【SS】なぁ…

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:34:10

    「お前の担当の…ナカヤマフェスタだっけ?バレンタインのお返し、しなくても良いのか?」


    そんな事を同僚に言われて、ホワイトデーというイベントの存在を彼は思い出した。

  • 2二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:34:57

    3月14日───。
    歴史上では元禄赤穂事件が起きた年であるが、それを気にしているのは一部の歴史好きだけである。

    世間的にはバレンタインデーのお返しをする日として。あるいは、恋人達が愛を再び確かめ合う日としても知られているとか、いないとか。


    そして今日。
    トレーナーはその日にお返しとして贈るものを探すために、町に繰り出していたのだが……

    「うーん……」
    件のトレーナーは商店街の一角で立ち止まりながら、スマホに入っている家計簿片手に悩んでいた。

  • 3二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:35:27

    彼は今まで、バレンタインデーやホワイトデーというイベントには縁がなかった。
    学生時代、女子に義理チョコさえ貰うこともなければ、母親から定番のように貰うチョコレートすらもなかったのだ。

    だが、先月。
    担当ウマ娘のナカヤマフェスタから、義理ながらもチョコレートを貰ったのである。

    しかし、元より異性との付き合いが今まで殆んど無かった男。
    そんな彼に女性へのプレゼントを繕え、というのは酷な話であった。

    だがしかし、ここで諦めてしまっては何も始まらない。
    そう思った彼なのであったが…

    「困ったなぁ……」
    この通り、既に手詰まり状態に陥っているのだった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:35:46

    いくら中央のトレーナーという高給取りであれど、あまり高い買い物はできない。
    それに異性への贈り物として、あまり高すぎるものはよくないとも……

    「……」
    ふと、何かに気付いたように顔を上げる。
    彼が視線を向けた先にあるのは、一つの雑貨屋。
    ショーウィンドウに飾られている品々の中に、ある物が見えたからだ。

    (あ、これなら……)
    その店へと入っていく彼の表情はどこか晴れやかなものだった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:36:47

    その日の夕方頃。

    フェスタはいつものようにトレーニングを終え、ストレッチを行ってクールダウンを行っている。
    普段であればここで更衣室へ行き着替えをして、寮に帰るのだが、この日は違った。

    彼女はベンチに座って一息ついている最中なのだが、どうにも落ち着かない様子だった。
    隣に座るトレーナーにチラチラと目線を向けては、また逸らすといった行為を何度も繰り返している。

    それはまるで、恋する乙女のような仕草であり、以前の彼女を知っている者からすれば衝撃的な光景でもあった。
    そんなフェスタの様子に気付いているのかいないのか、トレーナーの方も少しソワソワした雰囲気を見せている。

  • 6二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:37:13

    二人の間に流れる空気感は非常に微妙なもので、傍から見れば非常に居心地の悪いものだろう。
    だが当人達にとっては、とても重要なことらしい。
    やがて意を決したような表情を浮かべると、トレーナーはゆっくりと口を開いた。

    「…フェスタ」

    「……何だよ?」
    「あのさ……これを君に受け取って欲しいんだ」
    「へっ? ちょっ!?」
    唐突に渡される小さな箱。

    思わず受け取ったフェスタだったが、それが一体どういう意味なのか理解できず混乱してしまう。

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:37:36

    「バレンタインデーの時に、フェスタからチョコレートを貰ったじゃないか。それでお返しをしたいと思って…」
    「いや待ってくれ! 私は別に見返りなんて求めちゃいなかったぞ!」
    「うん、でもね…これは僕の気持ちなんだ。だから受け取ってくれないか?」

    「ッ──!!」
    真っ直ぐに見つめてくる瞳に、内心ドキリとするフェスタ。

    「……分かったよ」
    観念するように小さく呟くと、フェスタは恐る恐るという感じで箱を開ける。

    中に入っていたのは、すみれの花があしらわれたネックレス。

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:38:01

    「これは…」
    「君をイメージして選んだんだ…どうかな?」

    「…まぁ…悪くないんじゃねえか?」
    ぶっきらぼうに答えるフェスタ。

    しかしその耳はネックレスに向けられており、尻尾も落ち着きなく揺れ動いている。

    その姿を見て、トレーナーはホッとしたように微笑む。
    「良かった…気に入ってくれたみたいだね」

    「…ふん、アンタが選んでくれたんだ。当たり前じゃねぇか」

  • 9二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:38:21

    その時、フェスタの顔が赤く染まって見えたのは───きっと夕日が当たっていたからなのだろう。

  • 10122/03/14(月) 23:38:53

    To be continued…

  • 11二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:40:16

    久々に甘々フェスタを見た気がする…染み渡るぜ…ありがとう…

  • 12122/03/14(月) 23:40:23
  • 13二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:43:23

    お菓子じゃなくてネックレス選ぶあたりやり手だな

  • 14122/03/14(月) 23:45:42

    さて(ズンコ)
    次のイベントが思い付きませんねぇ…
    いや、どうしましょ…

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:16:34

    ベタだけどお花見とかいいんじゃないですかね>イベント

  • 16二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 08:59:34

    お花見もあるし、これから卒業式もあるね!

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