ここだけ病弱コハルその8

  • 1125/02/06(木) 20:10:15

    興奮するとすぐ熱を出す……どころか心臓発作を起こすくらい虚弱で病弱なコハルが主人公のエデン条約編再構成小説スレ

    体は弱くて脆いけど、原作同様正義感は強いし代わりに学力が上がってる。

    現在第二次学力試験、果たして合格できるのか?

  • 2125/02/06(木) 20:10:48

    初代スレ

    ここだけ病弱コハル|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す季節の変わり目でも風邪で熱を出す筋肉つかないし体力もほとんどないので前線張るのはムリ日焼けで黒くなるんじゃなくて赤くなるくらい肌も弱いそれでも憧れは止められないので正実には入るし…bbs.animanch.com

    その2

    ここだけ病弱コハルその2|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す季節の変わり目でも風邪で熱を出す筋肉つかないし体力もほとんどないので前線張るのはムリ日焼けで黒くなるんじゃなくて赤くなるくらい肌も弱いそれでも憧れは止められないので正実には入るし…bbs.animanch.com

    その3

    ここだけ病弱コハルその3|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す……どころか心臓発作を起こすくらい虚弱で病弱なコハルが主人公のエデン条約編再構成小説スレ体は弱くて脆いけど、原作同様正義感は強いし代わりに学力が上がってる。えっちなことにも興味あ…bbs.animanch.com

    その4

    ここだけ病弱コハルその4|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す……どころか心臓発作を起こすくらい虚弱で病弱なコハルが主人公のエデン条約編再構成小説スレ体は弱くて脆いけど、原作同様正義感は強いし代わりに学力が上がってる。えっちなことにも興味あ…bbs.animanch.com

    その5

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    その6

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    その7

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    詳しいことは上記参照

  • 3125/02/06(木) 20:11:55

    【注意事項】

    ・原作批判、またはそれに繋がりかねないレスはお控えください。原作シナリオに言いたいことがある場合は別スレたててね!

    ・所詮二次創作であり落書きです。内容を間に受けないでください。展開に多少の粗があっても大目に見てね!

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 20:13:12

    たておつ

  • 5125/02/06(木) 20:18:14

    【WARNING!】

    今回、どうあがいてもとある人物に読者のヘイトが集中するものと思われます。1としては、誓って言いますが、その人物が嫌いなわけでもアンチなわけでもありません。その人物が悪役だということも全くありません。むしろ、彼女もまた被害者なのです。この話を読んで怒りを覚えた方は、どうか彼女にぶつけず1に石を投げなさい。左の頬どころか全身差し出しましょう。

    それを踏まえた上で、暇な人だけ読んでねーいやほんとに。1回の更新で18000字は結構やってるよりだから……

    あ、初見の人はちんぷんかんぷんだと思うから、興味が湧いたら初代スレから追ってみてねーただ無駄に文量あるからほんとに暇なときだけにしてね!

  • 6125/02/06(木) 20:19:04

    「ここに来て1週間が経ちました」

    日の沈んだ教室。教卓の前にて、電灯の明かりに照らされながら、ヒフミ先輩が口火を切った。

    「明日はいよいよ第二次試験……ここに来るまでに、私たちはしっかり合格できるだけの実力を身につけられたと思います」

    「うん」

    ふんすと鼻息荒くアズサが首肯する。一番伸び代があったのアズサだもんね、先生面してた者として鼻が高い。隣でハナコも優しげに微笑んでいるあたり同じ気持ちのようだ。

    【うん、皆本当によく頑張ったよ。これなら本番でも十分合格できる】

    先生からも太鼓判を押される。実際、学力的に不安だったアズサの点数が改善されれば、あとは皆特には問題ないメンツばかりだ。合格は確実だろう……ただ、懸念点が一つ。

    「あとはしっかりと試験に合格し……補習授業部を堂々と卒業するだけ……なのですが……」

    今まで軽快に回っていたヒフミ先輩の舌の動きが急に悪くなった。尻すぼみになりながら、私の方を見つめてくる。心配そうな表情で。……まあ、うん。そうなるよね。

    「……大丈夫ですか? コハルちゃん。体調の方は……」

    「大丈夫、って言ってあげたいけど……正直、あんまり良くはないかも。ごめんなさい」

    「謝らないでください! それに……いえ、何でもないです……」

    全く何でもなくなさそうな声音で、ヒフミ先輩が顔を背けた。
    ――つい数日前の大騒ぎ。美食研究会によるゴールドマグロの奪取。ヒフミ先輩たちはそれに巻き込まれて、正実側として美食研究会と戦ったらしい。……だがしかし、動機が私の病気を治すためだったと判明して……以来、ヒフミ先輩ですらこの有様だ。どうにも、私の治療の可能性をもぎ取ってしまったと罪悪感に駆られているみたいで……なるべくしてなったのだから、そんなに気にすることないのに。そもそもマグロの効能も眉唾物だし。
    勿論そう伝えたのだが、どうもそう簡単に割り切れる訳では無いらしく。……歯がゆいなぁ。私自身はとっくの昔に見切りをつけてることだから、そんなに気にしなくていいんだけど。

  • 7125/02/06(木) 20:20:10

    「……あー、安心して。ヒフミ先輩。二次試験は絶対受けるから。ここまで来て、体を言い訳にしたくないし」

    というか、3次試験までもつれ込むと間違いなく体力が持たないので、何があっても二次試験には出るしかない。……最悪の場合、"最後の手段"を切れば試験中は問題ないだろう。反動がヤバいけどこればかりは仕方がない。
    無意識に制服の胸元を握ると、内側のポケットに収められたアンプルがチャプチャプと音を立てた。……まあよほどのことがない限り、使わなくて済むはずだ。ハナちゃんに泣かれたくないしね。

    「……その。無理だけはしないでくださいね、コハルちゃん」

    「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう、ハナコ」

    「……友達、ですから」

    不格好な笑みを見せるハナコに安心させるように微笑む。ハナコも、美食研究会の動機がわかった後は愕然としていたが……今はあまり引きずっていないように見える。割り切ったのかな。

    「――あー、そう言えば……合格したら、もうお別れになるのか……」

    時が経つのは早いな……と、アズサが1人ごちている。話題を変えてくれてありがとう、アズサ。変えた話題もまたアレなんだけど、そこは言わぬが花だろう。

    「急にしんみりしなくても……補習授業部としての活動が終わるだけで、私たちの関係は変わらないよ。違う?」

    別に今生の別れでもないし、会いたければまた会えばいい。少なくとも、私以外はそれで問題ないはずだ。私? ――なるべく早めに会いに来てくれると嬉しいな。

    「そうですね。補習授業部が解散しても、皆同じ学園にいますし。会いたいなら、会いに行けばいいんです。……特に理由がなくても、会いに行けるのが友達ですから」

    「私は体調の兼ね合いもあるけど……基本的には正義実現委員会の押収品管理室にいるから。暇な時があったら来てもいいよ。お茶くらいなら出せるから」

    「……友達……うん」

    コクリ、とアズサは頷いた。……アズサの中で、この合宿がいい思い出になれたのなら、強制とはいえ参加した意味もあったかな。

  • 8125/02/06(木) 20:20:40

    「あはは……えっと、気持ちとしては同じなんですが、まずは試験に合格することが先決でして……その後の話は、テストが終わった後に考えましょう。とにかく、今日は早めに休んで、明日の試験に備えましょうか」

    「そう言えば、明日の試験会場って、この前と同じところであってる?」

    ほら、これで会場間違えてて試験受けられませんでした〜じゃ笑い話にもならないから……

    私の確認に、ヒフミ先輩は思い出したように懐から端末を取り出した。

    「あ、そういえばまだ告知を見ていませんでした。えっと、トリニティの掲示板っと……」

    ポチポチっと端末を弄っていたヒフミ先輩は……そのまま固まって微動だにしなくなった。心なしか、目を見開いているように見える。あれ? どうしちゃったの? なんかペロロ様関連でも見かけた?

    「――は? ……え。ええっ!?」

    「ヒフミちゃん、どうかしましたか?」

    ハナコも気になったか、様子のおかしいヒフミ先輩に声を掛ける。しかし、ヒフミ先輩はそれに反応せず……というか、できず。

    「嘘。……え、嘘。嘘ですよね!?」

    「お、落ち着いてください、ヒフミさん。深呼吸、1回深呼吸しましょう。ね?」

    一体何を見たというのか、わなわなと唇を震わせて、ヒフミ先輩は半ばパニック状態に陥っていた。見かねたハナちゃんがヒフミ先輩のそばに寄って落ち着かせる。その間に、回り込んだハナコが後ろからヒフミ先輩の端末をのぞき見た。
    ……何故だろう。なんだか凄く……嫌な予感がする。

    「ええっと――『補習授業部の、第二次特別学力試験に関する変更事項のお知らせ』?」

  • 9125/02/06(木) 20:21:20

    「ウイ委員長! 大変です!」

    バンッ! と大きな音を立てて扉が開き、シミコが息せき切って飛び込んでくる。

    「ティーパーティーがこの土壇場になってとんでもない告知を……」

    「もう知ってます。……やってくれましたね、あのクソアマ」

    ピシリ。と、持っていたコップにヒビが入り、中に入っていたアイスコーヒーが滲み出す。黒い液体と赤い液体が混ざり合う……手の痛みで少し冷静になれた。今は憤るより先にやることがある。

    「――シミコ、予定通り、彼女たちに連絡を。コハルさんを運ぶ足が必要です。……急いで! 時間がありません!」

    「は、はい!」

    慌ただしく部屋を出ていくシミコの背中を見送りながら、改めてPCの画面を眺める。

    「……しかし、まさかこんな暴挙に出るとは。各方面からの反発は必至でしょうに。とうとうイカれましたか……それにしても……」

    まさかこの時期にあそこを会場に指定するとは、流石に考えていませんでしたよ……条約を結びたいのか、滅茶苦茶にしたいのか、どっちなんですかあの女。

    PC画面に映し出された、トリニティの掲示板。そこには、第二次試験の変更事項について書き連ねられていた。

  • 10125/02/06(木) 20:22:07

    「『試験範囲を、既存の範囲から約3倍に拡大』……?」

    ……はい?

    とんでもない事を言いだしたハナコに、思わず目が点になる。いや、いやいやいや! テストって明日よね? 前日に範囲拡大とかそれ一番やっちゃいけないやつ!

    「『また、合格ラインを60点から90点に引き上げとする』……?」

    「へ? きゅ、90点ですか!?」

    ヒフミ先輩を介抱していたハナちゃんすら、思わず驚愕の声を上げる。……90点なんて、調子のいい時の私やハナコくらいしか取ることができない点数だ。それが、最低ライン……?

    「……更新時間を見る限り、つい先ほど掲示板にアップされたようですね。……露骨な真似を」

    「いくらティーパーティーとはいえ、こんな暴挙が許されるのか? 試験前日にこんな……」

    「ティーパーティーには今回の試験の監督権があります。常識はずれですが、一応は可能です。今まで誰もやらなかっただけで。……それだけ、なりふり構っていられないということでしょう。よっぽど私達を退学にしたいと見ました」

    「……退学?」

    平坦な声音で話すハナコに、アズサが疑問をぶつける。こんなに冷たいハナコ初めて見た……いや、そこを気にしている場合じゃない。

    【……ごめんね、アズサ。アズサ以外はもう知ってることで……本当は後ほど伝えるつもりだったんだけど……】

    「その話の前に、まだ変更された部分があります――!?」

    まだ変更点があるの? これ以上はお腹いっぱいなんだけど……
    私の思いも虚しく、ヒフミ先輩の端末を半ば奪い取って見ていたハナコが、目を見開いて息を呑んだ。そのまま視線がスライドして私を見てくる。え? 何?

  • 11125/02/06(木) 20:22:28

    「あ、試験会場と時間も変更されてますね……試験会場は『ゲヘナ自治区第15エリア77番街の廃墟1F』――は?」

    言葉を失ったハナコの代わりにハナちゃんが読み上げて……フリーズした。嫌な沈黙が教室に舞い降りる。……待って、聞き間違い? 今まさか『ゲヘナ』って言った?

    「げ、ゲヘナで試験を受けるんですか!?!?!?」

    やっと再起動したヒフミ先輩が、聞いたことのないくらい大きな声をあげた。……気持ちはわかる。普通トリニティの試験をゲヘナでやるわけないからね。それも、今の時期に。

    「……これは……」

    「……行かなければ、未受験扱いで不合格、といったところですが。――ああ、そういうことですか。コハルさんをわざわざ補習授業部に選んだのはこのために……」

    ――ふざけやがって。

    こらえきれないとばかりにハナコが吐き捨てた。……そっか、私が補習授業部に選ばれた理由。体が持たなくて3時試験を受けられないだろう点を利用されたとばかり思っていたが……二次試験でここまで露骨な妨害をするなら、それも込みで入れるだろう。試験会場にゲヘナを指定すれば、危険すぎて私は受けられないものね。それだけで全員合格は達成不可能になる。……かつて、ジュンコとした会話を思い出す。

  • 12125/02/06(木) 20:23:07

    「そういえば、ジュンコがおすすめしてくるお店って、だいたい他学区よね。ゲヘナにはないの?」

    そう聞いた時の、ジュンコの表情は忘れられない。

    「コハルは来ちゃダメ」

    「……そんなに、治安が悪いの?」

    「そこら中から流れ弾が飛んでくるのがデフォだから。不良とか、それと戦う風紀委員とか、他にも色々。コハルなんてあっという間に穴だらけにされちゃう」

    「そんなになんだ……」

    ジュンコは少々話を盛るきらいがあるけれど、これに関しては全部本当なんだろうなって察した。
    グイっと手元のマグカップに入った紅茶を飲み干したジュンコは、座った目つきで私に言った。

    「いい? コハル。約束して。何があっても、絶対ゲヘナには来ないって。来てもろくなことにならないから。……絶対だよ?」

  • 13125/02/06(木) 20:23:35

    「人生って、ままならないね。ジュンコ……」

    そう1人呟く間にも、場はどんどん混迷を深めていく。

    「ゲヘナって……ティーパーティーは正気ですか!? あんなところで、コハルさんにテストを受けろと!?」

    「……正気の沙汰ではないことには同意しますが、本気ではあるでしょうね。ティーパーティーとしては、これでコハルちゃんが未受験になれば全員まとめて不合格で万々歳ということでしょう」

    「そんな……」

    「ナギサ様……そこまで貴方は……」

    信じられないと言わんばかりに両手で口元を覆うハナちゃん。苦虫を百匹単位で噛み潰したような形相をしているハナコ。光を失った目で呆然としているヒフミ先輩。

    「……聞いてもいいか? さっきの、退学について」

    【ああ、うん。私が説明するよ】

    ほぼ唯一冷静さを保っていた先生が、アズサに説明してくれた。そもそもの補習授業部の成り立ちの経緯から、桐藤ナギサの企てまで、全部。

  • 14125/02/06(木) 20:24:08

    「……試験に3回落ちたら退学、か。……なるほど」

    「隠していてごめんなさい。まさかこんなことになるなんて……」

    全てを知ったアズサは尚も冷静だった。流石というべきか……訓練の賜物ってやつかもしれない。ヒフミ先輩が頭を下げたが、アズサは大丈夫だと手を横に振った。

    「状況は理解した。とにかく出発しよう」

    「え、えぇ!? 出発って……今から向かうんですか!? ゲヘナに!?」

    「試験時間が『深夜の3時』と書かれている。今から出発しないと間に合わない」

    やっぱりか……範囲も点数も会場もいじったんだもの。そこもいじってくるよね……深夜の3時、か。どうあっても私に試験を受けさせないつもりのようだ。

    「驚くにせよ、怒るにせよ、嘆くにせよ……それは試験を受けてからでも遅くは「――待ってください」……?」

    アズサの発言は、途中で冷たい声に断ち切られた。……ハナちゃん?

    「今の状態で、コハルさんを行かせられません。ただでさえここまで無理を重ねているというのに……その上ゲヘナまで行けだなんて。――許可できるわけないでしょう! そんなの!」

    「ハナエ……だが、ここで手をこまねいていても、待っているのは退学だ。私達は、トリニティを去らないといけなくなる。――コハルも含めてだ」

    「だとしても! 命あっての物種でしょう! ゲヘナなんてこのキヴォトスでもトップクラスに治安の悪い自治区です、キヴォトス最強と言われるゲヘナ風紀委員会が活動していてもああなんですよ!?」

    自殺行為です! と、ハナちゃんは強い口調でもって吐き捨てた。……ここまで言葉を荒げるハナちゃんは初めて見た。なんだか今日はいろんな人の意外な一面を見てばかりだ。

  • 15125/02/06(木) 20:24:43

    「……すまない、ハナエ。今は問答をしている暇はないんだ。邪魔をするならば……」

    「……やる気ですか。なら――」

    いや、そんな事を言っている場合じゃない。とりあえずこの場を収めなければ。一触即発の両者の間に、私は体を滑り込ませた。結構しんどいけど……友達が争うのを見るほうが辛い。私が原因なら尚更だ。

    「やめて、2人とも」

    「……コハルさん」

    「ハナちゃん、心配してくれてありがとう。今まで本当にいろいろお世話になって、感謝してもしきれないわ。……でも、ごめんなさい。行かなくちゃ」

    「なんで……っ。――なんでわかってくれないんですか! ご自身の状態は、コハルさんが一番よくわかってるはずです! それなのに……!」

    「うん。実際、今は薬で無理やり動いてる状態だし、ハナちゃんが正しいよ。……でも、ここで諦めたら、次のチャンスはないことも、ハナちゃんならわかってるんじゃない?」

    「っ……」

    「3次試験、今の具合じゃまず保たないでしょ? それに、ティーパーティーがここまで強硬に事を運ぶなら、3次試験でも必ず妨害してくる。その時果たして、私が動けるかどうか……試験をまともに合格するなら、これがラストチャンスになる」

    試験直前になってこんな変更を堂々とかましてきてるのだ。3次試験のときには試験会場を正義実現委員会総出で封鎖させてても驚かない自信がある。……ハスミ先輩たちなら、普通に入れてくれそうだからそれはないか。

    「何より……私だけならまだしも、ヒフミ先輩やハナコ、アズサの進退までかかってるの。私1人、足を引っ張るわけにはいかない。……ワガママ、聞いてくれる? ハナちゃん」

    ギリ、とハナちゃんは奥歯をかみしめた。ギュッと拳が握られて……だらりと垂れ下がる。

  • 16125/02/06(木) 20:25:16

    「〜〜〜っ。……薬は深夜3時まで持ちません。ゲヘナへの移動中に効果が切れるかと。連続使用できるものではありませんし……どうするおつもりですか?」

    「うん。……これを使うしか、ないかなって。あまり使いたくないけれど」

    制服の内側、ポケットに隠していたアンプルを取り出し、ハナちゃんに見せる。通常のものとは違う、赤い色の液体が、プラスチックの中で揺れ動く。それを見た途端、ハナちゃんが顔を歪めた。

    「まだ持っていたんですか……そんな欠陥品を……!」

    「確かに欠陥品だけど……まともじゃない私がまともに動けるようになる、数少ない手段だから。――ホントにごめん、ハナちゃん」

    パキリと素早く先端を折り取り、露出させた針を、私は周りに制止される前に自分の首に打ち込んだ。

    ド ク ン

    心臓が一瞬悲鳴を上げる。視界がブレる。姿勢が崩れかけたところを、アズサが咄嗟に支えてくれた。

    「コハル!? 大丈夫か、というか何を打ち込んだ!?」

    「はぁっ……はぁっ……ふぅ。――もう大丈夫。ありがとうアズサ」

    「質問の答えになっていませんよ、コハルちゃん。……ハナエさんは"欠陥品"と称していましたね。それは一体、何です? 以前の発作で使われたものとは色が違いましたが……」

    流石ハナコだ、あの一瞬でそこまで見抜くとは。これ以上心配をかけたくはないので、説明することにする。

  • 17125/02/06(木) 20:25:45

    「今打ったのは、普段の発作用とは違う薬品でね。詳細は省くけど……強心作用が強くて私でも普通の人みたいに動けるようになるの。効果時間はマチマチだけど……少なくとも、ゲヘナへの移動と試験時間の間なら保つと思う」

    昔から診てくれている私の主治医さんが、正義実現委員会で活動できるようにと用意してくれた特別性。私の最後の切り札だ。と言っても、ほとんど使う機会がないんだけれどね。担当業務が押収品管理と医療だからまず前線に立たないし、なんなら立たせてもらえない。それに、私自身あまり使いたくはないのだ。その理由は、この薬の副作用にある。

    「今の説明だといい感じに聞こえますが……そんなに都合のいいものじゃありません。薬の効果時間中は常人のように動けるのは確かですが、さながらスクラップ寸前の車にジェットエンジン取り付けてかっ飛ばしてるようなものです。行き着く果ては空中分解……薬が切れれば、無理させていた分が反動で一気に噴き出して酷いことになりますし、それでもなお連続で使い続ければ……」

    「……使い続ければ、どうなるんですか?」

    ヒフミ先輩の疑問に、ハナちゃんは仏頂面で応えた。

    「心臓が破裂します」

    「はれ……!?」

    あ、伏せてたことまで全部言われちゃった……

    「だから"欠陥品"なんです。こんなもの、薬と認めたくもありません。医療への冒涜ですよ……」

    もう、使わせてしまいましたが……。

    悲しげに項垂れるハナちゃんを見て、チクチクと罪悪感が湧き出る。うぅ、ごめんねハナちゃん……でも、深夜まで体を保たせるならこれを打つしかないから……
    そう、この薬はけして症状を緩和させるものじゃない。むしろ真逆……体に負担をかけて、それを鎮痛効果で誤魔化すことで、本来無理な動きを無理やりできるようにするものだ。ハナちゃんが欠陥品扱いするのも頷ける。

  • 18125/02/06(木) 20:27:09

    「……色々と言いたいことがありますが、時間がありません。アズサちゃん、ヒフミちゃん、出発の準備を。車が必要ですが……私がなんとかします。コハルちゃんはこれ以上無理をしないでください」

    「うん……本当にごめんね、ハナちゃん……」

    「……………………。――いえ。元はと言えばこんなふざけた真似をしでかしたティーパーティーが悪いんです。……よし!」

    パチンと両手で自分の頬を叩いたハナちゃんは、いつも通り……を取り繕った笑顔を私に向けた。

    「この不条理さはあとで下手人にぶつけるとして……今は試験のことを考えましょうか。ハナコさんが車を用意してくれるそうなので、それまでコハルさんは少しでも体を休めましょう。無茶をしなければ、その後の反動も軽くなるはずです」

    うん、わかったと返事をしようとした、そのときだ。

    ――甲高いスキール音が耳をつんざいた。え、何事!?

    「今の音は……?」

    ハナコの疑問に合わせるように、アズサがバッと窓を覗く。

  • 19125/02/06(木) 20:27:28

    「あれは……APC(装甲兵員輸送車)だと!? 一体誰があんなものを……」

    「え!?」

    驚いて窓に近寄る。すぐさまアズサにカバーポジションへと引きずり込まれるが、その前にいろいろと見えた。
    合宿所の玄関前に、1台の装甲車が轍を刻んで停まっている。8つのタイヤがついた、装輪式の装甲車……特にエンブレムなどは見当たらず、所属がわからない。ティーパーティー? まさか物理的に動けなくしにきた? ……いや流石にそこまでするかな……

    ごちゃごちゃと考えていると、短くクラクションが鳴らされた。同時に、それに負けないくらいの大声が響き渡る。

    「――コハルさん! 皆さんも! 乗ってください!」

    「この声……レイサ!? どうしてここに……」

    「説明は後です! 試験に行くなら、足が必要でしょう? タクシーと言うには少々ゴツいですが、今から行く場所にはちょうどいいはずです!」

  • 20125/02/06(木) 20:28:08

    ――ゲヘナ自治区。ヒノム火山を中心として成り立つこの自治区は、ブラックマーケットにつぐキヴォトスきっての無法地帯として知られている。ゲヘナ生の気質というべきか、どうにも己の欲望を優先する生徒が非常に多く、日夜それらを取り締まるゲヘナ風紀委員会とのイタチごっこを繰り広げている。
    そんな自治区であるからして、日中だろうが深夜だろうが、しょうもないことを企む生徒は枚挙にいとまがない。彼女たち2人もまた、そのしょうもない生徒のくくりに入る者たちであった。

    「……なぁ、まだ粘るのかー? すげえ寒くなってきたんだけど……」

    「おいおいビビってんのかよ? まだ宴も酣だろうが!」

    「絶対使い方間違ってんだろそれ……」

    2人のゲヘナ生徒が、トリニティとの境界線にほど近い場所でたむろっていた。もう夜の帳が下りて暫く経っている。ヒノム火山があっても寒いものは寒い。この時間帯は特に。

    「ていうかさぁ……よくよく考えたら、うちらの自治区に来るもの好きなトリニティ生なんているわけないだろ……もう三日くらい張ってて今更言うのもなんだけどさぁ……」

    「何いってんだよ! ……なんだっけ、なんちゃら条約? とかいうのを結ぶってので盛り上がってんだろ? なら一人くらいこっちを見に来るヤツがいるだろうよ! そのマヌケをさらって身代金をがっぽりいただくって寸法よ! ケケケ!」

    「それもう3回くらい聞いたぞ……その上で3日経って釣果0だから言ってんだろ……」

    はぁ、と吐いた溜息が、寒さで白く濁る。もうこの馬鹿だけ置いて帰ろうかな。でもなぁ、ここまで付き合ったんだし今更やめるのも……
    片方がコンコルド効果に悩まされている、そのときだ。道路の先から光が見えた。

  • 21125/02/06(木) 20:28:59

    「車だ!」

    「嘘だろホントに来る奴いたのか!?」

    慌てて身を翻し、其の辺の茂みに隠れる。事前の計画では、とりあえず近づいて来たところをタイヤを撃ってパンクさせる……というところまでは決めていた。逆に言うとそれしか決めていない。今さらながら何とも行き当たりばったりな計画だ。

    「……近づいてくるぞ! ケケケ! これから何が起こるかも知らねぇでよぉ!」

    「……あれ? なんかあの車おかしくないか?……乗用車ってあんなデカかったっけ?」

    疑問に思ったのも束の間。乗用車のヘッドライトにしては強烈な光がぐんぐんと近づいていき……全貌が見えた段階で、彼女たちはその計画を捨てざるを得なかった。

    「「そ、装甲車ァ!?」」

    唸りを上げて走り去るその巨体を、彼女たちは呆然と見送る他無かった。

    「……トリニティから、ゲヘナに装甲車で来るってどうなってんだよ……」

    「……とりあえず、もう帰ろうぜ。関わったらなんかヤバそうだ。今温泉開発部も絶賛大暴れ中で風紀委員会もピリついてるし……触らぬ神になんとやら、だ」

  • 22125/02/06(木) 20:29:36

    「――驚きました。ボランティアの寄り合いである【自警団】が、このような本格的な軍事車両を所有しているとは……」

    本来、武装した歩兵10人以上を運べるように設計された装甲車の中は、先生とハナちゃんを含めた私達補習授業部全員が乗っても余りあるスペースがあった。車内ハナコが感想を述べる。

    「し、しかもこれ、ほぼ新品ですよね? ブラックマーケットに流れている中古品とは違います……どこからこんなものを……」

    「パトロンから、とだけ言っておきます」

    追随したヒフミ先輩の声に、運転手……自警団の守月スズミ先輩が答える。その声音は、いつもより固い。

    「……え、えーと。それにしても、大丈夫なんですか? ゲヘナに装甲車で乗り込むだなんて、下手すると条約に影響がありそうですけど」

    「さぁ?」

    「……さ、さぁ?」

    「ゲヘナを試験会場に指定したのはティーパーティーですから。当然先方に話は通してありますよね? なら何で行ったって問題にはならないのが普通です。こちらはリスクに最大元対応したまでですから……それで不都合が起きるなら、そちらの責任ですよね頑張ってくださいねとしか」

    ヒフミ先輩の疑問に、愛銃を手元で整備しながら、レイサが冷たく返答した。……これ結構マジで怒ってるわね。確かに、今回のティーパーティーの暴挙は目に余るものだけれど……レイサでこれなら、ハスミ先輩とかどうなるんだろう。この時間は流石に寝てるかな。……明日知ったら大変なことになりそうだ。今のうちに一報入れて制止しておかないと。あそうだ、ツルギ委員長には流石に今連絡しておくべきか。約束もしたし……いやダメだ。ゲヘナにいるなんて知られたら絶対ややこしいことになる。最悪単身でゲヘナに突っ込んできかねない。そうなったら最後、条約どころか普通に戦争だ。……ま、まあツルギ委員長なら冷静に判断してくれると思うけど……やっぱり連絡はしないでおこう。ごめんなさいツルギ委員長。

  • 23125/02/06(木) 20:30:15

    「『ゲヘナはほとんど無法地帯、トリニティでは予想もつかない馬鹿がひしめいている場所』とはパトロンの方の弁です。……コハルさんを連れて行く以上、普通の乗用車では不安がありましたので。実際先ほどのゲヘナ生の様子を見る限り、普通の乗用車では襲撃されていたでしょうから、これで来て正解でしたね」

    まっすぐ前を見すえてハンドルを握りながら、スズミ先輩がそう占めた。確かに、一般ゲヘナ生(って言っていいのかな? ほぼ不良だったけど)はこれにビビって手出ししてこないみたいだけど……風紀委員会に見つけられたら不味い気がする。ティーパーティーがそのへん根回ししてることを祈るしか……してないだろうなぁ。私が本当にゲヘナに行くとは微塵も思っていなさそう。この切り札の存在は主治医とミネ団長たち救護騎士団の一部しか知らないから、ゲヘナを指定しておけば体の都合上諦めるしかないと思っていたんだろうね。

    「……! 前方に人影が数人。これは……ゲヘナの風紀委員会! 検問だ!」

    そのとき、ハッチから頭をのぞかせて周囲を警戒していたアズサが声をあげた。車内に緊張が走る。

    「そこの不審車両! 止まれ! ここから先は立ち入り禁止になっている!」

    「装甲車だと……? 一体どこの組織だ!? まさか襲撃か!?」

    不味い、かなりピリついている。中に乗っているのがトリニティの生徒だと知ったらさらに大騒ぎになりそうだ。……正義実現委員会の制服、脱いでくるべきだったかな。今さら思い立っても遅いか。

    「あわわ、どうしましょう……」

    【……ここは私が宥めてみるよ。アズサ、ハッチを開けてくれるかい?】

    真剣な顔をした先生が、アズサと交代して上部ハッチから顔をのぞかせた。

  • 24125/02/06(木) 20:31:02

    「……? 大人、だと?」

    「待て、アレはシャーレの……」

    【うん。シャーレの先生だよ。驚かせてごめんね。――この先に用事があるんだ。通してもらってもいいかな?】

    「シャーレの、先生……でも……」

    「……申し訳ありませんが、現在この先で風紀委員会が作戦を展開中です。横槍はご容赦願います」

    それに、そのような兵器を外部から入れるわけには行きません。お引き取りを。

    にべもなかった。なんなら風紀委員会の歩哨はそのまま先生に銃口を向けてくる。うーん頑なだ。立場上そうなるのが当たり前だけど。……どうしよう。こうしてる間にも時間は刻々と過ぎていく。このままだと試験時間が……!

    「……どうやらティーパーティーは最低限の連絡すらしていないようですね。レイサさん、事前の予定通りに」

    【ちょっと待ってスズミ。……そこをなんとか、お願いできな……っ!?】

    先生の声が途切れた。慌てた様子で頭を引っ込める先生。グエッとつぶれたような声が2つ。遅れて響きわたる銃声。――何事!? まさか、狙撃!? いったい誰が!?

    「先生!? 大丈夫ですか!?」

    【うん、私は大丈夫。後ろから誰かが……】

    「――あら☆やっぱり先生だったんですね?」

    ヒョイっと、新顔がハッチから顔をのぞかせた。金髪で、角が生えたゲヘナ生。……どちら様?
    それに続けて、別の声も聞こえてくる。

  • 25125/02/06(木) 20:31:23

    「大当たりでしたわね、ご機嫌よう。ここで何をされているのですか、先生? このような物々しい車で」

    【ご機嫌よう、ハルナ。ちょっといろいろ事情があって】

    ……ハルナ? ハルナって、もしかしてあの黒舘ハルナ? 美食研究会の首領、ジュンコからよく耳にしてた……

    「あ、貴方たちは……」

    「……美食研究会。もう出所したのか」

    「ええ、色々と一騒動起きてまして、そのどさくさに。……それにしても大所帯ですわね。一体何が……」

    次の瞬間、後部ハッチが解錠され、向う側から人影が両手に握った銃を向けた。刹那、ハナコが私を背に隠すように動き、アズサとレイサがそれぞれ反応して愛銃を構える。……は、早すぎてそれぞれ動き出しが見えなかった……。

    「全員両手を挙げて! 銃を下ろして! この装甲車はいただ……」

    赤いツインテールを靡かせたその人影は、滑るように車内を見回し……私の顔を見て凍りついた。この表情、今日で何回見たんだろう。

    「――コハル?」

    「……えーと。昨日ぶり、ね……こんばんは、ジュンコ……」

    ……風紀委員会に追い回されるより不味い状況になった気がする。

  • 26125/02/06(木) 20:31:50

    「――なるほど、状況は概ね理解しました。天下に名高いティーパーティーがそのようなことを……とにかく、この場所にいかねばならないのですね?」

    【うん】

    装甲車の車内。乗員が四人増えたことで、ようやく広かった車内は多少手狭に感じるようになっていた。ある種の圧迫感を感じる。……たぶん、人数が原因じゃない。私のすぐ横にいる……というか、しがみついている人物が原因だ。

    「事情はわかりましたが、タイミングが悪かったですね……今この近辺は、それなりに大きな騒動が起こっていまして」

    「温泉開発部が市街地のど真ん中をドカン★と爆発させたとかで、まあしっちゃかめっちゃかなんです」

    ハルナさんの後を継いで、さっきの金髪の人……アカリさんが可笑しそうに笑いながら語る。楽しげな様子とは裏腹に状況はヘビーなようだ。

    「そのせいで、風紀委員会も慌ただしく動いているわけでして……まあおかげさまで、その機に乗じて私たちも風紀委員会の牢屋から抜け出せたのですけれど。ふふっ♪」

    「残念ながらフウカさんは回収できませんでしたが。まああの人なら大丈夫でしょう☆」

    何故だろう。脳裏に、「残念でも何でも無いけど???」とジト目の少女がよぎった気がする。

  • 27125/02/06(木) 20:32:36

    「……ともかく、そちらの事情はわかりました。本当はこの装甲車を奪って脱出する予定でしたが……こうして再び出会ったのも何かの縁。私達が、試験会場なるところへエスコートして差し上げますわ」

    【いいのかい?】

    「ええ。それに……エスコートしないと、気が気じゃない人がそこにいますので」

    ハルナさんが目線を送った人物は、それに気づきもせずグリグリと私の胸元に頭を押し付けている。ジュ、ジュンコ。皆見てるんだけど……

    「……感謝する。ありがとう」

    「え、えっと……それではよろしくお願いしますね……?」

    「……スズミさん」

    「……まあ、悪意はなさそうですし。言い方は悪いですが、使えるものは使いましょう」

    各々思うところがあるようだが、敵対的な人はこっちにはいないらしい。とりあえず呉越同舟は成立したようだ。よかった。……ところでなんだけど……

    「……ジュンコ、そろそろ離して」

    「……んで」

    「?」

    「なんで、コハルばっかりこんな目に遭わなきゃいけないの……」

    「ジュンコ……」

    「だっておかしいじゃん! コハルのことを知ってるのに、こんな……突然諸々変更して、しかもゲヘナに行かせる!? うちの万魔殿よりよっぽどイカれてるんじゃないの!? そのティーパーティーって奴ら!」

  • 28125/02/06(木) 20:33:04

    「ゲヘナを指定しておけば、コハルちゃんは来れないと確信していたのでしょう。実際、私もそう思っていましたから」

    「……許せない」

    ジュンコの声が危険な色をはらむ。

    「そのティーパーティーって奴ら、絶対後悔させてやる」

    「ジュンコ、落ち着いて。気持ちは嬉しいけど……ティーパーティーが、全部が全部間違ってるわけじゃないよ」

    「は、はい? コハルちゃん!?」

    何故か周囲がどよめいた。あれ? そんなにおかしなこと言ってる?

    【どうしてそう思うんだい? コハル】

    「……もし私がティーパーティーで、同じ立場にいたなら……こういう強引な手段で妨害する可能性は、ゼロじゃないからです。ティーパーティーは強権と引き換えに大きな責任を負う立場……それしか道がないなら、私でも同じ選択をするかもしれません。だから、一概にティーパーティーを……ナギサ様を責められない。私には」

    全ては大義のために……トリニティの未来のため、エデン条約締結のために。そのためなら、多少強引な手段に走るのもやむを得ないかもしれない。これが多少と言っていいかは分からないが。勿論最後まで他の方法がないか探すけれど……見知らぬ相手ならば、切り捨てても心もそこまで痛まないのかもしれないし。

    「コハルちゃんなら、そんな選択はしませんよ。たとえどれだけ追い詰められたとしても」

    「ハナコ……こればっかりは、なってみないとわからないから……」

    「……これは、ジュンコさんが心配するのもわかる気がしますわね。あまりにも……いえ、とにかく出発しましょう。道案内はお任せを」

    「……そうですね、お願いします」

    ハルナさんが頭を振って、スズミさんの隣に陣取った。

  • 29125/02/06(木) 20:33:32

    2時間後――私たちは、風紀委員会に追われていた。まあ、こうなるよね……



    「うひゃあああああ!?」

    爆音が響き、地面が爆ぜる。過ぎ去った後方が、爆発で明るく照らされている。ヒフミ先輩が悲鳴を上げた。

    「しつこいですね……! 仕方ありません、レイサさん! アレを!」

    「了解っ、ですっ!」

    車体の中で激しく揺さぶられながらも、レイサが転がるように移動して、自身の端末と車内のコンピューターを接続した。備え付けられた液晶に外の風景が映る。これは……?

    「こんなこともあろうかと、搭載しておいて正解でした……制圧射撃開始!」

    スズミさんの号令が響くと同時、車体上部からバララララッ! と凄まじい音が。光の灯った液晶には、火を噴く銃口が、レイサの操作に合わせて右に左に弾丸をばら撒いているのが見える。

    「12.7ミリ重機関銃か、いい趣味だ!」

    「あら……またすごいものが出てきましたね☆」

    アズサの賞賛とアカリさんの感嘆の間にも砲火は止まず、追ってきていた風紀委員会の車両を次々とスクラップにしていく。とんでもない火力だ。

  • 30125/02/06(木) 20:34:01

    「うう、でもまだ追ってきてるんだけど! これ大丈夫なのハルナァ!?」

    「心配ありませんわ、イズミさん。……8秒後に爆撃が来ますわ」

    ハルナさんの警告を聞いて、スズミ先輩がハンドルを切る。きっかり八秒後、通過した地点がまたしても吹き飛んだ。砲撃はティーパーティー傘下部隊の十八番だと思ったけど、風紀委員会もなかなかやるわね……精度がかなり高い。

    「素晴らしいハンドルさばきですわ。フウカさんには及びませんが」

    「どうも。褒め言葉として受け取っておきます」

    知らない人の名前を出されて、スズミ先輩が困惑していた。そんなにすごいドライバーなのかしら、フウカさんって人。

    「……! ま、待ってください、なんかショベルカーやらブルドーザーまで来てるんですけどぉ!?」

    「まさか、温泉開発部!? なんでアイツらまで追ってきてんの!?」

    「ノリでしょうかね、まあゲヘナの生徒ですから☆」

    えええ……そんなお祭りみたいなノリで追撃戦してくるの? ジュンコ、あなたの言った通り私は1人できちゃ駄目な場所だわ、ここ。

    「わ、私たちは試験を受けに来ただけなのに……どうしてこんなことになっているんですかぁ!? うわああぁんっ!!」

    ヒフミ先輩の泣き声は、新たに生じた爆音にかき消された。

  • 31125/02/06(木) 20:34:40

    「あ、あうぅ……試験会場は、ここですか……?」

    プレハブや、廃ビルが立ち並ぶスラムの一角。ようやく追っ手を撒いた私たちは、なんとか試験会場であろう廃墟にたどり着いていた。の、乗っていだけなのにめちゃくちゃ疲れた……。

    「コハルさん、大丈夫ですか? 試験は受けられますか?」

    「ハナちゃん……大丈夫。ここまで来て受けないなんて選択肢はないよ」

    ……実は、だんだんと体調が悪くなっているのは内緒だ。たぶんもうすぐ反動が来る。でも、試験さえ受けられれば、その間だけ保てばそれでいい……!

    「ひとまず撒けたようですが……試験中に騒ぎを起こされても面倒でしょう。我々が陽動を行いますわ。貴方がたはどうされますか?」

    ハルナさんの質問に、自警団の2人は顔を見合わせ……レイサがそれに答えた。

    「私たちも陽動に参加します。ここまで来たんです、コハルさんの試験の邪魔だけはさせません」

    「そうですか。ではこの装甲車もまだ使わせていただいても?」

    「ええ、帰りの迎えが必要ですから、また戻ってきますが……その間なら。乗ってください」

    再び出撃準備を始めるその背中に、思わず声を掛ける。

    「スズミ先輩、レイサ……ハルナさんたちも。本当に、なんてお礼を言ったらいいか……」

    「気にしないでください、コハルさん。貴方にはレイサさんがお世話になりましたから」

    「コハルさん……必ず、試験合格してくださいね! 応援してますから!」

    スズミ先輩が微笑み、レイサが拳を突き出してくるので、それに掌を合わせる。変則的なハイタッチ。

  • 32125/02/06(木) 20:35:00

    「ふふ。私としては、ジュンコさんからお話を聞いていて、個人的に興味を覚えていましたので。お礼と言うならそうですわね……今度、私達と一緒に美食を堪能いたしましょう。貴方と食卓を共にするのは、素敵な時間になりそうですわ」

    「あ、ありがとうございます……?」

    これは果たして高評価でいいんだろうか? 私と食事って、あんまり楽しくはないと思うけど……そんなに食べられないし。
    と、その時ボスっと胸元に何かが突撃してきた。薬の効果もあって何とか受け止める。

    「ジュンコ?」

    「コハル……その。――無理しないで、ほどほどに頑張ってね! コハルならそれでも絶対合格できるから!」

    「……ありがとう、ジュンコ」

    ジュンコはギューッと私を強く抱きしめて……ようやく離れて装甲車に乗った。何度も、私の方を振り返りながら。
    美食研究会を乗せて、装甲車が離れていく。……彼女たちの稼ぐ時間を無駄にしないようにしないと。

    「急ごう。もう時間がない」

    アズサの呼びかけに応じて、私たちは廃墟の中へと入っていった。

  • 33125/02/06(木) 20:35:31

    「ところで、こんなところで試験と言っても……試験用紙はどこにあるんでしょう? 誰か来てるんですかね?」

    「いや、誰もいなさそうだ。だが、指定した以上何か用意してるはず」

    「来れないだろうと高をくくってる場合は、面白いことになりますね。試験会場を変更したというのに何も用意してないなどと、手落ち以外の何ものでもありませんから」

    そうだった場合、とても楽しいことになりそうですね♡

    ハナコがかなり怖い事を言ってるけど、一旦放置だ。タラレバの話だし。
    そんな事を言いながらゴソゴソと辺りを探っていると、アズサが何かを見つけた。

    「……これだ」

    「これは……不発弾、ですか?」

    アズサが拾い上げたのは、一発の弾頭。……アレは確か、ティーパーティー傘下の砲兵隊がよく使ってる……

    「L118、牽引式榴弾砲の弾頭だ。雷管と爆薬は取り除かれてる。爆発することはない」

    「なるほど、L118というとティーパーティーの……つまり、ナギサさんからということですね」

    「この中に何かあるはず。開けてみよう」

    ガチャっと音を立てて開くと、中には紙が何枚か入っていた。あとは……これは、通信機?

  • 34125/02/06(木) 20:36:30

    「あ、中に紙が……これが試験用紙ですね!」

    「破損は見受けられないな。こっちは……通信機か」

    ピピっと音を立てて、通信機が起動する。空中に、ホログラムが映し出された――え?

    『……これを見ているということは、到着してしまったのですね……』

    亜麻色の髪の乙女が、ホログラム越しに喋っている。……嘘。そんな、まさか……

    「な、ナギサ様!?」

    【ナギサ……!】

    ヒフミ先輩と先生の声が、彼女の正体を明かしている。……今まで見たことがなかった、ティーパーティーのホスト代理。桐藤ナギサ様。でもこの姿は、どう見ても……

    「――キリちゃん?」

    「コハルちゃん……?」

    『恨み言は大変結構。ですが、これは録画映像なので、リアルタイムには聞こえません。ですので、今の私に話しかけても無駄ですよ』

    ……影武者? キリちゃんが、桐藤ナギサとして表に出てるだけ? ……いや、さっきヒフミ先輩が映像だけでナギサ様と判断していた。先生も同様に。――つまり、キリちゃんが……桐藤ナギサ?

    私を裏切り者ごと切り捨てようとした人なの?

    制服の内側で、懐中時計がこすれて揺れた。その存在を主張するかのように。

  • 35125/02/06(木) 20:36:52

    『……恐らく、ここにいるということは、コハルさんも連れてきているんでしょうね。どんな手品を使ったのかわかりませんが。…………。――約束の時間までには、試験を終えて戻ってきてくださいね。一応モニタリングは引き続きさせていただいておりますので、そのことをお忘れなく。……では、幸運を祈りますね、【補習授業部】の皆さん』

    ピッと、短いメッセージは再生を終えた。……キリちゃん……そんな……

    「……とにかく時間がない。始めよう」

    「は、はい! 皆さん入りましょう、いよいよ第二次特別学力試験です!」

    ……そうだ。試験だ。とりあえず試験を受けなければ。そのためにここに来たんだから。疑問は一旦後回しだ。
    内心をどうにか押し込めた私は、皆の後をついて行った。

  • 36125/02/06(木) 20:37:19

    「――で、ここが例の場所?」

    同時刻。補習授業部の試験会場から少し離れた場所。2人の人間が、確認作業を行っていた。

    「うん。住所的には合ってそう。ここから向こうの端まで全部かな」

    彼女たちの所属部活は、【温泉開発部】。ゲヘナの悪名高き部活の一つ。

    「へへっ、どこからの情報だか分からないけど、親切に温泉がありそうな場所を教えてくれるとはありがたいこった」

    「よぉし、発破準備!」

    彼女たちは知らない。今まさに自分たちが開発している場所で、事前の確認後に人が入り込んだなどと。ましてやその中に、キヴォトス人にあるまじき虚弱な人物がいるなどとは。夢にも。

    「――開発だぁ!!」

    そして、地獄の釜は開かれた。

  • 37125/02/06(木) 20:37:48

    「……う……」

    ――何が、起きた?

    確か、試験がまさに始まろうとしてて……突然、吹き飛ばされて……爆発が……爆、発?

    あたりを見回すと、もはや廃墟は建物の原型をとどめていなかった。天井は吹き抜け、壁は崩れ、無事なところが一つもない。試験用紙もどこかへ消えた。これではテストも続行不可能だろう。

    「ぐっ……みんな、無事か?」

    【私は大丈夫……】

    「うぅ……い、一体何が……?」

    瓦礫の中から、まばらに人影が見える。皆無事――待て、2人いない。ハナエちゃんに……

    「コハルちゃん、は?」

    「え……」

    振り返る。いない。あたりを見回す。いない。――どこにもいない。
    背中を、恐ろしいくらい冷たい何が流れていった。

  • 38125/02/06(木) 20:39:25

    「――コハルちゃん! コハルちゃん、どこですか!?」

    「……! コハル! どこだ!」

    「コハルちゃん! 返事をしてください!」

    大声を上げても、返答が返ってこない。不味い。
    何か、何か手がかりは……

    視界の端に、黒い布が引っかかった。

    「コハルちゃん!!」

    急いで駆け寄る。あの黒い布は間違いない、正義実現委員会の制服だ。――いた。コハルちゃんは、瓦礫に埋もれていた。そばにハナエちゃんも横たわっている。

    「コハルちゃん、大丈夫ですか!? ……この……瓦礫が、邪魔ァ!!」

    この状況に脳のリミッターでも外れたか、自分でも信じられない力が出て、瓦礫を押しのける。他の皆も駆け寄ってくるのが音で伝わる。

    「コハル、無事か――」

    「コハルちゃ――」

    【……! そんな……】

    目の前に現れたコハルちゃんには……腹部に、金属片が一本突き刺さっていた。コンクリートの鉄筋の一部が。

    「コハル……ちゃん……?」

    どくどくと、命が赤い液体となって、彼女から流れ続けていた。

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 20:42:28

    そのおくすり、錬丹術研究会が出どころって言わない? どっちの作でも不思議じゃない

  • 40125/02/06(木) 20:44:21

    今回はここまで。ゲヘナという名にふさわしい光景だねー

    一応言っておくと、冒頭で述べたように1はナギちゃんになんの悪感情も抱いておりません。前回復刻で引きそびれたのを後悔しているくらいには好きです。
    でもこの頃のナギちゃんは大義のためなら何でもする疑心暗鬼ウーマンなので……

    次回はトリニティへの帰還編だけど、こんな鬱シナリオ1回の更新で切り抜けたいので暫く時間がかかるよーなんなら無理に保守しなくても大丈夫だよー

  • 41125/02/06(木) 20:45:23

    P.S 温泉開発部に情報流したのは一体誰なんだろうね。この状況で一番得をするのは果たして……

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 20:49:42

    >>41

    やだなぁトリニティの最重要人物がゲヘナ屈指の犯罪者への伝手があるとか、しかもそんな人がゲヘナと友好条約を結ぼうとしてるとか内患にも程があるじゃないですかhahaha


    ……原作時点から存在するキヴォトス七不思議だよね このタレコミ

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 20:56:35

    しかも今の温泉開発部の解像度を考えると「明らかに温泉ではなく陰謀の香りしかしないこの情報を、あの鬼怒川カスミが信じて実行を認めるか?」って疑問も当然出るわけで
    どこまで織り込んで行動してるんだ この舞台裏で

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:11:28

    これ原作でもそうだったけど先生が無事ではない可能性もあるんだよね…
    先生になにかあった時点でエデン条約もくそもなくなりそう

    それはそうとして爆発があったなら陽動にいったメンツももどってくるよね?
    この場面をジュンコがみるのか…

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:17:27

    自分はその……ナギサに心配を覚える
    読者が石投げる前に多分鉛弾撃ち込まれる光景が見えてるし………
    嫌な流れは温泉開発部に情報流したが開発される期間が想定外だったとか
    試験前に開発されると思ってた、試験までに開発されなかったら開発はされない(深夜3時だし)
    試験中にされるのを想定してなかった……とか


    ナギサ様大丈夫?血反吐吐かない?

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:23:00

    ただ補習授業部の到着前に温泉開発をさせて全てを台無しにする気ならメッセージを残す必要なんてそもそも無いわけで
    ……第三者の暗躍の気配が漂ってますね ナギサに全ての責任をおっかぶせる気で仕掛けていそうな誰かの

  • 47二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:23:36

    温泉開発部員が知ったらトラウマになっちゃいそう
    コハルも生死の境(死寄り)だけどナギサの命の方が危ないかも
    ツルギがキレたハスミたち制止するかすら怪しい事態になっちゃったよ…

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:26:02

    キリちゃんとは一体…ナギサに変装できるキャラでこんなことできそうなのは誰なんだ
    ナギサはナギサで本編の発狂モードに入った疑惑もあるしどうなることやら

  • 49二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:38:44

    >>48

    変装……って聞くと門主様が浮かぶ

    流石にないだろうからキリちゃんがナギサ様で良いよね


    多分、お忍びで彷徨いてるときに仲良くなっちゃった感じ

  • 50二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:44:36

    (・_・ )スウ−−−−⤴⤴⤴⤴


    ※5以下で「決定的成功」

    ※6以上75以下で「成功」

    ※76以上95以下で「失敗」

    ※96以上で「致命的失敗」

    ※投擲物:小石

    ※投擲対象:温泉開発部


    <投擲>dice1d100=99 (99)

    本当はナギちゃんの代わりとしてイッチに投げるべきなんだろうけど本編同様こいつらに投げておきます。

  • 515025/02/06(木) 21:48:47

    (・△・)

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:49:44

    >>30

    ここで「私ドライバーじゃなくて料理人なんだけど!?」と言うフウカが浮かんだ。


    >>43

    カスミだったら情報聞いたらまずソースを確認しそうですよね。

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:50:01

    原作以上にあらゆる思惑が裏目に出てその上で運までファンブルってる感がヤバい……

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 21:54:27

    ただ「なまじゲヘナへの伝手が多いため、エデン条約に難色を示す百合園セイアを排除したい」という動機という点で考えれば今のコハルは真犯人候補としてあまりにも……ねぇ
    なまじ伝手が多いからセイアを出し抜く人材に渡りがつけれる可能性も高いわけだし

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:04:25

    >>44

    というか先生が試験官的な立場でついてくるのは分かりきってるんだから、ハナから先生に怪我を負わせて退場させるつもりだったんじゃないかな?(殺す気はなかったとは思うが)

    あと私見なんだけど、ゲヘナでの一連の狼藉が相手にバレたら全て先生(シャーレ)に責任を押し付ける形で済ませたんじゃない?

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:12:11

    >>44

    再びこうなっちゃう?

    いや、こうなる前にブチキレるか?

    そのまんまティーパーティに乗り込もうとするのでは?

    ………心配なのはこの情報が伝わった後のトリニティなんだよね

    「…潰す」ってなっちゃう可能性ある子が何人か居るから正実に話行きそう

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:16:04

    >>56

    多分先生経由で話が行くと思いますよ。

    そうじゃなくても意識不明の重体になった人が確定で1人いるので・・・。

  • 58二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:21:11

    >>57

    こう、先生経由なら出来るだけ穏便に済まそうとすると思うんだ


    その場に居る一部生徒経由なら爆発もナギサのせいって伝わりそうだなって怒ってると情報がねじ曲がったりするし

  • 59二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:21:36

    そもそもこの状況だとトリニティに帰る余裕があるか怪しい
    セナを頼る必要があるかも知れないがそうなると本格的に隠せなくなる

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:22:38

    もしかしなくても(風紀)委員長が飛んでくる可能性が・・・。

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:23:27

    一番辛いのは誰か…って話でもないけどさ。
    先生、めちゃくちゃ辛いし悔しいでしょコレ。
    生徒一人死に掛けてるのに自分は何も力になってあげられてないんだもん。

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:26:21

    なんだこの………なんだ
    ダイス振ったら全てファンブル出てるってぐらいの不運の連発感

  • 63二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 22:31:44

    >>62

    そんじゃ試してみよう。

    ※96以上で「致命的失敗」(ファンブル)

    dice1d100=61 (61)

  • 64二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 23:08:21

    コハル…流石に生きてるよな

  • 65二次元好きの匿名さん25/02/06(木) 23:11:21

    おいおい・・・とんでもねぇことになってるじゃねぇか・・・

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 01:17:55

    流れたメッセージはナギサ本人の物だろうけど、
    温泉開発部に情報流したのはミカかもって思った。

    コハルはゲヘナ生との繋がりがあり、ナギサとも交流あるから、
    「ナギちゃんがエデン条約に固執してるのはこの子のせい?」とか思われてても不思議では無いし。

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 03:01:49

    >>50

    これコハルに当たってません?

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 06:20:54

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 08:15:27

  • 70125/02/07(金) 12:36:38

    ひぃんあまり細かいことは言いたくないんだけど、できれば顔文字だけのレスは辞めてほしいよー荒らしかと思っちゃうよー

  • 71二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 15:12:38

    ほです

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 20:04:01

    だいたい今のコハルちゃん↓

  • 735025/02/07(金) 21:04:18

    >>67

    ・・・いや、うん。多分大丈夫だと思う。多分。きっと。


    dice1d6=3 (3)

    1.本気で投げすぎて肩を軽く壊した

    2.海に飛んでいった

    3.待機組に当たった

    4.風紀委員(モブ)の誰かに当たった

    5.ヒナ委員長に当たった

    6.コハルに当たった

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/07(金) 21:08:54

    >>73

    なんかこう、キレるの我慢してる所に当てたのでは?

  • 75二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 03:09:58

    産屋敷家方式でベアおばぶっ殺したら完治したりしねぇかなぁ

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 12:02:14

    保守です

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 12:09:44

    ここから入れる保険があるんですか!!??!?!1?1!1??
    え病弱知ってて爆破依頼はあなたをコロします言ってるのと同義ではマジで何があった
    治療したい説はこれでたぶん切れた…あるいは、治療したかったけど金マグロ逃がして諦めついて吹っ切れたか
    致命的に仲悪かったっけ?そんなでもない、むしろ仲がいいけど政治優先した結果とか?
    まさか死を救済だと思ったりしてないよね?

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 12:16:06

    >>77

    マグロの一件でストレスが限界突破して最期の12日間モードに入っちゃったとか

  • 79二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 15:11:24

    大丈夫?お友達ごっこで済む?

  • 80二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:37:18

    >>79

    ナギサの胸元に掴みかかって怒鳴りつけてそう

  • 81二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:39:27

    >>80

    怒鳴るだけで済めばいいんですがねぇ・・・

    もし俺だったら凸雷ありったけぶち込みかねないかも

  • 82二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:41:23

    誰よりもナギサ自身が怖い

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:45:09

    >>79

    下手したらナギサが覚悟完了でお友達ごっこが効果無くなってる可能性

    まあハナコなら他の手段使うだろうけど

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 17:56:53

    このスレのナギサ、実は裏切り者が補習授業部ではなく、自分の周囲にいる誰かだと勘付いてるのかも。
    コハルと交流がある事がバレてるのを察して、トリニティ内が危険地帯となってしまったから、一旦遠ざける為の対応なのかもしれない。

    裏切り者はエデン条約を妨害している=ゲヘナに嫌悪感抱いてる人物だから、ゲヘナまでは裏切り者の手は届かないだろう。
    そんな考えから試験会場をゲヘナの自治区にしたけど、
    コハルに向けられている悪意がナギサが想定してたよりも強かったのであんな惨状になった、とか。

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:14:35

    「最後に指揮官から伝言です♡ --あはは、楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ」

    「最後にコハルちゃんから伝言です♡ --あなただけは、絶対に許さない」

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:29:22

    >>84

    その場合はゲヘナ本校の方でのお泊り的なイベになりそうな気がするんだよな…

    あんな超特急で急かしてかつ隅っこにする理由がなくなるというか

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:15:05

    >>86

    ゲヘナ本校でお泊りするには、万魔殿辺りに協力要請する必要が出てくると思う。

    先生を間に挟んで交渉したとしても万魔殿は何かしら要求吹っかけてきそうだし、最悪トリニティ内部がガタガタなのがゲヘナに露呈してエデン条約が不成立になりかねない。

  • 88二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:17:32

    ゲヘナ入りする時点で万魔殿入り不可避では?ボブは訝しんだ
    この時期に万魔殿に断りもなくティーパーティーの命令で越境させるとかそれこそ狂気の沙汰としか…
    いや風紀委員に追われたりしているけど…

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:20:03

    連絡も置き通信も全てナギサがやったとしたら1つ可能性がある

    原作以上にぶっ壊れて発狂してる可能性

    置き通信撮った時はまだ理性保ってたが
    発狂して自分で何してるか分かってないから連絡したとか
    つまり
    置き通信を撮り配置→何かあって発狂→あそこ掘ったら温泉沸くよ!

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:37:50

    このレスは削除されています

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:39:16

    >>88

    「そちらもこの前美食研究会が勝手にトリニティ自治区に来てやらかしてますよね?」

    って感じで追求させず有耶無耶にさせたんじゃない?

    ゴールドマグロの損害賠償とかもちらつかせたりとかしてさ。


    ティーパーティーから補習授業部に告知した試験会場情報は、後で情報抹消するなりしてしまてばヒフミ達が嘘ついてる扱いにできるだろうし、

    「問題児達が勝手にやっただけなので、ティーパーティーは関わってません」と言い逃れはできそうではある。

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:51:23

    あー
    発狂説は有力かもと思った

  • 93二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 07:40:30

    ほ し ゅ

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 07:45:21

    発狂説の何かあって発狂……色々積もっててだろうけど

    トドメがゴールドマグロの件じゃね?となってしまう

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 12:53:55

    ゲヘナ行き→爆破依頼はまあシンプルに「お前を〇す」だから、おそらく仲の良いナギサがやる理由がない、発狂が有力説になるくらいには

    爆破の方だけはワンチャン別のヤツの手が入ってたりしないかなぁ、ベアおばとか

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 13:04:52

    仮に匿うならシンプルにセイア暗殺()後に成立したシャーレとかで良いだろうがと思うしね
    考えるほどに発狂に近い精神状態って説に説得力が

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 18:47:21

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:05:36

    ほしゅ

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 00:30:32

    しかしこれ
    もしかしなくてもここから補習どころじゃなくなるというかストーリーめちゃくちゃ変わるのでは?

  • 100二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 03:29:14

    アビドス3章のホシノもびっくりな錯乱状態の可能性が指摘されるナギサ様…原作以上にエデン条約に執着する理由でもあるのだろうか

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 12:10:04

    合宿所はコハルに配慮してたのに今回は一切の配慮なしだったりと明らかに対応が違うからな

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 12:20:21

    これだけコハルの影響力が大きいと、先生の抹殺を目論んだ某小説ではないがアリウスが関与してる可能性も否定できんわ
    コハルが●ねばトリニティが崩壊するレベルに達してる

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 19:12:34

    ほー

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 21:49:08

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 22:48:36

    もしかして…
    コハルほんとにやばい

  • 106二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 02:07:53

    ほしゅ

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:09:54

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:39:46

  • 109二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:44:25

    別スレで拾ったやつだけど本当か分からんがこういうことがあるらしいので注意な

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:38:23

    ひぃん書いてる最中に色々アイディアが出てきたので、組み込みつつ落し所を考えてるところだよー
    少なくとも週末までは更新はないと思うよーごめんねー

    読者の人たちの反応から思いつきを得ることもある(全部採用されるとは言ってない)ので、感想をもらえるのはとっても嬉しいよーありがとねー

    なんか「保守」で規制されるなんて話も出てきてるので、無理して保守しなくてもいいからねー最悪スレ立て直すよーちょっと悲しいけど

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:44:44

    しっかしコハル周りあれだな
    地獄への道は善意で舗装されてるが似合い過ぎない?

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:54:26

    この段階でこの惨状なら条約当日とかもう終わりやん…って一瞬思ったけど、原作のコハルって少なくとも爆発自体とは無縁の場所に居た筈よな…大丈夫よな…

  • 113125/02/11(火) 23:00:13

    >>110 ひぃんコテハンつけ忘れたよー

  • 114二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 23:03:18

    コハル色々顔見知りがいるからアリスクメンバーと知り合いだったらどうしよう…
    雑誌をひろいにいくヒヨリとか、自殺しようとしてるミサキとか

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 23:03:43

    >>112

    原作は…カフェ?とりあえず飲食店に居た筈

    ここのコハルが飲食店に居られるかと言うと………かといって原作で撃ち込まれた次点に居れるとも思えないから

    爆発でダウンはないんじゃないかな

    そもそも原作で言ったらその前にアリウス+ミカ襲来あるからね!(白目

  • 116二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 23:06:37

    ナギサ様、悪役令嬢の如くふんぞり返っているのか部屋の隅に縮こまって謝罪の言葉を吐き続けているのかもう既に靴を揃えて飛び込み準備完了しているのか……

  • 117二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 23:41:43

    >>116

    ふんぞり返ってるところにコハル瀕死の知らせが来て青ざめてほしい

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 23:47:47

    >>116

    発狂説もあるから全部だったりしてね

    ふんぞりかえってると思ったら急に怯えたように謝罪を繰り返してスッと表情が消えたと思ったら窓に足をかけて乗り出そうとして

    かと思ったら降りて優雅に紅茶飲み始めたと思ったらテーブルの上をなぎはらってうずくまって泣きながら謝りだして

    そして急に死にたくない死にたくない死にたくない!と怯えだすみたいな


    ここのナギサ、セイアは殺されてると思ってる上に何時亡くなってもおかしくないコハルも居るから

    死を他の子に比べて鮮明に感じてそうなんだよね

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 07:55:41

    後遺症とか残らないと良いんだけど、、

  • 120二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 08:21:02

    追いついた
    コハルの現状:外傷による意識不明(推定)
    これからさらにお薬の反動があるという
    今から入れる保険はどこですか?

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 14:37:30

    病弱コハルとかいう、命をささげてキヴォトスに道徳を教えられる教科書よ・・・

  • 122二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 15:26:53

    カスミ部長って生死の境を彷徨ってた説があるんですけどこれ大丈夫なんですか
    自分の部下が意図せず人の命を脅かしてるんですけど

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 15:37:10

    >>122

    爆発に巻き込まれても気絶するだけのキヴォトス人の頑丈さが前提にあるのにそれを覆されちゃうと…SAN値チェックのお時間?

  • 124二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 20:59:38

    めっちゃ面白いです!
    いつまでも待ちます!

  • 125二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:55:20

    >>38

    え、お腹にコンクリートの鉄筋の一部が刺さってあるんですけど?!

    誰か!この中にお医者様はいらっしゃいませんかー!

  • 126二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 23:12:03

    >>125

    コハルちゃんの近くでダウンしてますよ

  • 127二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 23:14:45

    コハルが瓦礫に埋もれてそばのハナエは埋もれてない
    これコハル、ハナエ庇ってない?

  • 128二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 06:12:48

    >>127

    仮にもしそうだとしたらハナエの心境たるや、、、


    朝保守

  • 129二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 09:44:01

    医療関係でトラウマ抱えるの大分痛すぎる。
    不安とトラウマで夜も眠れないハナエが居たって良い・・・(よくない)

  • 130二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 18:29:20

    追いついた!
    うーむエログロ無しでこんなにも透き通ってない
    ブルアカカテは久々かもしれん。
    なんで一人にデバフ入るだけで難易度が
    アホみたいに跳ね上がってるんです……?

  • 131二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:48:14

    >>130

    グロなしとは

  • 132二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:51:29

    >>130

    言わんとしてる事はなんとなく分かる

    分かるが……世界がグロい

  • 133二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:52:42

    >>132

    笛吹ならわりとあるがあにまんでも突然変異的にスレが立つことがある

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:52:43

    >>127

    それもしコハルに万が一があったらハナエ発狂しない?

    発狂してチェーンソーでティーパーティーに突撃したりしない?

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 03:16:06

    >>134

    実際ありえそうなんだよね。

    ただ突撃する時はハナエ単独ではなく補習授業部(コハルを除く)と救護騎士団のネームド生徒全員が押し寄せそうだけど

  • 136二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 04:26:06

    >>130

    グロなし(鉄骨腹貫通)

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 05:25:32

    調印式で先生もお腹に穴空いてお揃いになるから安心!

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:45:01

    >>135

    ただ行ったところで待ってるのはお労しいか覚悟完了してるナギサ様だけだぞ、、、

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 14:46:42

    保守
    う授業部

  • 140二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:26:49

    思ったよりヤバい事態になったなぁ(呆然)
    ……待ってまじで落とし所見つかんないんだけど。
    人死にでないよね?

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 05:27:08

    待ってまぁす!

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 11:50:23

    コハルはかわいいなぁ

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:41:45

    モニタリングしてるっていうことはナギサ様この状況はリアルタイムである程度把握してると思うんよ
    で、約束の時間までに戻ってきてくださいっていってるんよね
    …温泉開発部に関してナギサ様が手を出してるならそんな発言するかなぁ?
    というか約束の時間までってなんだっけ…?なんかったっけ…?

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:37:34

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 17:50:05

    保守

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:54:48

    ほーしゅ

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 06:39:05

    ホルス

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:16:20

    暁の

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 16:20:45

    早保守

  • 150二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 18:05:09

    >>41 に関するちょっとした考察

    もしナギサ様じゃないとしたら万魔殿?


    >>6 「日の沈んだ教室」より推定18〜22時ぐらい?

    テストは27時だからトリニティ掲示板に情報があがってから万魔殿が手を回すまで時間は十分

    ヒフミたちが道中受けた妨害精度的にも何か”読まれている”感じがする

    万魔殿の動機として風紀委員会を邪魔したい→エデン条約を邪魔すればいい→ヒフミたちトリニティ生を邪魔すればいい

    温泉開発部を使うことで万魔殿は無関係に見える

    しかもやってる場所はゲヘナ内だから何かあってもトリニティ側に非がある

    仮にトリニティから何か言われても実際に邪魔したのは温泉開発部とそれの対応をした風紀委員会だから関係ないと言えるし、実際成り行きとはいえ>>29にて風紀委員会がヒフミたちを追いかけ回してる

    ついでに >>25 より一騒動起こして美食研究会をしれっと出すことでトリニティ生の車を美食研が強奪して逃走するところまで読んでたかも(まぁそうはならなかったけど)

    >>43 にもあるけどカスミは試験会場発破したのに関わってないか、万魔殿がカスミを騙し切ったかのどっちかな

    先生が負傷するリスクがあったのに発破を実行させたのはシッテムの箱の能力を万魔殿の諜報力で知ってた説がありそう

    そして極め付けは仮にトリニティ生が来なかったとしても普通に温泉開発部が深夜に暴れて風紀委員会の仕事を増やすこと自体は成功すること


    ここまで書いたけど辻褄合ってるか不安、、、


    ただの一読者の拙い考察です

    続きお待ちしております

  • 151二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 22:56:21

    夜保守

  • 152二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:04:36

    そもそもシッテムの箱が特別な品であることを知ってるのはゲマトリア・無名の司祭・デカマクラ娘組と全員特異なエネミーで、生徒を含めた他の人間は「いつも先生が持ち歩いてるタブレット」程度の認識
    そんな有様なので不可視の超常現象であるアロナバリアなんて生徒が知りようがない

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:07:28

    >>152

    ただどっちに転んでも良いって考えでやった事は否定出来ない


    流石に死人出そうなのは予測してないだろうけど

  • 154二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:30:40

    万魔殿黒幕説の場合はなんだな
    ヒナがちょっと類を見ないレベルで反撃してくる可能性が見えますね THE☆地獄

  • 155二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:36:00

    ……なんとかベアトリーチェにヘイト行かないかなぁ
    どのルートでも引き込まれる話になるのは分かってるんだけど
    トリニティとゲヘナ(ジュンコだけだとしても)が協力してぶっ飛ばすのは見てみたい
    あと、多分一番平和なルート

  • 156125/02/17(月) 01:16:24

    ひぃん更新遅くてごめんよー。一部キャラを書くのが本当にキツくて……作者の脳みそを超える頭いいキャラを書くのはほんと難しいよー二人もいれば尚更だよー

    申し訳ないけどまだ半分しか書けてないからもう少し待っててねー


    >>150 長文の考察ありがとうねー貴重な時間をこんな落書き帳に使ってくれたみたいでとても嬉しいよー

    期待に沿えるかは分からないけど、なるたけ皆が納得できるような展開になってることを祈るよー

  • 157二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 07:33:52

    全力待機

  • 158二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 12:40:35

    完結まで待機

  • 159二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 17:22:46

  • 160125/02/17(月) 18:58:28

    「ハナエちゃん! ハナエちゃん起きてください!! 緊急事態なんです!! このままだとコハルちゃんがっ……」

    「ダメだヒフミ揺らすな! 脳震盪を起こしてるかもしれない!」

    「で、でも!」

    「いいからこっちを手伝ってくれ! クソッ! 血が止まらない!!」

    ――地獄絵図、という言葉がある。地獄に堕ちた亡者や罪人が苦しむ様子を描いた絵のことで、転じて地獄のような凄惨な有様や、阿鼻叫喚の様子を表す四字熟語として使われるが……今の光景こそ、まさにそれそのものだった。

    意識のないハナエに縋り付くヒフミ。それを言葉で制しつつ、アズサがコハルに応急処置を施している。自身の制服を破って患部に当てており、白かった制服は既に恐ろしいくらい真っ赤に染まっていた。だがどういうわけか、刺さった鉄筋を抜いていないはずなのに上手く止血できていないようだ。どうして……いや、状況を分析してる場合じゃない!

    【――アロナァッ!!】

    『対象のヘイローに干渉、神秘固定! 状態の安定化を開始します……これは、血流が加速している!? せ、先生! コハルさんの血が止まらないのは恐らく出発前に打ち込んだあの薬のせいだと思われます! 血液の凝固作用が阻害されていて……! このままでは10分経たず失血死してしまいます!』

    【何だって!?】

    クソ! どうしてこんなことに!

    シッテムの箱から聞こえてくる絶望的な報告を聞いて、思わず拳を握りしめる。やはり彼女をここに連れてくるべきではなかったのか? いや、ハナエや本人も言っていたが、コハルのあの体調だと3次試験を受けられる可能性は低かった。だからこそ、この強行軍をするしかなかったわけだが……まさか、こんなにも直接的な妨害までしてくるとは……普通のキヴォトス人ならさておき、コハルなら死にかねないというのに!

    ……いやまて、よく考えろ。この爆発は、本当にナギサが仕組んだことなのか?

  • 161125/02/17(月) 18:59:29

    ――コハルさんは、元気でいますか?

    あの時。コハルの様子を聞いてきた彼女は、何か思うところがあるようだった。あの痛ましげな表情……あの瞬間だけ、トリニティのティーパーティーホストではなく、素の桐藤ナギサが現れたように私は感じたのだ。それに、先ほどコハルが呟いた「キリちゃん」という言葉。……この2人の間には、きっと何か……知り合いを超えた繋がりがある。にも関わらず、ナギサがこんな凶行に走るだろうか?

    「……! ハナコ!! 固まってる場合じゃない、頼むから手伝ってくれ!! このままだとコハルが――ハナ、コ?」

    焦燥に駆られたアズサがハナコに叫び、途中で勢いを失った。思わずそちらを振り向くと、そこには俯いた状態のハナコの姿があった。前髪で隠れていて、表情は伺えない。

    「……まで」

    小声で何かを呟いている。そのトーンはとても平坦で……まるで、嵐の前の静けさのような。

    「――ここまで、するんですね。ナギサさん」

    地獄の業火を冷え固めたかのような、硬く冷たく、内に激情を閉じ込めた声だった。思わず背筋が震えるほどの迫力。……面を上げたその顔は、まるで能面のように無機質だった。

    「ハナコ、ちゃん?」

    「……失礼しました。まずは……まずは、コハルちゃんの血を止めなければ。このままだと失血死してしまいます」

    「それはわかってる! さっきから圧迫止血を試みてるんだが、全然止まらなーー誰だっ!!」

    アズサが突如銃を構えた。その射線の先、瓦礫の向う側には、2人の生徒の姿。

  • 162125/02/17(月) 19:03:00

    「ひ、人がいるよ!? ちょっとどうなってんの!? 事前確認したんじゃ!?」

    「い、いや知らねぇよ! 人はいないって部長が言ってたからそのまま……ていうか、あの制服、もしかしてトリニティか!? なんでここに!?」

    「あのツナギ姿……ゲヘナの、温泉開発部……!」

    「温泉、開発……そうか、お前らが――」

    ヘルメットを被り、手ぬぐいを首に掛けたゲヘナの生徒2人。ゲヘナの部活でも有名な、温泉開発部の生徒たちだろう。私たちの姿を見て狼狽している。
    それを見たアズサの瞳孔が、猛禽類の如く急激に鋭くなった。タンっと床を跳ねる音。白い羽が幾らか抜け落ち宙を舞う――。

    「――ぐぇっ!?」

    「お前が、お前らがこれをやったのか!! こんなふざけた真似を……!! 誰の差し金だ! 言え!!」

    言わなければ、その首をへし折る――そう言わんばかりに、飛びかかったアズサは温泉開発部員の上に馬乗りになり、その首を両手で締め上げていた。小柄な体躯からは想像もできないくらい強い力なのか、それとも火事場の馬鹿力というべきか、体格で勝る部員がろくに抵抗できていない。べっとりと、アズサの掌についていた赤いものが部員の首を彩る。

    「ひっ「ーー逃がしません」!?」

    いつの間にか、ヒフミがもう1人の部員に銃を突きつけていた。血走った目から涙を零しつつ、引き金に指をかけている。残ったハナコはというと、アズサが離れた後のコハルの止血に神経を注いでいてこちらに見向きもしない。不味い、まさかヒフミまで銃を抜くとは思わなかった。止める人間が誰もいない。

    【アズサ! ヒフミも落ち着いて! 彼女たちを責めても何も――】



    「これは、一体何の騒ぎだ?」

  • 163125/02/17(月) 19:03:55

    「! 新手か!?」

    部員の首を片手で掴んだまま、アズサがもう片手で拳銃(サイドアーム)を抜いて向ける。声のした方には、何人かの人影……温泉開発部だろう少女たちの姿が見えた。その中心、赤い髪を持つ少女が、隣の小柄な少女に話しかけている。

    「計画から外れた場所まで爆破するものだから、何をしているのかと様子を見に来てみれば……」

    「部長、もしかしてあれトリニティの制服じゃない? ……なぁんかゴタついてるみたいだけど……」

    「……この時期に、それもゲヘナの中心部に、トリニティの生徒? どういう――待て。その赤い地面は……血だまりか? まさか、怪我人がいるのか!?」

    コハルの様子に気づいたのだろう。さっと血相を変えた少女が駆け出し、こちらに向かってくる。しかしコハルに近づく前に、部員から手を離したアズサが銃を構えて立ち塞がった。

    「止まれ! 近寄るな!」

    「え!? 怪我してるの!? 大丈夫!?」

    「ストップだメグ! 刺激するな! ……落ち着いてくれたまえ。正直状況がよくわからないが、とりあえず切羽詰まっているのはよくわかった。……怪我人がいるんだろう? それも、命に関わるような。一応、部活柄それなりに医学には精通している自信がある。良ければ私に診せてもらえないか? 温泉開発をしていると怪我には暇がなくてね」

    メグと呼ばれた赤い髪の少女を制止しつつ、小柄な少女が両手を挙げながら言葉を紡ぐ。……部長? ということは、彼女が……

  • 164125/02/17(月) 19:04:50

    「ふざけるな!! そもそもお前らが爆破しなければこうはならなかったんだ! それを「いえ、アズサちゃん。診てもらいましょう」――!? 正気かハナコ!?」

    「できるだけのことはしましたが、完全に止血できたとは言い難いです。このままでは、最悪……業腹ですが、コハルちゃんを助けるためです。使えるものは使ったほうがいい。……それに、もし嘘だったら――どんな手を使ってでも、貴方を殺しますから」

    肝に銘じてくださいね? 温泉開発部部長の鬼怒川カスミさん。

    ハナコの目は本気だった。そこらの不良が脅しで吐くものとは違う、ずしりとくる重さが、言葉に宿っていた。
    気圧されたのか、ビクリと小さく震えた少女は、ヒフミが銃を向けたままの開発部員をチラ見した後……真剣な面持ちで頷いた。

    「必ず治せるとは言えないが……全力を尽くそう。どうも身内の不始末のようだからな」

    「……くそっ! ……了解した」

    苦々しい表情でアズサが銃を下ろす。その脇を素早くすり抜けた少女――鬼怒川カスミは、コハルの傍でかがみ込んだ。

    「……酷いな。キヴォトス人がここまでの重傷を負うとは。外の人間じゃあるまいし、何がどうなったらこう……いや、詮索は後回しだ。失血が酷い。出血も治まっていない。これでは医療機関に運ぶ前に手遅れになる……何かないか、何か……」

    早口でブツブツと呟いたかと思うと、カスミは素早く辺りに目を配り……何かを拾い上げると、自身の上着の袖を破ってそれに巻き付け、赤い髪の少女――メグに投げ渡した。

  • 165125/02/17(月) 19:05:33

    「メグ! それを熱せ! 真っ赤になるまでだ!  言っておくが布で巻いた部分以外持つなよ!」

    「え!? どういう――「いいから早くしろ! じゃないと死人が出る!!」え、ぅ……わ、わかった!」

    受け取ったメグは、それ……手のひらサイズの金属片を布越しに握ると、背負っていた愛銃をそれに向けた。ゴウッ! と銃口から炎が迸る。火炎放射器……っ! そうか!

    「焼灼止血法……! ですがそれは……!」

    「ああ、この突き刺さってるものを抜かなきゃならない。それも麻酔無しで。……それこそ失血死しかねないが、このまま手をこまねいていてもこのお嬢さんが死ぬだけだ。ならいっそ賭けに出たほうがマシだろう。誰か彼女の体を押さえておいてくれ! 手元が狂うと不味い!」

    【私が押さえるよ】

    コハルの体に触れる。出血性ショックを起こしているのか、脈拍が遅い。肌は青白く、体温はひどく冷たかった。荒い息を吐き、呼吸が普段よりかなり激しくなっているのが見て取れる。アロナが補助してくれていてこの状態か……かなり不味い。
    ……本来、人体に刺さったものを抜くと、塞がっていた傷口が一気に開いて大出血し、カスミが言ったように失血死する可能性が非常に高くなる。そのため、刺さったものを抜くのは御法度なのだが……今のコハルはこの状態でも出血が治まっていない。このままでは遠からず失血死してしまうだろう。しかし、焼灼止血法なら……相当に原始的ではあるものの、とりあえずは出血を止められる可能性がある。本当なら、この止血法は一般人がやるものではないのだが……ハナエが意識を失っている今、カスミに賭けるしかない。

  • 166125/02/17(月) 19:07:02

    「部長! 言われた通り真っ赤にしたよ!」

    「よし。――始めるぞ! いちにのさんで引き抜くから、メグ……はこういうのに向いていないから、誰か「――私がやります」……チャンスは一度きりだが、気負うことはない。落ち着いてやってくれ。……メグ! 彼女に渡せ!」

    真っ赤に熱せられた金属片を、ハナコがメグから受け取る。能面のような硬い表情に、一瞬、僅かばかりの怯えが見えた気がした。

    【……ハナコ、無理そうなら私が代わるよ】

    「いえ、先生。私がやります。やらなければいけないんです。……私が、コハルちゃんをここに連れてきたのですから」

    【! それは違】

    「――準備完了です、いつでも」

    「――いくぞ。いち、にの……さん!」

    ぐっと掴んだ鉄筋を、カスミは真っ直ぐ引き抜いた。鮮血が迸り……刹那、ハナコは熱された金属片を患部に押し付けた。ジュウっと言う音と共に傷口から煙が上がる。
    悲鳴に近いうめき声が、コハルの喉から絞り出された。

    【ぐっ……コハルごめん! 今は我慢して!】

    ひどく消耗しているせいか、思っていたほどの抵抗はなく……暫くして、ハナコが金属片を傷口から離し、その辺に放り捨てた。コハルはというと、ほぼ死に体でぐったりとしているものの……出血は止まった。成功したのか……?

    『失血死の可能性、16%まで低下しました……ふいぃ……で、でも! 依然、危険な状態であることに変わりはありません! 彼女には早急な治療が必要です、先生!』

    「……出血が止まった。とりあえず、当座は凌げたか。上手いこと内臓を避けていたのも幸運だったな。……だが、焼灼止血法はあくまで外傷を火傷に置換しているだけの荒療治だ。このまま放置すれば火傷が重症化するリスクはあるし、失った血液が戻ったわけでもない。すぐにでも医者に診せることをオススメする」

    「な……なら今すぐトリニティに戻らないと! ハナエちゃんも目が覚めなくて心配ですし」

  • 167125/02/17(月) 19:08:26

    「な……なら今すぐトリニティに戻らないと! ハナエちゃんも目が覚めなくて心配ですし」

    「できればゲヘナの救急医学部を頼りたいところなんだが……君たちがトリニティの人間である以上、凄まじくややこしいことになるだろうな。最悪条約が吹っ飛ぶどころか戦争が始まりかねん。君の言う通り、今すぐトリニティに帰るのが一番だ」

    ヒフミが部員に突きつけていた銃を降ろしつつ、焦燥を顕にする。確かに、すぐにでもトリニティに戻って救護騎士団に運んだほうがいいだろう。ただ問題は……

    【どうやって帰るか、だね】

    「一応言っておくが……行きで乗ってきただろう装甲車に乗せるのはオススメしない。現在、ここは風紀委員会に包囲されつつある。ここまでの重傷者を乗せつつ奴らを強行突破するのは戦力的にも厳しいし、まず患者への負担が尋常じゃないだろうな」

    「な、何故それを……」

    「うちの連中を撒いてくれただろう? その上、この周辺で陽動でもするかのように今だに暴れ回っているんでな。君たちがここにいることを加味すれば、これくらい予想はつくとも。――さて、それらを踏まえて一つ提案があるんだが」

    カスミはパンっと両手を叩くと、ハナコに近づいて来た。アズサが素早く反応して再び銃を向けるが、撃たれることはないと分かっているかのように淀みなく歩いていく。
    そのハナコは、落ち着いた今になって色々来るところがあったのか、膝に手を当てて呼吸を整えていたが……カスミの接近を察知すると、頭を降ってカスミを見つめた。

    「提案、ですか。……時間がないので手短にお願いします」

    「我々温泉開発部には、特殊な移動方法が存在している。それを使えば、風紀委員会に絡まれることもなく安全に逃げられるだろう。……トリニティにも繋がっているからな。本来我々の秘中の秘なんだが……特別に、案内しようじゃないか」

    「……その代わりに、何をお望みで?」

    「ハッハッハ、警戒しているようだが、これは『取引』ではなく『提案』だ。何か望んでいるわけではないさ。……今回の件、個人的に思うところがあってね。もっともーー」

    カスミが視線をずらす。その先には、明らかにカスミを警戒しているアズサと、ゲホゲホ咳き込みつつ喉をさする、先ほどまでアズサに首を絞めあげられていた温泉開発部員の姿が。

  • 168125/02/17(月) 19:09:54

    「ーー逃げ切った後、いろいろと話を聞きたいとは思っているがな。どうやら誤解も多々あるようだし。……さあ、どうする?」

    「……誤解、だと?」

    「アズサちゃん。……わかりました。案内をお願いします」

    気が立っているアズサを静止した後、少しばかり目を瞑って考えていたハナコは、やがて小さくカスミに頷いた。

    「ハナコちゃん……大丈夫なんですか……」

    「ヒフミちゃん話は後です。時間がありません。何にすがろうと、今はとにかくこの場から離れてコハルちゃんをトリニティに連れて帰らなければ。――ヒフミちゃんはハナエちゃんをお願いします。アズサちゃん!」

    アズサを手招きして呼び寄せたハナコは、その耳元に二言三言何かを囁く。アズサは小さく頷いて……カスミを数秒睨みつけた後、視線を逸らして駆け出した。それを見て、カスミは肩を竦める。

  • 169125/02/17(月) 19:10:32

    「どうやら嫌われてしまったらしい。助けてあげたというのに……悲しいものだ」

    【……一応確認するけれど、この爆発は君たちが?】

    「そうだな、うちの部員の犯行に間違いないだろう。だが、私の指示ではないとは言っておく。ここは事前の開発計画からは外れているのでね。それも含めて話を整理したい。……まあまずは逃げ切ってからにしようじゃないか。シャーレの、先生」

    【わかった。アズサは何処へ?】

    「メッセージを残してもらいに。あの爆発です、陽動に出ていた皆さんも気づいたはず。特にレイサさんやジュンコさんはコハルちゃんを心配されるでしょうから、現状を伝えなければ――彼女が戻り次第出発します」

    「ふむ、了解した。では条約締結前だが呉越同舟と行こうではないか、ハッハッハッハー! ……メグ、部員たちに連絡を。プランDだ」

    「プランDだね、りょーかい!」

    みんなー撤収するよー! 各自一番近い逃走ルートから撤収ー! 順次地下で合流ー!

    メグが無線機に向けてそう話すのを聞きながら、ハナコがコハルを両手で抱え上げる。お姫さま抱っこ……本来ならば恥ずかしがって顔を隠すだろう少女は、今や生死の境を彷徨っている。その光景が、あまりにも痛々しくて。何もしてあげられない自分に腹が立って。

    【……】

    『先生……』

    握りしめた拳から、一筋の血が垂れ落ちた。

  • 170125/02/17(月) 19:11:12

    甲高いスキール音を立てて、物々しい装甲車が1台、横滑りしながら停車する。

    「これ、はーー」

    「……試験会場が……」

    先ほど補習授業部を降ろした場所。もともとそんなに上等な、というかほぼ廃墟同然の建物ではあったが……今では、建物依然の問題であった。

    試験会場は、辺り一面瓦礫の山と化していた。

    思わず言葉を失ってしまう。ここに……ここに、本当にコハルさんたちを下ろしたのか? 場所を間違えているのではないか? 何度も自問しては座標を確認する。しかし、数字上は間違いなくこの場を指していた。

    「こ、コハルさんは……コハルさんは何処ですか? 先生も、他の補習授業部の皆さんも……」

    真っ青になったレイサさんがふらふらと、瓦礫に近づく。理解が追いついていないのか、崩れた瓦礫の山の前で呆然と立ち竦むのを、私は止めることもできず、運転席でただ見ているだけだった。
    そんなレイサさんの横を走り抜ける影が1人。

    「ジュンコ!?」

    「ジュンコさん!」

    狼狽するイズミさんも、咄嗟に静止しようとしたアカリさんの声も振り切って、ジュンコさんは瓦礫の山を身軽に飛び越えていく。その後を追って、ハルナさんが駆け出していった。遅れて、残りの美食研究会の皆さんも。

    「……クソッ!」

    あまりにもあんまりな現状に毒づきながら、私は車から降りてレイサさんの元へと走った。今は現実を理解していないからこれで済んでいるが、理解が追いついたらどうなってしまうのか予想がつかない。

  • 171125/02/17(月) 19:11:55

    「レイサさん!」

    「スズミさん……何が、起きて……どうして、こんな……コハルさんは、コハルさんは何処ですか?」

    「……。落ち着きましょう、コハルさんや先生はともかく、他の方々はこんな爆発で命を落とすほどやわな方々ではありません。姿が見えないあたり、恐らく皆さんこの場を離れられたはず……」

    そうであってくれ。

    そんな願望混じりの推測を、レイサさんというより自分に言い聞かせるつもりで口に出す。でないと私までおかしくなってしまいそうだ。
    辺りを見回す。何か、何か残っていないか。補習授業部の手がかりが何かーーあれは?

    瓦礫の上に置かれていた不自然な物。一枚の白い羽が括り付けられた、一発の砲弾。あれはL118の砲弾……ティーパーティーの……それにあの白い羽はもしや、アズサさんの羽か?
    恐る恐る持ってみるととても軽い。中に入っているのは爆薬の類ではなさそうだ。開けてみると、走り書きされた小さなメモが一枚。

    「……『目的達成ならず』……『温泉開発部』……『敵とも味方とも言えない』……『トリニティへ戻る』……っ!?」

    「な、何が書いてあったんですか?」

    「……ふぅ。……いえ、とりあえず皆さん無事のようです。この爆発でテストは失敗したようですが、向こうは向こうでトリニティへ戻るとか」

    「〜〜っ。はぁ、よかったぁ……テストは残念ですが……無事なようで安心しました」

    レイサさんがほっと息をついていた。その隙にメモを懐にしまっておく。……『コハルが重傷。応急処置はできたが、予断を許さない。私のせいだ』。その内容だけは伏せておいた。私ですらショックだったのだ、レイサさんに伝えたら非常に不味いことになる。……どうして、彼女ばかりこんなことに……いや、考えるのは後だ。

  • 172125/02/17(月) 19:12:26

    「……補習授業部の皆さんが離れた以上、私たちもここにいる必要はなくなりました。風紀委員会を撒いて帰りましょう」

    「そうですね。捕まると不味いですし……そうだ、美食研究会の皆さんは?」

    その時、タタタッと走ってくる音が数名分。思わず銃を握るが、その先にいたのは先ほど走り去った美食研究会のメンバーたち。

    「撤収します! 運転を!」

    「となるとトリニティに一緒に戻ることになりますが……」

    「それでも構いませんわ! 今はどこでもいいから落ち着ける場所が必要です!」

    黒館ハルナさんが叫ぶ。先ほどまでの落ち着きっぷりが嘘のようだ。その肩には、コハルさんくらい小さな生徒を担いでいる。

    「ジュ、ジュンコさん? どうしちゃったんですか……?」

    「説明は後にさせてください。今はとにかくここから離れないと……」

    「お願い! 早くしないとジュンコがおかしくなっちゃう!」

    イズミさんがガクガクとレイサさんを揺さぶる。明らかに様子がおかしい。特にジュンコさん、何故か気絶しているようだが……何があった?

    「わ、わかりました! わかりましたから揺らさないでぇ! す、スズミさん!」

    「乗ってください! 風紀委員会が来る前に離脱します!」

    どの道ここで時間を浪費していれば、待っているのは風紀委員会の包囲網だ。散々引っかき回したからまだ余裕はあるはずだが、敵が集まってくるのを座して待つわけにもいかない。
    様子のおかしい美食研究会を乗せた装甲車は速やかに発進。元試験会場を後にした。

  • 173125/02/17(月) 19:13:21

    「こ、これは一体……?」

    愕然とした様子のヒフミちゃんが、思わずといった体で言葉を口にする。その隣でアズサちゃんが周囲を見回していた。

    「まさかキヴォトスの地下にこんなものを作っていたとは……」

    「――ハッハッハ! 我々温泉開発部はその目的上、様々な大型重機を開発地へ運ばなければいかん。それらの輸送方法というのはかなり重要な課題だった。下手な動きをすれば、すぐ風紀委員会に勘付かれるのでな。ではどうやって解決したか……その答えが、今君たちの目の前にある"これ"だ」

    「すっごいでしょ? 全部部長がどっからか持ってきたんだよ?」

    誇らしげにする温泉開発部の2人。その手が指し示す先には……何台かの列車が停まっていた。

    温泉開発部によって導かれた先、地下の坑道の終着点にあったのは、地下鉄のプラットフォームだった。一般客の利用を想定していないためか、流石にハイランダーのような駅の整備はされておらず、最低限の造りだが……それでも、間違いなくここは地下鉄の駅そのものだった。結構な人数の温泉開発部員が行き交う中、話の通り重機の輸送用だろう、台車がいくつか連結された列車が複数台、静かに荷物の積み込みを待っている。
    そのうちの1台、部員の輸送用だろう客車が接続された列車に案内される。

  • 174125/02/17(月) 19:14:09

    【こんな数の列車、一体何処で入手を?】

    「そうだな……まあ色々、だ。ハイランダーの一部の頬を札束で叩いたり、昔のツテを頼ったり、もう使われていない路線に放置されていたものを少ぉしばかり拝借したり、な。全てはより良き温泉開発のためさ。……おっと、ここはオフレコで頼むぞ」

    しー、と指を1本口元に当てたカスミは、悪戯っぽく笑ったかと思うと、ぴょんぴょんと身軽に動いて列車に飛び乗った。

    「さあ、こっちだ! 医薬品はたんまりあるのでな。応急処置程度だが、救護騎士団に送るまで保たせる事はできるだろう。お嬢さんたちを寝かせるスペースもある。君たちが乗り次第、すぐトリニティへ出発するぞ!」

    「……これ、もしかして……ゲヘナの部活がトリニティの地下を勝手にいじってるってことでは……あわわ……」

    「そうですね。――それが、何だというのですか」

    「は、ハナコちゃん……?」

    ヒフミちゃんには応えず、コハルちゃんを抱えてさっさと列車に乗り込む。トリニティがどうなっていようが、私の知ったことじゃない。

  • 175125/02/17(月) 19:14:46

    「――さて、トリニティの地下へ着くには暫くかかる。それまでお話といこうじゃないか」

    地下に作られた違法な路線を突き進む1台の列車。それに連結された客車の中で、鬼怒川カスミは座席に腰掛けて両手を組んだ。
    それに対面するのは、窓際に座った私。隣にはコハルちゃんを寝かせている。先ほど改めて医薬品を使い、包帯を巻いたりと応急処置をしたのだが……ダメージを負いすぎたのと、荒療治が過ぎたのもあり、今だに意識が戻らないままだ。その顔はとても苦しげで、額に脂汗が滲んでいた。それをハンカチで拭き取るヒフミちゃんは、座席に座らず、心配そうにコハルちゃんの傍で屈み込んでいる。その脇、通路には愛銃を握り、警戒を維持したままのアズサちゃん。先生はハナエちゃんを寝かせつつ、通路を挟んで反対側の座席に座っていた。

    「長話になる、君たちも座ったらどうかな? 揺れる列車の中立ったままなのは辛いと思うが」

    「必要ない」

    「そうか、ではご自由に。……まずはこちらから聞こうか。エデン条約で上がごたついてるのは知っているだろう? にも関わらず、こんな深夜にゲヘナの中央部にいた理由は?」

    「それについては、こちらを見たほうが早いでしょう」

    自身の携帯を取り出し、画面を見せる。そこには、トリニティの掲示板が映っていた。ヒフミちゃんが目を見開く。

    「は、ハナコちゃん! トリニティの掲示板を外部生に見せるのはマズイです! 情報漏洩に「――ヒフミちゃん。少し黙っていてください」……う、うぅ……」

    「ふむ。地下では電波は通じないぞと言いたいところだが、スクショか……少々拝見。……………………なるほど? どうやらそちらの首脳部は、万魔殿とは別方向で頭のネジが外れてしまったようだな」

    「でなければこんな暴挙には出ないでしょうね」

    裏切り者に怯え、実態を掴めないまま虚構に踊らされた、その果てがこれだ。そのうち自身の影にすら怯えだすのではないか、あの女。

  • 176125/02/17(月) 19:16:20

    「そちらの状況はわかった。テストのために、ゲヘナにね。―ーこの変更内容事態、頭が沸いているとしか言いようがないが、重要なのはそれに至った理由だ。……『補習授業』か。さしずめ、条約前に都合の悪い者たちを排除するための仕組み、といったところか?」

    「概ね、それで合っていますよ」

    ……この情報だけでそこまでたどり着くか。温泉開発部部長……数年前は単なる同好会レベルだった連中を、この規模まで押し上げただけのことはある。侮れない。

    「とすると……まんまとうちも利用された形だな。今度はこちらの説明と行くが、今夜の私たちはゲヘナ中央部にて開発を行っていた。ただし、君たちのいた試験会場の発破予定はなかったんだ。証拠としてこれを見てくれ」

    鬼怒川カスミが下倉メグから一枚の紙を受け取り、机に大きく広げる。これは、ゲヘナの地図か? パッと見でかなりの情報が記されている。地形情報、地盤、人口、建物の構造、所有する企業とその社会的影響度……トリニティの上層部なら知りたがるだろう戦略情報の山だ。私にはどうでもいいが。

    「今夜の開発計画に基づく、開発予定図だ。赤く塗りつぶされた部分が開発予定地、つまり発破範囲だな。ほら、君たちのいた場所は入っていないだろう?」

    「突然計画を変更したんじゃないのか? それだけでは信用できない」

    「ふむ、アズサと言ったな。君の意見はご尤もだ。それを否定する物的証拠もない。――だが、我々温泉開発部にもプライドがある。開発には入念に準備をし、調査をした上で開発計画を立てている。そのへんの不良集団みたく、突発的な行動や、思いつきによる予定変更などしない」

    先ほどまで軽薄だったカスミの目つきは、真剣味を帯びていた。……おそらく、この部分に関しては真実と見ていい。彼女たちの温泉開発への熱意は相当なものだ。少なくとも、今回の試験会場への発破は彼女たちの意思ではないのだろう。――では何故、意図せぬ発破が行われたのか。

    「ですが、試験会場が予定と違い、実際に発破されたのも事実です。貴方がたの部員の仕業でしょう?」

    「それについてはそのとおりだ。なので、当事者たちに既に事情を聞いておいた。本人たちは、まあメンタル的に君たちの前に呼ぶのは憚られたのでな――メグ」

  • 177125/02/17(月) 19:17:23

    「はーい! えーとね……あの子たちは、部長から指示があったって言ってたよ?」

    元気いっぱいに答えたメグの言葉に、車内は静まり返る。

    「やはりお前の指示じゃないか……!」

    「先走った結論を出すのは辞め給えお嬢さん。まだ続きがある。……メグ、その先が重要なんだ。ぶった切らずに全部言え全部」

    「ごめんごめん。その『部長』曰く、『ここに源泉があると追加情報があったので、突発的な変更で申し訳ないが、発破範囲をズラす』って。それを1人で言いに来たんだって。……風紀委員会とバチバチやってる最中に、1人で」

    「ハッハッハ、お世辞にも私は強くないのでね。現場では常にメグを隣につけている。単独行動をするなんてリスクが高すぎて、特にゲヘナ自治区内ではあり得ない。いつヒナが来るか分かったもんじゃないからな」

    つまり、そいつは偽物だ。

    苦々しく顔を歪め、ブルリとカスミは体を震わせた。……この反応は恐らく素だ。空崎ヒナに苦手意識でもあるのかもしれない。空崎ヒナに苦手意識がないゲヘナ生のほうが珍しそうだが。

    「ただ、姿は部長そっくりだったらしくてね。なんと光輪(ヘイロー)含めてそっくりで、温泉開発部員が一目で部長だと思っちゃうくらい。そのせいで、事前の計画から外れるのは初めてだったけど、まあ部長が言うことなら〜って、納得しちゃったらしいよ? ただ――」

    ――今思い返してみると、なんか少し、様子が可笑しかった気が……なんていうか、いつもより真面目そうな……

    ――あ、そうだ! ヘイロー! ヘイローがなんか一瞬ボヤケてた! ……ような気がする……

    「――そんな感じの話をしてた! 以上釈明終わり!」

  • 178125/02/17(月) 19:18:06

    「……いつもより真面目そうとはどういうことだ? こんなにも普段から真面目な人間はそういないだろうに……まあいい。うちの部員は少々オツムの出来が悪い者も多くてな、ホイホイ怪しいやつの言うことを聞いたことについてはご容赦願いたい。……さて、確認したいことがある。トリニティには他者に成り代われる技術か、もしくは凄腕の工作員でもいるのか? そのへん詳しいだろう? 浦和ハナコさん」

    「あら――答えはNOです。そんな便利な物があるなら、今頃トリニティはゲヘナに対してもっと優位に動けていたでしょうね」

    自慢できることではないが、ティーパーティーの諜報部については下手なティーパーティーの人間よりも知っている。あまり表沙汰にできる内容ではないが、まあ昔色々あって……人のプライバシーを侵害するなら、侵害される覚悟ぐらいしてるでしょうから問題ありませんよね?
    その上で断言していい。ヘイロー含めて変装できるような達人も、その技術も、トリニティにはない。……そのカスミの偽物は、何処から出てきた?
    そして地味に自己紹介すらしていない私のことを知っていたなこの女。呼び名だけで推測したか?

    「ふむ、万魔殿でもないだろうな。あの議長のことだ、そんな技術や人員がいればもっと以前から有効利用しているか……もしくは、"アレ"絡みで徹底的に破棄するかの二択だろう。第一私の耳に入らないわけがない。……となると、トリニティでもゲヘナでもない、謎の技術を持った第三者の影が見えてくる」

    「……整理しましょう。まず私たち補習授業部は、テストの内容変更によりここゲヘナにやってきました。これはティーパーティーの意思でしょう。裏切り者ごと私たちを放逐するための策……コハルちゃんの体を利用して、試験を受けさせず不合格にさせようとした……」

    「……やはり、そのお嬢さんが下江コハルか。到底正義実現委員会にいられるとは思えないほど虚弱な委員がいると噂に聞いていたが。まあいい、そうして君たちは協力者の助けもあり、ここゲヘナへやって来た」

    「会場にはティーパーティーからのメッセージが残されていました。もしかしたら、私たちがコハルちゃんを連れて来るかもしれないと思っていたようですね。そして試験開始直後――」

  • 179125/02/17(月) 19:19:38

    「――会場が発破された。犯人はうちの部員二人。曰く、私そっくりの何者かにそそのかされたため、と。……そうしてそこのお嬢さんが重傷を負い、不審に思った私が様子を見に来て、今につながるわけだ」

    ……物事には、必ず理由が存在する。今回の場合、わざわざ温泉開発部部長に何らかの手段で変装してまで試験会場を発破するという、そんな手の込んだ真似をするほどの理由が。それは一体何なのか。

    条約絡みなのは間違いない。全ての発端は、エデン条約にある。トリニティとゲヘナ、両校の平和条約……それを不都合に思う者が存在する。それが、桐藤ナギサの言う裏切り者。彼女はそれを絞り込みきれず、疑いある者全てを『補習授業部』として一括りにし、まとめて放逐するという手に出た。私はまあ見ての通り。ヒフミちゃんはブラックマーケットの犯罪組織絡みの噂から。アズサちゃんは転校生にして、前歴がかなりグレーより、何よりあの制服の紋章……。そしてコハルちゃんは、ハスミさん以下嫌ゲヘナ派の正実への牽制件、テストを確実に不合格にさせるためのギミックとして放り込まれたのだろう。実に不愉快極まりない。
    さっきも言ったが、2次試験の試験内容変更はティーパーティーの意思で間違いない。権限的には問題ない上(常識的には問題がある)、試験を合格してほしくないティーパーティーとしては、これだけの悪条件を重ねることで私たちを確実に落としにきた。3次試験はコハルちゃんの体調を加味すると受けられる可能性が非常に低い。故にここで落としてしまえば、私たちの退学は確定する。現地に試験用紙を用意していたのは、万一私たちが実際に来た時、何も用意していないのを糾弾され、無効にならないように。残されたメッセージは……コハルちゃんについて言及した桐藤ナギサは、何か思うところがあるようだった。あの沈黙……今更罪悪感でも湧いたのかもしれない。

  • 180125/02/17(月) 19:20:08

    では試験会場の発破も桐藤ナギサの意思なのかと考えると、腹立たしいが違うだろう。コハルちゃんをゲヘナに送り込むだけでもラインスレスレなのだ。試験の内容変更については掲示板に挙げられていたため、誰でも確認できる。ウェブに挙げている以上、魚拓を取られることも想定しているだろうし(現に私が取った)消せばやましいことをしていますと喧伝するも同然、今後消すことはないだろう。ハスミさん辺りが知ったらティーパーティーにカチコミかましてもなんらおかしくないが、それでも何かしら言い訳が立つと、そう踏んだからこその今回の変更と見た。
    しかし、加えて試験会場の爆破までしたらもう言い訳不能だ。カチコミどころか命を狙われてもおかしくない。裏切り者以外にも明確に敵を作っては本末転倒ではないか。……正義実現委員会はトリニティでも歴史の古い部活だ。数世紀以上前から、名を変えつつトリニティの治安を維持してきた。全てはその名の通り、正義のために。よって、所属する人員は大なり小なり正義にこだわる人材が多い。そんな彼女たちが、何の罪もない仲間を利用され、傷つけられ、命を奪われかけたと知ったら……最悪クーデターを起こしても不思議はない。当然条約も――待て、クーデター?

    「――まさか、それが狙いですか?」

    「ハナコちゃん……?」

    正義実現委員会のコハルちゃんへの入れ込みようは相当なものだ。副委員長のハスミさんを筆頭に、委員長のツルギさん、次期委員長と目されるイチカさん、ホープと名高いマシロさんたちから気にかけられている上、他の委員たちも彼女のことを心配しているのだ。だというのに、ティーパーティーは半ば無理やりコハルちゃんを補習授業部に放り込み、合宿にも強制参加させた。この時点で、ティーパーティーと正義実現委員会の間には深い溝ができていたのだ。その上、テストを急に変更してゲヘナに向かわせたことで、その溝は確実に深まるだろう。ティーパーティーへ悪感情を抱くものは増加する。だがそれだけでは、まだクーデターなんて大事には至らない。……では、試験会場を爆破すれば?

  • 181125/02/17(月) 19:20:38

    私やヒフミちゃん、アズサちゃんならいざ知らず、先生や、何よりコハルちゃんは死んでもおかしくない。現に本当に死にかけたのだ。この状況が明るみになれば、端から見るとティーパーティー……桐藤ナギサが乱心し、コハルちゃんを謀殺しようとしたようにしか見えない。はて、正義実現委員会の人間が、身内にここまでの仕打ちを受けて黙っているだろうか? 自分たちの上司に、今まで守ってきた正義を汚されたにも等しいこの状況で? ……答えは否だ。少なくとも、確実にハスミさんは報復に出るだろう。それに続く者たちも大勢現れるはずだ。桐藤ナギサを、これ以上権力の座に座らせてはおけないと。剣先ツルギも、これほどの暴挙を受けては止めるに止められない可能性が高い。――これでティーパーティーにクーデターを起こす正義実現委員会という構図が成立し、トリニティはかつてのような、未曾有の内乱状態に突入する。成功すれば、桐藤ナギサは斃れ、ホストの権限は残る最後のティーパーティー代表、聖園ミカに移譲される。彼女はパテル分派酋長、トリニティきってのタカ派だ。ゲヘナとの融和は望んでおらず、そもそもエデン条約反対派でもある。故に、間違いなくエデン条約は実現しなくなるだろう。逆にクーデターに失敗しても、正義実現委員会とティーパーティーの全面衝突が発生した時点でトリニティの大幅な弱体化は免れない。混乱も相当なものになる。当然、条約なんて結んでいる場合ではなくなり、ゲヘナにも足元を見られることになるだろう。――どちらに転んでも、条約を邪魔したい裏切り者にとって非常に都合がいい状況となるのだ。

    ……まずこの計画が可能なのは、ティーパーティーのテスト変更について事前に知ることができる人物のみ。それができるのは、同じくティーパーティーの人間、それも桐藤ナギサに近しい人間だけだ。……桐藤ナギサから警戒されることもなく情報を抜き出せる、エデン条約を望まない人物。この状況になって、一番得をする人物……そんなもの、たった1人しかいない。

    「聖園、ミカ……!」

  • 182125/02/17(月) 19:21:44

    「パテル派の酋長か。…………ふむ、なるほど。確かに動機は十分ある。パテル分派は嫌ゲヘナの過激派、彼女たちからすれば条約の調印は面白くないだろうな。まあまだ疑問点がいくつかあるが……その前に、その推論をお仲間にも分かるように教えてやったほうがいいのではないか? 疑問符が第二の光輪のように浮かんでるぞ」

    「あ、あの、ハナコちゃん……そんな断片的な話では何が何だか……」

    「……失礼しました。ヒフミちゃん、事態は当初の想定よりはるかに悪い方向に転げ落ちています。推察になりますが……このままではいずれ、ティーパーティーと正義実現委員会の全面衝突が起きることになります。率直に言えば、内乱です」

    「………え?……………え、ええぇ!?!?」

    【どういうことだいハナコ?】

    「事態は既に、桐藤ナギサの手を離れているということです。……私たち裏切り者候補を排除するための策を、真の裏切り者に逆利用されたんですよ、彼女は」

  • 183125/02/17(月) 19:22:20

    時は少し遡る。

    試験会場発破直後、温泉開発部員の目を盗み、スイスイとゲヘナの街中を進んでいく、一つの人影。大きな白衣を羽織り、赤いシャツを身に着けた、温泉開発部部長……鬼怒川カスミは、そうして人気のない路地裏へと入り込んだ。

    周囲を見渡し、誰もいないことを確認すると、静かに自身の顔に手を伸ばす。バチバチッと紫電が弾け、"カスミの顔が外れた"。
    瞬間、その少女の全身にノイズが走る。貼り付けていたテクスチャ―が剥がれ、彼女本来の姿が顕になる。

    「……時間ギリギリだが、任務成功だな」

    そう一人ごちるその少女は、先ほどまでの鬼怒川カスミの姿とは対照的なスタイルをしていた。スラリと伸びた長身、引き締まった肉体美を黒いインナースーツで覆い隠したその姿は、へそ出しなのを除けば、さながら何処かの特殊部隊にいてもおかしくない姿だ。それを裏付けるかのように、彼女の身のこなしには隙というものがなかった。

    「確かテクストがどうとか言っていたが……持続時間が短いのが難点か」

    彼女には、その手に握られた仮面……先ほどまで使っていた特殊装備の原理はよくわからない。製造者は何やら小難しいことを言っていた気もするが、彼女には理解する気もなかった。知ったところで、それに意味などあろうはずもないのだから。所詮は道具だ。ただ任務に使えるならば、それでいい。私と同じように。

  • 184125/02/17(月) 19:23:29

    「任務完了。……了解しました、マダム。帰投します」

    短く報告し、くるりと踵を返す。その先には、街頭の明かりすら差さない、暗闇が広がっている。

    ――アズサには、連絡するべきだったのではないか。

    ふと頭にそうよぎったが、それは私が判断することではないと思いを断ち切る。全ては、私たちを切り捨てたトリニティへの復讐のため。そのためならば、どんな犠牲も容認すると。光射す表側でのうのうと生きる者たちに鉄槌を下すためだと、そう教えられた。

    「これはまだ序章にすぎない。いずれ時が来たなら、その時は――我々の痛みを思い出せ、トリニティ」

    vanitas vanitatum, et omnia vanitas(全ては虚しい。何処まで行こうとも、全ては虚しいものだ)

    白いコートの右肩、括り付けられた腕章には、特徴的な髑髏と共に、短く所属が刻まれていた。――ariusと。

  • 185125/02/17(月) 19:28:35

    今回はここまで!
    ひぃん脳みそが沸騰するかと思ったよー原作ままのカスミを書ける人には脱帽だよー結局1らしく書いただけなので、解釈違いが発生してたら謝るしかないよーごめんねー
    そしてある程度種明かし編。といっても現時点ではほぼハナコの推測だよー、物証がないからねー
    はたして真相は……
    うん、色々ツッコミどころはあると思うけど、1にはこの程度の理由付けが精一杯だったよー

    次回は視点を補習授業部から別に移すよーこの件が何処まで影響を与えたのか……

    ある程度スレが埋まったら次スレ立てるよー

  • 186二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 19:30:21

    投稿乙
    カスミとハナコだけでほぼ答えまでたどり着いてて怖い!
    ミカとアリウスへのヘイトがヤバくてカタコンベごと自治区なくなりそう

  • 187二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 19:42:51

    この分だと原作でナギサに向けられてたハナコのヘイトが丸ごとミカに向かうのでは?
    爆薬何ポンド分の威力になる?

  • 188二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 19:43:45

    ……でも先手を打ってミカを攻撃しちゃうとそれはそれでナギサが最終形態に変身するんだよなぁ
    「ミカを死なせようとする真の敵」認定されるから

  • 189二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 19:47:00

    多分だがセイアパターンが起こった?
    クーデター起こされてミカにメリットが少ない気がする
    クーデター起こってナギサが転落とゆうより今のティーパーティーが転落するの方がしっくり来る

    ミカも元より追い詰められて壊れてるのかもしれない…こう、セイアちゃん殺しちゃったから一人も二人も変わらないよ!みたいに
    ただそれがあるからこそ死にそうな子に死にそうな事をするか?ともなる
    続きが楽しみに過ぎる

  • 190二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 19:48:34

    >>189

    「コハルちゃんと会ってからナギちゃんおかしくなったよ」ってルートもありえる……

    ナギサの過度な心配性っぷりがアプリで言及れてしまったからさ 心配すぎて心配すぎて足を踏み外すナギサは確かにありえる

  • 19115025/02/17(月) 20:32:16

    >>150

    しっかりと外してしまった、、、

    少しはアリウスルートも頭によぎったんだがゲマトリア系(?)技術が絡んでるとは思わなんだ

    ナギサ様は、、、新しく現れた(ナギサ視点)裏切り者がいずれミカだということに気づいて今度こそ本当に発狂しない?

  • 192125/02/17(月) 21:09:45

    ひぃん思ったより早く190まで埋まったから忘れないうちに次スレ立てておくよー


    ここだけ病弱コハルその9|あにまん掲示板興奮するとすぐ熱を出す……どころか心臓発作を起こすくらい虚弱で病弱なコハルが主人公のエデン条約編再構成小説スレ体は弱くて脆いけど、原作同様正義感は強いし代わりに学力が上がってる。現在トリニティへ移動中…bbs.animanch.com

    あとは埋めるなり落とすなり好きに使っていいよー

    次回更新まで暫くかかるから次スレを10まで埋めてもらえるとありがたいよー

  • 193二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:30:58

    ハナコは絶対にお友達ごっこ程度のダメージじゃ済まさないという確信がある
    ミカの精神壊しにかかるぞこれ

  • 194二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 01:27:20

    今回の件で正義実現委員会、シスターフッド、救護騎士団、図書委員会、スイーツ部、自警団はティーパーティーへのブチ切れ不可避だろうなぁ
    この先どうなるんだ…

  • 195二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 09:55:20

    トリニティメンバーからすれば「聖園ミカが主導者」って見えるけど
    これ例によって

    ミカ「ちょっと妨害してきて」(ちょっと妨害してほしい、の意)
    アリウス「了解、爆殺します。」\ボーン!!/

    でミカも嵌められたパターンか・・・あるいはアリウスの独断か。

    アリウスの独断なら、ミカの視点でいえば温泉開発部がやったということになるし
    「ナギちゃんが向かわせたとはいえ、コハルちゃんを殺しかけるなんてゲヘナって最悪じゃんね」
    って誤解が激しくなるしで、アリウスにとってはどう転んでも美味しい展開よね。

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