- 1湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 16:56:10
- 2湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 16:58:39
- 3湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 16:59:07
- 4湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 17:00:13
◇アシナシ
黒い泥のような姿をした妖怪。赤い二つの目だけが付いている。
人の形から異形の化け物まで、何にでも姿を変えられる。しかし、それは己を持たないことと同じ。
湯婆婆の姿と魔力を利用して、現世を不思議の世界に取り込むという野望を秘めている。 - 5湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 17:00:51
- 6湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 17:18:48
——暖炉の炎が、赤々と揺れている。
湯婆婆は体を綺麗に洗い、バスローブに着替えた後、その前にどかりと座り込んでいた。
湯婆婆の目の前には、父役と兄役がひれ伏している。
額を床につけ、身を縮める二人。
そこへ、アンが湯婆婆の前に飲み物を運んできた。
「フン、遅いよ!!」
湯婆婆は、 それを乱暴にひったくる。
アンは、 ぴくりと肩を震わせるが、文句ひとつ言わず、 静かに頭を下げた。
湯婆婆は 飲み物を一気に煽る。
そして ガンッ!とテーブルに置き、父役と兄役の二人に怒鳴りつけた。
「この、バカの、マヌケの、恩知らずどもが!!自分たちの雇い主がすり替わったのに気づかなかったのかい!!」
湯婆婆の怒声が響き渡り、父役と兄役は さらに身を縮める。
「ははぁ〜っ!!」
二人は、床に這いつくばって、謝った。 - 7湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 17:19:13
一方、その扉の向こう側——
環奈は、息を潜めながら聞き耳を立てていた。
「(アンは……大丈夫?坊のことは? それに……このお湯屋は、どうなるの……?)」
不安が、胸の奥で渦巻いていた。
「フン……!」
湯婆婆が鼻を鳴らす。
「人間の世界に支店だなんて……!冗談じゃない……!」
「湯婆婆さま……」
父役が、おそるおそる口を開いた。
「あの偽物を、いかがなさいます……?」
その問いに、湯婆婆は目を鋭く光らせ、二人を睨みつけた。 - 8湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 17:19:50
- 9二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 17:56:57
- 10二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 17:58:57
全員で囲んでぶっ飛ばせ
- 11二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 19:33:44
- 12湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 19:58:33
- 13湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:09:52
「決まってるだろう!全員で囲んで袋叩きにしてやるのさ!!」
「し、しかし……!」
兄役が慌てて言葉を継いだ。
額に汗を滲ませ、怯えた目で湯婆婆を見上げる。
「敵はおそらく楽復時計台駅を通って、人間の世界に行っております……!我々が、そんなところへ行くわけには……!!」
湯婆婆は、舌打ちして続ける。
「じゃあ、ここに連れ戻すんだ!!バカでも分かる話じゃないか!!」
「連れ戻すとおっしゃっても……どうやって……?」
父役が、慎重に言葉を選びながら恐る恐る口を開く。
兄役も、息を詰めながら湯婆婆の顔色を窺った。
湯婆婆は、不機嫌そうに腕を組み、二人を見下ろす。
どうする気なのか——
湯婆婆の次の言葉を、環奈も扉の向こうで息を殺して待っていた。 - 14湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:11:49
- 15湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:12:08
(また留守になるんか……)
- 16湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:38:33
湯婆婆は険しい表情のまま、鼻を鳴らした。
「よし、あたしが手ずから捕まえに行ってやろうじゃないか」
その言葉に、父役と兄役が驚きのあまり顔を見合わせる。
「たとえ人間の世界だろうが、飛んでいって捕まえてやるよ!」
湯婆婆はフンッと鼻を鳴らし、勢いよく立ち上がった。
その場の空気が張り詰める。すると—— - 17湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:39:18
「……恐れながら、ご主人様」
アンの静かな声が響いた。
湯婆婆の動きが止まる。
父役と兄役は息を呑んだ。
扉の向こうで聞いていた環奈も、思わず胸が強く鳴るのを感じた。
アンは、ゆっくりと湯婆婆に頭を下げる。
「ご主人様がご不在のときを狙って、妖がまた入り込むこともあり得ます。おぼっちゃまのこともございますし……どうか……」
「うーん……」
湯婆婆は眉をひそめ、忌々しそうに唸った。 - 18湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:40:54
(湯婆婆「( dice1d2=2 (2) )」)
1. みくびるんじゃないよ。日が沈むまでに捕まえて戻ってきてみせる。
2. だったら(安価&ダイス)
- 19湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 20:41:09
- 20二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:05:18
- 21二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:20:00
1
- 22二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:20:50
- 23湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 21:24:45
- 24湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 21:37:05
「……だったら、あんたたちが探しな!」
その言葉に、場の空気が凍りついた。
父役、兄役、アン—— 全員が目を丸くする。
「わ、私たちが……ですか!?」
父役のうわずった声が響く。
湯婆婆は にやりと笑った。
「そうだよ!なんなら、賞金を出そう!それなら文句はないだろう?」
そう言うと、湯婆婆は椅子の肘掛けにどっかりと座り込み、指を軽く鳴らす。
「生け捕りにしてもよし、ころしちまってもよし……!捕まえた者には、うんと褒美を弾むよ!」
父役と兄役の目が見開かれる。 - 25湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 21:38:09
「よろしいのですか……!?ご主人様……!!」
アンが、驚愕の面持ちで声を上げた。
環奈も、扉の向こうで息を呑んでいる。
湯婆婆は、片手を大きく振るって言い放った。
「こうでもしなきゃ、あの怠け者どもは動かないじゃないか!それに!坊のためにも、一刻も早くあのバケモノを始末したいんだ!」
坊のために——
その言葉が出た瞬間、アンは何も言えなくなった。
坊を思う気持ちは、湯婆婆も自分も同じ。ならば 否定する理由がない—— - 26湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 21:40:09
父役と兄役は、ぎこちなく顔を見合わせる。
「か、かしこまりました……!しかし、何卒……何卒、我々にも十分な準備を……!」
父役の声は震えていた。
兄役も、額の汗をぬぐいながら、深く頭を下げる。
湯婆婆は 鼻を鳴らして頷いた。
一方——扉の向こうで聞いていた環奈は、心配を抑えきれなかった。
「(……それでも……大丈夫なのかな……)」
湯婆婆がどんなに強気でも、カエル男やナメクジ女たちがどれだけ数をそろえても——
あの泥の妖怪の恐ろしさを、環奈は身をもって知っている。
環奈は、胸の奥に広がる不安を抑えながら、そっと唇を噛んだ。 - 27湯屋 ◆va2KrOhAnM25/01/31(金) 21:40:47
(今日はここまでにさせていただきます。)
- 28二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:49:46
乙です
大丈夫かなみんな……