- 1125/01/25(土) 21:48:25
- 2125/01/25(土) 21:57:55
······あったかい。ぱちゃ、ぱちゃ、みずのおとがする。せなかに、人のぬくもりをかんじる。むねか、おなかか、うでかわからないけれど、とりあえず誰かのからだが当たってる。······うでは、横だからたぶんむねだ。やわらかいし。
「······ふっ、ようやく目覚めたか。空崎ヒナ。」
あれ、ここおふろばだよね。ゆぶねだよね。何でかな。うっとうしいはずのこえがきこえる。よりにもよってなんでぱんでもにうむそさえてぃーのぎちょうとふたりきりなのだろう。なんで、今このばにマコトが居ていっしょにおふろにはいっているのだろう。だきしめられているのだろう······あ、いや······そういえば、いまは、ふたりきりか。なら、うっとうしいなんてことないや。
「······まこ、と。」
······のどがいたい。なにかされただろうか。というか、きおくがぬけおちているような気がする。なんだか、マコトにいろいろされたようなきがした。······待って、そもそも、寝ているような感覚だったのにお風呂に入っているなんておかしくない?······あ。
「······あぁああぁぁぁぁ······」 - 3125/01/25(土) 22:04:02
思い出した。思い出した。全部思い出した。前に自分が苛立ちを隠せないまま挑発したら、それを覚えられてて完全に墓穴掘って、その結果マコトに好き勝手された事思い出した。顔が茹で上がって、口をブクブクと湯船に入れる。泡がポコポコと、水面に浮かぶ。そして、パチ、と、聞こえるか聞こえないくらいの音量で消える。
「キキキッ······いやぁ、中々に滑稽だったぞ。このマコト様の腕で鳴かされる風紀委員長様の姿は。」
「······だまって······」
初めて恥ずかしさで死にたいという気分を味わっている。いや、別にマコトに気を失うまで鳴かされた事じゃない。水着姿を来てこいと言われ、マコトの部屋まで水着姿で行ったこもでもない。そうして、身体をアチコチ丁寧に、乱暴に触られたことでもない。十分に恥ずかしいけど。十二分に恥ずかしいけど。それよりも、私が、私が、自分の意思でマコトに寄りかかって、泣いてしまって、そして凄い甘えて、キスしてなんて······
「······ほんとに······」
シナシナ、なんてマコトから言われたことがあるが、今はそれに似たような状況だ。強いて言うなら、シナシナはしてない。グツグツしてる。 - 4125/01/25(土) 22:12:21
「ふっ、まぁ、安心しろ。身体は洗っておいた。髪も整えてやったし、汚れている部分は無いはずだ。」
言われてみれば、確かに身体に気持ち悪い部分は無い。何となくアソコが重いのはあるし、胸の先がジンジンとしているのも隠せていない。まだ固くなっているのだろうか。分からないけど、どちらにせよ、気持ち悪いのが無いだけ凄いと思う。······思った、なのかな。
「······きれい、だった。」
「ん?」
ふと、口から言葉が零れてしまう。最初こそ鏡でしかマコトの顔は見れなかったし、途中まではマコトは服を着てたし、布の感触がメインだった。押し倒されたあとは、まぁ······凄い、マコトの綺麗な身体が視界全面に映っていた。自分の裸体よりも、風紀委員の誰よりも、合同演習で一緒に居た万魔殿のメンバーよりも、この世の誰よりも綺麗だった。
本当に綺麗なものを見ると、言葉が出なくと言われるけど、実際あの時はそうだった。オーロラとかと、似たようなものだった。
「······お前が素直だと、やはり気持ち悪く感じるな。」
「何とでも言いなさいよ。」
折角褒めたのに、そう言われるとやはり怒りの方が勝つ。ムスッとしてまた口を水の中に含める。······若干水が口に入って、甘い味がした。マコトの味と、私の味が混ざった味。事実上の、関節キス······あ、これダメだ。マジでダメだ。気持ち悪いって意味が別の意味で使われる。至極真っ当な暴言になってしまう。 - 5125/01/25(土) 22:18:51
「······それと、ヒナ。」
珍しく、その呼び名で呼ばれた。そういえば、今日の朝ら辺も、その名で呼んでたよね。ジッと見ると、マコトは少し気まづくなってしまったのか、目を背けた。その状態で言葉を続けた。
「せめて毎日お風呂に入れ。湯船に入らずとも、身体くらいは洗え。」
······そうさせなくしてる一因は、貴女にもあるでしょ?ぼんやりと呟き、蔑むような目線を向けると、申し訳なさそうに唇をキュッ、と結ぶ。思ってるところがあるなら、直してよなんて思うが、結局それを受け入れているだけ私もそっち側なのだろう。むしろ、マゾ気質なのだろうか?
「······さぁ、どうだろうな。少なくとも、お前はサディスト気質だろう?」
あれ、口に出してた?······また顔が赤くなるような感覚に、つい口を湯船に漬けようとして、止める。申し訳なさそうなマコトの顔が、何となく忘れられず、再度顔を背後に向ける。······なんだろう。やっぱり、マコトの顔は整ってる。私なんかとは、違う。そうだよね。 - 6125/01/25(土) 22:25:03
「······ねぇ。」
そういえば、忘れていたことがあった。今日の朝にマコトにあの呼び方で呼ばれてから、ずうっと考えていた事があった。それは、当分消えることは無いだろうし、大事な場所に指を這わされるまでも考えてしまっていた。······ねぇ、マコト。
「······なんだ?ヒナ。」
相変わらず、憎たらしいほど、イケメンで可愛い、綺麗で整った顔してる。無能ではあると思うし、そもそも、人の上に立つような人物じゃない。
「······まだ、マコトは。」
ずっと私を抱きしめている腕をそっと払い、身体ごとマコトに向き合わせる。何となく、何を言われるのか分かったのか、ジーッと此方をマコトも見つめ返す。マコトには翼は無いが、どちらにせよ、角が長い。······いや、そんな事今どうでもいい。
「······私の、こと、嫌い、なの?」 - 7二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 22:33:55
とても美しい…
- 8125/01/25(土) 22:35:45
マコトが脳停止したような顔になって、ぱちぱちと目を瞬かせる。きっと、驚いてるのだろう。マコトだって、この話を掘り返されるとは思ってなかった、そうでしょ?私だって、今回のことがなきゃ、捨てた記憶として一生封印してた、から。
「······あの時から、まだ、私は変わってない?」
───風紀委員長へとなり、その裏で雷帝を本気で調べ始めた時。あの時の善意を素直に受け止められることが出来たなら。無理やり、マコトが押し倒そうとしたのを振り払ってしまわなければ。また、違う未来があったんだろうか。
「······あぁ、なるほどな。」
少しため息をついた後、突然マコトは私の頬を掴み、グイッと顔をちかづける。お互いの体温が少しだけ感じられて、息が鼻にかかる。ムズムズする。くすぐったい。でも、久しぶりにこんな正面で近くに見た気がする。パタパタとよく分からない音が響いてしまう。あ、私の、翼の音?
「······逆に聞くが、ヒナ。お前は、私が嫌いな相手にあんな変態プレイを強いるようなやつだと、勘違いしているのか?」
······へ、変態プレイ······自覚あったんじゃん。恥ずかしさで顔を背けようとするけど、がっちりとホールドされて、赤い顔を至近距離で見つめられてしまう。これダメ。ホントに死にたくなるから。
「······お前なら、分かってるだろう?私は、嫌いな奴にはドライな反応なんだ。共に過ごしてきたんだから、お前なら分かってくれると思っていたんだがな。」
何その言い方。正直、怒りたくなる。けれど、それよりも色々恥ずかしさが勝つ。
「······だ、だったら、いつものあれはどうなの?」
「······風紀委員会にしている仕打ち、か?」 - 9125/01/25(土) 22:45:19
少しマコトは目を瞑る。······ダメだな。何度見ても、綺麗という、単調な感想しか思いつかない。他の感想も何も思いつかないし、あの時から、これしか無かった。
少しだけ目を開けたマコトも、これも綺麗だな。私は目を奪われたまま、耳を傾けようとする。翼がはためかせる水音と、静かな空調の音。
「······ヒナの事は嫌いじゃ無い。風紀委員会の事も決して嫌いじゃない。」
マコトの発言は、矛盾のように聞こえる。いや、いや矛盾してる。だって、おかしいじゃない。もし、本気で嫌いならそもそもこんなことしてこないだろうし、そうじゃなくても、嫌いじゃないなら、あんな事してこない。矛盾しか、していない。
「······ただ私は、風紀委員長という名を背負って、先頭を行くお前と、それに着いていく奴らが大嫌いなだけだ。」
······あぁ、なるほど。私には、よく分からない感性だった。第1、誰が誰をやろうと、その人が嫌いなら私は嫌いだし、どんな役でもそれは変わらない。······こういうことで、マコトと喧嘩別れしたのだろうか。まぁ、何となく私が強くて、命を顧みない行動を結構し始めた辺りから、ずっと喧嘩していた気がしたけれど······
「お前のことは、まだ好きだ。けれど、そうやって戦うお前は大嫌いでしかない。」
ようやく離された頬の手を、やり場のないように浴槽の外へとやり、なんとなく悲しげな目を、壁へと向けた。······こういう時も、私は、言葉が出てこないのは、精神の擦り切れ具合と、不似合いさを、表してるんだろう。 - 10125/01/25(土) 22:57:29
結局、私たちは、色々あって別れた。でも、マコトはまだ私のことを好きでいてくれてて、いや、私は風紀委員長を辞める気は微塵もないから、つまるところは嫌いで───
「······そう。」
悲しく、私には呟くことしか出来なくて。
「······まぁ、何だ。久しぶりに身体を重ねて、お前も休めただろう?それで良いじゃないか。」
それなのに、貴女は、強いよね。優しさしかそこには篭ってなくて、綺麗さを象徴するように、切なげな瞳が此方を見ていた。隠しきれない切なさは、でもそれだけで。私はきっと、前面に押し出しちゃうから。
「······マコト。」
「······ん?どうした、ヒn」
返事も待たずに、私は身を乗り出して、唇を重ねた。マコトがせめて救われて欲しくて、ちゅう、と、吸うように。······好き勝手虐められてた時は分からなかったけど、マコトの唇って、こんなに甘かったんだ。だから、湯船の水も甘かった······辞めよう。気持ち悪い。
「······っ、ぱ。」
離すと、マコトは顔を紅潮させて、驚いたように私を見ていた。いい、表情だ。何となく、マコトが私をサディストと言っていた理由が、分かった気がする。優しい顔が好き。驚いた顔が好き。笑った顔が好き。······けど、そういう顔も、無性に好きなことに気づいてしまった。
「·······マコト。私は」
グイッと顔を近づけて、不器用に微笑む。どのように、見えているだろうか。
「今でも、マコトの事が好きだよ。」
幸せそうに浮かべた表情に、しばらく反応は無かった。ぱちぱちと瞬きさせた後に、ニヤリと笑って言葉を返してくる。
「あぁ、そうか。」
今度は、マコトの方からちゅう、と吸ってくる。幸せな味もして、甘くて、······でも、彼女の方からしてきたくちづけは、何となく、苦い気もした。 - 11125/01/25(土) 22:59:21
終わりです
マコヒナのちょっとジメッてるピロートークを
書きたくてノリで書きました - 12二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:01:39
短いけどすげぇ好き
それとマコトの変態プレイとは
何だったんでしょうねぇ······??? - 13二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:10:50
- 14二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 23:35:22
ジメッてるヒナすき
面倒くさそうなマコトもすき - 15二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 06:58:02
一人称視点だろうけど、書き方好きすぎる
- 16二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 16:39:52
素晴らしい…素晴らしいよ…
- 17二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 17:58:24
やっぱりマコヒナっていいなぁ…
- 18二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 22:35:40
小学生の時のスク水だから本人が思っている以上の絵面の破壊力になってる…