【SS】藍井撫子「私が初星学園に交流生として!?!?」

  • 1Pドル絶対信仰者25/01/28(火) 23:31:37

    学P(先日行われたNIA……誰もが素晴らしいパフォーマンスをし、その比類なき原石の輝きを知らしめた……。今思い出しても、胸が熱くなる。……俺もいつか、あんなアイドルを育てあげることができるのだろうか)
    学P「……ん? あれは……」

    撫子「────あぁああもう!! なんなんですのこの無駄に広い学園は!? もう少し分かりやすく作ることが出来ませんの!?」

    学P(あの黒い制服……極月学園の物? それに、あの子は藍井撫子さん……? 何故彼女がここに?)
    撫子「生徒も学園も揃いも揃ってデカイ面振りまいて、大きさしか取り柄なんてないんじゃありませんの!?」
    学P(……会えて嬉しいが、ここで声をかけると面倒なことになる予感しかしない。だが)
    学P「……あの、どうしたんです? こんな所で」
    撫子「──はいぃ? ……なんなんですの貴方、突然レディに話かけるなんて。全く、初星の人間は無礼者ばっかりですわね」
    学P「レディ……??」
    撫子「んまっ!? ちょっと!! 流石に度が過ぎるんじゃありませんの!? 名を名乗りなさい!!」
    学P「失礼しました。私はこういう者です」<名刺渡し
    撫子「……初星学園……プロデューサー科の……──ぷっ、ぷぷー!! 貴方みたいなパッーとしない人間が、プロデューサーだなんて、もう初星学園のおかどが知れますわねー!?」
    学P「むっ……いえ、子供相手にムキになるのも仕方がありませんね」
    撫子「今子供って言いました!?」
    学P「それより、極月学園の藍井撫子さんですよね。先日のNIA、拝見させてもらっていました。何故他校の生徒がここに?」
    撫子「あ〜ら、貴方私のファンでしたの? それならそうと早く言ってくだされば良かったのに。サイン位なら書いてあげても宜しいですわよ?」
    学P「結構です。それより質問に答えてください」
    撫子「ふんっ! 本っ当に失礼な人ですわ。……そうだ、貴方、私をエスコートしてくださる? ここの学校、無駄に広くて嫌になってましたの」
    学P「つまり迷子になっていたんですね」
    撫子「なってませんわ!! この学園が私を迷わせていただけです!!」
    学P「それを迷子と言うのでは?」
    撫子「ぐぬぬぬぬ……!! いいから早くエスコートしなさい!! 私を誰だと思っていますの!?」
    学P「…………極月学園、藍井撫子」
    撫子「ふふん!! よく分かってるじゃ────」

  • 2Pドル絶対信仰者25/01/28(火) 23:32:06

    学P「────かの倉本グループの子会社を複数経営する藍井氏の一人娘であり、その愛らしい容姿と厳しいレッスンに裏打ちされたファンサービスを伴うパフォーマンスが魅力のBランクアイドル。しかしまだ精神的に幼い面と十分に発達していない筋力が足を引っ張り、長期的な歌唱とダンスは苦手。先日行われたNIAにおいても、大々的なプロモーションとルックス、パフォーマンスで上位に食い込むも、長時間と連日のオーディションが祟ったのかライブにおいておざなりな部分も多々見受けられ、ファンの獲得に思いの外苦戦してしまっていた。しかし総合的に見ると同じ極月のトップには並び立たなくとも、その潜在能力は他のアイドルを凌駕する才能を持つ稀有な少女」
    撫子「…………」
    学P「…………ですよね」

    撫子「へ、変態ストーカーですわぁあああああぁあぁあぁああああああぁあぁあああああ!!!!!!?????」

    学P「ストーカーとは失礼ですね。他のアイドルを分析し、自らの知見を深めるのは当然のことでしょう」クイッ
    撫子「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!! 百歩譲ってそれを会ったばかりの本人に嬉々として伝えますの!?!? あと変態も否定してくださいまし!!」
    学P「別に嬉々として伝えたつもりは無いのですが」
    撫子「すっごいメガネクイクイ動かしてましたわよ!?」
    学P「ズレますので」
    撫子「そこまで動かすならツルを変えた方が良いのではなくて!?!?」
    学P「それに、初星のプロデューサーならこれくらい普通です」
    撫子「絶対に普通ではありませんわ!!?? 初星ってこんな変態しかおりませんの!?!? 怖い怖い怖い怖い!!!! 助けてぇえええ!!! お姉様ああぁあぁ!!!!」
    学P「ちょっ……そんな大声で叫んだら……」

    あさり先生with数名の先生「────ちょっと!! これは何の騒ぎですか!! いたいけな少女を襲うストーカーがいるというのは本当ですか!?!?」
    学P「……あぁ、思いの外早かった」

  • 3Pドル絶対信仰者25/01/28(火) 23:33:10

    という初星学園に交流生として来た藍井撫子ちゃんが学Pにプロデュースされてアイドルとして成長する話が見たかっただけ。
    好評なら続けます

  • 4二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 23:33:50

    とてもよいぞ、続けてください

  • 5二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 23:36:26

    四音のSSと言いレベル高いの出て来るなぁ…期待

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 00:21:12

    調子に乗りやすいのは難点だけど千奈に親会社のことを言われた時の反応からするにコイツ頭の回転は悪くないんだよな
    もともとの容姿や自己顕示欲に加えて権力と財力があるのは極月では有利だろうし
    グッズの買い占めとかやらずにひたすらファンの獲得に資金を投じてれば基礎能力の差でquartetの時点の千奈や広なら勝ててたかもしれない

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 00:39:55

    舌がこのSSの味になってしまったので続きを所望します

  • 8Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 00:43:53

    邦夫「────まさかストーカーと間違えられるとは! 災難じゃったのぉプロデューサー! ぶわっはっはっ!!」
    学P「笑い事では無いのですが……いえ、自分が原因ですから、何も言えません」
    撫子「……最悪ですわ。来てそうそう醜態を晒してしまうなど……」
    邦夫「というわけで! この子が初星学園に交流生として数ヶ月間共に学ぶ、藍井撫子くんじゃ! 改めて自己紹介でもどうかの?」
    撫子「……極月学園1年、藍井撫子ですわ。以後お見知り置きくださいませ」
    学P「初星学園プロデューサー科2年の────」
    撫子「結構ですわ! 変態ストーカーの名前等覚えたくもありません!!」プイッ
    邦夫「来てそうそう嫌われてしまったの、プロデューサー」
    学P「ですからストーカーでは無いと言ってるではありませんか」
    撫子「犯罪者は皆そう言いますわ!! それになんでそんなに私のことに詳しいのです!?」
    学P「………………アイドル研究の一端です」
    撫子「なんですのその妙な間は!!??」
    邦夫「────うおっふぉん!! まぁまぁ喧嘩はそれ位にして。一先ず撫子くん、君の初星学園の来訪、心より歓迎するぞ」
    撫子「……十王理事長にそう言っていただけて、恐悦至極にございますわ」
    邦夫「さて、交流生と言っても、初星学園でやってもらう事にあまり変わりは無い。他のアイドルと同じように! 学び! 競い! 共に研鑽を積むことこそ、我が校、いや、アイドル養成校の本懐!! 儂としても、君には大いに期待しておるぞ!」
    撫子「……必ずや、この期待に沿う結果を見せることを、ここに誓いますわ」
    邦夫「うむ!! では、交流生の短期在学とは言え、プロデューサーは必須。まずはそこから……と思ったのじゃが。丁度よい、お主らが契約すれば良かろう」
    撫子「はぁ!?」
    学P「おや」
    邦夫「そこのプロデューサーは撫子くんのことをよく知っておるようじゃし、今は担当アイドルもいない。一から探すより、そちらの方が手間も省けてよかろう。儂が見たところ、相性バッチリなようじゃしな!」

  • 9Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 00:48:14

    撫子「お、お待ちください十王理事長!! こんなストーカーと組めと仰るのですか!? 私は断固反対させて頂きます!!」
    邦夫「と言っておるが、そっちはどうじゃ?」
    学P「担当できるとは、願ったり叶ったりですね」クイッ
    邦夫「だうそうじゃ」
    撫子「そんな嫌ですわ!! せめてこんな変態ではなく、まともなプロデューサーをつけて下さいませ!!」
    学P「……撫子さん、そんな我儘を言っていいのですか?」
    撫子「はぁ? 何を言っていますの??」
    学P「交流生というのは、異なるカリキュラム、異なる環境に身を置かせ、アイドルとしてのステップアップを図るもの……そして撫子さん、貴女はその交流生に唯一選ばれた。つまり、貴女は極月の代表、いえ、極月学園という存在そのものに等しい」
    撫子「何を今更そんなこと言ってますの??」
    学P「──そんな貴女が、あまつさえ初星の代表たる十王理事長に我儘を押し通そうと癇癪を起こす。これのもたらす意味が分からない貴女でもないでしょう?」
    撫子「そ、それは……!!」
    学P「一時の感情に流されることなく、利用できるものは全て利用し、自身が上に行くための踏み台とする。貴女の敬愛する白草四音なら、俺という存在位なんとも感じず、利用するだけ利用するのでは?」
    撫子「っ!! お姉様なら……たしかに……」
    学P「まぁ、俺は別に良いですが。双方の合意が無ければ、契約等結べませんから」
    撫子「うぅ……!! うぅぅぅ!!!!」
    学P「どうします? どっちでもいいですよ? ここで理事長にわがままを通そうとするか、スマートにビジネス関係を結ぶか」
    撫子「ううう!! このっ……!! 鬼!! 悪魔!! 良いですわ!! 契約でもなんでもやってやろうじゃありませんの!!」
    学P「はい。短い間ですけど、これから宜しくお願いしますね」クイッ
    撫子「ふんっ!! ゆめゆめ忘れないことですわね!! 貴方なんて、ただのビジネスパートナーでしかないことを!!」
    邦夫(大分無理通したのぉプロデューサー)
    邦夫「早速じゃが、撫子くんはプロデューサーとの契約書類を書いた後、教室に移動して授業に参加してもらうとするかの」
    撫子「教室……そういえば、私の教室は何組になるのでしょうか」
    邦夫「うむ。君の教室は1年2組じゃな」
    撫子「2組ですわね。3組でなくて少し安心しましたわ……では早速……うん? 2組って……」

  • 10Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 01:54:22

    千奈「────藍井さんっ!! これから一緒のクラスで学ぶことができて、とてもとても嬉しいですわぁ〜!!」
    撫子「ぴぎゃあああああああああ!! 千奈お嬢様ああああああ!!??」
    千奈「わたくし、本当に驚きましたの! HRで交流生が来ると聞いて、ワクワクしていたのですが、それがまさか藍井さんだなんて!! これはもう! 運命に他なりませんわ!!」
    撫子「ひいいいいいいいい!!??」
    佑芽「あはは! 撫子ちゃん面白ーい!!」
    広「千奈千奈。撫子が怖がってる。もう手を離してあげて」
    撫子「こ、怖がってなんていませんわ!?!?」
    広「ふふ。撫子は嘘が下手」
    千奈「ご、ごめんなさい藍井さん!! わたくし、つい舞い上がってしまって……」
    撫子「も、ももも、問題なんてありませんわっ、千奈お嬢様っ? 少しぃっ、そのっ、ビックリしてしまっただけですのでぇっ??」
    千奈「まぁ! それはそれで申し訳ありません! でも、わたくし本当に嬉しいのです。quartet以来、藍井さんとお話できませんでしたから……」
    撫子(当たり前ですわぁっ!? というかこの人達なんなんですの!? 普通妨害工作された相手に対してこんなフレンドリーに接してきます!? あたくしだったら絶対に無理ですわ!!)
    広「そうだ、撫子。私、極月学園の話聞きたい」
    佑芽「あっ! それ私も聞きたい!! 他のアイドル養成校とか、強い人の話とか気になる!!」
    撫子「へっ?? いえ、結構初星とは同じような感じで────」
    モブA「やっぱり結構レッスンって厳しいの?」
    モブB「極月学園って仕事取りやすいって聞いたけど本当?」
    モブC「階級制度ってどんな感じ?」
    撫子「あぁいやですから────」
    <ワイワイガヤガヤやいのやいの
    撫子「いやっ、あのっ!!」
    <アレコレアレドウシテタガヤガヤワイワイ
    撫子「────あぁもうっ!! そんな同時に言われても分かりませんわ!!」ガタッ
    カツカツカツカツ
    バンッ!!
    撫子「質問ある人は挙手をすること!! 極月学園上位アイドルであるこのあたくしが、一切の漏れなく答えて上げますわ!!」
    ……シーン
    撫子「……いや、なんで黙りますの!?!?」
    ハイハイハイハイハイハイ!!!! ワタシワタシワタシ!!!!! ハツミチャンカワイイ!!!! ハイハイハイ!!!
    撫子「0か100しかありませんのこのクラスは!!!!」

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 02:00:11

    この時間暇だからありがてえ

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 02:01:37

    レベルたけぇな…撫子の面白さと可愛さを的確にかけてる

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 03:15:57

    撫子の解像度たけぇ

  • 14Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 11:29:01

    <スッゴーイゴクゲツッテソンナカンジナンダ
    <ヨイガクエンデスワッ!!
    <フフ、カイキュウセイド、ワタシハゼッタイサイカイ
    <ソンナスゴイヒトガイルナンテ、アタシモエテキタ!!
    <オネエサマガイチバンデスノヨ!!

    学P「…………良かった、少し不安ではあったけど、2組の皆さんのおかげでなんとかなりそうだ」
    学P「…………」

    学P『撫子さんが交流生に選ばれた理由……ですか』
    邦夫『うむ。薄々勘づいておるじゃろうが、この交流はお主が言ったようなことだけが目的ではない。お主には、このことを話さんといかんじゃろう。いや、どちらかと言えば、擦り合わせと言ったところかの』
    学P『……やはり白草四音が、NIAで行った初星への妨害工作が原因……ですか』
    邦夫『流石じゃな、概ね的を射ておる。……前提として、撫子くんは白草四音くんを敬愛しておる。故に、これから話すことは、決して撫子くんには話せないことを、まず肝に銘じてほしい』
    学P『勿論です。……あの人が悲しい顔をするのは、俺も嫌ですから』
    邦夫『宜しい。では、本題に入ろうか』

    邦夫『知っての通り、先日行われたNIAにおいて、白草四音を始めとする極月学園は、我々初星学園に対して大層な妨害工作を仕掛けてきおった』
    学P『担当がいない俺でも耳に入るくらいです。かなり苛烈だったと聞いていますが……』
    邦夫『うむ。無論、妨害工作と言っても、犯罪やそれに類する行為の一切は行われておらん……が、やはり大会主催の極月学園主導で行われていたのは如何なものかと、抗議の声が噴出した』
    学P『……それで、初星との関係が良好であり、極月学園のイメージを払拭するために、学園間交流というイベントが起こったわけですね』
    邦夫『うむ。正確にはもう少し様々な要素が根深く絡まっておるが、まぁ今のところはこれでいいじゃろう』
    学P『お待ちを。であれば、交流生としては白草四音の方が適任なのではないですか? 渦中の彼女が出てこないというのは、関係者から不信を買ってもおかしくないのでは?』
    邦夫『そこじゃ。極月側も、最初は白草四音くんも推そうとしていたんじゃが、白草四音、そして他の生徒の声で藍井撫子くんに変わってしまったんじゃ』

  • 15Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 12:00:09

    学P『っ! まさかあの子は────!!』
    邦夫『その言葉は早計じゃぞ。お主はプロデューサーを志すと言えど、もうプロデューサーとして身を置く者。例え自身の担当アイドルと関係無いアイドルと言えども、言葉を間違えてはいかん』
    学P『………………はい、その通りです。ありがとうございます』
    邦夫『気持ちは分からんでも無いがの。こればっかりは、撫子くん本人に聞くしかあるまい』
    学P『聞けませんね……こんなこと』
    邦夫『……とまぁ、ざっくばらんと話せば、経緯はこんな所であるものの、儂が撫子くんに期待してるのも本当じゃし、極月に選ばれた優秀なアイドルであるのもまた事実じゃ。これは如何なる理由があろうと、覆ることは無い。お主も儂と同じ考えだからこそ、撫子くんのプロデュースを引き受けたのじゃろう?』
    学P『えぇ。彼女の比類なき才能、それは本当によく知っているつもりです。それを伸ばせる手伝いをできるのは、先も言った通り願ったり叶ったりですから』クイッ
    邦夫『……本当に、"才能"だけかの?? ん??』
    学P『へっ?? いやっ……ま、まさか十王理事長……あさり先生から、お話をお聞きになられていたのですか?』
    邦夫『プロデューサー科、アイドル科の全生徒の事を把握しないで、なーにが理事長じゃ!! 無論、君のことも全て聞いておるとも!!』
    学P『いえ……その……それは……中々気恥しいものですね……』
    邦夫『安心しろ。儂とて、君のそれを理由に撫子くんと契約させた訳では無い。儂の目が、儂自身が、お主にならば任せられると判断したから、結ばせたのじゃ』
    邦夫『安心して、お主はお主のやるべきことをせよ!』
    学P『はい、ありがとうございます。お心遣い、感謝致します』

    学P(……撫子さんは、恐らくスケープゴートにされてしまったんだろう)

    <アオイサン、ワタクシタチモウオトモダチデスワヨネ!
    <ピエッ!? モ、モチロンデスワ!!

    学P(白草四音、Aランクアイドルの格という、極月での立場の薄まりを回避する為の、トカゲの尻尾切り。……自分の妹分、アイドルとしての高い実力、何より、自分への強い信頼。成程、彼女は尻尾としての適正があまりにも高いというわけか────)

    学P「────上等ですね。教えてあげましょう」

    学P「貴方が落としたのは自身の尻尾ではなく、何より手放し難いダイヤモンドそのものであると」

  • 16二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 14:26:41

    正義感つよめP

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 14:32:08

    黄金の精神が垣間見えるPだ…

  • 18二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 14:42:23

    夢の見すぎなんだけどちゃんとしたアイドルとして成長させるために四音が撫子を送ったとかって…流石に無いよね…

  • 19Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 16:38:57

    ────放課後 プロデュース室
    撫子「つ、疲れましたわぁ……」
    学P「一先ず初日の授業、お疲れ様でした。随分ともみくちゃにされてましたね」コトッ
    撫子「なんなんですのあの人達は……遠慮も加減も知らないのですか……」キガキキマスワネ
    学P「2組の人達は皆さんフレンドリーですから。良い人ばかりだったでしょう」
    撫子「…………まぁ、そう、ですわね。極月では居ないような人達ばかりですわ。んっ…………ふんっ、紅茶も満足に入れられないようじゃ、この先心配ですわね」
    学P「精進しますよ」
    撫子「その言葉に嘘なければいいですけど。それで? わたくしはこの先何をすればいいのです? まさか何も考えてないなんてことはないですわよね?」
    学P「えぇ、勿論です。初日ですし、まずはその擦り合わせからやりましょうか」

    学P「まず、撫子さんは短期交流生ということで、在学期間が短く設定されています。具体的には、次の定期公演"初"への最終試験位までですね」
    撫子「日にちは……どうやら、早く極月学園へと帰ることが出来そうですわね。良かったですわ、早々におさらばできそうで」
    学P「ですので、大まかな目標としては、この最終試験の合格を設定します。それに向けて、ここでのレッスンと授業、小さいですがプロモーション等を行ってもらうというのが、今後の指針です」
    撫子「定期公演とは、どのように合格が決まりますの? NIAのように、生徒達や外部の人間の投票を獲得しなければいけませんの?」
    学P「いえ、そんなことはありません。ある程度の成績を修めることは必要ですが、全2回の試験で審査員から合格を受ければ大丈夫です。撫子さんは交流の一環として試験を受けられますし、普段の活動の実績もあります。試験そのものを受けられないということは無いでしょう」
    撫子「あ〜ら、そんなもので宜しいですの? ファン投票や様々な要因が重なるNIAと違って、アイドルの地力が物を言うのであれば、定期公演程度など、わたくしの独壇場ですわねぇ〜〜!!」
    学P「……はぁ、お忘れですか? この試験には初星学園のアイドル科の生徒も出るんですよ? 勿論倉本さんも篠澤さんも花海さんも、その他多くの生徒が出ようとします。一度負けているのに、まだ学習していないんですか?」
    撫子「貴方ってやっぱり嫌味ったらしいですわね!?!? そういうところ大っ嫌いですわ!!」

  • 20Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 16:42:13

    学P「……ぷっ、今からでも涙目で癇癪起こす姿が目に見えますね」
    撫子「むっきぃいいい!なんなんですの貴方!いいですわ!!レッスン室へと行きますわよ!!あたくしの実力を、存分に目に焼き付けさせてあげわすわ!!」
    学P「ならまず着替えましょうか。制服で踊れませんよ?」
    撫子「今やろうとしてましたの!!」
    ⏱ ̖́-‬
    撫子「────それじゃあ、教えてあげますわ!! 極月学園上位、藍井撫子の力を!!」
    学P「Bランクですけどね」
    撫子「一言余計ですわ!!」
    撫子「…………すぅ」
    撫子「────1つの夢叶うまで、負けなーい♪ いーくーよー!!♪♪」フッフン
    ⏱ ̖́-‬
    撫子「────どうです? この藍井撫子の実力は? 驚きのあまり声も出ませんのね??」
    学P「いえ、本当に素晴らしい。先程軽く歌詞と譜面に目を通し、動画を見ただけたのに、素晴らしいパフォーマンスでした」クイッ
    撫子「ふふんっ、そうでしょうそうでしょう? もぉっと褒めてあたくしを称えるべきなのでは?」
    学P「えぇ、流石は極月上位。あの傑物犇めく場所で結果を出し続けたことはありますね」
    撫子「おーっほっほっほ!! その通りですわ!! これはもう、試験程度合格したも同然ですの!!」
    学P「いえそれとこれとは話が別ですね」
    撫子「んなっ!?」
    学P「言ったでしょう撫子さん。貴女のパフォーマンスはまだまだ粗がある。発展途上の筋肉、精神的な幼さ、それに貴女のそれは貴女のというより……」
    撫子「んぎぎ……!!」
    学P「……いえ、ともかく、このままでは無理でしょう。さらなるステップアップが必要です」
    撫子「ふんっ!! 貴方のこと、本っ当に本っ当に大っ嫌いですわ!!」
    学P「まぁ、取り敢えず初日ですし、今日は基礎レッスンだけして終わりましょうか。極月学園でやっていたメニューを──」
    撫子「いえ、初星のメニューで結構ですわ」
    学P「……いいんですか?」
    撫子「勘違いしないでくださる? 極月学園の生徒であることは忘れていません。けれども、初星の顔を立てるのも必要だと思っただけですわ」
    学P「……分かりました。では、初星学園のメニューを用意してくるので、少し待っていてください」ガチャリ

    撫子「…………ふんっ、そう、これは初星を立てるだけですわ」
    撫子「決して、決して、ほんの少しでも良いかもしれないなんて、思ってませんの……」

  • 21Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 19:27:38

    撫子「ワンっツーっスリーっフォーっ……」
    千奈「ワンっツーっ……っと! すりー、ふぉーっ」
    ⏱ ̖́-
    Dトレ「藍井、お前中々やるなぁ。流石は極月学園の成績上位者だ」
    撫子「当然ですわっ!! この程度のレッスン、造作もありません!!」
    Dトレ「倉本も、中々安定してて良かったぞ。成長したな」
    千奈「はいっ!! これもトレーナーのおかげですわ!!」
    撫子「……所で、今にも倒れそうなあの人────」
    広「────ふふ、ふふふ……お花畑が見え……きゅう……」バタン
    撫子「ぴぎゃあああああああ!! きゅ、救急車ああああああ!!!???」
    千奈「藍井さん! 落ち着いてくださいまし!!」
    撫子「逆になんでお嬢様は落ち着いていられますの!? ひ、ひひ、人が倒れたのですよ!!?? 大丈夫ですのぉ!?!?」
    広「撫子……私なら……だいじょ……ぶ……ふふ……」
    撫子「この人なんで笑っていられますのぉ!?!?」
    Dトレ「はぁ……お前は相変わらずだなぁ篠澤。花海、保健室まで頼めるか?」
    <ハーイ!! ヒロチャンツカマッテテネ!! <アッマッテウメ、ワキニカカエナイデ<イックヨー!! <フフ、ママナラ──ホゲェッ!!
    撫子「……な、なんだったんですの……今のは……」
    Dトレ「あー、まぁ、篠澤はちょっと特殊でな。最近は改善されてきたんだが、すぐ体力を使い果たして倒れてしまうんだ」
    撫子「それアイドルできてますの!?」
    千奈「はいっ!! 篠澤さんは、立派なアイドルですわ!!」
    撫子「は、初星学園って、予想以上に変な所ですわね……」
    Dトレ「いや、こいつら三人組が特殊すぎるだけだからな。藍井、あまり真に受けないでくれ」
    千奈「そう! わたくし達三人、人呼んでポンコツトリオですわ!!」
    撫子「それ胸張って言えることじゃありませんわよ!?!?」
    Dトレ「けれど、NIAのquartetまで進んだお前達を、もうポンコツなんて言うやつは居ないだろう。
    撫子「ポンコツ……あ、そう! お嬢様達はquartet以上まで進み、あの定期公演も行ったことがある実力者の筈では? ではポンコツと言われる所以は無いのでは……」
    千奈「……ふっふっふ、藍井さんっ、実はわたくし、入学試験では1番でしたの!!」
    撫子「? それのどこがポンコ────」
    千奈「下から数えて!」
    撫子「…………はぃい??」

  • 22二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 20:46:22

    撫子の脳内音声があまりにも余裕すぎる

  • 23Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 21:02:20

    撫子「……最下位? 一番上、ではなくて?」
    千奈「はいっ! 正真正銘! 最下位ですわ!!」
    Dトレ「最初の頃は酷かったなぁ……ウォーミングアップですら満足にできなかったお前が、良くここまで成長した!」
    千奈「もうっ、そんなに褒められても何も出ませんわっ」
    撫子「最下位……? 貴女が……テレビタレント千奈ちゃんが……??」
    千奈「わたくしだけではありませんわ。篠澤さんも、花海さんも、入学試験ダメダメです! だからポンコツトリオですわ!」
    Dトレ「毎回思うが、それ胸を張って言えることじゃないからな」
    撫子「あのお二人も……NIAでは、いえ、世間的にも、人気が出てきている……それに、クラスの皆にも……慕われていて……」

    撫子『────四音お姉様、宜しいでしょうか?』
    四音『どうしました、撫子』
    撫子『何故あの方はいつも一人でいらっしゃいますの? お声をかけた方が宜しいのでは?』
    四音『…………撫子、あの子は入学試験での成績、最底辺の者なのです。才能無き者に、未来はありません』
    撫子『才能無き者には……未来は無い……』
    四音『才能無き者は、相応に無様な未来が付き物です。ご覧なさい、現にあの子は、誰も寄り付かず一人』
    撫子『一人で……』
    四音『撫子、貴女は才能があります。私の隣で、常にその才能を発揮し続け、結果を出してください。期待していますよ』
    撫子『……はいっ! 勿論ですわ! 四音お姉様!!』

    『あの子、入学試験下位ですって……』ヒソヒソ
    『可哀想に、才能無いのに来てしまって……』ヒソヒソ
    『Dランク真っ逆さまね……』ヒソヒソ

    撫子(……才能無き者に、未来は無い)
    撫子(お姉様は、間違っていない。極月では、才能と結果が全て。どちらが欠けても、腫れ物のように扱われる。けれども、昨日のクラスを見た限りでも、千奈お嬢様は皆から慕われ、アイドルとして着実に結果を出している)

    撫子「……千奈お嬢様は、大丈夫でしたの? 誰かから虐められたり、疎まれたりなど……」
    千奈「いいえ、そんなことありませんでしたわ。皆さんとても優しく、わたくしがつまづいた時でも、一緒に頑張ろうと励ましてくださいましたの! ……篠澤さん、花海さん、我々は入学試験こそダメダメだとしても、この学園の皆さんは、そんな事で見捨てたりしませんでしたわ!」
    撫子「っ……!!」

  • 24二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 21:05:23

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  • 25Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 21:07:41

    撫子『────あのっ、その……今宜しいですか?』
    『えっ……? あ、藍井撫子……?? Cランクの、私より高いランクのアイドルが……なんで……』
    撫子『……あのっ、えっと、一緒に、お昼でもいかが? 四音お姉様、今いらっしゃらなくて……』
    『は、はは……ごめんなさい、遠慮しておく…………あの、あまり私に話しかけない方がいいよ。入学試験も……結果も……全然ダメだし……』
    撫子『そ、それは……』

    四音『────撫子、ここにいたのですね』

    撫子『し、四音お姉様……』
    四音『探しましたよ。さぁ、一緒にお昼を食べましょう? 今日は他のAランクの方もお呼びしてますよ』
    撫子『あ、あの! お姉様! 宜しければ、この方も一緒にどうでしょうか……? その、様々な意見も聞けると思うのです! ……あの、えっと……』
    四音『……』
    四音『……さ、行きますよ撫子。皆さんを待たせてはいけません』
    撫子『お、お姉様っ』
    四音『────撫子。分かりますよね?』
    撫子『…………っ。は、はい。四音お姉様……』
    四音『良い子ですね、撫子』
    撫子(お姉様は、正しい。そう、正しい筈だ。……でも────)
    『千奈ちゃん! 今日も可愛いねえー! どうやってこんなスベスベ肌を保ってるのー??』
    千奈『ふふふ、先日莉波お姉様と薬局に参りましたの。そうしたら、とても良い化粧品を見つけていただきまして! その賜物ですわ!』
    『あ、わたしそれ気になるー』
    『私も。姫崎先輩のチョイスなら絶対間違いないし』
    千奈『まぁ! それでしたら、放課後是非買いに行きませんこと? 皆さんで放課後デートですわ!』
    『いいねぇ、賛成!』『私も行っていい?』『私もー』
    撫子(何故……何故貴女の周りには、人がおりますの? 何故人が来ますの? 入学試験最下位の、箱入りのお嬢様の貴女に)
    撫子(アイドルだから? NIAで結果を出したから? 違う。違う。わたくしには分かります。貴女の周りには、最初から人がいる。結果では無い、クラスメイトだからでは無い、倉本千奈という人間が、人を集める)
    撫子(何故? 何故? 何故? 極月では才能が全て。才能無き者は、どんな人間であろうと人を集めない)
    撫子(極月と、初星の違いとは? 私と、貴女の違いは? 私と─────)

    千奈『────藍井さんっ! 藍井さんも、一緒に参りましょう!!』

  • 26二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 22:09:36

    光だ…

  • 27Pドル絶対信仰者25/01/29(水) 22:22:40

    撫子(────違う違う違う!! この人はたまたま、初星という温い環境で無事だっただけ!! アイドルとは、上に立ち続けること!! 四音お姉様のように、何人にも脅かされず、強く、気高く、そう在り続けることこそ!! アイドルの本懐!! 結果とは二の次、才能無き者は、才能ある者に道を譲る。本来才能ある者が手に入れるべき結果を、才能無き者が手に入れることこそ、間違いなのですわ!!)
    撫子(極月は間違ってなどいないのです!! 才能無き者は最初から淘汰されるべき!! ここがおかしいだけで、学園は、お姉様は、間違ってなんていませんわ!!)
    千奈「────藍井さん? どうか、しましたの?」
    撫子「……はっ!! い、いいえ! なんでもありませんの!」
    千奈「そう……ですか? 具合が悪くなったら、遠慮なく言ってくださいまし!」
    Dトレ「そうだな。撫子も、今日が2日目だ。少し別な環境に来て疲れてるかもしれないし、ここいらで休憩といこう」
    ⏱ ̖́-‬
    学P「────おや、丁度休憩中でしたか」ガチャリ
    撫子「げぇっ!! 変態プロデューサー!!」
    Dトレ「変態って……そういえば、お前、藍井に執拗に迫っていたらしいな。いくらスカウトとは言え、限度というものがあるんじゃないか?」
    学P「ですから、それは間違いだと何度言えば……まぁいいです。撫子さん、放課後、プロデュース室に来てください。今後のお仕事について、少し話があります」
    撫子「お仕事ぉ? 交流生でも、やはり来るものですのね」
    学P「まぁ、極月としてではなく、初星の生徒として受けて頂く形になりますが」
    撫子「……ふんっ、要件はそれだけですの? なら早くどこかへ行ってくださいまし」シ
    千奈「藍井さんっ、そのような言い方、少し失礼ですわよ」
    撫子「いいのですわ。この変態には、これくらいの扱いでじゅーぶんなんですから。そ、れ、に、わたくしの汗ばんだ身体を目当てに、いやらしい目的で来た真性の変態でなければ、用事をすぐ終わらせて出ていきますわよねぇー?? んー??」
    学P「────はぁぁぁぁ………誰がこんなアイドルらしからぬ子供体型に欲情するんです」
    撫子「ぬぅぁっ!?!? な、なんなんですのその言い方!」
    学P「もっと成長したければ、少しでも食事量増やしてくださいね。それでは」ガチャリ
    撫子「うぬうぬぬぬ……!!」
    撫子「────だいっ嫌い!!」

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 23:42:47

    撫子ちゃん、スタイル良いわけじゃないからね。しょうがないね

  • 29二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 03:48:47

    学Pも撫子も互いにツンデレでこの先が楽しみだ

  • 30二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 08:57:00

    楽しみ。

  • 31二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 08:59:50

    良いスレに出会った
    保守する

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 11:24:59

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 18:36:49

    保守

  • 34Pドル絶対信仰者25/01/30(木) 22:01:23

    学P『……はぁ、ダメダメですね。技術こそあれど、そこに貴女らしさが無い。従来のアイドルが持つ可愛らしさではなく、貴女本来の可愛さが出せるはずです』
    学P『セクシー路線……?? ふっ……あぁいえ失礼。ちょっと……撫子さんには合わないのでは?』
    学P『ここのファンサービス、良く練り込むことができましたね、流石です。貴女の可愛さと美しさを兼ね備えた姿に、ファンからも好評な声が届いてますよ』クイッ
    学P『……やはり撫子さんの可愛さは世界を救うのか……??』クイッ

    撫子(初星学園に来て早1ヶ月……色々なお仕事もいただき、極月と比べても濃い時間を過ごしています……が!!)

    撫子(本っ当になんなんですのあのプロデューサーは!!)

    撫子(全くもって分からない人間!! 今まで会ってきたどのタイプにも属さない!!)
    撫子(毒ついたかと思えば、二言目にはわたくしを褒める!! かと思えば毒づく!! 褒めて毒つき褒めて毒つき!! 飴と鞭なんてレベルじゃありませんわよ!?)
    撫子(ムカつくムカつく!! 今まで会った人と言えば、わたくしに謙り、わたくしを称える者ばかりだと言うのに!! なんなんですのなんなんですの!!)

    Viトレ「────はーい、撫子ちゃん。ちょーっとお顔が怖いわよ? 集中出来てない?」
    撫子「あっ……申し訳ありません。そういう訳ではありません、すぐに立て直しますわ」
    Viトレ「……もしかして、プロデューサーちゃんのこと?」
    撫子「……いえっ! あんな変態プロデューサーのことなんて、これっぽっちも考えてませんわ!!」
    Viトレ「隠さなくてもいいわよ。そういう子も多いし」
    撫子「うぐ……」
    Viトレ「でも、プロデューサーちゃんのことは私の耳にも入っているわ。なんでも、執拗に撫子ちゃんに迫ったとか、撫子ちゃんのことばかり話してるとか。それにあの子──」
    撫子「知りませんわっ、あんな変態。どうとでも言われてればよろしいですの」
    Viトレ「あらら……これは重症ね……」

    学P「────はぁ、もう否定するのも疲れましたよ」ガチャリ
    Vi「あら、プロデューサーちゃん。聞いてたの?」
    撫子「ふんっ!! ストーカーにプラスして盗み聞きなんて、変態度合いが増してきたんじゃないですの?」
    学P「お疲れ様です。トレーナー」
    Vi「はーい、お疲れ様」
    撫子「無視してんじゃありませんの!!」

  • 35二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:01:47

    このレスは削除されています

  • 36二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:02:30

    このレスは削除されています

  • 37Pドル絶対信仰者25/01/30(木) 22:18:17

    学P「……撫子さんも」
    撫子「適当にしないでくれます!?」
    Viトレ「あらあら、相性ピッタリね二人共」
    撫子「良くありませんわ!!」
    学P「えぇ、まぁ」クイッ
    Viトレ「それで? プロデューサーちゃんがレッスン中に来るなんて珍しいわね」
    撫子「そーですのそーですの。今はレ ッ ス ン!の時間ですわ。部外者はさっさとどこかへ行って下さいまし」
    学P「もうレッスンは終盤でしょう。後は適当なクールダウンだけです。その時間に、二人に相談事をしても別に良いでしょう」
    撫子「べーっ! それを決めるのはトレーナーですわ!」
    Viトレ「あら、別にいいわよ。レッスン中の相談事も、あまり珍しいことでもないし」
    学P「……だそうですよ、撫子さん」
    撫子「ぐぬぬぬ……!! 極月では絶対に考えられないことですわ……!!」
    Viトレ「それで? 私にってことは、今後売り出す路線についてかしら?」
    学P「えぇ。定期公演に向けた、中間試験も近い所ですし、ここらで思い切ったキャラチェンジを画策してまして」
    撫子「はぁ? キャラチェンジ?? なーにを言ってますのこのおバカさんは。わたくし、もう既に極月学園藍井撫子として、もう十分に箔がついているんですのよ?」
    Viトレ「そうねぇ、中途半端な路線変更は私もオススメしないわ。下手すると、既存のファンが離れてしまうかも」
    学P「無論、無策というわけではありません。こちらをご覧ください」パソコンッ
    撫子「……なんなんですの、このグラフ。色んな数字に、文字もありますけど……」
    学P「これは、ここ1ヶ月で行ったミニライブやトークショー、外部の仕事を起点に、極月学園から取り寄せた過去のライブ、NIAでの活動、それら全てのファンの声、もとい撫子さんの活動で起こった影響をデータ化したものになります」
    撫子「は……? 過去の極月での……って……まさか……」
    学P「勿論、撫子さんが中等部で行った3年間のライブほぼ全ても含まれています。流石に一部のライブ映像は取れませんでしたが」
    Viトレ「……まぁ、本当に色々な項目があるわ。これを1ヶ月で纏めたっていうの?」
    学P「基盤自体はありましたし、撫子さんのことですので、さほど苦ではありませんでしたよ」
    撫子「だ、だとしても……この量……一体どの位の時間をかけて……」
    学P「それでは、この項目をご覧下さい」

  • 38Pドル絶対信仰者25/01/30(木) 22:18:51

    学P「これは撫子さんが中等部3年から現在に至るまでのものです。そして、この並んだ線のここ、この突出したグラフが分かりますか?」
    Viトレ「そうね、プロデューサーちゃんの説明を聞く限り、これが最も反響の大きかったライブ……いえ、撫子ちゃんのパフォーマンスってことになるのかしら」
    学P「はい。NIAでのファンの声、アンケート、それらを全て洗い出し、データ化した結果、ファンに最も刺さる藍井撫子という存在が浮かび上がってきたのです」
    撫子「な、なんなんですの、それ……」
    学P「勿論、藍井撫子というアイドルは現時点でもほぼ完成されたアイドルと言っても過言では無い。それも撫子さんは分かっているからこそ、今のパフォーマンスを維持し、ファンを獲得している……が、時折、その従来の藍井撫子とは違う、その姿を見せた時、ファンの心は真に撃ち抜かれ、夢中になってしまうのです」
    Viトレ「それが、プロデューサーちゃんの考える路線ってことね?」
    撫子「も、勿体ぶらずに教えなさい!! なんですの!? そのファンに最も刺さる藍井撫子というのは!!??」
    学P「分かりました。では本題に入りましょう」
    学P「その真に刺さる藍井撫子の姿とは────」
    撫子「姿……とは……!!」

    学P「────────メスガキです」

    撫子「…………」
    Viトレ「…………」
    学P「…………」

    撫子「……………………へ?」

  • 39二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:21:00

    まあ、そうだね

  • 40二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:31:15

    そりゃそう

  • 41二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 01:38:50

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 01:40:30

    このレスは削除されています

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 03:03:13

    天才じゃったか!

  • 44二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 09:38:23

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 16:41:03

    保守

  • 46Pドル絶対信仰者25/01/31(金) 16:43:24

    撫子「…………っつ!!! このっ……!! ロリコン!! 変態!! とうとう正体を見せましたわね!! 真性の変態とは知っておりましたが、まさかここまでとは!!!!」
    学P「痛い、痛いです撫子さん。お腹を叩かないでください」
    撫子「お黙りなさい!! 無駄にデカイ図体して!! 跪きなさい!! その首絞め落としてやりますわ!! 変態ロリコンストーカーはここで朽ち果てなさい!! なーにがメスガキですの!? かんっぜんに貴方の趣味ではなくって!?!?」
    学P「…………違います。これはれっきとしたファンの声を元に出した結論です」
    撫子「貴方って本当に嘘が下手ですわよね!?!?」
    学P「……小さい貴女が癇癪起こす姿も、結構人気ですよ」
    撫子「むきぃいぃぃ!! いい加減にしなさい!! あと小さいなんて言わない!!」
    学P「事実ですから」
    撫子「ほわぁああぁあああ!!!!????」
    Viトレ「はいはい、撫子ちゃん落ち着いて? もう少しプロデューサーちゃんの話を聞きましょ?」
    撫子「トレーナー!! 離してくださいませ!! この犯罪者はここでわたくしが引導を渡さなければいけませんの!!」
    Viトレ「そうねぇ……実際、本当にそんな特殊な路線が受けるかどうか、半信半疑なところあるわね」
    撫子「そら見なさいな!! トレーナーもこう言っていますわ!! あの無礼な言葉はすぐさま撤回しなさい!!」
    学P「いえ、実際既に効果は出ています」
    撫子「効果ですって……!!」
    学P「撫子さん、貴女の普段のスタイルは、清廉潔白かつクールでストイックな、例えるとしたら混じり気のない清らかな流水の如きパフォーマンスです。可愛らしさを捨て、細やかな所作に宿る美しさを重視しながらも、どこか貴女の可愛らしさが垣間見えるギャップが魅力……これらは、白草四音に指導され、憧れ、影響されたものですね?」
    撫子「……それがなんですの。まさか、四音お姉様のパフォーマンスが間違ってるとでも言いたいのです?」
    学P「いえ、そんなことはありません。寧ろ正しい。下手な自分らしさが出そうとするよりかは、それを抑え込める強力な武器を持てた方が何倍もいい」
    学P「……ですが、貴女というアイドルに限り、貴女らしさを全面に出した方がいい。それはこのデータと俺の感性が雄弁に語っています」

  • 47Pドル絶対信仰者25/01/31(金) 16:57:04

    学P「生意気で、高圧的で、生まれ持った類まれなる才能と誰よりも可愛いルックスを存分にひけらかす傍若無人が、失敗した時の涙は誰よりもそそられる……それが貴女らしさ、貴女の魅力であると、俺は結論づけました」
    学P「……以上が、俺の持論です」
    Viトレ「…………ちょっと気持ち悪かったわね」
    撫子「ちょっとどころか、最悪に気持ち悪いですわ」
    学P「え」
    Viトレ「まぁプロデューサーちゃんの性癖は置いといて。具体的には、どういう場面でそれが有効に働いてたとかそういうのはあるの?」
    学P「それについては映像を用意しています」
    撫子「えっ」
    学P「これは、撫子さんが中等部3年の6月に行ったライブ終了後のMCパートの一幕です」カチッ

    撫子『──お〜っほっほっほ!! 庶民の皆様、この藍井撫子のライブは楽しんで頂けましたかぁ?」
    ナデシコー!!/キャーッ!! カワイイー!!/ナデシコサンー!! ケッコンシテクレェー!!/
    撫子『はぁ??なんですの今の。結婚してくれだなんて、ぜぇったいにお断りですわ!! 貴方達のような庶民にこのわたくしが釣り合うと思ってらっしゃって?』
    撫子『ぷぷぷー!!! せめてわたくしと釣り合うように努力してから出直してくださいますー?? まっ、パッとしない庶民の皆様では、百年経っても無理でしょうけどー!! 悔しかったらわたくしのおとうさ────ヒデブッ!?(バタンッ!!)」
    撫子『…………』
    ……/……/……/
    撫子『……うっ……!! うぅぅううう……!!!』

    学P「……とまぁこのように、観客を散々煽り倒した挙句、自身がすっ転んで醜態を晒したライブの反響は凄まじく、『スカッとした』『泣き顔が可愛い』『ザマを見ろ』……好評な声が普段よりも多かったんですよね」
    撫子「何言ってますの!?!?」
    Viトレ「ふっ……ふふ……!! 確かに……これは可愛いわね……!!」
    撫子「トレーナーまで!?!?」
    学P「普段は冷静沈着なお嬢様を気取っていますが、ライブで興奮した後は素の撫子さんが出てくるんですよね。そして大体ファンの皆さんを罵倒した後、必ず何かしらのミスを犯します。これが最高に可愛いです」
    撫子「はぁ!? 何を言ってますの!? これだけ!! この時!! たまたま!! ミスしてしまっただけですわ!!」
    学P「……確かにこのメスガキモードはあまり出ていません」

  • 48二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 18:39:27

    保守ぅ〜

  • 49Pドル絶対信仰者25/01/31(金) 20:00:22

    学P「ですが、過去のライブ映像を見てみると、このような失態の無い、特にMCもせず優雅に立ち去るこの素では無い撫子さんを便宜上極月モードとしますが、極月モードの時は失敗はありません」
    学P「一転、撫子さんのボルテージが最高潮に振り切ると、メスガキモードとなって素の撫子さんが出ます。自身のパフォーマンスを自画自賛し、観客を煽り倒し、挙句何かしらの失敗をしています」
    学P「これが証拠です」

    ~⏱ ̖́-‬お嬢様過去ライブ鑑賞中(Pの注釈を添えて)~

    学P「────如何でしたか?」
    撫子「あわ……あわわわ……あらわらわわわ……」
    Viトレ「あらら、壊れちゃったわ」
    撫子「そんな……そんな……あたくしは……四音お姉様の背中だけを見て邁進してきたのに……こんな……こんな無様な姿が……真のわたくしだと言うの……??」
    学P「……些か刺激が強かったようですね」
    Viトレ「……なるほどね、ファンの皆は、極月モードの撫子ちゃんも、メスガキモードの撫子ちゃんの全てを愛している。けれど、真に求められているのは、メスガキモードの撫子ちゃん。だから貴方は、中途半端な今のキャラを統合して、撫子ちゃんの路線を1本に定めようと言うのね」
    学P「その通りです」
    Viトレ「私もそれには概ね賛成よ。でも、勿論その後のことも考えているのでしょう?」
    学P「えぇ。確かに、煽りに煽り、そして失敗するメスガキモードは、今そのものに確かな効果はあるでしょう。けれど、将来的に撫子さんが美しく、気高く、それこそトップアイドルとして成長した時、必ずそれは邪魔になる」
    学P「メスガキはメスガキでも、最高の実力を持つメスガキ……つまり、強強メスガキに必ず導いてみせます」
    学P「今のようなクソザコではなく、確かな実力と実績を持ち、分からせなんてされるわけがない、最強のメスガキ……それが今の撫子さんの目標です」
    学P「そうすれば、将来は極月モードとメスガキモードを組み合わせた最強のアイドルへと成長するはず」
    学P「それが、俺の導く藍井撫子というアイドルです」
    Viトレ「プロデューサーちゃん……」
    学P「……すみません、少し熱くなってしまいました」
    Viトレ「……ううん、いいのよ。ところで、1ついい?」
    学P「なんでしょう」

  • 50Pドル絶対信仰者25/01/31(金) 20:00:57

    Viトレ「……ごめんなさい、正直本当に気持ち悪いわ」
    学P「……え」
    Viトレ「なんだろう。言い回しが本当に気持ち悪かったわ。好きな物について熱くなるのは良いんだけど、もう少し言い方ってものがあるわよね」
    学P「…………」
    Viトレ「メスガキって、本来そんな良いものでは無いのは分かっているわよね? 今は撫子ちゃんも放心してるからいいけど、それ絶対言わない方がいいわよ」
    学P「………………はい」
    Viトレ「ただでさえ、貴方撫子ちゃんから色々言われてるんだから。そんな調子じゃ、この先絶対苦労するわ」
    学P「……………………はい」
    Viトレ「貴方のこと、色々と聞いてるからまだ私は理解できるけど。知らない人が聞いたら、気味悪がられても仕方がないわ」
    学P「…………もしかして、俺の事ご存知だったんですか?」
    Viトレ「ふふ。千奈ちゃんの"先生"から色々とね。他のトレーナーも知ってるんじゃないかしら?」
    学P「本当ですか?」
    Viトレ「えぇ、まずはおめでとうって言った方がいいのかしら? 念願叶って、本当に良かったわね。奇跡としか言いようが無いかも」
    学P「はい。これはきっと、奇跡そのもので、俺にとって二度と来ないチャンスです」
    Viトレ「……撫子ちゃんは、このことを?」
    学P「いいえ。知りませんし、言う気もありませんよ。もしも言ってしまえば、解除されるのが目に見えてますから」
    Viトレ「あら、別にそんな事ないと思うわよ? 貴方達、相性良さそうだし」
    学P「買い被りすぎですよ。撫子さんはともかくとして、俺なんてプロデュース科にいながら、1年も担当がいなかった落ちこぼれなんですから」
    Viトレ「あら、本気で担当探しをしてこなかっただけなんじゃないの? それに、今はこうして、立派にプロデューサーとしての責務を果たそうとしてる。誰にでも出来ることじゃないわ。ましてや短期交流生の、すぐ終わる関係で」
    学P「…………例え短期だろうと、奇跡だろうと、俺は撫子さんのプロデューサーになったんです。地獄の果てだろうと、どこまでも着いていきますよ」
    Viトレ「うん、その気概があれば十分ね。安心して、あの子を任せられるわ」
    学P「……ありがとうございます」
    Viトレ「……でも、言動はちょっと考え直したほうがいいかもね」
    学P「…………肝に銘じます」

  • 51二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 20:35:21

    タガが外れた弟くんみたいだ…

  • 52二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:02:19

    Viトレ辛辣だけど残当

  • 53二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:54:48

    ???「強強メスガキなど──存在そのものが矛盾しているッ!」

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 00:15:45

    そうだね・・・

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 02:38:49

    めっちゃいいやん
    ほっしゅ

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 09:37:41

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 14:44:13

    保守!

  • 58Pドル絶対信仰者25/02/01(土) 19:59:29

    学P「────さて、とうとう中間試験の試験日が来ましたね。コンディションは大丈夫ですか?」
    撫子「ふんっ。わたくしを誰だと思っていますの? そんなものよゆーで調整済みですわ」
    学P「流石ですね。これなら心配無さそうです。この1ヶ月と半月……いえ、特にここ最近はライブの仕事を重点的に行い、かなりハードでしたから」
    撫子「……それについては全面的に同意しますわ……なんなんですのあの人達……わたくしがちょっと煽って馬鹿にするとすると喜びに喜んで……もしかして、わたくしのファンって変態しかおりませんの……??」
    学P「ほぼライブ全部で、ざこざこバカバカ庶民庶民って煽ってましたからね。途中で、あれ? この人本当にアイドルかな?って不安になる位にでしたよ」
    撫子「貴方がやれと仰ったのでしょう!?」
    学P「まぁ、そのおかげか、ライブ出演の依頼はうなぎ登り、SNSでも撫子さんの名前がトレンド入りする程。世間的に見ても、メスガキモードが受けているということでしょう。良いことです」
    撫子「それ! その言葉本っ当にやめて下さる!? 不愉快ですわ!!」
    学P「なら、素の撫子さんと呼びますか?」
    撫子「ぐぬぬぬ……メスガキと言われるよりかはマシですけど……!! それもそれで納得いきませんわ……!!」
    撫子「はぁ……まぁいいです。確かに、前よりもファンが増えた印象もありますし」
    学P「撫子さんは元より人気のあるアイドルですからね。NIAで獲得したファンもいますし、種火は十分だったんです。極月モードが主体であった時の、メスガキモードの不穏な言動が、藍井撫子というキャラそのものだと認知が矯正された結果の爆発。言わば必然なんですよ」クイッ
    学P「ですが藍井撫子というアイドルの人気は、まだまだこんなもので終わっていい代物ではない。それをこの中間試験を皮切りに、この学園への宣戦布告としましょう」
    撫子「…………貴方って、本当に気持ち悪いですわね」
    学P「……もう慣れましたよ。そう言われるの」
    撫子「ほんと、十王理事長の建前とは言え、なーんでこんな人と契約してしまったのでしょう。……まぁ、もう過ぎたことを言っても仕方がないですわね」
    学P「えぇ、どこまでも着いていきますよ」
    撫子「ふんっ! 交流期間が終われば貴方なんて用済みですわ。……ところで、一つ聞きたいのですが。その……貴方って────」

  • 59Pドル絶対信仰者25/02/01(土) 20:01:41

    「────藍井撫子さん。そろそろ出番です。スタンバイお願いします」
    撫子「…………分かりましたわ。それじゃあ、貴方はせいぜいここで、わたくしが圧勝する様を目に焼きつけるといいですわ!」
    学P「慰め会の準備、しておきますから」
    撫子「べーっだ!! 貴方なんて大っ嫌い!」バタンッ

    学P「……頑張れ、俺のスター」

    せーかーいでーいちーばんおーひーめーさーまー♩(着信音)
    学P「(Pi)……はい、もしもし」
    あさり『プロデューサー君。君の言う通り、"彼女"が、外部観覧席に来ましたよ』
    学P「教えて下さりありがとうございます、あさり先生。やはり来ましたか」
    あさり『どうするつもりです? 動かそうにも、外部観覧席の人を動かすのは難しいですよ」
    学P「いえ、どうもしません。ただ彼女には、そこで見ていてもらおうと思っています」
    あさり『藍井さんは、大丈夫でしょうか』
    学P「外部観覧席はかなり遠く、場所も撫子さんの丁度死角です。恐らく気付く可能性は低いでしょう」
    あさり『……分かりました。君がそう言うなら、先生は信じますよ』
    学P「ありがとうございます。それでは……(Pi)」
    学P(……撫子さんは、確かに着実に人気が出てきている。しかし、それは路線変更した結果に過ぎない)
    学P(つまるところ、十王会長の言葉を借りるならば、撫子さんのアイドル力自体に大きな変化は無い。短い時間であるから、仕方がない所もあるが、そこがどうしても懸念点となる)
    学P(普通であれば、この変化の無さは大した問題では無い……が、撫子さんに限って、"彼女"が問題となる)

    「え……なんで極月の生徒がここに……??」
    「しかもあれ……極月Aランクの……!!」
    「NIAで大活躍してたっていう……まさかヘッドハンティング??」
    「いやいや、流石にあの交流生を見に来たんでしょ?」

    学P("彼女"が今回の中間試験を見に来た目的はただ一つ、撫子さんのことだろう。……その真意を図ることは、現時点では難しい)
    学P(しかし、大凡の推測はできる。何故なら貴女は、俺と同類だから。だからこそ、この中間試験に貴女が見に来ることも分かっていた。故にそれに準ずる布石は、とうの昔に打つことができた)
    学P(対策は完了済み。後は、貴女がどう出るか)
    学P「……なんて、もう考えてても仕方がないか。俺に出来るのは、撫子さんを信じることだけ」

  • 60Pドル絶対信仰者25/02/01(土) 20:03:23

    学P(俺の妄執が勝つか、貴女の歪な愛が勝つか)
    学P(中間試験後、それは如実に現れる。言わばこれは、撫子さんの分水嶺)
    学P(だがどちらに転んでも、恐らく撫子さんはアイドルとして大成する。……ただ、願わくば俺を選んで欲しいという、自分勝手で独り善がりな願望だ)

    学P「ははっ、こんなの、撫子さんに話せないな」

    学P「………でも、独り善がりでも、邪魔者でも、それでも、俺は貴女に勝たなければいけない。さぁ、俺の4年という時間の妄執全てを賭けて、勝負といきましょう────」

    学P「────極月、白草四音」

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 22:37:25

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 00:03:28

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 08:05:36

    保守

  • 64Pドル絶対信仰者25/02/02(日) 08:47:07

    撫子(───なんだか、映像で見た物より騒がしいですわね……イマイチ集中できませんわ……)
    撫子(…………)
    撫子(…………わたくしは、今、何の為にここに立っているのでしょうか)
    撫子(今までは、お姉様の背中を追い続けて、お姉様の言うことだけを聞いていればよかった。わたくしにとって、アイドルとは、藍井撫子とは、四音お姉様の為にあるようなもの。わたくしはそれを、今の一度も疑ったことはない)
    撫子(でも────)

    学P『────撫子さん』

    撫子(────あのプロデューサーに出会ってから、何かがおかしい。プロデューサーは、気持ち悪いし、大っ嫌い。けれど、それは性的云々の話じゃなくてプロデューサーの、わたくしの全てを見透かして、穏やかに見守ろうとする、あの人のそんな目が、言葉が、大っ嫌い)
    撫子(貴方に見られると、わたくしはわたくしのことが分からなくなる。ただ、アイドルをやっていれば良かった。ただ、歌って踊れるだけでよかった。お姉様という最高の光を、至高の月を目指して)
    撫子(けれど、貴方はそんなわたくしを引き留めるように、新たな光を示してくる。こちらにおいでと、暖かく手を引こうとしてくる)
    撫子(…………わたくしは、どうすればいい? わたくしは、どうしたい? いえ、そもそも"何"をどうしたいかという明確な言葉すら、出てきていない。この悩みは? モヤモヤの正体は? 答えは、見つからない)

    「────藍井撫子さん、間もなく出番です」
    撫子「…………分かりましたわ」

    撫子(答えをくださる筈のお姉様は、今も連絡をくださらない。……わたくしには、その真意が分からない。けれどきっと、わたくしのことを案じてくださっているに違いない)
    撫子(迷いはあるけれど、今はただ、お姉様に届くように歌うだけだ)

    撫子「────極月学園交流生、藍井撫子です! 宜しくお願いしますわ!」

    撫子(どうか見ていてください、お姉様!)

  • 65Pドル絶対信仰者25/02/02(日) 08:53:56

    撫子「ありがとうございました!!」
    ⏱ ̖́-‬
    学P「お疲れ様です、撫子さん。結果が出ました」
    撫子「……ふふ! おーっほっほっほ!! 我ながらいいパフォーマンスができましたわ!!これはもう余裕で合格ですわね!!」
    学P「えぇ、流石ですね、撫子さん」
    撫子「あーら? 貴方が素直に褒めるなんて珍しい。さては、よーやくわたくしの実力に気が付きましたのねぇ?」
    学P「元より知っていましたよ。貴女の魅力も、実力も」クイッ
    撫子「んぐっ……! ま、まぁ!! それで? 実際わたくしの順位はどうでしたの? 一応、聞いてあげないこともありませんわよ?」
    学P「分かりました。撫子さんの順位は────3位です。ギリギリの合格でしたね」

    撫子「────は?」
    学P「いや本当にギリギリでした。4位の方と僅差じゃないですか?」
    撫子「へ?」
    学P「はい、ギリギリの合格です」
    撫子「えええ!? な、なな、なんでですの!? わたくしが3位!? しかもギリギリの僅差で!?」
    学P「はい。もう本当にギリギリです」
    撫子「な、なんでですの!?!? さっき貴方、わたくしが1位みたいな雰囲気出してましたわよね!?!?」
    学P「1位だなんて誰も言ってませんよ」
    撫子「はぁあぁあああ!? ちょっと!! おかしいんじゃありませんの!?」
    学P「痛い、叩かないでください」
    撫子「わたくし、いいパフォーマンスしましたわよね!?」 学P「はい」
    撫子「特に振りや歌詞も音程も間違えていませんよね!?」 学P「はい」
    撫子「なのに3位ですの!?!?」 学P「はい」
    撫子「納得できませんわ納得できませんわ!!」
    学P「揺らさないでください、意外と気持ち悪くなるんですよそれ」
    撫子「うううぅううう!! せっかくお姉様にいい報告ができると思ってましたのにぃ!! あんまりですわぁ!!」
    学P「まぁ、いいパフォーマンスではあったとは思いますよ」
    撫子「ふんっ……!! 慰めなんていりませんわ!! どーせ貴方も、わたくしがギリギリでざまを見ろとか思っているんでしょう!?」
    学P「まぁ、泣いてるの見て少し面白いなとは思っていますが。ですが、3位といえども、撫子さんがアイドルとして決して劣っているわけではありません。寧ろ不合格という結果も有り得たので」
    撫子「ぐぬぬ……!! この変態……!! 不合格よりは確かにマシですけれども!!」

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 13:29:00

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 18:48:00

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 21:55:54

    期待して待ってる

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 22:30:41

    そういやこの学Pとは別に「先生」と呼ばれる人いるんだよな
    個人的に「倉本千奈が先生と呼ぶ人」は「学P」であってほしいと思ってるんだけど…じゃあこの撫子をプロデュースしてる変態は誰なんだ…

  • 70Pドル絶対信仰者25/02/02(日) 23:25:34

    >>69


    この世界線では、学Pは複数人存在していて、アイドルそれぞれのプロデュースをしています。よって、千奈も先生がいますし、リーリヤにもセンパイがいて、清夏もPっちがいます。

    NIAの優勝者や、月花は来日したのかとか、そこら辺はあえて明言しないので、どうか個々人で補完してください。


    続きは近いうちに投稿する予定です

  • 71二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 23:58:46

    >>70

    スレ主、丁寧な補足ありがとうございます

    馬鹿おもれぇスレでございますので今後も何卒お願いします…

    学Pは偏在する!

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 00:00:51

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 07:06:31

    保守

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 12:22:50

    プロデューサー科では平行世界から自分を呼び出す能力が必修科目であるのは知っているな?

  • 75二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 15:28:28

    他の学P存在するなら逆に良く合格出来たもんよ...全員再挑戦使ってくるだろうから

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 19:06:22

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 20:26:30

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 22:40:17

    保守、ほしゅっしゅ

  • 79二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 01:51:03

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 07:17:56

    保守

  • 81Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 09:36:10

    学P「一先ず、お疲れ様でした。シャワーを浴びて、今日はゆっくり休んでおいてください」
    撫子「不完全燃焼!! 不完全燃焼ですわ!!」
    学P「まぁ、結果は結果ですし。それに、今日は中間試験です。全ては最終試験で決まるので、それまでは今と同じように、研鑽をつんでいきましょう」
    撫子「はぁー……! もうっ! 分かりましたわ!次こそ、完璧な勝利を極月に捧げてみせますの!!」
    学P「はい、一緒に頑張っていきましょう」
    撫子「べーっ!! 変態ロリコンストーカーの力なんて、こっちから願い下げですわ!!」バタンッ!!

    学P「………………」
    学P「………………」
    学P「…………っはぁー……」
    学P「………………」
    学P「…………良かった……たぁ……!!」
    学P「……本当に……本当に合格できて良かったぁ……!!」
    学P「撫子さんの実力なら、中間試験ならまだ問題無いとは思っていたけど、まさかここまで僅差になるとは……いや、でも本当に良かったぁ……これで不合格とか言われたら、撫子さんが何言われるか分かんないもんなぁ……!!」
    学P「あー、ダメだ。今良かったしか言葉が出てこない。本当に嬉しい。とりあえず、まずは第一関門クリアだぁ……いや、撫子さんなら絶対できるに決まってた。うん、できないわけが無い。それはそうだ」
    学P「流石だよ本当に。倉本さん達が出てこなかったとは言え、それでも初星の傑物達を相手取って、合格まで漕ぎ着けるんだから。流石としか言いようがない」
    学P「……でも、あの人はあんなものじゃない。やはり、目下課題点は多いか。それをどうするかだけど……
    学P「あぁあぁあああ……合格して本当に良かったぁ…………………あぁ、ようやく落ち着いてきた…………」

  • 82Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 09:37:22

    学P「さて……それじゃあ俺もそろそろ────」

    撫子「…………」(ドア開けて立っている)
    学P「…………」
    撫子「…………」
    学P「…………」
    撫子「…………あっらぁ??(ニマア)」
    学P「…………」
    撫子「あら?? あらあら?? あらあらあらあら???? 貴方、さっきまで泣いてるのは少し面白いだとか言って、す〜っごいすました顔してましたわよね??」
    学P「…………何故、まだ、ここに?」
    撫子「えぇ、ちょぉっとハンカチを忘れてしまったので取りにきたら、なーんか初星学園の変態プロデューサー様が?? すぅっごい笑顔と安堵した顔で?? 椅子にへたり込みながら?? わたくしのことを賞賛してるじゃありませんか!! しかも、ガッツポーズなんかしちゃって!」
    撫子「貴方ってー、つまらない鉄面皮だと思っていたんですけれども? まさか中間試験で合格するだけで、あーんなに良い顔すんですのねぇ?? まぁ、変態でロリコンな貴方は、わたくしのことだーいすきですものねーっ??」
    学P「…………くっ」
    撫子「しょうがないですわ、しょうがないですわ。わたくしが可愛すぎて、魅力が溢れすぎるのがいけませんもの。何も恥じることはありません。もう一度言ってもいいのですわよ? 傑物を相手取って勝利した世界最高のアイドルだって」
    学P「…………」
    撫子「ぷぷぷー! あー愉快ですわぁ!! あんなにクールぶった貴方のメッキが剥がれて、間抜け面が出てくる様はこの先何度も見れるものじゃありませんわねー?? 普段からその位でしたら、話しやすいってものですわよ??」
    学P「…………」
    撫子「さっ! じゃあわたくしは、今度こそシャワーを浴びて、おやすみをいただきますわ! さようなら、わたくしのことが大好きな、へ♪ん♪た♪い♪プロデューサー♪」バタンッ

    学P「────…………あーっ、やらかした……はっず……」

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 09:47:09

    うーん、これはメスガキ

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 14:17:01

    これだけ煽り散らかせるの才能あるね

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 14:28:09

    1人だと年相応のPはいいぞ

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 17:38:06

    Pがかわいいタイプ

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 20:11:58

    ええなぁ

  • 88Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 23:53:19

    佑芽「────うっわぁああ!! すっごく大きいね千奈ちゃん!! ここが千奈ちゃんの会社の、新アミューズメントパークなの!?」
    千奈「はいっ! お爺様とお父様が、折角ならお友達を連れて遊んでおいでって、快く招待してくれましたの」
    広「ふふっ。こんなに大きいところ、遊び切れなさそう。ワクワクするね」
    千奈「大丈夫ですわ。今日遊びきれなくても、何度でも何度でも、また皆で遊びに来ればよいのですから」
    撫子「…………あの、千奈お嬢様。その、何故わたくしもここにいるのでしょうか?」
    佑芽「え? 撫子ちゃん、もしかして遊びたくないの?」
    撫子「そ、そういうわけではありませんけど……」
    広「駄目。今日は撫子の、中間試験合格おめでとう会だから、主役がいないと」
    千奈「そうですわ! 藍井さんがいないと、今日の意味がありませんもの!」
    佑芽「うんうん! 改めておめでとう撫子ちゃん!! 今日はたっくさん楽しもうね!!」
    撫子「うぅ……なんだか気恥しいですわ……」
    千奈「さぁ皆さん! 行きますわよ! おーっ!」
    広・佑芽「おー!」撫子「お、おー……」
    ⏱ ̖́-‬
    佑芽「どぉっりゃああぁああ!!!!」~WINNER!!~
    撫子「ゴ、ゴリラとの競争に大差で!?」
    広「ふふ、次は私。絶対負ける」
    千奈「し、死んじゃいますわよ!?」

    千奈「さぁ! お次は縄跳びしますわよ!」
    撫子「成程、地面のセンサーが縄代わりになっているのですね」
    千奈「いきますわー! せーのっ!────ヒデブッ!!」
    撫子「お嬢様ああぁあ!?!?」

    広「これは……ラグビーみたいに蹴る競技みたい。やろうかな」
    佑芽「広ちゃん頑張れー!」
    撫子「だ、大丈夫ですの……??」
    広「任せて。────ふっ!!」ペチンッ
    広「…………ボールの方が、強い、ね。うっ……」
    千奈「篠澤さーん!!」

  • 89Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 23:53:56

    撫子「アーチェリーなら、お家でも何度かやったことあるので得意競技ですわ」
    広「流石はお嬢様だね」
    撫子「お任せください……………………なっ!!」
    佑芽「すごい!! 真ん中に命中した!!」
    千奈「流石ですわー!!」
    撫子「ふふん!! とーぜんですわ!!」

    千奈「大きなボウリングですわ!」
    撫子「倒せるようにできてますのこれ?」
    佑芽「こういうのは私に任せてー! いっくよー!!」
    佑芽「────とりゃあぁあ!!」
    撫子「上手投げするものじゃありませんわよ!?!?」

    撫子「…………千奈お嬢様、あの人、もう三十分は障害物避け続けてますわよ」
    佑芽「ふんっ! ふっ!! まだまだまだぁ!!!」
    広「凄まじいスピード。私が当たったらたたじゃすまない」
    千奈「わたくし達、始まって10秒で落ちましたのに……」

    千奈「楽しいですわ!」
    広「ふふ、楽しいね」
    佑芽「たのしー!!」
    撫子「…………」

    ⏱ ̖́-‬

    佑芽「────んーっ!! 遊んだ遊んだ!! 楽しかったね!!」
    広「ふふ……ふふふ……今にも倒れそう……でも、楽しかった」
    千奈「えぇ! わたくしも皆さんと遊べて、本当に楽しかったですわ! ほとんどが、花海さんの独壇場でしたけど……」
    広「佑芽は流石。見てるだけでも楽しかった」
    佑芽「えっへへー。皆と遊ぶの楽しいから、ちょっと張り切っちゃった!!」

  • 90Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 23:54:17

    撫子「…………」
    広「撫子。さっきから口数が少ない。疲れちゃった?」
    撫子「へっ? ……あ、い、いえ、なんでもありませんの」
    千奈「もしかして、本当は楽しくありませんでしたか……??」
    撫子「そ! そんなことありませんわ!! …………ただ」
    佑芽「ただ?」
    撫子「…………どうして、わたくしも誘ってくださいましたの?」
    千奈「それは、今日は藍井さんの中間試験合格おめでとうの会と……」
    広「千奈。撫子が言ってるのは、きっと違う。もしかして、NIAでのことずっと気にしてる?」
    千奈「それって……」
    広「今までずっと、撫子は私達に遠慮してるような、どこか1歩引いたように接してた。それって、NIAで妨害を仕掛けた私達に負い目を感じてるってこと。違う?」
    撫子「…………その通りです。極月で、いえ、わたくしは、NIAで貴方達の妨害をしていました。言わば、貴方達の敵なのです」
    佑芽「撫子ちゃん……」
    撫子「おかしいですわ。今は交流生と言っても、何故貴女達は、酷いことをした相手に話しかけられますの? 仲間として受け入れようとしてますの?」
    撫子「この交流期間、貴女達はわたくしに積極的に話しかけて、一緒にご飯を食べて、一緒にレッスンをして、一緒にアイドルをしようとしてくださった。……わたくし、分かりませんの」
    撫子「今は初星にいますが、極月に帰れば、それどころか今も貴女達の敵で、それは変え難い現実で……わたくしは……どう、貴女達と過ごせばいいのか……楽しめばいいのか……楽しんでも……いいのか……」
    撫子「…………何も、分かりません」
    千奈・広・佑芽「…………」
    千奈「────藍井さん、お顔を上げてくださいな」
    撫子「…………お嬢様」
    千奈「…………確かに、NIAで、わたくし達は競い合いました。けれどそれは、言い方を変えれば、蹴落とし合ったということ。手段は違えど、わたくしも、家の力を使い、お金を使うことで貴女のファンを奪い、貴女の順位を下げていました」
    撫子「っ! 違います!! 貴女は、至極真っ当にアイドルをして────」
    千奈「いいえ、わたくしも馬鹿ではありませんわ。NIAに立つ意味、アイドルとして立つ意味。それら全て理解しているのです」
    千奈「確かに、貴女が篠澤さんにしたことは、わたくしも覚えています。ね、篠澤さん」

  • 91Pドル絶対信仰者25/02/04(火) 23:55:34

    広「うん。私のグッズ買い占められて、ファンの皆に届かなかった時は、凄く悲しかった。きっとファンの皆は、もっと悲しかったと思う」
    千奈「アイドルとして生きる以上、ファンを奪い合うというのは、当然のこと。ただ、極月学園のやり方は、少し方向性を間違ってしまっていただけなのです。けれども、わたくし達は、一度も貴女や極月学園のことを、敵だなんて思ったことはありません」
    千奈「だって、NIAでいた全ての人が。いいえ、アイドルの皆さんは、みーんな! ライバルで友達なんですもの!」
    佑芽「うんうん。皆で成長して、皆で競い合う! きっとそれが、アイドルって存在なんだと思う!」
    広「うん。私もそう思う」
    千奈「ですから、藍井さん。わたくし達は、言葉にしないだけで、もう友達なんです。アイドルとして、ですけれども」
    千奈「藍井さん、改めてお願いしてもよろしいでしょうか? アイドルしてではなく、倉本千奈一個人として、わたくしは、藍井撫子さんとお友達になりたいのです。どうか、お友達として、これからも、仲良くしてくださいますか?」
    広「私も」
    佑芽「あたしも!」
    撫子「皆……さん…………」

    撫子(わたくしは……わたくしは、この手を取って良いのでしょうか……極月学園と初星学園ではなく、敵でも味方でもなく、ただ一人の藍井撫子として……)
    撫子(極月では、アイドル全員が敵と教えられてきた。……けれど、千奈お嬢様の言う通り、アイドルとしてではなく、一個人であるなら、きっと、互いに歩み寄ることができるかもしれない。……いいえ、これは、そんな深く考えるものでは無い)
    撫子(わたくしの正直な気持ちを、考えるべきこと……わたくしの……気持ち……気持ちは……)

    撫子「……千奈お嬢様、広さん、佑芽さん、わたくし────」

    「────あら、偶然ですね撫子」

    撫子「────え」

    「────お久しぶりです。元気そうで嬉しいですよ」

    撫子「…………あ」

    撫子「…………四音……お姉様……?」

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 01:08:10

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 07:30:52

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 12:40:01

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 13:14:00

    保守保守ー

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 16:42:29

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 17:11:07

  • 98Pドル絶対信仰者25/02/05(水) 19:49:54

    四音「たまたま通りかかれば、可愛い顔が見えたので、つい話しかけてしまいました。…………初星の、お友達ですか?」
    佑芽「この人って……確か極月学園の」
    千奈「あ、そう! Aランクのトップアイドル! 白草四音さんですわ!!」
    佑芽「えぇ!? そんな凄い人と、撫子ちゃん知り合いなの!?」
    撫子「し、知り合いというか……」
    広「────ねぇ、撫子に、何の用?」
    四音「……貴女のこと、存じていますよ。神格化された女神アイドル、篠澤広さんですね。お会いできて嬉しいですわ」
    広「私も。貴方のこと、プロデューサーから聞いてるから。でも、それはきっと今じゃない、ううん、今なわけが無い」
    四音「……チッ、流石の頭の回転の速さですね……(ボソッ)」
    撫子「お、お姉様!! 何故今まで連絡を下さらなかったのですか!? わ、わたくし、わたくし……!!」
    四音「…………撫子、それについても、歩きながら話しましょう。さぁ、一緒に行きましょう?」
    広「……撫子」千奈「藍井さん……」佑芽「撫子ちゃん……」
    撫子「…………皆さん、ごめんなさい。また、明日」

    佑芽「撫子ちゃん……行っちゃったね」
    千奈「えぇ……どこか、不穏と言いますか……篠澤さん? お電話ですか?」
    広「うん、嫌な予感がする」prrr……
    広P『────はい。どうしましたか、広さん』
    広「プロデューサー、お願いごとがある。聞いてくれる?」
    広P『また唐突な。貴女が怪我したとかでは無いんですね?』
    広「うん。でも、凄く大事なこと」
    広P『…………分かりました。とりあえず、何があったのかだけ教えてくれますか』
    広『実は─────」
    広P『…………成程。一先ず状況はわかりました。また難儀なことをお願いしてきましたね』
    広「できる?」
    広P『それが、広さんのやりたいことなのでしょう? なら俺はそれを叶えるように全力で動くだけですよ。……ただ、今回ばかりは、全て藍井撫子さん次第です。広さんの望む結果になるかどうか……』
    広「それでもいい。お願い。新しくできた私の友達、失うなんて嫌だから」
    広P『……分かりました。千奈さんと佑芽さんのプロデューサーとも掛け合ってみますよ』
    広「ありがとう、プロデューサー。大好き」
    広P『はいはい。それでは』

  • 99Pドル絶対信仰者25/02/05(水) 19:50:32

    撫子「…………」
    四音「…………」
    撫子「……あのっ! お姉様!!」
    四音「────撫子」
    撫子「は、はい…………」
    四音「まず、この期間中、ずっと連絡しなくてごめんなさい。極月で色々と動かなくてはいけなかったので。忙しくて、貴女に連絡することができませんでした。もしかして、貴女の信頼を損なってしまいましたか?」
    撫子「そ、そんな! お姉様がわたくしの事を、常に案じられているのは分かっておりました! お姉様のことを信じることが出来ないなど、このわたくしに限ってありえませんわ!!」
    四音「ありがとう、撫子。……そうだ、貴女の中間試験、実は見させてもらっていたんですよ。気が付きましたか?」
    撫子「え!? お姉様が!? も、申し訳ありません!! まさかお姉様が来ているなど露知らず、挨拶もろくにせずに……!!」
    四音「良いのですよ、撫子。私と貴女の間でしょう? それに、貴女に話さなかった私が悪いのです。けれども撫子、貴女の中間試験のパフォーマンスを見て、貴女が交流生に選ばれて良かったと、私、心の底から思ったのです」
    撫子「お姉様……!! そうです! わたくしはアイドルとして少しは─────」

    四音「────あんな無様で意味の分からないパフォーマンスをして、初星の酷さをよく知ることが出来たのですから」

    撫子「────────え?」

    四音「撫子、貴女が強いアイドルで良かった。他の極月の生徒でしたら、初星の酷さに呑まれて、アイドル生命を台無しにするところでしたから」
    撫子「お、お姉……様……?? 何を……??」
    四音「ここ最近の貴女のライブも、キチンとチェックしていましたよ。……メスガキ、でしたっけ? なんて酷くおぞましい概念でしょうか……大方、訳の分からないプロデューサーに唆されて、良い様に使われてしまったのでしょう? あぁ、可哀想な撫子……」
    撫子「お、お待ちくださいお姉様! あれはキチンとしたデータの元で、わたくしのプロデューサーがちゃんと考えてくれた上で……!!」
    四音「それに、他のアイドルも低俗でくだらない者ばかり。貴女といたあの三人、NIAで結果を出したアイドルとは言え、あの者達は財力や、生徒会のバックアップ等卑劣な手を使い、たまたま結果を出していただけ。貴女も聞いているでしょう? 入学試験最下位、補欠合格、アイドルらしからぬ体力しか持たぬ者」

  • 100Pドル絶対信仰者25/02/05(水) 19:50:54

    四音「教えたはずですよ、アイドルは皆敵。そもそも、そんな底辺で幸運でしか取り柄の無いアイドルと、友達等言語道断です。……良くて花海佑芽さん位でしょうか?」
    撫子「ですがあの三人は、ただ幸運で成り上がっただけでは無く、キチンとした実力を持って……!!」
    四音「…………貴女、もう初星へと染まってしまったのですか? たかだか数ヶ月、半年にも満たない時間を過ごした人間と、私。どちらを選ぶと言うのですか?」
    撫子「そ、それは……勿論、お、お姉様ですわ……お姉様は、わたくしにとって特別で……何よりも変えがたくて……大切な人で……誰よりも、憧れの人ですわ……」
    四音「…………」
    撫子「あ……うぅ……」
    四音「…………撫子、やはり、極月へと帰ってきませんか?」
    撫子「…………えっ」
    四音「今のままではいけません。これ以上、意味の分からない学園で、何も成さぬまま、貴女のアイドル生命が絶たれるのを見ていることなんて、私にはできないのです」
    撫子「ですが、交流期間はまだ残っていて……」
    四音「大丈夫ですよ。もう、中間試験は終わり、貴女は極月学園の生徒として、十分勤めを果たしてくれました。大義名分等、いくらでも作れますよ」
    四音「それに、私は貴女に帰ってきてほしいのです。私の隣で、また、貴女の成長を見せてくれませんか? このような場所ではなく、極月という正しい場所で」

    四音「────さぁ、撫子。私の手を取って。帰りましょう?」

    撫子「…………わたくしは、わたくしは……」
    撫子(……ここでお姉様の手を取れば……極月に帰れる……また、お姉様と同じように、お姉様の隣で、今まで通りの日常を……)
    撫子(この、手を取れば……!!)

    学P『…………良かった……たぁ……!!』
    学P『……本当に……本当に合格できて良かったぁ……!!』

    撫子(っ……!! プロデュー……サー……なんで、なんで貴方が今思い浮かびますの……!!)

    千奈『────藍井さん、改めてお願いしてもよろしいでしょうか? アイドルしてではなく、倉本千奈一個人として、わたくしは、藍井撫子さんとお友達になりたいのです。どうか、お友達として、これからも、仲良くしてくださいますか?』
    広『私も』
    佑芽『あたしも!』

  • 101Pドル絶対信仰者25/02/05(水) 19:51:33

    撫子(黙って……!! この手を取れば……!! わたくしは元の藍井撫子に戻れるのですから!! 今のような、迷う藍井撫子ではなく!!)

    学P『────撫子さん』
    千奈『────藍井さんっ!』
    広『────撫子』
    佑芽『────撫子ちゃんっ!』

    撫子(なんで……なんで今貴女達を思い出すの……たかだか数ヶ月しか過ごさなかった貴女達を……)
    撫子(分からない……分からない分からない分からない!! わたくしは……わたくしは……どうしたいの!!)
    撫子(わたくしは……わたくしは!!!!)

    四音「…………撫子?」
    撫子「……も、申し訳ありません……お姉様……少し……少し、考えさせてもらってもよろしいでしょうか……??」
    四音「……貴女」
    撫子「こ、ここで辞めてしまえば、黒井理事長やまたお姉様に迷惑をかけることになりますし……そ、それに! 倉本や初星の理事長とパイプを繋ぐのは、悪くないと思うのです!! ……ただ、帰りたいというのは、本当ですわ! ただ、その、ただ、今は時期尚早だと思うのです……」
    四音「…………」
    撫子「…………お、お姉様……」
    四音「…………貴女の気持ちは分かりました。そうですね、確かに貴女の言うことにも一理あります」
    四音「ですので、また今度お会いした時に、改めて答えを聞かせてください」

    四音「────良い答えを、期待してますからね」

    撫子「お、お姉様!!」
    撫子「い、行って……しまった……」

    撫子「…………っ。わたくしは……わたくしは……!」

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 21:16:45

    ほほほ保守

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 21:59:48

    保守保守保っ守〜

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 01:25:22

    続きが気になりますわ~保守ですわ~

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 03:06:23

    すき!!!

  • 106二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 07:05:06

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 12:16:33

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 16:36:40

    保守しゅしゅ!

  • 109Pドル絶対信仰者25/02/06(木) 21:16:52

    撫子「ワンッ、ツーッ、スリーッ、フォーッ……ワンッ、ツーッ、スリーッ、フォーッ……!」
    学P「…………」
    Dトレ「…………」
    学P(…………中間試験が終わってから、1ヶ月が経った。撫子さんは、前よりも遥かにレッスンや授業に集中し、仕事も沢山こなしている……が)
    Dトレ「……プロデューサー、お前が見に来たということは、そういうことなんだな」
    学P「……えぇ。ここ最近は様子見をしていましたが、撫子さんの様子が明らかにおかしい」
    Dトレ「……私も、最初こそ集中しているだけだと思っていたが……明らかに何かを振り払おうとしている。……仕事の様子は?」
    学P「……今まで通り真面目に……と言いたいところですが、こちらもキレが悪い。何かを取り戻そうとしているような、それでいてもがいているような……見てて不安になるパフォーマンスです」
    Dトレ「だよなぁ……」
    撫子「はっ……!! はぁっ……!! はっ……!!」
    Dトレ「藍井、少し頑張りすぎだ。ちょっとは休まないとダメだ」
    撫子「……いいえ! まだやれますわ!! もうワンセット!!」
    Dトレ「藍井…………」
    学P「ダメです。撫子さん、そろそろ休んでください。プロデューサーとしてこれ以上────」

    撫子「────お黙りなさい!!」

    学P「…………!!」
    撫子「わたくしは…………自分の事を……!! わたくしを!!」
    学P「…………」
    撫子「…………っ! ……少し、頭を冷やしてきますわ……!!」
    Dトレ「お、おい!! 待て藍井!!」
    学P「…………撫子さん」
    ⏱ ̖́-‬
    学P「…………」
    学P(普段なら、今週行ったライブの総括をする予定ではあるが……撫子さんが来ない。一応体調が優れていないという連絡自体は来たが……)
    学P「…………体調不良……では無いよな……」
    学P(最近のライブを見返しても、明らかに撫子さんのキレが悪い)カチカチ
    学P(普段のメスガキの鳴りを潜めて、極月モードに戻っている。それ自体はいい。メスガキモードであり続けてると、それが撫子さんのキャラとして悪い方へと固定化されてしまい、悪影響を及ぼす。主体はメスガキモードでありつつも、極月モードを織り交ぜることで、ギャップとコントラストを生み出す……それがプロデュースの方針だ)
    学P(……しかし、極月モードの前程の洗練さが消えている。細やかなミスも多い)

  • 110Pドル絶対信仰者25/02/06(木) 21:17:18

    学P(…………"何か"が、撫子さんの身に起きた……が、それが分からない。可能性があるとしたら、白草四音が接触した事によるものだが……それだけでは無いような気がする)
    学P「…………さて、どうするか」

    ────コンコン『失礼します。入っても宜しいですか?』

    学P「どうぞ」

    ???「────おや、お前一人だったのか」ガラッ

    学P「珍しい。いらっしゃい、"先生"」
    千奈P「止めてくれ。そう呼ばれるのは倉本さんだけと決めているんだ」
    学P「ははっ、悪い悪い。それでどうした、何か用か?」
    千奈P「いや、藍井撫子さんのことで少しな。藍井さんがいないなら丁度いい。……最近、調子悪いみたいだな」
    学P「……まぁな。流石に知っているか」
    千奈P「良くも悪くも交流生だし、倉本さんも心配しててな。どうやら、クラスでもあまり話さないらしい。色々と誘っているらしいんだが、のらりくらりと躱されてて、泣きつかれてしまった」
    学P「やっぱり、クラスでもそんな感じか。仲良くはなれそうだったんだけどな……」
    千奈P「それでなんだが……1ヶ月程前、いつもの三人プラス藍井さんが遊びに行ったことは知っているか?」
    学P「それは俺も知っている。撫子さんが、わたくしでいいのかってずっと悩んでいたから」
    千奈P「あぁ、その三人で遊びに行くまでは良かったんだけど……帰り道、あの白草四音に会って、藍井さんは白草四音と一緒に帰ったみたいなんだ」
    学P「っ……やっぱりか……」
    千奈P「やっぱりって……知ってたのか?」
    学P「いや、知らなかったんだが、撫子さんがなんの前触れもなく調子を崩すとしたら、極月か白草四音が絡んでいるのは間違いないからな。……しかし、問題はそこで"何"を言われたのか……だよな」
    千奈P「……俺としても、倉本さんがこれ以上悲しむのは見たくないからな。なんとかしてやりたいが……力になれなくてすまない」
    学P「いや、いいんだ。これは俺の問題だ。……それに、遅かれ早かれこうなるとは思っていた。予想以上に難解な問題になっちゃったけどな」
    千奈P「あとそうだ。それについて、あの篠澤さん大好きから伝言があるんだ」
    学P「……お前、その言い方辞めてあげろよ」
    千奈P「お前だって呼んでるだろ? あいつも気に入ってるみたいだし。それで、伝言なんだが────」

  • 111Pドル絶対信仰者25/02/06(木) 21:18:08

    学P「…………」
    千奈P「────ってことなんだ」
    学P「……マジか、お前らそんなことしてたのかよ……ちょっと良い奴過ぎて引くぞ……」
    千奈P「そりゃあだって、昔からのお前を見てたら応援したくなるし。それに、これは篠澤さんが発端でもあるんだ」
    学P「篠澤さんが?」
    千奈P「『新しくできた私の友達、失うなんて嫌』だとさ。……本当に、良い人達に恵まれたな」
    学P「…………本当に、つくづくそう思うよ。それにしても、短期とは言え俺が撫子さんのプロデューサーなんだから、普通俺に相談とかしないか?」
    千奈P「まぁ、サプライズってやつだよ。あと俺達がやったのは、あくまで根回しと環境の整備だ。……あとはお前ら次第」
    学P「……ありがとうな」
    千奈P「どういたしまして」
    千奈P「……ところで、藍井さんと言えば覚えてるか? お前自己紹介の時に─────」
    学P「あぁもう!! いいだろその話は!! 俺はもう行く!!」
    千奈P「くくっ、あー面白い。行ってらっしゃい。倉本さんの為にも、宜しくな」
    学P「────分かってるよ。絶対連れ戻す」
    千奈P「…………あぁ」

    ⏱ ̖́-‬

    撫子「…………」
    撫子(…………ライブの総括……休んでしまいましたわ……)
    撫子(でも……どんな顔すればいいのか……分かりませんもの……)
    撫子(……プロデューサーを怒鳴りつけて……挙句レッスンを放り出して……)
    撫子「何をやっているんでしょうか……本当に……」
    撫子(プロデューサーには……感謝している。アイドルとしての人気が、あの人のおかげで更に伸びた。それに、変態で気持ち悪いプロデューサーではあるけど、あの人が悪い人では無いことは……少しだけど、分かっているつもりだ)
    撫子(わたくしのことを真っ直ぐに見てくれて、自分のことのように喜んでくれる人は、家族以外にいなかった)
    撫子(……そう、四音お姉様でさえも。あそこまで真っ直ぐ見てくれはしなかったと思う)
    撫子(自分でも笑ってしまいますわ。3ヶ月程しかいなかったのに、もうここまで心を開いてしまっているのですから)
    撫子(だから……だからこそ、わたくしは、分からない)
    撫子(今、わたくしがどうしたいのか。何を望んでいるのか。答えが、全くと言っていい程出ない)
    撫子(まるで、海を漂う亡霊船のように……)

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:32:24

    ほーしゅほしゅほしゅほしゅ!

  • 113二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 23:02:51

    保守

  • 114Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 00:19:52

    撫子(月も、星も、何も見えない真っ暗な海を漂う感覚……当たり前ですわ、そんな場所じゃ、どうやっても目的なんて見えるはずがありません)
    ピコンッ♪
    撫子(……四音お姉様から……連絡……?)
    四音『あの件、考えは纏まりましたか? 天川駅の高架下で待ってます』
    撫子(お姉……様……)
    撫子「…………」

  • 115Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 00:20:26

    ‬四音「────撫子。久しぶりですね」
    撫子「…………お姉様」
    四音「ここなら人通りも少なく、私達が会っていても問題はありません。そして、ここに来てくれたということは、もう考えは決まったのですか?」
    撫子「…………いえ……その……」
    四音「……撫子。私は、本当に貴女の事を案じているのです。貴女を思い、貴女の事を信頼しているからこそ、貴女の為ならどんな無茶でもできる。これが私の思いです」
    撫子「勿論……お姉様のことを分かっております。ただ……」
    四音「ただ?」
    撫子「……わたくしにも、分からないのです。わたくしが、どうしたいのか、どうすればいいのか……何も……何も分からない……考えたくないのです……考えれば考える程……坩堝に嵌ってしまうような気がして……」
    四音「…………撫子」
    撫子「…………わたくしは……グスッ……お姉様のことを裏切りたくない……ヒッ……でも……でも……分からない……ヒグッ……」
    四音「……裏切るなどと……貴女がこの手を取ってくれさえすれば、全て丸く収まるのですよ?」
    撫子「違うっ……!! 違うのですお姉様……!! 今貴女の手を取れないこれこそ……!! ヒック……貴女への、極月への裏切りなのです……!!ウグッ……!!」
    四音「撫子……大丈夫ですよ、泣かないで。さぁ、共に極月へと帰りましょう? 全ては、悪い夢だったのですから」
    撫子「いいえっ……いいえ! 初星は良い所でした……!! 極月も悪い場所ではない……ヒック……けど! わたくしには、初星の温かさが心地よかった……!!」
    撫子「極月の冷たさも……アイドルには必要なこと……エグッ……ウグッ……覚悟無き者には、未来なんてあるわけないのだから……ウゥッ……でも……でも……!! 初星の温かさに……わたくしは……ヒック……もっと、触れたいと思ってしまった……!!」
    撫子「でも……でも……ヒッ……極月にも……帰りたい……!! お姉様と……もっと一緒にいたい……エグッ……お姉様と……アイドルがしたい……」
    撫子「……ごめんなさい……ごめんなさい……お姉様……ヒグッ……わたくしは……わたくしは……!! 迷いたくないのに……裏切りたくないのに……ヒック……わたくしは……!! 初星に来てから……迷ってばかり……!!」

    「────いいえ、だからこそ、俺がいるんですよ」

  • 116Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 00:21:06

    撫子「……………………え?」
    四音「………………貴方は」

    学P「────ダメですよ撫子さん。貴女にそんな顔は似合いません。貴女は常に高らかと笑い、誰かの笑顔の為に笑顔を見せるべきなんですから」
    撫子「……プロ……デューサー……グスッ……なんで……ここに……ヒック」
    学P「貴女の変態ストーカーですから。どこにいようと、どこに迷おうと、必ず見つけ出して手を引いてみせますよ。それが、俺の使命です」
    撫子「ううぅぅぅ……!! ほんっとうに、気持ち悪いプロデューサー……エグッ……ですわ……!」
    四音「…………貴方が、撫子におぞましい概念を付けた最悪のプロデューサーですね」
    学P「初めまして、白草四音さん。初対面だと言うのに、随分な物言いですね」
    四音「当たり前でしょう? この子のプロデューサーを名乗るだけに飽き足らず、メスガキ等と気持ち悪い概念を植え付けて……本当に、吐き気が止まりません」
    学P「確かに、それについては否定しません。ですが、撫子さんのパフォーマンスに煽りは外せないものであり、現にデータがあります。それに、撫子さんをデビューから追ってる最古参の評判もいいんですよ。要は物言いの問題です」
    四音「データなど、いくらあっても意味ありません。撫子の未来を潰しかねない危ない賭けに変わりは無いではありませんか。この子に必要なのは、清廉で慎ましい美しさ。それが分からないのですか?」
    学P「分かりますよ。恐らく貴女よりも」クイッ
    四音「……なんですって?」
    学P「聞こえませんでしたか? 俺は貴女よりも撫子さんを理解している。故に潰させない、絶対に。危ない賭けだろうが、なんだろうがそれを押し通し、俺は撫子さんをトップアイドルへと導く」
    四音「ふざけるな……たかだか短期交流の、仮のプロデューサーが、何を根拠に言っている……?」
    学P「覚悟ですよ。撫子さんの為ならなんでやる。地の底だろうが、地獄だろうが、悪魔に魂を売ろうが、撫子さんの為に全てを惜しまない、その覚悟────貴女も、同じでしょう?」
    四音「……っ! 黙れっ!! 結局お前は!! この短期交流が終われば、いや、今この瞬間に、用済みになる矮小なプロデューサーに違いないだろう!!」
    学P「用済みになんてなりません。撫子さんが、俺を必要とする限り。……さぁ、撫子さん。俺の手を、信じて取ってください」

  • 117Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 00:22:47

    四音「撫子はボクと共に極月へと帰る!! それはもう決められたことだ!! 撫子!! 貴女はボクの手を取ってくれるはずでしょう!!??」
    撫子「……あっ……う、あ……あ……わた…………わたく……し……は……」
    四音「撫子っ!!!!」
    学P「大丈夫です。撫子さん」
    撫子「あ……………」
    学P「俺を、信じてください。必ず、貴女の最善の未来へと導いてみせます」
    撫子「…………プロデューサー……」
    四音「馬鹿なことを言うな……!! お前が導くだと……!? そんなことが出来るわけが無いだろう!! 撫子はボクの隣で!! アイドルをやることこそが最善の道だ!!」
    学P「いいえ、それは違う。撫子さんは、羽ばたく時が来た。貴女という美しい月を追い求めるだけではなく、自ら星の自覚を持ち、己が輝きを見せつける時が」
    四音「黙れっ!! 黙れ黙れ黙れっ!! 何故お前がそこまで入れ込む!? お前はっ、お前は撫子に何も関係の無い人間だろう!? そんなお前が、何故そこまで!!」
    学P「違います。俺は────」

    学P「────藍井撫子という一番星のプロデューサーだ」

    学P「一度プロデュースしたアイドルは何があっても見捨てない。必ず最善の道へと導く。それがプロデューサーです」
    学P「…………さぁ、撫子さん。選んでください。酷な選択を強いているのは分かっています。けれど、いずれ来る選択に違いは無い」
    四音「撫子っ!! ボクと共に、極月へと帰るんだ!!」
    学P「撫子さん。どうか、俺を信じて」
    撫子「わた……くし……は……」
    撫子「…………………………」
    撫子(1ヶ月前には……出来なかった選択を……今……決めなければならない……)
    撫子(わたくしは……今も暗闇を揺蕩っている……けれど、決めなくてはいけないなら……月明かりもなく、星も無い暗闇を往かなければいけないなら……わたくしは……)
    『────自ら星の自覚を持ち、己が輝きを見せつける時が』
    撫子「…………ごめん……なさい……」

    お許しください。
    裏切ることを、貴女という月の光から目を背けることを。どうか、どうか。わたくしは、わたくしは今始めて、月のない世界を、星となって歩き出します、

    撫子「────どうか、わたくしをお許しください、四音お姉様…………」

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 00:37:06

    こんなにカッコイイ変態プロデューサーが今まで居ただろうか

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 01:18:31

    保守しなければ

  • 120二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 04:14:20

    変態のくせにかっこいいなこいつ・・・
    変態のくせに・・・

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 11:29:46

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 15:29:28

    このレスは削除されています

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 15:30:29

    このレスは削除されています

  • 124Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 15:58:17

    四音「────なで……しこ……貴女は……貴女も……ボクの元から離れるというのか……?? また……ボクは……間違えたのか……??」
    撫子「お姉様! わたくしはただ……!!」
    四音「違う……ボクは……私は……!! ただ、貴女が……!! 撫子と一緒に……!!う……!!あぁああ……!! あぁあああ!!!!」
    学P「四音さんっ!!」
    四音「うるさいっ!! クソっ……クソっクソっクソっ!!!!! 覚えていろプロデューサー!! お前のせいだ……お前のせいで……ボクは……!! クソォッ!!!!」

    学P「…………行ってしまった」
    撫子「お姉……様……あ……うぅ……!!」
    学P「…………申し訳ありません、撫子さん。貴女に、辛い選択を強いてしまった」
    撫子「うぅ……うぅうう……!!」
    学P「…………俺のせいです。俺がもっと優秀な人間なら、貴女にも、四音さんにも苦しい選択をさせずに済んだ」
    撫子「わたくしのっ……わたくしのせいで……!! 誰よりも敬愛する人を……!! 裏切ってしまった……!!」
    学P「……撫子さん」
    撫子「……わたくしは……わたくしはこれからどうすればいいのです……! 貴方を……貴方を信じていいのですよね……!! 貴方が、わたくしの道標になってくれるのですよね……!?」
    撫子「何も無く、極月を裏切り、お姉様も裏切った、もう何も見えないわたくしを……!! 貴方が導いてくれるのですね……!?」
    撫子「今……わたくしは全てを失った……!! アイドルとして生きた4年間を否定し、わたくしの手を引き続けてくれたお姉様を裏切って……!! そんな、そんな何も無いわたくしでも……貴方が導いてくれるんですよね!? 初星の温かさに触れて、変わってしまった、このわたくしを!!」
    学P「…………撫子さん、貴女は何も変わっていない」
    撫子「どこがです!! ただ、ただアイドルをやれるだけで良かった!! 四音お姉様の隣で!! 後ろで!! あの人の背を追いかけるだけで良かった!! それなのに……それなのに!! 貴方と、あのお人好しな初星の温かさのせいで!! わたくしは、お姉様の光から目を背ける選択をしてしまった!!」
    撫子「苦しい……!! 苦しい……!! 選択をしたのは……わたくしなのに……!! どちらの手を取っても……苦しいだけだと分かっていたのに……!! わたくしは……選択を……!!」

  • 125Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 15:58:46

    学P「…………」
    撫子「…………それでも……!! それでも……!! 貴方を信じたい……!! 間違いたくない……!! この選択が……間違いで無いと……信じたい……!!」
    撫子「…………お願い……します……わたくしを……どうか……信じさせて……!!」
    学P「…………撫子さん」
    撫子「うっ……うぅ……!! うううう!!」
    学P「……ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。……貴女をこんなに苦しませてしまっているのは、全て俺の責任です。……本当に、ごめんなさい」
    撫子「あぁっ……!!うぅぅうう……」
    学P「…………」
    学P「……撫子さん。着いてきて欲しいところがあるんです」
    撫子「……着いてきて……ヒック……欲しいところ……??」
    学P「…………もしかしたら、貴女は俺の事を軽蔑するかもしれない。気持ち悪いと、罵るかもしれない。それでも、貴女が俺の事を、信じてくれるように。貴女の選択が、間違いで無いと、自分自身を信じられるように。貴女に、見て欲しい物があるんです」
    撫子「……なんなんですの…………それは……」

    学P「────俺の全ての原点。夢の……始まりです」

  • 126Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:53:39

    自分の夢の原点。そう彼が言った物は、天川駅から少し歩き、初星学園の方角にあった。
    わたくし達は、道すがら何も話さなかった。ここはよく仕事帰りに通るところだけど、普段のように、悪口を言い合うようなことは無く、ただ、何も話してはいけないという重い空気が、わたくし達の沈黙を助長していた。
    彼が何を見せたいのか、何を語ろうとしてるのか、わたくしにはさっぱり分からない。けれど、思えば彼が自分のことをさらけ出そうとしているのは始めてで、自分を信じて欲しいなどと言えば、大人しく着いていくしか選択肢は無かった。
    歩いて数分だったか、しかし、数時間も経っているような、時間もあやふやなまま歩き続けて、不意にプロデューサーの足が止まった。それにつられて、プロデューサーと同じ方向に直る。

    「……ここって────」

    ────そこは、初星学園のプロデューサー寮だった。
    何故? ここに何があるのか? そんなわたくしの疑問が口に出るよりも先に、プロデューサーが歩き出す。

    「……行きましょう」
    「…………はい」

    普段なら、プロデューサーに疑問の一つや二つをぶつけるところだけど、今のわたくしに、そんな気概は残されておらず、ただプロデューサーに着いて行くだけ。1階、2階と階段を上り、3階の踊り場に着いた所で、左へと曲がった。そして2つ程のドアを通り過ぎた所で、彼は立ち止まった。標識をチラリと見れば、確か名刺に書かれていた彼の苗字。恐らくここは、プロデューサーの部屋なんだろう。
    プロデューサーがポケットから鍵を取り出し、回したところで、ふと動きを止める。

    「…………先に言っておきます。決してやましい気持ちは無く、ただ撫子さんに見せたい物があるだけです」
    「…………貴方がいくら変態でも、わたくしを連れ込むような悪人でない事くらい、もう知っています……」

    ここまで来てこう言うとは、この人は本当につくづくプロデューサーという生き物なんだろう。

    「……ありがとうございます」

    プロデューサーが鍵をしまい、扉を開けた。

    「……どうぞ、入ってください」
    「…………お邪魔しますわ」

    玄関先は、特になんの変哲も無い、普通の所だった。
    良くも悪くも、普通の、一般的な男性の部屋。……こんな所で、一体何を見せようとするのか。

  • 127Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:54:37

    「…………この先に、俺の原点が、夢が、あります。……少し、散らかっていますけど。許してください」

    プロデューサーが、リビングへのドアノブに手をかけながら言った。その手は、少し震えている。
    恐らく、彼も躊躇しているんだろう。わたくしが、もしかすればプロデューサーを拒絶するかもしれない、気持ちが悪いと、一蹴する"何か"。
    ……一体、何を見せようと言うのか。

    「…………わたくしを、信じさせてくれるのでしょう? 早く、見せてください」
    「……………………………分かりました」

    プロデューサーが、意を決したような表情をして、ドアノブを強く引き、その重苦しい扉が開かれた。

    ────そして、彼の夢の原点、始まりを、わたくしは知る。

  • 128Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:55:07

    「…………これ……は……」

    ────いや、わたくしはそれを、"もう知っていた"。

    「…………中々、見せるとなると苦しい物ですね、これは」
    「えっ……いや……これ……」

    扉の先にあったのは、おびただしい程のアイドルのグッズが飾られた、ピンク色の部屋だった。壁一面に貼られた大量のポスターから始まり、ダッシュボードに貼り付けられたブロマイド。大きな棚に飾られた無数のアクリルスタンドは数段に分けられて飾られており、横には高級そうなスピーカーと再生機器がある。しかもその近くには何段も積み重なったCDが置かれていた。
    ベッドには大きなぬいぐるみ、その近くには所謂痛バだろうか? これまた大量の缶バッジが、透明になった背面から覗いていた。しかも、数個同じような鞄が。

    「へっ……いや……へっ?? これが……プロデューサーの……原点……え??? だってこれ全部────」

    この時、わたくしの悩みや苦しみは、一時的ではあるがどこかへといってしまった。なぜなら、脳が理解を拒絶していたからだ。あまりにも突拍子すぎて、あまりにも突然すぎて、それ程までにこの光景はわたくしにとって異常なものだった。
    だって、だって、プロデューサーの夢の原点。全ての始まりのアイドルが────

    「────これ……全部、"わたくし"……??」

    ────わたくしが、"藍井撫子"が、プロデューサーの夢の始まりなんて。

    机の上、棚、床、カーテン、ベッドの上、全部に至るまで、わたくしのグッズで埋めつくされたプロデューサーの部屋で、渦中の人は、大きくため息をつき、何かを観念したかのように語りかけてきた。

    「…………はい。本当は、ずっと隠し続けようと思っていたんですけど」
    「このグッズの量……い、一体……いつから……?? いえ、このタオル……まさか、中等部の、わたくしのデビューしたライブの……」
    「……始めは、友人に連れられただけでした」

    プロデューサーは、一際大きな棚の一番中腹。一番大事そうに飾られている、団扇とタオルを愛おしそうに見つめながら、ポツリポツリと話し始めた。
    まるで、その時を今も感じるように、今もその時間にいるかのように。

  • 129Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:55:28

    「高校生の時、熱心なアイドルファンの友人に連れられたライブ会場で、貴女を見つけました」

    『────極月学園中等部1年! 藍井撫子です!! 本日からデビューしました!! 宜しくお願い致しますわ!!』

    「俺はその時、アイドルなんて興味無くて、個数制限のあるグッズが欲しい友人の為に、物販までの暇つぶしのつもりでした」
    「…………そこで見た貴女は、本当に酷かったですね。ダンスは拙く、歌もそこまで上手いわけじゃない。振りを間違いない為に、観客なんて見ていなくて、ファンサービスなんて考える余裕も無かった」
    「素人目に見ても下手くそで、思わず笑ってしまう程でしたよ」
    「……貴方、罵倒する為に呼びましたの??」
    「いいえ、そんなつもりは。……でも、そんな貴女のパフォーマンスが、何故だか分からないけど、ひどく心に焼き付いたんです。貴女の楽しそうな、心からアイドルを好きだと分かる撫子さんの姿が、とても、とても魅力的に見えた」
    「それからはもう、貴女に首ったけですよ」

    そう自嘲的に話すプロデューサー。でも、この言葉に嘘はなく、心から藍井撫子というアイドルが好きなんだと、逆にわたくしの方が気恥ずかしくなってしまった。

    「それから、俺の夢が決まりました。いつか、撫子さんのような、人の心を動かすアイドルを育て上げるプロデューサーになりたいと。アイドルの夢を、必ず叶えられるようなプロデューサーになると。もう、必死に勉強しましたよ。なんせ、今までアイドルなんて微塵も興味無い人間が、突然アイドルのプロデューサーになろうとしてるんですから」
    「…………それが、貴方の……夢……そしてわたくしが、貴方の夢の始まり……」
    「はい。受験勉強の最中も、初星学園のプロデューサー科に合格した後も、貴女を片時も忘れることができず、ずっと追いかけてました。ライブも現地でほぼ全て見て、グッズも買い込んで、そしたら、いつの間にか部屋もこんな風になってしまっていて」
    「……初星学園に来て、どんなアイドルを見ても、貴女程胸が高鳴ったアイドルはいなかった。貴女のことを思い続けて、撫子さんなら、あの子ならって、永遠と考えていたら、いつの間にか2年になっていて。なるべく早く担当を見つけなくてはいけないのに、それでも、貴女の事が忘れられなかった」

  • 130Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:56:01

    「だから、貴女を学園で見かけた時は、本当に嬉しかったたですし、交流生でしばらく学園にいると聞いた時は、内心ずっと大喜びですよ。だって、ずっと恋焦がれた憧れの人が、今目の前にいて、さらには自分が────」
    「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってくださる!? 一旦、一旦整理させてくださいませ!!」

    ようやく現状を受け入れ始めた脳みそが、今度はプロデューサーの大きすぎる好きを受け止めきれずに、別の意味でショートしてしまいそうだった。だからわたくしは、苦肉の策で、分かりきった現状を整理しようとプロデューサーの話を遮る。

    「はい、勿論」
    「…………えっと、つまり、貴方はわたくしをデビュー当時から追っている最古参で……わたくしを追ってアイドル業界へと足を踏み入れて…………って……まさか、さっき言っていた、メスガキモードが受けている最古参のファンって……貴方のことじゃありませんわよね……?」
    「………………はい、俺です」
    「ちょっと!! そこは否定してくれます!? これから貴方を信じようって大事な話をしようとしてた最中ですわよね!! しかももっともらしい理屈とデータで、自分の趣味を押し付けていたんですの!?」
    「……すみません、正直言うと、撫子ちゃん応援隊(非公認ファンクラブ)の皆さんの総意です。だからファンの皆さんの趣味です」
    「そんな物にも手を出してましたの!?!?」
    「俺が貴女のデビュー日に立ち上げました。なので俺が隊長です。これ会員証です(No.000001)」
    「本当に何をやってますの貴方!?!?」
    「だって……極月で公式ファンクラブが作られるのはAランク以上のアイドルだけですので……」
    「そ、それはBランクのわたくしが悪いのかもしれませんけど……というか! じゃあわたくしのことが気持ち悪い程詳しかったのって、最古参のファンだったからってことですの?」
    「はい」
    「…………本当に、わたくしのストーカーでは無いのですよね?」
    「…………はい」
    「だからっ!! その妙な間はやめなさい!!」
    「いや、本当に撫子さんのストーカーではありません。確かに、撫子さんの事は大好きですし、何よりも変え難い存在で、貴女の一挙手一投足全てを知りたいと思うのは本当です。けれど、俺は貴方のプロデューサーですから、ストーカー行為なんてしませんよ」

  • 131Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:57:05

    「っ!! そ、そんな風に言われても、き、気持ち悪いだけですのよ……!! よくもまぁ堂々と好きだのなんだの言えますわね! それとこれとは話が別ですわ!!」
    「もう全部バラしてしまったので、隠さなくてもいいかなって」

    ほ、本当にこのプロデューサーは……!! わたくしのことが好きすぎるのはなんとなく知っていましたが、まさかここまで重症だとは……!! なんなんですのもう!
    ……それにしても、現実味がありませんわね……何かの漫画みたいですわ。短期交流で、たまたま最初に会って、契約した変態プロデューサーが、わたくしをデビューから追っている最古参で、この変態さは、わたくしのことが好きすぎるあまり、ちょくちょく爆発していたから……って、結局変態に変わりないじゃありませんの。
    でも…………

    ……この部屋を見れば、分かる。どれだけこの人が、わたくしのことを想い、応援してくれていたのかを。
    その想いが伝わって、わたくしの心まで、暖かくなる。

    「…………本当に、わたくしをずっと見ていたんですのね。こんな大量にグッズを集めて、非公認のファンクラブなんて作ってまでして、とんだお馬鹿さんですわ」
    「……はい。すみません、ずっと隠していて」
    「……良いのですわ。寧ろ、わたくしに配慮してくださったんでしょう? 言うべきことと、言う必要の無いこと。その線引きしてくれていた心だけで、わたくしは嬉しいのですから」
    「…………撫子さん。貴女は、自分のことを変わったと言っていた」
    「…………」
    「でも、貴女は変わってなんていない。貴女の輝きは、デビューしたあの日から、俺に夢を見せてくれたあの時から、何も色褪せてなんていない」
    「人は変われない。どれだけ取り繕うと、変わったと思おうと、根底のその人の本質が変わるわけじゃない。変わるとしたら、その人が往く道そのもの。けれど、貴女の本質は、デビューしたあの日から、ただ月を追う人ではなく、自ら輝く光。そしてその光は、いつまでも優しく、他人を思うことのできる、優しい光だ」

    「────だって貴女は、こんなにも眩しい輝きを放つ、俺のスターなんですから」

    プロデューサーの想いが、慈しみが、心の底にじんわりと、ゆっくりと広がっていく。
    それが、とても心地良くて、優しくて。

  • 132Pドル絶対信仰者25/02/07(金) 20:59:22

    「…………わたくし、極月に帰りたいのは本当ですわ。お姉様と、アイドルをしたい」
    「はい」
    「でも、初星にいたいのも本当です」
    「えぇ」
    「……わたくしは、今道を決めることができません。どう進めばいいのか、どこを進めばいいのかも、分かりません」
    「はい」
    「……本当に貴方が、わたくしの道を、導いてくれますの? わたくしが、進む道を変われるように」
    「絶対に。貴女の最善の道へ、俺が導きます」
    「……全部、全部叶えてくれますか? まるで海を揺蕩うような、今の私に、貴方が羅針盤となってくれますの?」
    「はい。貴女に誓って、必ず」

    「────だから、俺を貴女の、羅針盤にしてください。俺が、貴女をプロデュースします」

    ────だから、この人を信じてみたいと、そう、思ったのです。

  • 133二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 21:31:52

    思わず読み返した
    好き

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 22:56:59

    保守しないと

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 01:28:31

    保守

  • 136二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 07:43:28

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 11:21:41

    保守いたしますわ~

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:44:12

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:15:52

    保守!

  • 140Pドル絶対信仰者25/02/08(土) 23:16:56

    学P「…………落ち着きましたか?」コトッ
    撫子「えぇ、まぁ。……迷惑かけましたわね」アリガトウゴザイマス
    学P「いいんですよ」
    撫子「んっ…………貴方、いつの間にか、紅茶を淹れるの上手くなりましたわね」
    学P「撫子さんの為に沢山練習しましたからね」
    撫子「はいはい。それにしても、改めて見渡すと、この部屋本当に落ち着きませんわね……よくもまぁ、こんなに大量に集めたものですわ。……これとか、あれとか、わたくしの知らないグッズもあるのですけど」
    学P「安心してください。全部公式から売られた物だけですよ」(E:撫子ちゃんプリントマグカップ)
    撫子「……本人の目の前で堂々とそれ使うって、貴方もう吹っ切れるにも程がありますわよ」
    学P「俺の宝物ですので」
    撫子「……もう何も言わないでおきますわ。貴方がわたくしのこと大好きな変態なんて、もうとっくの前から分かってたことですのに」
    撫子「というか!! なら貴方はなんで一々わたくしを煽るような物言いをしていましたの!! こーんな古参ファンなら、わたくしに対して普通は敬意を持つべきなのでは!?」
    学P「…………しょうがなかったんですよ。だって、ずっと追いかけ続けたアイドルが目の前にいるんですよ? しかも自分がプロデューサーとか、暴走しそうな胸の高鳴りを抑えるので、精一杯だったんですよ……」
    撫子「────へぇ??」
    学P「…………(まずいか?)」

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 07:26:17

    保守するね

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 11:17:36

    ほっしゅっしゅ

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 11:55:55

    すっげえ良いSSなんやけど楽しみや

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 19:09:06

    保守

  • 145Pドル絶対信仰者25/02/09(日) 20:43:59

    撫子「────ま、いいですわ。貴方の本心が知れましたし、何も変わらず、変態さんってことにしておいて差し上げますわ」
    学P「…………てっきり馬鹿にされるのかと思いましたよ」
    撫子「貴方……変態ロリコンストーカーに加えてドMなんて、本っ当に救えない人ですわ」
    学P「ドMではないのですが……」
    撫子「堪え性の無いワンちゃんには、帰ったら沢山罵倒してさしあげますわ、今はそんな気分じゃありませんの。…………それで、これからどうするつもりですの? わたくしの……その……要望を、えっと……全部叶えてくれるって……言いました……よね??」
    学P「自分で言っておきながら、恥ずかしがるのも可愛いですね」
    撫子「もうっ!! 揶揄うのは止めなさい!! 実際どう考えてますの!!」
    学P「……まぁ、策はあります。ですが、その内容はまだ言えません」
    撫子「? それは何故?」
    学P「これが成功するかは、撫子さんにかかっているからなんです」
    撫子「わたくしに……?? 話が見えてきませんわね……」
    学P「今、倉本さん、篠澤さん、花海さんのプロデューサー3人と合同であるプロジェクトを行っています。それを聞かされたのは俺も今日ですけど、それに入り、それを成功できるよう全力で働くつもりです」
    学P「……そして撫子さん、貴女には必ず、今度の最終試験で合格し、講堂でのライブを行ってほしいんです。撫子さんが合格さえすれば、絶対に成功します」
    撫子「…………そうすれば、わたくしのやりこと、全てが叶えられるのですね」
    学P「プロジェクトと言っても、そこまで大きな物ではありませんが……しかし、貴女の願いを叶えるのには十分な大きさです」
    撫子「…………信じて、良いのですよね」
    学P「はい、俺が保証します。ですが、貴女には一途に合格のことだけ考えて欲しいので、今はその内容を何も言うことはできません。……すみません、俺を信じてくれるって言ってくれたばかりなのに」
    撫子「ほーんと、そうですわ。貴方って変なところで秘密主義者なんですから。……まぁ、そんなプロデューサーを信じようと思ったのも、わたくしなんですけれど」
    撫子「…………」
    撫子「……また、お姉様と、アイドルできますか?」
    学P「はい」
    撫子「初星にも、いられますか?」
    学P「勿論。貴女の羅針盤を、どうか信じてください」
    撫子「…………はい、分かりましたわ」

  • 146Pドル絶対信仰者25/02/09(日) 20:44:57

    撫子「〜♬」
    Voトレ「────はい。とっても上手でしたよ、藍井さん」
    撫子「……ふぅ。ありがとうございます、トレーナー」
    Voトレ「最近、凄く調子が悪かったみたいだから心配でしたけど……以前よりも格段に良くなっています。流石ですね」
    学P「えぇ。本当に、流石ですね」
    Voトレ「…………ところで、ひとつ聞いてもいいですか? プロデューサー」
    学P「なんでしょう」
    Voトレ「…………それ、何ですか?」
    学P「何って……普通のノートパソコンですが……」
    撫子「なにっ!! がっ!! 普通ですの!! この変態!! わたくしのステッカーを所狭しと貼るに飽き足らず、ピンク色に染めるとか頭おかしいんじゃないんですの!!」
    学P「痛い、痛いです。蹴らないでください。あとこれは俺の推しパソコンです。人の物に関しては撫子さんにも止める権利がありません」
    撫子「少しは!! 隠す努力を!! しなさいと言ってるんのです!!」
    学P「痛い、痛いです。やめてください」
    撫子「トレーナーも何とか言ってくださいまし!!」
    Vo「うーん、プロデューサーが自分の担当を全面に押し出すのは悪いことじゃありませんからね……私にはなんとも」
    撫子「うぅ……!! この前は自分のことをなんとか教教皇って意味分からないことを言うプロデューサーもいましたし……!! 本当にこの学園どうなってますの……!!」
    学P「本当に撫子さんが嫌と言うなら、使うのやめますよ」
    撫子「そ、そこまでは言ってませんわ!! ただ節度を守れと言ってますの!! お分かりですか!?」
    Voトレ(そこで辞めろとは言わないのが、撫子さんの可愛いところですよね)
    Voトレ「さて、取り敢えずそれは置いておいて。プロデューサー、今日は撫子さんに渡したい物があるんでしたっけ?」
    学P「はい。本当なら2人の時に渡す物かもしれませんが、生憎時間があまり残されていません。ですので、トレーナーさんにも同時に見ていただきたく」
    撫子「な、なんですの一体……変なわたくしのグッズとかではありませんよね……??」
    学P「流石にそこまで節操無しじゃありませんよ」
    撫子「最近の貴方は、別の意味で信用できませんのでっ!」
    学P「安心してください。きっと喜んでくれると思います。ようやく完成したんですよ────」

    学P「────撫子さん、貴女の楽曲が」

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 23:32:15

    保守保守保守

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 07:29:43

    保守

  • 149Pドル絶対信仰者25/02/10(月) 12:55:38

    撫子「え」
    Voトレ「まぁ」
    学P「今朝届いたばかりなんです。ちゃんと確認もしてますので、まずは聞いてもらってもいいですか?」
    撫子「ま、まま待ちなさい!! 何を言ってますの!? 曲!? わたくしの!?」
    学P「はい」
    撫子「何故!? いつから!? え!? 何を言ってますの!? 何を言ってますの!?!?」
    学P「落ち着いてください」
    撫子「落ち着けるわけがありませんわ!! だって……だって……曲!? 本当に、本当にわたくしの曲なんですの!?」
    学P「はい。正真正銘、撫子さんの楽曲ですよ」
    撫子「わ、わたくしが……!! ついに、ついに自分自身で持ち曲を……!! 」
    撫子「ふ、ふふふ……!! うふふふふ!!!!」
    撫子「────やりましたわぁ!!! やったやったやったやったぁ!!!! 嬉しい嬉しい嬉しいー!!!! さいっこうの気分ですわ!!!!」
    Voトレ「あらあら、飛び跳ねちゃって。もう大喜びですね」
    学P(可愛い。後でレッスン用のカメラのデータ貰おう)
    撫子「プロデューサー!! 早く聴かせなさいな!! このわたくしの!! この藍井撫子の曲を!!」
    学P「はい、それじゃあ早速かけますね」
    ⏱ ̖́-‬
    撫子「────ふわぁ」
    学P「如何でしたか?」
    撫子「…………す」
    学P「す?」
    撫子「…………すっっっっっっごく、良い曲ですわ……」
    学P「良かった。気に入ってくれたみたいですね」
    撫子「……本当に? 本当にこの曲をわたくしが歌えますの?? これは、正真正銘わたくしの曲で良いんですのよね??」
    学P「はい。貴女の為に作られた、貴女と貴女のファンに届ける楽曲ですよ」
    撫子「わたくしと……ファンの……!! くぅうううう!! プロデューサー!! わたくし、嬉しさと胸のドキドキが止まりませんの!! よく作ってくれました!! 褒めてあげますわ!!」
    学P「ここまで喜んで貰えるとは、俺も嬉しいですよ」
    Voトレ「……この曲、今まで藍井さんがカバーしていたような曲とは全然違いますね。静かで、優雅で、それでいて激しく……可愛さとあざとさを全面に出していた従来とは、真逆の物を用意したんですね」

  • 150Pドル絶対信仰者25/02/10(月) 12:56:27

    学P「はい。最初こそ、ポップでキュートな路線でいこうかとも考えたんですが、撫子さんの魅力の本質は、極月と白草四音さんに憧れ、類稀なる才能と血のにじむような研鑽の日々に裏打ちされた圧倒的なパフォーマンスの精密さです。容姿と言動の可愛らしさと生意気さは、精巧で美しいパフォーマンスをさらに際立たせるエッセンスに留めた方がいい。故に、撫子さんのパフォーマンスを120%全面に押し出せる楽曲に仕上げました」
    学P「クラシックとバイオリンをベースにしつつ、テクノポップとEDMを織り込んだ、ダンス、歌唱、共にレベルが高い楽曲ですが、今の撫子さんならば軽くこなしてくれるはずです」
    Voトレ「…………(苦笑い)」
    学P「……あっ、すみません、どうにも撫子さんのことになると、歯止めが効かなくなってしまう」
    Voトレ「まぁ、それ程藍井さんのことを思いやっているという証拠です。私は良いと思いますよ。それと、この歌詞はプロデューサーが?」
    学P「はい。……奇しくも、撫子さんの現状を表すようなものになってしまいましたが」
    Voトレ「この歌詞、私は好きです。暗闇の海を迷い、光が見えずとも、それでも進み往く、強く気高い人の歌。……本当に、藍井さんの事が好きだという気持ちが伝わってきますよ」
    学P「……ずっと追い続けた、俺の光ですから。俺の人生の希望、夢、道、その全てが、撫子によって示された。撫子さんに出会わなければ、今の俺はいませんし、色の無い世界でずっと無気力に生きていたでしょうね」
    Voトレ「うんうん。気恥ずかしくなる想いをありがとうございます。でも、それ本人が聞いていることを忘れていませんか?」
    学P「えっ?」
    撫子「…………(真っ赤)」
    学P「あっ」
    撫子「…………ほんっとうに、貴方って人は……!!」
    学P「待ってください。つい高まってしまっただけなんです」
    撫子「わたくしのことを忘れている挙句……!! 小っ恥ずかしい想いの丈をばら蒔いて……!!」
    学P「違います。違くないけど違うんです。忘れてたわけじゃないんです」
    撫子「お黙りなさい!! このっ!! 変態っ!! ロリコンッ!!」
    学P「痛い、痛いです。叩かないでください」
    撫子「それと貴方!! ずぅっと前からわたくしのこと布教してたらしいですわね!! しかもところ構わず!! 誰かれ構わず!!」
    学P「ど、どうしてそれを……!!」

  • 151Pドル絶対信仰者25/02/10(月) 12:57:01

    撫子「千奈お嬢様とそのプロデューサーから聞きました!! 世界一可愛いだとか!! 撫子さん以上のアイドルはいないとか!! しかも入学当初からやってたとかばっかじゃありませんの!!?? 自己紹介で開口一番、推しの藍井撫子さんを宜しくとか訳分からないことを言ったそうですわね!!!!」
    学P「痛い、痛いです。あっ待って本当に痛いです」
    撫子「このっ!! このっ!! これを聞かされた時のわたくしの気持ち分かりますか!? すっごく恥ずかしかったんですわよ!! せめてもう少し言葉を選びなさいこの恥知らず!!」
    Voトレ(布教を辞めろ、とは言わないんですよねー)
    学P「でも全員そんなものですよ。皆推しとか担当のことになると結構気持ち悪くなるんですよ、いや本当に」
    撫子「よそはよそ!! うちはうちです!! 反省しなさいこの変態っ!! ストーカーッ!!」
    学P「分かりました分かりました。だからネクタイを絞めるのはやめてください。苦しいです」
    撫子「ふんっ!!!! ……ほんっとうに、恥ずかしい人ですわ」
    学P「……(案外悪くないかもしれない)」
    Voトレ「痴話喧嘩は終わりましたか?」
    撫子「違います!!」
    Voトレ「はい、そうですね。……さて、藍井さん、最終試験まで時間がありません。結構厳しくいきますけど、覚悟は出来てますか?」
    撫子「…………ふぅ。勿論ですわ。こんな変態で気持ち悪い人ですけど、わたくしの羅針盤を、信じようと決めましたので。相応の覚悟はもうできてます」
    Voトレ「宜しい。……それじゃあ、始めましょうか」
    撫子「宜しくお願い致しますわ!!」

  • 152二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 19:46:30

    保守
    楽しみ

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 23:02:08

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 06:06:59

    保守

  • 155二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 14:57:03

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:04:03

    てえてえ

  • 157Pドル絶対信仰者25/02/11(火) 21:52:03

    撫子「────そうして練習するうちに、もう、とうとう来てしまいましたね、この日が」
    学P「はい。いよいよ、最終試験です。……調子はどうですか?」
    撫子「問題ない……と、言いたいところですが、流石に震えがありますわね……」
    学P「無理もありません。このライブに、全てがかかっています。あまりプレッシャーになるようなことは言いたくありませんが、俺達のプロジェクトが成功するかは、この試験の合否にかかっています」
    撫子「分かっていますわ。貴方達のプロジェクトが成功すれば、わたくしはお姉様とアイドルをすることができ、わたくしは初星の皆さんとも一緒にいることができる……そうですわね」
    学P「はい。保証します」
    撫子「……それと、一つ聞いても?」
    学P「なんでしょう」
    撫子「…………お姉様は、わたくしのことを、許してくださるでしょうか」
    学P「……それは」
    撫子「……分かっていますの。貴方達のやっているプロジェクトは、きっとお姉様とアイドルができるように図らわれたもの。……けれど、それはお姉様への裏切りが許されたことにはならない」
    撫子「…………怖いのです。この震えは、緊張だけじゃない。仮に合格して、お姉様とアイドルができるようになったとしても、それはお姉様にわたくしを強いること。お姉様は、もう二度とわたくしのことを見てくれないかもしれない。そんな恐怖……無様ですわね。一度裏切ったわたくしが、こんなことを怖がるなど……虫がいいにも程があります」
    学P「……撫子さん。きっと、きっと大丈夫です。貴女は極月を、四音さんを裏切ってなんていない。……大丈夫、きっと四音さんは分かっていますよ。なんてったって、あの人は俺と同類なんですから」
    撫子「同類って……流石にそれは無いですわ。貴方失礼すぎではありませんか?」
    学P「……それを言う撫子さんも失礼ですよ」
    ────せーかーいでーいちーばんおーひーめーさーまー♩(着信音)
    学P「失礼。……はい、もしもし。……はい。はい……はい。ありがとうございます、伝えておきます。それでは(Pi)」
    撫子「……貴方の着メロ変な歌詞ですわね」
    学P「貴女をイメージしてるんですよ。それより撫子さん、貴女に朗報ですよ」
    撫子「?」
    学P「四音さんが、この最終試験を見に来ました。今、外部閲覧席にいるそうです」

  • 158Pドル絶対信仰者25/02/11(火) 21:54:20

    撫子「え、えぇ!? お、おお姉様が!? 何故!?」
    学P「決まっていますよ。貴女を見に来たんです。……やはり彼女は、俺と同類みたいです」
    なで「だからそれはどういう────」
    千奈「────藍井さんっ!!」バンッ!!
    撫子「ピエっ!?!? 何ごとって千奈お嬢様!!?? 驚かせないでくださいませ!!」
    千奈「も、申し訳ありません!! 藍井さんの最終試験で、いても立ってもいられなくなって……」
    広「ふふ、千奈が一番乗りって珍しいね」
    佑芽「悔しぃー! いつもは私が一番なのに!」
    撫子「み、皆さん……何故ここに……」
    佑芽「なんでって! 皆撫子ちゃんの応援に来たんだよ!」
    広「そう。撫子、今日は頑張ってね。きっと合格できるから」
    千奈「藍井さん! わたくし達は精一杯応援してますから!! 必ず合格できますわ!!」
    撫子「…………あ……う……う、ううぅぅう……!!」
    千奈「あ、藍井さん!? どうして泣いてますの!?」
    佑芽「な、なな泣かないで撫子ちゃん!! メイク落ちちゃうよ!?!?」
    広「……ビックリ。もしかして、プレッシャーになっちゃった?」
    撫子「違います……!! 違うんです……!! ううぅうううう!!!」
    千奈「あわわわわわ!!! ど、どうしましょうプロデューサーさん!!?? こ、こここ、このままでは最終試験出ることができませんわぁ!! わ、わたくし達、凄くいけないことをしてしまったのでは!?!?」
    学P「倉本さん落ち着いてください。大丈夫です。最終試験まで時間もありますし、撫子さんは倉本さん達の応援を受けて、感激のあまり泣いてるだけですので」
    撫子「(詳細に説明するなという蹴り)」
    学P「ほらね? 大丈夫そうでしょう? あっ、痛い、痛いです。やめてください」
    佑芽「…………大丈夫かなぁ」
    広「うん。きっと大丈夫」
    千奈「そ、それならいいのですが……」
    ⏱ ̖́-‬
    撫子「…………ようやく落ち着いてきましたわ」
    学P「……足が」
    撫子「自業自得ですわっ! この変態!! ……後で千奈お嬢様達に謝らないといけませんわね」
    学P「良かったですね、激励に来てくれて」
    撫子「…………まぁ、嬉しくは、ありましたけど。本当にこの学園はお人好ししかいませんんね」

  • 159Pドル絶対信仰者25/02/11(火) 21:54:46

    学P「…………撫子さん。この半年と少し、本当に、ありがとうございました」
    撫子「…………どうしましたの、らしくない。そんなに深々と頭を下げて」
    学P「あの日、客席越しでしか見た事の無い憧れの貴女と出会って、プロデュースさせてくれて、果てには俺の事を信じてくれた。……本当に、この短期交流の期間、俺は、世界一幸せだったと、胸を張って言えます」
    撫子「…………貴方」
    学P「…………そして、これから先、貴女がどんな選択をしようと、俺はそれを受け入れ、どこにいようと全力でサポートしますよ」スッ
    撫子「……これは、初星学園の封筒……? 中に何が入ってますの?」

    学P「……初星学園への、転校を手続きが出来る書類です」

    撫子「っ!! 初星学園への……転校……!」
    学P「一つ、準備が整いました。貴女が、初星学園にいられるようにと、篠澤さんと花海さんのプロデューサーが根回しをしてくれたんです。俺がやったのは極月と初星の最終調整位ですが……転校すれば、初星で、倉本さんや皆さんともアイドルを続けられます」
    撫子「それ……は……」
    学P「…………分かっています。撫子さん、貴女は極月で、アイドルをやりたい気持ちもあるんでしょう?」
    撫子「…………(コクリ)」
    学P「勿論、これまで通り、極月で四音さんと一緒に過ごすこともできます。これは、あくまで手段の一つ。必ず初星に来てもらう、なんてことは考えてませんよ。……極論、どちらにいても、初星の皆さんとアイドルができますし、四音さんともアイドルができます」
    学P「大丈夫です、今はまだ決めなくていい。ゆっくり、ゆっくり決めましょう。その為に俺がいるんですから」
    撫子「…………ごめんなさい、プロデューサー。わたくしの為に、ずっと動いてもらっているのに、わたくしは……本当に我儘ですわね」
    学P「良いんですよ。そんな貴女も、どんな貴女も、全部全部、俺が惚れた藍井撫子に変わりないんですから」
    撫子「……本当に、貴方って人は。最後の最後まで、恥ずかしい変態ですわね」
    学P「貴女のことになると、歯止めが効きませんから」

    スタッフ生徒「────失礼します。藍井撫子さん、そろそろ出番です。スタンバイお願いします」

  • 160Pドル絶対信仰者25/02/11(火) 21:55:51

    撫子「分かりましたわ、ありがとうございます。…………出番、来てしまいましたわ」
    学P「撫子さん。ずっと、応援してますから」
    撫子「…………ねぇ、プロデューサー」
    学P「なんでしょう」
    撫子「あの歌の歌詞。貴方が書いたんですよね?」
    学P「……拙いなりに、頑張りましたよ」
    撫子「そんな責めようとしてるわけじゃありませんの。……ただ、わたくしらあの歌詞にあるように、強くなんてありません」
    撫子「迷い。怯え。四音お姉様の後ろだけを追いかけてきて……自分で考えたことなど無かった。途端に月の光が消えれば、すぐに自分の場所なんて分からなくなる、小さな小さな帆船。それがわたくしです」
    撫子「…………それでも、それでも貴方は、わたくしが、星の光になって、自分自身で未来を照らせると、そう思ってますの? この、真っ暗闇の大海原を」
    学P「えぇ。勿論」
    撫子「…………即答じゃないの」
    学P「当たり前です。何度だって言いますよ。貴方は、自ら輝ける強く美しい光。それは、俺が保証します」
    学P「それに、何度迷っても何度道が見えなくなっても、必ず貴方の傍に行きますよ。俺は貴方の信じた羅針盤ですから」
    撫子「ふふ、変態ストーカーの間違いじゃないんですの?」
    学P「……まぁ、今の言い回しは誤解を招きますね」
    撫子「まぁ、試験前にこれを話せて良かったですわ。ようやくスッキリしましたので。……それじゃあ、行ってきますわ」
    学P「…………はい。行ってらっしゃい、俺のスター」
    撫子「えぇ。とくとご覧なさい」

    撫子「─────貴方の一番星が、輝く様を!!」

  • 161Pドル絶対信仰者25/02/11(火) 22:05:15

    ここまで見ていただいて、本当にありがとうございます。
    長い時間をかけて、ようやく最終試験前まで漕ぎ着けることができました。
    SSどころか文もろくに書いたことがない、こんな自分のものを見てくださって本当にありがとうございます。
    見切り発車で始めて、書き溜めもせず、投稿時間もバラバラで、ろくに校閲もしていない拙い文章ですが、沢山の保守と応援を受けてここまで来れました。

    いよいよ残すは、最終試験とエピローグを残すだけになりました。
    最終試験とエピローグは書きたいこと沢山ありますし、地の文多めになるので、一旦ここでこのスレは終わりにしようと思います(多分200超えて中途半端なまま次スレにいっちゃうので……)

    最終試験とエピローグは書き溜めをして、スレ立てしたら一気に投稿する予定です。近々スレ立てする予定ですので、宜しければ見てくださると嬉しいです。

    展開等で、意味分からない、ここなんでこうなった? みたいな質問あればお気軽にどうぞ。

    改めまして、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございます。
    それでは、エピローグ編でお会いできると嬉しいです。

  • 162二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:45:00

    一旦お疲れ様です!
    続きを楽しみにしています!

  • 163二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:56:25

    果たして四音との確執をどうするのか……学Pの発言的に、初星に撫子が来て、完全にお別れとはならないと思うけど……

  • 164二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 01:03:20

    お疲れ様です
    楽しみに待ってます

  • 165二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 01:27:38

    スレ主のおかげで撫子推しになりましたありがとう

  • 166二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 08:32:14

    実装されんかな

  • 167二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 17:25:34

    神か・・・?

  • 168二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 18:30:53

    >>60

    短期の筈なのに四年間?って思ったらそういうことだったのか

  • 169二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 19:21:08

    めっちゃ面白かった

  • 170二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 21:35:00

    誰かこれYouTubeで反応集として纏めてくれないかな。音声と効果音付きで見たい

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