- 1二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:35:50
- 2二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:36:35
10まで埋め
- 3二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:37:23
埋め
- 4二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:37:25
- 5二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:41:00
10まで埋め
- 6二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:42:24
有能
- 7二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:48:23
梅梅
- 8二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 18:50:40
埋め~
- 9二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 19:00:36
せいや!
- 10二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 19:01:30
10埋め
- 11二次元好きの匿名さん25/02/10(月) 23:10:27
元気になってくれコユキ…
- 12二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 04:21:58
医療モードの団長がマジで頼りになるしこんなの女神じゃん
- 13小説書いてる人25/02/11(火) 04:47:27
- 14二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 08:12:24
- 15二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 15:24:39
流石団長といったところですね…
- 16二次元好きの一般人25/02/11(火) 20:43:28
- 17二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:50:38
濃いのが出るくらい回復できるかなコユキ…
- 18二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 06:25:08
ゲ開セラピーを信じよう
- 19二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 14:58:26
コユキとモモイ、アリス、ノアで本を探しに行くところか…
- 20二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 20:03:50
早めにほ
- 21二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:36:54
待っている
- 22小説書いてる人25/02/13(木) 06:06:40
冬の太陽光は夏より弱いと言われているが、この真っ白い雪のせいで目を八割も閉じてしまう現実を見ていると、そうとは思えない。
しかも前にいる三人についていかなければいけないから、目を閉じるわけにもいかない。
おまけに、厚着できたというのに両手両足から冷たさが襲ってくる。
こんな外で喜ぶのなんて二人ぐらいだろう。
両腕でおなかを抱え込むようにしていると、アリスさんが急にこっちを向いてきた。
水色の瞳が私に向いてきたとき、私は足を止めて視線を地面に向けてしまった。
しばらく道を歩いていると、今度はモモイさんがこちらに目を合わせようとしてきた。
私は思わず、足を正反対の方向に押し付けた。
二人は何がしたいんだろう。私の監視でもしているのだろうか。
そう思っていると、今度はノア先輩がこちらを見てきた。
私が一番見たくない表情だった。
―そんな顔をするなら、もういっそ私を見ないでください、ノア先輩。
心の中で呟いても、三人は本屋につくまでに時折こっちを見てくるのだった。
楽観的な二人は、時折手を振ってくることもあった。なるべく二人と同じようにするつもりで振り返したが、そのたびに息が荒くなった。 - 23二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 14:32:35
コユキ…
- 24二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:34:45
本当に絵本に興味持つか心配になる…
- 25二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:18:43
コユキの壊れ具合が悲しい…
- 26二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 04:46:14
なんでー…
- 27小説書いてる人25/02/14(金) 11:41:32
本日の夕方頃に2回更新します
- 28小説書いてる人25/02/14(金) 16:37:05
本屋についてすぐに、三人は私を置いていってそれぞれの目的地に消えていった。
入ってすぐの場所に残された私は、放り出されたような感じがした。
空っぽになった気持ちを抱えて私はあてもなく本屋を見渡す。
本屋の外観はミレニアムで定番の金属光沢と寒色系の色で構成されていたが、内装はそれとは真逆だった。暖色系の照明と木でできた床や壁や柱。いつも私を冷めた目で見つめるような息苦しい感じがここでは全くしない。むしろこんな私を包み込んでくれる優しさがある。
そんな雰囲気に当てられたからだろうか、いつの間にか私は身を乗り出すような姿勢をしていた。
そのまま、私は吸い寄せられるようにして本屋を回り始めた。
久しぶりに来たせいか、どこを見ても本・本・本しか映らない景色は私の星をかすかにでも瞬かせる。
そういえば、モモイさんが「他の本を読んでみない?」と言っていたのを思い出した。無数にある本の表紙は誰かに手を取られることを今か今かと待っているように見える。
一番近くにあった一冊の本に手を伸ばす。これで三人は満足するだろう。
―いや。
その声が聞こえたとたんに、私は手を引っ込めた。いや?嫌?
首を振って周りを見渡す。右にも左にも二回確認しても、誰もいない。
声の主は私だった。 - 29小説書いてる人25/02/14(金) 17:01:04
手がとにかく動こうと、あっちこっち制服を触っている。手が動くたびに声が一文字一文字発声する。
―なんで嫌なんですか?渡せば終わりでしょう。
そう自分に言い聞かせて手をまた伸ばす。しかし、また手は引っ込んだ。
どうして引っ込むのだろう。何か懸念することがある?
頭の中から三人の言葉を探る。
モモイさんが本を読んでみないかと言ったあと、アリスさんが図書館の探索イベントだと言っていた。実際は図書館じゃなくて本屋だったけど。
その後にノア先輩が本を買いに行こうと言った。だから適当に本を選べばいいはず。
会話はこれで終わっていた。あとにないなら、前?
モモイさんが何か言う前は、私を入れた四人で本を読んでいた。
本を読むことになったのは、私が提案したからで。
その理由が、ミネさんの「好きなことをして過ごす」を思い出したから。
・・・好きなこと?そういえば、アリスさんもモモイさんもゲームが好きだとユウカ先輩が言っていた。で、二人が買いに行った本もゲームに関係するもの。
そういえば二人とも、買ってみたい本があると言っていた。多分ノア先輩もあるだろう。
それなら、三人と同じことをすれば・・・一人だけ買ってきてないせいで怒られる、なんてことはないはず。 - 30二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 00:44:40
おつ…
- 31二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 06:19:52
どうなるか…
- 32小説書いてる人25/02/15(土) 13:07:38
結論が出たことで足は動き始めたが、目的地はなく歩みも遅い。好きなことが思いつかないせいだ。前までは運だめしや脱出が好きだったのに。
一階にある雑誌、漫画、小説、文庫本を横目に見つつ通り過ぎていく。途中、ゲームの雑誌を見ているモモイさんとアリスさんがいたので、見つからないよう移動した。
これだけ本が多いと一つくらいありそうな気がするが、手に取ろうとまでする気になれない。
二階に上がってきた。地図には一階の倍以上ある種類の本とカフェが書かれている。そういえば朝ごはんを食べた気がしないからか、おなかがすいてきたような。
カフェに向かおうとしたものの、買ってみたい本を買うのを思い出してやめた。余計なことをしたら怒られる。
二階の本棚を一列ずつくまなく歩きまわる。医学、薬学は、難しすぎるから読む気にならない。
地学、天文学、気象学は、自分のイメージからして浮いているからダメ。同じ理由で科学系はすべてパス。
政治・経済・倫理などの社会系は、脳裏に鬼となったユウカ先輩の顔が出てきたためそそくさと逃げた。
運動系は、船での逃亡劇と、赤い空の下でこき使われたことを思い出してしまって入らなかった。
洋書とその隣にあった芸術系は、ノア先輩が本を探していたから回れ右で退散した。またあとで逃げたことを詰められそう。
どれも取れなかった私が最後にやってきたのは、児童書のコーナーだった。 - 33二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:37:10
ワァ、ア
- 34小説書いてる人25/02/15(土) 18:06:12
児童書コーナーは、思っていたより本の種類が多かった。未成年者が読む本が全部ここに詰め込まれているようだった。そのせいか今まで見てきた系統の本はほとんどここにあり、参考書や入試対策本もあった。
どれにも興味は示せなさそうだったが、それでも何とかして見つけようと一個一個の本棚を一列一列見ていった。途中からのどの渇きが出てきたし、最後の方は胃から震え上がるような気がした。
二、三周して回っても見つからなかった私は、コーナーの端で立ち止まった。両手はいつの間にか握りしめられていた。
「これで見つからなかったら・・・どうしよう」
最悪のことだけは何としてでも避けないと。これ以上迷惑をかけるのは嫌だ。
体ごと頭を動かして、本屋を360度見渡す。
そうすると、一つの場所に目が止まった。本棚の上になんの本か書かれていた。
「・・・絵本」
不思議と、私の心に入ってくる言葉だった。散々頭を使う本や目をひっきりなしに動かす本ばかり見てきて嫌気がさしていたのかもしれない。
私の足がその本棚に向かおうとする。が、一、二歩歩いただけで止まってしまう。
よくよく考えなくとも、高校生が絵本を買うことは変なことだ。
首から体を180度回して別の場所に行こうかと思ったが、もうここ以外に場所はなかった。
かといって買って三人に見せるのは、自分のイメージとしても高校生としても変だ。
でもここ以外は―
思考が堂々巡りに入ってしまい、私の体もぐるぐる回る。
十五周目でも答えがでなかったとき、誰かが私に声をかけてきた。
「コユキさん、何かあったのですか?」 - 35二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:13:25
おや?
- 36二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 04:22:28
誰か話しかけてきましたね…
- 37二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:38:33
団長…?
- 38小説書いてる人25/02/16(日) 14:24:08
突然軽くなった体を動かして振り返る。
「・・・ミネさん?どうしてここに・・・?」
なぜかミネさんが、絵本コーナーの前に来ていた。頭の中はクエスチョンマークが埋め尽くしたままだけど、口元から全身が緩んでいく。
「絵本を買いに来たんです」
さらに思いがけない言葉が出てきて、思わず声が出てしまった。こんないい話があるだろうか。
「絵本?」
「はい。もうすぐトリニティでクリスマスイベントがあるんです。その準備のために絵本を買いに来たんです」
クリスマス。絵本よりもっと気になる。でも、その前にやることをやらないと。
「あの、実は・・・」
視線をミネさんの瞳から絵本コーナーに向け、軽くなった指を本棚へ動かす。指は少ししか動かなかったけど、ミネさんならわかると思った。
ミネさんは、期待に応えてくれた。
「コユキさんも絵本を買いに来たんですか?」
私の喉が緩んだからか、明るい声が自然に出せた。
「!はい、絵本が気になって・・・」
私の中でさらなる欲が出てくる。ミネさんはそれも受け入れてくれた。
「では、一緒に買いに行きますか?」
「はい!」
そうして私は、ミネさんと絵本コーナーに入っていった。曲がっていた姿勢もまっすぐになっていた。 - 39二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 21:07:15
やはり団長が鍵か…
- 40二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 05:00:57
この再構成、もしかしてミネ×コユキなのでは?
- 41小説書いてる人25/02/17(月) 06:20:48
絵本は思った以上に種類が多かった。年齢ごとに読む本が区分けされていたり、ページをめくるたびに飛び出してくる本だったり、童話より童話以外の方が多かったり。共通しているのは、どれも難しいことは一つもなく読みやすそうなことと、読むまでもなく絵を見ればわかりそうなこと。
こうして表紙だけ見ても、バリエーションが多くてあっちへこっちへ頭から身を乗り出すようにしてしまう。
ミネさんはというと、何冊かの本を取ってはかごに入れていた。その手つきには一切の迷いがなく、目的の物だけを確実に取るようだった。
そうして歩きながら見ていると、いつの間にか最初に出会ったところについてしまっていた。こんなに時間が早く過ぎたのは久しぶりだ。
私はまだ決められず、足がどこに動くか迷い始めた。ミネさんは私のことを察したのか、吸い込まれそうになる緑色の瞳を私に向けた。
「気になった絵本はありましたか?」
私はミネさんの方を向いたものの、すぐに首が横に動いていった。
「あっ、えっと、その・・・」
すかさずミネさんがフォローしてくれて、私はまっすぐミネさんの方を向けた。
「思いつく限り、いくつでも言っていただいて構いません」
私は遠慮なく興味がある本を片っ端から挙げていった。桃太郎、シンデレラ、浦島太郎などの童話、ミネさんが言っていたクリスマスのお話、お猿の話や14匹のねずみの話、百階建ての家の話、その他気になった表紙の絵本。時折それらを指で指しつつミネさんに話した。このときだけは、前までの明るく元気だった私になっていた。
これ以上本を思いつかなくなって、私は最後に悩んでいることを話した。
「―大体こんな感じです。でも、絵本は思ったより高くて、全部買うことはできないんです。かといって選ぼうとするとすごく迷ってしまって・・・」
こればかりはミネさんのアドバイスやフォローは期待できない。
私の予想通りミネさんが顎に手を当てて考え始めたとき、ミネさんの後ろから爽やかな怖い声が聞こえてきた。
「わかりました。全部買いましょう。そしてコユキちゃんに全部プレゼントします」
私もミネさんも、一緒に声の方を見た。目はわからなかったけど、二人とも見開いていただろう。 - 42二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 06:27:02
ノアの声を怖いと認識してるのがもう…原作コユキがペリカン並みにイカれたメンタルしてて良かった
- 43二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 14:50:48
金に糸目はつけません!状態になったノア…
- 44二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 17:02:59
もうこれ救護騎士団に預けるって選択もありなのでは?
- 45二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 17:37:43
み、ミネコユだと・・・こんなもの、私のデータに存在しないぞ・・・っ!!
- 46二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 02:25:13
にしても元スレの時からは想像もつかないほど重くなったなぁ
- 47二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 06:22:36
- 48小説書いてる人25/02/18(火) 07:26:34
「「「「・・・えっ?」」」」
なぜか二つ声が多く聞こえて、声の主の奥を見る。すると、お目当ての本をカゴに入れていた二人がいた。
真っ先に口を開いたのも二人だった。加減を知らない声のせいでやかましい。
「ノア先輩、さすがにそれはやりすぎじゃない!?気持ちはわかるけど!」
「さ、さすがにこれだけの本を全部買うのはノア先輩でもむちゃです!コユキのためなのはわかりますが・・・」
私は何も口から出そうで出なかったので、ひとまずミネさんの後ろに避難した。空に近い水色の羽が私を両腕から包み込んで守ってくれた。
ミネさんの顔は見えなかったけど、何か考えているような気がした。手が顎に向かっていたから。
ミネさんの裾をつかみつつ肩越しにノア先輩を見る。ノア先輩はまたしてもほほえみが一切ない顔で私たちに話した。
「お金なら大丈夫です。ユウカちゃんほどはありませんが、私もセミナーの一員なので。自費で買えるだけのお金はあります」
「それと、ここの本屋さんには配送サービスがあります。それを使えば、運ぶ負担もなくなります」
落ち着いた低い調子で、反論を許さない口調だった。昨日といい今日といい、先輩二人はどこかおかしい。 - 49二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 11:51:28
それが愛情という事にいつ気付くのか…
- 50二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 14:06:35
別スレでも思ったけど医療関係者ってやっぱ強い属性だなって
- 51小説書いてる人25/02/18(火) 17:56:39
あの後、ノア先輩の注文で笑顔が徐々に薄れていった店員さんと、ゴールドカードで笑顔が消えた複数人の店員さんによって、数十冊の本が配送ロボットに乗せられた。さすがに何もしないわけにもいかなかったので、私たちも手伝った。
私はその後、気になっていたいくつかの本をバッグに入れた。ミネさんが買っていた本も入れた。もちろん、ミネさんの本とは別の本だ。
早速ミネさんが買っていた本を取り出す。クリスマスの曲の楽譜が載った本だった。
「楽譜・・・?」
真っ先に興味を示したのがアリスさんだった。
「アリス、知ってます!演奏するとイベントが発生するんです!」
「・・・そうなんですか?」
「ゲームでは、扉に楽譜が書かれていて、その通りに演奏すると扉が開くイベントがありました。きっとこれも同じです!」
いつの間にか首が傾いていた。アリスさんの話は全部ゲームに例えられるから分かりにくい。
すると、モモイさんが注釈をつけてきた。
「きっと、それを買った・・・えっと、なんて名前だっけ」
「ミネさんです」
「そうそう!そのミネさんが演奏するんじゃないかな」
振り返って、ミネさんの方に首を回す。二人もそれに続いてミネさんを見る。
「そうなんですか?」
「はい。もうすぐトリニティで行われるクリスマスイベントで、救護騎士団が演奏をするんです。今皆さんが見ているのは鈴の楽譜ですね」 - 52二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 01:36:04
ほしゅしゅ
- 53二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 02:07:53
団長は救護救護叫んで殴ってばかりの人じゃない、むしろこっちが普段の姿なんだ……
こっちの認知度がちょっと低いだけで彼女も歴とした淑女であると共に優しく温かな愛を持つ人なんだ…… - 54二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 07:14:24
店員は複雑よな…書店業界は電子版のせいで売上が落ちてるから嬉しいだろうが大量に買われるとレジに通したりとか本当に…仕事量が
- 55二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 12:42:16
- 56小説書いてる人25/02/19(水) 17:49:26
勉強に5時間使いエネルギーが切れたため、本日の更新はお休みとさせていただきます
- 57二次元好きの一般人25/02/19(水) 22:21:53
>>56適度な息抜きが大切
- 58二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 05:01:36
そのへんは仕方ないね…
- 59二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 10:53:05
コユキが絵本以外にミネの持ってた楽譜にも興味を持ったな…
- 60二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 17:11:14
前の時には興味持たなかったものだねえ
- 61小説書いてる人25/02/20(木) 18:20:31
三人で楽譜を見る。五本ではなく、一本の線にいくつもの音符が書かれていた。線が一本なのは、ピアノとは違って一つしか音を出せないからだろう。
「鈴で演奏・・・」
ミネさんがポケットから一枚のチラシを取り出す。「トリニティ・クリスマスコンサート」の文字が真っ先に入ってきた。
「こちらの場所で演奏を行う予定です」
ミネさんが指をさした場所を見ると、音楽堂で開催されることが書かれていた。
ミネさんが説明を続ける。
「クリスマスイベントでは、トリニティ・スクエアでスタンプラリーが行われます。それをクリアすると、音楽堂へ入ることができます」
「つまり、スタンプラリーをクリアしないと、ミネさんの演奏を聞くことができないんですか?」
ミネさんがうなずいた。私の雲行きが悪くなってきた。
周りから情報を探す。モモイさんとアリスさんはチラシを見ながら何か話している。
「面白そう!ミドリとユズも誘って、ゲーム開発部のみんなで行かない?」
「はい!早速連絡しましょう!」
ゲーム開発部。ユウカ先輩がよく口に出していたっけ。手間がかかるけど放っておけない子たちと言っていた。
それを思い出して、視界から二人が映らないように体を傾けた。 - 62小説書いてる人25/02/20(木) 19:00:25
気軽に話していたけど、二人はユウカ先輩と仲良しなのを忘れていた。
きっとこのことも先輩に話して―いや、もうノア先輩がいる。ということは、最初から私の望みは絶たれていたんだ。
いや、だとしたら、なんで私に本を買ってくれたんだろう。普段のノア先輩なら私のことは徹底的にしばりつけるのに。
あり得ないことのせいで、ノア先輩とミネさんとチラシに視線を体ごと行ったり来たりさせる。
5回ぐらい往復したとき、なぜかモモイさんが声をかけてきた。
「・・・コユキも行く?」
「・・・えっ?」
予想だにしない言葉だった。
「私を、誘ってくれるんですか?反省部屋にいる私を・・・?」
突然体が軽くなって、頭の中が震える。
「うん。コユキ、チラシを熱心に見てたじゃん。だから行きたいのかなって」
「それに・・・コユキには、やりたいことをやらせてあげたいから」
「でも・・・ユウカ先輩とノア先輩は・・・」
ノア先輩の方を見る。私をセミナーの監視から離れさせる、なんてことをするはずがない。
「大丈夫ですよ、コユキちゃん。クリスマスイベント、思う存分に楽しんでください」
私は息をかきこんだ。ノア先輩がこんなことを言うなんて。
「・・・あ、ありがとう、ございます・・・」
いつの間にか、口が笑っていた。今日は本当におかしな日だ。 - 63二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 22:56:56
これをきっかけに少しづつ流れが変わっていくといいのだが……
- 64二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 01:25:05
コユキ…なんとか回復してくれ…
- 65二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 07:53:52
まさかのオリジナルルート開拓か
- 66二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 12:58:06
ほしゅ!
読んでて辛いけど何かの栄養素を得られている気がする。なんだろう、慈悲?優しさ? - 67二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 17:35:26
前の時よりミネ団長の出番が増えてる…
- 68小説書いてる人25/02/21(金) 18:21:35
疲労が蓄積したため、本日の更新はお休みとさせていただきます。
その分三連休の更新は多めにするつもりです。 - 69二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 00:13:27
OK
- 70二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 03:24:29
かかりつけの医者に懐く子どもってなんかいいよね
- 71二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 08:25:03
わかる
- 72小説書いてる人25/02/22(土) 08:31:08
「・・・ここならよさそうね。ここでお願い」
数十、いや百数十冊の絵本が入るであろう本棚の場所が決定した。急ではあったものの、なんとか四人が帰ってくる前に終わらせることができた。
私の左隣では、完成した本棚をウタハ先輩が見ていた。片方の眉を上げていて「ほらね?」と言いたそうな表情だが、その後ろにいるヒビキとコトリは眉間にうっすらとしわを寄せている。
それを見ていると、ウタハ先輩が話しかけてきた。
「それにしても、ずいぶんと急な依頼だったね。走って私を呼んできたときはまたトラブルで怒られるのかと焦ったよ」
怒った、という言葉で心臓が跳ねた。・・・いや、さっき「またトラブルで」と言っていたから、また何かやらかしたみたい。悪い方ではなかったので、さっきより深く息を吐いた。
「それについてはごめんなさい。急に頼んでしまって」
「いや、謝らなくても大丈夫さ。決められた期限で完成させるのは当然のことだからね」
そこへヒビキが入ってきた。犬耳がいつもよりだらしなく垂れている。
「・・・でも、何の機能も入れられなかった」
私はうなずくことも話すこともしなかった。余計な機能を入れたら、間違いなくコユキに疑われる。期限が短くて良かった。
すかさずウタハ先輩がフォローを入れる。
「まあまあ、たまにはこういう素朴なものを作るのもいいじゃないか」
それを聞いたヒビキもコトリも、眉間のしわを無くした。
「そうだね。いつもはこれよりずっと複雑な物ばかり作ってたから」
「新鮮な機会でした!」
二人の感想を聞いてから、ウタハ先輩が話をまとめた。
「そんな感じさ。それじゃあ、私たちはこれで」
ウタハ先輩はそう言って、ヒビキとコトリとともに反省部屋の出口に向かって行った。
出ていく直前に、私は三人を呼び止めた。
「あ、ちょっと待って頂戴」
振り返った三人に、私は気になったところを話した。
「・・・『トラブル』のことは、後で詳しく聞かせてもらうわ」
三人の足取りが重くなった。 - 73二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 16:39:23
エンジニア部だ
- 74小説書いてる人25/02/22(土) 16:58:18
三人が出て行ったあと、本棚を見つめながらこれまでのことを振り返る。
電話越しで聞こえてきたノアの声は上ずっていて、いつもよりよくしゃべっていた。コユキが絵本に興味を持った話を聞いたときは私も声が早くなった。
コユキが団長に懐いていると聞いたとき、私のなかで一つの案が思い浮かんだ。
コユキがゲーム開発部と一緒にクリスマスイベントに参加すると聞いたときは、その案は現実的なものに思えた。
ノアとの通話が終わったとき、私は鼻で歌いながらあちこち部屋中を動き回った。足が勝手に動いていた。
コユキが私たちよりあの子たちやミネ団長と一緒にいられるのなら、ストレスが減るはずだ。
それならいっそ、救護騎士団に預けてしまうのはどうだろうか?少なくとも、クリスマスの間は。
反省部屋から出て、スマホでクリスマスイベントを調べる。コユキは倫理観が絶望的に欠如しているから、特にお金に関しては慎重にしないと。
しかし、まだ一週間以上もあるためか、費用についての情報はそこまでない。お金は後回しにせざるを得ない。
となると倫理観だが、これは団長に相談してどうにかしてもらおう。私たちが言っても聞くだろうけど、コユキはとてもつらいだろうから。
私は軽い手つきで、また電話アイコンをタップした。 - 75二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:12:23
トリニティでのコユキか…どうなるか想像がつかないな
- 76二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 23:50:09
疑い過ぎかもだが、ノアとユウカがちょっと浮かれすぎ?のような…
間違いなく好転してるし気持ちはわかるんだが - 77二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 05:41:40
好転はしている、しかしコユキからの好感度はミネしか上がっていない…
- 78小説書いてる人25/02/23(日) 11:23:06
プロットの貯めを90%ほど使い切ったので、プロットを作ってきます
本日の更新は怪しいです、すみません - 79小説書いてる人25/02/23(日) 16:29:54
気力が尽きていたため、本日の更新はお休みとさせていただきます
- 80二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:33:26
とりあえずほーしゅしておきましょー
- 81二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 07:38:26
待機
- 82小説書いてる人25/02/24(月) 14:46:57
絵本は子供のときしか楽しめないものだと思っていたけど、そうでもなかった。
「シンプルなものばかりだと思っていたけど・・・予想よりずっと細かく描かれている」
言われてみると確かに、小物や木や服装が細かいような。
一方でストーリーはというと、同じものがあったり違うものがあったりする。特に童話が違和感を感じやすい。
「うーん…だいたい桃太郎だけど細部が違うなあ…?昔に読んだのは鬼を倒してお爺さんとお婆さんに財宝をあげてたような…?」
確かに、自分が見たのもそんな話だった気がする。ここでは鬼をこらしめて村の皆に財宝を分けたことになってるけど。
話をよく覚えているものもあった。でも、小さいときに読んで今でも覚えているものは大抵・・・
「これは・・・ごんぎつね?」
「アリス知ってます!やらかして大迷惑かけた狐が埋め合わせをしようとしたけど意図を汲んでもらえずに殺されるお話です!!」
その大声で、部屋の空気が凍った。同時に私は、アリスの隣にいた人が持っている本から顔を逸らした。
「モモイさん」
「ん?どうしたの?」
「あの二人は・・・」
人をだめにするソファに埋まっているモモイさんの隣で、床に座って絵をじっくり見ている色違いのモモイさん。
寝転んで本を読んでいるアリスさんの隣で、私に目を合わせようとしてすぐに本に逃げて行った赤いロングヘアーの人。
どちらもユウカ先輩がよく話していた人だった。
「・・・どうしてここにいるんですか?」 - 83二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:47:47
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- 84二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:53:48
おっとここでミドリとマキが登場?
- 85二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 14:55:54
このレスは削除されています
- 86二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:22:31
ユズじゃない?
- 87二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:23:24
- 88二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 15:33:28
確かにそうだわ。頭から抜けてた
- 89小説書いてる人25/02/24(月) 18:06:50
モモイさんがソファに埋まったままこちらを見る。
「ミドリとユズのこと?クリスマスイベントのときに初対面だったら話しづらいかなと思って、二人とも連れてきたんだ」
「それに、絵本から何かインスピレーションが浮かぶかもしれないしね」
モモイさんはそういうと、いつの間にか置かれていた大きな本棚に頭を向けた。
「う~ん・・・何にしようかな」
頭をわずかに上げて、目だけで本の背表紙を見ている。何か見つけたらしく、名前と似た色の目が光った気がした。
それから、横にいた色違いのモモイさんの方を向いた。やっぱり頭だけだった。
「ミドリ~浦島太郎の本とって~」
ミドリさんはため息をついた後、ゆっくりと立ち上がって本棚に向かった。・・・大体どういう関係かわかった気がする。
一方、私を見つめているアリスさんの隣の人。私が本を見ているときだけこっちに視線を向けてきて、その水色が混じった暗い灰色の瞳を見つめるとすぐに頭ごと逸らしてしまう。
それを見たのか、アリスさんがこちらに話しかけてきた。
「コユキ、ユズとお話ししたいですか?」
私に拒否する選択肢はなかったので、そのままうなずいた。アリスさんはユズさんに何かささやいたあと、こちらに手を振った。
言わんとした通りに私はユズさんに近づいた。・・・この人は、先輩を前にした私みたいだ。 - 90二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:33:05
シンパシーを感じてる?
- 91小説書いてる人25/02/25(火) 07:29:05
木曜から休みなので多めに投稿する予定です
- 92二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 15:35:31
捕手
- 93小説書いてる人25/02/25(火) 17:23:06
疲労が蓄積したため、本日の更新はお休みとさせていただきます
原因は休日の睡眠リズムの乱れで寝付けなかったことです - 94二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 22:44:55
お大事に
- 95二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 07:00:03
了解。
- 96二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 16:19:55
ステンバーイ…
- 97小説書いてる人25/02/26(水) 17:44:39
眠気解消のために昼寝をしたら17:30になっていたのと
PC使用時間が18:30までと決まっているので本日の更新はお休みとさせていただきます
二日連続お休みになってしまいすみません - 98二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 23:21:32
オーケー大丈夫だ。義務感でやったら負担が大きすぎる
- 99二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 23:22:33
ホシーノマモリ
- 100二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 06:39:29
守りたいスレがあるんだ!
- 101小説書いてる人25/02/27(木) 07:52:17
足元から二、三歩程度離れた距離のところで、私は座り込んだ。ユズさんはこっちに目を合わせたり視線を背けたりをずっと繰り返している。
今すぐ離れた方がいいのだろうけど、それをしたらアリスさんの指示を破ってしまう。
まばたきが早くなって、抑えようと周りを、特にアリスさんとユズさんを見渡す。怒られたほうがましだけど、そんなことにはならないだろう。
私とユズさんの目がまた合ったとき、ユズさんが声をかけてきた。
「あ、あの・・・これ、読みませんか?」
いつの間にか、ユズさんの震える手の中にあった絵本を見る。
真っ先に入ってきたのは、赤い服をきた白いひげが特徴のおじいさん。八頭のトナカイが引く空を飛ぶソリに乗っている。ソリには巨大な白い袋もある。
そりは町の上空に、あまたの星でできた跡を残していきながら、空をかけていく。
町の道路沿いには、とがった三角形の形をした木が何本もあって、それぞれの木に色とりどりの丸い形をしたライトが黒い線で巻き付いている。
家の上あたりだろうか?無数の光の点が線に沿うように光っているのも見える。
誰もが一度は現実で、一度は夢で。二度見たであろう光景だった。
「クリスマス・・・」 - 102二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 15:43:27
更新おつ
- 103二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:01:14
ほ
- 104二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 07:07:57
ユズと一緒に絵本読むのか
- 105二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 10:30:14
はっちゃー!
- 106二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 18:01:00
あいどべー!
- 107二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 21:05:33
ユズママ、、、
- 108二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 04:08:12
ユズの読み聞かせ、、、スヤア
- 109小説書いてる人25/03/01(土) 06:58:34
私とユズさんは、ページを開くたびに絵を隅から隅まで二度見渡す。丁寧にラッピングされたプレゼント。クリスマスまで一日ずつ窓をめくっていく、赤レンガの建物のカレンダー(ユズさんによると、アドベントカレンダーと言うらしい)。パチパチと鳴る音と暖かさを感じてしまうほど、元気な火がある暖炉。その前の両側にある、人をだめにするソファより快適そうな背の高いソファ。どういう風に料理したらこんなに豪華になるかわからないほどの食べ物。オーナメントやリースを全身にまとい、世界一豪華なモミの木になったクリスマスツリー。
プレゼントを待つせいで夜も眠れない子供。しかしいつの間にか眠ってしまい、そこにサンタさんがやってくる。音も気配もたてずに、脇にある赤い大きな靴下、または寝ている子供のベッドの下に、そっとプレゼントを置いていく。朝子供が起きると、そこにはずっと待ち望んでいたものがある。
いつの間にか、二人でページをめくる速度が速くなっていて、気がついたら本が終わっていた。
ユズさんの方をうかがう。読む前の固い顔も、震える手も、すっかり消えていた。
「ふふ・・・とても面白かった」
「私も、そう思います」
子供のころに見た夢を、もう一度見る機会が訪れるとは思いもしなかったから。 - 110二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 10:19:27
クリスマス…親の描写が無いキヴォトスにおいてクリスマスプレゼントの価値がどれくらいなのか…
- 111二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 16:32:47
コユキ…
- 112二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 22:32:19
ユズママじゃない、ユズ姉さんだ!
- 113二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 05:45:55
いいぞコユキ…
- 114二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 12:44:26
コユキとユズの距離が縮まった!
- 115小説書いてる人25/03/02(日) 19:52:23
手をパンパンと二回たたいた音がして、音の主の方を見た。モモイさんがいつの間にかソファから立ち上がっていた。
その前に「あっ」って声が聞こえた気がした。
「みんな、クリスマスイベントのことはどうする?あと一週間くらいだけど、今のうちから決めておかないと当日迷いそうだし」
手に持っているスマホを何回も確認していたことには、気づかなかったことにした。隣でミドリさんがため息が出そうな目をしていたことにはスルーした。
言われてみると、何も考えていなかった。調べようともしていなかったし。私なんかが口を出すのもあれだったので、誰かが言ってくれるのを待った。待つまでもなくミドリさんが話してくれた。
「お姉ちゃん、まず調べないと何も決められないよ」
モモイさんは口を丸く開けて、すぐさま早口で話し始めた。
「そ、そう!まだよく知らないからみんなで調べようって思ったの!」
誰が見ても説得力はなかったけど、何か言ったら怒られそうなので黙っておくことにした。
各々がスマホを取り出して調べ始める。私のスマホは没収されていたので、何もしないで座ってることにした。一人だけ指示を聞いていないようになるのはどうしようもない。
誰かが私の服の裾を引っ張ってきた。振り返ると、ユズさんがスマホをこちらに伸ばしてきた。
「あの・・・よかったら、一緒に見ますか?」
「はい」 - 116小説書いてる人25/03/02(日) 19:52:38
ユズさんの隣でスマホを見る。ミネさんが言っていた音楽堂のことやスタンプラリーのことを探す。二十秒もたたないうちに見つかった。
「あっ」
ユズさんの指が止まる。
「何か、気になるものがありましたか・・・?」
私はお目当ての物を指で指す。
思った通り、スタンプラリーの時間と場所が書かれていた。メモをしないと忘れそうだったけど、メモすら持っていなかった。ペンもなかった。
気づかないうちに頭が下に向かって行く。ユズさんは何かつぶやいている。ぴったり隣にいたので、その声は筒抜けだった。
「トリニティ大聖堂、トリニティ・スクエア、美術館前、部室会館前、中央図書館前、音楽堂」
そうつぶやくと、メモ帳アプリに書き込んでいった。スマホを見たまま、私はつぶやいた。
「・・・ありがとうございます」
私の声が聞こえたかは分からなかった。
続けてユズさんは、地図アプリでトリニティ・スクエアを検索する。それから、メモ帳に書いていた場所を一つ一つピンで打ち込んでいく。
さらにルート機能を使って、所要時間と経路までもをメモ帳に書き込んでいる。
―こういうイベントには参加したことがないけど、ここまでして参加する人はけっこう珍しいんじゃ・・・
そんなことが頭の中で繰り返された。 - 117小説書いてる人25/03/02(日) 19:53:12
「・・・よし」
ユズさんがそうつぶやくと、さっそくモモイさんが話しかけてきた。まるで聞こえていたかのようだった。
「ユズ、そっちも終わった?」
「うん。いい感じのルートが見つかったよ」
そう言って、スマホから地図のホログラムを映し出す。・・・ホログラム機能が付いてたんだ、このスマホ。
トリニティ・スクエア(噴水広場前)を出発して、トリニティ大聖堂、美術館前、部室会館前、中央図書館前をめぐり、最後に音楽堂にたどり着く。
ユズさんが説明を続ける。
「時間はかかるけど、これならトリニティ・スクエア全体を回りつつイベントもこなせると思う」
私はユズさんの方を口を縦長にして見つめた。単純な説明とスライドだったけど、身を乗り出すほどわかりやすかった。
そこに三人が情報を付け加えていく。モモイさんは栗見たいな口を世話しなく動かし、ミドリさんははにかみながら、アリスさんは体ごと長い髪を動かしつつ。
「ここらへんはお菓子の屋台が並んでるんだって!食べながら回るのはどうかな?」
「この辺はクリスマスのグッズが多く並んでいるみたい。ゼリーズやモモフレンズのグッズもあるって」
「お菓子以外の屋台もたくさんあります!夕ご飯はここがいいです!」
そうして、四人が書きこんでいった特性の地図が完成した。私の出番はないかと思っていたら、急にモモイさんが話しかけてきた。
「コユキはどう?何か気になるところはあった?」
体が急に固くなって声が出にくくなったが、それでも指示は指示だったので話した。ぎこちなく聞こえてないといいんだけど。
「えっと、これだと間に合わなさそうで・・・お昼からなら、余裕があるかなって。音楽堂での演奏は夜ですけど・・・ここはとても広そうだし、じっくり回るとなったら結構時間がかかるかなって・・」
三人ははっとした顔をした。まずいことを聞いたのかもしれない。
けど、答えは予想外の物だった。
「確かに!コユキ、やるじゃん!」
誰かに褒められたのは・・・とても久しぶりだった。瞳の星が三人によって照らされた。セミナーでは秒単位まで決めないといけなかったけど、これだけ曖昧でも喜んでくれるなんて。 - 118二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 21:10:52
あったけえなあ
- 119二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:54:40
あーコユキの自尊心が癒されるわー。
- 120二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 07:07:28
あいどべー!
- 121二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 15:53:04
はっちゃ…
- 122二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 16:56:11
コユキの自尊心がぐーんとあがった!
- 123二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 23:07:19
秒単位のスケジュールとか異常だろと思ったけど、国内要人のアテンドはそんな感じでスケジュール組まれてるだろうからそんなにおかしくねえんだよな……
いや高校生のやることじゃないが - 124二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 01:39:27
さすが光の蛮族モモイ頼むぞ
- 125二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 05:17:12
「できちゃう」からだったんだろうな
- 126二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 10:05:46
同級の友人…コユキに必要だったものですね…
- 127小説書いてる人25/03/04(火) 11:37:11
団長は、口に入れている紅茶で私の話を整理しているようだった。ティーカップがソーサーに置かれると、団長が口を開いた。
「・・・なるほど。当日コユキさんに渡すお金についてですか」
「少々話がずれてしまいますが、電子マネーでもクレジットカードでもなく、キャッシュカードで渡すのは何か理由があってのことですか?」
「はい。電子マネーやクレジットカードだと、コユキは際限なくお金を使ってしまうので」
緑色の瞳が力強くなった。両膝に置いた手に力を入れ、ずれた視線を合わせる。
「その理由について説明していただけますか?」
「はい。それには・・・コユキの性格と才能が深く関係しています」
「コユキは活発で人懐っこい性格ではあるんですが、いたずら心が強いのと・・・倫理観が絶望的に欠如しているんです」
団長の眉が動く。ここが正念場だ。
「どのように欠如していますか?」
「それについて説明するには、コユキの才能をまず話さなければなりません」
「コユキの才能・・・それは、『直感で電子暗号を解除してしまう』摩訶不思議な演算能力です。パスワードだろうと暗号文だろうと、それがいかなるものであれ、電子的障壁であればコユキの前では意味を成しません」
「具体的には、ミレニアムの超高性能演算機でも解読に時間がかかるような暗号を、数秒以内に解読してしまうほどです」 - 128小説書いてる人25/03/04(火) 11:56:23
緑色の目が完全に開かれ、眉がそれにつられて上がる。ヒュッ、と息が吸い込まれた音がした。
水色の両翼が前後に動き、若干の風がこちらにきた。
「・・・」
沈黙が二人を巻き付けるかのように部屋に満たされる。それによってかはわからないが、お互いの肘が体の両脇に密着された。
「・・・なるほど。これは手を打たないといけませんね」
実際にコユキはセミナーのお金を何度も横領しているし、時にはミレニアムの財政が傾くほどのお金をギャンブルに突っ込んでいたこともある。
ましてや今回はトリニティ、それも一大イベント。何かやらかそうものなら外交問題どころでは済まない。
お互いの視線が目の前にある問題を探る。先に団長が口を開いた。
「今まではどのように対処してきましたか?」
「今までは、反省部屋に収容していました。電子的なロックではすぐに突破されてしまうので、仕方なく物理的なロックをかけられる銀行の金庫室を反省部屋にしていました」
団長が首をかしげたあとに、こちらを落ち着かせるような声で話してきた。疑いの光彩が、緑色の目に入っていた。
「・・・反省部屋に収容したのは、コユキさんがお金のことで大きな問題を起こしたときだけですか?」 - 129二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 17:45:59
本編のコユキよりしっかり閉じ込められてる……
- 130二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 20:27:28
- 131二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 01:53:31
他にも些細な事で閉じ込めてたりしないよな…?
- 132二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 02:04:10
メインストーリのあまねく奇跡の始発点編だと確かに銀行金庫室レベルの扉に閉じ込められてんだよなぁ
- 133二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:17:39
しかもそれでもなお勝手に出入りしてたらしいコユキ
- 134二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 15:42:09
はっちゃ
- 135二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 21:17:30
ハッチャ
- 136二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 02:45:05
あいどべー!
- 137二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:31:53
待ちますよー!
- 138小説書いてる人25/03/06(木) 11:47:18
左の手を顎に当て、右の手で左の肘を支える。頭から過去の記録を引き出す。
「最初は確かにそうでした」
団長の視線が鋭くなる。こちらの奥を透かすように。
「重要な場所から大量のお金を盗んだり、電子暗号を勝手に書き換えたり・・・」
重要な場所がどこかは言わないことにした。幸いにも、団長はそこを聞くことはしなかった。
「そのたびに反省部屋に収容していました。ただ、そのときは今のような部屋ではなく、電子的なロックを使った部屋だったので・・・」
「何度も脱走と収容を繰り返していました。・・・それを続けていったからかもしれません」
「ある事件の後に、コユキは反省部屋に引きこもりたがるようになってしまいました」
「その時の私たちは、すでに反省部屋に収容するのが常識になっていて・・・」
声が詰まってしまい、無理やりにでも肺を動かす。そのせいで目線が外れた。
「それほど大きくない問題でも、コユキは反省部屋に収容されることを望んで・・・」
自分の言葉が、自分を刺していく。心の一番深い場所まで、貫くように。
「私たちは、それを肯定的にとらえて・・・」
喉が締め付けられていく。周りがぼやけてよく見えない。
「反省部屋にいる間は、問題が、少なくなるから・・・」
「だんだんと・・・それほどでもない問題でも・・・反省部屋に・・・それで・・・その、せいで・・・」
これ以上言葉を出すことはできなかった。 - 139二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 13:19:50
些細なことで救急車呼ぶみたいな感じなんかねこのインシデント
- 140二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 21:04:40
ある事件ってなんだろう。これから出てくるのかな
- 141二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:31:37
- 142二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:41:04
なるほど。引きこもりたがる、というのがちょっと気になってたんだけど、あの件でユウカ達に絞られ過ぎて恐怖心が芽生えて……って感じなのかな
- 143二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 03:56:51
今までが今までだったからユウカもノアも「聞き分けが良くなったな」程度にしか思ってなかったんだろうな……。
- 144二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 08:08:41
現実味のある話だなぁ。
- 145二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 12:53:49
そしてコユキが壊れちゃったと…
- 146二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:30:36
コユキだけじゃなく、コユキをこんな状態にしてしまったという負い目を負ってしまったユウカとノアも精神がやられてしまってる件
- 147二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 01:10:52
- 148二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 08:14:47
はっちゃ…
- 149小説書いてる人25/03/08(土) 15:54:34
- 150二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 21:49:18
ゆっくり筆を休めて下さい。
- 151二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 04:47:02
- 152二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 10:45:30
このレスは削除されています
- 153小説書いてる人25/03/09(日) 10:46:50
(表記ミスがあったため再投稿です)
私の手にふんわりとした手触りのよい物が乗っかる。私は何も考えずに、それでくしゃくしゃになっている顔を拭いた。
「・・・ハンカチ、ありがとうございます」
「いえ、救護の一環ですから」
団長に濡れたハンカチを渡した。私の目元が少し燃えているような感覚がした。
紅茶をもう一口飲んだ団長が話し始めた。
「・・・話を戻しますと、今のコユキさんが自分からお金を使うことはないでしょう」
「一方で、誰かに言われたときはすぐさまお金を使おうとするはずです。今のコユキさんは、誰かに言われたことだけで動いているようですので」
「・・・はい」
ノアから聞いた話を思い出す。コユキが誰にも言われず自分から動いたことがなかったと言っていたから、団長の推測は正しいだろう。
「加えて、コユキさんは誰かに怒られることを非常に恐れているように見えます」
反射的に頭ごと視線を床に逸らしてしまい、すぐさま団長と目を合わせる。手が強く握られた。
「特にお金に関しては、非常に敏感になっているでしょう」
「ということは、私がお金を渡しても絶対に使おうとしませんよね・・・渡したうえで『気になったものを買って』と言わないと・・・あ、でも曖昧なものだとコユキが困ってしまうから・・・でもそれってほとんど命令・・・」
袋小路に入った私に、団長が助け舟を出してくれた。
「ユウカさん。今のコユキさんが自分で動くには、誰かの手助けが必要です。ユウカさんの行動は悪いことでは決してありません」
「それに、何も一人で全て解決しようとする必要はないのです。私やノアさん、先生、そしてモモイさんとアリスさん。皆で解決すべきことですから」
「・・・ありがとうございます」
私やノア、団長ができるのはこうしてお金や物を贈ることぐらいだ。先生はシャーレの仕事で忙しいから力になりにくい。
―モモイ、アリスちゃん。どうか・・・コユキに寄り添ってあげて。 - 154小説書いてる人25/03/09(日) 11:23:03
「ん・・・」
ベッドから起き上がった私が真っ先に目を移したのは、人をだめにするソファの上に置かれていた一枚のカードと、水色の布で包まれたお弁当箱と、手紙だった。
―手紙?どうして?
どうせろくなことじゃないだろうと思いつつ、無機物の前に向かって行く。頭が下がってくるのは寝起きだからのはず。
包み紙には「開けてください」と書かれていた。指示通りに丁寧に包み紙を開いていく。もし開き破っているところを見られたらきまり悪くなるから。
開いた包み紙から手紙を取り出す。
「コユキへ。キャッシュカードを渡しておきます。クリスマスイベントで気になった物を自由に買ってください。ユウカより」
「・・・ユウカ先輩らしくないですね」
私にお金なんかを渡して、自由に使っていいというなんて。何か裏でもあるのだろうか。その考えは一行下でもっと強くなった。
「・・・これ、クリスマスイベントで使い切れる額じゃないですよね・・・」
カードをのぞき込む。ユウカ先輩のことだから、手紙通りのものであることは間違いないだろうけど・・・それでも何かないか探ってしまう。
五回ほど表裏を確認したところ、もはや驚かなくなった快活な声が聞こえてきた。
「コユキ、おはよう!」
「おはようございます、コユキ!」
「おはよう、コユキちゃん」
「お、おはよう、コユキ」
・・・四人同時は予想外だった。 - 155小説書いてる人25/03/09(日) 12:11:45
ミレニアムの食堂に来るのはずいぶん久しぶりだったから、その広さと色に物珍しさを覚えた。
どこかの誰かが言っていた「水色は二百色ある」という言葉を思い出すぐらいの微妙に色の違う水色。最低限の直線と長方形でのっぺり感を無くしている壁床天井は、ミレニアムではどこにでもある普通のものだ。
私以外の四人には珍しいものでもないらしく、むしろお弁当箱の方に興味が向いていた。
真っ先に反応したのはやっぱりモモイさんだった。左隣で桃色のカチューシャが動く。
「コユキのお弁当箱、関数電卓のシールが貼ってない?」
続いてアリスさんがお弁当箱に顔を近づける。右隣から長い髪が私に近づいてくる。
「ユウカの関数電卓と似ています。これはユウカのアイテムです!」
机を挟んで反対側にいたミドリさんが話した。モモイさんと色違いの緑色のカチューシャが左奥で動く。
「ユウカ先輩って、料理できるんだ・・・」
最後に、ユズさんがやや震えた声で話した。右奥の赤い髪とおでこがこちらに近づいた。
「な、中身を見てみようよ」
そう言われたので、布を外してふたを取る。一段目はご飯が大部分を占め、煮豆が余ったところに入っている。二段目は卵焼きとウインナーが半分で、人参れんこんジャガイモの煮物がもう半分。三段目はヨーグルトにつかったイチゴが半分で、もう半分には半月切りのトマト。ちょうど食品群別摂取量にある食べ物があらかた入っている。栄養バランスを重視するユウカ先輩らしい、いつものお弁当だ。ただ、今日は運がいいのか、ウインナーがたこさんウインナーだった。
確認が終わったので箸を取ろうとしたところで、他の四人が食券を買っていたのを思い出し、手を引っ込めた。
そこで気になったことが出てきた。さっきから四人とも一言も発さないのだ。すぐさま悪い予感が頭の中を走ったので、四人の目を見た。
四人とも目を輝かせていたし、モモイさんとアリスさんは口を閉じるのも忘れていた。 - 156小説書いてる人25/03/09(日) 12:40:38
モモイさんがじっとこちらを見つめる。すごく何か言いたそうな栗みたいな口で。
「コユキ・・・毎日これを食べてるの・・・?」
「はい。反省部屋にいるときは毎日ユウカ先輩かノア先輩のお弁当です」
四方からの声が私の耳に入ってきた。
「「「「毎日!?」」」」
一瞬耳が痛くなった。モモイさんが急に早口になって話し始めた。
「えーいいなあ!毎日こんなおいしそうなもの食べられるなんて!」
続いてミドリさんがお弁当と私を交互に見つめつつ話した。モモイさんより柔らかい笑顔だった。
「おかずのバリエーションが豊富だし、味もいろいろありそう・・・食べてて飽きなさそうだね、これ」
アリスさんはこちらに顔を押し付けるように近づいて話した。ちょっと距離が近い。
「ユウカのお弁当、とてもおいしそうです!アリスは料理でステータスが上がるゲームを知っています。コユキもきっとすごく強いはずです!」
ユズさんは震えが無くなっていて、軽いさわやかな調子の声で話した。
「こんなおいしそうなお弁当を毎日・・・コユキ、二人から大切に思われてるんだね」
当の私はというと、慣れない体験のせいで前髪をなでつつちらりちらりと四人を見ていた。熱くなっていた頬と上がっていた口角を戻そうとしたけど、なかなかうまくいかなかった。 - 157二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 12:51:51
ゲーム開発部がユウカたちの気遣いをプラス方向に増幅して伝えているのがいい方向に働いているぞ……!
- 158小説書いてる人25/03/09(日) 17:42:43
先ほどの興奮が収まって、四人の食券が料理と交換されるのを待っている間、モモイさんが私に尋ねてきた。
「そういえば、あのときにあったカードと手紙もユウカ先輩が出したもの?」
「はい」
私はカードと手紙をポケットから出して、四人に見せた。アリスさんは首をかしげたが、それ以外の三人はこれが反省部屋にあった理由を理解しているようだった。
私もアリスさんと同じように首をかしげると、ミドリさんが説明してくれた。
「コユキちゃんはお金を持っていなかったからじゃないかな。反省部屋から出ていなかったんでしょ?」
私はうなずく。
「だからユウカ先輩がそのカードをコユキちゃんに送ってくれたんじゃないかな」
私は深くうなずいた。アリスさんも納得した様子だった。
と思っていたら、アリスさんが話し始めた。
「ということは、これはユウカからのクリスマスプレゼントということですか?」
ミドリさんはもちろん、私たちにも予想外な答えだった。
「えっ?」
ミドリさんがそれに返した。
「い、いや、さすがにユウカ先輩はそのつもりで送ってはないと思うよ・・・?」
「でも今日はクリスマスイブですから、クリスマスプレゼントになるのでは?」
そういわれるとそうな気もするけど、私もモモイさんも納得がいかなかった。
「いやいや、クリスマスプレゼントがお金は・・・夢がなさすぎない!?」
アリスさんは虚をつかれたのか、口を開けたままでいた。
「・・・それもそうですね。ユウカがお金をクリスマスプレゼントにするはずがありません!」
そこにユズさんも入ってきた。
「うん。ユウカ先輩なら、もっといいプレゼントを贈るはずだよ」
アリスさんが私の方を見てくる。
「アリス、ユウカがコユキに何をプレゼントするのか気になります!コユキは何がプレゼントされたら嬉しいですか?」
急に予測していなかった質問がきてしまい、私は固まってしまった。すかさずモモイさんがフォローを入れてくれた。 - 159小説書いてる人25/03/09(日) 17:42:56
「あまり深く考えなくても大丈夫だよ、コユキ。コユキが嬉しいと思うもので、思い浮かんだものを話せばいいんだよ」
あまりフォローになっていなかった。そもそも、どういう物ならうれしいと思うのかがよくわからないのに。
中身の開かれたままのお弁当箱を眺めつつ、記憶の中を手探りで進む。私が好きなものならうれしいと思うはず。私が好きだったものは何だっけ?
一番最近のものがクリスマスのこと。その前がミネさん。その前は脱出か運試しだけど、もうやっていない。その前は・・・
「!」
嫌な記憶がよみがえって、思わず両脇を両手で丸め込む。船上のバニーチェイサー。バニー姿のC&Cから鬼のように追い回された、バニー姿の私。
モモイさんが声をかけてきた。
「コ、コユキ?そこまで悩まなくても・・・」
アリスさんもユズさんもミドリさんも、心配そうな目で見つめてくる。そのせいで胸がちくちくする。
なんでこれを思い出したんだろう?ああ、そうだ。追い回される前はなんだかんだ楽しかったんだっけ。バニー服も気に入っていたことを覚えている。
バニーというより、ウサギが。そこまで考えたときに、クリスマスの絵本の子供を思い出した。パジャマ姿で寝ていた子供。・・・そういえば、パジャマが反省部屋にはなかったんだった。
「・・・ウサギ」
アリスさんが真っ先に反応した。
「ウサギ?」
「ウサギの着ぐるみパジャマ。黄色いもの。・・・それが、欲しいです。もらえはしないでしょうけど」 - 160小説書いてる人25/03/09(日) 17:44:06
アリスさんの眉が落ちる。声がさっきより固くなった。
「そんなことはありません!ユウカはコユキを大切にしています。絶対にもらえるはずです!」
むちゃなことを言ったアリスさんを見つめる。きっと私の口はへの字になっているだろう。私の声はさっきより低く、重くなった。
「・・・無理ですよ。私なんかのような悪い子にプレゼントは来ませんから」
アリスさんの声がより強くなる。それと同時にこっちに近づいてくる。水色の目がまぶしい。
「コユキは悪い子じゃありません!人付き合いの苦手なユズとお話ししてくれるいい子です!」
ユズさんもそれに乗ってきた。
「アリスちゃんの言う通りだよ。それに・・・私がページをめくるまで待ってくれたし・・・」
ミドリさんまで加わってきた。
「計画でもアドバイスしてくれたし」
最後にモモイさんがとどめをさした。
「何より、私たちの話をちゃんと聞いてくれるしね!」
またしても私の頬が赤くなった。いや、頬だけでなく顔全体が赤くなっていたかもしれない。
「み、皆さんが言うなら・・・そうかもしれません、ね・・・」
誰かに褒められたときの感覚なんてここ最近一度もなかった。慣れない感じをごまかそうと、私はまた髪をなでた。
「には、は・・・」
よく話していた口癖も久しぶりに出てきた。ここにいるときの息苦しさが、少しだけ減った気がする。 - 161二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 21:56:53
ウサギの着ぐるみパジャマ、かあ……
- 162二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 06:05:03
コユキ(パジャマ)じゃん!
- 163小説書いてる人25/03/10(月) 06:23:54
あれから私たちはご飯を食べて、電車でトリニティ・スクエアに向かった。
スクエアの問をくぐると、そこから先は別世界のようだった。前に絵本で見た景色、それがそのまま現実にある。木組みの建物、緑色のリース、モミの木、オーナメントの光・・・。私はそのすべてが私の星に焼き付くまで見つめた。知らないうちに体が近づいていた。
四人も私と同じ気持ちだった。モモイさんは栗みたいな口を大きく開けながら歩き回り、アリスさんはその長い髪をたなびかせてもっと奥の方へと突っ走っていき、ミドリさんは同じように輝いた目をしている落ち着かせようと、ユズさんは食堂のときより軽くなった足取りでアリスさんを追いかけていった。
二人がブレーキを踏んだところで、モモイさんが普通の声で話した。
「・・・さて、景色に魅了されるのはここまでにして。スクエアの中央の噴水に行こう!」
モモイさんが「おー!」と拳を突き上げて、アリスさんも同じように「おー!」という。なんだか同じことをしなければならない気がしたで、私も同じようにした。少しだけそれより遅れて全員が同じ動作をした。
スクエアの中央の噴水は、周りから流れてくる音楽にも負けていない音を立てていた。水をアーチ状にして立たせている様子は、ここら一体で一番の存在感を示していた。
その噴水の周りで、何人かのサンタさんが一枚の紙と二つの鈴を渡している。モモイさんも気づいたらしく、私に声をかけてきた。
「あれじゃない?コユキ」
私がうなずくと、モモイさんが真っ先に、手が空いているサンタさんの方へと早歩きで向かって行った。一歩遅れた私たちは、モモイさんより駆け足でついていった。 - 164小説書いてる人25/03/10(月) 07:03:37
金色の十字架のついたリボンを右側に留め、左側にお団子のついた、肩まで届きそうな髪形のサンタさんだった。
薄いピンク色の髪と、一緒の色をした優しそうな目。赤い帽子と、スカートと一体化した赤い服を着ている。
その下には黒いタイツと、長くて白いブーツを履いている。いくつも交差したくつひもとあったかそうな裾がブーツについていて、高級感を漂わせていた。
左には赤い楽譜台があり、楽譜が留められている。サンタさんの後ろには薄いピンク色で装飾された、白いトランクケースがある。足元には大きな箱があり、くまのぬいぐるみと二つのプレゼントボックスが中から顔を出していた。
左手には赤と緑のリボン付きの金色の鈴を持っていた。同じ髪色でも、あそこまで印象が変わるんだと思った。
モモイさんが真っ先に話を切り出した。
「スタンプカードをもらいに来ました!」
サンタさんは柔らかいほほえみでモモイさんに返した。笑顔の仕方がミネさんと似ている気がした。
「かしこまりました。何名様ですか?」
「私とミドリとユズとアリスとコユキの五名様です」
順番に指をさしながら言った。私の名前を呼んだとき、サンタさんの口が丸くなった。
「まあ・・・!あなたがコユキさんですか?団長があなたのことをよく話してましたよ」
スタンプカードを受け取るモモイさんを横目に流しつつ、私は話した。
「・・・ミネさんと同じ救護騎士団の人だったんですね、サンタさん。だから鈴を持っていたんですね」
「はい。私は救護騎士団のセリナと言います。今はサンタさんのセリナです」 - 165二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 15:45:38
ハッチャ…
- 166小説書いてる人25/03/10(月) 17:49:28
「セリナさん」
そうつぶやきつつ、私はモモイさんがもらったスタンプカードを見る。ところどころにクリスマスの装飾がついた、白いカードだった。凝った模様があって高級そうな印象を与えてくる。
まじまじとカードを見ていると、セリナさんが私を呼んできた。
「コユキさん」
セリナさんはトランクケースから二つ色の違う鈴を取り出して、私の方に渡してきた。
「こちらをどうぞ」
手に掛けるためのひもがついていること以外は、セリナさんが持っている鈴と同じだった。
続いてセリナさんは、折りたたまれた紙を渡してきた。開いてみると、それは楽譜だった。
「これ・・・」
この楽譜、最近一緒に見たような気がする。
「こちらはミネ団長が買ってきた絵本に載っていた楽譜です」
ああ、だから見覚えがあったんだ。そう思いつつ、楽譜と手に掛けた鈴を交互に見つめる。
すると、セリナさんが声をかけてきた。
「鈴を鳴らしてみますか?」
「いいんですか?」
「はい。手に持って、軽く振ってみてください」 - 167小説書いてる人25/03/10(月) 17:49:38
言われた通りにやってみる。コーン、とさわやかな音が出た。心が洗われていくような、頭に残り続けるような音だった。誰かが言葉を漏らした。
「わあ・・・」
私は音を響かせた鈴をずっと見つめていた。そうしている間にも、セリナさんからの教えは続く。
「今度は、横向きと縦向きに、交互に振ってみてください」
言われたとおりに振ってみる。今度は低音と高音が交互に出てきた。私の心を揺らがせるようだった。
「振る強さを変えてみてください」
腕を小さく動かすと、鈴も小さく鳴る。逆に大きく動かすと、大きくなる。私の腕が一つの楽器になったよう。
「振る速さを変えてみてください」
遅く振ると、コーンコーンとゆったりとした音。速く振ると、コココココココとせかせかした音。
「もう一つの鈴もどうぞ。さっきの鈴とは出る音がちがいますから」
もう一つの方を振ってみると、さっきの鈴より全体的に出る音が低い。
「では最後に、楽譜の始めの方を弾いてみてください」
そう言われて、片手で楽譜を持ち、もう片方の手で鈴を鳴らす。先ほどまで自由になっていた音が、急に一つの流れに沿った。私の中で、あの絵本の雪模様が流れた。弾き終わった後も、私はしばらく鈴と楽譜とセリナさんを何度も見ていた。久しぶりに心臓の鼓動を感じられた。
「音楽堂につくまでに練習していると、いいことがあるかもしれません。それでは、スタンプラリー、頑張ってくださいね!」
そう言われて、やっと本来の目的を思い出した。同時に四人のわちゃわちゃした声も周りの音楽も入ってきた。
モモイさんの元気な声が聞こえる。
「よーし、コユキ!練習しつつ回ろうか!」
私は先を行くモモイさんについていった。 - 168二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 21:14:59
ん、続きがない!?って思ったら追い付いただけだった
夢中で読んでしまった、とてもよい……良いものだ - 169二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 06:02:16
ついにトリニティクリスマス編が本格始動した
- 170二次元好きの一般人25/03/11(火) 11:47:24
コユキの行動理由が言われたからじゃなくて、楽しいからになりつつある
- 171小説書いてる人25/03/11(火) 17:53:21
カーン、コーン、カーン、コン。心地よい音が私と四人に染みては溶けていく。雪模様が無くなるのがちょっと寂しくて、アリスさんの持つ楽譜の音符をずっと見ては腕を動かしていた。
「ごめんなさい、楽譜を持たせてしまって」
「全然大丈夫です。アリスは勇者ですから!勇者は困っている人がいたら助けるのが使命です」
「そうですか・・・」
私は小さな声でお礼を言った。
「ありがとうございます」
私のお願いをわがままだと言わなかった四人もミネさんもずいぶん優しいな、と楽譜を持ってくれたときに思った。
それを思い出していると、後ろを歩いていたユズさんが声をかけてきた。両腕と両足を体の真ん中に寄せていて、歩きにくそうだった。
「コユキ、次の交差点を右に曲がって・・・」
私は顔を上げて、ユズさんの案内通りに進む。楽譜しか見てないから、ユズさんの道案内が私の道しるべだった。
モモイさんとミドリさんはというと、ずっと私の前を歩いている。二人とも右へ左へ上へ前へ後ろへ頭を動かしながらスマホで写真を撮ってばかりいた。そのせいでモモイさんは何度か人や物にぶつかりそうになっていた。
「・・・もう、お姉ちゃん。そうやってキョロキョロしてると何かにぶつかって―痛っ!」
・・・ミドリさんが道を外れて、木の枝に頭をぶつけた。すぐさまモモイさんがミドリさんに注意した。目が細くなっていたし、どうにか平静になろうとしている口がとても目立つ。
「ほら、だからキョロキョロしているとだめなんだよ、ミドリ?」
ミドリさんがモモイさんを見た後、ぶつかった木の根元に顔を向けた。への字の口と吊り上がった眉のせいで、睨んだようにしか見えなかった。 - 172小説書いてる人25/03/11(火) 17:53:35
そんな一幕があった後、私たちは大聖堂の前についた。やっぱり何人かのサンタさんが大聖堂の前で立っていた。
モモイさんが近づいていくと、足まで届きそうなほど長い、薄い紫色のツインテールのサンタさんが小走りでこちらに向かってきた。クリスマスツリーのような色合いの袋を背負い、チェック模様のスカートに白いタイツを履き、セリナさんと似たサンタ服を着て、右手にセリナさんと同じ鈴を持ち、トナカイの角が生えたサンタの帽子をかぶっていた。よく見るとスカートにはうさぎさんがいた。
私たちのところまで来たサンタさんは、青く深い、夜になりかけの空のような目で私たちを見た。セリナさん色のハートの線がついた白いハートのヘアピンがはっきりと見える。
そして私をちょっと多く見つめたところで、私たちに向かって話し始めた。モモイさんよりさらに元気が余っているような明るい声だった。
「こんにちは!普段は救護騎士団、今はサンタさんのハナエです!」
鈴を振りながら手足を引っ込めたり広げたりととにかく動きが忙しい。こうなる前の私ぐらい動いているんじゃないかと思うぐらいにはよく動いていた。
ハナエさんが首を左右に傾げつつ私たちの前に体を出す。
「早速ですが、皆さんもここのスタンプを求めていらっしゃったんですか?」
すっかりリーダーになっていたモモイさんが返事をした。
「そうです!スタンプを押してくれますか?」
ハナエさんが二度うなずいて、右手を左肘に当て、左手を顎に当てる。
「そうしたいところですが・・・」
ハナエさんが鈴をこちらに突き出す。リリリリーン!と鈴が大きな音を出した。
「それにはゲームをクリアしていただく必要があります!」
ゲーム、と聞いた瞬間に四人の目が変わった。そういえば四人はゲーム開発部だった。
ミドリさんが切り出す。声が若干低くなっているし、背筋が伸びている。
「どんなゲームをすればいいですか?」
ハナエさんは全く動じずに返事をした。
「私についてきてください!」
大きな袋ごと振り返ると、ハナエさんは鈴を持った手を伸ばして私たちを案内した。
「こっちですよー!」
リーン!という鈴の音が後についてきた。 - 173二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 01:16:03
読むのに体力がいるけど、面白いんだよなあ。
- 174二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 05:29:08
コユキが楽しめてるなら嬉しい…
- 175二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 08:10:43
これはいい感じだね。
- 176二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 15:28:09
元気になれよ……!
- 177二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 23:29:18
コユキ、、、
- 178二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 06:53:47
にはは
- 179二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 15:04:55
ゲーム!
- 180二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 23:08:58
ミュージックベル綺麗な音よなぁ
- 181二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 05:11:47
ゲーム開発部の本領発揮だな
- 182小説書いてる人25/03/14(金) 10:53:09
ハナエさんは大聖堂近くの木の屋根の下に私たちを案内した。赤いテーブルクロスが敷かれた二つの木箱があって、その上には数色のオーナメントと銀色のカップがあった。
その前に五人分の椅子があったので、それぞれで座った。箱を挟んで、袋と鈴を置いたハナエさんがゲームの説明を始めた。
やっぱり説明の最中も身振り手振りは欠かさなかった。疲れを知らないとはまさにこういうことなのだろう。
「ここに並べられているオーナメントを、今からカップに入れます。私がカップを動かすので、どのオーナメントがどのカップにあるかを当ててください」
並べられているオーナメントの数はちょうど私たちの人数と同じ五個だった。
人が少なくなったからか、少し緊張がほどけたユズさんが言った。
「一人一つ覚えればよさそう」
さっきまでからは考えられないほど落ち着いた声と整然とした様子で、私は両腕を脇に寄せた。
続いてミドリさんが補足した。
「椅子に座っている順番の通りに覚えればよさそうだね」
ということは、私は真ん中のオーナメントの紫色を覚えていればいい。
私は両隣の四人の顔を見た。四人も私を見てうなずいてくれた。
ハナエさんが両袖をまくって話した。
「では、始めますか?」
モモイさんが言った。
「はい!」 - 183二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 15:57:06
掲示板不安定な中更新お疲れ様です
- 184小説書いてる人25/03/14(金) 18:42:08
ハナエさんが動き回って両腕を素早く動かす。これまでの動きから予想はしていたけど、気を一瞬でも抜くとすぐさま見失ってしまいそうな速さだ。
しかし私も脱出の銃撃戦で動体視力は鍛えらえている。ドローンの銃弾宙返り三回横ひねり五回回避法に比べたらこの程度怖気づくまでもない。
しばらくたって、ハナエさんが手を止めた。そしてこちらに掌を見せた。
「さあ、どのオーナメントがどのカップにあるでしょう?」
私たちは並んでいる順番に言った。
「青色が三番目です!」
「緑色が四番目です」
「紫色が二番目です」
「桃色が一番目!」
「赤色が・・・五番目、です」
ハナエさんが漫画なら「むむむ・・・」と効果音がついていそうな顔でカップを見る。
すると、青色の目を輝かせて鈴を大きく振った。
「正解!正解でーす!!」
カラン!カラン!カラン!と祝福の音が鳴る。それを聞いて肩から全身の力が抜けていった。
「ふう・・・」
思わず息を吐くと、誰かが肩を叩いてきた。振り返ると、モモイさんが歯をむき出しにして笑っていた。
「やったじゃん、コユキ!一発クリアだよ!」
私は私の星の輝きをみんなに返した。
「・・・やりました」
そう言って椅子から立ち上がって、スタンプをもらおうとするアリスさんや感想を伝え合っているミドリさんとユズさんを見渡していたとき。
頭を上げると、屋根に書かれていた文字に目が止まった。思わず内容を口に出していた。
「ハードモード・・・景品つき・・・?」 - 185二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 02:02:53
おや
- 186二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 07:00:42
景品…でもハードモード…
- 187二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 13:12:20
高難易度とは…そそるではないか
- 188二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 18:08:30
待ちます
- 189二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 00:10:01
みんなが笑顔でおわれるお話が好きなので続けー
- 190二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 06:46:17
そろそろ埋まりそう…
- 191二次元好きの一般人25/03/16(日) 11:30:32
保守。次スレ立てた方がいいかな?
- 192小説書いてる人25/03/16(日) 11:44:51
次スレを建ててくださるとうれしいです。
それと、次の金曜日(3/21)まではリアルが忙しくなるのと、生活リズムの乱れを直すことがあるので更新が難しくなります。その間の保守はよろしくお願いいたします。 - 193二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 16:52:39
オーケー、持たせるのは任せてください