- 1二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:58:52
- 2二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:01:28
投下開始は本日九時半以降を予定してます。
また、めちゃくちゃ長いので、何日かに分けてスレッドも多分一つ以上になるかもです。
99%妄想の産物です、許しておくれ……。 - 3二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:02:22
- 4二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:11:17
期待
- 5二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:12:11
P四音なんてなんぼあってもいいですからね
- 6二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:30:41
-第一話-
――たしか、四音さんがいるのはここの校舎だったはず。
そう思い、あたりを見渡していると、黒山の人だかりがあった。
ピンク髪の子「さっすがは四音お姉様!
今日もすごいパフォーマンスでしたわ!」
黒髪の子「これくらいはどうということもないでしょう。
日々のレッスンの成果が出ただけです」
人だかりの中心には、二人の女生徒の姿。
一人は、たしか藍井撫子。そしてもうそのもう一人が――。
*(……あの子が白草四音)
見た感じ、クラスメイトとダンスの対決か何かをしていたようだ。
肝心のダンスこそ見ることは出来なかったが、結果は明らか。
四音さんは、周囲の人から驚きと尊敬の眼差しをその一身に受けている。
「これがAランクアイドル……!」
「オーラが違う……」
「なんてダンスのキレ……すごかった」
しかし、彼女はその周囲の眼差しを顧みることなく、ツカツカと足取りを進める。
……さて、僕も行かないと。
*「白草四音さん、ですね?」 - 7二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:31:57
*「はい、僕はこういうもので――」
撫子「きっと他校のお姉様のファンですわ!
まったく! いくらお姉様が魅力的だからって学園内に侵入するのは、ルール違反でしてよー?」
四音「……あら、そうでしたか。他校から遥々こちらへ。
ですが――申し訳ありません。
私、こういう場ではサインは書かないことにしているのです」
何か、色々誤解をされている。
おかしいな、名刺を見せれば――。
……ん? しまった、名刺が裏だ――!
四音「とはいえ、せっかく他校からいらして何も無いのも虚しいでしょう。
今日は少しだけ気分が良いので、今回だけ特別に。
――撫子?」
撫子「はい! サインペンはこちらですわ!
ふっふーん、お姉様のサインはレア中のレアでしてよ!」
*(あぁっ、取り上げられてしまった……!)
四音「まったく、撫子ったら。
……せっま」
*「えっ?」
四音「あら、何か聞こえました?
……それでは、お返しします」 - 8二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:33:10
名刺の裏で、四音さんのサインが窮屈さに悲鳴を上げつつもなんとか収まっている。
サインの機会は制限しているようだが、かなりサインは書き慣れているようだ。
さすがトリプルエーアイドル――。
*「あ、ありがとうございます……。
えっと、すみません。実は僕はこういうものでして」
四音さんからもらった名刺を裏返して見せる。
四音「……え? プ、プロデューサー科?」
*「――あなたをプロデュースさせてください、白草四音さん」
我ながら、ちょっとしまらない。
四音「……お断りします」
*「まぁ……ムードがダメなスカウトだったのは認めます」
四音「そういうことではなく。
いえ、それも多少はありますが……。
――私に、プロデューサーは必要ありません」
*「プロデューサーが、必要ない……?」 - 9二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:33:50
四音「アイドルは孤高たれ。極月学園の方針は基本セルフプロデュース。
アイドルたるもの、自分で自分の売り方は培わなければならない。
……そして、実際に私は私だけの力でAランクまで上り詰めた。
あなたもプロデューサーを名乗るのであれば。
このAランクというものが、どういうものなのかはわかっているでしょう。
この結果を見ても、あなたに私にプロデューサーが必要だと思いますか?」
*「――はい。あなたにはプロデューサーが必要だと思います」
撫子「なっ!? な、なんと生意気な……!」
四音「下がって、撫子。
……では、その理由を聞かせなさい。
なぜ、私にプロデューサーが必要なのか」
*「――あなたがAランクより上のアイドルを目指しているからです」
四音「――ッ!!」
四音さんの顔に動揺の色が浮き上がる。
四音「……あなた、自分が何を言っているのか、わかっているんですか?」
*「はい。
僕は、四音さんを『そこ』へ連れて行くためにここに来ました」 - 10二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:34:21
四音「――ふぅん。
そう。わかりました」
撫子「お姉様っ!?」
四音「……あなたを私のプロデューサーとは認めません。
ですが、あなたのやる『プロデュース』がどのようなものか、興味はあります。
少しの間、私に『実際にやって』見せてください」
*「ありがとうございます。
四音さんを全力でサポートさせていただきます」
四音「……えぇ、まぁ。では、短い期間でしょうけどよろしく。
――『非公式』プロデューサーさん」 - 11二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:34:50
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
???-?
???-?
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。
----
なんとかとりあえずプロデュースする段階まで行くことが出来た。
『非公式』という但し書きこそついているが……。
四音さんにもらったチャンスを不意にするわけには行かない。
全力でプロデュースしていこう。
---- - 12二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:35:53
-第二話-
プロデュースが始まる。
まずは、さっそく四音さんの現時点での実力を見せてもらうことになった。
そして、彼女のパフォーマンスを見た、僕の感想は――。
*「……さすが、という他ないですね」
四音「そう」
*「迷いのないダンス、迫力のある歌唱、そしてそれらを引き立てる一つ一つの動作の美しさ――。
黒井理事長からトリプルエーの評価を勝ち取ったのも納得です」
四音「……とりあえず、最低限プロデューサーらしいことは言えるみたいですね」
*「非公式とはいえ、プロデューサーなので」
四音「それで、あなたはこれからどうするつもりですか?」
*「はい、今見た段階で見えた課題について対策していきたいなと」 - 13二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:38:11
四音(……ッ! かっ、課題!?
今のは私でもよく出来たと思っていたのに――!?)
四音「言っておきますが。
重箱の隅をつつくような話なら、その時点であなたを切ります」
*「はい、それは構いません。
その時は、僕がプロデューサーの域に達していないということですから」
四音「……気味悪いほど動じませんね、あなたは」
*「内心動揺はしてます。
とはいえ、プロデューサーがそれを表に出すべきではないので」
四音「プロデューサーは、アンドロイドか何かですか?
……まぁ、いいでしょう。
では教えて下さい、あなたが見た私の課題を」
*「はい。ではまず、改めて四音さんのパフォーマンスは素晴らしいものです。
アイドルに必要とされる3つの要素――。
ボーカル、ダンス、ビジュアル。
そのどれもが非常に高いレベルに到達しています。
一年生ではもちろん、二年生や三年生でも、四音さんに並べる存在はほぼいないといっていい」
四音「ふふ。それは、そうでしょう……。
ここまで来るのにどれほどかかったことか」
*「もちろん、これら3つもまだまだ伸ばしようはあるとは思いますが……。
四音さんの抱える問題は、この3つとは別の部分にあります」 - 14二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:39:04
四音「3つとは別の……それは?」
*「――パフォーマンス中、四音さんと僕は一度も目が会ってません」
四音「……えっ?」
*「四音さんの演技は高いレベルで構成されています。
しかし、『観客』への意識が綺麗に抜け落ちている。
まるで、僕が――いや、そもそも観客がいないかのように。
あなたはステージで一人踊り、歌っている。
一言で表せれば、一人舞台、という事になるでしょうか」
四音「そっ、そんなことはないッ!
あ、あれはダンスの構成的に客を見る時間がほぼないだけで……!」
*「――では、四音さん。
今から僕の目を10秒間見ていただけますか?」
四音「ふ、ふん! 何を言うかと思えば。
10秒なんて、あっという間だッ。
ほ、ほら……!!」 - 15二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:41:35
*「……多分、四音さんが今見てるのは耳だと思います」
四音「み、耳に髪の毛がかかってたから気になって……。
い、行ける。目を見るくらい……!」
*「……めっちゃ泳いでますね」
四音「う、うるさい! ……も、もういい!?
実は私、ドライアイなんですが! 目がゴロゴロして……」
*「まだ2秒しか経ってません」
四音(くそっ、なんか猛烈に恥ずかしくなってきた……!
ひ、非公式プロデューサーのくせに!
ちょ、調子に乗って――!)
四音「ぬ、ぐぐ……。
だ、だいたい異性の目なんて見る機会ないじゃないか!」
*「ライブに来る方は男性が半分以上です」
四音「ぐ、うぅ……!」 - 16二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:41:53
*「ひとまず、この辺にしておきましょう。
目線を合わせるというのはあくまで問題の入口。
求めるのは、その先の――観客とのコミュニケーションです」
四音「な、なるほど。
……たしかにこれは私の弱点だと言えます。
どうやら、口だけではないようで安心しました。
……ですが、一つ。
あなた――いえ、『非公式』プロデューサーに言っておきたい事があります」
*「……なんでしょうか」
四音「――私、あなたのこと嫌いです」 - 17二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:42:17
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-E ←要改善。まずは観客と目を合わせるところから……。
???-?
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。
----
現状での課題を確認した。
この課題の解決が、おそらく大きな肝だろう。
---- - 18二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:43:56
-第三話-
……時計を見る。
*(もしかしたら、僕が時間を間違えたのか……?)
そう思い、もう一度時計を見る。
いや……間違っていない。レッスン時間はすでに始まっている。
……となると、まさか。
*(――四音さんが、僕を切った?)
と、その時の事だった。
四音「お、おはよう……ございらす……」
フラフラとやってきて、椅子の上にへたり込む四音さん。
*「大丈夫ですか……?」
四音「朝は……弱くて……め、目が冴えてきたら、レッスンできると……思うから」 - 19二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:44:45
これは……だいぶ致命的だな。
今後のスケジュールは朝のものは減らさなくては……。
*「とりあえず、レッスンは午後に変更します。では、この時間はブリーフィングに」
四音「そ、そう……? そしたら、朝ご飯……食べていい……?」
……食べてなかったのか。
*「もちろん。アイドル活動をする上で体力は必要不可欠です」
僕がそういうと、四音さんはバッグからおもむろにあるものを取り出した。
*「――あの、それは?」
四音「コンソメ味」
*「いや、そういうことではなく。
……ポテトチップス、ですよね?」
四音「……そう、ですが?」
*「朝ご飯、ですよね?」
四音「すぐ食べられるので」
*「……なるほど。今後、食事は僕の方で用意します」
こんな食事で、ダンスレッスンして倒れられてはたまらない……。 - 20二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:46:06
*「それでは――食べながらでいいので、今後についての話を。
今回、我々が挑戦するイベントは定期公演『CRESCENT』。
極月学園主催のイベントで、試験は公開型で二回。
中間試験で7人、最終試験で1人が選ばれます」
四音「……学内ドームでフルライブができるのは最終試験で勝った1人だけ」
*「はい。そして出場枠は25人ですが、この内5人は一般枠からの応募となります。
一般枠の方が一位となった場合は、極月学園で特待生として転入できる処遇が約束されています」
四音「話題作りですね。ほとんどの場合、学内生に蹂躙される事になります」
*「とはいえ、学外の人物と競うのはより『実戦的』です。
そして、何より未知の存在がいるというのは緊張感がある。
常にダークホースが存在することを想定しなければなりません」
四音「……なんだか、楽しそうに話しますね」
*「そう見えますか?」
四音「えぇ。とても。
まるで――それを待ち望んでいるかのよう」
*「……おそらくダークホースの存在は参加するアイドルすべてに、進化を促すものでしょう。
正直言えば、その存在が四音さんにどのような変化をもたらすか。
興味がないと言えば嘘になります」
四音(ずいぶんと、お気楽な価値観をお持ちなようで。
イレギュラーなど……私には必要としない) - 21二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:46:57
小声で何かをつぶやく四音さん。
*「……今、何か?」
四音「いいえ。
それより、今回の出場者について資料をまとめてきました。
まだ在校生の分だけですが」
*「――はい?」
在校生の資料をまとめてきた?
……四音さんが?
四音さんがバッグを開けたかと思うと、大量の書類がお目見えする。
四音「昨日、極月学園側の出場者については判明したので。
それぞれの経歴、特色。
そして、現時点での対策をまとめました」
*「……」
思わず、言葉を失う。
四音「では、読んで感想を聞かせてください。
プロデューサー科のあなたの意見ならば参考になるでしょうから」 - 22二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:48:25
*「……わかりました、それでは拝見します」
*(――これは)
出場する極月学園の生徒の情報が事細かに書かれている。
イメージカラー、ブランディング。
過去にどんな芸能経験があるか。
学内での成績はどうか。友人の数はどれほどのものか。
得意な歌、ダンス、トークのジャンル……。
*「……驚きました。
これほど綿密な分析が行えるのは、プロデューサー科でもごく一握り。
いえ、正直言えば――これに並ぶものを用意できるのは僕の知っている中でも一人だけです」
四音「極月学園はセルフプロデュースが基本ですから。
勝つためには――いえ、一人でもやっていくには。
これくらいは必要ということです」
*「……なんとも、説得力があります。
ところで、この別紙のプランBというのは?」
四音「盤外戦術です」
*「な、なるほど?」
ページをめくると的確に相手を妨害する方法が様々書いてある。
たしかに、黒井理事長は時として手段は選ばないという話は聞いたことがあるが……。 - 23二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:49:15
*「……とりあえず、今回はプランBは使わない方向で行きましょう」
四音「そうですか?
どれもレギュレーションには違反しないようにしていますが」
*「たしかに、戦力を確実に削ることはできます。
ですが、どうしてもこの手のものはグレーです。
盤外戦術でリスクを抱えるのは、考えものですし。
そして何より。
――この方法は、格上にはそもそも効きません」
四音「……!!」
*「結局、最後に一騎打ちとなれば。
四音さん自身の能力と魅力で勝負することになります。
そうであるなら、最初から四音さん自身の魅力を上げることを今回は目的としたい。
先日の課題も、それに関わる内容ですから」
四音「ぅ……ぐ。
目……目と目を合わせる、というアレですか……。
たしかに、それは克服しなければなりませんね」 - 24二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:49:51
*「あくまで、それ自体はとっかかりに過ぎませんが……。
そこにいるファンと心を通わせること。
ひいては。
――『白草四音』さんを見てもらうこと。
そこが、僕の目指すところです」
四音「……私を、見る」
*「四音さん。
あなたはアイドルとして、何を求めますか?」
四音「……ふふ。
やれやれ、神妙な顔をして何をいうかと思いましたが。
アイドルならば、答えは決まっているでしょう?
――ファンの皆様の笑顔、これ以外にありませんわ」
微笑んで、四音さんが答える。 - 25二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:50:19
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-E ←要改善。まずは観客と目を合わせるところから……。
???-?
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。
----
彼女の強さの秘訣がわかったような気がする。
危うさこそあるものの、とても強い輝きを秘めたアイドルだ。
---- - 26二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:50:49
プロデューサーコミュ
「気になる様子」
*(四音さんの様子はどうだろうか……)
四音「ワン、ツー……!」
*(……ダンスが以前と変わっている)
四音「……さっきから見ていたようですが。
何か、感想はありますか?」
*「以前より少しペースを落としましたね」
四音「観客を見ろ、というので。
少し、ダンス全体のテンポを落としました。
とはいえ、どこでどう観客を見るかは決まっていませんが」
*「手を伸ばす動作に絡めても良さそうです。
指自体にも表情はありますが、そこに更に情報を付加する感じで」
四音「……ダンスの全体の表情付けに影響しますね。
では、今から7パターンをお見せしますので、どれがいいか教えて下さい」
*(な、7パターン……!?
これはなかなか見応えがありそうだ……) - 27二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:51:54
-第四話-
どこまでも続く、一本の道。
道の先では、一人の女が悠々と歩いていた。
――あれは。
その女に追いつこうと、走り出す。
足の速さには自信があった。
きっと、自分ならばすぐに女に追いつけると思った。
しかし。
――はぁ……はぁ……!
いくら走っても、なかなか女には追いつけない。
――もっと、早く! もっと早く走らないと……!
一気に走る速度を上げていく。
やがて、その速度は自分が出せる最高速へと到達する。
だというのに。
――追い、つけない……! - 28二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:52:24
走っても走っても、女には追いつけない。
こちらが全速力で走っているというのに、女は道の先で悠々と歩いている。
――おかしい。
周囲に、自分の急いた靴の音が耳に響く。
――こんなに、遠いはずはない……!
もっと早く。もっと早く。
力のかぎり、足を動かす。意地のかぎり、腕を振るう。
限界を超えた走りに、体中が悲鳴を上げ始める。
――違う。違う……ッ! こんな、遠いはずは……!
追いつける! 追いつけるはずだ、ボクなら……ッ!
調子の乱れた靴の音が、耳に刺さってひどくうるさい。
――くそ……! くそっ……! - 29二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:53:08
道の先では、女は変わらず歩いている。
こちらのけたたましい靴の音にも、まったく動じず。
ただ、女は歩く。
まるで、後ろを追いかける自分のことなど、存在しないかのように。
――ボクを。
――ボクを見ろ。
――ボクを見ろッ! 白草月花!
四音「……あたっ」
四音の頭上に、スマホが落下する。
四音「何……? なんか、鳴って。あ、あぁ。スマホ……」
スマホを手に取り、ぼんやりとした意識のまま、通話ボタンをスワイプする。
四音「撫子……? 問3なら、答えは6だけど……」
*「おはようございます、四音さん。もうそろそろレッスンの時間になります」 - 30二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:53:49
四音「……なぜ電話番号を知ってるんですか?」
*「撫子さんから教えてもらいました」
四音「後ほど撫子とお話する時間をいただきます」
*「そういえば、数学の宿題を教えて欲しいと撫子さんから伝言を預かっています」
四音「……問3なら6です。伝えておいてください」
*「わかりました。
朝食についてなのですが、昨日渡した赤いクーラーボックスが朝食です。
昼食については四音さんが学園に到着次第、こちらでおわたしします」
四音「……わざわざどうも」
*「何か、味などで気になった事があれば、言ってください。
味付け、品目を変更いたしますので。
それでは、レッスン室でお待ちしています」
四音「食べる時間は――ある。
それも加味して、この時間にかけてきた、と。
……見透かされてるようで、なんだか気に食わない」
四音(――それにしても、本当に。
嫌な夢だった) - 31二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:55:35
その後、時間が過ぎ、場所はレッスン室。
四音「……ワン、エン、ツー、エン――フィニッシュ!」
*(……日増しに、ダンスの完成度が上がっていく。
それも、急激に)
四音「非公式プロデューサー」
*「はい、なんでしょうか」
四音「……気にしないんですね。非公式」
*「まぁ、非公式も非公式で面白いので。
きっと、そうそう非公式と呼ばれる経験もないでしょうから」
四音「……何をありがたがってるんですか。
それで、感想はありますか?」
*「ダンスの上達は凄まじいものがあります。
そちらについてはほぼ現状問題ないといっていい。
……問題は」
四音「……め、目線、ですか」
*「はい。とはいえ改善傾向にはあります。
以前からは伸びました。1秒ほど」
四音「……ど、どうしても、人の目を見るのは慣れなくて。
意識すると、気恥ずかしさが」 - 32二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:56:17
*「おそらく、四音さんなら一度慣れてしまえば問題はないはずです。
とはいえ、その一歩が今は重い。
少し、置き換えてやってみましょう」
四音「……置き換える?」
*「はい。四音さん。
僕は今からカボチャです」
四音「……はい? 何を言って――。
な、なんですか、それ?」
*「ジャック・オー・ランタンの被り物です。
去年のハロウィンイベントで使われたものをお借りしました」
四音「……それ、見えてます?」
*「かろうじて。
では、四音さん。僕と目を合わせてみてください」
四音「その……黒い目の部分を見ればいいんですか?」
*「はい。では10秒計ります」 - 33二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:56:43
沈黙の10秒が流れる。
*「……10秒。クリアです!
やりましたね! 快挙ですよ、四音さん!! 素晴らしい!」
四音「……達成感がまるでないんですが」
*「どうやらこの被り物をしていれば大丈夫だということがわかりました。
なので、しばらくは僕はこの被り物をしてレッスンに立ち会いますね」
四音「……一応聞いておきますが、気は確かですか?」
*「バッチリです。
いずれにしても、これはあくまで慣れるためのもの。
さすがに、時期を見計らって外す予定です」
四音「ぜひ、そうしていただけると。
非公式とはいえプロデューサーが不審者というのは私の評判に響きます」
*「ともかく、これで問題の解決に足がかりができました。
ここからどんどん、『白草四音』としての魅力を表現していきましょう!」
四音「……まったく、おかしなプロデューサーをつけてしまったものです」 - 34二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:57:06
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-C ←改善中。ここから慣れてくれれば。
???-?
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。姉である白草月花と並び、現在の極月学園を牽引するエース的存在。
----
少しずつだが、前に進んでいる。
高いステータスと、四音さんのキャラクター。
それがうまく噛み合わさったとき、きっと……!
---- - 35二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:00:49
楽曲コミュ一話
四音「……はぁ」
*「どうかしましたか?」
四音「……いえ。大したことではないのですが。
私は、極月学園はとても自分に合った学校だと思っています」
*「ふむ」
四音「制約は少なく、生徒の自主性が尊重されている。
設備もどれも最新のものばかり。
自分のペースで学ぶには、ここはとても良い場所だと感じます」
*「そうですね。
よく言えば自由、悪く言えば放任的。
合う合わないはかなり分かれると思います」
四音「その点、私と極月学園は非常に水が合いますが……。
一つだけ、気にかかる点があります」
*「……それは?」 - 36二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:01:44
四音「……楽曲です。基本的には、学生時代はカバーが基本ですから。
偉大な先輩の曲を通して学ぶことは多い。
けれど――自分の曲を持つというのは、憧れがあります」
*「それは、アイドルならばきっと誰しもがそうでしょう。
……ところで、話は少し変わるのですが。
こちらの曲を聞いていただけますか?」
四音「……はぁ、突然ですね。まぁ、別にいいですけど」
*「どうでしょう」
四音「……聞いたことのないフレーズ。
これまで聞いてきたどの先輩の曲とも違う。
……どなたかの新曲ですか?」
*「そうですね、新曲です」
四音「……意地の悪い。
でしたら、わかるはずがありませんね」
*「四音さんの新曲です」
四音「……えっ?」
*「次のライブで歌ってもらおうかな、と」 - 37二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:02:46
四音「なっ!? ど、どうやって?
ソロ曲は、ほぼ製作許可が下りない――と」
*「いえ、正確にいえば下りないことはないです。
ただ、いろいろと手続きに時間がかかるだけで」
四音「となると……これは前々から」
*「いえ、許可は取ってません」
四音「……は?」
*「今から申請すると、おそらく出来上がるのは来年になります。
なので、モノ自体を最初から用意しました」
四音「つまり、事後承諾……と?」
*「レギュレーション的に新曲の披露は問題ありません。
会場でサプライズ的に披露すれば、もうどうにもできないはずです。
そうなってしまえば、もうこっちのもの」
四音「……意外です。
あなたがまさか、こういうやり方をするとは」
*「まぁ、僕も極月学園の人間、ということです。
前々から思っていたんです。
四音さんほどのアイドルに持ち歌がないというのはどうなのか、と。
――なので、今回作ってもらいました」 - 38二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:03:35
四音「一応、聞きますが、この事が理事長にしれたら――」
*「それはもちろん僕のクビが飛びます」
四音「なんて曲を持ち込んでるんだ!?」
*「なので、あまり他の人には聞かせないようにお願いします。
とはいえ、もし仮にそうなったとしても。
僕は四音さんの曲を聞ければ満足です」
四音「……満足です、じゃないんですが。
まったく、とんでもない事に巻き込んでくれましたね。
……とはいえ、新曲があるというのは気分はいいです。
ライブまでにあなたのクビが飛ばないよう、祈っておいてあげましょう」 - 39二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:05:10
-中間試験前-
四音「……もうそろそろ時間ですか?」
*「そうですね、次になります。
……緊張していますか?」
四音「緊張――そうですね。
さて、あなたには今の私はどう見えますか?」
*「――晩ごはんのことを考えているのかなと」
四音「いえ、特に。
……なんですかそれは。朝飯前とかそういうことをいいたかったんですか?」
*「今日は、お寿司にしようかなと」
四音「……どういう会話なんですか、まったく。
もう少し、本番前らしいことを言えるようになってください。
それと、私は光り物を多めに」
*「わかりました。
それでは四音さん。
――勝ってください」
四音「……ふん。
そこで、見ていなさい。
この白草四音が、試験を蹂躙する様を!」 - 40二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:07:25
-中間試験クリア後-
*「四音さん、お疲れ様でした。
さっそく、試験の結果が着ているのでお伝えします」
*「結果は合格。
最高の結果が出ました」
四音「ふふ……これくらいは当然です」
四音「それで、今の私をあなたはどう評しますか?」
*「ヘビです」
四音「……どういうたとえですか、それは」
*「ゆっくりと現れ、一口で会場を頭から丸呑み――。
そのオーラに、誰も身動きができなかった」 - 41二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:07:35
四音「……なるほど。
ふふっ、悪くないですね。
たとえ方はどうかと思いますが」
*「とはいえ、喜んでばかりもいられません」
四音「もちろん、わかってます。
この結果は前提でなければならない、でしょう?」
*「はい。
真の勝負どころは、最終試験ですから」
四音「……ですが、知れたことです。
次も私が最高の結果を取る。
なぜなら、私は白草四音。
圧倒的勝利、私には必要ないのだから」 - 42二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:09:17
というわけで本日の投下分は以上になります~。
お付き合いくださりありがとうございました! - 43二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:10:36
意外と、1スレになんとか収まりそうか……?
- 44二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:19:38
お疲れ様です!
あにまん四音は学Pに毎回振り回されているな - 45二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:45:54
おつ~
本当に触れれば触れるほど良い出汁が出るな四音は…
実装はないとしても何かしら出番が欲しくなる - 46二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:26:01
保守
- 47二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 11:12:21
保守
- 48二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 18:45:19
仕事が終わった……。
本日、9時半ほどから投下予定です。 - 49二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 18:47:30
あと、家に帰って気づいたのですが、普通にセリフにミスががっつりあって泣きました。
誤→
四音「……ですが、知れたことです。
次も私が最高の結果を取る。
なぜなら、私は白草四音。
圧倒的勝利、私には必要ないのだから」
正→
四音「……ですが、知れたことです。
次も私が最高の結果を取る。
なぜなら、私は白草四音。
圧倒的勝利以外、私には必要ないのだから」 - 50二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:30:27
では投下しますー
- 51二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:31:26
-プロデューサーコミュ-
撫子「ワ、ワンッ、ツー! スリー……っとと!?」
四音「重心の移動が早すぎます。
もっと、一歩一歩を正確に踏みしめなさい」
撫子「はっ、はいっ!
わかりましたわ! 四音お姉様!」
四音さんが、撫子さんをレッスンしている……。
四音「それで、さっきからずっと見てるようですけど」
……気づかれていたか。
四音「……一応聞きますが。
あなたから見て、撫子になにか言うことはありますか?」
撫子「え、えぇっ、いつの間に……!?」 - 52二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:31:51
*「表情がいいですね、撫子さん。
見てるだけで元気がもらえます」
撫子「ふ、ふふふ……。えぇ、えぇ!
そうでしょう! 私、とっても顔が良いのですわ!
よーくわかってるじゃありませんの!」
四音「あまり甘やかさないように。
……撫子は、いつも詰めが甘いのだから」
*「失礼しました。
それにしても、本当に仲がいいのですね」
四音「……こういった時間も糧になりますので。
撫子が終わったら、私のレッスンです。
たっぷり感想を聞かせてもらうので、そのつもりで」 - 53二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:32:43
-第五話-
四音「ワン、エン、ツー、エン……!」
*(――ここで!)
四音「……顔を、見せる!」
*「さすがです。
かなり形になってきています」
四音「そうですか。
……あのおかしな被り物がでてきた時はどうなのかと思いましたが。
一応、効果は――多少はあったのかもしれません」
*「それなら何よりです。
もし、目が合わせづらくなったな、と思ったら。
その時は、カボチャを思い浮かべてください」
四音「……ま、まぁ、それはどうしてものときだけ、ということで。
それで、非公式プロデューサー」
*「なんでしょう?」
四音「現状で、完成度はどれほどのものですか?
パーセントで教えて下さい」
*「――そうですね。
現状の四音さんの完成度は80%、といったところです」 - 54二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:33:19
四音「……そう、まだ80%」
*「いえ、『もう』80%というのが僕の所感です。
現状、本来僕が想定していたペースより驚異的に早い。
何か指摘があっても、次の日には問題が解消されている。
……正直、こうして四音さんのプロデュースに携わって。
四音さんには何度も驚かされてばかりです」
四音「しかし、結局80%では未完成ということです。
それでは意味がありません」
*「目指すのは100%――ですか?」
四音「当然です。
何事も、まず完璧でなければならない。
そうでなければ……まず、ステージを踏む資格がない。
だから、一秒でも早く100%にしなければ。
……それで、現状の問題点はなんですか?
80%を100%にするために、必要なものは?」
*「……そうですね、ではその話を。
技術的な面で言えばほとんど問題はありません。
おそらく、このまま順当に行けばそれで100%には至るでしょう」
四音「……何か含みがある言い方をしますね」
*「今のままでは100%には至りますが、それ以上にはなりません」 - 55二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:33:42
四音「……それ、以上? 100%より上があると?」
*「はい。アイドルにはファンがいますから。
アイドルとファン、この2つの存在が心を重ねれば。
そのライブは時に120%――。
あるいはそれ以上のパフォーマンスを生み出すこともある」
四音「……ファン」
*「ですから、僕の方針としては四音さんには100%ではなく。
100%を超えたものを目標として設定しています。
しかし、その点で一つ懸念があります。
――四音さんのアイドルとしてのスタンスです」
四音「……そう」
*「アイドルとして何を求めるか。
先日その質問をしたときは、四音さんはファンの笑顔だと答えました」
四音「……我ながらアイドルらしい回答だと思いますが」
*「無論、素晴らしい回答ではあります。
しかし――それはアイドルという概念の回答ではあっても。
白草四音という人物の回答ではない」 - 56二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:34:53
四音「――なぜ、そう思ったのです?」
*「その勝利に対する貪欲さ。
四音さんが抱くそれは、単にアイドルが持つものとしては強大すぎます。
――白草月花。
四音さんの芯は、姉を超えるという方へ向いている」
白草月花。
極月学園唯一のSランクアイドルにして、白草四音の姉。
その並外れた才覚を持って、彼女は学生の身でありながらアメリカの舞台で戦う。
……極月学園の伝説のアイドル。
その伝説を――白草四音さんは姉に持つ。 - 57二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:35:27
四音「……本当に、忌々しい。
えぇ、そうでしょう……ボクの心はアイドルのそれではない。
あなたの言う通り、ボクは月花姉さんを超えること。
それがすべてだ」
四音「きっと、お前には想像できないだろう。
どこにいても比較され続け、アレがこちらに来た瞬間、
それまで受けてきた称賛がすべて、アレに奪われていく様を。
そうして、いつもボクを置いて、自分だけ先に行く――!
いつだって、そうだった!
ボクはずっとこの悔しさの中で生きてきた。
それが――!」
*「四音さんを動かす何よりも強い力となっていた」
四音「……そうだ。
ああ、そうだ。ボクにとってファンもアイドルも。
月花姉さんを超えるための手段でしかない。
あなたの言う通り、ボクはアイドルらしくは――」 - 58二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:37:06
*「申し訳ありません。
先ほどは言葉が足りていませんでした。
たしかに、四音さんのスタンスに懸念がある、とはいいました。
しかし、それはその内容ではありません」
四音「……何?」
*「四音さんはその気持ちを――アイドルらしかぬものとして封じている。
しかし、僕としては。
それこそが白草四音というアイドルの持つ、最大の武器だと考えています」
四音「最大の武器?
この……黒い気持ちが?」
*「はい。アイドルの輝き方とは、決して一つではない。
遥か高い頂きを目指し、魂を燃やし挑む様。
それも、アイドルが見せる輝きと言えるはずです」
四音「アイドルの輝き……」
*「四音さんの勝ちたいという気持ち。そして、輝きたいという気持ち。
その思いはファンの心にも届く、極めて強力な光です。
これを利用しない手はありません。
その思いをファンに届け、心を重ねる。
そして――ファンと共に撃ち落としましょう。
白草月花という、彼方にそびえる月を」 - 59二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:38:02
このレスは削除されています
- 60二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:38:57
四音「……月花姉さまを、撃ち落とす」
*「はい。
一人で挑むには、白草月花というアイドルはあまりにも強大です。
……ですが、ファンと力を合わせれば。
たとえ、相手が白草月花であろうとも、勝てる。
実にアイドルらしい戦い方でしょう?」
四音「……ふ、ふふ。ははははっ――!
バカげている! なんですか、それは?
なんて、壮大で。なんて、荒唐無稽な……」
*「たしかに荒唐無稽かもしれません。
けれど四音さんなら、きっとそれは『起こせる』奇跡でしょう」 - 61二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:39:29
*「……今一度改めて。
あなたを『その先』へと導くために。
――白草四音さん、あなたをプロデュースさせてください」
四音「……はぁ。
わかりました。
ですが――奇跡とは、決して軽い言葉ではない。
それを果たすまで――逃げられるとは思わないことです」
*「もとより、覚悟の上です」
四音「あなたは、本当に……。
ずいぶんと、おかしなプロデューサーですね」
四音(――あの月に届く、その日が) - 62二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:39:47
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-C+ ←下地は整ってきた。ここから!
対抗心-S ←その強さを、輝きに!
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。
姉である白草月花に勝つべく、日々研鑽を重ねる。
----
この挑戦は、決して簡単なものではない。
だけど、四音さんならば、きっと。
---- - 63二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:40:20
-楽曲コミュ2話-
四音「~♪」
四音「……違う。この入り方じゃない」
四音「それなら――いえ、曲調から考えると。
であれば、歌い方をかえて。
コホン。
すーっ……!!」
四音が深呼吸をしていると、扉を勢いよく開け放たれる。
撫子「四音お姉様ーっ!
お願いがありますのーッ!」
四音「ゴホッ、ゴホッ――」
撫子「うぇっ!? だ、大丈夫ですの、四音お姉様!?」
四音「だ、大丈夫です。
……今度から、ボーカルレッスン室入る時はノックしなさい」
撫子「はい! わかりましたわ!
……あれ? ここの扉って防音でしたような」
四音「防音でもいいから! マナーだと思いなさい!!!」
四音(くっ……しなくてもいい苦労が) - 64二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:40:48
撫子「は、はい! わかりましたわ。マナーは淑女の嗜みですものね!
それで、四音お姉様。お願いがありまして」
四音「……何?
言っておきますけど、勉強ならコンテスト期間は見ないので」
撫子「いえ、それではなくて。
ああ、いえそれもコンテストが終わったら見てほしいのですけど。
……こちらの曲を聞いて欲しいのですわ」
四音「……なるほど。
5/8、7/8、6/8、5/8、8/8、5/8ーー」
撫子「わ、わぁ!
一回だけで拍子をーー!?
す、すごいですわーっ! さすが四音お姉様!」
四音「……どうせあなたのことだから、リズムで躓いているのでしょう。
今から、実際に拍子を聞かせます。録音しなさい」
撫子「は、はい! お願いします!」
撫子「ありがとうございます、お姉様!
これでこの曲もバッチリですわ!」 - 65二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:41:09
四音(……まったく、こっちも忙しいのに)
撫子「そういえば、今日はダンスレッスン室ではありませんのね」
四音「あぁ――」
四音(新曲だから、普段より来る回数を増やしてる――。
とは、言えない。
……いや。でも、撫子なら――)
四音「撫子、あなたは自分では口は堅い方だと思う?」
撫子「はいっ!!!
なにか四音お姉様から秘密を託されたのならッ!!!
鋼鉄よりもかたーいこの唇が!!!
お姉様の秘密を必ず守り抜いてみせますわっ!!!」
四音(多分、一日も持ちませんね……) - 66二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:41:31
四音「……これは、そう。仮定なのだけど。
前半はピアノで美しい伴奏がメイン。
中盤から、ギターで盛り上がるフレーズ。
こういう曲があったとして。
曲調通りにメリハリをつけるか。
それとも、全体を通して違和感がないようにするか。
……撫子ならどうする?」
撫子「え、えぇ?
ちょっと、どういう曲かわからないと答えづらいですわ」
四音「仮定だから、実際に曲はありません」
撫子「えー? うーん……。
そ、そうですわね。
そ、その場合は歌詞とかで判断するかも、ですわ。
きっと、なんかこう、曲として伝えたい部分は歌詞と連動してると思いますわ!」
四音(……歌詞か。
なるほど、立てる歌詞を選んで考えてみてもいいかもしれない) - 67二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:42:09
撫子「そうですわねぇ、でももし私が新曲を歌えるなら。
こう、バックコーラスでなんか荘厳な感じの曲が歌いたいですわ!
コーラスをバックに歌うときっと気持ちいいはず!」
四音「バックコーラスはなしで考えて」
撫子「なんでですの!?」
四音「……ここだとバックコーラスがある曲を歌うことは少ないでしょう?」
撫子「それは――たしかにそうかも。
だいたいユニットでユニゾンですわよね」
四音「ユニットのユニゾンもなしで」
撫子「ソロ曲でしたの!?」
四音(……でも、気持ちいい、か。
たしかに――ファンと心を重ねるということなら。
そこは、気を使うべきポイントだろう)
撫子「ところで、四音お姉様は先から何を書いてますの?」
四音「……メモです。これはプライベートなものだから」
撫子「さっすが、四音お姉様!
プライベートでも、アイドルとしての研鑽を欠かさない。
まさに、アイドルの鑑ですわ!」
四音(アイドルの鑑――) - 68二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:42:30
四音(……なるほど、そういうこと。
アイドルとしての私と。
白草四音としてのボク。
この曲には、2つの自分がいる。
それなら、フレーズも、盛り上がりも。
一つの線で繋げられる)
撫子「……四音お姉様?」
四音「ありがとう、撫子。少し頭を整理できました」
撫子「……?
なんだか、よくわからないけど、良かったですわ!
そういえば、これからボーカル練習ですわよね。
でしたら――」
四音「私は、ボーカルレッスン室2を借りてやります」
撫子「えぇ、なんで!?
い、いやでもこっちの方が部屋も設備も新しいですわよ!?」
四音「……それは、その。気分です」 - 69二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:42:46
撫子「き、気分、ですの?」
四音「なんでもいいから!
とにかく、私はボーカルレッスン室2でやります。
撫子、あなたもこの時期だから集中して練習したいでしょう」
撫子「え? ま、まぁ集中は――したい、ですけど」
四音「そういうわけで、ここは好きに使いなさい。
それじゃ」
四音「……あ、それと。
ボーカルレッスン室2は決して扉を開けぬように」
扉を締めて去る四音
撫子「な、なんなんですのーっ!?」 - 70二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:43:42
-第6話-
「それじゃ、みんなー! ありがとう! また来てねーっ!」
四音「はぁ……はぁ……」
*「お疲れ様です、四音さん。
会場にきた子どもたちも、大いに盛り上がってました」
四音「はぁ……はぁ……。それは……どうも」
*「こちらタオルです。それと、水も」
四音「だ、騙しましたね……。
商店街のショーというから、司会進行役とばかり」
*「似合ってましたよ、かわいいうさちゃんのきぐるみ」
四音「なにが……うさちゃん……ですか……。
ショーが終わった途端に、子どもたちにどつき回されました……」
*「今回のショーのお姉さんは、これまでもイベントをしていたそうです。
コール&レスポンスも、やはり経験に裏打ちされたものでした。
あれを間近で見れたのは、いい経験になったかな、と」
四音「なら……客として行けば、いいものを……」 - 71二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:44:04
*「ステージ上で、実際に客にどう訴えかけるか――。
それを間近で見られるにはやはり、同じステージに立つしかありません」
四音「……まぁ、良い勉強だったことは否定しません。
あの場でメモが取れたなら取りたかった。
それはそれとして。
ステージ用メイクが台無しになったことは恨みます」
*「そちらについては申し訳ありませんでした。
では、体を動かして汗もかいて、お腹も減ったでしょうし。
涼しいカフェで一息つきましょうか」
四音「……そうですね。
小腹も空きましたし、何か軽食でもつまみたい気分です」
*「では、おすすめの場所を。
味もサービスも良いところがあるんです」
四音「……そう。
でしたら、期待はしておきます」 - 72二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:44:38
四音「いや、カフェはカフェですが。
――メイドカフェじゃないか!!」
*「……執事カフェの方が良かったですか?」
四音「いや、メイドか執事かの問題ではなくて。
涼しいカフェで一息、でコンセプトカフェは出ないんですよ、普通。
……だいたい、こういうところは私は」
*「初めて、ですか?
たしかに、普通はなかなか行く機会はないかもしれません」
四音「……その様子だと、あなたはすでに何回か行ったことがあるようですね」
*「はい。ちなみに会員証も持ってます。ゴールドです」
四音「流れるように出してきましたね。
言葉を選ばずに言いますが、少し引きます」 - 73二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:45:19
*「それで、何を注文しますか?
僕のオススメは『おりじなる☆はぁと☆どりんく♥』
そして『ふわふわ☆にゃんにゃん☆ぱんけぇき♪』ですね」
四音「文字に対して甘ったるいという感情を抱いたのは初めてです。
……まぁ、私はよく知らないので。
あなたのオススメに任せます」
*「では、そのように。あ、それと。
ここでは、なにか注文するときは『にゃん♪』とつけることを忘れないでください。
ちなみに呼ぶ時は二回やります。では――にゃんにゃん♪」
四音「は、はぁ!?」
メイド「はーい、ご主人様♥ ご注文伺いに来ましたにゃん♪」
*「では、僕は『おりじなる☆はぁと☆どりんく♥』。
それと、『ふわふわ☆にゃんにゃん☆ぱんけぇき♪』を。
よろしくお願いするにゃんっ♪」
メイド「かしこまりましたにゃん♪
お嬢様はいかがなさいますかにゃあ?」 - 74二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:45:35
四音「……え、えっと。
それでは、そこの人と同じメニューで」
メイド「むっ、お嬢様。めっ! だにゃ!
注文はしっかり読み上げること!
そして、メイドに頼む時は『にゃん♪』をつけていただくにゃ!」
四音「……お、おりじなるはぁとどりんく。
そ、それと、ふわふわ――にゃんにゃんぱんけぇき。
で、お願いします……。
……にゃん」
メイド「んー、元気がないのがちょっと心配だけど……。
でも、良かったことにするにゃ!
ご注文、たしかに承りましたにゃんっ♪」
四音「……注文だけでこんなに疲れたのは初めてです」
*「大事なのは、この場のノリを楽しむことです。
メイドさんはプロです。メイドさんを信じましょう」
四音「まったく……堂々たるものですね、さすがゴールド会員」 - 75二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:45:57
メイド「ご主人様、お嬢様、おまたせしましたにゃんっ♪
それでは、ふわふわ☆にゃんにゃん☆ぱんけぇき♪
からお持ちするにゃんっ♪」
四音「……これは、普通に美味しそうですね」
メイド「それではパンケーキにかわいいネコちゃんを描きますにゃんっ♪」
四音(……結構器用にやりますね、この人)
メイド「それでは、お次はおりじなる☆はぁと☆どりんく♥
まごころドリンクと、あいじょうパウダーを合わせて作りますにゃ♪」
四音(ココアパウダーと……牛乳。多分、ココアだ)
メイド「では、今からドリンクに愛を込めてまぜまぜするにゃん♪
たーっぷり愛情が入ったと思ったら!
にゃんにゃん♪ とお声がけ、よろしくにゃん♪
では――お嬢様」 - 76二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:46:37
四音「な、なんですか? 顔が近……」
メイド「目を見て、まぜまぜ。
たーっぷり、愛情を込めますにゃん♪
にゃんにゃんにゃん……!」
四音(こ、このメイド!?
ボクの目をまっすぐと覗き込んで……っ!?)
メイド「にゃんにゃんにゃん……!」
四音(なんて淀みのない……! これがプロだと……!?
くっ……逸らすものか。
このメイドはカボチャ、カボチャだ……!)
メイド「……にゃにゃ、なんだか目つきが変わりましたにゃあ?」
四音「続けてください。もっと愛情を込めてほしいので」
メイド「わかりましたにゃんっ♪
まぜまぜ、まぜまぜ!」
四音(……ボクがいくら見つめても臆する事もない。
恐れがないというのか、この人は) - 77二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:47:04
四音「――にゃんにゃん」
メイド「はーい、たっぷり愛情、入りましたにゃんっ!」
四音「……ありがとうございます。
それでは、いただきま――」
メイド「お嬢様。お待ち下さいにゃっ!」
四音「ま、まだ何かあるんですか?」
メイド「いっちばん大切な事が残ってますにゃっ!
これなくして、お料理は楽しめないんだにゃあ」
*「そうですね。メイドカフェで一番大事な部分です」
四音「一番、大事なこと……?」
メイド「そうにゃ!
――今から、この料理に更に美味しくなる魔法をかけますにゃ!!」 - 78二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:47:27
四音「は? ま、魔法?」
メイド「そうにゃ! 実はメイドさんは魔法使いなんだにゃあ。
では、美味しくなる呪文を特別にお嬢様に教えちゃうにゃっ♪
今から私が言う言葉を、繰り返してくださいにゃ。
――おいしくなぁれ♥ 萌え萌えきゅんっ♪」
四音(も、萌えって単語、人の口から初めて聞いた……)
メイド「それじゃっ、お嬢様、ご主人様っ!
準備はできましたかにゃ?」
*「出来てます。いつでもどうぞ」
四音「……本当によどみないですね、あなたは」
メイド「それでは、ご主人様から♪
それじゃ、行きますにゃんっ♪
――おいしくなぁれ♥ 萌え萌えきゅんっ♪」
*「おいしくなぁれ♥ 萌え萌えきゅんっ♪」 - 79二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:48:01
メイド「ご主人様、とっても上手だにゃ~!」
*「ゴールド会員ですから」
メイド「それでは、次は――」
四音「……わ、私ですか」
メイド「そうにゃっ! ふふっ、お嬢様。
ご主人様より、うまく魔法がかけられますかにゃあ?」
四音「……何だと?」
*「いえ、僕もここまで来るまでかなりかかりましたから。
――別に無理はしなくていいんですよ? 四音さん」
四音「……バカにするな。
いいだろうッ! 見せてやる!
ボクが一番、うまく魔法をかけられるということを!」
メイド「それでは、お嬢様。準備はよろしいですかにゃ?
せーの」
四音「――おいしくなぁれっ♥ 萌え萌えきゅんっ!!!!!」 - 80二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:48:40
*「――伝説になりましたね、四音さんの萌え萌えきゅん。
まさかメイドさんからスカウトを受けてしまうとは」
四音「……まんまと載せられました。
あの場に知り合いがいないことを祈るばかりです」
*「……あまり楽しめませんでしたか?」
四音「なんですか、誘っておいてその捨てられた子犬のような顔は。
……たしかに、困惑はありました。
けれど、発見もありました。
客と店員を繋ぐ儀式、コミュニケーション、その心意気。
正直、なかなか参考になりました」
*「……今日は、少し普段とはアイドルとは違う切り口からアプローチをしたんです。
アイドルではなく、ただ白草四音として。
そこに立ち、心を通じ合わせる。
何事にも努力を欠かさない、白草四音がそこにいる。
……今日、僕は改めて確信を得ました」 - 81二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:49:09
四音「……確信?」
*「白草四音は、とても魅力的な女性である、と」
四音「――は!?
あ、あああなたは、何を言ってるんですか……!?
立場をわきまえてますか? もっとムードとかないんですか?
大体これまでの――!」
*「……ふふ、アイドルとは不思議なものです。
アイドルらしかぬ部分に、アイドルとしての魅力があって。
アイドルらしいことだけでは、アイドルの魅力足り得ぬ。
四音さんは――とても魅力のあるアイドルだと思います」
四音「……それは、遠回しに私がアイドルらしくない。
そういっているのでは?」
*「いえ、これ以上になくアイドルにふさわしい。
そう言っています」
四音「……本当に、私を高く買いますね。あなたは。
ん、あれは――撫子?」 - 82二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:49:29
撫子「し、四音お姉様ーっ!!
た、大変ですわ、大変ですわぁーっ!」
四音「……落ち着きなさい、撫子。
どうしたのです?」
撫子「げ、月花お姉様が……月花お姉様が!
——『CRESCENT』にエントリーされてますっ!!」
四音「——なん、ですって?」 - 83二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:49:51
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-C++ ←しっかりと目を合わせられた!
対抗心-S ←その強さを、輝きに!
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラスと言える。
更に、アイドルとしての才能のみならず、プロデューサー科の人間を上回るほどの高い分析能力も備える。
姉である白草月花に勝つべく、日々研鑽を重ねる。
----
アイドルとは違う世界からの刺激は少なからず影響はあったようだ。
しかし、まさか白草月花。彼女が本当に……?
---- - 84二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:51:52
-第7話-
*(現在、白草月花はアメリカで活動していると聞いていた。
日本に帰国していたのか……。いや、それより)
*「中間試験はもうすでに終了しているはず。
それがなぜ、エントリーができている……?」
撫子「そ、それが……中間試験に合格した学外の生徒が体調不良で欠場になって。
空いた出場枠をかけて簡易的に試験したそうなんです。
でもなぜか、その中にお姉様が紛れ込んでいた——と」
*(……なるほど、補欠枠を奪い取ってきたのか。
だがなぜ、『CRESCENT』に?
——いや、考えられる理由は一つしかない)
四音「そうやって、またボクの前に立ちふさがるか。
——白草月花ッ!」 - 85二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:52:04
撫子「し、四音お姉様……」
四音「――プロデューサー、今すぐ極月学園に戻ります。
早くパフォーマンスを完成させなければ」
*「わかりました。
……ちょっと裏技を使って借りれる時間を長くしておきます。
それと、撫子さん」
撫子「えっ? な、何ですの?」
*「撫子さんは、直近で何かイベントはありますか?」
撫子「え? い、いえ。特に。
私は、今回じゃなくて次の『CRESCENT』に出る予定でしたから」
*「……でしたら、付き合ってくださいませんか?
四音さんのレッスンに」
撫子「え、でも……四音お姉様の邪魔になったら、いけないし……」
*「大丈夫です。ただ、そこにいていただけるだけで」
撫子「そ、そうですの?
わかりましたわ。そういうことなら——」 - 86二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:53:29
四音「ワン、エン、ツー、エン!
――フィニッシュ!」
撫子「すっ、すごいっ……!
以前にも増してキレがありますわ! さすが四音お姉さま!」
四音「……違う。これじゃない」
*「何度でも、やりましょう。僕たちは、見ています」
四音「……今度は別の演出を試します」
撫子「はい、楽しみにしてますわ! 四音お姉様!」 - 87二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:53:39
四音「ワン、エン、ツー、エン……!
——フィニッシュ!」
撫子「すごいですわ、四音お姉様、なんて伸びやかな動きなの……!」
四音「……違う。違う。
こうじゃ……こうじゃない」
*「大丈夫です。見ていますから」
撫子「……あの、四音お姉様。
あまり、無理はなさらないでくださいませ」
四音「――無理はしていません。
今までもずっと、私はこうして練習してきましたから」
撫子「そ、それならいいですけれど……」 - 88二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:54:03
四音「ワン、エン、ツー、エン……。
フィニッシュ……!」
撫子「すごい……! 正確な動き! さすがですわ、四音お姉様」
四音「……違う。
これじゃ……これじゃ……っ!」
撫子「四音お姉様。日も落ちましたわ、今日はもう——」
四音「日が落ちたくらいで、何です。
……むしろここから。
帰りたいなら帰りなさい。
ご両親は、あなたがいないと心配でしょう」
撫子「し、四音お姉様が練習してるのに帰る私ではありませんわっ!
あ、でも今日は晩ごはんは食べないと連絡を入れないと……。
……そしたら晩ごはんはどうしましょう」
*「大丈夫です。
僕の方でお二人の分の食事は用意しておきましたから。
飲み物もこちらにあります」
撫子「おぉっ! 気が利きますわ!
さっすが、四音お姉様のプロデューサー!
では、私はお電話に行ってまいりますわ!」 - 89二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:54:55
四音「……あなたも、よくここまで付き合いますね」
*「僕は四音さんのプロデューサーですから。
それに宿敵と戦う時は近い。
今、共にいなくて、いつ共にいるというのでしょうか」
四音「……まったく、ステージに立つのは私であって。
あなたたちではないというのに」
*「……そうですね。
僕たちは、四音さんと同じステージに立つことは出来ません。
けれども――僕らは見ています。四音さんの頑張りを」
四音「……ボクは。
ボクは――変われているのか?」
四音「……震えが止まらない。
いつだって、今回こそは、そういう思いで戦ってきた。
けれど――いつだって、アレは遥か先にいる。
ボクの努力を、嘲笑うように」 - 90二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:55:19
*「逃げたいとは、思いますか?」
四音「――それは、あり得ない。
戦わずに逃げたら、その時は本当にボクは。
ボクを許すことは出来ない」
*「……それを聞けて安心しました。
四音さんが変われているのか、という質問ですが。
そこは、半分変わって。半分変わっていません」
四音「……中途半端、だと?」
*「いえ、非常に理想に近い状態です。
四音さんにある芯は、変わっていない。
けれど、四音さんの振る舞いには変化が出ています。
以前の四音さんなら、こういう話はしなかったでしょうから」
四音「それは――そうでしょうね。
いよいよ、自分一人では抱えきれなくなったのかもしれない」 - 91二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:56:07
*「自分の心を開け放つのも、強さの一つです。
四音さん」
四音「……なんです?」
*「今日は思いっきり練習してください。
その心が吹き荒れるままに。
今の四音さんには、その時間が必要だと思いますから。
ただし、明日以降は調整したスケジュールで進行します。
あくまで一番重要なのは決戦の日ですので」
四音「わかりました。……プロデューサー」
*「はい。なんでしょうか」
四音「――ありがとう」
*「――!!」
四音「……へぇ。ふふ。
あなたも、そういう顔もするんですね」 - 92二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:56:22
レッスン室の扉を開けて、入ってくる撫子。
撫子「はーっ! 長電話でしたわっ!
ほんっとうに、お父様はしつこいったらないのなんの。
テレビ番組なんて、見逃し配信でもどうとでもなりますわっ!」
*「おかえりなさい、撫子さん」
撫子「ふふんっ。藍井撫子、ただいま帰還ですわっ!」
四音「……撫子、プロデューサー」
*「はい」
撫子「なんでしょう、四音お姉様!」
四音「――ボクは勝ちたい。白草月花に」
四音「だから、手を貸してほしい。
白草月花を倒す、そのために。
……二人には、ボクを見てほしい」
*「もちろんです」
撫子「えぇ、四音お姉様のためなら!」
四音(――ありがとう。二人とも) - 93二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:56:42
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-B+ ←問題克服。素晴らしい!
対抗心-S+ ←打倒『白草月花』
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラス。
最大の宿敵である白草月花に、彼女は挑む。
----
決戦の時は近い。相手は、白草月花。
とてつもなく、強大な相手だ。
しかし、だとしても――。
---- - 94二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 21:58:28
本日の投下分は以上となりますー。
全体の文字数が4万くらいあったので、正直1スレ使い切るかと思ったのですが、この調子ならなんとかなりそうです!
見てくださった皆様、ありがとうございました! - 95二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:01:49
明日についてなのですが、明日はちょっと今日より早めの投下を予定してます
- 96二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:12:18
スレギリギリになりそうとのことであまりレスを消費するのもと思いましたが、言わせてください。
とても面白いです!
更新を楽しみに待ってます。 - 97二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:20:25
ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです!
スレを使い切ったら使い切ったで、新しく続きスレ建てするつもりではあったので大丈夫ではあるのですが、ここまで長いスレの使い方をしたことがなかったので、ちょっと色々手探り状態でした。
この調子ならなんとかなりそうな気がするので(使い切ったら使い切ったで新しくスレ建てします)、レス返ししようかなと思います!
- 98二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:23:16
- 99二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 22:31:26
- 100二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 23:18:42
公式かと思うくらいクオリティ高くてびっくりしました
明日分も楽しみにしてます! - 101二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 23:23:55
うぽつ
クオリティ高くて面白かったです!
無理をなさらずに、続き楽しみに待っております! - 102二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 02:56:45
保守
- 103二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 10:48:48
親愛度コミュだけじゃなくレポートや楽曲コミュなどまで詳細に書かれていて本当にすごい…
今夜の分も楽しみに待たせていただきます! - 104二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 16:16:18
本日、夜八時を目処に投下予定です~(時間は多少前後するかもしれないです)
- 105二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 17:13:52
スレ主的に四音のプランとかステータスのパラメータってどんなのを想定してる?
いろいろ聞いてみたい - 106二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 17:22:24
あにまん民は四音好きすぎだろ
- 107二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:00:48
では、時間になりましたので投下を初めます~。
- 108二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:01:42
プロデューサーコミュ
*「おはようございます、四音さん」
四音「……あ、あぁ。おはよう、ござい、ます」
*「相変わらず、朝は大変そうですね」
四音「体質で……昔から、これには苦労させられました……」
*「……ところで四音さんは眠れていますか?
たとえば、そう――」
*「深夜まで練習していたり、なんかは」
四音「……き、昨日からやめました」
*「ま、まさか今まで……?」
四音「よ、夜が一番冴えるのだから仕方ないでしょう!?
覚えやすい時間に詰め込むのは、定石です!」
*(やはり、習得スピードが異様に早かったのは……)
*「今度、四音さんにはおすすめの安眠グッズをお送りします。
しっかり休むことも、レッスンだと思ってください」
四音「そこまで言うなら。
ふふ、でも……。
これで寝すぎて、起きられなかったらあなたのせい、ということになりますね」 - 109二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:02:24
-第八話-
四音「……控室がいやに静かに感じます」
*「そうですね。
白草月花、彼女が参加する。
……その事実だけで、コンテスト全体の空気がこうも張り詰めています」
四音「いつもながら――忌々しい。
いつだって、アレが来たときはこうなる。
ただ、立つだけで。
ただ、そこにいるだけで。
誰もが目を離せなくなる。
誰もが息を呑む。
白草月花は――そういう力がある」
*「そこから発揮される圧倒的パフォーマンス。
……恐ろしいのは、そのプレッシャーでさえも彼女の演出だという事ですね。
極限の緊張状態から放たれる第一声、そして動き。
初めてみた時は、心臓を掴まれたかのような衝撃がありました」 - 110二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:02:46
四音「……見ていたんですね」
*「はい。
プロデューサー科は『お前たちのプロデュースでアレを作れるか?』
などと無茶を言われますから」
四音「……それで、よく私をプロデュースする気になりますね。
それも――白草月花を倒す、とまで言って」
*「実際のところ、彼女の存在は僕たちにとっても高すぎる壁です。
彼女は、あれだけの能力をセルフプロデュースで得てきたのですから。
あんなのを見せられたら、プロデューサーなんていらないじゃないか。
……正直、そう結論付けたくもなります」
四音「……なるほど。
それは極月学園にプロデューサー科が少なくもなります」 - 111二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:03:06
*「……けど。だからこそ、僕は挑もうと思った。
白草月花を『正解』にはしたくなかったんです。
最強のアイドルが彼女で。
最高のプロデューサーは、アイドル自身。
彼女に勝てない――そう考えた瞬間、彼女は『正解』になってしまう。
アイドルに『たった一つの正解』があるなんて、そんなふざけた話はない。
――そんな時、四音さんを見たんです」
四音「……私を?」
*「極月学園は、他のアイドル校と比べても優れたアイドルが多い。
その上で、競争意識も高いアイドルが揃っています。
ですが、白草月花に挑もうとするものは誰もいなかった。
――四音さんを除いて。
四音さんが他のアイドルと違うことは、すぐに見てわかりました。
白草月花を見る目が、明らかに違いましたから。
彼女に勝つために、戦っているとわかったんです」 - 112二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:03:35
四音「プロデューサーも、ボクと同じだった、と――?」
*「えぇ。だから、僕は。
――四音さんが良かった」
四音「……なんで、今までそんな大事な話を黙っていたんですか」
*「四音さんの抱えた思いに比べれば、僕の抱くものはごく小さなものですから。
――そういえば以前、四音さんは自分をアイドルらしくない、と言いかけたことがありましたね。
今も、そう思いますか?」
四音「……結局、ボクの芯にあるものは、姉に勝つという思いだけ。
他のアイドルのように、キラキラはしていない」
*「……僕は思うんです。
キラキラしてるだけが、アイドルではない、と。
アイドルは、見てる人に力を与えてくれるもの。
熱を帯びたギラギラした光もまた、人に力を与えてくれる。
なら――ギラギラしたアイドルがいたっていい」
四音「……ボクはギラギラしていると?」 - 113二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:04:53
四音「……ボクはギラギラしていると?」
*「はい、とても。
生物的な、脂の入った感じの輝きです。
こってり系かも」
四音「ラーメンみたいに言わないでください。
そんなにこってりもしてないです」
*「……まぁ、ともかく。
アイドルとは長い歴史を持つものです。
ギラギラしたアイドルを受け入れるだけの懐の深さはあるでしょう」
*「――そろそろ、時間ですね。移動しましょう」
――会場に続くその通路に。
一人、立つ影があった。 - 114二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:05:21
四音「あれは」
その声に、女はゆっくりと振り返る。
四音「――月花姉さま」
月花「……ほう」
*(……ッ!
あれが――白草月花。
実際に目の当たりにすると、凄まじいオーラを肌で感じる……!
ただ、立っているだけで、これほど存在感が……!)
四音「……日本に戻られる、という話は聞いていませんでしたが」
月花「どうせ、私が行けば自ずと勝手に伝わる。
ならば、一報を入れるまでもない。
現に、私がいることはすでに伝え聞いているだろう?」
四音「勝手な……。
このコンテストも、本来なら出られるはずもなかったのに」 - 115二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:05:51
月花「私も極月学園の生徒だ。
極月学園のコンテストに出場することに、何ら問題はない。
……よもやそんなくだらないことを話したいのか、お前は?」
四音「まさか」
月花「なら、端的に。
無駄な時間を使わせるな」
四音「……昔から、そういうところが気に食わない。
ボクが言いたいことは一つだ」
四音「――白草月花。ボクはお前に勝つ」
そのまま、月花を通り過ぎていく四音。
舞台袖へと、彼女は続く。
月花「……ほう。ふふ」 - 116二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:06:16
*「……先ほどは見事でした。
あの白草月花を前にして、臆することなく挑戦を叩きつけた。
あの場で同じ事ができる人は数えるほどでしょう」
四音「……っ」
*「四音さんっ!? フラついて――」
四音「ふ、ふふ……。大丈夫。
緊張の糸が切れた、だけ」
*「こちら、水です」
四音「……助かります。
あれほど、超えたい。忌々しいと思った相手も。
実際に目の当たりにすれば、あの存在感に膝が笑ってしまう。
……弱い自分が、嫌になる」
*「ですが、四音さんは逃げませんでした。
それどころか正面から、勝負を叩きつけた。
……まぎれもなく、それは強さです」 - 117二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:06:42
四音「もう――逃げ場はない。
ステージに立てば、ボクは」
*「……一人ではありません。
戦う四音さんの姿に、必ず心を動かされる人がいる。
力を借りましょう、たくさんのファンから」
四音「ファン――。ボクのファン、か」
*「まず、ここにも一人ファンがいます。
レア中のレア、サインつきの名刺を持ったファンが」
名刺を取り出し、四音さんに見せる。
*「ふふ、自慢のファングッズです。
どうです? たまらなく、羨ましいでしょう?」
四音「……ふふっ、やれやれ。撫子が悔しがる顔が浮かびますね」
四音「ふーっ……」
四音(……ボクは、挑む。白草四音として)
四音「これから、あなた達にはボクの復讐譚に付き合ってもらいます。
この白草四音の、魂を燃やした生き様をッ!
――その目に焼き付けなさいッ!」 - 118二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:06:59
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A
表現力-A
ダンス力-A
観客意識-A ←きっと、届く!
対抗心-SS ←決戦の時――!
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ダンス、ボーカル、ビジュアルすべてでA評価のトリプルエーの保有者であり、その実力は学内でもトップクラス。
最大の宿敵である白草月花に、彼女は挑む。
----
いよいよ、その時が来た。
今はただ、四音さんの戦いを見届けよう。
---- - 119二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:07:26
-楽曲コミュ3話-
*「……ふぅ」
四音「はぁ……。
まったく、これから担当アイドルの番だというのにどこに行ってたのです?」
*「照明と音響の方とで内容を最終確認してました。
ゲリラ的に新曲をお披露目しよう、とは言いましたが。
結局のところ、いろいろな人の協力がないと無理な話なので」
四音「……改めて無茶な話ですね。
場当たりでも、本来の課題曲で、新曲はやっていませんが。
よく、照明と音響の方は対応できますね」
*「一応、事前に映像を何度も見せて、すり合わせはしてあります。
四音さんは、普段の練習通りにやってくださるだけで大丈夫です」
四音「まぁ、私に負担がないなら、それはそれで構わないのですが。
よく、こんな話を受ける気になるものです」
*「『それ面白そうじゃん』と二つ返事で快諾してくれました。
頼んだのは僕なんですが、正直僕もイレギュラーな提案にあっさり乗ってくれた事にだいぶ驚いています。
自由な校風に助けられましたね」 - 120二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:07:50
四音「……まぁ、ともあれ。
いざ、こうして自分の新曲を披露する時間が来ると、こみ上げるものがあります」
*「衣装も、プロの方に発注して作っていただいたものです。
新曲を効果的に見せるために、持てる力を全て注ぎました」
四音「黒い軍服ワンピース、白いケープ――。
たしかに、素材もずいぶんとこだわってるなと思いましたが」
*「黒い服なので、シルエットが潰れないように白いケープを取り入れました。
服には、星をイメージさせるボタンでアクセントを。
軍服で、力強さを。ケープで、しなやかで神秘的に」
四音「……たしか、歌詞は夜を飛ぶ鳥をイメージしたものでしたね。
そういえば、ずっと新曲とだけ言ってましたが。
この曲に題名はないのですか?」
*「実を言うといくつか候補があって、決めかねていた状態でした。
ですが、作詞家の方と激論をかわし続けることしばらく。
つい先ほど曲名が決まりました。
曲名は――『CYGNUS』 - 121二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:08:20
四音「キグナスというと……たしか、はくちょう座の名前でしたね」
*「はい。
星空を背に、月に挑む白鳥。
そういった意味合いがあります」
四音(白鳥がボクで。月は。
さしずめ、星空は観客といったところか。
……なかなか洒落た事をする)
*「……最高の舞台。最高の衣装。
最高の歌。
――そして、最高のアイドル。
ここに、いま全てが揃いました」
四音「……やれやれ、本当に嬉しそうな顔をしますね、あなたは」
*「どれほど、この日を待ち望んだことか。
――四音さん」
四音「……何ですか、プロデューサー?」
*「翔んでください。空高く」
四音「えぇ。
決して見失わないことです。
――ボクの飛ぶ空は、月よりも高いのだから」 - 122二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:08:53
*「……がんばれ、四音さん」
黒井「やれやれ、やってくれたではないか。
プロデューサー」
*「くっ、黒井理事長――!?」
黒井「ふん、私を出し抜いたつもりだったか?
しょせん、貴様なんぞ卵の殻のついたヒヨッ子!
この私にかかれば、貴様の考えごとき手に取るようにわかる!
年季が違うのだよ、年季が!」
*(……詰めが甘かったか。
いや、しかし。四音さんはすでにステージにいる。
それなら――)
黒井「これを持て、プロデューサー」
*「はっ、はい。
……なっ!? 『CYGNUS』のCD!?」
黒井「中身はまだ入っていないがな。
まったく、せっかくの新曲をただのサプライズで終わらせるつもりか?
肝心なところで詰めが甘いのだ、貴様は!」 - 123二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:09:11
*「……さすがです、理事長」
黒井「まったく、勝手なことをしてくれたものだ。
ライブが終わり次第、関係各所を回るぞ。
貴様には961式頭の下げ方というものを直々に学ばせてやる。
プロデューサーがいかに激務か、思い知るのだな!
それと、今後一ヶ月私の肩を揉むように!」
*「……了解しました。全力で取り組ませていただきます。
肩もみには自信があります」
黒井「くくく、言うではないか。
では、貴様が用意した四音の新曲。
じっくりと聞かせてもらうぞ、プロデューサー」
*「はい。ぜひ、聞いて下さい、理事長」
モニターに映る四音の姿。
*「来た。
始まるぞ、四音さんの――!」 - 124二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:09:47
-第9話-
――その景色は、これまでとは違っていた。
おかしなものだ。
今までだって、何度もこうして歌って、踊ってきたのに。
(……人の顔が、あんなにも輝いて見える)
その輝きを見るたびに。
足取り一つに。
指先一つに。
言葉一つに。
ボクは熱を帯びる。
ボクの気持ちが、体を通じて広がる。
そして――ファンの熱狂が、肌を通じて体に響く。
――勝ちたい。
ここにいる星の輝きを、誰にも渡したくない。
我ながら、なんと性格の悪いことだろう。
ボクを見ろ。
ボクの羽ばたきを。
ボクの輝きを、見ろ。
誰にも奪わせるものか。
ここはボクの。
ボクたちだけのステージだ――! - 125二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:10:24
*「――すごい。あれが……!」
四音がやってくる。
四音「――プロデューサー!」
*「四音さん! ライブお疲れ様です。
水とタオル、こちらにご用意しておきまし――」
四音「そんなのはどうだっていい!
どうだった、ボクのライブは!?」
*「……最高でした。
それ以外に、言葉が見つかりません」
四音「……そう。そう!」
*「今回のライブは紛れもなく、白草四音史上最高のライブでした。
いえ……そればかりか。
極月学園でも伝説のライブとなったことでしょう」
四音「……あとは、結果が出るのを待つだけ」
月花「――いや、待つ必要はない」 - 126二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:10:56
*「白草月花……!?」
月花「結果なら、私が預かっている」
四音「……まったく、風情がないですね。
審査員から渡されるのも、一つの演出でしょうに」
月花「あんなもったいぶった発表などただ退屈なだけだろう?
中を確認するがいい」
月花が四音に封筒を渡し、四音が開く。
四音「あ、あぁ……あ……!」
月花「――実に見事なものだった、四音」
*「四音さん――」
四音「い、一位……ッ!! やった――」
月花「点差にして1点。紙一重だった」
*(……まさに奇跡的、か)
月花「だが、この1点は決して小さいものではない。
この1点、お前たちは私が超えられぬものを持っていた、ということだ。
この意味は、とても大きい。
――ふふ、久しぶりに胸が高鳴った」 - 127二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:11:25
月花「四音にプロデューサーがついたと聞いてはな。
どうなるものかと、いてもたってもいられなくなった」
*(……たったそれだけの理由でこんな強引に勝負に来るのか。
これは――四音さんの苦労も、わかるような気がする)
月花「あの警戒心の強い四音が、傍に置く者とは何者かと思ったが。
……正直、想像とはずいぶん違っていた。
実に興味深い。
――お前、私をプロデュースしてみるか?」
*「……は?」
四音「はぁ!?」
月花「アメリカというステージで戦うことがどういうことか。
プロデューサー科としては、興味のある話だろう?
お前さえ良ければ、理事長に話を通しておいてやる」
四音「冗談じゃないッ! め、めちゃくちゃ言うのも大概にしろッ!
勝ったのは――!」
月花「これは、プロデューサーの成長に関わる話だ。
お前が口を出すべき話ではない」
四音「ぐっ……ぬぬっ……!!」 - 128二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:12:00
このレスは削除されています
- 129二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:12:28
*「……月花さんにお誘いいただけて光栄です。
正直言うと、僕もアメリカの舞台がどういうものかは興味があります。
一度、行ってみたいとはかねてより思っていました」
四音「なっ……!?」
月花「そうだろう。ならば、決まりだな」
*「いえ。
ですが、アメリカの舞台を踏むその時は。
四音さんと共に、です」
月花「……ふ、ふふ。
はははははははっ!!
なるほど、四音のプロデューサーとは、そういうことか!」
*「……ご理解いただけましたか。
僕は、あなたのプロデュースだけはお受けできないんです」
四音「……ほっ」
月花「そうか。……だが、お前ほどの人間をこのまま忘れるのは惜しい。
名を名乗れ。その名を記憶に刻んでおこうではないか」
*「僕は――です」 - 130二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:12:51
月花「……たしかに覚えた。
さて、そろそろ時間のようだな。
――四音」
四音「な、なんです。まだ何か!?」
月花「――私は今日、お前に初めて悔しさを感じた。
……次また、会う時は。
さらに私も力をつけていると思え」
四音「……何を言うかと思えば。
ボクがただ一度勝っただけで満足するわけがないだろう。
この程度で勝ち足りるものか。
何度だって、何度だって勝ってやる」
月花「そうかそうか。ふふっ、それは、実に――楽しみだ」
月花が楽屋を去る。 - 131二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:14:30
四音「――プロデューサー」
*「はい」
四音「少し揺らぎましたね」
*「いえ」
四音「本当に?」
*「本当です」
四音「本当に、本当に?」
*「本当に本当です。
……本当に本当に本当です」
四音「まだ言ってないです。……まぁ、ならいいのですが。
――正直、まだ震えが止まりません」
*「改めて、白草月花は――強力でした」
四音「1点の差は大きいと、アレは言っていましたが。
――ファンと総力戦をしてやっと1点。
もちろん、この勝利はとても――とてもとても大きなものです。
けれど、私一人では、やはり月花姉さまには敵わない。
それがハッキリしてしまった戦いでもあります」
*「たしかにパフォーマンスの質自体は、月花さんが上回っていたのは否定できません」
四音「……次は、さらにレベルを上げてくる。
今日起こした『奇跡』はもう、アレには通じない」 - 132二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:15:37
*「――そうだとして。
四音さんは諦めますか?」
四音「……いえ、まさか」
*「なら、やることは同じです。次も勝てるように、策を練り。
四音さんもさらなるパワーアップに励む。
新たな『奇跡』で迎え撃つまでです」
四音「……本当、簡単に言う」
*「内心、動揺はしてますよ。
でもそれは――白草四音のプロデューサーとして似合わない。
いつだって、ギラギラしていなければ」
四音「まったく……背脂たっぷりですね、あなたは。
……今回、私はステージに立って。
初めて、ステージから見るファンの瞳が美しいと感じました。
あの輝きは――本当に美しかった。
一度あんなものを見たら、二度と誰にもわたしたくなくなる。
もっと、もっとボクのものにしたい。
――月花姉様になんて絶対に渡さない。
だから。
次の舞台に行きましょう、プロデューサー。
さらなる奇跡を、起こすために!」 - 133二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:16:04
学年 1年生
ランク-「A」
姓名 白草 四音(しらくさ しおん)
歌唱力-A+
表現力-A+
ダンス力-A+
観客意識-A+
対抗心-SS
一年生にして、黒井理事長からAランク評価を受けた優等生。
ボーカル、ダンス、ビジュアル。その全てが一級品。
彼女の躍進は今なお止まることを知らない。
『感動のライブだった!』
----
ついに、宿敵である白草月花に勝利した。
この勝利は、四音さんに大きな成長を促すものだった。
彼女はもう、止まらない。
---- - 134二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:16:50
-TrueEND-
四音「……ライブも終わり、片付けも終わりますね」
*「はい。
あれだけ濃密だった時間も、こうして片付けが終わると。
なんだか、あっという間だったように感じますね」
四音「少し、散歩に出ませんか?
夜風に当たって火照った体を冷ましたいなと」
*「そうですね。
会場の熱気はかなりのものでしたから。僕も涼みたい気分でした」
四音「……この辺だと、人もいなくて落ち着けますね。
あなたには一つ、言っておくべき事があった事を思い出したんです」
*「……言っておくべき事?」
四音「非公式プロデューサー、という呼び方についてです」
*「――あぁ、そういえば。
たしか、いつの間にか、非公式がつかなくなっていた気がします」
四音「……ここで、それをハッキリさせておこうと思いまして」 - 135二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:17:09
*「ハッキリというと――非公式に戻るとか?」
四音「……は? まさか、非公式に戻りたいんですか?」
*「あ、いえ。
僕としては、すでに公式――のつもりだったので。
そうじゃない、とかなのかな、と」
四音「……なんだ。
じゃない、こういうのは互いに一度はっきりと言葉にしておくべきだと思うのです」
*「わかりました。そういうことなら」
四音「……今だから言いますが。
――ボクは。ずっと諦めかけていた。
初めて会ったあの時も、ボクは自分を信じきれなかった。
月花姉さまに勝ちたい、そういう気持ちはあった。
けれど――敗北を重ねる中で、口にすることも怖くなった。
負け続けるボクが、そう話す資格はあるのか、と」
四音「けど、あなたは違った。
本気で、月花姉さまに勝つために常に作戦を考えてくれた。
ボクが抱くみじめで黒い感情も、受け止めてくれた。
感謝してもしきれません」 - 136二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:17:39
*「……僕も、四音さんと一緒に色々な夢をみさせてもらいました」
四音「――あなたは、ボクに言った。
ボクが良かった、と。
ボクも、あなたがいい」
四音「白草四音のプロデューサーとして。
――正式にプロデューサーになっていただけませんか?」
*「はい、喜んで」
四音「……それでは。今日からあなたは正式な私のプロデューサーです。
確かに、今日ここに契約は結ばれました」
四音「――言っておきますが、今後はボク以外のアイドルとは契約させませんので。
あなたは、この白草四音の物です。いいですね」
*「はい」
四音「……いやにあっさりしているのが気に食わないですが。
まぁ、いいでしょう。もう逃がしやしませんから」
四音「よろしく。ボクの『公式』プロデューサー?」 - 137二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:24:07
-第10話-
四音「……はぁ。終わらない」
*「大丈夫ですか?
飲み物でしたらこちらに」
四音「……お茶はやめましょう。
こぼしたら一発でダメになるので。水でお願いします」
*「わかりました。
それにしてもこれだけサインが並ぶとなかなか壮観です」
四音「……はぁ。これで、まだ半分も終わってないんですよ」
*「先日のライブがやはり非常に効果的だったようです。
当初想定していた以上のゆうに5倍は応募がありました」
四音「……やはり、枚数制限を設けるべきだったかもしれません」
*「それは、はい。
枚数制限なしというのは、ご自身の人気を理解しておられないな、と思ってました」 - 138二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:24:38
四音「私のサインなんて、一年に何回描くか。
……だから、そこまで期待されてないと思ってたんですが」
*「供給が絞られてたわけですから、より皆さん濃縮された思いを抱いていたと思いますよ。
それに加えて、あのライブ。相乗効果は計り知れません」
四音「くっ……!
こんなことなら、もっと簡単なサインにしておくんだった……!」
*「……今から、もう少し簡単なサインにしますか?」
四音「今変えたらこれまでのサインも全部書き直さないといけないでしょう!?
これ以上、この部屋のサイン色紙を増やしたくないんですよ、私は!」
*「サ、サインには種類があることにしましょう」
四音「……それは。
魅力的な提案ですが、飲めません。
なんだか、優劣をつけてしまうような気がして。
今回のサインは――あの空間にいた人たちに向けたもの。
ボクと一緒に、月花姉さまと戦ってくれた人たち。
あの1点はきっと、誰一人として欠けては得ることはできなかったもの。
だから、その全ての人にボクは心から応えたい。
ボクが今、直接返せるものはそれしかないから」 - 139二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:25:04
*「……アイドルらしくなられましたね、四音さん」
四音「以前の私なら、やらないでしょうね。
いえ……できない、という方が正確かもしれません。
あのステージの熱を知らなければ、きっとそこに至ることもない。
ふふっ。すっかり、誰かのせいで変わってしまったようです」
四音「今は――もっとファンに見ていて欲しい。
さらなる成長を遂げたボクを、みんなに見せたい。
今以上に強く、今以上に高く。
誰も、目も離すことが出来ないような、そんなアイドルに」
*「……白草四音強化プロデュース計画。
実は、あのライブの後、改めて僕も色々と考えまして。
一応、まとめようとしたのですが、量がとんでもないことになってしまいました」
四音「うわ。な、何冊あるんです?
……あと、この別紙のプランAというのは?」
*「アメリカ編です。
正直、データが十分とは言えませんが、
現状、思いつく限りの攻略法をまとめてあります」 - 140二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:25:25
四音「……なるほど。ふふ。
これは当分は、きっと忙しいままですね」
*「はい。
ですので、今はサインを書ききりましょう」
四音「……プロデューサー」
*「はい」
四音「私が書き終わるまで、帰らないように」
*「もちろんです。
何時でも付き合いますよ」
四音「言いましたね。絶対ですからね。
……ここから続く道は険しいもの。
『奇跡』など、本来人生で何度起こせるものか。
……けれど、その『奇跡』は一度起こしてしまった。
私もあなたも逃げ場はもうどこにもないのです。
一蓮托生であること、ゆめゆめ忘れることなく。
――あなたを信じてますから、プロデューサー」 - 141二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:26:15
これにて、本編投下完了です!
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました! - 142二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:30:04
と、言いつつまだちょっとだけオマケが残ってるので、今後もあともうちょっとだけ投稿する予定です。
- 143二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:31:33
おまけ1ストーリーの流れ上、組み込めなかった最終試験関連のコミュ
【最終試験前】
四音「プロデューサー」
*「なんでしょうか」
四音「今から思いっきり、慌ててみてもらえますか?」
*「……」
*「う、うわー! もうダメだー!
おしまいだー!」
四音「……ダメですね。
まったく、真に迫っていない」
*「申し訳ありません。
何分突然でしたので。……ちなみになぜ、こんなことを?」
- 144二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:31:44
四音「他人が思いっきり慌てている様を見ると冷静になれるんです。
あぁ、周りから見るとこんなに滑稽なんだ――と」
*「……なるほど」
四音「いつもなら、撫子が慌てているので冷静になれるのですが。
今後はもっと、しっかり慌ててください」
*「精進します。
……そろそろ時間ですね」
四音「えぇ。……少しですが、冷静になれました。
必ず練習した通り、完璧に。
さぁ、私のステージに刮目なさい!」 - 145二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:32:28
【最終試験の結果は――】
*「お疲れ様です、四音さん。
さっそくですが、試験の結果が届いています」
*「試験は合格。
最高の結果が出ています」
四音「……ふふ、ふふふ。
この白草四音に敵うものなど、そういるものか!」
*「少し弱気では?」
*「こういう時は言い切ってしまったほうが気持ちいいものです。
せっかく、数々の強者を倒した、という時ですから。
全力で行きましょう」
四音「……そ、そういう指摘が入るとは思ってませんでした。
では――こほん。
誰もこの白草四音に敵うものかっ!」
*「その意気です、四音さん。
もっと、勝利を誇っていきましょう」
四音「たしかに、これは気分が良い。
私の中のスイッチが切り替わったかのような……」
四音「では、この高ぶる気持ちのままに。
――いざ、最高のライブを!」 - 146二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:35:19
- 147二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:43:52
- 148二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:49:57
- 149二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:53:50
このレスは削除されています
- 150二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:57:05
このレスは削除されています
- 151二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 20:58:30
書いてる時はちょっとそこまでは考えてなかったです……(笑)
ただ、このストーリーでの四音を基に、それっぽく妄想するとこんな感じかなっていうのを今考えてみました。
白草四音-CYGNUS-(初期SSR)
プラン:アノマリー(全力)
【基礎ステ】
体力:30
ステ Vo:105 Da:110 Vi:95
レスボ Vo:12% Da:10% Vi:14%
:ステータスは全体的に高いが、ボーナスはやや控えめ?
【審査基準(バランス型)】
Vo:やや高 Da:中 Vi:高
:会長とかに近いイメージ? さらに均した感じ
【固有スキル:月に届くその日】
全力の場合使用可能
パラメータ5×2
[成長]保留になった回数分、パラメータが10増加(レッスン中2回)
【固有アイテム:空に輝く星のボタン】
ターン開始時、レッスン中累計全力値が5以上の場合、「月に届くその日」を保留に移動。
スキルカード使用数追加+1(レッスン中一回)
- 152二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 21:31:45
- 153二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 22:22:15
投稿お疲れ様でした!
周囲を顧みなかった四音の成長に感動したのと、マイペースな極月Pに笑わせて貰いました
とても面白かったです、ありがとうございました - 154二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:05:02
よし、書き終わった……おまけ2、行きます!
- 155二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:05:20
-10.5話-
四音「――プロデューサー。
今後のあなたの方針を教えて下さい」
*「今後の方針、ですか」
四音「はい。
私がアイドルとして更に成長するために、何が必要だと考えますか?」
*「……そうですね。
そろそろライバルが欲しい、と考えていたところです」
四音「ライバル……」
*「月花さんは、あくまで宿敵であってライバルではない。
そもそも何より、今後いつ来るかもわからない。
四音さんと実力が近く、それでいてぶつかろうと思えばぶつかれる距離。
欲しいライバルとしては、そんなところですね」
四音「……その言い方だと、極月学園の生徒ではない、と」 - 156二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:05:49
*「はい。
学内だと、ある程度特徴もわかっていて、結果もすぐに出てしまう。
成長具合が推測不能――ブラックボックスな相手が欲しい」
四音「となると――『N.I.A』ですか」
*「さすがです。
――ネクスト・アイドル・オーディション。
極月学園主導による複数のアイドル養成校を交えた一大イベント。
四音さんには、そちらに出ていただこうかな、と」
四音「ぜひ、出場させていただきます。
実はプロデューサーからお話がなければ、私から話すつもりでした」
*「話が早くて助かります。
今年は極月学園もかなり力を入れているようでして。
なんでも、外部から強力な『傭兵』が来たんだとか」
四音「よ、傭兵?
なんですか、そのおおよそアイドルに似つかわしくない単語は」
*「もちろん、あくまで傭兵とはたとえに過ぎませんが。
【実戦(プロ)】レベルの強力なアイドルだそうです。
ただ、情報が統制されていまして、詳細についてはこちらも掴めていません」 - 157二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:06:11
四音「……まぁ、どうせ仲良しこよしをやるわけでもありませんし。
私には関係ない話ですね」
*「僕もそこは同意見です。
さて、話を戻しますが――。四音さんのライバルですが。
四音さんに近いアイドルがいいですね」
四音「私に近い……というと」
*「まず、とんでもない負けず嫌い。
そして、プライドも果てしない。
血気盛んで、我が道を行くと言わんばかりの、唯我独尊な――」
四音「ちょ、ちょっと待ちなさい!
ボクがそんな人間だと!?」
*「……それでいて、負けられない相手(ヒト)がいる。そんなアイドルです」
四音「よく続けましたね。いい度胸です、プロデューサー。
後で覚えておくように」
四音「……けれど、そうですね。
仮にもしそんな相手がいたなら。
――全力で血祭りにしてさしあげます」 - 158二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:07:09
邦夫「フフフ……。
ハーッハッハッ!」
邦夫「まったく、黒井の小僧めが。
ワシをハブってこーんな面白そうなイベントを企画しおって。
だが、ついに一泡吹かせる時が来たぞ」
邦夫「咲季君、準備はもちろん出来ておるな!」
咲季「もっちろん! 私が、極月学園のアイドルを蹴散らせばいいのよね!
任せて、学園長!」
邦夫「此度は、初星学園アイドル総出で殴り込みじゃ。
くっくっく、あの悪餓鬼めが泡を食う様が目に浮かぶわい!」
咲季「ん、あれ、総出ってことは……まさか一番星も出るの!?」
邦夫「いや、星南は今回はプロデューサーに専念する。
今のところ、参加しない予定じゃ。……今のところな」 - 159二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:07:21
咲季「むぅ……せっかく一番星とも勝負できるかと思ったのに。
まぁ、それは別の機会ね」
邦夫「ふっふっふ、今回の初星学園は粒ぞろい。
あの小僧の小賢しい策なんぞ、正面から打ち破ってくれる。
今まで散々好き勝手しおってからに。
ワシ、結構根に持つタイプなんじゃよね。
咲季君。あの極月学園の高飛車どもに、思い知らせてやれぃ!」
咲季「ふっふっふ……極月学園だかなんだか知らないけど。
この超天才美少女アイドル花海咲季が!
――全員まとめて、ぶっ潰して上げるっ!」 - 160二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:14:31
おぉ…初星版の敵情視察だ…
ところで極月Pの一人称は「僕」だけど、これは意図的にやってる?初星のプロデューサー、いわゆる学Pとは別の人物? - 161二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:18:21
一応、そこそこ作品を投下してきたので、保存用に作品をpixivにまとめました。
ミーティオルpixivwww.pixiv.netあと、もう一つオマケがあるのですが、ちょっとそちらについては投下するかどうか悩み中です……。
- 162二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 00:39:56
ありがとうございます!
量もかなりものですが、本当にお付き合いくださり嬉しいです……!
極月Pについては、設定上初星Pのことは知っている想定で書いてます!
(一話以前にちょっとした極月Pのエピソードもあったのですが、コンセプトから離れるので削りました)
この初星Pがどの担当Pかについては、具体的なものは想定はしてないです!
ありがとうございます!
四音の成長と、学マスが持つ雰囲気の柔らかさをどう融合させるかは結構悩みながら書いてました。
お楽しみいただけたなら、本当に嬉しいです……!
意図的にやってます!
口調が学マスPに似ててちょっと紛らわしいですが、別人として書いてますね!
極月Pは学マスPに比べて、若干天然は入ってる部分はあります。
- 163二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 10:20:34
ちょっと、色々と悩んだのですが、最後のおまけについても投稿することにしました。
N.I.A編ーーを書こうとして時間がなくなり、途中までしかありませんが、供養として……。 - 164二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:01:13
-第一話-
四音「……ついに来ましたね、N.I.A。
ファン投票ランキングを導入した大型アイドルオーディション」
*「今回は例年以上に参加者が多いようです。
なんでも、初星学園のアイドルが片っ端からエントリーしてきたとか」
四音「初星学園……アイドル養成校でも最大手ですね。
たしか、100プロと連携していると」
*「はい。
黒井理事長いわく、生徒の数だけ多いアイドル養成校、とのことですが。
実際には、数多くの実力者を輩出しており、業界を牽引する存在です。
おそらく、今回のN.I.Aは極月学園と初星学園の全面戦争という形になるでしょう」
四音「……それで、プロデューサー。
今回の私達の目標は?」
*「もちろん、四音さんの優勝です」 - 165二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:01:35
四音「迷いがありませんね。
……ふふっ、さすがです、そうこなくては」
*「理事長は、極月学園による上位独占のため様々な策を用意してるとのことですが。
今回、僕らは理事長の作戦から独立して動くことになりました」
四音「というと……盤外戦術は使わない、と?」
*「はい。正面から初星学園のアイドルと殴りあいます。
その方が今の四音さんには合っていると思いますし、何より。
ライバルとはやはり正面から殴り合いたい」
四音「ライバル……。
たしか、私と近いタイプのライバルが欲しい、という話でしたね」
*「はい。
強者を想定した戦い方を学ぶのも重要です。
しかし、同格の相手との戦い方も必ず心得ておかねばならない。
格上と戦う機会よりも、同格と戦う機会のほうが多いはずですから」 - 166二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:01:53
四音「つまり、あなたは今回、私と同格の相手が多くエントリーしていると。
そう考えているわけですね」
*「はい。
四音さんと同じ格を持ち、違った成長を遂げた相手。
それが初星学園のアイドルたちでしょう。
彼女らと戦うことは四音さんにとって大きな成長に繋がるはずです」
四音「……面白い。
果たして、私のライバルたり得るアイドルが初星学園にいるのかどうか。
――この目で確かめてやる」 - 167二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:02:18
-第二話-
四音「私のファン投票ランキングは――しっかりと、上がっていますね」
*「最初のミニライブを極月学園周辺にしたので、吸収率は高めですね。
スタートダッシュとしてはこれ以上になく順調です」
四音「それで、次はどうしますか?
しばらくは、地固めに回りますか?」
*「いえ、さっそく仕掛けに行きましょう。
次のミニライブはエリアAで行います」
四音「エリアA――まさか、初星学園のホームグラウンド!?
いきなり敵の本陣に向かうと……!?」
*「はい。
地の利がないので、ファン投票数自体はそれほどでしょう。
しかし、このタイミングで仕掛けに行くことに意味があります」 - 168二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:02:35
四音「……宣戦布告」
*「そうです。
まずは、相手に白草四音という存在を知ってもらいます。
白草四音のライバルと『なりうる存在』は、次のミニライブが終わり次第必ず行動を変えてきます。
行動を変えた相手をマークし、各個交戦していく――というのが今回の立ち回りですね」
四音「なるほど、極めて大胆ですが、面白い作戦です。
やはり、直接対決こそ勝負の花。
……俄然、やる気が出てきました」
*「地の利がない状況で四音さんがどう評価されるか、というのも重要なデータです。
全力で殴り込みに行ってください」 - 169二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:02:58
「あれ、あんなアイドル初星学園にいたっけ?」
「いや、校章が違う……。あれって、たしか極月学園じゃ?」
「極月学園ってあんまりいい噂聞かないけど……」
四音(……これ以上になくアウェー。
やはり、ホームグラウンドであるGエリアとは全く違う反応。
だけど――)
四音「――♪」
四音のミニライブが始まる。
先ほどまで怪訝な顔をしていた人たちも、少しずつ様子が変わる。
「……すごい。こんなアイドルがいたのか」
「初星学園のアイドルしか見たことなかったけど……へぇ」
「たしかに……歌はいいな」
四音(……Gエリアに比べると数は少ないけど、反応はいい。
絶賛はされなくとも――印象にさえ残れば)
??「……へぇ、そう。なかなか面白いことしてくれるじゃない」 - 170二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:03:17
*「お疲れ様です、四音さん。いいライブでした」
四音「ランキングに動きは?」
*「やはりというべきか、それほど大きな動きはありません。
しかし、ネットでは話題になっていますね」
四音「『極月学園、さっそく襲来! 今年は一味違う!?』
『大胆不敵なカチコミ! 黒船到来か!』
……なるほど。とりあえず記事になったのは大きいですね」
*「注目度も高まったので、さっそく公式SNSを更新しています。
短めのライブ切り抜き動画を多数公開しました。
直接ファン投票数は稼げなくとも、これで今後の導線になるはずです」
四音「抜かりなし、と。
……ちなみに、なぜ私のアカウントは使わないのです?」
*「それについてなんですが……。
あの、その……四音さん。
――以前、暴露系チャンネルを経営されてましたか?」 - 171二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:03:32
四音「えぇ。理事長に教えてもらって。
といっても、ほとんど動かしてはいませんでしたが」
*「あぁ、本当だったか……。
実はチャンネルの運営が四音さんであるという疑惑がかかってまして。
今の四音さんの路線だと、イメージを損なう可能性があります。
……なので、先んじて関連アカウントを通報して削除させてもらいました」
四音「……え」
*「今後は、公式SNSを通してのみ情報を発信します。
悪しからず」
四音「収益化もまだ通ってなかったのに……!」
*「こ、公式チャンネルの企業案件で我慢してください。
ともあれ、これで動き方を変えるアイドルが出るはずです。
今後はそちらを注視しましょう」 - 172二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:03:48
-第三話-
プロデューサーの部屋。
けたたましく鳴るスマートフォン。
*「――なんだ、まだ、朝の4時」
*「……はい、こちら」
月花「四音がN.I.Aに出ているそうだな。SNSで見たぞ」
*「……なんで僕の電話番号を知ってるんです?」
月花「理事長から聞いた。
聞けば今年は初星学園の生徒も大量に来ているとか。
なので、私も行くことにした」
*「は? あ、あの、行くとは?」
月花「当然、N.I.Aだ。楽しみにしている」 - 173二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:04:06
*「……あの、N.I.Aってどういうオーディションか知ってますか?」
月花「次代を担うアイドルたちのオーディション。
私はまだ18歳だ。問題ないだろう」
*(問題しかない……!)
*「以前の対決からそれほど時間も経ってないでしょう。
今から対決するのは、四音さんのためにもならないというか……」
月花「強者と戦うことこそ、成長だろう。
ならば、何の問題もない」
*(このままでは、ライバルとの戦いより、月花さんとの戦いがテーマになってしまう……!)
月花「そういうわけなので、今からチケットを買う」
*「月花さんは、強くなった四音さんと戦いたい。違いますか?」 - 174二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:04:22
月花「そうだ。だから今から向かう」
*「だとすればタイミングが悪い。
四音さんが本当に強くなるのはN.I.Aの後です。
ライバルとぶつかり、研磨された四音さんこそ真に戦うべき相手では?」
月花「……なるほど」
*「なので、今は我慢する時です」
月花「――では、結果が出たら教えろ」
スマートフォンに通話終了の画面が表示される。
*「……朝からどっと疲れたな」 - 175二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:04:42
四音「プロデューサー、おはようござ――。
……なんですか、朝からそんな疲れた顔して」
*「……いえ、特に。
僕は四音さんを尊敬します」
四音「は、はぁ? なんですか、突然。
まぁ、悪い気はしないですけど……」
*「ひとまず、ブリーフィングにしましょう。
それでファン投票ランキングなんですが
さっそく動きがありました。
大きく動いたのは10人。この内、二人は極月学園。
そして、残りの9人が初星学園です。
極月学園の二人は――元初星学園の賀陽燐羽。
そして、撫子さんですね」 - 176二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:05:00
四音「元初星学園……以前話した『傭兵』とやらですか」
*「十中八九そうでしょう。
燐羽さんと、撫子さんは黒井理事長の方針(ロジック))で動いているはずです」
四音「枚数的にはこちらが不利――ですね。
私一人が優勝する分には関係ありませんが」
*「燐羽さんは、初星学園中等部トップの『SyngUp!』のリーダー。
そして、撫子さんも極月学園でも上位のアイドル。
この二人を攻略するのは、いくら初星学園といえどかなり困難でしょう」
四音「……撫子は、詰めが甘いところが。
いえ、あの子もやる時は……多分」
*(改めて、この勢力図に月花さんが加わらなくてよかった……) - 177二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:05:27
*「おそらく、この9人の中に四音さんのライバルとなりうる存在がいるはずです。
今後は、極月学園、初星学園、両方の影響力が低い中立地帯が動きます。
四音さんには、そちらで立ち回ってもらいます。
激戦が予想されますが――変わらず四音さんの魅力を、届けてください」
四音「……ボクの魅力、か」
*「何か、引っかかることが?」
四音「いや――エリアAでの話です。
もちろん、あのエリアが初星学園の影響が強いことはわかります。
……それでも、ボクのパフォーマンスがそれほど数字として伸びなかったのは。
正直、思うところがありまして」 - 178二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:06:08
*「本来、あの場所で少しでも上がっただけすごいことではありますが……。
アイドルとは、それ自体がストーリーなのです」
四音「……ストーリー、ですか?」
*「アイドルが何を思い、何を目指し、どう進むか。
ただ、パフォーマンスという『結果』のみならず。
そのパフォーマンスに至るまでの『過程』も武器とするのがアイドルです。
点ではなく、線にしてこそ、アイドルの価値はより深いものとなる。
エリアAでの四音さんは、線を引くための点を打つ行為です」
四音「線を引くための……」
*「今は、ただ一つの点に過ぎません。
しかし、ここからN.I.Aでの戦いを進めるごとに、意味を持ちます。
四音さんは、特に物語性が強いアイドルです。
ひたむきに、貪欲に戦う姿こそ、輝きとなる。
思いっきりライバルとぶつかってください。
おそらく、それが自然と四音さんを輝かせます」
四音「……わかりました、プロデューサー。
私がこの手で――全力で初星学園を打ち砕いてきましょう!!」
To be continue… - 179二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:12:28
今度こそ、オマケについても完全に投稿終わりです。
ここから先も書こうとはしたのですが、リアルの都合でちょっとまとまった時間が取れなくなってしまったため、泣く泣く諦めました……。
最後の最後で中途半端ではありますが、投下できるものは完全にこれで放出した形となります。
改めて、皆様読んでくださり本当にありがとうございました!
また何か、ネタが思いついた時はお邪魔します! - 180二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 20:29:27
とても貴重な四音概念をありがとうございました!
まだ偽姉や清夏のNIA進めれていないのでこれから行ってきます