[オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….2

  • 1125/01/23(木) 20:49:35

    あらすじ


    トリニティに来ていた先生に入った報せ、

    ブラックマーケットに行きたがっている生徒がいると聞き

    話を聞くことに


    「と、友達を探しているんです…

     トリニティに入学前にいなくなった友達を…」


    友達を探している生徒「マナ」の"夜目"を頼りに

    ブラックマーケットへ向かった2人は、突如既に廃校となった学園へと迷い込む。


    『s…生…先生、ここは…d、こか、おかし…です!』


    様子のおかしいアロナ


    「ゾ…ゾン、ビ?」

    "と、とにかく逃げよう!"


    静かな学園に蠢く這い出る異形

    そして、先生とマナを歓迎する生徒達…


    「ようこそ…呪われた地、祝福から外された学校…

     ルイスパリッシュ統合学園へ。」

    「歓迎するよ…先生、お嬢さん。」


    と言う感じに始まるイベスト概念?ssスレです。

    前スレ

    [オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ…|あにまん掲示板「…生……、先生…」誰かの声が聞こえる…たしか私は…「先生!」上から強く呼びかける声に私は飛び起きた。呼びかけくれていた彼女は、飛び起きた私に少し驚いていたがホッと胸をなでおろしていた。周りを見渡すと…bbs.animanch.com
  • 2125/01/23(木) 20:56:22

    まだ続きが書き上がっていませんが
    待たせすぎるのもアレなので、次スレ建てました。
    あと、今更ながらコテも…。

    本編は前スレの1~13、46~49、60~71、90~107
    127~136、175~178になります。

    ネタバレがありますが
    前スレ25~35が設定となります。

  • 3125/01/23(木) 22:02:56

    人物・組織

    「シャーレ」
    先生
    言わずと知れたシャーレの先生
    生徒の頼みを聞き、廃校となった呪われた学園へと
    友達探しを手伝うことになる。

    「トリニティ」
    日向マナ
    トリニティ総合学園1年生
    入学数か月前にいなくなった友達を探しに
    呪われた学園へと関わっていく。
    本人の特技として、"夜目"が効くとのこと。

    [ルイスパリッシュ観光協会]
    周藤リコ
    ルイスパリッシュ観光協会の協会長
    本人曰くお飾り会長
    迷い込んだ先生とマナを歓迎し力を貸す。

    木ノ下サヨコ
    観光協会の実質的なNo.2でまとめ役
    迷い込んだ先生とマナが最初に会った協会員
    キヴォトスでは珍しく槍を使う。
    現ミレニアムサイエンススクール2年生。

    籔島ニィナ
    迷い込んだ先生とマナが最初に出会った協会員の一人
    平坦で間延びした口調が特徴的な現ヴァルキューレ警察学校2年生。

  • 4125/01/23(木) 22:03:11

    >>3

    山城リリ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている。

    明るく快活な人物だが、鉄道復興の想いは強い。

    現ゲヘナ学園2年生、ゲヘナでも小さな鉄道を営んでいる

    前スレ53が考案してくれた生徒


    桂城スズ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている

    黒い狼耳が特徴的な長身スレンダーな現ゲヘナ学園2年生

    前スレ85が考案してくれた生徒


    「???」

    三木クシロ

    いなくなってしまったマナの友達

    ようやく見つかった日記にて、闇の中に呼ばれてしまっているようである。


    「ルイスパリッシュ統合学園」

    三つの学園が一つに統合されてできた学園で

    三大校に匹敵するとも言われていたが、

    突如現れた異形達により学園が荒廃、尽力及ばず土地ごと閉鎖という

    異例の措置をもって閉校となった。

    在籍していた生徒たちは例外なく他行へ編入している。

  • 5125/01/23(木) 22:05:27

    前スレ52からの引用ですが

    下記を守っていただければルイスパリッシュの生徒を

    想像していただいて構いません。


    ・1年生はいない。

    ・現在は他学園の生徒

    ・武器は1890年代の代物(分かりづらかったら

     のwikiを参照)


    wiki

    武器 - Hunt: Showdown 日本語攻略 Wikiハンターは武器を2つ所持することができ、それぞれの武器はLarge(3マス), Medium(2マス), Small(1マス)の3つのカテゴリに分かれている。 装備できる武器は2丁で計4マス。詳しくは下記のように制限される。 プライマリにLargeの武器を装備 → セカンダリはSmallのみ装備可能。 プライマリにMediumの武器を装備 → セカンダリはMediumかSmallを装備可能。 プラjpngamerswiki.com

    だいたい、このあたりを守ってもらえれば

    お好きに作ったり、協会内での役職とかも

    勝手に生やして貰っても大丈夫です。

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 22:34:36

    ん、初見

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:13:30

    たておつです

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:15:45

    保守

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:16:25

    9

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:17:00

    10

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:28:35

    立て乙
    待ってましたよ!

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 00:30:16

    このレスは削除されています

  • 13125/01/24(金) 00:32:43

    もう見慣れてしまった駅長室に集まった
    私とマナを出迎えてくれたのは
    リコ以外難しい顔をしている協会員だった。

    "えっと…みんなどうしたの?"
    「な、なにかあったんですか?」
    「いやぁ、そういう訳じゃないんだけどねぇ…」

    こちらに目を合わせないまま
    サヨコと黒い獣耳の生徒はテーブルに広げた地図を
    睨んだままその理由を語る。

    「セイブル地区までの道がね…遠いんだよ。」
    「正確にはマナが言う光までだね。
     大体セイブルのどこかという予測は付いたんだけど…」
    「オレ達が全力疾走しても陽が傾く内に着くかどうか…」
    「という訳でねぇ、危険だけど
     先生とお嬢さんには夜を越してもらう必要が出てきたんだよぉ。」

    私とマナは目を合わせ、問題ないと返そうとしたのを
    勢いよく開いた扉が遮る。

  • 14125/01/24(金) 00:33:31

    「ついに来たね…この時が…
     セイブルまで遠い?大丈夫!
     こんな時の為に整備していたんだから!
     あーし達、鉄道復旧委員会のバーミリオン号にまかs…」

    「却下。」
    「駄目。」

    「えっー!!??」

    意気揚々と鉄道を使うことを提案したリリは
    地図を見つめたままの二人に食い気味に否定され
    流れるように床に崩れ落ちる。
    リリはそのまま、ずるずると獣耳の生徒に縋りつく。

    「えー!なんでよー!?
     今こそ、バーミリオン号を起こすときでしょ!
     ねぇ、スズー!」
    「リリ、気持ちは分かるけど機関車を動かすのはリスクがある。
     異形が駆動音に引き寄せられることもあるし
     仮にセイブル地区まで行ったとして帰路はどうする?
     最短の路線は、まだ調査していないから分岐点が生きているかも分からない。
     異形や密猟者に知られて壊される可能性もあるんだ。
     片道だけ使うにしても、対価が合わない。」
    「ま、そういうことだね。」

  • 15125/01/24(金) 00:34:38

    スズと呼ばれた生徒によって取りつく島も無く
    丁寧に機関車を動かせない理由を聞かせられたリリは
    むぅと口を尖らせ、むくれてしまった。

    「…リリ、バーミリオン号を動かしたい気持ちは私も同じだ。
     だけど焦ってはいけない、今一番してはいけないのは
     動かせないことじゃない、バーミリオン号を失うことだ。
     大丈夫、あなたの気持ちは、鉄道復旧委員会みんなの気持ちだ。」
    「…うん、分かってる、ごめん。」

    スズはリリに目線を合わせ軽く抱きしめながら諭す。
    やれやれと言った様子で、リコとサヨコは生暖かい視線を送っている。

    理由も由来もどうしようもなくなってしまった一端を見てしまい
    私は一刻も早く事態の収束に近づけるように手を貸そうと、心の中で誓いなおした。

  • 16125/01/24(金) 00:35:26

    「あ、あははは、恥ずかしいとこ見せちゃったね…」

    気を取り直して、セイブル地区に向かうため
    前回と同じメンバーで私達はデルタ地区内を進む。
    リリは駅長室でのやりとりを恥ずかし気にしていたが
    私もマナも、協会のみんなもそうは思っていないのは確かだ。

    「そ、そんなことないと思います。
     リリさんが、学園を、鉄道を大切にしていることは伝わりましたから…」
    "うん、リリの想いがいつか実るよう私も改めて応援したくなったよ。"
    「あー!もう、止めてよ!恥ずかしい!」

    リリは顔を赤くして、声を潜めながらも叫ぶという器用な真似をこなす。

    「先生、マナ、その辺で…それにリリは動かせる機会を知ったら
     すぐプレゼンしてくるから、いつもの事だ。」
    「サ、サヨコちゃん!」

    サヨコからのフォローに見せかけた追撃で
    リリは撃沈寸前になっている。
    こんな楽し気なやりとりも、彼女達の日常だったのだろうと
    勝手ながら感傷に浸っていると、くぐもった言葉にならない
    呻き声がどこかから聞こえきた。

  • 17125/01/24(金) 00:35:57

    "今の声…異形?"
    「な、なにか聞こえますね…」
    「あー…そうだな…」

    歯切れの悪い生返事をサヨコは返す。
    辺りを見渡していると、おそらく畑だった場所の柵のそばに
    倒れている物体を見つけた、音の発信源はあれだったようだ。

    "あれって…牛?"
    「う、牛ですよね…?怪我をしているんでしょうか…」
    「・・・」
    「・・・うん。」

    ついてきて、と先ほどとは打って変わって静かになったリリは
    大きく迂回して私達を倒れている牛の正面に誘う。

  • 18125/01/24(金) 00:36:22

    「えっ…。」

    力なくだらんと横たわっている牛は苦しそうな声を漏らしている。
    ただ、声の理由が異質だった。
    牛の腹は抉られ、肉は愚か骨すらも剥き出しで
    ピクピクと隙間から内臓と筋肉が動いている。
    今にも息絶えてしまいそうな痛々しい生傷…

    「学園に異形が出てきたときにさ…あーしたちは身を守る事が出来たけど
     育ててた牛や馬までは手が回り切らなくてさ。」
    「改めて調査した時、この目の間にある光景が既にあったよ。
     無視することなんてできないから、近寄ったら文字通り泣くんだ。
     その声に引き寄せられて異形がやってくる…」
    「だからさ、そんなことに使われるならって
     あーし達は眠らせてあげることにしたんだ、けどさ…」
    「次も同じ場所に行ったら、鳴いてるんだよ…眠らせた時と同じ、抉った腹を晒しながら
     苦しげな声を上げてさ。それを見てオレ達の誰かが言った…ここは時間が止まった悪夢だって。」

    いつの間にか、サヨコとリリは目を瞑っている。祈るように。
    憤りが虚しくなるくらいに、残酷で理不尽に成り果ててしまった環境で
    彼女たちは、ずっと何を見続けてきたのだろう…
    私は、サヨコとリリに倣うように黙祷する。
    どうか彼女達の頑張りが少しでも光ある方に進めるように…。


    To Be Continued…

  • 19125/01/24(金) 00:36:59

    全然途中だけど、ひとまず更新。

  • 20二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 00:38:09

    ひゃあ~!
    怖いのがやってきました!
    時間の止まった悪夢の地…これからが楽しみですねえ

  • 21二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 09:15:07

    更新ありがとうございます!

    異形は耳が良いみたいだから観光協会メンバーはともかくマナと先生にとって視界が悪い夜間の移動は相当苦労しそうだね

  • 22二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 12:56:05

    慣れない夜の道を歩いた先には何が待っているのでしょう…

  • 23二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 23:03:42

    見たいような見たくないような…

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 23:11:31

    牛や馬は農業科で飼育してたのかな?
    農業科の生徒にとってはお世話していた動物が苦しそうにしてるのに、楽にしてやることができないのはもどかしいだろうね…

  • 25二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 00:36:07

    鉱山とか迷路になってそうね…
    入らないとは思うけど…??

  • 26二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 09:04:36

    ほしゅ

  • 27125/01/25(土) 11:07:20

    実は容姿に関する描写が少ないのは
    単に決まってなかったり…
    特に協会の3人…

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 14:26:55

    >>27

    なんとなくのイメージですけど協会の3人は


    リコ :161cm黒髪ロング

    サヨコ:170cm茶髪ショート

    ニィナ:154cm青髪ミディアム


    という感じでどうでしょう?

  • 29二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 17:53:14

    今夜更新はあるのかな…?

  • 30二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 22:49:59

    期待しつつ保守

  • 31125/01/25(土) 23:01:35

    陽が地平線に隠れるギリギリまで歩き続け
    私達は最初の目的地であるセイブル近郊の
    観測所まで来ていた。

    "なんというか、植生が変わってきたね。
     背が低くて葉が厚い植物が多くなってきた。"
    「セイブル地区は、乾燥してて日中は暑いし夜は寒い。
     デルタやルイシアンと比べると時間での差は一番激しいかな。」

    サヨコの解説に耳を傾けていると、
    無線が入ったらしく、私達の傍を小さく離れる。

    「こちら、サヨコ。…はい。
     そう…、応援は?うん、了解した…オーバー。」
    "なにかあった?"

    途中から神妙な顔つきになったサヨコに
    無線の内容を尋ねてみたが、その前に完全に暗くなる前に
    観測所に入ろうと言われ従うことにした。

  • 32125/01/25(土) 23:02:39

    全員が入ったことを殿を務めていたリリが確認すると
    リリはすぐさま鍵をかけ、サヨコはカーテンを全て閉めきった。

    「ど、どうしました?」

    灯りの準備をしながら、サヨコは先ほどの無線の内容を話した。

    「セイブルに密猟者がいるかもしれない。
     しかも、複数の足跡を確認したって報せが入った。」
    「だから、こうやって戸締りを厳重にして
     居るのを悟らせないようにしてるんだ。
     あーしたちだけなら無線や合図でなんとかなるし
     異形達はあんまり明かりには反応しないから。」
    「今は大きい音を建てる以外は心配しなくて大丈夫。
     密猟者の報告もどちらかといえばルイシアン側からだ、ここからはかなり離れてる。」

  • 33125/01/25(土) 23:02:53

    オレ達はオレ達の事を優先して大丈夫みたいだ、と最後に付け加え
    サヨコは備え付けてあったランプを灯した。
    これからを表すように不安定に光が揺れる、
    けど、この光が同時に安心を伝えてきてもくれている。

    「よし、じゃあ、明日に備えて早めにご飯食べちゃおう!
     多分、鉱山側に行くことになるから、またかなり歩くことになるだろうしね。」
    「そ、そうですね…駅舎で見た時よりは光が大きい…けど
     まだ小さいです。」

    暗視を解除したマナの表情は、多少不安が見えるが
    その目は強く前を見つめている。

    1人でもブラックマーケットに行こうとしたり
    手掛かりがあるなら危険とわかっていても進んでいこうとするのは
    見ていて危なっかしくもあるが、誰かの為に迷わず行動できる…
    マナは思った以上に強い娘だ。

  • 34125/01/25(土) 23:03:24

    保存食新しくしたって言ってたよな、あっ、あー…」

    コンロ下の戸棚を漁っていたサヨコの言葉尻が下がっていく。
    もしや保存食が駄目になっていたのだろうか?
    リリがサヨコの傍に近づいて棚の仲を覗き込む。

    「どうかしたサヨコちゃん?……うわっ。」

    リリさえも気分が下がった動揺を口にする。

    "大丈夫?もしかしくて食べ物が腐ってたとか…?"
    「いや…そうじゃないんだ先生。」
    「うん、ちゃんと食べられるんだけど…
     はぁ、よりにもよって105ブロートかぁ…」
    「い、105ブロート?」

    うんざりとした表情でサヨコが取り出したものは
    通常お店で見るよりも小ぶりな1本の食パンだった。

    "食パン?"
    「そ、なんていったらいいのか…」
    「悪い意味で有名なご当地名物…?でいいのかな。」
    「この、105ブロートは、ルイスパリッシュ全域で販売されてて
     名前の通り105円で2斤1本っていう破格の安さと賞味期限の長さが売りなんだけど…」
    「逆に言うと、それ以外で買う必要がないってくらいに酷評されてるの…
     いやホント…あーしも興味本位で買って1枚食べた後処分に困ったし…」
    "そ、そんなに…"

  • 35125/01/25(土) 23:04:16

    カリギュラ効果というか、そこまで言われていると逆に気になってきてしまうが
    2人の口ぶりと表情から余程の物と推測する。
    まさか彼女たちはこんなところでも不条理を味わっていたのか…
    マナも違う意味で生唾を飲み込んでいる。

    「とりあえず…チーズとハムも用意して置いてくれたみたいだから
     炙ってサンドして食べようか。」
    「栄養だけはあるからね…それに食べて少しでも体力をつけておかないと
     この先大変だからね、マナちゃん。」
    「は、はい。」

    ため息を付きながら、サヨコはナイフでパンを切っていく。
    ズッズッと重く入っていく切っ先と敷かれた布巾に倒れるそれは
    重力に弾む様な感じも無く見るからに固そうだ。
    同じように、リリはナイフで器用にハムとチーズをスライスしたのを
    コンロで直火に当てながらハムに熱を入れる。
    決して広いとは言えない室内に脂が焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
    リリもそう思っていたのか小さく美味しそうと呟いたのが聞こえた。

    「はい、挟んだだけだけどサンドイッチの完成!」

  • 36125/01/25(土) 23:05:13

    明かりを囲み、リリから出来立てのサンドイッチが手渡される。
    薄っすらと感じる小麦の甘い匂いと挟まれた隙間から漂うハムと
    ハムの熱で溶けたチーズの濃厚な香りが食欲をそそる。
    デルタ地区で凄惨な光景を見たのに、こう感じるのは
    生き物に対して申し訳ないと思うけど、本能の欲求には抗えそうになかった。
    だからこそ、みんなで言葉にして頂く。

    「「「"いただきます"」」」

    前評判とは裏腹にハムの香りに釣られて一口。
    予想通り固かったけど、思いのほかさっくりと噛み切れたパンを咀嚼していく。
    ハムとチーズのみ、強い塩気と濃厚なまろやかさだけなのに
    充分と感じる、素材がよほど良いんだろう…
    ただ噛んでいくごとに、105ブロートの神髄を味わうことになる。

    決して美味しくないとは言えないのだが、すぐに無くなる薄い甘み
    唾液と混ざってダマになったかのように重くなる触感…

    無味ではない…まずいという訳でもない…そう、疲れる…

    咀嚼するごとに飲み込めるようなそうでもないようなという微妙な判断が続く。
    そして喉を通るときには口の水分も幾分か減って飲み込みづらい。

  • 37125/01/25(土) 23:06:06

    「お、美味しいです…ハ、ハムと…チーズ…」

    小さな一口を飲み込んだマナは感想を口にする。
    パンに関しては触れず…
    正直、私も同じ感想を言いたくなる。
    目の前の二人は、不満を隠そうともせず口を動かしている。

    「これ用意したのさ、誰だと思う?スズかイコ先輩か…」
    「多分…スズちゃんだと思う…
     セイブルに行くのを決まったって伝えたら保存食更新したって言ってたから…」

    リリを説得していた狼耳の生徒を思い出す。
    あの子がこれを?好んでいたのだろうか、会話の中に出てきたイコという人物も…
    まだまだ知らないことがあるなぁと咀嚼を続ける。

  • 38125/01/25(土) 23:06:54

    「あー…、せめていっしょにキャンt」
    「リリ?」
    「キャ、キャンディとか甘いもので口直ししたいよねー…」
    「キャ、キャンディはないですけど…
     栄養補給に良いかなって、キャラメル持ってきたんです…
     い、いります…か?」
    「いいの!ひとつちょうだい!」
    「オレもひとつ。」
    "私も貰ってもいいかな?"
    「はい、ど、どうぞ。」

    ポケットから四角に包まれたキャラメルを取り出して
    私達に一粒ずつ配られる。
    食後の楽しみができたことが、こんなに喜ばしいのは初めてかもしれない。

    その後、黙々とサンドイッチを食べ終え
    お茶と共に、食後のキャラメルをみんなで味わった。
    日の出とともに出るとのことで、私は布の仕切りの向こうで体を横にする。

    そういえば、リリが何か言いよどんでいたような…と頭の片隅に浮かぶが
    肉体的にも精神的にも疲労していた体はすぐに私を微睡に誘った。


    To Be Continued…

  • 39125/01/25(土) 23:10:39

    とりあえず更新ここまで。

    あんまり進まず、小出し小出しで申し訳ないです…


    >>28

    容姿の案、ありがとうございます。

    ニィナが青紙ミディアムはよさそう…

    勝手ながらイマイチ、パチっと決まる容姿が思い浮かばないので

    今のところは各々好きな容姿を想像していただければ…


    一応、マナはヒフミより頭一つ小さく

    スレ画の様にストローハットを被っている以外の情報は今のところありません。

    クシロに至っても同様、ただマナよりは身長は大きい予定

  • 40二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:16:01

    お疲れ様ですよ
    鉱山と言う事は使われてないトロッコとか転がってるんでしょうか
    密猟者との戦いやお友達の行方が気になります
    続きが見たい!

  • 41二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:28:59

    そう言えば105ブロートの元ネタってあるんですかね
    なんかやたら美味しく無さそう(不味いではなく)みたいですが

  • 42125/01/25(土) 23:37:24

    >>41

    実はこれと言った元ネタは無いんですが

    以前アメリカのどっかのパンは値段相応の味っていう記事を見た気がしたので

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:48:44

    >>42

    成る程ー そう言えば私も似た様な話を聞いたことがある気がします

  • 44二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 10:01:46

    あんまりおいしくないけど慣れれば普通に食べられる感じなら保存食としてはかなり便利そうだね

  • 45二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 20:11:25

    ある意味食品の都市伝説みたいなですなコレ・・・

  • 46二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 22:39:40

    そう言えば保存食には
    美味しすぎてはいけない
    とか言う決まり事があるとか?
    美味しすぎると食べ過ぎてしまうからとかで

  • 47125/01/27(月) 00:40:35

    "ん…"

    固い床の感触が徐々に鮮明になっていく…
    不意に目が覚めてしまって、未だぼやける視界を左右に動かしていると
    パタンと静かにドアが閉まる音が聞こえる。
    鍵はリリがかけたはず…ということは誰か出ていった?

    音を出さないようにゆっくりと上体を起こして
    シッテムの箱を点け、時刻を確認する。
    丑三つ時…なんとも場の雰囲気にあった時間と言うか…
    そぉっとそぉっと、すり足を動かしてドア前に向かう。
    暗闇になれない視界を、手から伝わる感触でカバーして
    ドアノブを触っていると、鍵のつまみが垂直に立っているのが分かった。

    やっぱり、誰かが出ていったみたいだ。
    足元に注意しながら振り返って、3人が寝ている仕切りの前に立つ。
    生徒の寝込みを覗くことになるのを心の中で詫びながら、静かに仕切りの中を覗く。
    3つ並んでいるシーツの内、仕切り側の1つだけが膨らんで、スースーと小さな寝息を立てている。
    おそらくこの子はマナだろう、ということは協会の2人がいない…
    仕切りを戻して、再びドアに向かう。
    外に出てみるか…けど夜は危険とも指示には従うこととリコにも言われている。
    ただ、それでも生徒達が危険に出向くのをただ見てるだけはしたくない…
    観測所から離れない、外に出るだけと言い訳をしてドアノブを回した。

  • 48125/01/27(月) 00:41:01

    街灯のような周囲を照らす明かりは無く、静かに地平をなぞる夜風と
    黒のビロードを彩る星々だけが輝いている。
    暗闇に慣れてきたとはいえ、手元足元がかすかに見える程度
    手すりを伝いながら階段を下りていても、いつ踏み外すか少し気が気じゃなくなってくる。
    ぎしぎしと軋む木の階段、時間をかけてやっと降り立つ地面を踏みつけると砂と土が音を奏でる。
    普段だったら気にしないほどの音なのに、やけに大きく聞こえる。
    自身の呼吸の音さえも木霊するくらいの静謐と首筋を撫でる夜風は
    この場所の危険性と合わさってじりじりと私の焦燥感を刺激する。

    自覚できるほどにすっかり怯えてしまった私は、
    やっぱり戻ろうかな、でも2人がまだ…とたたらを踏んでいると
    どこかから足音が聞こえてくるのに気づく。少なくとも観測所からではないのは確かだ。
    ど、どうしよう…すぐにでも観測所に戻らないといけない…
    踵を返して戻ろうとした瞬間──

  • 49125/01/27(月) 00:41:18

    「なにしてんの。」
    "うわッ…"
    「ちょ、シー!」

    突然、声をかけられて声を上げそうになるのを
    手で口を抑えられて遮られる。
    困惑するが、細い手とその声が誰であるかを認識させる。

    "り、リリ…?"

    口から手が離され、暗闇の中にぼんやりと立つ二人が目の前にいる。

    「外に出ないでって…」
    「そうだよ、危ないよ先生。」
    "ごめん、二人が出ていったのが気になって…"

    はぁ…とサヨコにため息をつかれる。
    私が悪いとはいえ、情けないとこを見せてしまったと自省する。

    「とりあえず、観測所に…いや、マナを起こすと悪い。
     そこに座って先生。」

    サヨコに促されて、幅広の階段に腰かける。
    私の隣にリリが腰かけ、サヨコは手すりに体を預ける。
    静かに息を吐いて、サヨコは外にいた理由を答える。

  • 50125/01/27(月) 00:41:52

    「オレとリリが外に出てったのは、密猟者の件と周辺の安全調査。
     情報が入ってないだけで他にもいるかもしれないし、
     夜のルイスパリッシュに迷い込む人たちもいる可能性もある。」
    「とりあえず、周辺は異形がいるだけで異常なし。
     あらかた倒してきたからしばらくは安全だよ。」
    "そっか…ありがとう。"

    彼女たちは、普段やっていることをこなしてきただけなのだろう。
    それでもやっぱり心配なのは変わらない。
    そう考えているのはお見通しだったようで、サヨコはとある事を口にする。

    「あなた達…とりわけ先生がルイスパリッシュに来た後
     結構話し合ったんだ、先生を関わらせるかどうか。」
    「ちゃんと言うと、協会の外に出すかどうかだね。
     あーしたちやマナちゃん、キヴォトスの人たちなら
     ちょっとそっとの事は耐えられるけど、外から来た先生はそうじゃないから。」
    「だけど、最終的にはオレ達が傍にいるという条件で
     ついてくることを許した…なんでか分かる?」

    正直、分からない。
    確かに彼女たちの目線に立てば、私はこの地ではお荷物だろう…
    私は、首を横に振った。

  • 51125/01/27(月) 00:42:22

    「先生にルイスパリッシュの現状を知ってもらうため。
     ルイスパリッシュは三大校に近しいくらいには知名度があったけど
     色々と事情が重なったり、噂が伝播していくにつれていつしか
     触れるのも禁忌に近い扱いになっていった。」
    「サヨコちゃん禁忌は言い過ぎじゃないかな?
     けど酷いよね、ほとんど怪談みたいだもん。」
    「ここの特異な現象と相まって、私達だけの発信では限界があるって、だから」
    "シャーレ、ひいては連邦生徒会の公的機関である
    私の立場を使おうと…?"
    「うん、正解。」

    リリが少し悲し気に答える。
    確かに私の立場を考えれば、生徒達に伝わる情報に正確性と信頼性が生まれる。

    「先生なら、絶対に関わるだろうから
     ニィナとスズが案を出したのをイコ先輩がまとめたんだ。
     どうせなら、傍に置いて現状を見せようって。」
    「危険な目に合わせるのには変わらないから
     ギリギリまで話し合ったんだけど、あーし達は観光協会としての
     本懐を選んだ…」

    ごめんなさい。とサヨコとリリは私に謝る。
    私は、いたいけな生徒たちに何をしているんだ!
    自分自身に憤りが沸き上がる。

  • 52125/01/27(月) 00:43:05

    "そんなことはないよ。
    君達はしっかりとできる事をやっている。
    そのために使えるものを使おうと考えて、そして私に打ち明けてくれた。"
    "それ以前に、謝るのは私もだよ。あんなに忠告をされていたのに
    心配という感情を盾に無視して、二人に余計な心配をかけさせた。
    君達を…観光協会を信頼していないと思われても仕方のないことをしたんだ…。"

    私の方こそ、申し訳ない。と頭を下げる。
    2人は慌てて、私の頭を上げさせる。

    「や、やめて先生!そもそも先生を利用してるのを隠してたし
     なんなら、あーし達は連邦生徒会にたてついてるも同然なんだよ!?」
    「そうだ、あなたが謝ることじゃない先生。
     なにより、オレたちの方こそ信頼を利用したに過ぎないから…」

    罪悪感に再び謝りそうな2人に提案をする。

    "なら、お互いさまだね。
    私は君たちを信用できていなかった、君達は私を利用しようとした。
    それに私もルイスパリッシュを…君達を知りたいために近づいているのだからね。"

    私の言葉を咀嚼したサヨコは、重くため息をついた。

  • 53125/01/27(月) 00:45:25

    「あなたは……もう、そういう着地点をってこと…
     うん、オレたちも協会もお互い様…。」
    「そうだね…、うん、お互い様。」

    2人は納得してくれたようだ。
    サヨコは手すりに預けていた体を起こして向き直る。

    「じゃ、納得したところで寝直そうか。
     日の出までまだ数時間ある。」
    「あぁ、そっか…なんだか、気が付いたらまた眠くなってきた…ふぁ…」
    「戻ろう先生、オレ達が心配で眠れないんだったら…
     添い寝でもしようか?」
    "是非、お願いしようかな。"


    「……冗談だよ。」
    「今の返しは無いと思う…。」

    2人に呆れられながら、マナを起こさないように私たちは静かに観測所に戻った。


    To Be Continued…

  • 54125/01/27(月) 00:47:26

    また進展せずの小出し更新で申し訳ないです。
    次から、セイブル内のお話で、前スレにもでてきたキャラも登場します。

    キャラの強さってどこまで盛っていいんだろう…

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 00:52:00

    お疲れ様ですよ
    先生は無事にルイスパリッシュの現状を伝えるメッセンジャーになる事が出来るのでしょうか
    キャラは程よくヤンチャさせても良いのでは?
    活躍がないのも寂しいですし

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 12:20:38

    ルイスパリッシュの状況と観光協会の目的を考えたら、偶然とはいえ先生が接触してきたことで現状打破できる絶好の機会が来たから利用しようと思うのも自然なことだよね

  • 57二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:02:47

    観光協会のメンバーは少数で異形や密猟者と戦ったり迷い込んだ人を保護できるくらいだから、結構強い感じに描写してよさそう

  • 58二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:45:28

    今夜は保守かな

  • 59二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 00:46:50

    このレスは削除されています

  • 60125/01/28(火) 00:48:48

    ちょっと、セイブルの話書き終わってから
    投下しようと思ってるから遅くなるかも…ごめん

    あと、ものっそい雑だけど
    ルイスパリッシュ生徒のヘイロー考えてみた。
    中心の模様は、元ネタのゲームのアイコンを真似たもの。
    モチーフは弾丸のリムと雷管

  • 61二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 12:25:14

    ルイスパリッシュ生徒のヘイローいいね

  • 62二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 16:56:51

    古い時代の薬莢には製造メーカーのロゴとかスタンプされてたからこう言うのソレっぽくて良いよね

    >ルイスパリッシュのヘイロー

  • 63二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:58:22

    >>60

    「弾丸のリムと雷管」モチーフなら内径をもうちょっと縮めてもいいのでは?

  • 64125/01/28(火) 22:10:24

    >>63

    突貫工事だから、許して…

    やる気があればもうちょっと、ヘイローっぽくしたい

    外径が太すぎる気がするし

  • 65二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 06:31:31

    ん、保守

  • 66二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 13:04:14

    これはこれで面白いヘイローだと思う

  • 67二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 22:22:48

    今のままでも十分ヘイローだと思うけど、改良するならそれはそれで楽しみ

  • 68二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 00:15:46

    スレ落ち時間が微妙な時間になってるので一応保守

  • 69二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 00:45:34

    スレ落ちが10時間になっちゃったからね
    保守には気を付けよう

  • 70二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 07:52:40

    ほしゅ

  • 71二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 15:47:00

    ほす

  • 72125/01/30(木) 21:51:39

    乾いた針葉樹の隙間を白い二つの影が抜ける。

    「あうう…な、なんですかー!あれ…!」
    「以前、補習授業部のみんなと見た映画に出てきたのに似てる…。
     だが、銃で倒せないことはない。」
    「このまま相手してたら、弾が尽きちゃいます。
     とにかく今は、逃げましょう!」
    「わかった…しかし、ここはどこなんだ?」

    何故、ここにいるのか。どうして自分たちに向かって湧いてくるのか。
    考える暇もなく、2人は乾いた地を駆けて行った。





    「ほんっとうに!ごめん!!」

    真横から腕を振り下ろす歩兵の一撃を躱し
    バレルを頭に突き立て、リリは引き金を引く。

    「少しは寝坊癖治ってると思ったらこれかぁ…
     リリ、まだスズにお世話してもらってるのか…っと。」

    マナに引き付けられている異形
    捻じくれた枯れ木のような外皮を纏った装甲兵を背後から
    サヨコが槍で一突きにする。
    リリが謝っているのには理由があった。

  • 73125/01/30(木) 21:52:39

    当初の予定では、私達は日の出とともに出発し
    早い段階で目的地に到着という予定だったのだが
    リリが予定の時間を過ぎても全く起きなかった。
    サヨコ曰く同級生の間ではリリが朝に弱いというのは
    ある意味、有名だったらしい。
    サヨコは、学校変わったんだから少しは甘えず改善していると思ったらしい。
    結果としては…

    「け、結構、陽が昇っちゃいましたね…
     10時くらい、でしょうか…。」

    移動もそれなりにかかったとはいえ
    大幅な時間ロスを起こしていた。
    空砲鳴らされても起きづらいことってあるんだなぁと
    観測所でのやりとりを思い出していると、アロナから
    周辺の掃討が完了したと教えてくれる。

    『先生、周囲に異形の気配はありません。
     うぅ…いつもなら、もう少し広い範囲を索敵することもできるのですが…
     ここはなんか、水の中にいるみたいで…動きづらいです…』
    "ありがとう、アロナ。
    無理しないでね。"

    眉を下げてしょんぼりとしてるアロナに下がってもらい
    みんなに、異形が片付いたことを伝える。

  • 74125/01/30(木) 21:53:15

    緊張が解けたマナは胸を撫でおろしていたが、
    サヨコとリリは神妙な顔をしていた。

    「サヨコちゃん。」
    「リリもそう思う?」
    "どうしたの?"

    2人は何かを感じ取っているみたいで、
    あくまで所感と付け加えたうえで答える。

    「別に統計とか取っている訳じゃないんだけど…
     異形の数が多い。オレ達がここに来るまでに相手したのでも
     歩兵が15、装甲兵が9、感染者が2、猟犬が6。」
    「ハッキリ言って、ここまで遭遇するのは普通じゃないかも…
     あくまで、あーし達の所感だけどさ。」

    確かに、昨日デルタ地区を抜けてきたときは
    数える程度しか異形の相手はしなかった。
    それがセイブル地区、いや…マナが示す方向に向かうほど
    相手せざるを得ない状況が増えてきている気がする…

  • 75125/01/30(木) 21:53:55

    思考の海に浸りそうなのを切り上げ、マナに改めて目的地を聞く。

    「ひ、光は動いていません…
     あそこを、ずっと指しています。」

    マナが指さした先には、倉庫の様な建物が山間を切り開いて
    線路を伸ばしていた。

    「炭坑用の貨物倉庫だね。
     もしかして今回も…」
    「いるね、ターゲット。」

    マナと一緒に暗視をしていたサヨコは
    考えてもしかたないとばかりに首を振り
    先頭を歩き始めた。



    "はぁ…はぁ…"
    「先生、大丈夫?」
    "だ、大丈夫。"

    線路を辿りながら、貨物倉庫まで歩いているけど
    デルタ地区と比べて、高低差があり不安定な地形はじわじわ体力を削っていく
    運動する時間を作ったほうがいいのかな…
    シロコかスミレあたりに相談してみよう。
    一度待ってもらい、息を整えるために深呼吸をする。
    深く肺を動かし吸う…瞬間、連続した発砲音が聞こえて思わず咽る。

  • 76125/01/30(木) 21:54:29

    "スゥー…ッ!ケホっ!ケホっ!"
    「だ、大丈夫ですか!?」
    "う…うん。"
    「音が軽い、オレ達のとこのじゃないな…?」
    「報告にあった密猟者かな。」
    "スゥー、ハァー…ん?これ…、2人ともちょっといいかな。"

    冷静に分析している2人に足元を指さす。
    そこには、二人分の足跡が音の先に続いていた。

    「こ、これって密猟者の…」
    「いや、報告に合った足跡は目測で28以上って言ってた…
     それに比べるとこの足跡は小さい。」
    「迷い込んだ子か別な密猟者か…まだどっちか判断できないね。」

    判断材料が少ないが、迷い込んできた生徒なら
    前回の様にターゲットと遭遇するのも危険だが
    密猟者ともなると鉢合わせてしまったらどうなるか分からない。
    マナには悪いが一刻も早く、どちらかを見つけなければいけないと思う。
    サヨコも同じ考えだったようで、マナに探索の一時中断を申し出る。

  • 77125/01/30(木) 21:55:15

    「すまないマナ、観測所が近くにない以上、
     新たな足跡を無線で伝える事ができない。
     足跡を追うのに尽力したい。」
    「か、構いません、ここの危険性は始めてきた時に
     身に染みてますから…」
    「ありがとう、マナちゃん…先生。」
    "うん、何か起きる前に私達で保護しよう。"



    足跡を辿っていくと、ある建物の窓辺で途切れていた。

    「セイブル校の第二実習棟…あんまり入ったことはないな。」
    「アクセス悪いんだよね、ここ…」

    先行して窓から乗り込んだサヨコに続き
    マナが入ろうとするが足をかけたとこで
    動きが止まる。

    「待った……、いいよ来て。」
    「んっ…っと、ど、どうかしました?」

    改めて部屋に入った、私達にサヨコは
    金属の筒に柄のついた物に巻き付いたワイヤーを手に持っていた。

  • 78125/01/30(木) 21:55:56

    「もしかして、ワイヤートラップ?」
    「そ、うちの閃光弾を利用して作ったものだ。」
    「手榴弾を使わなかったのはなんでだろ?」
    「時間稼ぎを優先したか、ここの状況を知らない…かな。
     迷い込んできたってのが有力そうだね…」
    「あ、あの…それだと、どうしてルイスパリッシュの
     道具を使っているのに、迷い込んだと分かるんですか…?」
    「異形が出てきたとき、全部が全部持ち出せたわけじゃない。
     今でも探せば使える道具や銃は見つかる。」

    足元に注意して。とサヨコは忠告して
    実習棟内を進む。
    中は、まさに荒廃と表すのが正しく、窓は垢に汚れ
    廊下も砂や土が入り込み隅には雑草が根を生やしている。

    『先生…微弱ですが生徒の気配を感じます。
     それと異形の気配もすぐ近くにあります。気を付けてください!』

    アロナの報告から、やはりこの建物内に
    誰かが逃げ込んだみたいだ、それと異形も案の定徘徊しているらしい…
    すぐ近く、いったいどこに…上下左右と視界を動かすと
    壁際に生えている雑草の中を黒い何かが蠢いている、あれは…ヒル?
    口に出ていたみたいで、私の言葉を拾ったリリは大げさに反応した。

  • 79125/01/30(木) 21:56:46

    「ヒル!?」
    「え、ヒ…ヒルですか?」
    「ヒル、先生…どこ?」

    私の言葉に三者三葉に同じ言葉が返ってくる。

    "うん、そこの茂みに…"

    指さした茂みには、子犬に近い大きさの丸々としたヒルが這っている。

    「先生、マナ、あのヒルには触らない、近づかないを徹底して。」
    "倒さないの?"
    「あのヒルは、「肉頭」っていう頭の無い異形の頭の代わりをしてるの。
     接敵しても面倒だから極力無視するのが一番だよ。」

    全員で壁際を避けて、窓際をなぞる様に進む。
    エントランスに続く丁字路を覗くとリリは思わずと言った感じで忌避の声を上げた。

    「うわ…さすがに気持ち悪い…」

    エントランスに続く道には、何匹ものヒルがうようよと這っており
    道を塞いでいるようにも見える、サヨコに聞いてみると
    肉頭は通常、数匹のヒルを周囲に従えているが、ここまででは無いらしい。
    彼女達が避けるのを前提に行動している異形が複数いるかもしれない事実に冷汗が伝う。

  • 80125/01/30(木) 21:57:22

    一度、そこから離れて適当な部屋に入り
    サヨコは暗視を使用して足跡の持ち主の居場所を割り出そうとすると
    コツコツと天井から足音が聞こえてきて、私達は咄嗟に息を潜める。

    "迷い込んだ子かな?"
    「違う…光は1階を示してる…おそらく密猟者だと思う。
     近くの階段はエントランス正面に続いていたはず…
     オレ達は、足音に乗じて移動しよう。」

    気配を消しながら、エントランスから反対の教室に向かう。
    道中に現れる歩兵は極力避けていたが、それでも避けられないのは
    サヨコとリリが率先して、近接術で音を立てないように異形を処していく。
    マナも足手まといになるまいと、銃のストックで殴打してみたようだけど
    軽く仰け反らせるだけで、倒すには至らなかった…
    適材適所ってあるから、無理はしないようにと肩を落としたマナをフォローした。

  • 81125/01/30(木) 21:57:54

    サヨコとアロナが同じ場所を示し、私達は教室の手前で一度立ち止まる。

    "この教室にいるみたいだ。"
    「こっちも同じ…それにしても先生のタブレット凄いね。
     オレ達もさすがに異形とかどこの誰までは暗視では分からない。」
    "優秀な秘書がいるからね。"

    シッテムの箱を撫でると画面のアロナが嬉しそうに顔を綻ばせている。
    サヨコは佇まいを直して、作戦を伝える。

    「オレとリリが教室に入るから、先生とマナは合図があるまで外にいて。」
    「密猟者でも行方不明者でも保護はしなきゃね。やり方に差はあるけど。」
    "私も、ここから状況は把握してるから気を付けてね。"

  • 82125/01/30(木) 21:58:36

    サヨコとリリは、あえて同じ扉から教室に入る。
    少しだけ開けた隙間を槍の穂先で上へ下へと動かし罠が無いかを確認する。
    なるべく、声を上げないようにしながら誰かいないか呼びかける。
    返事はなく、変わりに教室内の教卓が揺れる、2人はそっと近づくと
    カチッという何かが嵌った音とともに煙が噴出される。

    「今だ!走れ!」
    「は、はい!」

    煙の中で二つの声が聞こえたのを逃さず
    リリとサヨコは動くが、それを一筋の銃撃が阻止しようとする。

    「ちょ、ちょっと待って!
     あーし達は危害咥えないから!」

    混乱しているのか敵だと思われているのか
    今だ姿が見えない相手は、リリの言葉を聞こうとはしなかった。
    サヨコは、声の感じから少なくとも密猟者では無いと辺りをつけ
    リリに、もう一人の方を強引でもいいから止めろと指示を出す。

  • 83125/01/30(木) 21:59:28

    一瞬だけ暗視を使い、位置を特定したリリは
    左右の銃を器用に乱射し一瞬晴らした煙の先、
    逃げようとしていた一人の足元へけん制し逃走を塞ぐ。

    「きゃっ!」

    一瞬見えた煙の先では、白い制服の生徒が尻もちをついていた。

    「ッ!」

    煙の中から、もう一人がカバーに入ろうとするのを
    銃撃に交じって気配を消していたサヨコの槍が制止する。

    「視界をふさぐのは悪くないけど、利はオレ達のほうが上だ。
     悪いようにはしないから、大人しくして。」
    「すまないが、それを信じる根拠が無い…
     Vanitas vanitatum…」

    聖句を唱えながら、尻もちをついた生徒と同じ白い制服が
    散りゆく煙に続き露わになる、後ろ手に回された手には
    手榴弾が抜かれようとしているのを、突如割って入った大人の声が遮る。

  • 84125/01/30(木) 21:59:58

    "待って!待って!"
    「せ、先生…あ、危ないですよ。」

    教室に入ってきた私に誰しもが動きを止め釘付けになる。
    いまもマナに止められているけど、聞き覚えのある声につい飛び出てしまった。
    マナと同じ学園の白い制服の2人は困惑と安堵が混じった声で私を呼ぶ。

    「せ、先生!」
    「先生、どうしてここに…?」


    "無事でよかった…アズサ、ヒフミ。"


    To Be Continued…

  • 85125/01/30(木) 22:01:48

    だいぶ文字が増えそうなのと、終わらせてからだと
    今週中に投下できるか怪しいので、ちょうどいいとこで一旦更新。

  • 86二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:54:21

    乙ですよ
    よもやよもやのキャラの登場
    ワクワクしますね

  • 87二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 08:09:40

    アズサとヒフミもルイスパリッシュに迷い込んじゃったか

  • 88二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 15:09:56

    少し速いけど保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 23:06:26

    不気味だぁ
    嫌だなぁ

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 00:30:56

    稲川淳二さん思い出した
    ルイスパリッシュの怪
    突然ね、呪われたんですよルイスパリッシュは(以下略)

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 08:51:54

    リリは朝弱い子だったのね
    寝坊で行動開始が遅れたけど、そのおかげでヒフミとアズサに出会えたから結果としては良かったのかな?

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 09:36:30

    仲良しのスズさんに起こして貰ってるんですよリリは

  • 93125/02/01(土) 09:56:35

    「疑似科学部のミライ…?」
    「あぁ、そういえばそんな肩書の子が、
     何度か顔を出してたねぇ…」

    紆余曲折あったミレニアムEXPO、
    私は観光協会の2人が出展している
    次世代農業ブースに顔を出していた。

    「有機的肥料とか土壌から
     電磁波を除去する器具だのあれやこれと
     持ってきてたけど、仔細を聞くと
     抽象的な数字や誰かの所感…
     オレらがどこで何してたか
     知らないにしても、あれは無い。」
    「売り込む能力は、ぼく達も見習うとこは
     あるんだけどねぇ…」

    どうやら、今回の事の首謀者は彼女達にも
    接触していたみたいだ。
    彼女たちの隣で、提供されてる果物を使った
    お菓子を摘まんでいるトリニティ生がぼやいた。

  • 94125/02/01(土) 10:00:24

    「へぇ~、なんかもったいないですね。」
    「そうだねぇ…見ない顔だから取り込めると
    思ったのだろうけど彼女は運が無かったねぇ…」
    "運が無かった?"
    「そうだよぉ…だって…」

    両の手のひらを前に突き出して
    目線だけを私に向ける。
    6つの目が私を見据えている。

    「疑似科学(オカルト)を扱うものが、
    手を出そうとしたのがオカルトその物なんて
    想像つかないだろうしねぇ…」

    確かな説得力と共に
    リコはうっすらと微笑んだ。

    「ところでイコ先輩、お菓子食べに来ただけなら帰ってくれない?」
    「えっ、ひどくないですか?
    せっかくの機会だから来たのに。」
    「協会で会うでしょ。」
    「協会の広報として、
    他所の活躍を学びに来たんですよ。」
    「尚更、同郷の場所にいないで他の場所見に行った方がいいですね。」

    ピシャリといい放ったサヨコにイコは
    すがるような目をリコに向けるが
    スルーされ肩を落とした。

  • 95125/02/01(土) 10:03:12

    今回のイベント見て思い付いた。
    外での協会メンバーの小話。
    本編書き終わってもやる気があったら
    今回のイベント話や他の協会メンバーの話も書くかも…
    予定は未定ですが…

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 11:53:00

    のんびり待ってますよ!
    楽しみです

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 19:33:17

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 23:45:49

    イコ先輩はサヨコとリコからちょっと雑な扱いだね
    割とやらかすタイプの人なのかな

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 09:21:03
  • 100二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 15:22:56

    ミレニアムに行ってるから
    ルイスパリッシュで将来やりたい農業の事とか研究、展示してるのかな
    果たしてどんな次世代の農業なんだろう

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 23:15:01

    素人質問で恐縮ですがってやつだな

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 08:56:18

    イコ先輩の出番も楽しみ

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 17:53:28

    不可思議な存在によって廃校になったルイスパリッシュ生徒相手に疑似科学を持ちかけても通用しないよね

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 19:49:38

    それ以前に、ルイスパリッシュの生徒達が
    "暗視"っていうオカルト持ちなのも相手が悪かった

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 23:16:40

    思えば"暗視"も神秘の一種なのかどうなのか…

  • 106二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 08:28:06

    続きを楽しみに保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 17:14:51

    大丈夫かな

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 22:01:14

    更新あるかな

  • 109二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 00:03:32

    明日に向かって保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 09:23:14

    マナ達の本編の続きも楽しみ

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 17:42:56

    商業科とか鉱山科の生徒達とかも出てくるのかな…?

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 23:36:25

    続・夕陽の保守

  • 113125/02/05(水) 23:46:26

    更新遅くて申し訳ないです…


    >>111

    一応、リコ、サヨコは農業科

    ニィナは普通科、イコは商業科っていう体で今のところやってます。

    リリとスズは、発案者が設定してなかったのでなんとも…

    一応勝手ながらリコは工業科を匂わせる感じで書いてます。

  • 114二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 00:33:57

    >>113

    気長に待ってますよ

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 09:43:02

    このレスは削除されています

  • 116二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 19:05:09

    好きな世界感

  • 117二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 00:11:05

    リリとスズは鉄道復旧委員会を作ってバーミリオン号を動かそうとしてるから工業科は合ってる感じするね

  • 118125/02/07(金) 00:15:19

    早いけど、保守代わりの裏話

    まだちゃんと登場してないクシロの武器は二丁拳銃にする予定だったけど
    リリが二丁拳銃のため再考中。
    被っても別にいいんだけどね…

  • 119125/02/07(金) 00:19:05

    >>113

    一応勝手ながらリコは工業科を匂わせる感じで書いてます。


    自分で書いて誤字ってる…工業科匂わせてるのはリコじゃなくてリリだよ…

  • 120二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 09:15:29

    このレスは削除されています

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 12:11:33

    リリとスズを考えた人ですが
    何科に属してるのかは考えてませんでしたね
    無難に工業科かな?

  • 122二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 21:28:01

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 23:10:33

    セイブル校の第二実習棟はかなり荒れてるみたいだけど、異形出現の混乱とルイスパリッシュ閉鎖後に活動してる密猟者達の影響が大きいのかな

  • 124二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 08:50:05

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 18:09:19

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:24:36

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 08:38:14

    大丈夫かね

  • 128二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 11:04:46

    お話に詰まってるのか
    お忙しいのか

  • 129125/02/09(日) 14:01:02

    すいません…ちょっと詰まってて
    明日から忙しくなります…

  • 130二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 20:28:53

    無理せんで良いんですよ
    お待ちしてます
    ちょっとダークなファンタジー

  • 131125/02/09(日) 21:08:46

    更新できない代わりに、またダラダラと裏設定でも…


    編入していったルイスパリッシュの生徒達の中には

    編入した学園に銃を合わせる子達もいます。


    ミレニアム

    リコはKel-tec P50


    サヨコはS&W1911


    ヴァルキューレ

    ニィナは第14号ヴァルキューレ制式ライフルを携行しているけど

    こっそり愛用のSAAを隠し持ってる


    ゲヘナのリリとスズ、トリニティのイコはルイスパリッシュからそのままの可能性


    銃は生徒の個性とか学園の色を表すものな感じがするので

    なんとなくのキヴォトス版PTO

    そして、仮にアプリにいるとしたら編入先の格好が

    別衣装扱いだろうなっていう妄想

  • 132二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:26:44

    Kel-tec!
    また凄いのが飛び出してきましたね!

  • 133二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 00:02:00

    各学園に散らばった子は
    そこの校風の銃を新たに持つやら
    隠し持ったりやら
    頑なに持ち替えないやら
    個性に溢れますね
    と思いながら保守
    銃一つ取っても物語

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 09:28:06

    >>131

    じゃあミレニアムサイエンススクールのどこかにP90とかPS90とかFive-seveNとかの使い手も…?

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:42:28

    このレスは削除されています

  • 136125/02/10(月) 21:44:35

    >>134

    いるかもしれない…想像はいくらでも

    そっから逆算してルイスパリッシュの生徒作っても面白そう

    …なんで全部FN社?

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 22:49:44

    ミレニアムならP90使う生徒がいる可能性はかなり高そうだよね

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 08:14:11

    たしかに

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:27:34

    近未来的な、または特殊な銃を使いそうではある
    国籍メーカー問わず

  • 140二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:43:23

    本編の方はヒフミとアズサだけでルイスパリッシュから帰るのは難しそうだから、セイブル地区の探索に連れていくことになりそうだね

  • 141125/02/12(水) 06:50:16

    保守も兼ねて、下地にしたゲームから

    銃のスクショを…

    マナが使っているシングルアクションリボルバーと


    単発の中折式散弾銃

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 13:56:32

    S&W良いよね
    ショットガンのモデルはなんだろう?

  • 143125/02/12(水) 21:21:33

    >>142

    英語wikiによると、元になった銃は

    スティーブンモデル(スティーブン社製?)と呼ばれる、

    現サベージ・アームズ社の傘下が作った銃らしい。

    マナが使ってるのはそれのソードオフ版です。

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:53:29

    >>141

    リボルバーにストックがつくとすごく強そうに見えるね

  • 145二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 23:53:50

    解説ありがとうございます!
    12ゲージでも切り詰めたら反動大きそうだなぁ…
    そう言えばマナちゃんの御守りはドラゴンブレス弾でしたっけ?
    中々マニアックな弾ですが果たして何所から仕入れてきたのやら??
    そう思うと彼女も何か伝手があるのでしょうねえ

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 09:09:31

    切り詰めたのをソードオフって言うのか
    銃って色々あるんだなぁ

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 16:21:41

    >>146

    ノコギリなんかでギコギコするんですよ

    ターミネーター1でもそんな場面があったり

    コートの下なんかに隠し持てるので所持持ち歩きが禁止だったかな?うろ覚えですが

  • 148125/02/13(木) 19:36:46

    >>146

    そして、似た理由で

    ロシアでボルトアクションライフルを

    切ったものを、obrez(オブレッツ)といいます。


    画像は下地にしたゲームでも使える

    有名なモシンナガンのオブレッツ

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:21:26

    ボルトアクションライフルのソードオフって禄に使えたもんじゃないと思うんですよね
    重量減るから反動は吸収されないし
    銃身短くなるから威力も命中精度も落ちるし
    利点はそれこそ持ち運びやすさが増えるだけ…うーん

  • 150125/02/14(金) 07:01:32

    また保守も兼ねてスクショを
    リリが使っている、コンバージョンリボルバー

  • 151二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 16:09:15

    このレスは削除されています

  • 152二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 16:15:20

    >>150

    コルトのオープンフレームは趣きがあって良いですよねぇ…


    >>151

    まぁ世の中騎兵用に切り詰めたカービン銃ってのもありますからね

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:54:23

    >>149

    ライフルを手に入れやすい環境なら、切り詰めることで精度や反動と引き換えに携帯しやすくて威力の高い銃になると考えると便利なのかも?

  • 154二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 01:16:28

    ライフル弾を使った大型の拳銃みたいな物…
    と考えればまぁ利用価値はありますからねー

  • 155二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:56:59

    今日か明日には更新できるかも…と期待させて

    また保守代わりにスクショです…


    サヨコが使用している槍(ボムランス)と


    ポンプアクションライフル

  • 156二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 13:49:34

    >>155

    caldwellーマラソンライフルとはまたマニアックな

    ポンプアクションライフルって早々無いんですよねえ

  • 157二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:04:20

    元ネタはこれかな
    コルト・ライトニングライフル
    同時期のレバーアクションライフルと比べたら
    人気も信頼性も高くなかったとか
    マイナーな訳だ

  • 158二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:52:18

    カッコいい

  • 159二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 01:11:07

    今夜は更新なさそうかな

  • 160二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 08:33:14

    楽しみにしてるよ

  • 161125/02/16(日) 17:08:08

    あともうちょっと…さんざん待たせていますがちゃんと書いています。

    という訳で、また保守代わりにスクショを


    ニィナが使っているレバーアクションライフルと


    SAA

  • 162二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 19:23:44

    パックス…ラテン語で「平和」か…ピースメイカーって訳ね

  • 163125/02/16(日) 21:31:40

    サヨコとリリに武器を収めてもらい
    困惑しているアズサとヒフミ落ち着かせる。

    "2人とも大丈夫?"
    「うん…大丈夫。」
    「せ、先生、ここはいったい…それにあの人たちは?」

    2人に紹介しようとした矢先、私達が入ってきたのとは違う
    扉から歩兵が数体なだれ込む。
    気づいたアズサが銃を構えるよりも速く、シリンダーが回りグリップが後退する。

    「詳しい話は後、2人を連れて早く出よう。」

    サヨコに促され、アズサたちから先に窓の外へ逃がす。
    マナに続き、私も窓枠に足をかけると背後からひとつの銃声が響く。

    「ッ!」

    痛みを押し殺した吐息が吐き出され、殿を務めていたサヨコは膝をつく。
    先ほど歩兵がなだれ込んできた扉から、4人のオートマタが警告をしながら侵入する。

  • 164125/02/16(日) 21:32:22

    「動くな。窓から足を下ろして、ゆっくりとこちらを向け。」
    「窓の外にいる奴らも、そこから動くなよ?
     此処にいる二人がどうなってもいいか。」
    「後方クリア、化物といい足元のヒルといい
     ひでぇ場所だぜ…」

    銃を私達に向けるオートマタの集団…
    彼らが入り込んだ密猟者だろう…私はひとまず彼らの言う通りにして
    足を下ろし、ゆっくりと向き直った。

    「その腕章…この学園のガキか、商売敵め…」
    「見ないやつがいるな。俺らと同じ…って訳じゃなさそうだ。」

    「っ…騒ぎすぎたかな…」

    密猟者達は、ひとしきり私達を一瞥した後
    リーダーと思わしき人物が提案をした。

    「何もしてないのに撃って悪かったな。
     俺たちは化物を倒して、そっから出た物を金に換えるだけさ。
     目的を果たしたらすぐに帰る。
     お前たちも化物にはうんざりしているだろ?協力しろ、悪いようにはしない。」

    なんなら報酬を山分けしてもいい。と主導権はこちらにあるとばかりに
    自分たちの都合を主張する。
    彼らに一時的に迎合して、生徒の安全を確保するということもできる…
    けど、私の生徒を撃った時点でその考えは消えていた。

  • 165125/02/16(日) 21:33:02

    "悪いけど、貴方達に協力はできない。
    私達にも目的があるからね。"
    「なにか勘違いをしてないか。協力しろ、だ。」

    安易に拒否権は無いと宣言した密猟者に対し
    サヨコは挑発するように脅し返した。

    「あなた達こそ、状況分かってる?
     この槍には穂先に爆弾が付けられている。
     余計な体力を使いたくなかったら、回れ右をした方がいい。」

    片膝をついたまま、穂先を床に近づけさせるサヨコに
    もう一度、銃弾が刺さる。

    「状況が分かってないのはどちらだったかな?
     田舎に籠っている内に、話し方も忘れたか。」

    密猟者がこれ見よがしに銃を揺らしながら
    呆れたとばかりに挑発し返す。
    倒れ伏したサヨコに駆け寄ろうとするが、
    銃口が向ける視線が私に動くなと囁く。
    奥歯を噛み締めながらも、サヨコと目が合った。
    彼女の目は私にじっとしててと訴える。

  • 166125/02/16(日) 21:34:03

    密猟者達が銃を構えなおし、私達に提案の答えを促す。
    文字通り今にも射貫かれそうな視線が私達を刺す…
    1秒、1分…圧をかけるように密猟者が半歩足を擦る…そして




    サヨコの足にヒルが纏わりついた…



    「ん?なんだ、足音…?」
    「また化物か、それとも仲間か…
     おい、ちょっと見てこい。」
    「了解。」

    密猟者の一人が離れ、扉に近づいていく
    構えた銃身が扉の先をくぐる前に動きが止まった。
    気づいた瞬間、密猟者は吹き飛ばされる。

    「お、おい!どうしt…」
    「うわぁ!な、なんだ、コイツ!!」

    扉を突き破って侵入してきたそれは、
    頭が無く青白く膨れたような体躯に、片腕からは水平にした鎌の様なかぎ爪を
    振り上げながら足を鳴らして襲ってきた。
    密猟者達も突然の強襲で統率が取れずにいる。

  • 167125/02/16(日) 21:34:58

    私は窓から伸びてきたマナ達の手に掴まれ、引きずられるように外に出される。
    倒れていたサヨコは密猟者が異形に気を取られている隙に
    握り直した槍の穂先で、ヒルを切り裂いて異形に向かって槍を向けた。
    穂先の機構が作動して先端に装填されていたボルトが宙を割いて異形に刺さる。
    サヨコはボルトが放たれた瞬間、すぐさま反転して窓に向かって走る。
    槍ごと抱きかかえるようにして、外へ飛び込んでいくと入れ替わるように
    アズサが室内に向かって手榴弾を投げ入れた。

    二重に響く炸裂音が私達がいた室内を埋め尽くした。

    "や、やった…?"

    我ながら、古典的なお決まりを言い終わると
    とうぜん、お決まりの様に煙の中から白い巨体が割れた窓に向かってくる。
    アズサはまだ倒れないのか?と驚愕しているなかマナが散弾銃を取り出し
    駄目押しの一撃を見舞った。
    真正面から攻撃を受け止めた異形は、ゆっくりと速度を落とし窓枠の下に沈んでいった。

    「こ…今度こそ、倒せ…ました…?」
    「はぁ…助かったマナ。」

    "ひとまず、ここから離れようか。"

  • 168125/02/16(日) 21:35:27

    実習棟から離れ、林の中の作業小屋に私たちは避難した。
    アロナとリリが周辺と密猟者の状況を告げる。

    『近くに異形の反応はありません。
     ここなら少しは声を出しても大丈夫だと思います。』
    「密猟者は逃げたみたいだね、ルイシアン方向に跡が続いてる…
     あの様子だと、立て直すためにしばらく大人しくしなきゃいけないだろうしね。」

    生きてる人を暗視するのは疲れるなぁ。と眉間を揉みながらリリは呟く。
    ヒフミはおずおずと私達に現状の説明を求めた。

    「先生、それでここはいったい何処なんですか?」
    "ここはルイスパリッシュ統合学園のセイブル地区だよ、ヒフミ。"

    ルイスパリッシュ…?と言葉を咀嚼していくごとに
    ヒフミの顔が青くなっていき、完全に理解すると驚愕の声を上げた。

    「ル、ルイスパリッシュですか!?既に廃校になった、あの!?」
    「なるほど、ここは先生が人探しをしているという学園だったのか。
     先生、大丈夫なの?ヒフミ曰く、疫病や鉱山ガスが蔓延していると聞いた。」
    「噂に尾ひれどころか、エラまでついて泳いでるね。もう…」

    アズサが口にした噂にサヨコが呆れたようにぼやく。
    どうやら、外から見たルイスパリッシュは怖い噂の伏魔殿と化しているのが
    ヒフミとアズサの反応から見て取れる。

  • 169125/02/16(日) 21:36:22

    「それで…先生、この人たちは?」
    "うん、彼女達に人探しを協力してもらっているんだ。"
    「初めまして、あーしはルイスパリッシュ観光協会のリリ」
    「同じく、オレはサヨコ。で。この娘が…」
    「は、初めまして先輩…トリニティ総合学園1年の
     ひ、日向マナって言います。」

    見知らぬ人たちの中に同門がいると知って
    2人の表情は少しだけ和らぐ、同じようにアズサとヒフミも紹介をする。

    「初めまして、トリニティ総合学園の阿慈谷ヒフミと申します。
     あの…助けてくれてありがとうございました!」
    「白州アズサだ、先ほどはすまなかった…けど、助けてくれてありがとう。」
    「気にしなくていいよ、アズサちゃん。
     あんな目にあってるんだから、混乱しちゃうって。」

    アズサが攻撃してしまったことを謝るが、リリとサヨコは気にしないでと慰める。
    私はアズサとヒフミにルイスパリッシュの事情を説明し、何故迷い込んだのかを聞いてみた。
    私の想像から外れてくれれば嬉しいのだが…

    「あはは…その、非売品のペロロ様が売りに出されてると聞いて…
     ブラックマーケットに行ってました。」
    "アズサ…?"
    「すまない先生、私も止めたんだ…けど
     終売品のスカルマンが、気になってしまって…」

  • 170125/02/16(日) 21:38:27

    予想は当たり、ヒフミに誘われブラックマーケットに足を踏み入れ
    その後は私達と同じように黒いモヤに襲われて、気が付けばルイスパリッシュの中にいたみたいだ。

    "無事でよかったけど、それはそれとして後でお説教だよ。"
    「あうう…はい…」

    自業自得に肩を落とすヒフミを他所に
    ずっと壁に寄り掛かってたサヨコが2人に提案をした。

    「リリ、ヒフミとアズサを外まで送り届けて欲しい。
     こっちは、オレとマナ、先生で対処する。それでいい?」

    壁に寄り掛かったまま言い切ったサヨコの申し出に対し
    私とリリは目を合わせ、お互いの考えをすり合わせた。

    "いや、二手には分かれないよ。"
    「ごめん、巻き込むようで悪いけど、アズサちゃん、ヒフミちゃん一緒に付いてきてくれない?
     大丈夫、安全は保障するから。」
    「ちょっと…リリ、先生!」

    私とリリの発言にサヨコは否定的な反応を見せ止めに入り
    マナは予想だにしていなくて、うろたえている。
    止めようとしているサヨコだが、裏腹にヒフミとアズサは快諾した。

    「分かりました、皆さんに助けて貰いましたし
     私でも、お力になれるなら協力します!」
    「私もヒフミと同じだ。それに、同じ学校の生徒が困っているみたいだから。」

    2人の想いにサヨコは折れ、指示に従うようにと言い聞かせ
    私達は小屋を後にして、目的地へと歩き出した。

  • 171125/02/16(日) 21:39:02

    「マナちゃんは友達を探しにブラックマーケットに行って
     気が付いたらルイスパリッシュに?」
    「は、はい…友達を、クシロを探しに…
     先生とサヨコさん達が手伝ってくれています…」
    「コハルと同じ一年なのに凄い勇気だ。
     それにしても不思議だな、私とヒフミもブラックマーケットに行って
     気が付いたらここにいた…」

    「…トリニティってお嬢様校って聞いてるけど
     積極的にブラックマーケットに関わろうとしてない…?
     意外とアグレッシブだったり…」
    「あーしが通ってるゲヘナは正反対の感じだけど
     そうそう聞かないけどなぁ。」
    "そ、そんなことないよ。普段は彼女達も近づかないからね…!?"

    サヨコとリリのトリニティに対する誤解が深まりそうな中
    音もなく、木の陰から歩兵が飛び出してきた。
    突然の強襲にヒフミはともかくアズサまでも反応に遅れる。
    マナは既に銃を構えて次に備えて、先頭のリリがすぐさま振り返り
    リボルバーの銃床で殴りつける。
    初撃を失った歩兵の頭をサヨコの槍が切り裂いた。

  • 172125/02/16(日) 21:40:39

    「ごめん、油断してた。」
    「だ、大丈夫です…すぐに撃てるようにしてました、から…」
    "こういうことには本当は慣れてほしくないけど…慣れたね。マナも私も…。"

    倒れ伏す歩兵を見て、未だ処理しきれないのか
    ポカンとしてるヒフミとアズサ。
    そのうち、ヒフミが小さな悲鳴を上げた。

    「ひっ!い、今っ…え!?」
    「落ち着いてヒフミ、もう大丈夫だから。
     それにしても、私とヒフミもここに来るまで何度か応戦したけど
     これは人…なのかな。」
    「正直、オレ達にも分からない。
     ま、今じゃ、面倒な害獣くらいだよ…ほんと。」

    私達に会うまで未知の恐怖に文字通り2人は晒されていた。
    その恐怖は、初めてここに来た時の孤独感に近い何かは
    未だに私も覚えている。

  • 173125/02/16(日) 21:41:31

    ヒフミは唐突に、あっ。と何か思い出したのか
    ルイスパリッシュの噂について話し出した。

    「そういえば、ここは疫病や毒ガスが蔓延してると聞いてましたけど
     もしかして、ルイスパリッシュが閉鎖された原因って…」
    「そうだよ、いま襲われた異形達によってね。
     どうにもできなくなっちゃったんだ。」
    「あっ、すみません!私…」

    失言をしてしまったと途中で口を抑えるヒフミに
    リリは大丈夫と気にせずふるまう。

    「オレ達も噂に関しては耳にしないわけじゃないから
     気にしなくていい。」
    "噂って、いまヒフミが言ってたような事?"
    「はい、私も友達から聞いたりSNSで見た限りなので
     詳しく知っている訳ではありませんが…」
    「疫病や鉱山から毒ガスが漏れて人が住めなくなったとか言われています。
     どれもが信憑性が高いという訳では無いみたいですが連邦生徒会が
     災害と発表を出したのもあって有力と捉えられていたらしいのですが
     あるインタビュー動画に映ったトリニティ生の発言によって
     世にも恐ろしい化物が出たからって眉唾な説が一気に噂を押し上げたり…。」

    ヒフミの説明に、サヨコとリリが呆れたというより
    どこか疲れた表情をする。

  • 174125/02/16(日) 21:41:56

    「あのインタビュー悪いほうに知名度高めたね…」
    「やっぱり…もう、イコ先輩は…。」
    "イコ先輩?"

    まだ聞いたことが無い生徒の名前が2人から出てきた。
    ルイスパリッシュの生徒だろう。

    「現トリニティの、ルイスパリッシュの広報担当の先輩。
     言葉に含みを持たせがちなのが玉に瑕…。」
    「というより、天然のカッコつけなんだよね…イコ先輩。」

    やれやれといった風だが、2人の口ぶりからは
    軽んじている訳では無く付き合いの長さから来る親しみだと感じれる。
    ルイスパリッシュの生徒達の繋がりは強く見える。

  • 175125/02/16(日) 21:42:28

    道中、時折異形に遭遇しながらも
    踏み鳴らされた山道を進み、私達はマナの導きで
    当初の目的地である貨物倉庫までたどり着いた。

    「本当に探し物が見えてるのか?」
    「は、はい…証明するのは、む、難しいですが…。」

    暗視を訝し気に思いながらも、アズサとヒフミは
    興味津々とばかりに、手を突き出してるマナを囲み覗いている。
    どことなく微笑ましい光景だけど、これから私達は
    闇の中の更にもう一歩深いところに踏み込むことになる。

    「それじゃ、作戦の確認をするよ。
     事前に言った通り、この中には"ターゲット"っていう
     外にいる異形よりも大型の奴がいるの。」

    リリが作戦の概要を説明し始める。
    山間に建てられていて、一見気づきにくいが、
    この貨物倉庫は二階建てになっている。
    ターゲットは今のところ常に上下階を動き回っているらしいので
    機動力の高いリリとアズサが1階から、私を含めたサヨコ、マナ、ヒフミが
    目の前の二階の扉から倉庫内へ入り交戦。
    ターゲットは一体しかいないので、戦力を分散させて
    視線を反らすのが基本とのことだ。
    実際、観光協会のメンバーは二人一組もしくは三人一組で
    通常行動するらしく、私とマナが初めてこの地に迷い込んだ時
    サヨコとニィナが一緒にいたことに納得する。

  • 176125/02/16(日) 21:43:49

    二手に分かれる直前、マナがアズサとヒフミに謝る。

    「そ、その…私が言えたことじゃありません、けど…
     巻き込んでしまって、ごめんなさい…」

    頭を下げるマナに2人は一度顔を合わせ、マナに語った。

    「マナ、私は一度、大切な友達を自分のせいで無くすところだった。
     無くさなかったのは、友達が私を信じてくれたのもあるけど…
     私が諦めなかったから。」
    「そうですよ、マナちゃん。もし、くじけそうになっても…
     それが私たちの、マナちゃんの青春を止める理由にはなりません。
     なってほしくありません。」
    「そうだ、いまこの瞬間が…この先が虚しくても
     諦める理由にはならない…私はそう信じてる。」

    マナはゆっくりと二人の言葉を咀嚼してから
    改めて向き直る。

    「はい…ありがとうございます。
     白州先輩、阿慈谷先輩。」
    「アズサでいい、マナ。
     それに、後輩を助けるのも先輩の務めだ。」
    「私もヒフミでいですよ、マナちゃん。」

    お気をつけて。とマナが、一階に向かう
    アズサとリリを送り出す。
    私達は、先ほどの温かな雰囲気とは一変した
    底冷えするような静けさの鉄扉の前で息を整える。
    そして…重く軋む扉を開き、日が差し込む闇の中に足を踏み入れた。

  • 177125/02/16(日) 21:44:19

    一階に下ったアズサとリリは、扉の前で目を合わせると
    アズサが扉を開け、リリが先行して足を踏み入れる。
    一階は線路が地続きに這っていて、細かな段差に足を取られそうになるのを
    注意しながら室内を進む。

    「…?なんだろう、翅?」
    「翅?ってことは…」

    アズサが視界の端に捉えたそれは、
    室内の隙間を抜け、黒い塊となり
    素早く二人の前に人の像となって降り立った。

    「なっ!人に、なった…?」

    リリは無線をつなげながら、すぐさまアズサを我に戻す。

    「撃ってアズサちゃん!
     サヨコちゃん、ターゲットはアサシン。
     すでに交戦して…ッ!アズサちゃん危ない!」

    抉られた顔面を持つ黒ローブを象ったターゲット
    アサシンは両手首から生やした刃をアズサに振り下ろしたのを
    リリの銃弾が阻止する。
    アサシンは体を無数の蛾に戻し、天井の隙間に消えていった。

  • 178125/02/16(日) 21:44:57

    リリからの無線を受け取ったサヨコは、すぐさま情報を共有した。
    先生はシッテムの箱を使いターゲットを突き止めようとしたが
    群体となったアサシンは気配が微少で、アロナが捉えきれない。
    暗視を用いて動向を追っていたサヨコが警鐘を発する。

    「こっちに来る…アサシンは攻撃するとき
     必ず人になる、オレが引き付けるからマナとヒフミさんは
     その時を狙え!」

    サヨコが槍を構えたと同時に、黒い蛾の群れが
    室内を駆け抜け先生を挟むように守っているヒフミの
    背後に立つようにアサシンが姿を象る。
    ヒフミは背後の気配に気づき、後ろを振り返るが
    それよりも速くアサシンの刃が落ちる。

    「えっ…?」

    呆けた声を出すヒフミの前を
    片手で滑り出すように突き出したサヨコの槍が刃と打ち合う。
    だが、片手で押さえ続けるのは無理があったのか
    軍配はアサシンに上がり、サヨコの手から槍が落とされる。

    「ッ!」
    「さ、サヨコさん!ヒフミ先輩!」

    飛び出したマナが散弾銃をアサシンに向け
    ヒフミはすぐさま後ろに飛びのき、アサルトライフルを
    アサシンに向けて撃ち放った。

  • 179125/02/16(日) 21:45:49

    連射される点と覆うように放たれた面の弾丸が
    アサシンを射貫く。
    痛みに叫ぶように悶え、蛾の姿となり霧散していく
    それを阻止するように、ヒフミが銃を乱射するが
    一匹、二匹落ちたところで塊は変わることなく
    障害物を物ともせず、室内を飛び回る。

    "こちらのタイミングが少ないのは厄介だね。"
    「こんな時に限って燃焼物を持ってきてないのが痛い…」
    「わ、私もあの時使った弾が…唯一、です。」
    「あ、あの…いつまで撃ち続けていればいいんですか~!?」

    頑張って蛾を撃ち落とそうとしているヒフミを止める。
    銃撃が止んだ瞬間、アサシンはすぐさま身を翻し
    その場から撤退する。

    アサシンはリリとアズサを再び狙うべく
    二階に駆け付けた二人に立ちふさがるように姿を現す。
    刃を振り下ろしながら姿を作る。
    撃たれても次こそは仕留められるように…
    だが、その目論見は背後から迫ってきた弾丸によって阻まれる。

    "このための、戦力分散だからね。"

  • 180125/02/16(日) 21:46:24

    蛾の姿に戻らせまいと、サヨコが銃身下部のポンプを
    素早く動作させる。
    駄目押しとばかりに、リリとアズサもアサシンに
    銃弾を浴びせていく。
    苦しんでいくアサシンだが、今までと違い
    一気に体を蛾に戻すと、短距離を神出鬼没に
    出現し始めた。

    「行動が変わった!?」
    "気を付けて、いつ次が来るか分からない。"

    先生の言葉に、各々が死角を補うように行動しあう。
    だが、先生以外の全員が違和感を覚えた。

    「リリ、アサシンというのは透けることも…
     保護色のような機能を備えているのか?」
    「それはないはず…あっ!しまった!」
    「ッ!そういうこと、まずい!先生から離れすぎた!」

    "あれ…シッテムの箱が見えない…?
    いや、違う、これは…蛾!?"

    先生の視界を覆う蛾の群れ。
    先生は蛾を追い払おうとがむしゃらに手で顔面を振り払うが
    払われた隙からすぐに集まり、自分が目の前で動かした腕が
    余計に視界を遮る。
    その隙に、先生の目の前まで移動したアサシンは
    その凶刃を無防備な先生に向ける。

  • 181125/02/16(日) 21:47:23

    「先生!」
    「だ、だい、あう…!」
    「ヒ、ヒフミ先輩…!」

    一番近くにいたヒフミが先生に駆け出そうとするが
    つまずき転んでしまう。
    万事休すと思われた瞬間、顔を上げたヒフミが宣言した。

    「大丈夫です!ペロロ様ぁ!」

    アサシンと先生の間から
    突如、急速に肥大化する物体が割って入る。
    白い鳥の様なそれは先生を完全に覆い隠し
    アサシンの刃を受け止める。

    「ナイス!ヒフミちゃん!」

    飛び出したアドバルーンは、突き刺さる刃に耐え切れず
    割れてしまう。
    左のリボルバーをホルスターに戻し
    駆け出したリリは、先生とアサシンの間に滑り込み
    脇を締め片手に構えたリボルバーの銃口を真上の顔面に見据える。

    「あーしの領分じゃないけど…!」

    再び刃が振り下ろされるより早く
    リリの左手がリボルバーの撃鉄を素早くたたき
    1秒あるかないかの差で弾丸が2重に放たれた。

  • 182125/02/16(日) 21:48:48

    弾丸はアサシンに突き刺さるが、
    刃は止まることが無く、リリの腕を切りつける…
    瞬間、リリの目の前を穂先が掠め刃を防ぐ。
    サヨコは、今度は両手でしっかりと握った槍を
    強引に翻し、アサシンを仰け反らせる。
    アサシンが蛾に戻る瞬間、一発の銃弾がアサシンの頭を貫き
    ぽろぽろとその体が、煤の様な黒い物体となり崩れていく。

    「Vanitas vanitatum…」

    聖句が唱え終わるとともに、アサシンは完全に崩れ落ちた。


    To Be Continued…

  • 183125/02/16(日) 21:50:51

    とりあえず更新。
    スレ埋めそうなので、いったんここで切ります。
    続きは次スレでいくかも…

  • 184二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 22:10:38

    お疲れ様ですよ!
    大ボリュームでしたね!読み応えたっぷり
    いやぁにしても何でブラックマーケットにルイスパリッシュに繋がるゲート?があるのかしら
    そして格好付けのイコ先輩、何やらかしたんでしょうねインタビューで。その辺りも気になります
    戦闘描写もドキドキしましたよ
    続きお待ちしてますね

  • 185125/02/16(日) 22:24:16

    >>184

    イコ先輩のインタビューは

    前スレ161の事です。


    いま、更新したので丁度半分くらいなので

    次スレ建ててきます。

  • 186二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 22:31:11

    >>185

    わあ、凄い匂わせぶりなインタビュー。(見返してきました)

  • 187125/02/16(日) 23:37:47
  • 188二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:03:22

    たておつです

  • 189二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:19:43

    こっちは埋めた方が良いのかな?

  • 190125/02/17(月) 01:52:14

    >>189

    埋めてしまっていいですよ。

  • 191二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 10:13:30

    密猟者との対峙、マナの暗視が示す場所への到着と"ターゲット"との戦闘と内容盛りだくさんですね!

  • 192二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 12:30:29

    >>136

     5.7×28mm弾を作り出した企業だからだよ。

    5.7x28mm弾 - Wikipediaja.wikipedia.org
  • 193二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 18:30:40

    そもP50(>>131)自体がP90(>>137)の弾倉を流用する目的で作られたんやぞ

  • 194125/02/17(月) 21:17:23

    >>193

    機構を流用かと思ったら

    弾倉ごと流用してたんだ、初めて知った

  • 195二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:45:34

    アサシンに狙われた先生だったけど、ヒフミのペロロ様召喚でぎりぎり助かったね

  • 196二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 09:36:05

    アサシンは蛾に分裂して襲いかかってくるのは厄介だったね

  • 197二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 09:36:49

    >>181

    >>195

    神様仏様ヒフミ様ペロロ様…

  • 198二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 18:00:13

    >>194

    横向きで詰め込まれた5.7mm弾(>>192)を銃口側へ90度回転させる部位は弾倉に入れてあるのであって本体の構造はまだしも動作機構そのものは別段新しくもない


    あとP90が上から

      弾倉

      薬室+銃身

      引き金

    なのに対してP50は

      薬室+銃身

      弾倉

      引き金

    となっている

  • 199二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 23:25:54

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 09:09:01

    埋め

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