───黒髭が、貴方に接近する

1二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:27:21

凄まじい大荷物、貴方は咄嗟に反応出来ない。
彼を視認していても───瞬きする暇もなく、手を開ける暇もなく、あなたの視界の中で、彼は、その表示を崩し、懐に、手を入れて───

〇〇先生ですな！？いつも作品楽しみにしてますぞ！！
おっとお時間は取らせません。早速本題ですが、新刊それぞれ3冊づつお願いしますぞ！！

2二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:28:25

コミケでいつも見る光景かな？

3二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:28:25

ｱｯ読者の方でしたか……こちらこそありがとうございます……

4二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:28:41

普通に大男すぎて怖いんだよな近寄られると...

5二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:29:01

こんなファンいたら嬉しいだろうな

6二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:29:26

>表示を崩し

新刊を求める余りにバグってやがる

7二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:29:54

2m近い大男だぞ、いくらコミケでも頭一つ分ぐらい怖い

8二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:30:22

こうしてみるとイケメンというジャンル外なのは確実なんだけど黒髭の顔カッケェよな

>>13

9二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:31:18

絶対に心を許してはいけない目をしている

10二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:31:41

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11二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:40:24

販売会では言葉も行動もめちゃめちゃ嬉しいがそれはそれとして怖いよ！

12二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:53:37

「はい、いつもありがとうございます。」

私は慣れた手つきで彼のために用意していた新刊セットを取り出し、彼に渡した。
早足でそのまま去っていく大きな背中をそのまま見送る。

私がまだ絵も話作りも下手で、初めての即売会で一つも売れなくて、泣きそうになってたところに貴方が来てくれた。
大柄な男の人がすごい表情で来て、サンプルの本をじっと睨み、「読ませていただいても？」と低い声で言ってきて、「ああ私これから殺されるんだ」なんて変なこと考えて、ブルブル震えてた。
少し経って、本の最後のページを長めに読み込んでいたと思ったらスマホに何か打ち始め、ネットに酷評を書き込まれてるんだと頭が真っ白になったところで、丁寧にそのサンプル本を返された。
「いや〜確かに粗削りですな。初めての本、初めてのサークル参加。側から見てもよく分かりますぞ」
その言葉に心臓を穿たれた気になりかけたところで思い出す。確か最後のページの後書きにそんな事を書いた気がする。
「この本、1…いや、3冊いただけまつかな？」
懐から出された使い込まれた革財布を手にその人は、腰を屈めて目線を合わせ、にっこり笑った。
「確かに粗削り！しかし描きたいこと、表現したいことは存分に伝わる良い絵です！今後が楽しみですなぁ」
そう言うと、あたふたしてた私に丁度の金額を渡し、そして手に取った3冊の本を握らせてきた。
「〇〇さん、本は作家自身の手で渡してなんぼだ。自身を持ちな。じゃねぇと客にも失礼だ」
先ほどの目尻のうねったものと違い、少し獰猛な獣を思わせる笑いを見せた彼に気圧されながらも、その言葉意味を理解した私は、裏返りの混じった声で返した。
「ありがとうございます！！」

「デュフフフ、次も楽しみにしてますぞ！」
去り際にそう言って彼が見せてきたスマホの画面には、私のSNSアカウントが表示され、「フォローしています」と書かれていた。
極まり、涙が溢れそうになったがグッと堪え、深く、深く一礼した。

あれから数年。描いた作品が偶然にもバズり、それなりに有名になったが、未だ彼のためだけに3冊の新刊を用意する自分がいる。
きっと彼はあの時のことなど覚えていないだろう。いつもいつも「初めて会う読者です」という顔で来るのだから。
けど、貴方へのありがとうだけは、自分には特別なものなのですよ、黒髭さん