【閲覧注意・一口SS】「久しぶり、チナツ」

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 17:35:28

    ばったりと、珍しい人に出くわした。
    カヨコ先輩。昔とちっとも変わっていない。
    小さなビニール袋をぶら下げて、彼女曰く「怖い」顔をそのままにゆったりと歩いている。
    私は周囲に同僚がいないことを確認してから、それとなく彼女の横に並んだ。
    「……お久しぶりです、カヨコ先輩」
    そう口にしてから、気づく。昔は見上げていた彼女の顔が、私のすぐ横にあることに。
    「大きくなったね」
    「……それなりに、経ってますから」
    「それもそっか」
    何となしに呟かれる声音に懐かしさを感じて、空いた手がそわそわと開いたり閉じたりする。
    中等部の頃、情報部にいたカヨコ先輩。こっそり医務室に転がり込んでは、勝手に医療器具を使っていたところを見とがめて以来の仲だった。
    とても、とても親しくなって。それから、カヨコ先輩がゲヘナから離れて。私は風紀委員になって。
    色々、あった。
    「チナツ、この後暇?」
    どきりと、胸が高鳴る。昔のような誘い文句に、思わず彼女の顔に目を向ける。
    大好きだった、いや、今だって大好きな『赤』い瞳が、私のことを見つめていて。
    私が赤を好きな理由。貴女の色として刻まれたそれが、じっと、私を見据える。ごくり、と喉が鳴った。
    「ぁ、カヨコ、さん」
    「一緒に猫にご飯、あげに行かない?」
    は……。息が漏れる。何を勘違いしていたのか。そうだ、私達はもう終わっている。彼女が離れて、私も立ち去って、関係は途切れたのに。いまだに、未練がましく。
    耳が熱くなるのを感じながら、
    「え、あ、はい。ご一緒しまっ」
    言葉が、彼女の指先でせき止められた。私を見つめる瞳が、妖しく光る。艶めかしく、笑みをつくる。
    ああ、ダメです。その目が、私を食い尽くした貴女のその顔が、私は。
    「──それとも、また食べてあげようか」
    チナツ。
    その囁きに、私は。
    小さく、頷くことしかできなかった。

  • 225/02/09(日) 17:37:49

    完全に捏造CPです。アコとの関係はお好きに妄想してください。

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 17:44:07

    >>1

    やっぱりカヨコは攻めだな、チナツが受けよりなのもいい

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 18:30:09

    チナツと『エ駄死』な関係になってた裏でアコとも爛れてたって、こと……!?
    カヨコおまえ……

  • 525/02/09(日) 20:28:28

    もうちょい書くから保守

  • 625/02/09(日) 20:44:49

    「うん、うん……。明日の朝には顔を出すよ、社長。うん、それじゃあ」
    「……アルさんですか?」
    「そう。……っていうか起きてたんだ」
    「今起きました」
    草臥れた体を起こし、シーツを胸元まで引き上げながら横を見る。メガネを外しているせいで、この距離でも少しぼやけた横顔があった。
    酷い臭いが鼻をつく。喉は少し掠れていて、この分ではのど飴が必要になるかもしれない。
    腰だって半分抜け落ちたように力が入らない。果たして朝までに動けるようになるかどうか。
    「疲れた?」
    「疲れました」
    口ではそう言いながら、なんとか身じろぎして体を寄せる。
    肌のぬくもりが分かるくらいに近づくと、昔のように見下ろされることがなくなったのを少しだけ寂しく感じた。
    「チナツ」
    「カヨコ、さっ、んっ……ふぅっ……」
    覆いかぶさるように唇が塞がれ、不意打ちに驚いて少しだけ目を見開いた。
    視界いっぱいに、鮮明になったカヨコさんの顔が広がって。
    ルビーのように輝く深い赤の瞳がこちらを覗き込んでくる。
    私の仕草を一度たりとも見逃そうとしないそれが、嬲りつくされる私のことをじっと見つめている。
    でも、私はそれが。嫌ではない。
    「……は、ぁ……。美味しい」
    「……カヨコさん」
    「体、平気?」
    「平気、です。だから」
    わかった、と笑みを含んだ声が耳元で跳ねて。
    また、彼女の細い指が私に沈み込む。泥のように深く、煮えたぎる湯のように熱い場所へ、慣れ親しんだ指先が帰還を果たす。
    この関係を、同じ組織のあの先輩はきっと知らない。それがどこか、仄暗い喜びに繋がっていることを、否定しきれずにいる。
    遊びだっていい。この瞬間、この人の『赤』を独り占めしているのは私なんだ。
    独占欲と、嫉妬と、愛情と、情欲と。醜く入り混じったそれが、数年ぶりに顔を出すのを感じて。

    愛しています。その言葉は、決して音にせず、喉の奥から絞り出すように消し去った。

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