- 1二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:49:09
「覚えてるのかって? 一応ね。ええと、先生は私が何をしたか知ってるよね?」
「うん。ミレニアムを襲った時に反撃して来たんだ、生徒会長が」
「凄く印象に残ってるよ……あの人は」
「他の生徒会の人を抱えながら、ミレニアムは私が守るって……そう叫んで来たんだ」
「とても眩しかったな。今思い出すと、羨ましい」
「あの時の私は、自分にそんな資格は無いって思ってたからさ。でも……私も、自分の学校を守るんだって戦いを挑む側になりたかったかな」
「戦いの様子? 凄かったよ。足を、腕を、頭を割っても、機械と自分の体を繋げて動き続けたんだ。アバ、なんだっけ。兎に角沢山兵器が出て来て、一寸手こずった」
「最期は……そう、なんだか駄々を捏ねる子供に見えたよ」
「ごめんね、こんな話を聞かせて……ごめんね、ありがとう、先生」 - 2二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:50:07
- 3二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:50:31
可哀想なのは抜けない
- 4二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:50:54
リオお前やっぱ勇者だよ……
- 5二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:51:06
プレ先世界ってテラー化する以前に怪奇現象まみれになってたけどなあ
- 6二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:51:24
可哀想だけどどこまでもリオらしいというか…
最後どうにもならなくても必死にワガママ言う子供みたいになっても抵抗する意思は潰えなかったって思うと… - 7二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:51:56
なんでこの普通のクロコが直接滅ぼしたみたいな認識になってるんだろう
- 8二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:52:26
意思はないけど記憶はあるんちゃう多分
- 9二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 11:59:04
ミレニアムがシロコテラーに襲撃されたのを知って急いで帰ってきたリオだけど間に合わず皆を守るべく奮闘していたアリスが目の前で完全破壊されてしまうんだ
- 10二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:07:25
クロコが全部滅ぼしたとかいうアビドス最強厨御用達のネタ
実際は先生不在で日数経過したせいで特異現象捜査部がリオと合流しないまま全滅してリオも責任感じて解決しようと単身向かってバッドエンドとかやろまあ - 11二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:10:10
苦しい…
私は生徒が残酷な最期を遂げたと聞くと息ができなくなる先生なんだ… - 12二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:14:07
・ホシノテラー
・セトの憤怒
・異常現象
・シロコテラー
・プレナパテス
向こうの滅亡要素って何でこんな多層構造になってるんですかね - 13二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:15:02
まあクロコは最強でしょ王女除いたら
- 14二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:17:33
(D.U.のある路地裏、シャーレの帰りにふと立ち寄るシロコ✴︎テラー)
(見覚えがあるような、無いようなドローンを見かける)
(取り敢えず持って帰ろうとするシロコ✴︎テラー)
シロコ✴︎テラー(ん……重い、仕方ない。直そう)
(持ってた工具箱から道具を取り出し修理を始めるシロコ✴︎テラー)
シロコ✴︎テラー(思ったより凄い、これ。かなりの高機能、これは掘り出し物を見つけた)
『──そこに誰かいるのかしら』
シロコ✴︎テラー(ん? このドローンからかな、声が聞こえる)
『ごめんなさい、カメラ機能がまだ復旧していなくて。もう少し待って貰えるかしら』
シロコ✴︎テラー(どうしよう。これ欲しいんだけど)
(修理から内部構造の把握に移りつつあるシロコ✴︎テラー、幾つものドローンに囲まれる)
『貴方は確か……』
シロコ✴︎テラー「ええと……これ、落ちてたんだ」
『不良達と交戦したのは知ってるわ、だからそれを回収したいの』
シロコ✴︎テラー「……これ、落ちてた。私拾った、貰っていくね」
『ちょっと待ってちょうだい。私が持ち主よ、返して』
シロコ✴︎テラー「あなた、ドローンじゃない。それに応急処置したのは私、私にも貰う権利がある」
『……分かったわ、ついてきてちょうだい』
(移動を始めるドローン達、ついていくシロコ✴︎テラー) - 15二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:24:12
半分ぐらいアビドス由来なのちょっと厄ネタすぎない?
- 16二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 12:42:48
(ドローン達に案内され、何処かのアジトに辿り着くシロコ✴︎テラー)
(その奥、ドローン達の主人がいる部屋に入る)
シロコ✴︎テラー「……誰、だっけ?」
リオ「そう、貴方は私に覚えが有るのね。それよりも、私のAMASに応急処置をしてくれた事に感謝を。ついでに欲しいと言うけど、理由を教えて貰えるかしら」
シロコ✴︎テラー「バラす。使えそうな部品はうちで使ったり、売ったりして生活費や学校のお金に使う。そのドローンはとても性能が高いし、そのままうちの学校に寄付してもいい」
リオ「……貴方の学校、アビドスね。ドローンを高く評価してくれた事に関しては、ありがとうと返すわ。でもこれはミレニアムの物よ」
シロコ✴︎テラー「ミレニアム……あ。貴方が、調月リオ。そう……で、そのドローンはくれるの?」
リオ「どうあってもドローンが欲しいのね、渡すのは無理よ。だけどまあ、設計図を見せるなら……お礼としてなら、構わないわ」
シロコ✴︎テラー「……部品は?」
リオ「それも欲しいの?」
シロコ✴︎テラー「設計は大体わかった、一番欲しいのは部品」
リオ「……それは本体を譲るのと変わらないわ」
シロコ✴︎テラー「じゃあ全部じゃなくて良い、一部で良いから」
リオ「……まあ、それなら。あと、ってちょっと待って。何をしているの?」
シロコ✴︎テラー「ゴミ山に部品があるかもと思って」
リオ「待って、譲る部品はこちらで選ぶから待ってちょうだい」
シロコ✴︎テラー「ところで、このゴミの山は? ペットボトルと弁当箱だらけだけど……掃除してないの?」
リオ「片付いてるわ」
シロコ✴︎テラー「これは片付いていると言わない。ん……じゃあゴミを片付けるから代わりに、この自立型戦闘ドローンを一機ちょうだい」
リオ「不要よ、後掃除の報酬を吹っかけないで」
シロコ✴︎テラー「ケチだね」
リオ「それはミレニアムの物よ、簡単に部外者へ渡せないわ」
シロコ✴︎テラー「……ミレニアム校章がくっ付いてるね、まあこれぐらいどうにでも出来る。なんならアビドス校章に変えるくらい造作も無い」
リオ「……貴方、機械弄りが得意なの?」
シロコ✴︎テラー「ん、専門家」
- 17二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 13:39:44
リオ「ドローンをバラす、と言ったわね。バラしてどうする気だったの?」
シロコ✴︎テラー「色々。自分の家をもっと良い環境にしたり、砂漠探索にも丁度良さそう。アビドスは万年人手不足だからね、ドローンは一機でも多く欲しいからバラして量産するのもあり」
リオ「……ミレニアムの技術を盗むつもりかしら、悪いけどそれはちょっと待って、それは工具よ。そっちは実験器具だから変に弄らないで」
シロコ✴︎テラー「ん……そういう台詞は自分で片付けられるようになってから言って、それにゴミじゃ無いのは見れば分かる。ペットボトルと弁当箱のゴミはこっちで片付けるから」
リオ「ちょっとまっ」
(響くリオの腹の音)
シロコ✴︎テラー「……夕飯時だからね、ついでに夕飯も作るよ。食べたいの、何かある」
リオ「……半額の唐揚げ弁当を買ってきてくれるかしら、それとゴミを出す時は」
シロコ✴︎テラー「ああ、隠れ住んでるものね。分かった、バレないようにする」
(そう言って大量のゴミ袋を持って出ていくシロコ✴︎テラー、そして買い物袋を手にドローン達に案内されて戻って来る)
リオ「弁当は」
シロコ✴︎テラー「少し待って」
(暫くすると揚げたての唐揚げとご飯やサラダに味噌汁の定食一式を持って来るシロコ✴︎テラー)
リオ「……半額弁当良いのに」
シロコ✴︎テラー「ご飯はきちんと食べるべき、その方が合理的」
リオ「合理、的?」
シロコ✴︎テラー「合理的。食事はしっかり摂って運動した方が頭の動きがいい、半額弁当を食べるよりもずっと合理的」
リオ「……頂くわ」
シロコ✴︎テラー「ん」
(その後、リオから設計図と戦闘用AMAS一機分の部品を貰いつつシロコ✴︎テラーは帰った)
- 18二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:20:38
「やあ、また来たよ」
「……どうやってこの場所を」
「先生に聞いた」
言いながら買い物袋を持って入るシロコ✴︎テラー、リオは涼しい顔のまま冷や汗を浮かべつつ。
「確かに先生が来ると聞いて教えたけど、何の用かしら」
「半額弁当を食べてるだろうから夕飯作りに来た、後アビドスに落ちてる部品じゃ再現出来ないからもうちょっと部品を貰いに来た」
「……あの、AMASは一応ミレニアムで出来た物なのだけど。確かに設計図や部品の提供はしたけど」
「だから唐揚げ定食を作るけど、代わりに」
「待ちなさい、それとこれとは」
部屋に落ちてるゴミ袋をどかしながらシロコ✴︎テラーは部屋の中を進んでいく。
「ところでAMASだけど、これだけドローンがあるのにゴミ捨て用は作らないの?」
「……不要よ、これで十分片付いているわ」
「ん……これは片付けたと言わない。何なら作ろうか?」
「……作れるの?」
「うん。AMASの作り方は大体わかった、空のペットボトルだけを回収して洗って中で圧縮しておく機能を付ければいい。部品をくれれば私が作るよ」
モニターの前で無表情かつ無言で立ちシロコ✴︎テラーを見るリオ、やがてモニターの方へ向き直ると。
「設計図や開発はこちらで出来るわ、空のペットボトルだけを対象に回収、洗浄、圧縮する機能を持たせたAMASね。合理的とは思えないけど」
「あればこんなにゴミ袋の山を作らずに済む、ずっと合理的」
「合理的……そう、かしら」
「ゴミが沢山あると動きづらい、生活環境が悪くなる。自分で出来ないなら、出来る機械を作るのは合理的」
「……そうね、確かに合理的ね。早速作ってみるわ」
シロコ✴︎テラーは買い物袋を持って別の部屋へ向かい、唐揚げ定食を作ってリオと食事するのだった。 - 19二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:35:06
リオはそういうことする
そういう所が好き。 - 20二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:36:54
ホシノ・テラーとセトの憤怒がぶつかった時点でとんでもねえことなったっぽいかんね……
ただ一方でほぼ同タイミングだったろう先生の寝たきりから二ヶ月半経っても報道が生きてる程度には社会も保たれてたようだから、可能性としては確かに存在する話だと思うよこれ
- 21二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:40:59
「出来たわ、ペットボトル専用収集AMAS」
「こっちも出来たよ」
モニター前のキーボードを只管叩き続け、画面に注視していたリオはシロコ✴︎テラーの声に反応して振り返ると。
「……何をしているの?」
「ん……空の弁当箱を回収して圧縮する掃除用ドローン、材料はそこらの機械から貰った」
シロコ✴︎テラーが指差す先、バラバラに解体されたAMASが。
「ちょっと待ってちょうだい!? それAMASじゃない、勝手にバラさないでくれる!?」
「大丈夫、私好みになるけど残ったドローンはこっちで組み直すから」
「待って!? 勝手な事はやめてちょうだい! 大体組み直すって、タイヤはどう代用する気!?」
「ん……ジャンプの為に噴射機が付いてるから、それで低空飛行させて移動させる。その為に軽量化させたり小型化させる、大丈夫。構造は把握してる、何なら前の状態よりも性能を上げられる」
「ちょっと待ってちょうだい!?」
シロコ✴︎テラーの手を止めようとするリオ、だが当人は気にせず持参した荷物の中から色んな部品を取り出して作業を開始。
「それは?」
「アビドスで拾ったドローンの部品、これで出力を上げる」
「大丈夫なの?」
「問題無い、機械弄りは得意。既にAMASの改造案は幾つかある、前よりも機能が上がるはず」
「……信じられないわ、これ以上の機能をどうやって」
疑問を口にしながらシロコ✴︎テラーの作業を眺めるリオ、シロコ✴︎テラーは迷いの無い手付きでドローンを組み上げていく。
- 22二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:44:28
「これで以前より性能が上がるのかしら、低下してるようにしか」
「以前のAMASは少し機動力が低めだったから、装甲を削って高機動にする」
「それは悪手よ、性能が下がるわ」
リオの言葉にシロコ✴︎テラーは首を横に振り。
「素早く動くほうが合理的、装甲は傷付けば減る物。だったら薄くして動きを早くするべき、その方が合理的」
「待って、それは非合理よ。幾ら素早くしても脆くなるなら本末転倒だわ、装甲はある程度厚くするべきよ」
「ん……なら当たらないように動くドローンにすればいい、その為に浮遊させて狙いづらくさせる」
「……そうは言うけれど、出来るの?」
「ドローン弄りは得意分野、任せて」
そう断言するシロコ✴︎テラー、リオはそのまま彼女の言葉を飲み黙って見守り続ける。やがて出来上がったのは元の形より大きさが半分に、そして飛行タイプのドローンだ。
「アームは無いの?」
「ゴテゴテと別機能を持たせるのは非合理、軽量化も兼ねて銃撃と高速移動に特化させた」
「確かに、これは私の基準とは違う合理的な設計ね」
「私もドローンは持ってる、機能は少なくて良い。そのドローンを使う側が幅を広げれば良いからね」
「……使う側が、幅を広げる」
リオはシロコ✴︎テラーの言葉に考え込む。
「それに元々の設計が非常に優れてる、リオの作ったドローンが凄いからこう言う改造案が試せた。ミレニアムの生徒会長は凄いね」
「そ、そう。ありがとう、そう言って褒められるとは思ってなかったわ」
「どうして? 生徒会長なら、もっと沢山褒められるはず」
「いいえ、私を褒める人は殆どいないわ」
「……ん。じゃあ私が褒める、調月リオは凄い人。とても優れた生徒会長だよ、ミレニアムの生徒達も自慢に思っている筈」
シロコ✴︎テラーの称賛にリオは何処かくらい表情を見せる。
- 23二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:53:53
「そんな事は、無いわ……私を嫌う生徒の方が多いわ、好いてる生徒なんて。いる筈が」
「私は好きだよ、リオ」
「え?」
「これだけのドローンを作れて、操れる。ミレニアムを守る為ならどんな相手にも立ち向かえる凄い生徒会長、だから自信を持って良い。貴方はミレニアムの誇りだと思うよ」
「そう、かしら……」
俯くリオに、シロコ✴︎テラーは。
「私はそう思ったよ、私には……学校を守る為に立ち上がる事さえ、出来なかった」
「……そう、ね。ありがとう、面と向かって言ってくれて。初めて、生徒会長として褒めて貰えた気がする」
「そんな事ない筈、貴方はもっと自慢されて良い」
「そう、かしら……そうだと、良いわ」
出来上がったドローン達に改めて目を向けるリオ、近付いて調子を確かめる。
「問題なく動いているわね、少しテストしてみるわ」
「結構自信がある、何度も言うけど改造元の出来が良い」
「そうね」
自慢げなシロコ✴︎テラーの言葉に、リオは少し微笑んで返した。
- 24二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 07:43:38
>>1の内容とSS、関係性があるのは良いけどちょっとズレてる感があるな……
- 25二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 09:35:02
「ねえ、ここはジムとか無いの?」
「スポーツジムかしら、ある訳ないでしょう」
「なら作るべき、こんな所に引き篭もるのは良くない。非合理的」
「……運動なら、しているわ」
「歩き回るだけを運動とは言わない。部屋が余ってるなら簡易的なスポーツジムを作っておこうか?」
「不要よ、このアジトにいつまでも居る訳ではないもの」
「なら余計にジムは必要、各アジトに設置しておくべき。その方が合理的」
「……合理的」
「ん。健康的な食事、運動は良いアイデアを生むのに必須。ここに閉じこもってモニターを見続けるのは非合理的」
「……そう、ね。貴方の言う通りかも知れない、ランニングマシンくらいは置いておこうかしら」
「なら用意する、こう言うのは得意」
「随分機械いじりに詳しいのね」
「生きるのに必要だったから、今は自分の家を快適にしている」
「自宅にジムがあるの?」
「うん、自信作」
「材料は何処から?」
「アビドスを歩き回れば幾らでも落ちてる、大昔はキヴォトス一の学校だったから物だけは多い」
「……なるほど、アビドスにも一度調査に行くべきとは思ってたけど……その時は貴方の協力が必要みたいね」
「ん。何ならアジトも提供する、アビドスは廃ビルが沢山あるから隠れ住むのに適している」 - 26二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 13:13:16
アビドスにAMASがうろうろしてたらホシノに狩られそう
- 27二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:10:16
「そういえばだけど、貴方のことはなんて呼んだら良いの?」
「好きにして良い。シロコでも、強シロコでも、大シロコでも、成熟シロコでも、強い方のシロコでも、出来る方のシロコでも、大きいほうのシロコでも……リオが好きに呼んで」
「……大分偏った呼び方ばかりね。そうね、私は基本的に隠れ住んでいる。こちらの砂狼シロコとも、まともに接触することは無い。だから、シロコと呼ばせて貰うわ」
「ん。分かった、つまり私は真シロコで」
シロコ✴︎テラーの物言いに、リオは僅かな笑みを浮かべる。
「どうかしたの?」
「いえ、あるメイドを思い出したの」
「メイド? ああ、ミレニアムの特殊部隊だっけ。名前は覚えてないけど、大事な人だったの?」
「そうね、私の為によくしてくれたわ。向こうは、そう思っているかは分からないけれど」 - 28二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:13:55
「リオ様が私の事を酷い誤解をしてると言う直感が来ました!」
「部長、トキが意味のわからないことを言い出した」
「ん! 今でぶシロコが有る事無い事を他人に吹聴してると直感がきた、直ぐに訂正させるべき」
「いや何言ってるのよシロコ先輩……」 - 29二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:22:25
- 30二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 08:06:55
「隠れ住んでるなら、食材はどうしてるの?」
「通販は当然、AMASに買い物をさせるのは目立ち過ぎる。だから、私が買いに行ってるわ」
「だったら自家栽培するべき、機械に世話を任せれば良い」
「……確かにその考えはなかったわ。でも、直ぐに出来るものではないし。それに私は一つのアジトに留まり続ける訳でもないから、難しいと思う」
「だったら複数作って、移動させるか各アジトに配置するべき。その方が合理的」
シロコ✴︎テラーの『合理的』と言う言葉に反応を示すリオ、それは彼女が長い間愛し続けた言葉なのだ。
「……合理的。そうね、確かにシロコの言う通りだわ。早速試してみましょう」
「ん。設計なら大体浮かんでるよ、今から作る」
「ふふ。流石ね、そうね。じゃあ試作機はシロコにお願いするわ、出来上がった物を私が調整する。どんな部品が欲しい?」
シロコ✴︎テラーの指示を受けてリオは手持ちの部品を提供、受け取った彼女は瞬く間に組み上げて行く。そして一機組み上げると、シロコ✴︎テラーはまた別の機械を組み上げ始める。
「何を作ってるの?」
「これには野菜を育てさせる、今作ってるのは収穫して保存する方」
「分担させるのね」
「隠れ住んでるし、役割は特化させて小型化させた方が良い。その方が」
「確かに、合理的ね。分かったわ」
その後、シロコ✴︎テラーが組み上げた機械の仕上げをリオが担当。出来上がった物は『自家栽培型アバンギャルド君ver1』『自家栽培型アバンギャルド君ver2』となったと言う。 - 31二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 13:13:58
クロコと言うか、シロコは割と素直で目的に一直線だからリオと絡ませると『こっちの方が合理的』って言っちゃうしリオも『合理的』って言葉に反応して好意的に考えちゃうからある意味合ってるんだな
主にリオの自己肯定感底上げとしては
リオの場合、面と向かって優しめに『お前を認めてるし凄いと思ってる』と根気よく諭さないと人の肯定意見を受け入れない所あるから。そう言う意味ではネルやアスナとは上手くやれたけど、ヒマリの相手は疲れるし病んでる時だと余計にネガティブになる要因となる - 32二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:06:25
「リオ、夕飯出来たよ」
「ありがとう、シロコ」
リオはモニター作業を止め、食堂へと移動する。シロコ✴︎テラーが用意した夕飯一式の前へ座り。
「今日は竜田揚げだよ」
「いつもありがとう、シロコ……凄く美味しいわ」
「うん、今日はリオ好みの味付けにしておいたからね。美味しいはず」
「私好みの、味付け? そこまでしてくれたの?」
「うん。やっぱり好きな味付けにした方が元気が出る、それが合理的」
僅かに震える手で竜田揚げを口にするリオ。
「ええ、とても美味しい。私の好みなんて、よく分かったわね」
「反応を見ればすぐ分かる、好みの味付けはやる気が出るし合理的。何かをするのに、まず元気でいることが一番合理的」
「そうね、最近貴方と一緒のいるようになってから感じるようになったわ。元気でいる事が、一番合理的だった……私が気付かないなんて、いえ。私自身が元気の定義自体、知らなかったのね」
「ミレニアムの人なのに、こんな事に気づかなかったの?」
「寧ろミレニアムの生徒だから、かも知れないわ。数値上では幾ら健康でも、気分が良くて体が活発でなければ元気でも健康とも言えない。そんな単純なことさえ、気付かないだなんて」
言いながらリオは、もう一度竜田揚げを口にする。
「美味しい、本当に美味しいわシロコ」
「ん。そこまで喜んでくれるなら作った甲斐がある、だけどメイドさんは作ってくれなかったの?」
「……作ってはくれたけど、好みまで把握してたかは。彼女の事自体、弱みに漬け込むように手元に置いていたから私の事を嫌っているでしょうね」
「気になるなら会った時に聞いてみれば良い、聞くならタダだよ。うん、それが合理的」
「合理的……ええ、そうね。そうしてみるわ、ありがとうシロコ」 - 33二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:47:36
- 34二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:04:58
- 35二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:48:19
- 36二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:07:46
クロリオ(シロリオ?)って考えてみると割と相性いいんだな……
- 37二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:14:41
クロコとリオは互いにバレンタインを送り合うのか
ここのスレ的には多分
「やあリオ、来たよ。夕飯作るね、後これ」
「……チョコレートバー?」
「うん、今日バレンタインだから。ドローンの部品とか、見せて貰ってるお礼」
「……それは、どちらかと言えば私の方では」
「まあまあ。リオはチョコを用意してないでしょ? 別に良いよ」
そう返して厨房へ向かうシロコ✴︎テラー、その背中を見送るリオ。やがてシロコ✴︎テラーがリオを食堂へ呼び、二人は唐揚げ定食を食べ始める。
互いに食事を食べ終えた時、リオが少しだけソワソワし始めて。シロコ✴︎テラーも気付き、首を傾げる。リオは言いたい事はきっちり言う人、そう思ってるシロコ✴︎テラーは何を言うのか待っていると。
「あの、シロコ。これ」
「ミレニアムの校章、のチョコ? どうして」
「え、ぇと。元々は、私なりに今日という日を解釈して。それでその、先生に贈るチョコを考えて。それで、作ったの」
「……試食?」
「先生には、既に渡したわ。その、これは、何て言うのかしら。貴方の、分よ」
「私?」
「……ええ。貴方に贈る、チョコよ。貰ってばかりでは悪いから、もう一個用意したわ」
何処か歯切れ悪く語るリオ、シロコ✴︎テラーは無言で。しかし、僅かな笑みを浮かべながらチョコを手に取り。
「ありがとう、リオ。貰っておくね」
「え、ええ。なぜかしら、先生に渡す時もそうだったけど……なぜか、私は『恥ずかしい』と感じているわ」
「ん……友達に感謝を伝えるって、確かに恥ずかしいね」
そう言って、シロコ✴︎テラーは立ち去っていく。何を思ったかは置いておくが、彼女はチョコを渡すリオの顔は決して見なかった。
こうだろうか - 38二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:15:53
(このスレってシロコ✴︎テラー×リオを妄想するスレなのか……?)
- 39二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:58:43
「ねえ、リオ。ジムを作ってから運動はしてる?」
「ある程度は、確かに軽い運動をしながら考えを纏めるのは改めて体験すると良いものね」
「そうなんだ、体力とかに自信はある?」
「申し訳ないけれど、本格的な運動は無理よ。あくまで少し身体をほぐすと言うか、気分転換くらいの軽い運動だけだわ」
「そう」
僅かに気を落とした声を出すシロコ✴︎テラー、そんな彼女にリオは。
「どうかしたのかしら」
「ん……実はライディング部を立ち上げたんだけど、部員が二人だけなんだ」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは僅かながら困ったように眉を顰め。
「……アビドスなら、仕方ないのでは?」
「うん、だから他校生も受け入れて水増ししようかなって」
「大分グレーなやり方ね」
「ちなみに部員は私とちびシロコだけ」
「想像以上にグレーな手段ね、実質部員は一人だけなのでは?」
流石にリオも呆れて溜息を漏らしながら返す。
「そこでリオも良ければ、と思ったけど厳しそうだね」
「ええ、悪いけどライディング部に入る程の体力は無いわ。それに興味もあまりない、だけどそうね。他校生でも良いと言うなら、運動好きなミレニアム生徒を教えることは出来るわ」
「……本当?」
「ええ、ただその場合。アビドスの部活より、おそらくシャーレの部活になるでしょうけれど」
「ん……ちょっとちびシロコと相談する、ありがとうリオ」
シロコ✴︎テラーの感謝にリオは短く会釈を返した。 - 40二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:41:29
- 41二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 00:16:18
リオとお揃いな防寒コートで登場するシロコ✴︎テラー
ヒマリの車椅子を見て目を輝かせながら全体を舐めるように観察して
「これ、どういう仕組み? とても興味深い」
「おや、気になりますか? ええ、何せこの超天才病弱美少女ハッカーである私の車椅子ですので」
とか言っちゃうけど、クロコの場合『病弱』って聞いた辺りから「こんな寒い所にいるのは良くない、帰るべき」って突っ込まれそう
ヒマリがあれこれ言っても「身体が弱いなら現場に出て来るべきじゃない、非合理的」って返して聞く耳持たずで「くっ、リオの同類ですか!」って叫ぶヒマリが居そう
最終的にはリオが『車椅子の設計図』『車椅子の複製品』を取引材料にクロコを落ち着かせて締めになりそう
- 42二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 00:38:01
- 43二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 06:41:16
(でもシロコ✴︎テラー×リオはデータに無いし、ある意味良いのでは?)
- 44二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:42:23
「……シロコ、貴方に渡したい物がある」
「何?」
渡された、と言うよりシロコ✴︎テラーの持つスマホに地図データが送り込まれる。内容を見て彼女はすぐに内容を理解しつつ、しかして理解に苦しむ。
「これってリオのアジトの場所? 全部じゃないだろうけど、何故?」
「そろそろアジトを移動するわ、だから貴方とは位置情報を共有しておこうと思ったのよ」
「態々そんな事しなくても良いのに、場所ならドローンで案内してくれれば」
「貴方のおかげで私の生活水準は大分向上したわ、そのお礼よ。それにシロコなら悪用しないと、信用出来るわ」
「まあ、私自身もリオの居場所を教える相手なんて早々居ないからね。ミレニアムに知り合いも居ないし、ああ。居ても先生くらいかな」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは苦い顔を浮かべる。
「悪いけど、先生には」
「言わないよ、大丈夫。先生はこう言う隠し事って、多分苦手」
「……そうね、シロコはそうだったわ」
「じゃあ、有り難く貰っておくね。引越しの手伝いは必要?」
シロコ✴︎テラーの視線はAMASへ向く。彼女自身の手伝いもそうだが、必要なドローンは足りてるかと言う意味の方が強い。
「問題無いわ、私の行動拠点が変わるだけだもの」
「なら良かった。じゃあリオ、また」
「ええ、また」 - 45二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:33:22
何かこの概念好きだわ…
- 46二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:55:39
ただ、リオから事前に『リオはミレニアム生徒達に嫌われてると思ってる』と言う前提の下でヒマリに会っちゃうと『えっ、リオ程の生徒会長が本当に嫌われてるの? ミレニアムって大きな学校だから、基準が違うのかな?』ってなるシロコ✴︎テラー
ただ真逆の反応をくれるトキとアリスが居るか『やっぱりリオは凄く好かれてる、立派な生徒会長だから当然』って我が事のように誇らしくなってるシロコ✴︎テラーは居る
- 47二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:04:51
シロコ✴︎テラーが手掛けるAMASが全て
・AR装備に爆装した小型飛行ドローンと連携するタイプ
・AR装備に一定時間出力を上げられる機能があるタイプ
・重装備のミニガン装備タイプ
・重装備で盾とセミオートショットガンを装備したタイプ(サブウェポンに拳銃付き、実は重装甲をパージして軽装備に変更して高速機動が出来る)
・ドローン修理が出来るキットを装備した小型飛行ドローン
って感じで『対策委員会をベース』にしてる奴だと胸が熱いよね、クロコにとって最も連携が取れる最高に合理的な編成。何ならクロコはシロコベース以外は装備を借りて似た事が出来る、みたいな
まあ対策委員の戦術がリオに伝わってしまうけど - 48二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:58:13
AMASの戦闘データに使ったのはクロコの知る対策委員の戦術
その一方で自分が仮想敵になってこっちの対策委員には新しい別の戦術を編み出させる……とかで大丈夫、って言いそう。時々ホシノもクロコ側について扱いたりしてそうだな、それ
- 49二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:23:28
何かこのスレ世界のクロコは呼び出された上で密かにリオと共に氷海に来てそう…
もしくはアビドス3章みたいにワープのヤツで来るかね…? - 50二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:46:01
リオがシロコを呼んで先生が『何でシロコ? 対策委員が居るのかな?』と思ってたら出て来るシロコ✴︎テラーに色々びっくりしそう、まあうん。普通に考えて接点何処だよってなる
まさかひょんな事からエンジニア繋がりで仲良くなりましたは先生も予想外だよ、まあ他所の世界から来て友人がほぼ居ないだろうシロコ✴︎テラーや隠れ住んでて交友断ってそうなリオが互い仲良くなって友達になってるのは先生喜んでそう
うん……プレ先から託されたシロコが、この世界で自分で同じ趣味(?)の友達を見つけてエンジョイしてるのは本当に嬉しい話。リオもリオで、手放しにリオを認めて讃えてくれる友達を見つけて楽しくやってるのも先生的に嬉しい話
- 51二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 07:33:03
リオはキヴォトスの危機に備えて行動してるけど、クロコの行動理由って借金返済や母校復興とかだから噛み合わないと普通思うよね……多分AMASの構造を知ってする事は日常生活かアビドスの発展くらいかな、リオも流石に技術の流出と言うか売却は止めるよう言ってるだろうし
AMASを砂漠仕様にしてアビドス砂漠へ放ち、砂漠の宝探しに役立ててるとか? 割とありそう - 52二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 15:09:37
なるほど、そうなるか…
- 53二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:15:15
「そういえば、シロコは普段何をしているの?」
「アビドスを彷徨ってるかな、アビドスには色んな物が埋もれてるから掘り起こして修理すれば売り物になる。何なら、アビドス高校の設備にだって活用出来る。その為に、AMASが欲しかったんだ」
リオの質問に答えるシロコ✴︎テラー、彼女は自分で持って来た機械を弄っている。
「アビドス高校に寄付して、どう活用する気だったの?」
「色々だよ。アビドスには借金もあるし、生徒数が少ないから無視してるけど設備もギリギリ。だからドローンを幾つか寄付して学校再建に役立てたい。あと、借金以外にも生活費の足しになる」
「なるほど、AMASの技術がそう言うふうに使われてるのね」
「今作ってるのは、砂漠用探査機。アビドスは数年前、砂漠で遭難して亡くなった人が居るからね。砂漠には暴れている機械や、色々な物が埋まってるから探査機が幾つかあると助かる」
「……なるほど、貴方に機械工作の技術があるのは本当に必要だったからなのね」
リオの言葉に作業しながら頷き返すシロコ✴︎テラー。
「アビドスは砂嵐のせいで頓挫した建築計画や、放置されたビル群。会社がある、一部は中でドローンが今も活動してるから手伝いの為のドローンもあると助かる」
「まさか、廃ビル探索も一人でやってるの?」
「うん。手伝って貰える伝は無いからね、と言ってもほんの少しだけだけど。よし、出来た。砂漠の様子を見て危険を知らせるドローンが幾つかあれば、砂漠で遭難する人は減らせられる」
「AMASを欲しがる訳ね、シロコはこれから探索に向かうの?」
「もう少し準備が要る。アビドスの探索は広過ぎるから、一人で動くにも大変なんだ。もう夕飯時だね、唐揚げを作ってくるよ」 - 54二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:19:22
- 55二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:19:47
そう言って厨房に向かうシロコ✴︎テラー、その背をリオは意味深な視線を向けている。暫くしてシロコ✴︎テラーに呼ばれ、厨房で一緒に食事をとるリオ。
「……シロコ、貴方のおかげで私の生活水準は非常に上がったわ」
「うん。こっちも助かった、AMASは非常に良く出来たドローン。あれだけ完成度が高い物をアビドスでも使えるようにしてくれたのは本当に助かる」
「だから、そう。そうね、そのお礼と言うわけではないけれど……アビドスの探索、私にも手伝わせて貰えないかしら」
「ん。どうしたの? 手伝ってくれるのはありがたいけど、そんなに礼をされる程でも」
「私自身、アビドスの調査には興味がある。貴方さえ良ければ、私もアビドスの調査を手伝わせてちょうだい」
リオの問いにシロコ✴︎テラーは一度箸を置き、空の食器や皿を洗い場へ持っていくと。
「じゃあお願いして良い? 儲けは半々で」
「ええ、それで良いわ」
「じゃあ宜しくね、リオ。後で日程と、アビドスの隠れ家を作って場所を教える」
「そこまでは」
「させて欲しい、友達の為に。大丈夫、リオが来るなら丁度良いと思ってた場所が幾つかある。待っててね」
何処か弾んだ声で語るシロコ✴︎テラー、リオは短く返事をしするのだった。
- 56二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 23:02:42
アビドスの隠れ家か…
現住所があの生活感溢れてる感じだったから(絆スト参照)隠れ家はそれよりは下がるがちゃんと綺麗になってるイメージは少しあるな… - 57二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 01:11:08
「……シロコ、何かしらこの施設」
「リオのアビドス拠点」
リオは呆れ気味に案内された工場内を見渡し、シロコ*テラーは自慢気味に返す。
「隠れ家を要求した筈よ」
「うん、だから用意した最高の隠れ家。水も電気もあって、AMASの整備や製造も出来る。秘匿性も完璧、予め食料も冷蔵庫に詰めているし……一カ月は此処で暮らせるよ」
「待ちなさい。何処からそれだけの資源と、そして場所を用意したというの?」
「説明すると、凄く長くなる」
「手短にお願いするわ」
リオの要求にシロコ*テラーはこくんと頷き返し、咳払いをすると。
「アビドスはキヴォトスで最も栄えた自治区、当然その都市開発は地下にも及んでる。だから、砂に埋もれた都市部の地下には当然様々な目的で作られた地下施設が眠っている」
「……まさか、此処は閉鎖されたアビドスの地下施設!?」
「うん。正確には工業系企業の地下シェルター、AMASを改造して発掘出来たからリオを呼んだ」
「ちょっと待ってちょうだい、此処は言わば旧アビドス高校の遺産よ。それを私に見せて、触らせて良いの?」
「……はっきり言って、この地下シェルターを運用出来る生徒はアビドスに居ない。精々、ホシノ先輩が生徒会長権限で起動出来る程度。この設備も、リオのアジトを参考に用意しただけ。下手をすれば、リオがハッキングしないと施設の機能を十全に発揮出来ないかも」
そこまで説明されたリオは目を閉じて思考、そして。
「分かったわ、貴方の好意を有り難く受け取らせて貰う。それに隠れ住む以上、この施設を十全に稼働させる訳にはいかないもの」
「うん、だからリオに丁度良いと思った。アビドスを探索してて偶然見つけた、閉鎖された地下シェルターの一つだから」
「……他にもある、と?」
「何なら、今回の目的は閉鎖された地下都市の探索だよ。銀行やお店に残った物を回収して、今のアビドスの為に活用する」
- 58二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 07:20:51
さらっと地下ダンジョンの類いを見つけてる辺り流石だな…
しかも拠点にしてるから尚更 - 59二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 12:47:12
アビドスの新たな拠点のモニターを見ながらキーボードを叩くリオ、近くにはシロコ✴︎テラーがAMASを弄っている。
「成程、此処は三十年以上前に閉鎖されたのね。ウトナピシュテムの本船とは関係ないみたい」
「ん。そもそもあれはカイザーの基地地下にあったんでしょう? 関係しているとすれば学校の方だと思うから、企業系は関係ない……筈」
「……そうである事を願うわ、正直驚いているの。極一部しか機能は使えないとあるけれど、私にとっては十分よ。ただやはりと言うか、OSを始めとして全体的にシステムが極めて古いわね」
「まあ三十年以上前に廃棄された場所だからね、リオが好きに使っていいと思うよ」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは一度振り返り。
「良いのかしら」
「前も言ったけど、此処の施設は今のアビドスにとって持て余すからね。ミレニアムの人に弄られてもどうしようもない」
「……後になって問題になりそうね」
「そうなるまで此処に居るわけじゃ無いでしょ、気になるならミレニアムへ戻った後でアビドスと仲良くしてくれれば良い」
「そうね、どの道アビドスは放って置けないわ。で、シロコはもう行くの?」
リオの問いに頷くシロコ✴︎テラー。
「準備は整った、リオはそこで支援してくれると助かる。多分セキュリティは生きてるだろうから、ハッキングして欲しい」
「良いのかしら?」
「廃棄された地下都市だからね、此処の異常を検知する場所はアビドスにもう無いよ」
「分かったわ、任せて。シロコ」
- 60二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 14:57:33
4周年イベストの如く潜入ポイな
- 61二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:06:37
このレスは削除されています
- 62二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:08:09
『シロコ、地下都市内部のセキュリティは全て掌握したわ』
「早いね、リオ」
『時代遅れの骨董品みたいなセキュリティシステムを使っているのよ、寧ろ遅くなってしまって申し訳ない』
「じゃあこっちも穴が空いたから入るね」
工作用AMASによって隔壁に穴を開け、都市部にへ入り込むシロコ✴︎テラー。続いてAMASが次々に都市内部へと侵入、中は真っ暗で灯りと呼べるものが無かったが直ぐに天井の電気が点いて青空が広がっていく。
「此処は……」
『此処は凡そ30年以上前に閉鎖された都市。地上の砂嵐が酷くなった時の避難所、ないし第二都市として建設された都市よ』
都市内部を見渡しつつ歩くシロコ✴︎テラーにリオが無線越しに解説していく。
『ただ貴方も知ってる通り、完成直後から長期の砂嵐に見舞われてその機能を発揮する前に地上の都市機能が麻痺。それから十年以上稼働していたようだけど、軌道に乗れず結局この都市も閉鎖。結果アビドスは無惨にも衰退していったわ、この都市の開発がもう少し早ければ結果は違ったかも知れない』
「成程ね、だから見事な青空を映せる天井なんだ」
『青空に投影スクリーンね、今地図情報を得たわ。何処へ行く?』
「銀行へ、手始めに銀行に残ったお金を回収する」
そう返し、シロコ✴︎テラーはリオの導きに従い駆け出していく。次々とから追ってくるAMAS達、やがて大きな銀行に辿り着き。
『この都市の銀行は12、まずは最寄りの銀行へ案内したわ。セキュリティは全て解除したから自由に入れるはずよ』
「ん……此処まで味気ない銀行強盗は初めて、うん?」
シロコ✴︎テラーは早速銀行の中へ入ろうとして、扉が動かない事に気付く。見ると扉に鍵穴がある事に気づいて。
「リオ、鍵持ってる?」
『そんな訳ないでしょう、まさか扉がアナログだなんて……数十年前は物理的な鍵で開閉していたのね、今穴を開けるわ』
「お願い。この扉って、もしかして防弾仕様? でもこれだけは不十分、昔は強盗相手にどうやって防いでたんだろ」
『もう知りようが無いわね……』
- 63二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:14:21
どうなるかね…
- 64二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 01:07:59
流れは
リオ、到着と同時に「紹介したいゲストが居る」と言ってシロコの名を呼ぶ。対策委員が何故、と思ってたら出て来たのはシロコ*テラー。驚く先生とヒマリ、特にヒマリは最後まで敵だった印象が強く警戒高めに接する
↓
シロコ*テラーとリオの馴れ初めを聞き、納得して逆に喜ぶ先生。シロコ*テラーにとって、対策委員以外の友人が出来た事に大きく喜ぶ。プラナにとっても複雑ながら思いが過りつつ「あちらの先生も、喜んでいます」と語る
↓
そんなやり取りをしてたお陰でリオが隠れる間もなく現れるゲーム開発部。嘗て敵として現れたシロコ*テラーに驚きつつもアリスの「嘗ての強敵が仲間になる展開は王道です!」と言ってシロコ*テラーの加入を喜び受け入れられる
↓
シロコ*テラーが呼ばれたのはリオの友人になったのもあるが、それ以上に多次元バリアに関しての事。が、アトラ・ハシースの箱船関連は全てプレナパテスに持っていかれたから何も分からないと返すシロコ*テラー
↓
ならば仕方ないとアリスとケイを頼る事に(こっから宣戦布告されるまで大体同じ流れ)
↓
多次元バリアの突破方法で先生とヒマリはシロコ*テラーのワープ能力に目を付ける。先生の記憶によれば、多次元バリアが顕在の時からシロコ*テラーはワープが出来ていたのだ。だが「流石に知らない場所へのワープは難しいかな。先生も体験したと思うけど、アレって穴を作って潜るから敵にバレる危険性がある」と語るシロコ*テラー、ワープは最終手段と言う事になり保留に
以下大体同じかなって
- 65二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 07:44:05
クロコとリオが並び立つと、クロコは銀髪黒オンリーのドレスでリオは黒髪黒白のスーツ風と若干対比っぽくなってるの良いね
何よりクロコの交友が広がるのは良い事 - 66二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 12:35:24
クッソ寒いからか『クロリオ温泉旅行』なるネタが浮かんだけど、リオをどう説得すれば温泉旅行させられるんだ……?
- 67二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 15:25:50
クロコから「ん、休むべき」のごり押しで通せないかね…
- 68二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 23:17:25
もはや、クロコがリオを誘拐してでも温泉地に連れてくしか…
- 69二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 00:30:23
銀行の扉に穴が空くのを今か今かと待ちながらAMASの様子を眺めるシロコ✴︎テラー、そんな様子を一周回って微笑ましくドローンのカメラ越しに眺めていたリオはふとある事に気付くと同時にシロコ✴︎テラーが振り返り。
「……何? これ、機械が動いている音? でもこれは」
『大変よシロコ、一部のガードロボが動いているわ。おかしい、確かにセキュリティは全て掌握した筈……何故? 待って、いえまさかこの反応は』
「どうしたの、リオ」
『……シロコ、現在のアビドス砂漠で動き回っているものについて知っているかしら?』
「うん、勿論。砂漠探索において、最大の障害だよ。それが? この辺りには通らないはず」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは直ぐには返って来ない、リオは仕方ないと言った様子で。
『そう、その通りよ。基本的にその近くを通り過ぎはするけど、この辺りは通らないわ。だけど、どうやら一部の機械が悪影響を受けて暴れ回っているようよ。それにしてもこんな影響が出ているなんて……一体どういう事かしら?』
「つまりセキュリティの手を離れたって事? ハッキングとかは」
『あらゆるアクセスが遮断されているわ、申し訳ないけれど』
「元よりそのつもり、AMASの増援を頼める?」
『今送っているわ』
騒音がする方向へ足を向けつつ、腰に下げた愛用の銃を構えるシロコ✴︎テラー。周囲に寄ってきた戦闘用のAMASを視認し、僅かに笑みを浮かべるとそのまま音の下へ駆け出していく。
無人の都市を駆け抜け、早速暴れている中型の機体を視認して。
「居た、交戦を始める」
『……気を付けて』
「うん」
AMASと共に接敵するシロコ✴︎テラー、手前には盾とショットガンを持つ前衛型が向かうのを確認してから脇から援護射撃を開始。
(特殊装甲型か……やり易い)
装甲の種類を把握しながら攻撃を加えていくシロコ✴︎テラー、定期的に移動しながら周囲のドローンの射線を譲りながら攻撃を加えていく。完成されたと思える程、周囲を見ていないのに息の合った連携だ。
このAMASの戦闘プログラムはシロコ✴︎テラーが調整に参加している、当然使っているデータは彼女にとって最も使い慣れた戦術。恐らくこちらの砂狼シロコも無意識の内に使い熟しているだろう、彼女達の体に刻み込まれた戦術だ。
- 70二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 08:06:49
戦闘開始から一分も経たぬ間に早速一機目を追い込むシロコ✴︎テラー、装甲に穴が空くと同時にトドメとばかりに手榴弾を投げ込み爆撃。ガードロボは行動を停止、そこに。
『次が来るわ、シロコ。軽装甲よ、気を付けて』
「うん、ありがとう」
リオの声に返事をして、接敵して来る次のガードロボを視認。AMASと連携しながら攻撃を加えていく、シロコ✴︎テラーは周囲を見渡し増援の到着を確認。前線はAMASに任せてシロコ✴︎テラーは援護に回る。
愛用のドローンを展開し、火力支援に特化させ一気にガードロボを追い込んでいく。そして次に近付いて来た敵を見て苦い表情を浮かべる。
「重装甲……厄介だな」
『AMASで対応するわ』
「お願い。にしても、暴れ回ってるだけで大した事ないね」
『所詮旧式ということよ、影響を与えた方は厄介な存在でも受けている方は……と言うところね』
「見たところ、結構前から無人の都市で暴れてたみたいだからね」
返しながらリロードを行シロコ✴︎テラー、攻撃が通りづらい重装甲の敵より軽装甲の敵を優先しAMASに任せていく。
- 71二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 13:13:36
- 72二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 13:15:44
- 73二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 14:33:29
そして、ホシノとチロコの立場がクロコとリオにチェンジする形で風呂に入りそう…
- 74二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 23:25:59
分かる気がする…
- 75二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 23:35:52
軽装甲の的に向けて会心の一撃、否乱撃を銃弾にて浴びせていく。ドローンの火力支援も絡めて一気に追い立て機能停止させていく。
『シロコ、新手が来てるわ。軽装甲型、注意して』
「わかった」
機能停止させた軽装甲型の上に乗り、建物を壊しながらこっちへ向かって来る方を視認しつつ重装甲型からの攻撃を避けていく。
続いてシロコ✴︎テラーは落ちている機能停止させられたAMASから、ショットガンを取り外し左手にアサルトライフルを持ちつつ自分の胸の前へ置きその上にショットガンの銃身を置き重装甲型へ向けて前進しながら連射。
重装甲に至近距離でショットガンで傷つけ、弾が切れると即座に投げ捨て次に転がりながら別の機能停止したAMASの下へ。そのAMASにはミニガンが付いている、シロコ✴︎テラーは即座に取り外してミニガンを重装甲型へ向けて乱射。
ショットガンといい、使い慣れたとばかりの動作だ。まるで『ずっと使っていた』か【優れた使い手の様子を側でずっと見ていた】とばかり、重装甲へ一気にダメージを重ねていく。そこに援護へ入るAMAS達、シロコ✴︎テラーの援護があった為かそのまま重装甲型を追い込んでいく。
『来たわ、シロコ』
「知ってるよ、リオ」
一息吐いて、続いてやって来た軽装甲型へ自分と同じくアサルトライフルを装備したAMAS達と連携しながら銃撃を浴びせてリロードに入る。
リロードの瞬間、シロコ✴︎テラー愛用のドローンと爆装系AMASが一気に爆撃して攻め立てていく。リロードを終えたシロコ✴︎テラーも直ぐに銃撃を加えていく。
『シロコ、また一機そっちに行くわ。確認出来る限り、それで最後よ』
「どう言う敵?」
『特殊装甲型、あなたなら問題ないはずよ』
「わかった、一応聞くけど。銀行の方は?」
通信越しにリオの小さなため息が聞こえて来る。
『扉に穴が空いたわ、ただ他にも問題があって現在も作業中よ』
「うん、わかった。中を見るのが、楽しみ」
シロコ✴︎テラーが返すと同時、重装甲型と軽装甲型は沈黙する。シロコ✴︎テラーは機体の上に立ち様子を確認、ガードロボが建物を壊しながら一直線に向かって来るのが見えて。
- 76二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 07:50:30
仲間達の遺品を砂漠に埋めて区切りを付けられたクロコ、それでも新しいマフラーだけは買えなくて
どうしてもあの時無くしたマフラーに近い物を、となって『本当はわかってる、求めるマフラーは何処にもないって。きっと、あの時無くしたマフラーと同じ物を……いや、きっとあの時無くしたマフラーを取り戻しても私はもう着けられない気がする』とか思ってそうなクロコ
そう言う話を聞いたリオが「だからってマフラーを身につけないのは非合理よ」ってクロコにマフラーを贈るんだよな - 77二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 13:00:57
- 78二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 13:17:59
もう2度と失くさないと新しい友人のマフラーを巻くクロコ……新しい世界で生きていく為の儀式みたい
- 79二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 14:38:38
…マジで良いな
- 80二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 23:10:12
射程範囲に入ると同時、初手は爆装ドローンによる爆撃だがシロコ✴︎テラーの物以外は効果が薄い。元々特殊装甲相手では普通の爆撃は通じづらい、だが足は止まったのを視認し駆け出し一気に距離を詰めつつ銃撃を加えていく。
全てがシロコ✴︎テラーの自己強化を加えた極めて高い会心の銃撃、周囲のAMAS達の攻撃も加わって瞬く間に装甲は凸凹まみれとなる。だが機械は意に介さぬ様子で周囲の建物や木々を薙ぎ払い暴れ回り、シロコ✴︎テラーは容赦無く銃撃とドローンの爆撃を叩き込み機能停止させる。
「ん……戦闘終了。リオ、お疲れ様」
『いえ、シロコこそお疲れ。銀行の方はまだ作業中だけど』
「うん、今戻るよ。位置は覚えてるから直ぐに戻れる」
『……分かったわ』
返事を聞いたシロコ✴︎テラーは直ぐに銀行の方向へと駆け足で向かっていく、本人が言ってた通り真っ直ぐに銀行へと舞い戻るシロコ✴︎テラー。銀行の扉に穴が空いてるのを見て潜り、内部を見渡す。
明かりが付いているが、何より驚いたのは内装だ。何も無いのだ、机も椅子も機械も。銀行と言われなければ気付くことさえ難しい程内装は伽藍としていて、シロコ✴︎テラーは想像との乖離が酷く目を見開いて何度もまばたきを行う。
「何も、無い」
『撤退する以上、撤去するのは当然よ』
「そんな……」
あまりの物の無さに肩を落とすシロコ✴︎テラー、だがリオはドローンで扉の奥を示して。
『それよりも奥へ来て、今金庫を空けているわ』
「ん。忘れてた、本当のお楽しみはこれから」
リオの導きでシロコ✴︎テラーは奥の扉へ駆けていき、大金庫の扉を焼き切ろうとしている場面に辿り着く。
「どれくらい残ってるんだろ?」
『期待しない方がいいわ、ドローンで施設内を隈なく探したけど何も無かった。まあ閉鎖する以上、当然の処置と言った所ね』
「……まあ、確かにそうだけど」
- 81二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 23:29:11
逆に金目の物は無く役ネタが入ってたら一周回ってウケるな…
- 82二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 23:41:13
そんな会話をしていると大きな音が立つ、見れば遂に大金庫へ穴が空いたのだ。シロコ✴︎テラーはドローン達と一緒に中へ入る、金庫内の棚へ早速駆け寄り空けてみる。
「……どれも空。まだ、全部を調べないと分からない」
『まあそうね、零れ落ちた宝石とかがある可能性は否定出来ないわ』
諦めないシロコ✴︎テラーの態度に呆れながらもドローンを操作するリオ、一縷の望みを託して只管棚を漁るシロコ✴︎テラー。
そうして一通り棚を探し終え、シロコ✴︎テラーは回収用ドローンへ収穫物を並べていく。
「宝石が数個、紙幣が全部で20枚、硬貨が30枚……まあ、思ったよりはあったかな」
『宝石は鑑定に回さないと分からないわね、一応解析して鑑定は出来るけど』
「後でお願い。うーん、もうちょっと何か無いかな」
『ああ、それと。隠し金庫が奥にあったわ、今開通作業をしている』
「流石リオ、アビドスの為にも銀行のお金は全て回収させて貰う」
ドローンへ向け親指を立てるシロコ✴︎テラー、映像の向こうに居るリオは呆れと苦笑と毒気を抜かれた笑みを浮かべながら見つめている。
シロコ✴︎テラーは作業しているドローンを眺めながら休憩していると開通し、ドローン達と一緒に中へ入って行く。隠し金庫の中をドローン達と一緒に探索、棚と言う棚を空けて中を確認しどんな物でも見つければ取り出して回収して行く。
そして金庫内を探索し尽くし、金庫の外に出て回収用ドローンへ成果を並べていく。紙幣が追加で十数枚と硬貨が十数枚、更に小さな金塊が転がっていて宝石も更に追加があったようだ。
「これで全部かな、幾らになっただろう?」
『解析に回して予想を立ててみるわ、あと気になったから調べたけれど……銀行内に落ちてた紙幣と硬貨、マニアの間で高額取引されてるみたいよ』
「本当? 相場はどれくらいか分かる?」
『そこまでは。だけど紙幣や硬貨はドローンに預けてネットオークションにでも出品するべきね、30以上前に閉鎖された都市から見つかった物。時代で言えば五十年ほど昔に製造された物となるわ、幾らになるかしら』
リオの話を聞いたシロコ✴︎テラーは一度考えるも。
「分からないけど、取り敢えずリオに預けるよ。ありがとう、じゃあ次行こうか」
『まだ続けるの?』
「当然。借金返済の為にも、閉鎖都市内の銀行で眠ってるお金は全部回収する」
- 83二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 00:09:16
疲れた様子を見せずにそのままリオの案内で次の銀行へ辿り着くシロコ✴︎テラー、相変わらず鍵は施錠済みで工作用AMASが開通作業を行う。穴を開け、施設内へ入り込むがやはり内装は皆無。
金庫の穴空けをドローンに任せて施設内を探索するシロコ✴︎テラー、やはり内装は空で何も無いのだけが分かってしまう。穴が開通したと聞いて金庫内に足を踏み入れ、早速ドローンと共に棚を漁る。
その中から棚の中に放り込まれたように置かれた紙束が目に入り。
「ん。紙がある……えっと、投資? 相手は、ミレニアム? ミレニアムへの投資に関する秘密書類、えっと。リオ、これどう言うこと?」
『……おかしいわ、ミレニアムがアビドスから投資を受ける計画なんて聞いた事がない。昔の話とは言え、待って……連邦生徒会を相手にする事を想定した武力組織に関する会議、資料……当時のアビドスは何を考えていたの?』
ドローン越しから聞こえるリオの震え声にシロコ✴︎テラーは心配する声で。
「どうしよっか?」
『……燃やしましょう。私達は何も見なかった、そうしましょう』
「うん、わかった」
ドローンに紙束を渡して別の棚を漁り始めるシロコ✴︎テラー、そこに別のドローンが音を発しだして。
「そっちにも紙束があったの? えっと、対連邦生徒会体制? 独立? ゲヘナとの同盟に関する資料……リオ、どう思う?」
『……連邦生徒会に成り変わる組織の樹立、アビドスを頂点とした政治体制に関する会議。シロコ、燃やしましょう。アビドスは衰退したわ、この資料は世に出してはならない』
リオの言葉に頷き、シロコ✴︎テラーは資料をドローンへ渡して焼却処分させる。
「……アビドスは栄華を極め、連邦生徒会に成り代わろうとした? だから見捨てられたの?」
『資料を確認する限り、どうやら当時のアビドス生徒会は未確認……いえ、革命派で占拠するつもりだったようね。だけど、何故資料を取っておいたのかしら? まさか、ここを閉鎖する時はまだ野心が残っていた?』
「でも、アビドスは衰退した……全部、終わった事」
『そうね。忘れましょう、旧アビドスが見た夢は最初から無かったのよ』
- 84二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 08:02:15
リオの好みは大体わかってるから、リオが好きな味付けの料理作るよと言い出すシロコ✴︎テラー
聞いたトキが『リオ様の好みなら私が熟知しています』対抗して来て、シロコ✴︎テラーは「じゃあ一緒にリオが好きな物を用意しよう」と言って少し調子が狂うトキとニッコニコで見守る先生
と言うデカグラマトン編の一幕が過ぎる - 85二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 09:46:54
厄ネタ度合いがヤバいな…
まあ元ネタがローマやイスラームとか独英に支配されたり、現代みたいになる前のエジプトと考えるとあり得る厄ネタではあるか…
多分計画建てた首謀者はオジマン並みに有能だったのは確実だな… - 86二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 14:39:54
この地下施設もしかして核とまでは言わないけど、シェルターとして使う予定だったりしてね…
- 87二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 15:04:04
実際ゲヘナと合作兵器がこんにちはしてるからねアビドス、数十年前からアビドスとゲヘナが繋がっててもおかしくはない。立地上ゲヘナと仲が悪いトリニティの間にあるし、アビドス
こう考えると実はトリニティとも裏で合作厄ネタが転がってそうなんだよね、トリニティから見ればアビドスを挟んで仲が悪いゲヘナがある訳で
- 88二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 23:22:05
その後も銀行を巡っていくシロコ✴︎テラー達、しかし収穫があったのは最初の銀行くらいで残りの銀行は見事なまでに空っぽと言う結果に。そして最後の銀行の大金庫へと侵入して棚を探っていると。
「また書類……この都市が閉鎖される時って、大分アビドスが追い込まれてた筈なのに、陰謀を企む元気はあったんだね」
『さあ。もしかしたら、現実逃避かも知れない。気持ちは理解出来るわ、キヴォトス最大の学校が自然災害に屈して衰退していくなんて……栄華を極めていた当時のアビドスを知っている生徒なら、信じたくない筈』
「アビドスがまた立ち直ると信じて、か。ちょっと同情する」
そう返し、手にした書類に目を向けるシロコ✴︎テラー。
「……連邦生徒会からの注意勧告、ゲヘナが不穏な動きがあると睨まれてアビドスとの同盟関係に関する会議資料。でこっちは、ウトナピシュテムの本船に関する資料?」
『……えっ、ウトナピシュテムの本船!? どう言う事!?』
「……どうやら、ウトナピシュテムの本船は先代生徒会長から話を聞いただけみたい。資料を失くしたんだって、連邦生徒会から代々アビドスに眠っている何かを守り続けてたみたい。だけど、資料の引き継ぎに失敗したみたい」
『ウトナピシュテムの本船以外にも、同様の遺産がまだアビドスに眠っている? それを連邦生徒会から任され、代々アビドスが守っていた……だけど、資料の継承に失敗したと言う事?』
「まあ、ホシノ先輩がその先輩達から何も聞いてないってことはそう言うことだよね」
シロコ✴︎テラーはため息吐いて疲れを表情に浮かべる、銀行強盗をしに来れば金さえも無いと言う結果だったのだ。
「正直こう言うのじゃなくて、お金が良かった……儲けが殆どない」
『だけど収穫はあったわ、今ネットオークションに出した所良い値段が付き始めてる。流石に当時の生徒達もも、今使っているお金が数十年後に母校を救う一助になるとは思わなかったでしょうね』
「数十年でお金が数字以上の価値が付くなんて、私もびっくり。宝石や金塊は?」
『こちらは直接店で見て貰った方が良いかもしれない、一先ずシロコはこちらへ戻って来て』
頷き返し、シロコ✴︎テラーは外へ出ていく。天井の投影スクリーンは星空を映し始めている、地下空間の星空を眺めながらリオの下へ向かう。
- 89二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 23:32:58
無くしたの多分ゲマとカイザー辺りがパクりに行ったんやろなぁ…
- 90二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 02:47:57
まだ早いけどクロコとリオで花見とか良いかも
借金返済に忙しくて花見なんて出来なかったクロコ、リオを連れ出し花見へ。花見に合理性があるのかと言う問いに『隠れ家に引きこもって作業を続ける方が非合理的。気分を入れ替えた方が良い』と連れ出されるんだ
で花見しながらクロコお手製唐揚げ弁当で良い感じに冷めた唐揚げとおにぎりとお茶で頬を綻ばせながら『たまには外で作業するのも悪くない、合理的かも知れない』と認めてくれるんだよね…… - 91二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 09:17:31
花より団子とばかりに唐揚げをむっしゃむっしゃするリオ可愛いな
- 92二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 14:24:30
その花見には何かネルとセイアも来て欲しいな
- 93二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 19:59:55
リオの下へ戻ってきたシロコ✴︎テラー、夕飯作りをしようとしていると。
「今日は流石に疲れているでしょう、料理型アバンギャルド君に任せているわ」
「良いの?」
「ええ、貴方の料理技術なら全て入力している」
「じゃあ、今日は任せるよ」
そう返し、食事が出来るまで休憩するシロコ✴︎テラー。食堂でリオと向き合いながら、唐揚げの山を突き合いながら。
「明日、早速宝石類や金塊を売ってくるよ。リオは?」
「一先ずは施設の把握と、アビドスの情報収集。今回は貴方が用意したと言うアジトを見に来たのが主目的だから、数日の内に本来予定していたアジトへ移るつもりよ」
「わかった」
夕食を終え、リオはそのままモニターの方へ向かいシロコ✴︎テラーはシャワーを浴びようとして。
「リオはシャワー浴びないの?」
「……今日はいい、昨日浴びたばかりだし運動をした訳でもないわ」
「わかった。リオ、一緒にシャワー浴びるべき」
そう言ってリオの手を掴み、そのまま引いて立たせてシャワー室へ。
「ま、待ちなさい、それは非合理よ。体は清潔にしているわ、特に体を汚していないなら入浴は不要よ」
「ん。人間は生きているだけで汚れる」
「なら拭くだけでいいはずよ、態々シャワーを浴びる必要は無いわ」
「お湯の力を侮っちゃダメ、シャワーで浴びるだけでも違う。一番は湯船に入る事、身体じゃなくて心も癒える」
そう言いながら抵抗するリオ、シロコ✴︎テラーは溜め息混じりにリオを抱えて浴場へと向かっていく
- 94二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:05:57
微笑ましいなぁ
- 95二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 23:28:19
このちょっとごり押す感じ良いな…
- 96二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 02:56:21
リオも新規絵師で新規立ち絵貰ってるし、クロコも貰うんかな……通常シロコの人になるだろうけど
- 97二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 09:54:47
むしろ貰って欲しい…
- 98二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:00:46
主目的と言うにはやベェモン見つけてたけどな…
- 99二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:13:15
なんか保守の為かえらい時間置いては不自然にレスが湧くね
- 100二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:49:34
保守も兼ねてだからねー
- 101二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:54:18
「お、下ろしてちょうだい」
「だめ。リオも一緒にお風呂に行く、お風呂に入る方が作業が捗って合理的」
リオを抱えたまま更衣室へ入るシロコ✴︎テラー、そこでやっとリオの要望通りに下す。リオと同い年で彼女よりも背が低いシロコ✴︎テラーだが、こう見るとリオが歳下に感じるだろう。
服を脱ぎ出し、浴場にあるタオルを手に取るシロコ✴︎テラー。対しリオはずっと騒いで乱れた息を整えている。
「……脱げるよね?」
「何を言い出すのよ、あなたは。ここまで連れて来られたもの、一緒に入るわ。入れば良い……合理的なのでしょう?」
諦めたように脱衣を始めるリオ、浴場内は大衆向けな為か広く作られている。元々此処は地下シェルターとして設計されていたはずだが、外見は娯楽施設で通りそうである。
「驚くほど充実しているわね」
「うん、流石は嘗てキヴォトス最大の学校。シェルターも豪華、お風呂が充実しているのはとても大事」
身体を清め、湯船に入る二人。広い湯船にたった二人しか居らず、水の音がやけに響く。
「……確かに、心身共に休まるわね。貴方が合理的と言うのも、分かる気がする」
「ん。昔も疲れた時にお風呂に入って、その後ぐっすり眠った方が疲れが取れる」
「随分拘るのね、何かあったの?」
「……私には、高校に入る前の記憶が無いんだ。だからお風呂も先輩や友人が入り方を教えてくれてね、その頃の私はリオと一緒で『身体さえ綺麗なら入る必要は無い』って思ってたからね」
「……そう。貴方に、そんな過去が」
リオはそれ以上問い糺さない、シロコ✴︎テラーもこれ以上話す事がないまま湯船に浸かり続け出て行く。
「……こうやって一緒にお風呂入ってると、なんだか旅行に行った気分になるね」
「そうかしら、行ったことが無いわ」
「私も行った事ないんだ、学校の借金を返さなきゃいけなかったからね。生徒も少ないし修学旅行とか行ったこともないんだ、ミレニアムはあるよね。何処に行くの?」
「……私は行かないわ、学ぶだけなら現地に行く必要がないもの」
「勿体無い。でも旅行に行くのは合理的だと思うよ、ずっと同じ場所に居るだけじゃなく遠出することは大事だよ」
- 102二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:31:16
シロコ✴︎テラーの合理的、と言う言葉に考えるリオ。改めて修学旅行について考え、彼女が出した答えは。
「確かにそうね、キヴォトスの危機を防ぐ事はミレニアムにとって益になる。修学旅行と言う名目で他校を把握し、キヴォトスで起こる事件を把握するのに良いかも知れない」
「キヴォトスの危機か、私が言うのもなんだけど……ん。確かにキヴォトスの危機へ立ち向かうなら、他校との交流は大事」
「貴方の知ってるキヴォトスは、学校同士の連携が出来ずに滅んだの?」
シロコ✴︎テラーは無言だ、表情の消えた顔を見てリオは。
「ごめんなさい、失言だったわ。貴方を責める意図は無かったの」
「あ、ああ。私こそごめんね、あの時のことはよく覚えてないのもある。気にしなくていいよ、リオ」
着替えて、リオはモニターへ向かいシロコ✴︎テラーは改めて明日持って行く物品の確認を行う。
- 103二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:31:58
「貴方は鑑定を終えたらどうするの?」
「いつも通りにアビドスの見回り、治安維持活動だね。後、使えそうな物を拾って回るかな。此処からは遠いけど、時間があればアビドス高校へ顔出しって所」
「……治安維持の見回りなら、手伝いましょうか?」
「良いの?」
「それくらいなら、AMASからミレニアムの校章を消せば問題無いはずよ」
リオの言葉に、シロコ✴︎テラーは調整中だったり修理を受けているAMASの方へ目を向ける。
「じゃあお願い、私一人よりも効率的。そう言えばオークションは?」
「良い値段になってるわね、全部で200万を超える売り上げになりそうよ」
リオの言葉に目を輝かせるシロコ✴︎テラー、横目でそんな彼女のを見て頬を綻ばせるリオ。
「私はもう少ししたら寝るわ」
「夜更かししちゃダメだよ、リオ。非合理的」
「そうね、早寝早起きの方が合理的だわ」
「じゃあおやすみ、リオ」
挨拶を交わし、寝室へ向かうシロコ✴︎テラー。だが彼女は足を止めて。
「ん……リオと修学旅行に行ったらこんな感じかな」
「……急に何を言い出すの?」
「行った事が無いからね、修学旅行。アビドスの皆でも行ってみたいけど、リオと修学旅行にみってみたいなって」
「冗談にも程があるわ」
「そうだね、アビドスとミレニアムの合同修学旅行とか流石に無理がある。なんとなく思っただけだよ、おやすみ、リオ」
部屋を立ち去るシロコ✴︎テラー、そんな彼女の背に向けて。
「おやすみなさい、シロコ」
- 104二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:24:26
かわいいな…二人とも…
- 105二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 02:06:19
D.U.にあるリオのアジトにて、シロコ✴︎テラーはリオが資料を見てるところにやってくる。
「どうしたの、リオ。レッドウィンターの資料?」
「近々、レッドウィンターにもアジトを作っておこうかと思っていたの。それで下見の為にこうして資料に目を通していたのだけれど」
「……決めたの?」
「ええ、目星は付けたわ。今AMASを送っている所」
「じゃあ行こうか、私も同行する」
親指を立て、ニコりと笑顔を見せるシロコ✴︎テラー。だがリオは不思議な事を、と言わんばかりの表情を向けて来て。
「何故行く必要があるの?」
「リオが自分で使うアジトでしょ? だったら自分の足で見に行くべき」
「此処でドローン達の様子を見ていれば済む話よ」
「でも、そのアジトを使うんでしょう? だったら一度見に行くべき、それが合理的」
シロコ✴︎テラーの合理的と言う言葉を小さく繰り返し、リオは溜め息を漏らしながら立ち上がって。
「支度するわ、レッドウィンターは雪でしょうから」
「じゃあ私も準備してくるよ、駅で待ち合わせだね」
そう言ってアジトを去ろうとするシロコ✴︎テラー、だがその直前に笑い声が漏れ出して。
「どうしたの?」
「あいや、レッドウィンターには温泉があるって言うし。なんだか旅行みたいだなって」
「旅行って、旅館に泊まる訳では……いえ、アジトもすぐに寝泊まり出来ないと思うから……そうね、二泊程が合理的かしら?」
「じゃあ二泊分の荷物を用意して来る」
返し立ち去ろうとするシロコ✴︎テラーをリオは呼び止める。
「シロコ、防寒の用意は出来ているの?」 - 106二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 02:21:29
「……これから。よく分かったね」
「貴方は砂漠で活動しているんだもの、降雪地帯での服装は知らないと思っただけよ。余っているコートがあるから、貴方に譲るわ」
「良いの?」
「ええ」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは短く返して。
「元々はC&Cに任務を与える際、こちらで用意していた物よ。まだミレニアムに戻る事はないから、シロコが使って。マフラーは……自分でどうにかしてちょうだい」
「……うん、そうだね。マフラーも要るね、えーとじゃあ。寒い所に行く用の着替えを持って来ないと、何が必要かな」
問い掛けるシロコ✴︎テラーに、リオは仕方ないとばかりに。
「こちらで用意するわ、勝手の分からない所へ行くんだもの。此処は私に任せてちょうだい」
「じゃあ、お弁当でも持って行こうか。お礼に」
「……その、竜田揚げを……希望しても……」
「良いよ、リオの為に美味しいのを用意しておくね」
シロコ✴︎テラーの言葉に僅かに頬を綻ばせるリオ、彼女もまたそんなリオの様子に微笑みながら見詰める。
翌日、シロコ✴︎テラーとリオは防寒用のコートを纏い駅で待ち合わせる。リオから自分の荷物を受け取り、二人がレッドウィンターに向かう電車へと乗り込んだ。
電車での移動中、リオはシロコ✴︎テラーがマフラーを身につけてない事に気づき。
「シロコ、貴方マフラーは? 有った方が合理的よ」
「ああ、ごめん。買おうか迷ってて」
「迷う? それで買わなかったの?」
返事をする前に、シロコ✴︎テラーは窓の外へ。彼方に想いを馳せるように視線を向けて。
「昔、ね。記憶を失くしてアビドスで彷徨ってた私に先輩がマフラーをくれたんだ、あったかくって私のお気に入りだった。だけど、失くしちゃってさ」
「何処で、失くしたの?」
- 107二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 02:31:12
「覚えてないんだ。気付いたら消えてた、大切なマフラーだったんだ」
「シロコ、それって」
「うん、そう。そうだよリオ……あのマフラーは私が前の世界に置いて来た、この世界にあるのはこの世界の私が持ってるマフラー。私のマフラーは、何処にも無い……」
「シロコ……」
「分かってるよ、取り戻しようがない事も。だからさ、なんとか同じ物とか、似ている物でって思ったけど……だめ、欲しいマフラーが何処にもない。ううん、きっと私自身踏ん切りが付いてないんだ」
シロコ✴︎テラーの視線は窓の外に向いたまま、彼女は現実ではなく何処か別の風景を見ている。
「今も私にマフラーを身に付ける資格は無いって、きっと失くしたマフラーを取り戻しても私はそれを身につけられない。失くしたものは取り戻せない、だから……」
「ごめんなさい。そうとは知らなかったの」
「言ってないからね、リオは気にしないで。でも、私はこの世界で暮らすって、前へ踏み出すって決めたから。レッドウィンターでマフラーを買うよ、良いのが売っていれば良いな」
「そう、ね。ええ、きっと暖かいマフラーが手に入るわ。寒いもの、レッドウィンターは」
二人を乗せた電車は何処までも走っていく、レッドウィンターの駅に向かって。
- 108二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 09:38:04
赤冬探索か
- 109二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 09:45:17
電車の中でシロコ✴︎テラーお手製の竜田揚げ弁当を、二人で分けて食べるリオ。
「この間ね、アビドスの皆んなに差し入れを持って行ったんだ。そしたらちびシロコが『私、こんなに料理上手くない』って驚いてた、まあ最近はリオに料理作るようになって……主に揚げ物の腕が上がったよ」
「そう」
「まあちびシロコには『一年精進すればこれぐらい余裕、先生も私の料理好きだった』って言っておいた。本当は、向こうの先生に私の手料理を食べさせた事なんて2回くらいしかないんだけどさ」
「……そうなのね」
「リオ、竜田揚げ美味しい?」
シロコ✴︎テラーの問いにこくんこくんと首を縦に振りつつ竜田揚げとおにぎりを交互に頬張るリオ、その姿にシロコ✴︎テラーとの同い年感は薄い。リオの方が一回りは背が高い分、少し妙に感じる光景だ。
食事を終えて暫く電車が進み、やがて電車はレッドウィンターの駅に辿り着く。シロコ✴︎テラーとリオは共に電車から降り、シロコ✴︎テラーは自分を抱きながら震え出す。
「……さむっ!?」
「やっぱり雪が降ってるわね、まあこの時期のレッドウィンターなら仕方ないのだけど」
「レッドウィンターまで来ること無かったから……此処まで寒いとは予想外」
「早く行きましょう、暫く歩きわよ」
「うん」
移動を始める二人、駅の近くだからか色んな店が立ち並んでいる。シロコ✴︎テラーはリオの案内で、レッドウィンターの隠れ家へ向かって進んでいく。
喫茶店で休憩を挟んだり、始めてみるレッドウィンターの土産屋などを覗いたり、ただ移動するだけでなくレッドウィンターの細かいニュースも集めていく。
「最近は特に無いみたいだね、クーデター以外は」
「その様ね、あとデモ以外で言えば特に大きな事件は無いみたい。まあ、デモ活動やクーデターは大きいと言って良い気がするけど」
「みんな、一週間の行事みたいに思ってるから動じてない。不良生徒も何人か見るけど、皆びっくりするほど大人しいね」
そんな話をしていると、近くの店で不良が暴力に訴え出たらしい。だが、不良が銃を持って騒いだ所で出てきた言葉は。
「それは脅しか? そんな台詞、此処じゃ朝の挨拶にもならねえよ!」
- 110二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 10:00:28
である。そして不良は通りかかった一般生徒に引き摺られて何処かへと連れて行かれ、リオとシロコ✴︎テラーはその光景を眺めて。
「何処に連れて行かれたんだろ」
「気にしない方がいいわ」
会話をしていると、今度は銃撃戦の音が微かに聞こえて来る。周囲の住民曰く『地位を追いやられた元生徒会長が戦力を纏めて逆クーデターを仕掛けた』のだとか、いつもの話らしく道行く人々は呑気に会話をしている。
「……先生に話した方がいい?」
「やめておきましょう、クーデターか現生徒会に先生がいないとも限らないわ。取り敢えず行きましょう」
二人は面倒ごとを回避する意味でも先を急ぐ。都市部を抜け始めたあたりで、リオはシロコ✴︎テラーを呼び止め。
「どうしたの、リオ」
「此処ならまず安全と思ったから、貴方にこれ」
言いながらリオはシロコ✴︎テラーの首にマフラーを巻く、黒と白をベースに赤い模様が入ったデザインだ。
「……これ、は?」
「……マフラー。自分で買えないと言ってたでしょう、だから……私が買ったわ、シロコにあげる」
「良い、の?」
恐る恐る、震えた手でシロコ✴︎テラーは首にかけられたマフラーに触れる。リオは顔を赤くしながら視線を逸らし。
「ええ。貴方さえ良ければ、貰って。貴方の欲しかったマフラーでは無いでしょうけど、無いよりあった方が合理的だから……」
「リオ……ありがとう、じゃあ貰うね」
抱きしめる様に、貰ったマフラーに触れるシロコ✴︎テラー。リオは恥ずかしそうにマフラーに顔を埋めながら先に歩いていく。
- 111二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 10:10:50
「うん。リオのマフラー、凄くあったかい……今度は、私。絶対に失くさないから、二度と……大事な人からもらったマフラーを、失くさない」
「失くしたって良いと思うわ、また買えば良いのだから」
「じゃあ、その時はまた選んで、リオ。リオの選んだマフラーが良い」
「その時に考えるわ、行きましょう」
二人は雪道を歩き進む。
幸い今日は吹雪ではなく、天候は安定している。二人が辿り着いたのは洞窟の中だ、その付近にAMASが待機しておりリオが近づく事で姿を現し洞窟内を案内し始める。
洞窟内を探索すると、一見氷の壁に見える場所に辿り着いて。リオが近付き、壁に隠れたキーボードを出現させてコードを入力すると氷の壁が開く。
「これは簡単に見つからないね」
「当然よ。洞窟内もある程度補強しつつ、此処に何かがある痕跡を消していく。入口も発見しづらく、駅近くの住民の話を聞く限り此処の洞窟は忘れられている可能性が高い」
「誰かが使ったりしてないの?」
「動物が住み着いている様だったけれど、AMASで大人しくしてもらっているわ。最終的には洞窟も雪崩などで埋もれたと見えるよう入口をカモフラージュする、誰も此処に隠れ家があると思わないはずよ」
リオの解説を聞きながら入り組んだアジト内を進み、やがて見慣れたリオの隠れ家に辿り着く。そこにはAMASが住宅部分の準備をしている様で、全てが十分に稼働している訳ではないらしい。
「出来立てなんだ」
「此処を見つけ、AMASを送り込んでまだ四日よ。機材を運び込み、工事を行なって今やっと形になった所よ」
- 112二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 17:47:53
現在の作業状況を確認する二人、アジトの内装は出来上がっているが機材を運び込んでの組み立て設置作業中でまだ居住区は出来てないのを把握。そこまで確認するとリオは。
「早く行きましょう、近くにある旅館に予約を入れてあるわ。急がないと、夜中の雪山を歩く羽目になるわよ」
「わかった。出口は」
「まだ無いの、隠し扉まで戻って急ぎましょう」
リオの言葉に頷き返すシロコ✴︎テラー、早足で来た道を戻り洞窟の外へ出る。夕方になっていて、リオの案内に従い二人は旅館が方へ進んでいく。
結局旅館に着いた頃にはすっかり真夜中になっていたが、距離からこうなると見越してたのかチェックインはスムーズに行われて二人は無事部屋へ案内される。
「食事の前に温泉に入ろうか?」
「そうね」
二人は温泉に入る支度を整え、部屋を出る。道中、数は少ないが他校の生徒とすれ違って行くがミレニアムの生徒はいない様だ。
「ミレニアムの生徒がいなくて良かった」
「事前に確認済みよ。レッドウィンターまで足を運ぶような生徒がミレニアムに居ないのも合わせて、ね」
温泉に入る前、この旅館が出来た経緯が描かれている案内板に辿り着く。
「ゲヘナとの協力で出来たんだ」
「……事実を載せる訳にはいかない、寧ろ事実を隠蔽しているのね」
「事実の隠蔽?」
シロコ✴︎テラーの問いに、リオは脱衣所で答える。
「温泉開発部という部活が以前レッドウィンターで温泉開発を行っていたのよ、その旅館は吹き飛んだそうだけど……どうやら新たに別の温泉を発掘したそうね、そこでレッドウィンター連邦学園は密かに旅館の管理をする契約を結んだ……という所」
「それって表に出せないの? あれ、温泉開発部って有名なテロリストだったような」
「そうよ。本来で言えばゲヘナとレッドウィンターを戦争状態へ追い込む大事なのだけど、最初の温泉旅館でレッドウィンター生徒会は味を占めたらしく温泉旅館の経営を許可した……という事みたい」
「テロリストが勝手に自治区内で温泉開発をした、でも生徒会は温泉は欲しい。だから争わずに『両校の同意のもとに行われた』って事にしたんだ……」
- 113二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:26:13
まぁチェリノならやるだろうな…
- 114二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 00:15:31
会話の最中、着替えを終えた二人は浴場へと入る。
中は大規模な浴場となっていて、既に幾人かの生徒が談笑しながら利用しているのが見えて。更に温泉は幾つかの種類分けされ、結構な人数がいる筈なのだが少なく感じる程。
シロコ✴︎テラーは温泉を見るのは初な為か、目をキラキラと輝かせていて。リオとシロコ✴︎テラーは同い年だが、リオの方が背が高いのもありこの時ばかりはリオが歳上に見えるものだ。
リオに案内され、まずは洗い場へ移動。丁度誰もいない為、貸切気分を味わえる。そこで身体を洗い始める二人だが、シロコ✴︎テラーは。
「リオ、背中の洗いっこしない?」
「……何故?」
「背中は洗いにくい、お互い洗い合う方が合理的」
「……確かに、髪を纏め上げているとは言え背中を友人に洗い貰いそれを返して洗い合うのは理に適っている。じゃあ、お願い」
そう言って背中をシロコ✴︎テラーに見せるリオ、彼女も垢すりを泡立てると優しくリオの背中を洗い始める。
「リオの背中、綺麗だね。スベスベ、なんだか滑りそう」
「そ、そうかしら? 比較対象が無いから、分からないわ」
「昔、私には記憶が無かった頃。お風呂の入り方も分からなくてね、銭湯に行ってこうやって丁寧に洗ってもらった……やり方を教えて貰ったんだ」
力を入れすぎず、磨くようにリオの背中を洗って行くシロコ✴︎テラー。
「だから、人の背中は洗い慣れてるよ。先輩は体が小さいけど、ちょっと傷があって逞しい背中でね。同級生の子は、リオと同じくらい綺麗な背中だった。でも此処までスベスベじゃなかったよ」
「そ、そう?」
「うん、とっても綺麗な背中。じゃあお湯掛けるね、次は私の背中をお願い」
- 115二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 08:20:46
シロコ✴︎テラーに背中を流して貰ったリオ、今度はリオに背を向けるシロコ✴︎テラーの方へ向き彼女の背中を洗っていく。
「こう、かしら」
「もうちょっと強くても私は平気」
「……加減が分からないわ」
リオの言葉に小さな微笑を溢すシロコ✴︎テラー。
「リオはメイドさんと暮らしてたんだっけ、洗って貰ったりはしなかったの?」
「いいえ、そこまで世話にはならなかったわ。まあ、当人は凄くしたかったみたいだけど」
「そうなんだ」
わしわしとシロコ✴︎テラーの背中を洗うリオ。
「……貴方の背中も、綺麗ね」
「そう?」
「ええ、傷も無くて。綺麗な背中、だと思うわ……じゃあ、流すわ」
「そっか、ありがとう。リオ」
シロコ✴︎テラーがそうした様に、泡だらけの背中を湯で洗い落とす。その後、二人は名物と言う露天風呂の方へと向かう。
露天風呂は肌寒いが温泉に加えて暖房がついてる様で以外に暖かさがある。入っている生徒は少なく、二人は降り続ける雪を見ながら湯船へと浸かっていく。
「……綺麗。砂漠じゃ、ほぼ見れない」
「アビドスにも雪は降る筈だけど」
「山は無いからね、雪もこんなには降らないし」
「言われてみれば、確かにそうね」
二人は露天風呂の中から雪に染まって行くレッドウィンターの山々を眺め続け、ふと生徒達の中には飲み物を持ち込んでいる生徒が居ることに気付いたり。
- 116二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 13:11:10
シロコはリアリスト
リオは合理主義者
違うけど案外似ているから割と相性良いのは盲点だったと思う - 117二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 14:34:57
確かに…
- 118二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 22:15:26
面白いから期待
- 119二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 23:34:59
同じく期待を
- 120二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 00:47:41
そしてリオは夜景を眺めながら、ふと言葉が溢れたとばかりに。
「こうして誰かと一緒にお風呂に入るだなんて……思えば、初めての事だわ」
「そうなんだ。まあ、メイドさんとも一緒に入らなかったみたいだしね」
「シロコは……」
隣に湯船につかるシロコ*テラーの横顔を見つめながら問うリオ、シロコ*テラーは雪景色を見つめつつ過去の記憶を掘り起こして。
「私は、少し前までなら先輩やノノミ……同級生と一緒に入ってたよ。銭湯に無理やり連れて来られて、逃げようとしては先輩に捕まって、ノノミに洗い方を教えて貰って、先輩に肩を掴まれて湯船に入れられて、100を数えるまでそのままで」
「……記憶が無いのなら、仕方ないわ。貴方も大変だったのね」
「一番大変だったのは二人だよ、記憶の無い私にお風呂の入り方を一つ一つ教えてくれたけど……手探り手探りでね、それでも。うん、暖かかったな……」
記憶を振り返り終えたシロコ*テラーはリオの顔を見つめ返し。
「リオはそのメイドさんと、お風呂入りたい?」
「どうかしら、今更……いえ、そうね。貴方とこうして入ってるように、トキ……彼女と共に入浴するのも良いかも知れない。まあ、彼女が今更良いとは思わないけど」
リオは湯船の中で膝を抱え、目線を誰もいない壁へ。思い浮かべた相手の事を脳裏に描きながら見つめる。
「そう思うなら、一度言うべき。私みたいになるのは、駄目」
「シロコ、みたいに?」
「うん……私みたいに、皆いなくなってから『本当はもう一度皆で銭湯に行きたかった』『もう一度背中を洗いっこしたかった』って。騒ぐようになるのは、駄目」
「……シロコ」
リオは思わず視線をシロコ*テラーに向ける。
「私は、うん。本当にそうしたかった相手は皆いなくなった、世界ごと消え去った。だから、リオは後悔しちゃ駄目」
「……そう、ね。ええ、覚えておくわ」
- 121二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 08:21:55
- 122二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 13:17:59
- 123二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 14:53:53
そういや赤冬だから、まだこの時は気づいても向かえないだろうが、氷海に少し近い所でもあるのか…
- 124二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:19:53
「貴方ね……遊びに来た訳ではないのよ、それともお土産を買う事に何か合理性があると?」
「うん」
呆れ気味なリオの声にシロコ✴︎テラーはあっけらかんと返し、対しリオは僅かに驚きを見せて。
「最初は私の用事だけど、聞き込みをするならお土産は必須」
「何故?」
「情報を一番持っているのは、大勢の人と接するお店の人。だから、客としてお店の人と触れ合い情報を聞けば良い。そうだね、私達は噂好きの学生。だからお土産を買いつつ、お店の人に最近変な事件はないある近くに洞窟とかないかと訊ねる……そういう事にすれば良い。うん、合理的」
シロコ✴︎テラーの言葉に怪訝な表情が閃きを得た表情へ変わるリオ、まさに天啓というべきか。リオは合理主義者として、実に現実的な提案を聞き納得を得たのだ。
「確かに……! それは合理的ね、客として情報を得ると言うのは浮かばなかった。では、今日はそれで行きましょう」
「うん。そう言えば、リオはお土産を買って行く相手はいるの?」
シロコ✴︎テラーの言葉にリオは少し困惑を表情に浮かべる、恐らく相手は居るのだろう。だが居る、と言うよりは『渡すべきか』と言う戸惑いに見えて。
「そうね、探せば多いと思う。でも、私から受け取っても向こうにとって嬉しくないはずよ」
- 125二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:38:40
「なんで? 嫌だって言われたの、リオ」
「……いえ。ただ、私は嫌われているから。前にも、私の事を警戒された。私から旅行土産なんて、貰っても嬉しくない筈よ」
「リオは、その人たちにお土産を贈りたくないの? なら、仕方ないけど」
シロコ✴︎テラーの純粋な問いかけ、対するリオは僅かに思案を表情に浮かべ。僅かながら頬に赤みを持たせつつ、リオは。
「渡し、たい。わ、私。ええ……そうね、いつも苦労をかけたり。苦労している、皆んなに。お土産を、持っていきたい」
「じゃあ買えば良い、向こうが嫌だと言って返すなら自分の分として貰えば良い」
「……そう、ね。ええ。その通りだわ、ありがとうシロコ。貴方は、とても素直ね」
「……私は、素直になれなくて……それで、後悔した事の方が多いからね。だから、そう思うだけかな」
リオに向け、微笑みながら返すシロコ✴︎テラー。
二人は朝食を終えて食堂を出ると早速旅館内の散策から始め、あちこち歩き回る。
外は相変わらず雪で、旅館の中庭で雪だるまづくりや雪合戦をやってる生徒達が目に映る。制服を見るに百鬼夜行の生徒達だ、シロコ✴︎テラーは少し興味が湧いたものの浴衣を着ているのもあり断念して移動。
次に来たのはマッサージチェアが並んでる部屋、見ていたシロコ✴︎テラーは思い立ったらしく空いている椅子に座り始める。
「何をしているの?」
「ん。リオも座ると良い、癒される。いつもデスクワークをやっているんだし、これで少し癒されるべき。その方が合理的」
「……効くのかしら?」
シロコ✴︎テラーに誘われ、リオも疑問符を浮かべながら椅子へ腰を下ろしマッサージチェアを起動させる。
- 126二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:59:59
「このマッサージチェア、ミレニアム製ね。エンジニア部のではないけれど……っ、結構、来るわね……私、思っていた以上に疲れていた……?」
「自分の疲れは簡単に分からないからね。あ、隣の人。ちょっといい?」
シロコ✴︎テラーは唐突に、リオと反対側のマッサージチェアを使っていた浴衣の生徒へ声を掛ける。
反応したのは長い銀髪に褐色肌、赤い瞳で前髪が長く片目が隠れていて。加えて記すなら、その長い銀髪は本来二つに分けて結んでいるような跡があり。
「それは、私の事か?」
「うん。私達、他校から来たんだけどさ。最近この辺で何か事件とか無い? そう言う話に目がなくって」
「噂好きなのか? 悪いが私は何も、あ。そう言えば一昨日クーデターがあったらしいぞ、生徒会長が地位を追われたとか」
一足先にマッサージチェアを終えたのか、銀髪生徒は立ち上がる。ちらりと見える黒い尻尾を見るに、ゲヘナ生徒のようだ。
「知ってる。昨日ここに来る途中、生徒会長が逆クーデターやってるらしかった」
「もう逆襲したのか、凄いなレッドウィンターは。私が知っているのはそれくらいだ、そうだ。お前、温泉開発部を知っているか?」
「うん、有名だからね」
「奴らの情報を知らないか、数日前にこの辺に現れたらしくてな。私はゲヘナ風紀委員会の者で、連中の行方を追っている」
「ごめん、まだ聞いてないな」
彼女は特に動じた様子も見せずに。
「そうか、なら良い。連中の事を何かわかったら教えてくれ、私達ゲヘナ風紀委員会が相手する」
「わかった」
シロコ✴︎テラーの返事に銀髪褐色なゲヘナ生徒は、マジマジと彼女の顔を見つめ。
「どうかしたの?」
「いや、どっかで見たような気がしてな。気のせいだ、すまなかった。じゃあな」
- 127二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 23:27:39
そうか、クロコを見たのは最終編の方舟攻略に参加したメンツとアビドス3章でセト戦に参加したメンツしかいないか…
- 128二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 07:35:23
ついでに言うとヒマアコ以外の風紀委員、実はシロコと会った事あるの基本的にアビドス強襲時だけだったりする。ホシノ救出戦も本編では対策委員と別行動だったりで面識が殆どないと言う
そりゃクロコの顔見ても(どっかで見たような……?)になるって
- 129二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 07:39:05
ゴミ保守
- 130二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 13:21:00
- 131二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 15:09:09
分かる(即答)
- 132二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:27:46
イオリはチナツに薦められて来た感じかな…
- 133二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:53:36
そう言って立ち去っていく銀髪ゲヘナ生徒、周囲には何人かゲヘナ風紀委員会居るようで声をかけて回っている。纏めると『この旅館を立てた温泉開発部の情報を聞き、対処する為に派遣されたゲヘナ風紀委員会駐留部隊』らしい。
「風紀委員会も大変だね……温泉開発部か、そんなに危険なんだ」
「最初の温泉旅館を立てたのは彼女達温泉開発部だけど、吹き飛ばしたのも彼女達温泉開発部よ」
シロコ✴︎テラーのぼやきに、マッサージチェアを堪能中のリオが答える。
「なんでそんな事を?」
「そこまでは知らないわ、ただ彼女達は温泉を尊んでも温泉旅館を尊んではいないらしい。念の為ここへ来る前にAMASで調べさせた所、解体用の爆薬が予め設置されてたのを確認した。危険だから全部撤去したけど……ふぅ」
頬を少し紅潮させるリオ、マッサージチェアが止まり身を起こしながら関節を動かして。
「結構こってたのね、気を付けているつもりだったけど……マッサージ型アバンギャルド君も設計するべきかしら?」
「うん、作っておいた方がいいと思うよ」
「さて、次はどこへ行きましょうか」
「お土産売り場に行こう」
シロコ✴︎テラーの提案にリオは頷き返し、マッサージチェアコーナーからお土産コーナーまで移動する。
「さて、何から……」
「待って、買い込む前に量を抑えめにしよう。お土産売り場は幾つか分かれてるみたいだから、此処で全部買うよりある程度分けるべき」
「成程、確かにそうね」
「此処は私が買い物して聞いてみる、リオは見て回るだけにしてて」
「分かったわ」
頷き返すリオ、シロコ✴︎テラーはお土産売り場の商品を軽く見渡して人形を数点手に取って会計へ向かう。
- 134二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 08:16:57
クロコとリオ、リオの方が6cm背が高いんだな
リオの方が妹感強いけど - 135二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 13:14:09
- 136二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 13:14:53
一人でようやるね
- 137二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 15:01:28
旅館なのも加味してもOL二人の休日みたいに見えそう…
- 138二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 22:06:37
「これを下さい」
「はーい」
会計し、普通に支払うシロコ✴︎テラー。商品を受け取る際に『最近のレッドウィンター』と言う話題を振り、店員からはクーデターの事と『テロリスト対策にゲヘナ風紀委員会が駐留している』の話を聞かせてくれる。
シロコ✴︎テラーは店員に礼を告げ、店を後にしてリオと合流し情報共有。新しい情報は無かった為に別のお土産コーナーへ。
「それにしても、お土産売り場って分かれてるんだね」
「何かしら意味があると思うけど、話の種に聞いてみるのはありね」
そんな会話をしながら歩く二人。道中の廊下でリオはある一団を目にとめ、物陰へと隠れる。シロコ✴︎テラーもつられて物陰へと入り込んで。
「どうしたの、リオ?」
「ごめんなさい。今、あそこを通った生徒達に驚いてしまって……」
シロコ✴︎テラーは物陰から顔を出してリオの言う一団を見る、ミレニアム生徒達かと思えば相手はトリニティ生徒の集団らしい。
「リオ、トリニティの生徒だけど」
「それは分かっている、彼女達の服装をよく見てちょうだい。普通のトリニティ生徒と違う制服、あれは生徒会……ティーパーティーの物よ」
「ティーパーティー?」
「ええ。友人が所属しているの、今此処で顔を合わせるのはまずいわ」
そう言って隠れるリオ、シロコ✴︎テラーは逆に堂々とティーパーティー達の方へと歩いていく。そして近くに立ち、景色を眺める客人を装い聞き耳を立てて話を聞き取る。
- 139二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 23:28:20
風紀が駐留する所にティーパーティーのメンツか、合同にしてはって感じよな…
- 140二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 02:14:41
ティーパーティーの集団はやがて立ち去っていき、シロコ✴︎テラーはそれを察知するとリオが隠れている方へ戻っていく。
「ちょっと盗み聞きして来た、あの人達はフィリウスって派閥で此処には普通の旅行で来ただけみたい。生徒会長もいないようだね」
「そう、なら安心と言えるかも知れない。他には?」
シロコ✴︎テラーの言葉に一息ついて、物陰から姿を表すリオ。
「此処に来たのは、以前爆破された旅館が好評だったから来ただけみたい。ただ、ゲヘナ風紀委員が駐留しているのには驚いている。でも彼女達の生徒会長のナギサって人の方針でゲヘナとはあまり啀み合う事はしない、ただ駐留していると言う風紀委員会が何処にも見当たらないのは不思議……そう言う感じ」
「ナギサ……桐藤ナギサね、ティーパーティーホストの。つまり友人は来てないと言う事になるのかしら、それ以上にトリニティはレッドウィンターとゲヘナの関係を知らなかったと言うのは少し引っかかる。駐留部隊に関しては……まあ、制服じゃなくて浴衣姿だったから、気付かないでしょうね」
「確かに。さっき会ったのはどう見ても一般生徒だった」
話し合いつつ、リオは廊下を見渡して他に別生徒が通ってないかを確認。今の所は二人きりらしく、リオは安心した表情を見せる。
「その友人って生徒会にいる人なの?」
「ええ、一応。今私はほぼ無許可でレッドウィンターに居る状態よ、私を認知している人に会うのは避けたいわ」
「……大分不味いね、やってる事も合わせたらミレニアムとの関係が悪化する」
「その通りよ、でもキヴォトスの。ひいてはミレニアムの為よ、と言う事だからなるべく私が居たと言うことは伏せておきたい」
「分かった、手伝うよ」
二人はまた移動を再開、次のお土産売り場へ辿り着くと今度はリオが買い物。お饅頭を選び会計へ、支払いを終えた後で早速噂の聞き込みを行う。
得られた情報はクーデターとゲヘナ風紀委員駐留部隊の話、そして最近氷海の方で何かがあったらしいと言う噂だけだ。二人はまた違う所へと向かっていく。
- 141二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 09:27:55
その後も何度か土産売り場に赴き、リオとシロコ✴︎テラーで交代しながらお土産を購入しつつ噂話を集めていく。気づけばお昼時だったので、宿泊部屋へ荷物を置いて二人は集めた噂話を纏め直す。
「取り敢えず、クーデター騒ぎが有名だね。週一で行われてるからレッドウィンターの人は基本動じてない、週一で生徒会長がコロコロ変わるのは良いのって思うけど」
「この辺りは前々から把握してたから、余計詳しくなってしまったという所ね。次にゲヘナ風紀委員駐留部隊かしら、結構噂になっている……と言うより当初は基本制服を着て対テロリスト部隊として居たそうだけど、旅館から言われて二日目くらいから浴衣姿で旅館を屯している長期滞在客になっているみたい」
「流石に旅館内で他校の武力組織がそれらしくいるのは他の客に迷惑だったと、今じゃ馴染みすぎて分からないけどね。ただ旅館内の治安維持に協力してて、旅館内のトラブルに対応してくれてるのは感謝されてるっぽい」
「他だと洞窟関連かしら、近くにあったらしいけど熊などの住処になってるだろうから近付く者は居ないし近付かないよう注意しているそう。これは助かるわ、レッドウィンターに作ったアジトがバレにくいと言うことだから」
「うん、詳しい場所も旅館内の人に知っている人はいないと言うのも朗報」
購入した土産をお互いに分けて荷物へしまいこむ二人。
「一番引っかかるのは氷海ね」
「氷海って?」
「……アビドスにとっての砂漠に類するものよ、あそこで異変が起きていると言うのなら調査が必要。まだどんな異変か、そもそも確定情報ではないけれど」
「もうAMASは送ったの?」
「まだよ、アジトが未完成だから。アジトが完成したら随時送るつもり」
荷物を片付け、手軽になった二人は改めて昼食を取る為食堂へと向かう。
- 142二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 14:54:38
多分同時平行で向こうはオートマタ系かゲブラと戦闘し始めた頃かな…
- 143二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:12:11
昼食を食べ終えてからも二人はお土産売り場巡りと言う名目の情報収集は続いていく。
結局夜まで噂話を集めて得られた追加情報は『今晩から地位を取り戻した生徒会長が宴会の為に旅館へ宿泊しに来る』と言う話くらいだ、リオとシロコ✴︎テラーは早めの夕食をとりつつ今後の話を進めていく。
「纏めると、流石に生徒会上層陣と顔合わせは拙いと。恐らく向こうは他校の重鎮の顔の把握している生徒が一人はいるだろうから、接触を極力避けると」
「ええ。レッドウィンターとミレニアムの関係性は低いと言っても、生徒会の上層陣となれば一人くらいは私の顔を把握していてもおかしくはない」
「じゃあすぐにお風呂入って、明日の朝まで部屋に居れば問題は無いね」
「まあ、それはそう。夕食も入浴も、宿泊部屋で済ませた方が確実でしょうけど」
「でも帰る時には外へ出てる。だったら、私だけでも廊下を歩き回って彼女達の行動範囲を把握するのが合理的」
シロコ✴︎テラーの言葉のリオは頷き返し。
「ただ懸念が一つ、その中に先生がいる可能性よ。レッドウィンター連邦学園生徒会が勝利した要因に先生の存在があったと言うのは十分あり得る、私も先生がレッドウィンターへ赴いた時に地位を追いやられた生徒会長を先生が救ったと言う逸話はきいているもの」
「それは、拙い。私と顔を合わせても問題が多いね、先生なら私が居る理由を気にするだろうし……物凄く、聞いて来そう」
「ええ。だから、シロコにも気を付けて欲しい。少なくとも、レッドウィンター生徒会には決して近付かないで」
「分かった」
方針を決定した頃、夕食を終えた二人は一度部屋に戻る事にする。そこでロビーの方が騒がしい事に気付き、リオは念の為にと小型AMASを起動させスマホを覗き込み。
「……生徒会が来たようね、結構な人数が居るわ。先生の姿が見えないのは、有り難いかも知れない」
「じゃあ部屋へ」
「待って。この動きは……宴会場へ向かっているわね、宿泊部屋に近い。此処は一旦、温泉に入った方が合理的かも知れない」
「しょうがない。じゃあこのままお風呂に行こう」
リオは頷き返し、二人は浴場へと向かっていく。
- 144二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:32:34
まあ、赤冬の動きはかなり先に誘われる山海経との交流までは赤冬出身者から見た日常を過ごすだけだもんな…
- 145二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 08:37:33
「明日の朝には出発か」
「ええ、早朝には旅館を出るわ」
更衣室で浴衣を脱ぎながら語らう二人、浴場へ入ると生徒の数はまだ少なめで混んでいる様子はない。二人は先に洗い場へと向かって。
「何か心残りでも?」
「ん……枕投げとか、やってみたかった」
二人は並んで体を洗い始めるが、シロコ✴︎テラーの発言にリオは渋い表情を見せる。
「……やらないわよ?」
「そう。一度やってみたかっただけ、旅行なんて初めだったから」
「……そこに合理性が無いなら、私はやらない」
「分かってるよ、リオ」
もう一度背中を互いに洗い合い、泡を流し終えた二人は露天風呂ではなく室内の広い浴槽へ入る。リオは端の方へ寄り、シロコ✴︎テラーは浴室へ入る生徒達を見る位置に陣取る。
「リオ、宴会の様子は?」
「今見ているけれど、そろそろお開きで風呂に入ろうとなっているわ」
「……どうやって見てるの?」
見ているとさらっと言い放つリオだが、手に何かを持っている様子は無い。今の彼女は手に持った手拭い以外に身に纏う物などないはずだ。
加えるなら入浴の為に髪を纏め上げているので耳元も丸見えで、とシロコ✴︎テラーはリオの耳元をよく見ると耳栓をしている事に気付き。
「AMASの映像を受信する小型の機械と、連動するコンタクトレンズを付けているの。どちらも防水仕様だから問題ないわ」
「ミレニアムって凄いんだね、驚いた」
- 146二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 15:08:36
多分ミレニアム生でも驚くヤツだろ
- 147二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:27:42
ほ
- 148二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:54:08
湯船の中、小声で相談する二人。リオの右瞳にはAMASから送られて来る映像が映っていて、現在レッドウィンター連邦学園生徒会が温泉の方へ向かっているという図だ。
「このまま浴場を出るより、浴場に潜伏して機を伺い脱出するのが正解ね」
「分かった、リオは私の陰に」
シロコ*テラーが返すと脱衣場の方が騒がしくなって、見ているとぞろぞろと集団が入って来る。
「……誰が生徒会長? 短い金髪と、長いピンク色髪が目立つけど」
「背が低い、髭を付けている銀髪の生徒よ。彼女が生徒会長こと書記長、名前は……確か、チェリノ。ネル……ミレニアムの特殊部隊からの報告から聞いているし、顔は把握しているわ」
「……あの、なんか子供っぽいのが? 先輩も背が低くて生徒会長になったけど、レッドウィンターは凄いね」
彼女達は最初にシャワー浴びる選択を取り、お陰で脱衣所の入り口付近から集団が離れる。集団が来たからか、他校の生徒達も脱衣所に向かい始めているのを見て。
「リオ、チャンス。生徒達に交じってこのまま出よう」
「ええ」
二人は互いを見合い頷き合って湯船から出て、他の生徒達に交じって脱衣所へ向かっていく。
「おい、レッドウィンター生徒会」
「ん?」
その途中、リオ達が脱衣所に入る直前。銀髪のゲヘナ生徒がレッドウィンター生徒会一行へ話しかけに行き、ピンク髪の生徒が一瞬脱衣所の方へ視線を向ける。
「ん? んん?」
「どうした、トモエ」
- 149二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 00:48:01
トモエと呼ばれた生徒が脱衣所に入っていくリオの事を見て、眉間にしわを寄せる。表情が何処かで見た、と訴えているが生徒達に交じって見失う。
「……シロコ、可及的速やかに部屋へ戻るわよ」
「当然、何かあったの?」
バスタオルで体を拭くシロコ*テラー、リオは表情に僅かな焦りを浮かべつつ髪を団子状に纏め上げバスタオルでくるむ。
「……レッドウィンター生徒会の構成員はチェリノ以外を知らない、だけど側近らしき生徒に顔を見られた。もしかしたら、気付かれた可能性がある」
「分かった、行こう」
話を聞いたシロコ*テラーはリオの手を引いて脱衣所から出て行き、廊下ではリオを先に歩かせて宿泊部屋に向かう。そのまま無事に部屋まで辿り着くと、シロコ*テラーはその前に廊下を覗いて追って来る者はいないか確認しながら扉を閉める。
「問題はないみたい」
「ええ、こちらでも確認している。浴場にAMASを送るのは難しい、だからその周囲に送っている。送られた映像からは特に追手が来ている様子は見られない」
「良かった、じゃあ寝よっか。明日は早いんだし」
「それに長距離移動ね、雪道の中を」
そう言い合うと、布団を用意しする二人。着替えを準備して、お互いの荷物を起きあい退室の準備を済ませてから布団へ潜り電気を消す。
暗がりの中、月明かりと反射する雪だけが照す部屋の中で。
「ねえ、リオ」
「何かしら、シロコ」
「楽しかった? この旅行」
「……そうね。あともう一日あるけれど、有意義だった……と、思うわ」
「そっか」
- 150二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 08:16:38
クロコやシロコはリアリストだけど、そもそも面倒見てたホシノが割とリアリストだからってのがある
まあアビドスで暮らす選択したらリアリストにならなきゃやってられないけど - 151二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 13:09:05
尚、ホシノはリアリストの気質があったから先輩を傷つけて永遠の別れをした模様……アビドスの環境が悪いよ、あれは……
- 152二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 14:33:03
雰囲気はコイバナしそうな修学旅行の学生だけどこのまま寝そうかな…
- 153二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 15:05:00
キヴォトスってびっくりする程コイバナ展開が無いからな……男子生徒はロボ生徒のみ、男はJKに興味が無いおっさんロボや獣人市民のみじゃそりゃそうとしか言いようが無い気もするが
- 154二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 23:12:43
仲間とのエピソード…無理か…
- 155二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 02:00:02
満足そうに呟くシロコ*テラー、そして部屋の中に静けさと二人の生徒の寝息だけが響く。
翌朝、五時半頃に起きだすリオとシロコ*テラー。前以て準備していた通りに着替えて、そのまま自販機で飲み物と朝食を買って六時丁度にチェックアウト。
「吃驚する程スムーズに進んだね」
「今AMASで見てるけど、レッドウィンター生徒会は全員寝てるわね」
旅館を出ながら朝食を食べる二人、外は朝から雪が降っているを見上げながら旅館を後にしていく。雪道を進みながら洞窟に向かって歩いていき、辿り着くとそこは雪で埋まっている。
「どうする、リオ」
「待ってて」
シロコ*テラーの言葉にリオは懐からリモコンを取り出し、操作すると雪崩の部分が消えて洞窟の入り口が出現する。
「これって立体映像?」
「ええ、投影機を置いてあるの。これでもう、此処に入口があると思うものは居ないわ」
リオはリモコンでコードを入力すると入り口が下りて、二人は入り口をくぐると扉が閉まり洞窟内は暗くなるもAMASが明かりを灯しながら二人に近付く。そしてAMASは二人を先導し始め、リオとシロコ*テラーは付いていく。やがて、一昨日来た時と同じ場所に辿り着く。そして同じようにコンソールを出現させコードを入力、扉を開けて潜っていく。
「そう言えば洞窟内の動物をどうするの?」
「洞窟内の動物が居る所に壁を作り、新たな入り口を掘っておいたわ」
- 156二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 10:21:27
環境にも配慮した仕組みだな
- 157二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 12:07:56
奥へと進む二人。まるで迷路のように入り組んだ構造になっていて、所々リオがコードを入力しないと開かない扉が設置されている。
そして進んだその先、見慣れたリオのアジトにたどり着く。奥からはまだ作業の音が聞こえるが、モニターは点灯していて電気が通っているのを確認。リオはモニター前の椅子に腰掛け、モニター前のキーボードを動かし始め。
「何をしているの?」
「作業状況の確認と、氷海へ送ったAMASの報告ね」
「何かが起こっているって言う、あれ。どうだったの?」
「今の所は。ただ、戦闘の形跡があるようね……成程、そう言うことね」
映像を眺めているリオは何か納得を得たらしい言葉を発する、シロコ✴︎テラーは分からないようで。
「どうしたの、何かあった?」
「誰かが氷海で調査した後があるわ、多分私が用意した部活ね。特異現象捜査部と言う、恐らく数日前に先生と一緒に来たのでしょう。その痕跡と言ったところね、今は居ないようだけど……一応調査の為の仮設基地も発見報告が来ている」
「異変って、それ?」
「さあ? 異変があったから捜査部が来たとも、捜査部が何かしたから異変が起きてると噂になってるとも。どちらも言えることよ」
リオは更に操作を続けて席を立つ。
「此処でわかる情報は全て見た、あとはアジトが完成してからね。まだ居住区は出来てないし、一先ず帰りましょう。出口も出来てるから、外に出るのは容易よ」
「わかった」
シロコ✴︎テラーは頷き返し、リオの後に続く。リオの用意したと言う出口に進んでいくと、また洞窟が。真っ直ぐ抜けると壁が開き外へ出る。
そのまま二人は道なりに真っ直ぐ進んで街に辿り着き、駅に向かい帰りの電車へ乗り込んだ。
- 158二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 16:10:26
一旦お帰りか…
- 159二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 18:01:36
二人を乗せた電車はそのままD.U.に向かって走り出す、リオはスマホを覗き各地から集めた情報を確認。シロコ✴︎テラーはそんな様子を眺めながら、首に巻いていたマフラーを解き丁寧に畳んで荷物へと収めるのだった。
後日。
シロコ✴︎テラーはアビドス高校へと向かって歩いて行く、その手には幾つかの荷物を持っていて。アビドス高校の校舎へと入り込むと、慣れた調子でずんずん進み『アビドス廃校対策委員会』と書かれた部屋の扉を開ける。
「あっ、向こう側のシロコちゃん。やっほー」
「やあみんな、旅行に行ってきたからお土産持って来た」
「りょ、旅行!?」
「わぁっ、有難うございます!」
驚くセリカ、感謝の言葉を返すノノミ、シロコ✴︎テラーはどすっと机の上に買って来たお土産を置く。
「えっとお団子にクッキーに」
「ぬいぐるみ? これ何?」
「レッドウィンターの温泉旅館ですか、噂に聞いてましたが行って来たんですね」
「温泉旅行……確かにアビドスは冬だと雪が降るし、行ってみたい」
お土産の中身を確認するアヤネ、怪訝な顔をしてぬいぐるみを手にするセリカ、そしてシロコの行ってみたいと言う言葉に。
「行きたいなら行けば良い、それとちびシロコ」
「何、でぶシロコ」
- 160二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 18:11:30
お饅頭やクッキーに舌鼓を打ったりぬいぐるみを見たりする対策委員達、そんな中シロコ✴︎テラーはシロコに向けて。
「寂しいときは寂しいと素直に言うべき」
「……何を言ってるの?」
「月に二回くらい、昔みたいにノノミや先輩とお風呂入りたいって思ってるでしょ。知ってるよ、よく」
その発言に凍り付く対策委員達、シロコ✴︎テラーは用は済んだとばかりに部屋を出て行く。扉が閉まる音で最初に動き出すのはシロコ、愛銃を手に取り発砲準備を整えて廊下へ飛び出しまだ歩いているシロコ✴︎テラーの背に遠慮なく乱射。
「ん……危ない」
「いい加減な事を言わないで、誰がそんな事を!?」
「私はあなた、自分が昔何を思ってたかよくわかってる」
響く銃声と弾き出される空薬莢、慌てて飛び出す対策委員達はシロコを押さえ込み。
「せ、先輩、落ち着いて!?」
「そ、そうですよ、とりあえず校舎内で撃っちゃダメです!!」
「シロコちゃん!!」
後輩に抑えられる中、シロコに抱きつくノノミ。
「もう、寂しいなら寂しいと言っていいのに」
「ち、ちがっ、別に寂しいとかそういうのは」
「嘘はよくない。一人暮らしを始めて半年くらいにはノノミと洗いっこしたり先輩と一緒に100まで数えてた頃を懐かしがってた、大きくなっても中身は小さいままだもんね」
- 161二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 18:13:06
多分必要なBGM)
- 162二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:19:00
吠えるように叫び返すシロコ、取り敢えず銃を取り上げようとするセリカとアヤネにシロコ本人を取り押さえるノノミ。そこに生暖かい視線を向けるホシノが現れ。
「そっかーシロコちゃんはそう思ってた訳か、おじさんもさ? 最近一人でお風呂入ってると寂しくなっちゃう時があるし分かるよ〜たまには、一緒にお風呂入ろっか?」
「そ、そう言うのは、その」
「昔はよく一緒に入ってましたからね、久し振りに銭湯に行きましょうか」
「そうすると良い、ちびシロコも一度は素直になるべき」
「余計なお世話!!」
叫び返すシロコ、そして後輩達に引き剥がされるシロコの銃。そんなやり取りを見ながら、シロコ✴︎テラーは。
「私みたいに、皆んな居なくなってから一緒にお風呂入ろうって言えば良かったとか泣き出すよりはね」
「……え?」
その声は誰かが溢したもの、シロコ✴︎テラーの経歴を知っている五人だからこそ痛感する彼女の嘆き。それだけ言い終えると、シロコ✴︎テラーは踵を返して立ち去っていき。
「あの。向こう側のシロコちゃんも、一緒に行きませんか?」
「ん……それは辞めておく。きっと、こっちのノノミが怒るよ。こっちの皆んなは、私が一緒に過ごした……私が一緒に居たかった皆じゃない、代わりにしちゃダメだよって」
「……ああ、そうですね。それは、怒っちゃうかもですね。ここに居る私達は、向こう側の私達の代わりは出来ませんから」
「うん。だから、こっちの皆……ちびシロコ達と一緒に入る気になったら、また来るね」
苦笑しながら返すノノミ、シロコ✴︎テラーは手で挨拶しながら去っていった。
- 163二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:41:40
トリニティ総合学園。
ティーパーティー各派閥には秘密の花園がある建物がある。サンクトゥム派は広大な中庭の中に作られた大きな植物園の迷路、その先にある小屋がそれだ。正解を知る者でなければ近付くことが出来ず、中にいる者も確認出来ないと秘密の会談向けな場所だ。
噂では、此処でサンクトゥム派次期トップと目された生徒と新入生でありながらトリニティ最高峰の才女が密会をしていたなんて物がある場所。そこに、調月リオが人知れず手荷物と共に歩き行く。
彼女はやがて中央の小屋へと辿り着くと扉を開き、中へと入る。
「やあ、久し振り……と言う程の時間は流れていないかな?」
「……そうね、久し振りと思ったけど言う程では無いわ」
そこにはアンティークなカンテラの灯りで読書する百合園セイアが居て、彼女は紅茶と共に本を読んでいる。
「待たせたかしら?」
「さあ、どうだろう。私は読み耽っていたが、待ったと言う感触は無い。君も知っていると思うが、私は長い間眠っていてね。目を覚ませば、愛読シリーズの続巻が多数出ていて。いやはや、追いかけるのも一苦労さ」
語っては紅茶を口にするセイア、対するリオは手荷物を机の上へ置く。
「おっと。客人が来たと言うのに不作法をしてしまった、好きな位置へ腰掛けてくれ。私の淹れた物で良ければ紅茶も出そう」
「いいえ、そこまでは」
「させてくれ、せっかく来たんだ。出来れば長居して欲しい、そもそもその為の庭だ。来るのも帰るのも面倒な此処でそう急く必要もないさ、変な言い回しで済まないが此処のホストは私だ。もてなしを受けるくらい、良いじゃないか」
言いながらセイアは実に不慣れな手付きでお湯をポットへ注ぐ、リオは手伝うべきか悩んでいると誰かが部屋へと入り込み。
「よーっす、来たぞーで何の用っては? リオ、お前なんでいるんだよ?」
「こちらの台詞よ、ネル。何故貴方がトリニティに?」
「あたしよりお前の方がよっぽどだろ。一応此処ティーパーティーの敷地だぞ、お前が此処にいたら拙いんじゃないのか?」
「気にしないでくれぉっと、此処にミレニアムの者が居ようと生徒会長が見たのでなければ皆の眼が盲目になる事としている」
- 164二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:57:23
セイアの言葉に対し、制服姿で現れたネルが出たのが溜息。紅茶を注ぐどころかお湯を入れる時点で危なっかしい彼女の動きに、ネルは颯爽と間に入って鮮やかにセイアの仕事を奪いリオと自分の紅茶を淹れる。
「なんと、ネルは給仕の心得があったのかい?」
「彼女はミレニアム最高のエージェントにして、最高のメイドよ。私は主にエージェントとしてのみ重宝していたけれど、彼女の家事能力も高いわ」
「褒めても何も出ねーぞ、つうかなんだこれ? 温泉旅館の菓子って、お前どこに行ったんだよ」
「レッドウィンターの温泉よ、だから。その、これは……」
「なんだよ、はっきり言えよ」
「そう急かさなくていい、紅茶でも飲みながらゆっくりしよう。ネルも好きな位置に座ってくれ」
セイアに制され、居心地悪そうに言われた通り席に座って紅茶を一口啜るネル。表情のみで続きを促すネルに、リオは咳払いをしながら。
「お土産よ」
「ならそう言えって、いやお前が土産? 珍しい事でもあるんだな、そもそもお前がどっか出掛けるのも珍しいけど」
「レッドウィンターの方で異変を調べていただけよ、それで一般客として旅館を使っただけ」
「ふぅん、一人でか? まあお前が黙ってなんかすんのは良いけどよ、しかし土産を買ってくるとはな」
リオが机に置いた土産を物色するネル、中はお饅頭やクッキーにパズルや絵画などが入っている。
「で、これもしかしてミレニアムにも持っていった方が良いやつがあるのか?」
「……ええ、どうしてわかったの?」
「そりゃお前ならどうせ、あそっか。つまりあたしを呼んだのはセイアか」
「ああ、どうせならネルと一緒が良いだろうと思ってね」
「でも、それだけよ。折角紅茶を淹れてもらって悪いけど、私は長居するつもりは」
そう言って立ちあがろうとするリオ、だが手を上げて制するセイアが居て。
- 165二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:34:57
二人のそれぞれのグループとの交流は良いな…
- 166二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:12:00
「まあ待ってくれ、私は君から一番欲しい土産をまだ貰っていない。それを置いていった後でも良いだろう?」
「なんだそりゃ?」
疑問を口にするネル、無言のまま疑問符を表情の浮かべるリオ。セイアは穏やかな笑みを浮かべつつ。
「土産話さ、旅行へ行ったのだろう? なら積もる話だってある筈さ、それを聞かせてくれ。私にはそれで十分だ」
「……本当に、そんなもので良いのかしら?」
セイアの言葉に戸惑うリオ、だがセイアは笑顔で肯定し。
「そんなもので良いのさ、君にとって路傍の石塊かも知れないが私にとっては得難い宝石と言える。そうだね、かのミライと言う生徒はミレニアムEXPOを金稼ぎの為に台無しにしようとしたが君はミレニアムEXPOの成功を掛け替えの無い宝のように守り抜いた……そんな感じだとも」
「いや分かりづらいって、要はリオの話を聞きたいって事だろーが。取り敢えず話してやれよ、リオ」
「ええ、そうね。ええと、どこから話しましょうか」
「気にせず、話したいように話してくれ。時間は幾らでも用意しよう、それくらいしか出来ないけれどね」
語るセイアに対しリオは席に座り直し、紅茶を口に含む。息を整え、改めて語り始める。そう、まずはある生徒と出会い友情を育んだ所から。リオが旅した二泊三日の旅行の土産話を語り継ぐのだった。
- 167二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:27:39
ミレニアム、セミナータワー。
今日も今日とてミレニアムの生徒会、セミナーの面々が忙しなく働いている。そこに現れるメイド姿の生徒が二人、ネルとアスナだ。ネルは手にした荷物を、室内にいるユウカの下に近付くと。
「ほい、これ土産。温泉まんじゅうだから、セミナーで食っとけ」
「は? いやいや、急になんですか? と言うかえ、お土産? どうしたんですかネル先輩、先輩がお土産なんて。と言うか、任務に行ってたんですよね? お土産を買う余裕なんてあったんですか?」
「あーいや、まいいやそう言う事で。確かに渡したからな」
「待って下さいネル先輩」
困惑するユウカを無視して立ち去るネルを呼び止めるのはノアだ。
「私が記憶している限り、ネル先輩からお土産を貰ったことがありません。第一、そもそもお土産とはどう言うことでしょうか? 任務の帰りに買い食いでもなさってたんですか? アスナ先輩からも、何かあればお聞きしたいのですが」
「いや、私もリーダーがお土産持ってきてさ。C&Cの本部にも置いてったんだよ、あっもしかしてリオ会長からのお土産?」
アスナの発言に凍り付くセミナー一同、めんどくさいと表情に浮かべながらぼやくネル。やがてザワザワし始めるセミナー所属の生徒達、何せリオ会長といえばここ暫く行方不明となってる生徒会長だからで。
「どう言うことですかネル先輩、リオ会長に会ったんですか!? いやそれより、居場所を知っているんですか!? だったら連れて来て下さいよ、どれだけ仕事が溜まってると思ってるんですか!?」
「あーもーそうだよリオの旅行土産だよ、いつも頑張ってるお前らにって。じゃっあたしは行くからなー!」
「ちょっ待っネル先輩ー!!」
捲し立てるユウカ、対し面倒になったネルは駆け出すように去っていき追いかけるアスナ。
- 168二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:35:37
「……行っちゃった」
「うーん……はい。ユウカちゃん、お茶にしましょうか。皆も、リオ会長からのお土産ですので仲良く食べましょう」
ノアの一言によりほぐれていく空気、手が空いた者から一人また一人とリオからのお土産である温泉まんじゅうへ手を伸ばしていく。
「そうだ、コユキちゃんも呼びましょうか」
「あっ、書記。例のコードネーム白兎ですが、また扉のロックを解除しました。脱出しようとしてるかと」
「はぁ!? コユキは何をしてるのよ!」
「良いじゃないですか、こう言う時のコユキちゃんは掃除用ドローンに紛れて脱出する気でしょう。以前指示した通りに見張ってて下さい、私達が向かいますから」
短く返事をするセミナーメンバー、コユキの反省部屋へと向かうユウカとノア。その後ノアの読み通り掃除用ドローンに隠れて脱出するつもりだったコユキは離れた位置で脱出するのを待っていたユウカに捕まり、慄いていたコユキを休憩スペースへ連れ込んでお茶休憩をするのだった。
- 169二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:00:58
結構長くなったな……花見編書けるかな、これ
- 170二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 14:21:11
正直このスレに納めずとも続けても良いと思う…
- 171二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 23:19:31
正直同意見ですな
- 172二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 00:19:43
「リオ、今日は外で食べよう」
「急にどうしたの、シロコ」
今日のシロコ✴︎テラーは少し違っている、普段は夜から朝まで居るのだが朝から訪問しているのだ。
「今日は夜の見回りを予定しているんだ、アビドスの方で夜に不審者が出るって言うからね」
「そうなの、それと外で食べる意味が繋がらないのだけど」
「今日は昼の分しか作れないから、たまには外で食べようって」
「別に、お昼も此処で作れば良いじゃない」
不思議そうに返すリオにシロコ✴︎テラーは残念だと表情に浮かべて首を横に振って。
「お昼を食べた後は先生に呼ばれてる、なんならついさっきまで先生の仕事を手伝ってた。シャーレでお弁当を作って来たから、あまり時間が無いんだ」
「……なら此処で食べていけば良いわ」
「最初はそう思った、だけどリオは此処数日篭りっきりで先生もリオを呼んでないと聞いたしリオも数日アジトに篭ってばかりと聞いた。流石に日光を浴びるべき」
リオは悪戯を見つけられた子供みたいな仕草を見せ黙り込む、そして溜め息と共に椅子から立ち上がると身体中からポキポキと音が出て。
「……暫く運動不足だったようね、たまには外での食事も悪くないわ」
「ジム作ってるよね?」
「ジムで軽い運動はしてるけど、座っての作業が長かったのよ」
「うん、わかった。外でお弁当を食べるで正解だね、桜が咲いてて良いところがあったから花見をしよう」
二人は並んでアジトの外へ出ていく。日差しを前に思わず目を閉じるリオ、若干白い目で見るシロコ✴︎テラー。
「連れて来て正解、リオはもう少し健康的な生活を意識するべき。ああ言う生活は逆に非合理的」
「そ、そうね。少しやり過ぎだったわ」
「おや、リオ」
急に掛けられる言葉にリオは咄嗟に物陰へ、シロコ✴︎テラーはリオを隠すように立ち回る。そこに居たのはセイア、彼女はランチボックスを片手に歩いていて。二人の反応に軽く引き気味に。 - 173二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 08:08:10
「……どうしたんだい?」
「ええと、誰?」
「……セイア、何故ここに?」
リオはシロコ✴︎テラー越しにセイアへ問い掛けるが、シロコ✴︎テラーも少し困惑気味だ。
「シャーレの当番だよ、先生が出掛けたのでね。たまにはこうして外で昼食を取ろうと思ったのさ。丁度、近くに桜が綺麗に咲いたそうだから観に行こうかと。リオ、君は?」
「……似たような理由よ、最近室内での作業ばかりだったから。たまには、外で食事しようと」
「では同行しても構わないかい、後一緒に居る其方についても聞きたいな。まあ、君が隠れ住んでいるのを忘れて声を掛けたのはすまないね」
「いえ。私もミレニアム生徒が居ないのを確認はしていたから、声を掛けて来る他校生徒の可能性を失念していたわ」
リオとセイアを交互に見るシロコ✴︎テラー、セイアはシロコ✴︎テラーに視線を向けて。
「それで、君は? 観ない顔だね、リオの友人かい? でも、リオに友人がいたのは少し驚いたな」
「私は、シロコ。うん、そう、真シロコ」
「……うん、そうか。分かったよ、宜しくシロコ」
セイアは一先ず色々察して朗らかに挨拶し、三人で目的地に向かう。
- 174二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 13:18:44
ゲーム的にリオとクロコ、そんな相性良くないんだよね。EX連打する性能じゃないから、クロコ
- 175二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 14:34:29
自己強化系だもんな、クロコ…
- 176二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 23:20:19
ほ
- 177二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:32:16
「さて、我々は花見へ行く事になった訳だが……二人は場所取りをどうするつもりだったんだい?」
「桜を眺めながら散歩して、食事をしようと思ってたけど」
シロコ✴︎テラーの言葉に苦笑で返すセイア、リオもそのつもりらしい事にセイアは。
「……成程、君達はこの辺りの花見を甘く見ているようだね」
「ん。どう言う事? 花見の場所争いで抗争が起きているとか?」
「起きていたよ。そうなれば、どう言う事態になると思う?」
歩きながら考えるリオとシロコ✴︎テラー、考えつく事と言えば。
「ヴァルキューレとかが規制に動くと言うことかしら、それで何がどうなると?」
「見にいけば分かるよ、あの通りだ」
セイアが指す先、そこにはヴァルキューレによる検閲所が出来上がっていて。
「……何あれ?」
「ここ数日で花見の場所取りで抗争勃発、シャーレも動く事態になりヴァルキューレは数日前から花見に来る客の引き締めを決行。まあ桜並木や公園で銃と擲弾の大騒ぎをすればこうもなるさ、なのでこの辺りで花見をするには予約が要る」
「……そうだったのね」
「ちなみに発案はシャーレだ、入場者を検閲したらと先生や対応した生徒で思い付きで言ったら連邦生徒会からも了承が出たらしい」
「セイアは予約を入れてるの?」
リオの問いかけに頷き返すセイア。
「知人に頼んでいる。お陰で私も花見が出来て有難いよ、検閲が出来る前はナギサから『危険だから行ってはいけない』と釘を刺されたからね」
「ここ最近、確かに花見場所の取り合いでゲヘナ生徒同士が争ったり巻き込まれたトリニティ生徒やミレニアム生徒が混ざったり連合を組んだりでシャーレの仕事は凄い事になってた」
「……そんな事態になってたのね」
- 178二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 08:07:11
リオとクロコはフェス限初出組だから、ワカモと言う例を考えると夏頃に新規衣装来てもおかしくないんだよね。ミカみたいに2年以上過ぎても追加無しとかあるけど
でも絵師問題あるから早々に二人とも新規衣装版が来そうだけど - 179二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 13:17:13
限定の二種目は恒常入りすること多いけど、着替えたリオやクロコが恒常すり抜けで来るのを想像すると吹きそうになる
- 180二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 14:47:37
仮に来るとするならシンプルに水着かね…?
- 181二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:44:13
ミレニアム水着会が来てないからあり得る話、水着ワカモ恒常はちょっと強過ぎる前例
それにクロコの水着はアビドスの水着回が終わってるから別のイベントじゃないと出せないってのがあり、クロコとリオは名もなき神々や色彩関連で引き合わせられなくもないから割と『クロコとリオが水着イベントで互いに恒常追加』は大穴枠ではあるがあり得るって言う
- 182二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:54:56
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- 183二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:55:17
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- 184二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:55:42
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- 185二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:56:18
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- 186二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:56:43
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- 187二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:57:06
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- 188二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:57:32
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- 189二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:57:57
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- 190二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:58:21
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- 191二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:58:45
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- 192二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:59:09
保守
- 193二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:59:29
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- 194二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:59:51
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- 195二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:00:11
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- 196二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:00:29
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- 197二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:00:48
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- 198二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:01:07
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- 199二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:01:25
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- 200二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 18:01:39
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