学マスの曇らせSSが読みたい

  • 1二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:14:18

    が、学マスSS界隈は某学園都市ソシャゲなんかのそれと違って曇らせが十分に供給されていない。実際、そういうのの本場である筈のpi◯ivですら曇らせSSの割合は一割にも満たない。
    かと言って、自給自足しようにも三流の私では限界がある。

    と言う訳で野生の文豪の皆様……書いて(切望)

  • 2二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:15:57

    イチャラブが好きなので無理です
    あと当店セルフサービスです

  • 3二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:16:55

    オーダーするならせめてアイドルと大雑把でいいからシチュを言いな!そして書きな!

  • 4二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:24:23

    嫌じゃ!もう自己満SSなど書きとうない!

  • 5二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:27:11

    しかしねえ、曇らせは読み手を選ぶし一歩間違えればヘイト作品に足を突っ込むのだから…

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:31:19

    知っているか?純愛と曇らせは両立する!愛があるから曇るのだ!曇るからこそ愛があるのだ!
    故に曇らせは純愛である!!(錯乱)

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:33:44

    誰もが皆最初は三流だぞ千奈ちゃんだってド三流から底辺の一流になったんだいいから自給自足しろ

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:35:51

    >>5

    しかしねえ、ヘイト作品などという言葉は大概所詮「(発言者が)嫌いだと思ったもの」という意味でしかないのだから…

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:38:21

    こんなところでこんなスレ立てる時間があるなら、さぁ筆を持ちな
    俺も書いたんだからさぁ…(完結までに3か月くらいかかった)

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:40:04

    主じゃないけど
    うめさきのタヒイ本土里めがみたい

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:45:08

    曇らせって舵取りほんと難しいから…

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 11:58:19

    >>2 >>3 >>7 >>9

    わかってるさ!書けばいいんだろう!?不肖スレ主、過労で倒れて幽冥の間を彷徨うことねP、書きます!

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:11:47

    ことねとことねPの曇らせか
    本当見ないな

  • 14二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:17:36

    問題発生→とりあえず解決→急転直下で絶望に叩き落とす→解決するけど傷は残る

    この流れが個人的には好き

  • 15二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:20:27
  • 16二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:20:59

    厳密には曇らせではないかもだが

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:21:56

    「ふぃ~…疲れた〜!」

    レッスンの帰り、誰にともなしに呟いてみる。まあ当然、それが誰かに拾われることはなく、風に攫われて木の葉を揺らすだけだった。

    (…はあ、プロデューサーが居ればなぁ)

    きっとあたしのことを労ってくれるに違いない!……なんて妄想したところでプロデューサーはまだ学園の方で仕事だし、あたしもこれから寮に戻る。次に会えるのは明日だ。

    (今電話したら、出てくれたりして……)

    あたしはじっと無機質な画面を眺めて──

    ──Prrrrrrr!!

    「うわぁ!?…って、プロデューサーから…!?」

    突然変転した画面には、“プロデューサー“という文字が大きく映し出されていた。

    (…全くぅ、プロデューサーってばあたしのこと好きすぎかよぉ…♡)
    「は〜い!世界一可愛い藤田ことねちゃんで──」
    『藤田か!よかった!』
    「うへっ!?そ、その声はダンストレーナーの……」

    耳元に響いた予想外の声は、いつものそれとはまるで違った。切羽詰まっているような、酷く焦っているような、そんな感じだ。

    『悪いが、すぐに〇〇病院まで来てくれ!』
    「病院…?なんでまた急に──」
    『──お前のプロデューサーが倒れた!』

    「………はぇ?」

  • 18二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:23:13

    曇らせモノ結構書いたことあるけど曇らせっていちゃラブ系と違って曇るまでの導入が重要だから分量と展開の仕方が必要なんだよね

  • 19二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 13:59:11

    「トレーナー!!」
    「……来てくれたか、藤田」

    病室の前では、普段からは想像もつかない神妙な様子でトレーナーが椅子に座り込んでいた。

    「プロデューサーは…!?」
    「…まだ病室で眠っている」

    その顔に浮かぶ心配と遠慮の色を見れば分かる、分かってしまう。この先にあるものは、あたしの見たくないものだ。あたしの耐えられないものだ。
    でも、見なくちゃいけない。あたしはあの人の担当アイドルだから。

    「…ッ!プロデューサ──」

    冥府への門は思ったよりも簡単に開いて──

    「──ぁ…?」

    ──その光景は、思った通り簡単にあたしの決意を叩き折った

    「……医師曰く、過労による心不全だそうだ」
    「か…ろう…」

    思い当たる節はあった。いや、思い当たる節しかなかった。
    プロデューサーはあたしに会ってから、あたしの抱えてる決して軽くない重荷を次々と取り払ってくれた。あたしを何年も苦しめ続けたそれをいとも容易く。
    まるで夢のようで、奇跡のようで、白馬に乗った王子様が来てくれたかのようにさえ思った。

    (……なんだよ、あたしのせいじゃんか…ッ)

    その蹄が、薄氷を踏んでいたとも知らずに。

  • 20二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 15:05:54

    物々しい機器を付け病床に伏すプロデューサーは、依然静かなまま動かない。

    「…これは学園側の過失でもある。十王家も協力を惜しまない。大事には至らない筈だ」
    「……お気遣い、ありがとうございます」

    その気遣いの言葉さえ、今は胸を刺すようで辛かった。

    「私はもう戻らなくてはならない。済まないな、藤田」

    そう言って、トレーナーは病室を後にした。
    別に薄情だとは思わない。あの人にだって仕事があった筈なのに、ここまで面倒を見てもらったんだ。それだけでも十分だろう。もしトレーナーがいなければ、プロデューサーは今頃、今…頃……

    「…なんっ…で…涙、止まらなっ…!」

    何泣いてるんだよ。悪いのはあたしなのに、プロデューサーの方が辛いに決まってるのに、なんであたしが泣いてるんだよ!なんで──

    『──ふじた、さん…?』
    「…ぁ、ぷろでゅーさー……」

    医療機器に遮られてくぐもった声、でも彼ははっきりとそう言った。

  • 21二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 16:45:21

    『…どうやら、心配をかけてしまったみたいですね』

    いつもの声だ。無機的でありながらどこか穏やかで優しい声が、あたしの鼓膜を揺らした。

    「……プロデューサー、どうして…」
    『世界一可愛い担当アイドルが泣いているとあらば、黙って寝ている訳にはいきませんから』
    「ッ!?」

    よ、よくもまぁこんな時に歯の浮くようなセリフを堂々と。こっちがどれだけプロデューサーのことを悔やんで心配していたか知らない癖に──

    『──貴女のせいではありません』

    ──その癖なんでか、あたしの欲しい言葉ばかりをくれる

    『何を勘違いしているのかは知りませんが、これは貴女に惚れた男が勝手に走って勝手に倒れただけです。それで貴女が自分を責めるのはお門違いでしょう?』
    「……じゃあ、あたしは一体どうすればいいんですか」

    『笑ってください。世界一可愛い貴女に、涙は似合わない』

    これじゃ、一丁前に悲しんでたあたしが馬鹿みたいじゃないか。

  • 22二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 17:24:32

    ──数カ月後

    「プロデューサー!今日もレッスン頑張りましたよ、褒めて下さい!」
    「……おや、流石ですね藤田さん。今日も可愛いですよ」
    「えへへぇ♡それ程でもぉ♡」

    十王家の方々の尽力もあってか、俺の症状は完治とまではいかずとも大幅に改善され、しっかり休養を取るという条件付きで今まで通りの生活が許可された。
    今後藤田さんのプロデュースができないなんて最悪の結末だけは避けることができて安心だ。
    だが……

    「……ところでプロデューサー、もうお仕事の時間は終わりの筈なんですけど、一体何をしてるんですか…?」
    「…き、キリのいい所まで終わらせておこうと──」
    「ちゃんと休むって約束、忘れたわけじゃないですよネ?」
    「……ですがこれくらいなら何とも──」
    「口答え禁止です!これからプロデューサーにはあたしの抱き枕になってもらいます!」
    「……ア、アイドルとプロデューサーが同衾は──」
    「何か、言いました?」
    「アッイエ、何も言ってないです」

    藤田さんが凄く過保護になった。

  • 23二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 17:38:18

    書いたぞ、これで条件は満たしたはずだ!誰か曇らせSSを書きやがれください!

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 17:43:01

    曇らせSSとは違うけど、campus 労働のコメの「学費払えず退学した後に同期の活躍している姿を見て、替え歌を歌いながら働いてる世界線」はキュ…てなった

  • 25二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:45:43
    プロデューサーが自分のPをやめる夢を見て|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    前回投下したこういうものでは駄目でしょうか……

  • 26二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:47:52

    >>25

    イイぞぉ!!

  • 27二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:48:30

    自分に見せた事のないPと友人の楽しそうな会話見て自分の時は仕事モードなんだって曇るのが王道でしょ?

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:50:55

    プロデューサーを凡人にして頑張ったけど夢破れた!みたいなのがまぁある程度書きやすそうでは…あるか?

  • 29二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 18:56:21

    それこそ理事長が倒れて一命は取り留めたものの後遺症などで理事長引退までは共通ルートでそこからアイドルごとに別ルートになるしか思いつかない
    星南&広のルートで記憶の混濁により広の方を孫と思い込む理事長とかどうかな?

  • 30二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 22:47:08

    最後に希望があるならいいけど大体ねえんだよなあ

  • 31二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 23:06:36

    ギャグっぽく流される手毬の炎上がなんか全然収まらないわ周り巻き込みまくって燃えまくってるわでもうアイドル無理まで行っちゃうとか

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 23:20:37

    お目汚し失礼します。

    それは突然のことだった。本当に突然だったかというときっとそうじゃなくて、私だからずっと前からあり得たことが偶然積み重なって起きただけだったのかもしれない。その日はライブが終わった後、体を休めるためにどこかにお出かけしようとプロデューサーに言われて出かけた帰りだった。ショッピングモールに行き、いろんなお店を回ったのが祟ったのだと思う。帰り、不意に立ち眩みに襲われた。それだけだったらよかったけれど、問題はそれが横断歩道で、私は偶然にもプロデューサーの半歩後ろを歩いていたってこと。

    プロデューサーが振り返るころには、既に信号機が赤くなっていたはずだった。夕日とは違う人工の赤いLEDの色がぼやけた視界に走ったのを覚えている。そして、プロデューサーがこちらに走ってくる様子と、視界の端に黒い鉄の塊がすさまじい速度で動いてたことも。大型車両の特徴を知っているだろうか。高さが高く、それ故に視界が小さい。そして、大型車両の中でも一部の車両は止まることすら難しいものが多い。勢いよく止まった場合大きなタイヤを乗せているものや、コンクリートを混ぜるようなものは、内容物や積載物が落ちてしまい、それによる損失は計り知れない。

    そして、私が倒れそうによろめいていたのが、全て綺麗に重なったのが、今回の失敗だった。次なんて、ないけれど。

    世界が揺らいで、揺れて、電撃が走る様な気がした。押し飛ばされる感覚、視界が一斉に開き、心臓が早鐘をうっているのが分かった。ようやく体が追い付いたんだ。その世界が、その光景は、今までのどんな経験よりも、頭に強く残った。急ブレーキの音、自分のことを押したトレーナーが撥ねられる音。車が止まり、吹き飛ばされたプロデューサーを、見ていた。

    「あ…ああ…プロデューサー…?」

    あんなに賢いこと、だとか。簡素なデジタル時計、とか。天才、だとか言われてきた。実験室で非常事態には何をすればいいかも、何度も何度も見てきて、頭に叩き込んでいた。今もスマートフォンはポケットの中に入っている。突き飛ばされて倒れた痛みがある、少しすりむいている。それが感じられないほどに、体が動かなかった。頭が動かなかった。しなければいけないことはわかっているのに、それをすることができないこの時間が、恐ろしく、ままならない。決して喜ばしいだなんて思えない、ままならない時間だった。

  • 33二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 23:39:50

    「記憶……障害。」

    後日、先生から言われた言葉は重大だった。そんな漢字四文字で表現できず、一千字でも、一万字でも、それ以上使っても表現できず、もしもこの世界が一つの頁だとしたら、あまりに余白が足りないような想い出、感情、そして……夢が、砕けているような気がした。望んで過去を捨てた自分と、自分のせいで過去が消えたプロデューサー。なんて酷い対比(コントラスト)だろう。もしこれが作品だったら、なんて酷いシナリオなんだろう。曰く、人物の記憶ほとんどが抜け落ちてしまっているらしい。自分が”ダレカ”の子供として生まれ、”ダレカ”と友人として生きてきて、”ダレカ”のことが嫌いで、”ダレカ”のことが好きで。そして、……”ダレカ”をプロデュースしていた。そうなっている、と聞いた。

    「……ままならない、ね。本当に、ままならない。」

    これからがあって、これからも夢の続きを見ると、そんな話をしてきたのに。悔しかった。誰かに負けたわけでもない。ただ、この虚しい悲しさを、悔しさを、自分に向けてしまうことを、きっとプロデューサーは望んでいないだろうって、わかってしまうから。どこにも向けられなかった。佑芽に、千奈に、美鈴に。それだけじゃない、手毬にも、生徒会の方からも、先生たちからもいろんな言葉を言われたけれど、心がどこかに行ってしまったように、何を言ってもらったかも、わかっていないようだった。

    きっと、皆もそれをわかっているんだと思う。トレーニングもなく、午後の授業を免除されいてるからか、太陽が真上に上がるころには、私のすべきことはなくなっていた。病院の所在は、聞いている。一人で向かうことは、きっとできる。一人で、できる。だって、これからは、一人、なんだから。

    足を大地に踏みしめて、進む、進む、進んでいく。静かに、けれど心の波は嵐のように。進んでいく。

  • 34二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 00:10:15

    「……」

    扉を、開けた。122号室、たった一つのベッド。そこにプロデューサーはいた。窓の外を眺めて、ただ静かにそこに居た。きっと、帰ってくる言葉もわかっていた。誰もわからず、そしてこれからどうあるか、自分がプロデューサーのことをどう思っていたか、それを、最後言って帰ろう。そう、思って。近づいていく。

    『……篠澤さん、ですか?』

    その言葉に、どれだけ驚いただろうか。夢を疑った。沈黙が訪れる。なんでわかったのだろうか、なんてわからなかった。奇跡のようにすら思える。計算も推測でもなく、あまりに曖昧な”奇跡”、としか思えなかった。だから、問いかける。その謎を、聞きたかった。その奇跡の理由を、知りたかった。

    「なんで、わかった、の?名前……聞いてた?写真も……」

    『いえ、名前だけで、写真は見ていませんでした。けれど……』

    「けれど?」

    『綺麗、だったから。』

    言葉が出なかった。その光景は、ずっと身構えていたよりも優しくて、それでいて、胸が苦しくて。ずっと涙がこぼれてしまいそうだった。夢が、まだ続いているのかもしれない。こんなことがあっても、私をこんなに苦しく思わせて、泣かせるだなんて、やっぱりプロデューサーは……鬼だ。

    「……ままならない、ね。本当に……ままならない。」

    今だけは、もう少しだけ泣いていたかった。
    初めての告白、二回目の言葉。夢は、まだ終わらない。

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 00:12:01

    以上です、お目汚し失礼しました。
    広?ええ、とても大好きです。
    最近トゥルーエンドに行きました。
    次は親愛度10を目指します!

  • 36二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 00:18:13

    チナクラモトがライブ失敗してプロデューサー解任され最後にプロデューサー室で2人だけのライブをする話とか思いついたけど出力するモチベがない

  • 37二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 06:43:36

    >>35

    素晴らしい…!私の望む世界がッ!今、目の前にある!!

  • 38二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 18:04:29

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:46:28

    補習

  • 40二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 00:09:18

    >>36

    今書いてたりするかな…もし良かったら俺も書いてみたい

  • 41二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 01:47:42

    定期公演「初」に合格できないまま冬のNIAが近づいてきた広と広P。
    ままならない日々を楽しんでいた二人だがあさり先生から日常の終わりを告げられる。

    「このままだとプロデューサーくんは単位が足りず留年となります」
    「また担当アイドルの救済のため別のプロデューサーに担当を変えるという制度が適用されます」

    足を引っ張りたくない広。学園を去ることになっても構わないという広P。
    二人の歯車がかみ合わなくなったままNIAは開幕する。そしてその結果は……!


    ってところまで思いたので夜食にでもどうぞ!むしろだれかディナーとして仕上げてほしい

  • 42二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 03:07:10

    「ふふ……今日もうまくいかなかった。」

    「そうですね。まあ、以前よりは進歩していますが、それでも足りない上に周りも努力していますから。」

    「もっと厳しく。」

    「要点を整理しつつ話すのでまた後で。一旦休んでください。」


    お試し契約でプロデュースしてもらっているわたしは……今日も定期公演『初』に合格できない。

    原因はわかってる。帰り道にうっかり転んで怪我をしたこと。

    珍しい花を見つけて、もっと近くで見ようとしたら大変なことになっちゃった。

    丁寧な治療のおかげで傷は残らなかったけど、当然治るまでレッスンはお休み。

    プロデューサー曰く、元々ダメダメだったわたしの成長が遅れたどころか、運動ができなかったから前よりも酷いことになっているみたい。

    そんなわけで……もっとままならない日々を、もっと過ごせるようになった。


    ……そう思っていたけど。

  • 434225/01/28(火) 03:17:57

    「……このままだとプロデューサーくんは必修の単位を修得できず、留年となります」

    「そうなってしまったら今の担当アイドルのプロデュースを継続することはできません。篠澤さんには別のプロデューサーがあてがわれることになりますが……」

    「……えっ」

    「プロデューサーくん、これは単にあなたたちの契約の解消というだけではないんです。必修を落として留年したプロデューサーと契約してくれるアイドルは……その。」

    「まずいないでしょうね。それが続けば、次は退学です。」

    ……そんな。プロデューサーの成績、確かに良くはならないだろうとは思ってたけどそこまでなんて……

    「……プロデューサー、他の子も担当して。わたしのおためし契約はやめてもいいから。」

    「しません。というか、できません。今から新たに担当アイドルを増やしても実績を出すのが間に合いませんし……それに」

    「……はぁ。これを今言いたくはなかったんですが、お試し契約などという制度はありません。最初から本契約です。」

    「それって……つまり」

    「……申し訳ありませんが篠澤さんに結果を出してもらう他に解決法がありません。」

    「わぁ、あ……」

  • 444225/01/28(火) 03:26:29

    「結果を出す……『初』の最終試験に合格すればいい?」

    「たとえ優勝しても不十分でしょう。あるとするならNext Idol Audition……NIAです。」

    「NIA……って何?」

    「新世代のアイドルを生み出す不定期開催のイベントで……規模もかなり大きいですし、ここである程度結果を残せればどうにかなるかもしれませんね。」

    「なるほど。わたし、NIAで活躍できそう?」

    「無理です。話になりません。」

    「……正直、先生もかなり厳しいと思います……」

    いくらわたしでも、勝機が何もないことはやらない。

    ……でも、ここでやらなかったら。やれなかったら。

    「わかった。全力でがんばる、よ。」

    「どうにか……結果を出そう。ううん、出してみせる。」

  • 454225/01/28(火) 03:35:48

    それからは、地獄の猛特訓……ともいかなかった。

    そうしたかったけど、プロデューサーが毎回止めてくる。体を壊すのが一番だめだから、って。

    確かにそうだけど……そうだけど。今までと同じじゃどうにもならないことはプロデューサーも知ってるはずなのに。

    それと、NIAはファンの投票が大事みたい。

    歌もダンスもダメダメなわたしはいっぱい写真を撮ってもらって、宣伝してもらった。

    千奈からテレビ出演に誘われたりもしたけど、わたしが出ても迷惑をかけるだけだから断った。

    それでも千奈はテレビでわたしのことを話してくれて……それもあってかわたしは少しだけ話題になった。

    だけどまだ、勝てる未来は見えない。

  • 464225/01/28(火) 03:46:26

    「今日もレッスンお疲れ様です、篠澤さん。」

    「……プロデューサー。本当にこれで、いいの?」

    「何がです?」

    「わたしをプロデュースし続けること。アイドル科のすごい生徒の中にはまだプロデューサーのついていない人もいる。あなたなら、きっとすぐに結果を出せるはず。」

    「向こうがプロデュースを受けてくれませんよ。俺が入学してすぐなら話は違ったかもしれませんが。」

    「気にすることはありません。アイドルを適切にプロデュースするのがプロデューサーの仕事です。あの日、最後まであなたを見ていなかった俺の責任です。」

    「そんなことない。プロデューサーは……何も悪くない。なのに……なのに」

    「……何故泣くんですか」

    「ここまで……ここまで迷惑をかけるはずじゃなかった。わたしが辛いのはいい。だけど、いくらなんでも……」

    「篠澤さん。」

    「俺はあの日、引き受けてしまったんです。だからこれも、仕方ないんです。」

    「……NIAまでもう日がありません。今日もすぐに帰って休んでください。」

  • 474225/01/28(火) 03:51:29

    そして、ついにNIAが始まってしまった。

    わたしは……歌もダンスも少しはうまくなったけど、それでもまだダメダメ。

    ファンも少しは増えたけど、わたしの能力を覆すほどじゃない。


    「……篠澤さん。今回の一次オーディションは……一応、あなたにも勝機があります。」

    「……そうだね」

    「……それと、ここを突破してもまだ終わりではありません。」

    「……わかってる。」

    「わたしの全力……出してくる、ね。」

    「応援してます。やれるだけ、やってきてください。」

  • 484225/01/28(火) 03:53:18

    前の参加者のパフォーマンスは……練習のわたしとは比べ物にならないクオリティだった。

    つまり、今のわたしが全力を出しても届かない。

    ……それでも。



    「よろしくお願いします。」



    勝ってみせる。

    プロデューサーと一緒に、アイドルを続けるために。

  • 494225/01/28(火) 04:02:29

    「プロデューサー……結果は?」

    「篠澤さん、あなたは……本当の本当に、よく頑張りました。あなたは……ピンチになると実力以上の力を発揮できる人です。それがわかっただけでもよかった。」

    「うん、ありがとう。……それで」

    「……2位、です」

    『初』とNIAは違う。ここでは、1位以外は先に進めない。

    「……ごめんなさい」

    「……いえ、篠澤さんは本当によく頑張りました。反省会は後にしますから、ひとまず着替えてきてください。」


    その後もアイドルを続けて、今年度最後の『初』では2位を取れた。

    だけどやっぱり実績は足りなくて。


    プロデューサーは、留年した。

    プロデューサーがわたしとの契約を終了するとき、色々な引き継ぎ用の書類やらわたしに関するマニュアルやらと一緒に、ながーい手紙をくれた。

    『あなたを最後まで担当できなかったこと以外、悔いはありません。』

    色々書いてあったけど、わたしの胸にはその言葉がずっと刺さっている。

  • 504225/01/28(火) 04:12:44

    そしてわたしは2年生になって、新しいプロデューサーを決めることになった。

    だけど……ふふ、当然なんだけど、誰も担当したがらない。それが普通。

    変わり者の新入生の人が何人か来たりしたけど、わたしがあまりにもままならなすぎてみんな逃げちゃった。

    わたしも……この人なら、って、誰にも全く思わなかった。

    なんでだろうね?

    もしかしたら……わたしの心の大事な部分は、あの人が一緒に持っていってしまったのかも。

    最後まで、鬼。悪魔。

  • 514225/01/28(火) 04:19:06

    だけど、そんな日々は意外にもあっさりと終わった。

    「篠澤さん。あなたを担当するプロデューサーが決まりました。」

    「……決まった?それはつまり、顔合わせとか紹介とか無しで、強制的に?」

    「はい。篠澤さんを担当できる人がどうしても現れないので……」

    「大丈夫かな……わたしも、その人も……」

    「そろそろいらっしゃいますよ。挨拶しましょう。」

    職員室の扉を開け、入ってきたのは……


    「……プロデューサー?」

    「……おはようございます、篠澤さん。しばらくぶりですね。」

    「えっと……プロデューサーは、どうしてここに?」

    「これから担当するアイドルに挨拶しに来たんです。」

    「それは……もしかして、わたし?」

    「はい。もしかしなくても、あなたですよ。」

    「改めてよろしくお願いします……篠澤さん。」

  • 524225/01/28(火) 04:29:36

    「……わたしとの契約は終わったんじゃ」

    「はい。ですから、今日から再契約です。」

    「嬉しい……けど、それってアリなの?最初から、こうするつもりだった?」

    「……いいえ。」

    「先生から説明しますね。今回は特例でプロデューサーくんが篠澤さんをもう一度担当することになったんです。というのも……」

    「誰もわたしと契約しようとしなかったから?」

    「……はい。留年や病気といった想定外によってプロデューサーが外れた場合、元々プロデューサーがついていたアイドル……それも篠澤さんのようにプロデューサーが必須なアイドルとなると、救済策を用意しないわけにはいきません。」

    「ですが、新しいプロデューサーは決まらず……どうしようかと教員内で話し合いになったところで、学園長がおっしゃったんです。『1人いるじゃないか』と。」

    「……そういうことなので、説明された通り、想定外のリスタートです。」

    「……さすがはプロデューサー。おじいちゃんに目をつけられてたんだ。」

    「いいえ、むしろあなたのおかげです。あなたが学園長の記憶に強く残っていたからこの結果になったのではないかと。」

    「ふふ。わたしのせいでピンチになってたのに。不思議な感じ。」

  • 534225/01/28(火) 04:35:13

    「じゃあ……改めて、よろしく。」

    「ええ。今年も頑張りましょう。」

    「ぐすっ……よ゛か゛っ゛た゛です゛」

    「ちょっ、あさり先生、何泣いてるんですか!」

    「だ、だって……あなたたちのことはよく見ていましたから……もう一度一緒に入れてよかったなぁって思ったら、つい……」

    「そうなんだ。わたしたち、お似合い?」

    「そんなはずがないでしょう。」

    「……ふふ。いつもの冷たい目が戻ってきた。わたしを低く評価するときのその目。冬の頃は妙に優しくて切れ味がなかった。」

    「これをまた味わえると思うと……ゾクゾクする。」

    「はぁ。」

    「今年はきっと留年させない。あなたともっと、ままならないアイドルを続けたい、から。」

    「一緒に頑張ろう、ね。」


    おわり

  • 544125/01/28(火) 04:43:54

    曇らせからの晴らしまで最高でした。
    まさかこんなに早く料理してもらえるとは。ありがとうシェフ👨‍🍳

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 15:11:05

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 22:20:03

    「できる!」って叫ぼう 「できる!」って笑おう「できる!」って曇らせよう

  • 57一般的な弟25/01/28(火) 23:44:24

    真の意味で曇らせを理解してなかった俺、曇らせを書こうとして救いが無いシンプルな呪物になってしまった

  • 58二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 23:45:20

    >>57

    まぁまずは語っておくれよその曇らせを

  • 59一般的な弟25/01/28(火) 23:46:18

    そもそも死ネタだから本当に人を選ぶというかなんというか

  • 60一般的な弟25/01/28(火) 23:49:17

    だいーぶ怖いけど語りますかな

  • 61一般的な弟25/01/28(火) 23:55:37

    pixivからのコピペだから大変だ、リンク貼る

  • 62一般的な弟25/01/28(火) 23:56:49
  • 63一般的な弟25/01/28(火) 23:57:30

    おし貼れた

  • 64二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 04:46:55

    このレスは削除されています

  • 65二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 04:49:49

    >>62

    おっとぉ・・・これはまたすごい曇らせじゃあないか・・・素晴らしい・・・

    一つ問題点を上げるとするならば、7ページ目からになってるせいで最後の展開を最初に見てしまうところだな・・・

  • 66一般的な弟25/01/29(水) 05:21:12

    まじじゃあないか

  • 67二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 14:55:00

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 15:08:32

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 15:41:12

    このレスは削除されています

  • 70二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 15:42:14

    『先生』。それは私にとっては固有名詞。簡潔に言えば、目標を⋯いやアイドルとしての私を作ってくれた存在。そして俺に遠慮するなと言ってくれた唯一無二の人。
     でもその日以降、それは消えたのですわ。入室する私に気付かない先生。挨拶をしても気付かれませんでしたわ。そこはいつものプロデュース室で、いつも通り仕事をしている先生。
     けれどここ最近の彼は少しいつもと違っていましたわ。君は一体いつから疲れていたのかしら。まるでそんなふうに仕事を妨げることを許さないほどに厳しく人を弾く目線。そんな君の目線の先にはノートぐらいの厚さの報告書が2つ。意味を測りかねていたが、それは大して問題ではなかった、今日私は彼に仕掛けるつもりでしたので。彼の肩を遠慮がちにもむ。彼はどういう顔しているだろう、私には見えないのです。けれど頬の緩みは抑えきれない。からだに抵抗が見えないので、彼が癒されるようにもむ。これこそが私のしたかったことですの。3分ほど続けるうちにようやく私に気づいて、彼は優しくこう告げた。

  • 71二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 16:45:38

    「倉本さん、来ていたのですね。さぁ、今日もレッスン始めますよ。」
    「はいですわ。」
    つらそうな表情は消えて、幸せそうな表情を交わし合う私達。その日はちょうどビジュアルレッスンでしたわ。それはファンサでしたの。最後の方には、先生にファンサ送って
    「君はアイドルとして咲ける。」
    といってもらえましたわ。でもその日も君はプロデュース室に残ろうとしていたので、今日は一緒に帰りませんかと言ったら、
    「ここでの仕事終わったけど、校長から呼び出されてるから途中まですよ。」と、夕焼けに黒雲積もる空を見ながら言いましたの。思い返すと、その帰りに先生の手は特別びくびくと震えている気がしましたの。その時は無知と臆病で握れなかったのですわ。もしここで手をつなげていたら、私も君もきっと⋯。音は聞こえていたかですか?職員室から校長室に入る先生はドアを閉めていたのですよ。だからその音は外からじゃ聞こえないのですわ。寮に向かう途中の空は太陽がSSD のような輝きを持っていましたわ。その夜は安心しながら、諦めていましたわ。
    次の日の夕方、先生は突如いなくなりましたわ。あさり先生にお聞きした話では、担当契約が解除されたというお話でしたの。代わりに、星南会長が生徒会でのレッスンに私をずっと育てるって約束してくれたよ。
    それから半年が経ったのです。確かにライブは初回からずっと成功させたはずなのに、君は居ないまま、アイドルになっていくのよ。多分、それは後悔、もし願いが叶うのなら君のそばで踊りたい。図らずもそんな機会は訪れた。初めてのNIAのFINALE会場で君は現れた。先生、そう発することのできない現場だった。でもこれは私の頑張れる理由になった。君にファンサ送った。それに答えてくれて、”応援団”のみんなを盛り上げてくれた。これこそが運命だと思った。演技が終わり、裏の部屋に移る。そこには⋯プロデューサー2人と父がいたのですわ。「もう全くだめな人ね。千奈をこんなに悲しませて⋯」
    「ごめん、千奈さん。」
    「まったくだ、こんなのずっと見せられたら君のこと信じたくなるだろう」

  • 72二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 16:45:48

    だが、3人とも様子が奇妙ですの。
    「いったい、先生これはどうなってまして?」
    答えられない先生に代わって、父がこう言った。
    「先生は千奈の育成計画書や、アイドルとしての育成方針を出して何とか千奈を育てたかったんだ。それを私の独断で彼を庇ったんだ。ただ父も堅固でね、3つ条件があったんだ。」「千奈が大きな大会で成功すること。プロデューサー君が千奈を愛していると証明すること。最後に千奈に、この話を残り2つが終わるまでしないこと。」
    切り札はライブとこれかな。そこには『倉本 千奈の魅力1000』と書いてあった。ノートのような厚さでぴっしりと書いてある私の良いところ。
    読み終わった頃を見透かして、会長が
    「二人ともライブ完璧だったわよ」と言う。
    それで先生と、ともに赤い首を縦に振る。
    その時、先生が完璧な偶像じゃなくて同じ人間だと思った。当たり前のことなのに、『君』って人間に思えた。すきです、先生。君にそう伝える日はきっともう少し先。

  • 73二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 16:49:28

    みんな書けるやん!いいぞすごいぞ。

  • 74二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 01:29:33

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 08:28:53

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 14:22:24

    この概念を途絶えさせるな・・・!まだ、書けるだろう・・・!?

  • 77二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 23:48:09

    保守がてらあらすじだけ投下しておく。NIA編ネタバレ注意。


    NIAでついに姉に勝利した佑芽。そこで燃え尽きる事もなくアイドルとしてやりたいことが次々と湧き出てきていた。
    しかしレッスンや学内オーディションでは精彩を欠いており本人やトレーナたちは首をかしげる。
    やる気と出力が嚙み合わない違和感はじきに焦燥へと深刻化していった。

    「プロデューサーさん、あたし自分の体を思い通りに動かせなくなっちゃった……助けてください……!」

    プロデューサーは彼女の意志とは裏腹に深層意識としては燃え尽きてしまっていること、魔法が解けていることを告げる。
    ここでまた姉に魔法をかけてもらっても根本的な解決にはならないことも指摘する。そして彼女なら乗り越えられると信じていることを伝える。

    「今までは一本道で迷うことがありませんでした。今はやりたいことが沢山あって佑芽さんは迷ってしまってるのです」
    「見つけましょう。咲季さんではない、佑芽さんだけの新たな一番星を!」

    彼女が初めて挑む、先(咲季)の見えない闘いが今始まる。


    ここまで考えたけどそこまで曇らせられてない気がしてきたぜ!

  • 78二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 02:35:17

    保守

  • 79二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 08:46:29

オススメ

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