- 1スレ主25/02/08(土) 19:19:15
- 2二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:38:39
支援
- 3スレ主25/02/08(土) 20:54:19
兄貴を、探しに行かなければ。
衝動が俺を動かした。
まだ泣き叫んでいる母と介抱する父の姿を背に向けて、走り出す。
ドアを壊しそうな力で押して、無駄に長い廊下を突き抜けて、玄関にたどり着いた。
脱ぎっぱなしで横に倒れている片方の靴を直し、かかとを踏んでドアを押す。
途端に、秋のはじめの肌寒い風が俺を包む。
真っ暗闇に一歩踏み出す。
「どっかで野垂れ死んでんなら絶対殺す」
…是が非でも見つけてやる。 - 4スレ主25/02/08(土) 21:35:02
家を飛び出してから30分ほど。思い当たる場所は全て回ったはずだ。
いつも2人で棒アイスを買ってもらっていた駄菓子屋、アイスを食べた堤防。クラブの練習場。
なのに、どこにも兄貴はいない。
「どこ行ったんだよ、クソが…!」
振り上げた拳を壁に打ち付ける。
鈍い痛みが走るが今はそんなことどうでもいい。
どこだ、兄貴が行きそうな場所、どこだ、どこだ、どこだ、どこ
prrrrrrrr… prrrrrrrr…
スマホの着信音で現実に引き戻される。兄貴かもしれない。スマホの画面もろくに見ずに電話に出る。
「もしも…」
「凛!?」
聞こえてきたのは母の声だった。
どうやら父の甲斐甲斐しい介抱のおかげで落ち着きを取り戻したらしく、声はしっかりとした落ち着きを持っていた。
どうせ説教だろ、適当にいなしつつ途中で切るか、と思っていたが
「あのね、凛、冴のことなんだけど、話してもいいかな」
母が発した『冴』というワードに体が無意識に反応する。
俺が言葉を発しないことを肯定と受け取ったのか、1週間ほど前のことになるんだけど、と切り出して話し始めた。
「冴が行方不明になる前、『神社に行きたい』と言っていたの。鈴葛籠村という村にある慶蛇神社っていうところみたいなんだけど。」
普段はそんなこと言わないから覚えていたのよ、と母。
そこだ、
「ありがと」
そう言うと、母の言葉の途中で通話を切る。
慶蛇神社、そこに兄貴はいる。 - 5二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:48:00
ホラーか……!?
- 6スレ主25/02/08(土) 22:22:13
とりあえずネットで「慶蛇神社」と検索してみる。
『神隠し伝説 〜入ったら最後〜 慶蛇神社』
『慶蛇神社 神隠し伝説の真相は!?』
などとオカルト系の記事や動画がヒットした。
一通り見てみると、慶蛇神社とはどうやら大蛇の神様を祀る神社で、過去に何人かの人間が攫われている「神隠し伝説がある神社」として一部のオカルトファンの中で語り継がれているらしい。
(なんで兄貴がこんなところに…)
webライターが書いた記事を閉じながら思う。
サッカー漬けの兄貴にホラーの趣味はなかったはずだ。
なのになんで……なんでこんな…
「チッ、こんなこと考えてても埒あかねぇだろ…!」
理由なんか考えてる場合じゃねぇ、兄貴はそこに行ったんだ。
だから今は慶蛇神社に行くのが先だ、そう自分に言い聞かせて深く呼吸をする。
深く吸って吐く、深く吸って吐く、しばらく繰り返していると、気持ちが少し落ち着いてきた。
慶蛇神社がある鈴葛籠村までは片道数時間かかるらしいので、今日は東京駅まで行ってホテルに泊まるのが得策だろう。幸いなことに、まだ東京行きの電車は数本残っていたので、俺は数分後にホームに到着した電車に乗って東京まで向かった。 - 7二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:25:02
支援
- 8スレ主25/02/08(土) 22:27:13
いっぱい♡つけてくれて嬉しいありがとう
明日午前は浮上できないかもなので続き見たい方いたら保守お願いします - 9二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:37:40
了解
陰ながら読んでます - 10二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:40:04
すぐ落ちるからとりあえず10までは何かレスしたほうが良いぞ
- 11スレ主25/02/08(土) 22:53:09
地元の駅から東京駅まで向かい、東京のホテルで一夜を過ごし、新幹線に乗り、地方路線に乗り換え、そこからバスに…
片道6時間ほどだろうか。◯✕県の山中にある村には通常の都市にある活気というものは全く存在せず、「鈴葛籠村」と錆びれた交通標識が1つあるだけだった。
もう人がいなくなった無人集落の類なのだろうか。オカルト好きが好みそうな設定だ。
呑気にもそんなことを思いながら、俺は村の敷居を跨いだ。
その神社は5分とかからずに見つかった。目が痛くなるほどに真っ赤な鳥居は周辺にある真緑の雑木林と何故かマッチしていて、荒れ果てた村とは対照的に厳格な雰囲気を放っている。確かにここで神隠しが起きると言われても何ら違和感はないな。
「とりあえず入るか」
入ってみねぇと始まんない、そう思って鳥居の向こうに足を踏み入れようとした時、
「坊っちゃん、ちょっと待つのじゃ」
としわがれた声が聞こえて思わず俺は振り向いた。
後ろには、もともとは美形だったと思われる面影を残した長髪の爺さんが立っていた。
無人集落の類だと思っていたので、少しゾッとする。
そんな俺の様子には気づかないようで爺さんは
「坊っちゃん、その神社に入ろうとしていたじゃろう」
と神社の鳥居を指さして言った。
「兄貴がこの神社に行ったきり帰ってこなくなったかもしれねぇんだよ」
弟なら探しに来るだろ、と軽く圧をかけるが爺さんは動じない。
代わりに俺の目を真っ直ぐ見てこう言った。
「大蛇様を嫉妬させたのはお前の兄だったんじゃな。」 - 12スレ主25/02/08(土) 22:55:03
- 13二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:26:08
嫉妬⁈
確かに冴ちゃんは美しいけど迂闊なことするタイプじゃなさそうだし
続き楽しみにしてます! - 14二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:27:10
そもそもお母さんたちが取り乱すなんて、3日くらい帰ってこないとか?冴がいなくなったと判断した理由も気になる
- 15二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:44:07
お母さんめちゃくちゃ取り乱してるから下手したら1ヶ月とか帰って来てない可能性もある
- 16二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 08:05:36
このレスは削除されています
- 17スレ主25/02/09(日) 08:19:14
「は?」
ふざけたこと言ってんじゃねぇよ、という言葉を喉元で飲み込んだ。
爺さんの眼差しが真剣そのもので、その真剣さの中にもどこか憂いの表情を含んでいたからだ。
___この爺さんの言ってることは、本当なのかもしれない。
ていうか、この爺さん以外に人がいねぇんだったらこいつに頼るしかねぇだろ。
そう思い、半信半疑のまま聞いてみる。
「嫉妬ってなんだよ?」
すると、爺さんが詳しく話したのはこの言い伝えの発祥だった。
「この言い伝え…神隠し伝説の発祥は、今から約1300年前までの奈良時代にまで遡るんじゃ。授業で奈良時代に天然痘が大流行したのは知っているじゃろう…はて、知らない?まぁ、大雑把に説明すると奈良時代に天然痘という病気が流行したんじゃよ。その天然痘が村でも流行し、最初に1人の男が死に至ったんじゃ。Kという人で、5年ほど前に妹と村に引っ越してきたんじゃが、どちらも人当たりがよかったので村人は気に入っていたそうじゃ。じゃがその後、Kの妹のMが5年前、引っ越してきた当時じゃよ。その5年前に子どもを産んでいたことが分かったんじゃ。しかもその子どもは美しい緑の目を持っていたことがわかってのう。」 - 18スレ主25/02/09(日) 08:19:32
なんで目の話なんかするんだ?今から説明してやるから、焦るんじゃない。この慶蛇神社は当時、村人たちに異常なほど信仰されていて、鳥居の横にある像を見てもらえば分かるんじゃが…あそこに像なんてあったか?口を挟む回数が多いのぉ…お前さんが気づいておらんかっただけで1300年前から像は動いたり消えたりなんかしとらんわい。…見てもらえば分かると思うが、大蛇様は白い体と緑の目を持っているんじゃよ。鈴葛籠村では、5年ほど前から天然痘以外にも農作物の不作や子どもの流産などが相次いでおったから、Kと妹が村に引っ越してきたのが5年前で、Kがなぜ天然痘に感染したのか不明だったこと、村でどんどん感染が広がっていったことから、村人の間で大蛇の神様が子どもの美しい目に嫉妬しているのではないかという見方が出てきて、Mの子どもを生贄として捧げる動きが強まるんじゃ。Mは猛抗議したんじゃが、一人の力で当時数千人おった村人たちに叶うはずもなく殺されてしまい、Mの子どもは慶蛇神社に生贄として差し出されたんじゃ。その後の子どもの消息は分かっとらんが、神社に入っていった村人や旅人が次々と行方不明になることからその子どもが神社に来た人間を遊び相手として攫っているのではないかという神隠し伝説が囁かれるようになったのじゃ。」
- 19スレ主25/02/09(日) 09:36:12
「ん?子どもが攫っているなら、なぜ大蛇様に嫉妬されたと言ったのかじゃって?そうそう、その話をまだしとらんかったのう。答えは簡単じゃ。攫われた子どもが大蛇様になったからじゃよ。意味が分からない?そりゃそうじゃろう。詳しく説明してやろう。当時から村人が神格化して信仰しておった大蛇様は、災難から守ってくれる不老不死の存在というものじゃった。じゃが、実際は違った。災難から守ってくれる守り神というのは本当じゃが、不老不死などではなかった。大蛇様は、定期的に誰かと同化しなければ死んでしまうような存在だったのじゃ。生贄として捧げられた後、経緯は分からないが子どもは大蛇様と同化した。そして、大蛇様となってから1300年たった今も生きておるのじゃ。村人たちはそのことを何ら知らなかったんじゃがな。
…まだ意味が分からない?察しが悪い子じゃのう。大蛇様が攫うのは大抵いたずら半分で神域に入ってきた奴らじゃ。十分に反省させたら、1〜2週間後には村の外の川なんかに転がっておる。え、兄貴はそんなことしないしもう1ヶ月以上連絡が取れていない?お前の兄が迂闊に入ったわけではないことは分かっとるわい、全く今の若いやつらは…。わしはお前さんの兄が大蛇様に嫉妬されたと言ったな。お前さんの瞳を見るに兄も同じ瞳の色をしていたのじゃろう。それが原因じゃ。大蛇様と同化した子どもは、緑の目をしている美しいものを恨んでいる。同化して生き長らえているとはいえ、その後人として送る人生を緑の目をしているという理由だけで奪われたのじゃから仕方のないことだとは思うんじゃがの。それに、大蛇様が子どもと同化してからもう1000年以上たっている。新しく同化する人間を探し始めている頃じゃろう。子どもが緑の目をしている美しいものを恨んでいるとなったら…おぉ、やっと察しがついたようじゃな。大蛇様と同化した子どもは、何らかの方法でお前さんの兄を見つけ、この神社に導いたんじゃろう。そして、同化するために攫った。 - 20二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 11:19:01
昔の村めちゃくちゃ栄えてるな
- 21スレ主25/02/09(日) 12:09:30
「じゃぁ、兄貴はっ」
「待て待て落ち着くんじゃ」
過呼吸になりかけた俺の背中を爺さんが叩く。
「もう1ヶ月以上連絡が取れていないのじゃな?ならもう手遅れかもしれんが、1つだけお前さんの兄を救う方法がある」
試してみる価値はあるじゃろう、と爺さんは言った。
兄貴を救う方法がある…。
兄貴が助かるなら俺は___
「その方法教えろ」
爺さんの胸ぐらをつかみそうになりながら言う。俺の目を見て、爺さんは
「いいじゃろう。」と頷き、俺を手招きした。
爺さんと山奥に進むと、そこには家があった。
「わしの家じゃ。」
言われても驚かねぇな。もともと仙人っぽい見た目してるし。それにしても立派な屋敷だ。築何年かは分からないが、だいぶ貫禄のある家を見ながら思う。
「ほら、入るのじゃ。」
爺さんが俺を促し、家に入った。
豪華な食事を食べさせてもらった後、爺さんは何やら怪しい書物を持ってきた。
「さて」
と切り出される。
「お前さんの兄を救う方法について話そうかのぉ。」
爺さんはそう言うと一つ間を開けて、
「覚悟はできておるか。」
と一層真剣な声で俺に問いかけた。
「あぁ、できてるに決まってんだろ」
俺が頷くと、爺さんは話し始めた。 - 22スレ主25/02/09(日) 12:09:45
「これはうちの家計に代々伝わる書物じゃ。攫われたもんを救うための方法が詳しく書いてある。」
本来なら門外不出じゃが特別に教えてやろう、と爺さんは付け足した。
「攫われたもんを救うためには、丑三つ時に神社に入り儀式を行うことが必要じゃ。まず、神社の本殿の前に設置されている2つの灯籠を灯すんじゃ。そうしたら次に「太以之也左末、安奈太左末乃安曽比安以天止奈川天於留毛乃、於加衣之之天以太太幾太以、於加衣之太乃毛宇、於加衣之太乃毛宇」と大蛇様が出てくるまで繰り返す。途中で止めたら攫われたものも助けに行ったものも二度と帰っては来れない。灯籠の火が2つ消えて「縺ェ繧薙?逕ィ縺倥c莠コ髢」という声が聞こえたら大蛇様が現れた証拠じゃ。兄を帰してもらうよう、大蛇様にお願いするんじゃ。」
「お願いってどうやって?」
「そのままじゃよ。自分の願いをありのままさらけ出すんじゃ。」
そう言った後、爺さんはよっこらせと立ち上がった。
「もう遅いし、お前さんも疲れてるじゃろう。今日はゆっくり休むことじゃ。廊下を出て突きあたりの部屋がお前さんの部屋じゃからのう。」
親御さんにもしっかり連絡するんじゃぞと念を押し、爺さんは去っていった。
その日は、布団に潜ってもなかなか眠れなかった。
「自分の願い、ありのまま…」
俺は、兄貴を助け出したらどうするんだ? - 23スレ主25/02/09(日) 16:58:07
次の日、丑三つ時。
俺は爺さんと神社の前に来ていた。
「ここから先、わしが行くことはできん。頑張ってくるんじゃよ。」
爺さんに背中を押され、俺は神社の中に踏み入った。
月が雑木林に何も見えないが、爺さんに灯籠に灯す以外灯りは付けるなと言われたので、慎重に進んでいく。
「…あった」
月明かりに照らされた場所には蔓に巻かれ、それでいて美しさを保っている本殿と石造りの灯籠があった。
灯りを付ける前に、爺さんに言われたことをもう一度思い出す。
ありのままの願い、か。
俺は兄貴を助けたら___
また、一緒にサッカーがしたい。
これが、俺のありのままの願いだ。
マッチをすり、2つの灯籠に灯りをつける。
「太以之也左末、安奈太左末乃安曽比安以天止奈川天於留毛乃、於加衣之之天以太太幾太以、於加衣之太乃毛宇、於加衣之太乃毛宇」」
「太以之也左末、安奈太左末乃安曽比安以天止奈川天於留毛乃、於加衣之之天以太太幾太以、於加衣之太乃毛宇、於加衣之太乃毛宇」
「太以之也左末、安奈太左末乃安曽比安以天止奈川天於留毛乃、於加衣之之天以太太幾太以、於加衣之太乃毛宇、於加衣之太乃毛宇」
「太以之也左末、安奈太左末乃安曽比安以天止奈川天於留毛乃、於加衣之之天以太太幾太以、於加衣之太乃毛宇、於加衣之太乃毛宇」
何分繰り返しただろう、風もないのにふっと2つの灯りが消え、「縺ェ繧薙?逕ィ縺倥c莠コ髢」と声が聞こえてきた。大蛇様だ。兄貴を返してください。大きく息を吸って大蛇様に呼びかける。
「…兄ちゃんを返してください!!また一緒にサッカーがしたいんだ!!」
「縺翫〓縺励?縺ゅ↓縺ェ繧峨b縺?※縺翫¥繧後§繧??繧上@繧峨?鬲ゅ′荵励j遘サ縺」縺ヲ縺翫k縲」
「…兄ちゃんを返してくれ!!」
「繧上@繧峨?鬲ゅ′荵励j遘サ縺」縺溽憾諷九〒繧」
「…兄ちゃんを返してくれ!!」
「縺昴%縺セ縺ァ縺?≧縺ョ縺ァ縺ゅl縺ー霑斐@縺ヲ縺ゅ£繧医≧」
大蛇が発した最後の1音を聞いた瞬間、俺は鳥居の前にいた。 - 24スレ主25/02/09(日) 17:04:59
俺の横には____ぐったりと横たわる兄貴がいた。
もしかして、死んでるんじゃないか。
「兄貴、兄貴、にい…!」
俺の声に気づいたのか、兄貴がゆっくりと目を覚ます。
手を貸してやると、その手をとって兄貴が立ち上がった。
「よかった…兄貴」
安心して少し笑みが溢れると、兄貴も少し笑ってくれた。
あれそういえばどこにも爺さんがいねぇな、礼を言いたかったのに。
まぁ、いいや。今は兄貴がいるし。
「縺翫l縺ッ縲√≠縺ォ縺阪〒縺ッ縺ェ縺」
まだ体調が優れないらしく、兄貴が言った言葉は聞き取ることができなかった。 - 25二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 17:08:54
凛ちゃんさんがクトゥルフで発狂した時みたいになっておられる
- 26二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 17:52:44
にいちゃん って言いかけてるの好き
- 27スレ主25/02/09(日) 18:53:57
どこだ、どこなんだよ
姿を消してから1ヶ月半。手がかりは何1つ見つからないままだ。
母と父が仕事から帰ってくると、あいつはどこにもいなかった。
最初はあいつのことだし、明日の朝には戻ってくるだろうとそのまま眠ったらしいのだが、翌朝起きてみてもあいつは帰ってきていなかった。これは流石におかしいと思い、捜索願を出したらしい。
家を出てどこかに行ったということ以外、何も分かっていない。何も。
どこに行ったんだよ、
凛。 - 28二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 18:55:28
現実が改変されて神隠しされていたのが冴から凛だったことになった感じか?
- 29二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 19:11:36
凛が会ったの冴じゃなかったんか?
どこまでが現実だ? - 30スレ主25/02/09(日) 20:31:08
「おい起きるんじゃ。」
誰かの声で目を覚ます。
「誰だよ、お前」
寝起きだというのに、口が悪いのぅ。
そうは言うが、笑みを崩さずに謎の男は言う。
「わしは神じゃ。」
は?神?
「信じられないかもしれんが、本当なんじゃ。」真剣に言う姿に信じるしかなくなる。
「お前さんは、死ぬところじゃったんじゃ。」死ぬ?心当たりといえば…。
「慶蛇神社か。」
「その通りじゃ。」俺の言った言葉に神は頷く。
「ある者がお前さんに幻覚を見せていた。確かに慶蛇神社も鈴葛籠村も実際に存在する。じゃが至って普通の神社で恐ろしい歴史はない、鈴葛籠村もあんなに錆びれとらん。お前さんのお兄さん、冴くんが行方不明になったというのも嘘じゃ。」
安心せい、と神は言う。
「ある者とは誰なのか、凛くんも気になっていることじゃろう。ある者とは、凛くんに話しかけたあの爺さんじゃ。」
「あの爺さんが…」
「そうじゃ。あの者は人間ではない。怪異じゃ。何故かはわからんが、凛くんに恨みを抱いてあの幻覚の世界に閉じ込めようとしたんじゃ。」
「じゃぁ、何で俺は今ここに…」
「わしは神じゃよ?あの程度の結界を破るくらい造作もないわ。」
よく分からないが、俺の命はこの神によって守られたらしい。
「ありがとな、神様。」
「これがわしの仕事じゃからな。礼を言われるほどのことでもないわ」
神が元の世界に帰るためにつくってくれた出口の前で礼を言う。
「ご家族も心配しているはずじゃ。記憶は修正しておいたがふとした瞬間に思い出すことがあるかもしれん。その時はうまく対応するんじゃよ。」
「あぁ。」
「…冴くんとはうまくやるんじゃよ。」
「あぁ、分かった」
「じゃあな」
「あぁ、さようなら」
神に挨拶をして、俺は元の世界へ帰った。 - 31スレ主25/02/09(日) 20:38:03
神のおかげで両親には3日家に帰っていなかっただけだということにされていたので、少し(というかだいぶ)叱られて住んだだけだった。また、これも神のおせっかいなのか、兄貴の記憶はそのままだった。本当のことを全部話したら信じてもらえたようで、今では、仲直りとまではいかないがそこそこ仲良くやっている。
そんな兄にも
時々蛇の「シューシュー」という音が聞こえることは話していない。 - 32スレ主25/02/09(日) 20:51:12
ということで無理やりかもしれませんが完結です。
短いし文才のぶの字もないので楽しませられなかったらごめん。
【スレ主の気まぐれ豆知識】
・最初は凛死亡エンドで、あの爺さんが黒幕の予定でした。神は登場予定なかった。
・蛇を登場させたのは蛇年だからという作者の気まぐれ。 - 33二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 20:54:03
最後…ちょっと不穏だけどハピエンかな スレ主乙!
- 34二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 20:58:03
まあ怨霊が200体憑いている男だし謎の爺さんに恨まれることもそりゃあるか……
- 35二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 00:44:35
言われてみればその通りだ