- 1◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:01:21
- 2二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 20:02:05
滅茶苦茶見たいです!
- 3◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:02:06
トリプルティアラを果たし、女王として君臨した『スティルインラブ』
チューリップ賞での敗戦時、最愛のトレーナーから零れた『このまま、君と…遠くに逃げたい』という弱音をそのまま受け入れたいと想いながらも、『トライアルでしたから問題ありません。本番に生かしていただければ、それでいいのです』と励まし、二人三脚で掴んだ栄光であった
次走はエリザベス女王杯。シニア級ウマ娘との対峙だが、スティルならきっと勝ってくれる…ファンがそう思っていた頃である
『トレーナー…さん…それ、は…』
『…あ、そうだ。スティルにはまだ見せたことなかったね』
トレーナーが指輪を、薬指につけているのを見てしまったのは - 4◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:03:08
そこからの記憶はほとんどない
それこそ、枕を濡らす涙の冷たさで目が覚めたのだ
ふと時計を見る。差していた時刻は21時8分。
カフェテリアは閉まっているだろうし、浴場も開いてるか怪しい時間である
『…今日はもう寝てしまいましょう…』
スティルインラブはそのまま眠りについた
次の日もトレーニングはする
しかし、注意力が低下しているし、トレーナーの声もよく聞こえない
視界が白と黒に支配されていくような感覚すら覚える
そんな日々が続いたまま、エリザベス女王杯当日になってしまった
惜敗だった
同期のティアラ路線のウマ娘に、女王と名の付いたレースの冠を戴かせてしまった
理由など分かっている
勝利だけを渇望したウマ娘に、トレーナーのことで集中力を欠いたウマ娘が、勝てるわけがないのである
『スティ○、お××様…次☆立て@そう』
…スティルはとうとう、トレーナーの言葉すらも、正しく認識できなくなった - 5◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:04:18
それからは塞ぎ込む毎日だった
授業こそ参加するが、トレーニングには顔を出さない
そんな日々が1ヶ月ほど続いた
トレーナーもなんとかコンタクトを取ろうとするが、スティルが拒否してしまっている
\バァン!/
『…え?』
そんな時だった、部屋のドアが文字通り蹴破られたのは
『何をそんなにメソメソしてるのよ!』
『…スイープさん?』
『スティル、アンタはトリプルティアラを取ったウマ娘なのよ?もっと堂々としなさいよ!』
『でも…私…』
『言い訳は聞かないわよ…ちょっとこっち来なさい』
『スイープ。流石にドアの破壊は見過ごせないのだけれど』
『…費用とか反省文なら、後でいくらでも出すわよ』
『いやそういう問題じゃなくてだね…行っちゃったか…』
やや呆れ顔のフジキセキを背に、スイープに半ば引きづられながらトレーナー室へ向かうのであった - 6◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:05:26
『あとはアンタ次第。いい?トリプルティアラっていうのはね、軽いものじゃないの。今度あんな走りしたら許さないんだから』
そう言い残し、スイープは珍しく説教を受けに栗東寮へ戻った
現時点でジュニア級ウマ娘であるスイープにすら勘づかれていたと情けなさを感じながら、そのドアを開ける
『…あ、スティル!』
『トレーナーさん…』
『大丈夫?ちゃんとご飯とか食べてるかい?しっかり寝られてるかい?ずっと前から心配で…』
『いえ、その辺りは問題ありません…スコシ、オカシハススミマシタガ』
『それは別でお話ししようか…今回、トレーナーさん経由でスイープトウショウに強引に連れて来てもらったのには訳があってね』
『…その指輪のことですか』
『そうだ』 - 7◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:06:05
トレーナーの声は、今はハッキリと認識できる。この1ヶ月でなんとか精神は安定したが、真実を知るのは怖かった
『…その、言い忘れてたのは本当に申し訳ないんだけど…』
『…』
『僕は独身だよ。バツすらついてない…ね』
『え?』
前言撤回。これは話が変わってきた
『では、なぜ左薬指に指輪を…』
『実は…』
そうして聞いた理由
『トリプルティアラウマ娘を担当した』という箔がついたトレーナーに群がる、下心しかない人間を避ける為のものであるという事
そして、とある理由があり先んじて用意できるのが自分用だけであったことであった - 8◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:07:15
『…待ってください、自分用…って…』
『スティル、チューリップ賞の時、君に言ってしまった言葉は間違いなく本心だったし、なんならエリザベス女王杯の後も同じことを考えた』
『トレーナーさん…』
『それでも、まだ…僕は君と走りたい。教え子に恋心なんて感情を抱いてしまうダメなトレーナーだけど…僕は、君と夢を見続けたい…受け取ってくれるかい?』
そして彼は小箱を取り出す。その中には…トレーナーとお揃いの指輪があった
『…!…はい!!!!!!!』
『ごめん…ごめんな、スティル…』
『いえ…私が…私が悪かったんです…』
その日、2人でそれまでの分の涙を枯らし切った - 9◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:08:06
季節は進み、秋
年明けからトレーニングを再開し重賞戦線に臨むも、力を出しきれずに掲示板外になったりもした
それでも、2人は諦めず一途に走り続けた
そして舞台はエリザベス女王杯
一年前苦汁を飲まされたレースである
連覇のかかる同期も、自分を引っ張り出してくれたスイープトウショウの箒星すらも喰らい尽くし、彼女は1年越しの勝利を果たし、女王としての意地と誇りを見せつけた
そして、勝利インタビューの際にスティルインラブは引退を表明した。その左薬指には、トレーナーから貰った指輪が輝きを見せていた - 10◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:09:13
「…あれ?何を読んでるの、スティル?」
「あぁ、○○さん…少し前のコラムを…」
「この頃のか、懐かしいな…あの時は君を困らせてしまったね…本当にごめ…」
「謝るのはもうやめてください。謝罪ならあの時に済んでるはずです」
「…そうだな、ありがとう…おっと、そろそろ時間だ。『ジューダ』、そろそろ行こうか」
「はーい!ママ、行ってくるね!」
「えぇ。いってらっしゃい」
かつて送られた『パパラチアサファイア』の指輪をつけた左手を振って、夫となったかつてのトレーナーと娘を見送るスティルインラブ。
「おぎゃ、おぎゃ…」
「あら、お腹すいたみたいね…今行くわー」
ベビーベッドの中では、もう1人の娘であるウマ娘がお腹を空かせて、母親を求めていたのでした - 11◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:10:14
>>1にも記載した通り、少し前にあった『下心ある女性などを避けるために指輪を身につける男性トレーナー概念』をスティルに当てはめて、史実と絡ませてみました
最後幸せにするとなると、自分的にはシニア級ラストをエリザベス女王杯にして、そこで終わらせるのが手っ取り早いと思いました(多分実装時も最終目標有馬はないかなって)
あと、IFとしてスティルは2人目の子宝も授かっています
スイープに関しては、スティルを気遣うカッコいい魔女っ子が居てもいいだろって願望マシマシでした。ただ、帰ってきたらドアが粉砕されていたネオユニは泣いていい
- 12◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:11:40
ちなみに、トレーナーが先に自分用の指輪しか用意出来なかった理由としては、パパラチアサファイアがめちゃくちゃ希少な鉱石であるために、仕入れを待つ必要があったからです
パパラチアサファイアの石言葉には
『運命的な恋』
『一途な愛』
『光の花』
などが挙げられます
ダイヤモンドはなんだかんだで流通量も多い宝石であるため、展開的には無しとしました
そうした中で、この宝石の石言葉を知り『コレだ』と思い、この度書かせて頂いたのですが、思いっきり誤爆してしまったので、スレを立てて投下させていただきました
みなさま、ご検収の程宜しくお願い致します - 13二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 20:13:27
例のスレの住人だ
すごく良かった
以上だ
口下手で長々とは話せないが良かった - 14二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 20:14:46
こういう史実改変好き、シナリオもこんな感じになったらいいなぁ...
それはそれとして書き乙、良いssをありがとうございます! - 15◆oD2AC4kmew25/01/27(月) 20:16:39トレ♀ウマの不穏な概念書き込むスレその3|あにまん掲示板一応作りました最終的には幸せになる曇らせを語っていきましょうbbs.animanch.com
ちなみに、ここが誤爆したスレです
スレの方々本当に申し訳ありませんでした…
- 16二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 20:28:53
よかった!
- 17二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 21:35:25
元スレで僕っ子のトレ♀は斬新だな…とか思って読んでました
非常に良作でした! - 18二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 22:08:59
いいもの読ませていただきました!
- 19二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 08:49:11
とてもよかったです!
- 20二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 20:08:27
スイープが良い味付けになっている