- 1二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:43:40
をします。
『私だけの誕生日ではないから。特別なものなんていらない。祝うなら言葉にせず…ただ祈って。』
夜。
外出届を出して、私は1人で外にいる。
今日は誕生日。私が生まれて、あの子が亡くなった日。
私の中にあの子がいない、初めての誕生日。
そんな日がよりによって半月だったものだから、少し神経質になってしまった。
何かパーティーでもしようかと寮長達に勧められたけど、全て断ってしまった。
トップロードさん、カレンさん、オペラオー、ドトウ。それからあの人……トレーナーさんにも悪いことをしてしまったと思う。
「……まだ、生きるのが下手みたい。素直にお祝いされた方が良かったかも」
「でも、お姉ちゃん頑張るから。あなたの為に、まずはちゃんと、私が生きるわ」
「新月の日に、また来るね。……もしかしたら、うるさいのとか、よくわからない人とか、ついてくるかもしれないけど」
ずっと先で待っている妹との対話を終え、いつもの場所を後にした。 - 2二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:44:19
「やあ、お帰りアヤベ」
寮に戻ると、フジ寮長が入口で待っていた。
「別に待っててくれなくて……も……?」
「眠ってはならぬ…誰も眠っては……」
「ほえぇぇぇぇええ〜……」
「あ、あはは……アヤベさんこんばんは」
寮のロビーには、トップロードさん、ドトウ、舟を漕いでるオペラオーが並んで正座していた。
「何、これ」
「門限破りのお仕置き、かなぁ」
「オペラオーはともかく、トップロードさんまで?」
「あ、はい。お祝いで話込んじゃっ──あ」
「…………お祝い?」
「あらら……」
「ご……ごめんなさいぃっ!!!
アヤベさんにとってはただの楽しい日じゃないって知ってて、でも、アヤベさんが生まれて。
私達と出会って。それは私達にとってとても、幸せなことでぇ……」
「それで、アヤベさんにいつもありがとう、って。そんな気持ちを込めてみんなで集まってました。そしたら、色んなお話をしている内に門限過ぎちゃって……」
「ドトウ……トップロードさん」 - 3二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:46:37
「はーっはっはっは!サンタさんがテーブルにつかなければクリスマスを祝えないなんて事はない!受け取り手のいない祝福!それは一つの祈りと言っても過言ではないのさ!
故に!ボクたちで"勝手に"祝っていたというワケさ!」
…………『勝手に』?
「トップロードさん」
「え、あ、ハイ。え、アヤベさん?」
「この一件の主犯は誰。」
「……あ、あの」
「どうせこの後確認するから、別に答えなくてもいいけど。でも教えて」
「……アヤベさんのトレーナーさんです……」
「そう」
「き、切っ掛けは私なんですけどぉ……どうしようって悩んでたところにトレーナーさんと会って……」
やっぱり。
どうあっても……私を独りにはしないのね。 - 4二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:47:23
「……あの。
私は、こんなに良くされても、何も返せない、から。
でも……ありがとう。それと──よかったら、これからも、よろしく」
「はい、よろしくお願いします!」
「はいぃっ!こちらこそ!」
「そうとも!まだまだキミは舞台の上のスタァなのさ!」
「もちろんさ」
「私は部屋に戻るけど……今日は早めに許してあげて」
「あと10分ぐらいかな?よいしょ」
「……なんでフジさんも?」
「や、楽しそうな声が聞こえて。ついマジックに本気になってしまって……」
「共犯だったのね……」
すでに消灯してある部屋に入ると、机の上で掌サイズの小さなテディベアが迎えてくれた。
カレンさんの机にも色違いの子が座っているのが、きっと彼女の気遣い。
(3月12日。明日。3月25日。3月31日。4月4日。4月15日。──それと。) - 5二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:47:47
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誕生日、いつ? - 6二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:49:12
終わりです。書きました。
明日はオペの誕生日です。 - 7二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:50:15
運命的な2人じゃないか
- 8二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 23:56:59
みんな良い子だなぁ
- 9二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 02:55:50
そうかオペと一日違いか