【架空コミュ】極月Pが白草四音をプロデュースする話

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:58:52

     学年 1年生 
     ランク-「A」
     
     姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

     歌唱力-A
     表現力-A
     ダンス力-A
     ???-?
     ???-?

     一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
     ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
     姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

    -----

     ――よし、情報をまとめた。
     スカウトに向かおう。
     
    ----

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:01:28

    投下開始は本日九時半以降を予定してます。
    また、めちゃくちゃ長いので、何日かに分けてスレッドも多分一つ以上になるかもです。

    99%妄想の産物です、許しておくれ……。

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:02:22
  • 4二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:11:17

    期待

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:12:11

    P四音なんてなんぼあってもいいですからね

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:30:41

    -第一話-

     ――たしか、四音さんがいるのはここの校舎だったはず。
     
     そう思い、あたりを見渡していると、黒山の人だかりがあった。

    ピンク髪の子「さっすがは四音お姉様! 
           今日もすごいパフォーマンスでしたわ!」

    黒髪の子「これくらいはどうということもないでしょう。
         日々のレッスンの成果が出ただけです」
         
     人だかりの中心には、二人の女生徒の姿。
     一人は、たしか藍井撫子。そしてもうそのもう一人が――。
     
    *(……あの子が白草四音)

     見た感じ、クラスメイトとダンスの対決か何かをしていたようだ。
     肝心のダンスこそ見ることは出来なかったが、結果は明らか。
     四音さんは、周囲の人から驚きと尊敬の眼差しをその一身に受けている。

    「これがAランクアイドル……!」
    「オーラが違う……」
    「なんてダンスのキレ……すごかった」

     しかし、彼女はその周囲の眼差しを顧みることなく、ツカツカと足取りを進める。
     ……さて、僕も行かないと。

    *「白草四音さん、ですね?」

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:31:57

    *「はい、僕はこういうもので――」

    撫子「きっと他校のお姉様のファンですわ! 
       まったく! いくらお姉様が魅力的だからって学園内に侵入するのは、ルール違反でしてよー?」

    四音「……あら、そうでしたか。他校から遥々こちらへ。
       ですが――申し訳ありません。
       私、こういう場ではサインは書かないことにしているのです」
       
     何か、色々誤解をされている。
     おかしいな、名刺を見せれば――。

     ……ん? しまった、名刺が裏だ――!
     
    四音「とはいえ、せっかく他校からいらして何も無いのも虚しいでしょう。
       今日は少しだけ気分が良いので、今回だけ特別に。
       ――撫子?」
       
    撫子「はい! サインペンはこちらですわ!
       ふっふーん、お姉様のサインはレア中のレアでしてよ!」

    *(あぁっ、取り上げられてしまった……!)

    四音「まったく、撫子ったら。

       ……せっま」

    *「えっ?」
    四音「あら、何か聞こえました?
       ……それでは、お返しします」

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:33:10

     名刺の裏で、四音さんのサインが窮屈さに悲鳴を上げつつもなんとか収まっている。
     サインの機会は制限しているようだが、かなりサインは書き慣れているようだ。
     さすがトリプルエーアイドル――。

    *「あ、ありがとうございます……。
      えっと、すみません。実は僕はこういうものでして」
      
     四音さんからもらった名刺を裏返して見せる。

    四音「……え? プ、プロデューサー科?」


    *「――あなたをプロデュースさせてください、白草四音さん」

     我ながら、ちょっとしまらない。

    四音「……お断りします」

    *「まぁ……ムードがダメなスカウトだったのは認めます」

    四音「そういうことではなく。
       いえ、それも多少はありますが……。

       ――私に、プロデューサーは必要ありません」

    *「プロデューサーが、必要ない……?」

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:33:50

    四音「アイドルは孤高たれ。極月学園の方針は基本セルフプロデュース。
       アイドルたるもの、自分で自分の売り方は培わなければならない。
       ……そして、実際に私は私だけの力でAランクまで上り詰めた。

       あなたもプロデューサーを名乗るのであれば。
       このAランクというものが、どういうものなのかはわかっているでしょう。
       この結果を見ても、あなたに私にプロデューサーが必要だと思いますか?」

    *「――はい。あなたにはプロデューサーが必要だと思います」

    撫子「なっ!? な、なんと生意気な……!」

    四音「下がって、撫子。
       ……では、その理由を聞かせなさい。
       なぜ、私にプロデューサーが必要なのか」

    *「――あなたがAランクより上のアイドルを目指しているからです」

    四音「――ッ!!」

     四音さんの顔に動揺の色が浮き上がる。
     
    四音「……あなた、自分が何を言っているのか、わかっているんですか?」

    *「はい。
      僕は、四音さんを『そこ』へ連れて行くためにここに来ました」

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:34:21

    四音「――ふぅん。
       そう。わかりました」

    撫子「お姉様っ!?」

    四音「……あなたを私のプロデューサーとは認めません。
       ですが、あなたのやる『プロデュース』がどのようなものか、興味はあります。
       少しの間、私に『実際にやって』見せてください」

    *「ありがとうございます。
      四音さんを全力でサポートさせていただきます」

    四音「……えぇ、まぁ。では、短い期間でしょうけどよろしく。


       ――『非公式』プロデューサーさん」

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:34:50

     学年 1年生 
     ランク-「A」
     
     姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

     歌唱力-A
     表現力-A
     ダンス力-A
     ???-?
     ???-?

     一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
     ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
     姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

    ----

     なんとかとりあえずプロデュースする段階まで行くことが出来た。
     『非公式』という但し書きこそついているが……。
     四音さんにもらったチャンスを不意にするわけには行かない。
     全力でプロデュースしていこう。
     
    ----

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:35:53

    -第二話-

     プロデュースが始まる。
     まずは、さっそく四音さんの現時点での実力を見せてもらうことになった。
     そして、彼女のパフォーマンスを見た、僕の感想は――。
     

    *「……さすが、という他ないですね」

    四音「そう」

    *「迷いのないダンス、迫力のある歌唱、そしてそれらを引き立てる一つ一つの動作の美しさ――。
      黒井理事長からトリプルエーの評価を勝ち取ったのも納得です」

    四音「……とりあえず、最低限プロデューサーらしいことは言えるみたいですね」

    *「非公式とはいえ、プロデューサーなので」

    四音「それで、あなたはこれからどうするつもりですか?」

    *「はい、今見た段階で見えた課題について対策していきたいなと」

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:38:11

    四音(……ッ! かっ、課題!? 
      今のは私でもよく出来たと思っていたのに――!?)

    四音「言っておきますが。
       重箱の隅をつつくような話なら、その時点であなたを切ります」

    *「はい、それは構いません。
      その時は、僕がプロデューサーの域に達していないということですから」

    四音「……気味悪いほど動じませんね、あなたは」

    *「内心動揺はしてます。
      とはいえ、プロデューサーがそれを表に出すべきではないので」

    四音「プロデューサーは、アンドロイドか何かですか?
       ……まぁ、いいでしょう。
       では教えて下さい、あなたが見た私の課題を」

    *「はい。ではまず、改めて四音さんのパフォーマンスは素晴らしいものです。
      アイドルに必要とされる3つの要素――。

      ボーカル、ダンス、ビジュアル。
      そのどれもが非常に高いレベルに到達しています。
      一年生ではもちろん、二年生や三年生でも、四音さんに並べる存在はほぼいないといっていい」
      
    四音「ふふ。それは、そうでしょう……。
       ここまで来るのにどれほどかかったことか」

    *「もちろん、これら3つもまだまだ伸ばしようはあるとは思いますが……。
      四音さんの抱える問題は、この3つとは別の部分にあります」

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:39:04

    四音「3つとは別の……それは?」


    *「――パフォーマンス中、四音さんと僕は一度も目が会ってません」


    四音「……えっ?」

    *「四音さんの演技は高いレベルで構成されています。
      しかし、『観客』への意識が綺麗に抜け落ちている。
      
      まるで、僕が――いや、そもそも観客がいないかのように。
      あなたはステージで一人踊り、歌っている。
      一言で表せれば、一人舞台、という事になるでしょうか」

    四音「そっ、そんなことはないッ!
       あ、あれはダンスの構成的に客を見る時間がほぼないだけで……!」
       
    *「――では、四音さん。
      今から僕の目を10秒間見ていただけますか?」
      
    四音「ふ、ふん! 何を言うかと思えば。
       10秒なんて、あっという間だッ。
       
       ほ、ほら……!!」

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:41:35

    *「……多分、四音さんが今見てるのは耳だと思います」

    四音「み、耳に髪の毛がかかってたから気になって……。
       い、行ける。目を見るくらい……!」

    *「……めっちゃ泳いでますね」

    四音「う、うるさい! ……も、もういい!?
       実は私、ドライアイなんですが! 目がゴロゴロして……」
       
    *「まだ2秒しか経ってません」

    四音(くそっ、なんか猛烈に恥ずかしくなってきた……!
      ひ、非公式プロデューサーのくせに!
      ちょ、調子に乗って――!)

    四音「ぬ、ぐぐ……。
       だ、だいたい異性の目なんて見る機会ないじゃないか!」

    *「ライブに来る方は男性が半分以上です」

    四音「ぐ、うぅ……!」

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:41:53

    *「ひとまず、この辺にしておきましょう。
      目線を合わせるというのはあくまで問題の入口。
      求めるのは、その先の――観客とのコミュニケーションです」
      
    四音「な、なるほど。
       ……たしかにこれは私の弱点だと言えます。
       どうやら、口だけではないようで安心しました。
       
       ……ですが、一つ。
       あなた――いえ、『非公式』プロデューサーに言っておきたい事があります」

    *「……なんでしょうか」


    四音「――私、あなたのこと嫌いです」

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:42:17

     学年 1年生 
     ランク-「A」
     
     姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

     歌唱力-A
     表現力-A
     ダンス力-A
     観客意識-E ←要改善。まずは観客と目を合わせるところから……。
     ???-?

     一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
     ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
     姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

    ----

    現状での課題を確認した。
    この課題の解決が、おそらく大きな肝だろう。
     
    ----

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:43:56

    -第三話-

     ……時計を見る。

    *(もしかしたら、僕が時間を間違えたのか……?)

     そう思い、もう一度時計を見る。
     いや……間違っていない。レッスン時間はすでに始まっている。

     ……となると、まさか。

    *(――四音さんが、僕を切った?)

     と、その時の事だった。

    四音「お、おはよう……ございらす……」

     フラフラとやってきて、椅子の上にへたり込む四音さん。

    *「大丈夫ですか……?」

    四音「朝は……弱くて……め、目が冴えてきたら、レッスンできると……思うから」

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:44:45

     これは……だいぶ致命的だな。
     今後のスケジュールは朝のものは減らさなくては……。

    *「とりあえず、レッスンは午後に変更します。では、この時間はブリーフィングに」

    四音「そ、そう……? そしたら、朝ご飯……食べていい……?」

     ……食べてなかったのか。

    *「もちろん。アイドル活動をする上で体力は必要不可欠です」

     僕がそういうと、四音さんはバッグからおもむろにあるものを取り出した。

    *「――あの、それは?」

    四音「コンソメ味」

    *「いや、そういうことではなく。
      ……ポテトチップス、ですよね?」

    四音「……そう、ですが?」

    *「朝ご飯、ですよね?」

    四音「すぐ食べられるので」

    *「……なるほど。今後、食事は僕の方で用意します」

     こんな食事で、ダンスレッスンして倒れられてはたまらない……。

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:46:06

    *「それでは――食べながらでいいので、今後についての話を。

     今回、我々が挑戦するイベントは定期公演『CRESCENT』。
     極月学園主催のイベントで、試験は公開型で二回。
     中間試験で7人、最終試験で1人が選ばれます」

    四音「……学内ドームでフルライブができるのは最終試験で勝った1人だけ」

    *「はい。そして出場枠は25人ですが、この内5人は一般枠からの応募となります。
      一般枠の方が一位となった場合は、極月学園で特待生として転入できる処遇が約束されています」

    四音「話題作りですね。ほとんどの場合、学内生に蹂躙される事になります」

    *「とはいえ、学外の人物と競うのはより『実戦的』です。
     そして、何より未知の存在がいるというのは緊張感がある。
     常にダークホースが存在することを想定しなければなりません」

    四音「……なんだか、楽しそうに話しますね」

    *「そう見えますか?」

    四音「えぇ。とても。
       まるで――それを待ち望んでいるかのよう」

    *「……おそらくダークホースの存在は参加するアイドルすべてに、進化を促すものでしょう。
     正直言えば、その存在が四音さんにどのような変化をもたらすか。
     興味がないと言えば嘘になります」

    四音(ずいぶんと、お気楽な価値観をお持ちなようで。
      イレギュラーなど……私には必要としない)

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:46:57

     小声で何かをつぶやく四音さん。

    *「……今、何か?」

    四音「いいえ。
      それより、今回の出場者について資料をまとめてきました。
      まだ在校生の分だけですが」

    *「――はい?」

     在校生の資料をまとめてきた?
     ……四音さんが? 
     四音さんがバッグを開けたかと思うと、大量の書類がお目見えする。

    四音「昨日、極月学園側の出場者については判明したので。
       それぞれの経歴、特色。
       そして、現時点での対策をまとめました」

    *「……」

     思わず、言葉を失う。

    四音「では、読んで感想を聞かせてください。
       プロデューサー科のあなたの意見ならば参考になるでしょうから」

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:48:25

    *「……わかりました、それでは拝見します」

    *(――これは)

     出場する極月学園の生徒の情報が事細かに書かれている。
     イメージカラー、ブランディング。
     過去にどんな芸能経験があるか。
     学内での成績はどうか。友人の数はどれほどのものか。

     得意な歌、ダンス、トークのジャンル……。

    *「……驚きました。
      これほど綿密な分析が行えるのは、プロデューサー科でもごく一握り。
      いえ、正直言えば――これに並ぶものを用意できるのは僕の知っている中でも一人だけです」

    四音「極月学園はセルフプロデュースが基本ですから。
      勝つためには――いえ、一人でもやっていくには。
      これくらいは必要ということです」

    *「……なんとも、説得力があります。
      ところで、この別紙のプランBというのは?」

    四音「盤外戦術です」

    *「な、なるほど?」

     ページをめくると的確に相手を妨害する方法が様々書いてある。
     たしかに、黒井理事長は時として手段は選ばないという話は聞いたことがあるが……。

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:49:15

    *「……とりあえず、今回はプランBは使わない方向で行きましょう」

    四音「そうですか? 
       どれもレギュレーションには違反しないようにしていますが」

    *「たしかに、戦力を確実に削ることはできます。
      ですが、どうしてもこの手のものはグレーです。
      盤外戦術でリスクを抱えるのは、考えものですし。

      そして何より。
      ――この方法は、格上にはそもそも効きません」

    四音「……!!」

    *「結局、最後に一騎打ちとなれば。
      四音さん自身の能力と魅力で勝負することになります。
      そうであるなら、最初から四音さん自身の魅力を上げることを今回は目的としたい。

      先日の課題も、それに関わる内容ですから」
      
    四音「ぅ……ぐ。
       目……目と目を合わせる、というアレですか……。
       たしかに、それは克服しなければなりませんね」

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:49:51

    *「あくまで、それ自体はとっかかりに過ぎませんが……。
      そこにいるファンと心を通わせること。
      ひいては。

      ――『白草四音』さんを見てもらうこと。
      そこが、僕の目指すところです」

    四音「……私を、見る」

    *「四音さん。
      あなたはアイドルとして、何を求めますか?」

    四音「……ふふ。
       やれやれ、神妙な顔をして何をいうかと思いましたが。
       アイドルならば、答えは決まっているでしょう?


       ――ファンの皆様の笑顔、これ以外にありませんわ」


     微笑んで、四音さんが答える。

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:50:19

     学年 1年生 
     ランク-「A」
     
     姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

     歌唱力-A
     表現力-A
     ダンス力-A
     観客意識-E ←要改善。まずは観客と目を合わせるところから……。
     ???-?

     一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
     ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
     更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

    ----

    彼女の強さの秘訣がわかったような気がする。
    危うさこそあるものの、とても強い輝きを秘めたアイドルだ。
     
    ----

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:50:49

    プロデューサーコミュ
    「気になる様子」


    *(四音さんの様子はどうだろうか……)

    四音「ワン、ツー……!」

    *(……ダンスが以前と変わっている)
     
    四音「……さっきから見ていたようですが。
       何か、感想はありますか?」

    *「以前より少しペースを落としましたね」

    四音「観客を見ろ、というので。
       少し、ダンス全体のテンポを落としました。
       とはいえ、どこでどう観客を見るかは決まっていませんが」

    *「手を伸ばす動作に絡めても良さそうです。
      指自体にも表情はありますが、そこに更に情報を付加する感じで」

    四音「……ダンスの全体の表情付けに影響しますね。
      では、今から7パターンをお見せしますので、どれがいいか教えて下さい」

    *(な、7パターン……!? 
     これはなかなか見応えがありそうだ……) 

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:51:54

    -第四話-

     どこまでも続く、一本の道。
     道の先では、一人の女が悠々と歩いていた。

     ――あれは。

     その女に追いつこうと、走り出す。
     
     足の速さには自信があった。
     きっと、自分ならばすぐに女に追いつけると思った。
     
     しかし。

     ――はぁ……はぁ……!

     いくら走っても、なかなか女には追いつけない。

     ――もっと、早く! もっと早く走らないと……!

     一気に走る速度を上げていく。
     やがて、その速度は自分が出せる最高速へと到達する。
     
     だというのに。

     ――追い、つけない……!

  • 28二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:52:24

     走っても走っても、女には追いつけない。
     こちらが全速力で走っているというのに、女は道の先で悠々と歩いている。

     ――おかしい。

     周囲に、自分の急いた靴の音が耳に響く。

     ――こんなに、遠いはずはない……!

     もっと早く。もっと早く。
     力のかぎり、足を動かす。意地のかぎり、腕を振るう。
     限界を超えた走りに、体中が悲鳴を上げ始める。

     ――違う。違う……ッ! こんな、遠いはずは……!
       追いつける! 追いつけるはずだ、ボクなら……ッ!

     調子の乱れた靴の音が、耳に刺さってひどくうるさい。

     ――くそ……! くそっ……!

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:53:08

     道の先では、女は変わらず歩いている。
     こちらのけたたましい靴の音にも、まったく動じず。
     ただ、女は歩く。

     まるで、後ろを追いかける自分のことなど、存在しないかのように。
     
     ――ボクを。

     ――ボクを見ろ。


     ――ボクを見ろッ! 白草月花!



    四音「……あたっ」

     四音の頭上に、スマホが落下する。

    四音「何……? なんか、鳴って。あ、あぁ。スマホ……」

     スマホを手に取り、ぼんやりとした意識のまま、通話ボタンをスワイプする。

    四音「撫子……? 問3なら、答えは6だけど……」


    *「おはようございます、四音さん。もうそろそろレッスンの時間になります」

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:53:49

    四音「……なぜ電話番号を知ってるんですか?」

    *「撫子さんから教えてもらいました」

    四音「後ほど撫子とお話する時間をいただきます」

    *「そういえば、数学の宿題を教えて欲しいと撫子さんから伝言を預かっています」

    四音「……問3なら6です。伝えておいてください」

    *「わかりました。
     朝食についてなのですが、昨日渡した赤いクーラーボックスが朝食です。
     昼食については四音さんが学園に到着次第、こちらでおわたしします」

    四音「……わざわざどうも」

    *「何か、味などで気になった事があれば、言ってください。
      味付け、品目を変更いたしますので。
      それでは、レッスン室でお待ちしています」


    四音「食べる時間は――ある。
       それも加味して、この時間にかけてきた、と。
       ……見透かされてるようで、なんだか気に食わない」

    四音(――それにしても、本当に。
       嫌な夢だった)

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:55:35

     その後、時間が過ぎ、場所はレッスン室。

    四音「……ワン、エン、ツー、エン――フィニッシュ!」

    *(……日増しに、ダンスの完成度が上がっていく。
     それも、急激に)

    四音「非公式プロデューサー」

    *「はい、なんでしょうか」

    四音「……気にしないんですね。非公式」

    *「まぁ、非公式も非公式で面白いので。
      きっと、そうそう非公式と呼ばれる経験もないでしょうから」

    四音「……何をありがたがってるんですか。
       それで、感想はありますか?」

    *「ダンスの上達は凄まじいものがあります。
      そちらについてはほぼ現状問題ないといっていい。
      ……問題は」

    四音「……め、目線、ですか」

    *「はい。とはいえ改善傾向にはあります。
      以前からは伸びました。1秒ほど」

    四音「……ど、どうしても、人の目を見るのは慣れなくて。
       意識すると、気恥ずかしさが」

  • 32二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:56:17

    *「おそらく、四音さんなら一度慣れてしまえば問題はないはずです。
      とはいえ、その一歩が今は重い。
      
      少し、置き換えてやってみましょう」

    四音「……置き換える?」

    *「はい。四音さん。
      僕は今からカボチャです」

    四音「……はい? 何を言って――。
       な、なんですか、それ?」

    *「ジャック・オー・ランタンの被り物です。
      去年のハロウィンイベントで使われたものをお借りしました」

    四音「……それ、見えてます?」

    *「かろうじて。
      では、四音さん。僕と目を合わせてみてください」

    四音「その……黒い目の部分を見ればいいんですか?」

    *「はい。では10秒計ります」

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:56:43

     沈黙の10秒が流れる。

    *「……10秒。クリアです! 
      やりましたね! 快挙ですよ、四音さん!! 素晴らしい!」

    四音「……達成感がまるでないんですが」

    *「どうやらこの被り物をしていれば大丈夫だということがわかりました。
      なので、しばらくは僕はこの被り物をしてレッスンに立ち会いますね」

    四音「……一応聞いておきますが、気は確かですか?」

    *「バッチリです。
      いずれにしても、これはあくまで慣れるためのもの。
      さすがに、時期を見計らって外す予定です」

    四音「ぜひ、そうしていただけると。
       非公式とはいえプロデューサーが不審者というのは私の評判に響きます」

    *「ともかく、これで問題の解決に足がかりができました。
      ここからどんどん、『白草四音』としての魅力を表現していきましょう!」

    四音「……まったく、おかしなプロデューサーをつけてしまったものです」

  • 34二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:57:06

     学年 1年生 
     ランク-「A」
     
     姓名 白草 四音(しらくさ しおん)

     歌唱力-A
     表現力-A
     ダンス力-A  
     観客意識-C ←改善中。ここから慣れてくれれば。
     ???-?

     一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
     ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
     更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。

    ----

    少しずつだが、前に進んでいる。
    高いステータスと、四音さんのキャラクター。
    それがうまく噛み合わさったとき、きっと……!
     
    ----

  • 35二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:00:49

    楽曲コミュ一話

    四音「……はぁ」

    *「どうかしましたか?」

    四音「……いえ。大したことではないのですが。
       私は、極月学園はとても自分に合った学校だと思っています」

    *「ふむ」

    四音「制約は少なく、生徒の自主性が尊重されている。
       設備もどれも最新のものばかり。
       自分のペースで学ぶには、ここはとても良い場所だと感じます」

    *「そうですね。
      よく言えば自由、悪く言えば放任的。
      合う合わないはかなり分かれると思います」

    四音「その点、私と極月学園は非常に水が合いますが……。
       一つだけ、気にかかる点があります」

    *「……それは?」

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:01:44

    四音「……楽曲です。基本的には、学生時代はカバーが基本ですから。
       偉大な先輩の曲を通して学ぶことは多い。
       けれど――自分の曲を持つというのは、憧れがあります」

    *「それは、アイドルならばきっと誰しもがそうでしょう。
      ……ところで、話は少し変わるのですが。
      こちらの曲を聞いていただけますか?」

    四音「……はぁ、突然ですね。まぁ、別にいいですけど」

    *「どうでしょう」

    四音「……聞いたことのないフレーズ。
      これまで聞いてきたどの先輩の曲とも違う。
      ……どなたかの新曲ですか?」

    *「そうですね、新曲です」

    四音「……意地の悪い。
       でしたら、わかるはずがありませんね」

    *「四音さんの新曲です」

    四音「……えっ?」

    *「次のライブで歌ってもらおうかな、と」

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:02:46

    四音「なっ!? ど、どうやって?
       ソロ曲は、ほぼ製作許可が下りない――と」

    *「いえ、正確にいえば下りないことはないです。
      ただ、いろいろと手続きに時間がかかるだけで」

    四音「となると……これは前々から」

    *「いえ、許可は取ってません」

    四音「……は?」

    *「今から申請すると、おそらく出来上がるのは来年になります。
     なので、モノ自体を最初から用意しました」

    四音「つまり、事後承諾……と?」

    *「レギュレーション的に新曲の披露は問題ありません。
      会場でサプライズ的に披露すれば、もうどうにもできないはずです。
      そうなってしまえば、もうこっちのもの」

    四音「……意外です。
       あなたがまさか、こういうやり方をするとは」

    *「まぁ、僕も極月学園の人間、ということです。
      前々から思っていたんです。
      四音さんほどのアイドルに持ち歌がないというのはどうなのか、と。
      ――なので、今回作ってもらいました」

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:03:35

    四音「一応、聞きますが、この事が理事長にしれたら――」


    *「それはもちろん僕のクビが飛びます」


    四音「なんて曲を持ち込んでるんだ!?」

    *「なので、あまり他の人には聞かせないようにお願いします。
      とはいえ、もし仮にそうなったとしても。
      僕は四音さんの曲を聞ければ満足です」

    四音「……満足です、じゃないんですが。
       まったく、とんでもない事に巻き込んでくれましたね。

       ……とはいえ、新曲があるというのは気分はいいです。
       ライブまでにあなたのクビが飛ばないよう、祈っておいてあげましょう」

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:05:10

    -中間試験前-

    四音「……もうそろそろ時間ですか?」

    *「そうですね、次になります。
      ……緊張していますか?」

    四音「緊張――そうですね。
       さて、あなたには今の私はどう見えますか?」

    *「――晩ごはんのことを考えているのかなと」

    四音「いえ、特に。
       ……なんですかそれは。朝飯前とかそういうことをいいたかったんですか?」

    *「今日は、お寿司にしようかなと」

    四音「……どういう会話なんですか、まったく。
       もう少し、本番前らしいことを言えるようになってください。

       それと、私は光り物を多めに」

    *「わかりました。
      それでは四音さん。

      ――勝ってください」

    四音「……ふん。
       そこで、見ていなさい。
       この白草四音が、試験を蹂躙する様を!」

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:07:25

    -中間試験クリア後-

    *「四音さん、お疲れ様でした。
      さっそく、試験の結果が着ているのでお伝えします」

    *「結果は合格。
      最高の結果が出ました」

    四音「ふふ……これくらいは当然です」

    四音「それで、今の私をあなたはどう評しますか?」

    *「ヘビです」

    四音「……どういうたとえですか、それは」

    *「ゆっくりと現れ、一口で会場を頭から丸呑み――。
      そのオーラに、誰も身動きができなかった」

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:07:35

    四音「……なるほど。
       ふふっ、悪くないですね。
       たとえ方はどうかと思いますが」

    *「とはいえ、喜んでばかりもいられません」

    四音「もちろん、わかってます。
       この結果は前提でなければならない、でしょう?」

    *「はい。
      真の勝負どころは、最終試験ですから」

    四音「……ですが、知れたことです。
       次も私が最高の結果を取る。

       なぜなら、私は白草四音。
       圧倒的勝利、私には必要ないのだから」

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:09:17

    というわけで本日の投下分は以上になります~。

    お付き合いくださりありがとうございました!

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:10:36

    意外と、1スレになんとか収まりそうか……?

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:19:38

    お疲れ様です!
    あにまん四音は学Pに毎回振り回されているな

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:45:54

    おつ~
    本当に触れれば触れるほど良い出汁が出るな四音は…
    実装はないとしても何かしら出番が欲しくなる

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:26:01

    保守

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