇所だね
バカミス(褒め言葉)と云われる類いの作品なので肩の力を抜いてハチャメチャに楽しめるよ - 4二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 01:51:59
4.殺戮に至る病 我孫子武丸
蒲生稔というサイコキラーが初めての殺人を犯してから逮捕に至るまでを描いている
よく上がるどんでん返し作品だとこれが一番きれいにまとまっていると思う
(ほか作品は伏線薄めで唐突だったり
途中の話が平坦だったりというクセがあると個人的に思う)
ラスト数ページで読者に真実を突きつけ
置いてけぼりにしてしまうあの感覚は
未読の人がいたらぜひ味わってほしい
ただこの作品はエログロが7割くらいを占めているので食事前に読まないように
これもまたクセかもしれないけど - 5二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:01:53
5.ナイルに死す アガサ・クリスティ
船の上で起きた射殺事件にポアロが挑む話
1937年と約90年ほど前の作品ながら色あせない!
かつ、600ページ弱ありながらこの本はクリスティ作品の中でも読みやすいと個人的には思う
前半1/3が乗船者の紹介と事件に向けた布石を打つのに割かれているけれど
その中でも小さな事件が起きてその後の事件につながり飽きさせない
クリスティ作品あるあるの
人物紹介→事件→一人一人聞き取り→探偵役が地道に調査→各容疑者視点の記述…
という流れは慣れていないと単調でやや飽きが生じるんだけど、
(有名なオリエント急行やアクロイド殺しもこの流れがある)
ナイルに死すはそこが上手く旅情描写や小さな事件で潰されていて読みやすかった
ポアロ推理後の結末含めてすごく印象的で
今まで読んだクリスティ作品だと個人的には1番かな - 6二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:08:52
6.葬儀を終えて アガサ・クリスティ
当主の葬儀を終えたアバネシー家で
遺産分配の話が行われる場において
末妹が当主は殺されたんでしょ?と発言し
少しざわざわする
取り合わなかった兄弟達だけど翌日末妹は惨殺される…
オリエント〜やそして誰も〜とかしか知らなかった自分がタイトルだけ見て読んだ作品
また、トリックを聞かされ「いやいやそれは無理でしょクリスティさん」と言いたくなる作品
でもなんか好き
犯人の自白がトチ狂っていて怖い! - 7二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:21:38
7.神のロジック・人間のマジック 西澤 保彦
閉鎖された施設につれてこられたマモルは
様々な国の同じ年頃の人間が謎の実習を受けていることを知る
その施設内で事件が発生する…
説明しづらいポイントが色々あるんですが
真相は予想の斜め上
布石や伏線もありとても楽しめる作品
施設に潜む「邪悪なもの」がひたひたと主人公たちを侵していく描写はホラー
得体のしれないものがずっと話の土台で横たわっている感覚を味わえます
どんでん返し作品を色々読んだ人は
真相を知ってあれ?となるかも
そして出版年を調べてさらに驚くのかも
(この事情があるためこの本のタイトルを検索する際はサジェストをあまり見ないほうが良いです) - 8二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:26:46
8.黒い仏 殊能将之
ミステリ初心者に薦めてはいけない本①
円載の宝探しとアパートで見つかった男性の変死体の捜査が結びついていく
〇〇〇〇が〇〇を〇〇するのは僕が読んだ中ではこの本だけかと
「賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作」というフレーズで察するものはあるかと
後期クイーン問題に一石を投じているねと解説しているブログもあったが
実際作者はどこまで考えていたのだろう
ちなみに本作は石動戯作シリーズ2作目ですが
この本からでも読めると思う
自分はこっから読んでるし - 9二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:28:48
いいね
- 10二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:32:11
9.超・殺人事件 東野圭吾
ミステリー小説のお約束とか出版業界に対するブラックジョークが詰まった短編集
全部の短編がコント調なので堅苦しくなく読めます
これの超税金対策殺人事件がまじで笑える
5年以上前に読んだのでうろ覚えな短編も多いけどこれはインパクト抜群
気に入ったら似たような味付けの『名探偵の掟』もどうぞ - 11二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:44:26
10.八王子七色面妖館密室不可能殺人 倉阪鬼一郎
この本は仕掛け本となっております
近年話題の紙の本でしかできない仕掛けというもので作者の労力を想像しながら楽しんでください
200ページ弱の本にも関わらず事件編は全体の半分くらいで終わる
事件編の文章が意味不明&抽象的で挫折しそうになるかもですが
とりあえず堪えて解決編まで進んでみてください
その読みにくさの意味を悟りその仕掛けに驚いたらあとはシリーズ作品を漁っていくだけです
いくつか仕掛け本シリーズはあるけど
これと同じくらいのおすすめは
・三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
・不可能楽園 〈蒼色館〉(これは仕掛け内容的にできれば他2作を読んでからの方が良い)
全体的にはっちゃけている本ですが
八王子〜は最後の仕掛けで少し感傷的な気分にさせられるかも
なんて本だ
また上で紹介したのと毛色が違う作品もあって
仕掛け的には上のより少し落ちるところもあるのでここら辺から読むのもありかな
・四神金赤館銀青館不可能殺人
・紙の碑に泪を
(番外編:波上館の犯罪 美術哲学?の記載が山盛り&仕掛けがわかりやすいなどクセが強いので
よほどこの作者の本が読みたいのでなければ避けてもいいかも…)
この作者さんは多作で時代小説も書いている
自分は未読だがいつかそっちも読んでみたい - 12二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:50:51
12.ディスコ探偵水曜日 舞城王太郎
足掛け一年かかり読んだが
内容はわかったようなわからんような
ミステリーのようなSFのような
ハッピーエンドのようなバッドエンドのような
未だによくわかってない
誰かこの作品を解説しているサイトとかあったら教えてくれ
自分でもよくわかっていないんだ
ただ和菓子職人は最強だし
この主人公の探偵も探偵界最強だと言うことは分かります
ネタバレ食らっても意味を理解できないと思うのでそこは安心
というか読了した自分ですらネタバレできない
そんな密度の作品
奇妙な読書体験をしたければぜひ(確か絶版とか聞いたような) - 13二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 02:59:10
13.法月綸太郎の冒険 法月綸太郎
歪な事件の動機(ホワイダニット)を集めた短編集
刑執行直前の死刑囚を毒殺したのはなぜか?という「死刑囚パズル」がよく話題に上がる
この話だけほぼ中編なのでじっくり楽しんでね
個人的には図書館を舞台にした2短編
「切り裂き魔」と「過ぎにし薔薇は……」も名作
ただ欠点として有名古典のネタバレやその匂わせがちょくちょくあり安心して読めないこと
ほか短編集でもそれは感じた
スタンリイ・エリンの「特別料理」はオチまで
示唆されていたので先に読んどくといいかも - 14二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:08:21
14.叫びと祈り 梓崎優
異国の地で起こる事件を一人の青年が紐解いていく連作短編集
収録5編のうち、3編がお気に入り
トリックがすごいというよりは
なぜ事件を起こすに至ったか、異国ならではの背景描写が見どころ
「砂漠を走る船の道」
サハラ砂漠を進むキャラバンで殺人が。
容疑者も限定されるかつ、人手を減らすことにより犯人自身も危険にさらされるのになぜ殺人を犯した?
極限状況での殺人という意味では
先ほどの死刑囚パズルと共通項
やっぱホワイダニットと短編は相性抜群!
真相はシンプルながら意表を突くもの
「凍れるルーシー」
唐突にぶん投げられる衝撃
「叫び」
伝染病が流行り死を待つ村で殺人が…
またもや極限での殺人
その動機は壮絶かつ理解不能の一言 - 15二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:21:59
15.死と砂時計 鳥飼否鵜
死刑囚を幽閉する終末監獄で起こる数々の事件を
死刑囚の二人が解き明かすという変わり種本格
またもや刑執行直前に死刑囚が殺されます
(真相は個人的には死刑囚パズルのほうが好き)
以下お気に入り短編
「監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦」
定年退官まであと3日の監察官が殺された
なぜ?誰が?
→動機がぶっ飛んでる
「墓守ラクパ・ギャルポの誉れ」
死刑囚墓地の墓守が墓を掘り起こし
刑執行された囚人の遺体を切り刻んでいた
刑執行された囚人は生前金の十字架を持っていたらしく…
→墓守が死刑囚に抱いていた感情は友情か敵意か?というあたりがコロコロしています
何とも言えぬ結末もまた良い
「確定囚アラン・イシダの真実」
他短編で探偵シェルツ囚人の助手をしてきたアランが数日後の刑執行を言い渡される
過去を振り返ると意外なことがわかる
→恐ろしいホワイダニットの解に震える
長めの短編だけど本作のベストかも - 16二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:28:49
16.首無しの如き祟るもの 三津田信三
刀城言耶シリーズの第3作
このシリーズはどこから読んでもそこまで繋がりはないらしい
(この作品→後続の4作目で読んだほうがいい気はするが)
シリーズ特徴としてホラーとミステリーの融合、
探偵刀城言耶による一人多重解決が挙げられる
この2つの要素が終盤に大きなインパクトを与えることになる
本作はシリーズの最高傑作とされており
たった一つの要素で20近くある謎がスルスル解けていくというのが凄まじい
タイトルの通り首切り殺人が起こるのだが
既存の首切りトリックにアレンジを加えて
唯一無二のものにしている
また、このシリーズを読む際は
見取り図がついてるため文庫本(小さい表紙が柔らかい本)で読もう
正直見取り図がないとちょっと辛いとこもある - 17二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:36:38
17.山魔の如き嗤うもの 三津田信三
刀城言耶シリーズ第4作
3作目の一部展開を匂わせている気がしなくもないので3→4の順に読むがいいかも
3作目が一つの要素で謎を明かす論理の傑作なら
こちらは伏線回収の傑作
すべてが伏線というキャッチコピーが昨今流行っているけど
この本も負けず劣らず伏線を散りばめ
その後の多重解決やドンデン返しに生かしまくっている
ちなみにシリーズで読んだ中だと個人的には以下がお気に入り順となる
1位 首無
1位タイ 山魔
2位 忌名(ホワイダニットはシンプルながら盲点)
3位 厭魅(真相解明部分でひぇってなる)
4位 凶鳥(トリックは派手で好きなんだけど登場人物の行動が何かな…という部分がある) - 18二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:38:47
順位1位タイの次は3位だね…
ミスった
18.二壜の調味料 ロード・ダンセイニ
気になったらまず表題作だけでも読んでみて!
ミステリー短編というよりは奇妙な味という
スッキリした解決がない場合もあるものなのでその点は注意 - 19二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:41:29
19.時計館の殺人 綾辻行人
みんな大好き館シリーズ5作目
仕掛けの壮大さと犯人の意外性、結末などどれをとってもピカイチ
個人的には十角館の殺人よりこちら派
十角館の殺人しか読んでない人はシリーズ順に期待して読んでね - 20二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:45:17
20.暗黒館の殺人 綾辻行人
みんな大好き館シリーズ7作目にして
シリーズ最長
ノベルスの表紙折り返しで筆者が
(確か)いろいろ仕掛けたよ、驚くポイントは人によって変わるかも、と書いていた
その宣言通り仕掛けは多岐にわたり
1000ページ超えも納得の内容
ここまで6作シリーズを読み1000ページの読書をしたシリーズファンにはうれしい要素もあるので
じっくり読んでみてね - 21二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:51:00
21.メルカトルかく語りき 麻耶雄嵩
ミステリ初心者に薦めてはいけない本②
1,2編目を読むと作者が何をしようとしているのか分かります
とんでもねぇ
初心者にミステリーってこんなんなのかと思われそうなので勧めてはいけません
収録作で個人的に好きなのは「収束」
また「答えのない絵本」はインターネットの海に生息する野良の名探偵が考察を書いているので
読んだあとにぜひそちらもググってみてね
麻耶雄嵩はミステリーあるあるとかお約束構造を文字って作品にしていることが多いので
ある程度ミステリーを読んでから麻耶雄嵩作品を読むと染みます - 22二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 03:56:08
22.電気人間の虞 詠坂雄二
変化球的な作品なので本格ミステリーとかサスペンスとはちょい違うかな
語ると現れ人の思考を読み
真相に近づくものは死んでいく
電気人間という怪異を追うライターの話
とある一行の衝撃がすごく背筋が薄ら寒くなります
それを踏まえて読み返すと要所要所なかなか計算づくだったり
オチで突然ぶん投げていて少し笑えた記憶がある - 23二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 04:03:18
23. はなれわざ クリスチアナ・ブランド
ブランド作品ではおなじみコックリル警部が探偵を務める作品
タイトル通りトリックは離れ業です
自分はとても好きなのですが
世間だとこの無理トリックを理由に他作品に評判が移行しているっぽいです(未読ですがジュゼベルの死とか)
ブランドの作品はこれと短編集を読んでいるんですが
ちょい前の時代の作品ながらなかなか骨太な多重解決を見せてくれます
かの有名な毒入りチョコレート事件とまではいかないけど伏線を散りばめ
それをもとに丁寧に推理を重ねていくのが見どころ
容疑者を疑う際にも具体的な殺人遂行方法を仮説立てて進めていきます
また、事件の展開や真相は皮肉っぽいものもあり
この作品も読み返すとこの時のあれってそうだったんだ!
と驚き笑えるのがまた乙です - 24二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 04:24:52
24.エジプト十字架の謎 エラリー・クイーン
探偵学園Qの切り裂きジャック事件で
この小説とそして誰も〜の真相が匂わせされているので探偵学園Qを読む前にこれらを読んでおこう!
この小説の白眉は
事件現場に残ったヨードチンキの瓶から繰り出される論理的推理で
シンプルイズザベストながら納得いく答えを導き出している
犯人解明直前に入るチェイスシーンは
唐突ながらハラハラして惹かれますね
国名シリーズはまだこれしか読めていないので
今年はもう少し読みたいな - 25二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 04:28:33
25.皇帝のかぎタバコ入れ ジョン・ディクスン・カー
シンプルなトリック1本で勝負する男気小説
カーの小説では一番好きかも
カーおなじみの怪奇要素やドタバタ劇はゼロだけれど
後味のすっきり感はピカ1だし最初に言った通りトリックがシンプルで痺れる
ちなみにコナンのアニオリで思いっきりネタバレされているので
コナンのアニオリを一気見する予定のある人は
この小説を読んでおこう! - 26二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 04:35:37
国名シリーズはエジプト十字架から読んだならとりあえずオランダ靴とギリシャ棺を抑えておけばいいよ
シャム双子も読んどくと新本格のあれやこれやの元ネタがわかって楽しい
ロジカルな推理自体を楽しめるならローマ帽子、フランス白粉も読んでおいて損はしないと思う
アメリカ銃・チャイナ蜜柑・スペイン岬は後回しでいい - 27二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 05:08:58
麻耶雄嵩いいよね…