ここだけ本編前の異修羅世界

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:06:04

    >>200で“本物の魔王”が来る。

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:10:45

    つまり本編開始前の想像をしようってスレか?

    タレンさんが蜂起する前はエレアに色々教えて面倒見てたらしいから、そのシーンとか見てみたい
    たぶんだけど、詳細を見ていくと
    「お前もっと生き方を変えられたはずだろ……」
    みたいなポイントが其処此処にある気がするんだよなエレア先生

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 19:18:00

    >>2

    (※はい。以下のスレを参考にした、過去の異修羅世界のなりきりスレのようなものです)


    (※異修羅二次創作は本編の策謀のレベルが高過ぎて中々オリジナル修羅やオリジナル魔剣やオリジナルダンジョンが出し辛いので………………!)


    ここだけエルフの森ただし>>100で燃やされるかオーク襲撃する|あにまん掲示板フフ、今日もハープの音色が美しいわ。bbs.animanch.com
  • 4二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 20:05:52

    オリジナル客人とかオリジナル黒曜の瞳とか出していいの?

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 20:08:14

    >>4

    (※問題ないです!)

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 20:09:55

    またおぞましきトロアが現れたらしいな…………ノルガ市の貿易商が殺されたが、やはり魔剣を持ってたんだろうか

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 20:23:30

    さしもの西連合王国も魔王に恐れをなしたか、こんな上等な酒、俺が正当に認められたとしても、毎日は飲めないだろうさ。
    腐った議会どもだか、気だけは利きやがる。
    オイ、そこの白髪の小人、まだ居たのか。ご苦労だった。帰っていいぞ。

    『魔王、凍る汀のマノチス。伝え忘れたことがあったんだ。それは、その酒は″最期の晩餐″だ』

    貴様っ!

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:04:00

    おいおいユシド、文字なんて学んで何になるんだ?
    そんなことより槍の特訓だ特訓!

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:06:32

    未来が見えるって噂の森人がおかしくなったんだってよ
    元々“世界詞”が現れるだとか、いまいち信じられん話しかしていなかったそうだが
    しきりに「怖い」としか言わなくなっちまったらしい

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:14:47

    >>9

    未来が見える…………?

    詞術で出来るのか?そんな事

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/11(火) 22:40:28

    >>6

    なりそこないめ


    >>9

    >>10

    私は勘が良い方だが、良くないことが近づいているような気がしてならない

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 00:18:53

    『シュカより冷たい星へ。天涙の瞬き。傾きの陽。集え!』

    き、傷が… なぜ治らぬ…!

    『生術で放射線の影響力を強めた。お前はもう助からない。』

    バ…バカな… 竜たるこの嵐火のリリアスが… 人間なぞに…

    『影喰みのシュカ、それがお前を倒した人間の名だ。』

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 02:30:10

    最近はゴブリンやハーピーをめっきり見なくなったなぁ
    あの腐れワイバーンどももどうにか減らせないもんかねぇ?

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 07:37:59

    おい、聞いたか? 色彩のイジックが国をまたひとつ滅ぼしたらしい

    岬の果てのウェリーゲンと秘衛のリーフィア。有名な魔王自称者と客人が起こした国だと言うのに……
    この中央王国も無事ではないかもしれないな

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 08:50:06

    >>8

    天穹のユシドいいよね…

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 09:05:15

    >>14

    まさか…あの"岬の果て"の『仕掛け』も、"秘衛"の『見えざる守り』も意味をなさなかったというのか…?

    あぁ、恐ろしい…奴こそまさに魔なる王と称されるにふさわしい最悪の詞術士だ…!

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 09:38:28

    「俺はとびきりの朗報を手に入れた……!"蓋つ雲"が討たれたんだ!」
    「……本当か?腕に覚えの冒険者たちも、あの人食い雲には全く手出しができなかったと聞くが……」
    「私も、集落の救助に向かった王国の部隊一つが消えた話は知ってるよ。熱術で焼き散らそうとしたら、燃える油雲になって降り注いで、それに呑まれたって……。あんなものを倒せる奴がいたってのかい。信じられないね」
    「裏通りの"山知らず"が遠目鏡で観測したってんだから間違いねえよ!あの辺りを覆ってた忌々しい腐れ雲がすっかり晴れてたんだ!!」
    「あぁ、俺も聞いたぞ。ジケフ旅商団の情報じゃ、旅の弓手の男が、客人と一緒に現れたとか……」

    フギ山岳地帯の麓、集落一帯の空を覆う悪夢の如き雲霞…蓋つ雲ヴァザーレ。
    飛蟲(蝗)の屍魔群を正体とする最悪の生物兵器を討ち果たしたのは、奴隷出身の言葉持たぬ英傑と、"彼方"の技を操る影の戦士であった。
    一人の少女の切なる願いに応え、報酬もない死闘に身を投じた彼らの名は──


    天のフラリク。

    移り馘剣のユウゴ。

    のちに"最初の一行"と呼ばれる、始まりの二人の物語は、放浪の吟詠の中に今も謳われていると言う。

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 09:43:08

    普通に感想とかも語っていいんだよね?


    >>12

    生術の応用でそっちにブーストかけるのえげつねぇ〜!触媒に冷たい星使ってるのもニヤニヤするし、二つ名の渋さも素晴らしい

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 09:54:30

    >>7

    魔王(自称者)の名前のそれっぽさと台詞回し良い…ここに至る経緯を想像してわくわくしてしまう

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 11:40:18

    >>13

    そういえば、鳥竜どもを討伐して回ってる奇特なお人がいるって聞いたが…まるで我が物顔で空にたむろする奴らの羽を毟るように…

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 19:10:32

    「おのれ!影喰みのシュカ!よくも俺様の部下たちを虐殺しやがったな‼︎」
    「そういう依頼だからな。部下は全員始末した。リーダーのお前はできるだけ残虐に殺してくれ、と言われている。」
    「フハハ!この星深瀝鋼製シェルターを破壊する事は絶対に不可能だ‼︎残念だったな!」
    「破壊する必要など無い。シェルターの外から中いるお前を殺せばいいだけだ。」
    「何を言って… なんだ?暑い?」
    「最期に、お前がどうやって死ぬのか、なぜ死ぬのかを教えてやる。」
    「お前が今浴びているのは彼方で言うところのマイクロ波だ。これからその出力を一気に上げることでお前の体内の水分を水蒸気に変えてその体積を1600倍に膨張させる」
    「待っ…」
    「依頼主からの伝言だ。『娘を汚した報いを受けろ』」

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:15:51

    >>10

    その森人の話、私知ってるよ。

    遠見のカヤム。彼女は特別な眼を……未来が見える“魔眼”を持っていたらしい。

    ただそれも、自分で抉り取っちゃったんだって。

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:21:12

    ナガンに留学しにきたはいいものの、授業難しすぎてもう笑うしかない。
    御貴族様方は一回くらい皆様で使ってる文字を統一しようとか思わなかったのですか?

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 22:39:09

    「そうか。なら仕方ないな」
    交渉は決裂した。
    マスケットを三十。相場より少々色を付けた額での取引に応じた哨のモリオは、今正に取り囲まれ、刃を向けられている。
    相手は賊だ。新たな金の流れを企図しての行いだった訳だが、とんだ無駄骨であったということである。
    「アルファ、金の花に西と東」
    想定はしていた。
    だからこの場の取引相手は、懐を温める為に皆死ぬこととなる。
    「"ショアニスより再練玉鋼へ。灰色の雲霓。捌くは林。鋳込め"」
    再練玉鋼。鞴のショアニスが有する魔具。所有者の意のままに形を変える鋼の塊。今は長大に過ぎる剣へと姿を変えて、周囲の人間を伐採した。
    「適当に攫って帰るぞ」
    「雇い主」
    「何だ」
    「追加金として現物支給を要求する」
    「……………」

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 23:30:13

    最近新しい国が生まれたらしいぞ
    そこは人ではなく機魔が生活しているらしい

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/12(水) 23:41:10

    >>25

    なにっ

    儂も見に行ってみるとするか

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:14:31

    >>22

    自分で自分の…?うぇえ、聞くだに恐ろしいな…変なもんが見えなけりゃ、そんな事になんかならなかっただろうによ…

    ま、真っ当に普通に生きてる俺たちなんかにゃ、絶対に縁のない死に方だぁな、くわばらくわばら…

  • 28二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:18:40

    影食みとか氷の汀とか上手い二つ名多いな…嵐火さんもオーソドックスなドラゴンっぽくて想像が捗る

    >>24

    モリオ好きだから簡易SSめっちゃ嬉しい…

    いいよね簡略化されすぎて他者には呪文みたいに見える符合…鞴のショアニスとの掛け合いもいいってか再練玉鋼かなり応用効きそうだなこれ…

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:22:04

    >>6

    (1/2)

    武勇の名高き、燦剣ラドラスが死んだ。

    人里離れた山道の中途、遠目に夜が昼になったと騒ぎが起きてから警邏たちが駆け付けるまでの須臾の間に、幾度かの眩い焔の閃きと剣戟の音を経て、道は再びその閑寂たる暗冥を取り戻しており。旅路にあった砂人(ズメウ)の英雄は、その無残な骸を、血汐に濡れた叢へと晒していた。

    数多の戦場を渡り歩き、剣士の無双と共に知られた燦爛の魔剣はどこにも見当たらず、惨劇の下手人は目下捜索中で――


    ギルドに属さぬ暗殺の徒、閑古のアジムが死んだ。

    誰にも尻尾を掴ませなかった、詞術士殺しのはぐれ森人(エルフ)は、影へ紛れるための闇褐色のローブを、胸当てとその奥の肺腑ごと袈裟懸けにされた姿で、廃村のそばに発見された。まるで、影そのものを斬りおおせる何者かがいたかのように。

    刀身接触中の詞術的発声を封じる機能で以て恐れられた短剣「噤み蛇」は、暗殺者の袂の鞘から引き抜かれ、どこへかと消え去っており──

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:23:23

    (2/2)
    ……や…やっぱり、そうだ…
    ついこないだの、ノルガの貿易商だって……ああ、こいつも…こいつもそうだ……

    「オラムの燦爛たる魔剣」…「噤み蛇」…「キスヒルスの劈(つんざ)く刃槍」…「ダブウィクトの波の魔剣」…「瞬雨の針」…「ミザンエルデの顰(ひそ)みの魔剣」…「屍山鳴杖」…

    記録も地域もばらばらだが、全て同じだ。魔剣が、魔剣が奪われていやがる……
    あぁ、なんてこった……あの噂は本当なのか…?
    『魔剣を持つ者の前に現れる死神』……
    だとしたら…だとしたら、まさか、この俺のもとにも……


    ひたり。


    ……ッ!!

    ひたり。

    ひたり。

    こ…この塒は誰にも知らせていないはず
    …クソッ!!

    「………ジダ・ザルダの恙(つつが)なる魔剣。治療あたわぬ狂乱の痛痒を引き起こすその剣──」

    「命と共に、こちらへ寄越せ」


    お……おぞましき……トロア…!!!

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 00:35:35

    >>29

    >>30

    (こう言うのはなんだけどこんなとこで出さずにハーメルンででも書いてくれませんかね!!!!!!)

  • 32二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:03:45

    >>26

    やめときな、爺さん…

    『韋駄天』とかいう早足の客人がひとっ走り見てきたのを聞いたんだが…ありゃあ本当に『魔族の国』……人族のためじゃねえ、機魔で出来た、機魔どものための王国なんだってよ…あんなものは、"彼方"でも見たことがねえって…不吉なシロモンだって震えてたぜ

    噂じゃあ、あの"色彩"と似たような魔王がおっ建てたもんだって言うしよう…

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:12:27

    >>31

    (実際よくわかんないところあるんだけど、このスレなりきりでのレス限定なんだっけ?元の趣旨的に、上の含めて幾つかある短SS形式の投下とか、感想レスとかもアリなんだっけ…?)

  • 34二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:14:33

    >>32

    ああ…儂は導かねばならぬ…

    人族、魔族、何者であれ全ては微塵であるとな…

  • 35二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 01:21:29

    >>33

    (本物の魔王以前の時代設定ならなんでもありっぽい)


    おぞましきトロアなんていう、魔剣を取っていく「何か」がいるらしい

    そんなに剣ばかり持ってても一度に持てやしないだろうにな

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 02:16:34

    >>34

    お前だったんかい!!そうか言われてみれば一人称儂ってそういう…

    普通にその辺の観光気分お爺ちゃんモブかと思っちまったいそしてよく考えたらそんなモブがさらっと行ける場所じゃねえわ

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 02:18:36

    >>24

    モリオの逸脱ってこういう場面でマジで便利よね

    そしてショアニスがいい根性してて笑う

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 07:12:44

    『惨夢の境』がまた出たらしいぞ…被害は甚大らしい

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 08:04:45

    …咲白様は、まだ戻られぬのか?

    ああ…我らが王国にとり、いずれ来たるべき脅威を先んじて我が手で討つ、と発たれてから暫く経つな

    …大丈夫、だろうか…相手は、確か『冬』と…

    何を案じておる?いかな強大の竜族といえ、真なる鉄(くろがね)の王国の守護神・咲白エスターの前に敵はあるまい!

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 08:11:28

    >>38

    また里が焼かれたのか…「山知らず」が視た所だと、あの森人が出た場所には無数の小さな星が湧くって話だが、全部熱術ってことか?信じられねえぜ…

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 08:23:50

    >>14

    噂じゃあ、"蓋つ雲"も、北方で幾つも街を食い荒らしてるあの"疫噛み"も、イジックが面白半分に放って放置した屍魔が元だって話だ…

    や、やつには、人の心なんかないんだ…!!

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 08:30:25

    >>26

    帰れ〜〜〜〜〜

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 10:02:30

    食堂で飯食ってたら見たことない身なりのミニアの子供に話しかけられて国の情勢とかを聞かれたよ
    どこの出身か知らないけどガキにしては随分スラスラ面白い話をするし、こっちもなんか気分が良くなっちゃって色々教えたよ。将来大物になるだろうな

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 12:53:26

    へへっ………漸く手に入れた…………
    これがあれば俺だって………アイツらを見返してやれる!
    このジンナグラスの顕らかなる魔剣さえありゃあな……!

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 15:35:04

    >>23

    きみナガンの生徒?

    良かったら「日本語」も勉強してみない?有志で研究会始めたんだ

    最近の多くの客人が使ってるらしいし彼方の統一語になるかもだぜ

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 15:47:30

    >>45

    今習ってる分であっぷあっぷなので無理ですこんなにいろいろおぼえられるわけねーだろばーか!

    あーっ迷宮から代わりに覚えておいてくれる機魔とかでてこねーかなー!

    文字覚えて紙に書けって?はい…

  • 47二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 17:01:38

    ナガンは魔王到来後の動乱の中でキヤズナが手に入れた冷たい星が組み込まれてるので時系列が合ってないぜ!

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 19:39:05

    >>47

    イジックが死者の巨盾を解析してツーを作ったんだし、どっかの魔王自称者がコピー品を作ったんでねえの?

  • 49二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 19:46:47

    機魔の国も十八年前で本物の魔王到来後だし本編前なら時系列はなんでもいいような気もする
    その方が好き勝手出来るってことだろ。自由だ

  • 50二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 19:59:47

    >>49

    マジ?

    魔王到来後のことだったのかあれ

    キヤズナ自由すぎない?

  • 51二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 20:28:26

    >>44

    「────やだ………やめろ……やめろぉっ!俺は、おれはそんなことを言わ"ジンナグラスよりマーガスの骨子へ。治水に堰。点方を通る線虫。啓蒙の史。代われ"な、ぁ……あ…………」

    「ぎぃぃあああぁぁぁあっ⁉︎マーガスてめっ、痛っ、痛えよぉぉぉおっ!」

    「おいやめろ何しやがる⁉︎」

    マーガスの口より溢れたのは生術の詠唱だ。

    だが彼は元よりそんなものは使えなかった。詞術を使えず、故に落伍を辿ったのが彼だった。

    「"ジンナグラスよりマーガスの腱へ。膨らむ泥。巡りに櫂。鳥への願望。乱れよ"」

    人は筋肉を動かす際、自動的にリミッターが掛けられている。そうでなければ必要以上に体力を消耗し、体を自ら無闇に傷つけることとなるからだ。

    今の詠唱でマーガスの筋肉への制御能力を破壊、今の彼は人外に匹敵する力を無理矢理使わされている。

    「ごぼっ…………」

    「代わりが要る。代わりが要る。代わりが要る。溜め込む。溜め込む。溜め込む」

    ジンナグラスの顕らかなる魔剣は意思ある魔剣だ。

    元の能力は電気信号の伝達。正確な原理を知らぬ者達からは、相手を自らの意思で操ることが可能な魔剣とされていた。

    だがそれだけでは無かった。もう一つ、自らの意思で生術を行使『させる』ことが可能。人から人へ、寄生し使い潰す、そのような魔剣であった。

    「外敵。外敵。外敵。排除。排除。排除」

    だがジンナグラスは、魔剣だ。

    「────おぞましきトロア」

    よって魔剣を蒐集する、この悪鬼が見逃さない。

    「それを、寄越せ」



    (ジンナグラスの顕らかなる魔剣って実は生術士だったんだよ!って捏造)

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:39:24

    鮮流のジテは慄いた。
    まだ若い人間(ミニア)の男である。まだ子供の頃からずっと十三年間、トツト市で傭兵をしている。


    (こんな事が、あっていいものか)

    テレシアスの埃塵の魔剣。微細な粒子をほんの僅かに操作するだけだが、僅かに操作する間は如何なる硬度をすら無視する魔剣であった。
    竜鱗を無効化する武具がこの世界にあるのだとすれば、これが数少ない一つであるのだろう。

    戦闘の最中に砂塵が防御不能の刃とする魔剣は砂漠にいる間は無敵を保証するとジテは信じていた。
    高みに登り詰めようという気は起きない。無学な者が、力だけを頼りにのし上がれはしない。学がないからだ。だから市長の下で傭兵の仕事をして、酒場で賭け事をしながら酒を呑むだけの生活に満足していた。
    誰も彼もジテに感謝をする。ジテのお陰で鬼族の魔の手から逃れられると、蛇竜(ワーム)の脅威から逃れられると。
    ジテは感謝されるよりも脱衣色札でも遊ぶのが好きだったが、彼らは真剣なのでジテもまた感謝を大人しく受け取って暮らしている。

    砂漠を徘徊する大鬼(オーガ)を斬り殺した後、市に戻ったジテが目にした光景は一つだった。


    「─────怪談の存在、とは。面白い発想をする者がいたものだ」

    鉄色の翼を持つ竜(ドラゴン)が上空を飛翔しながら眼下の景色を見下ろした。
    地面から湧き上がった歪な形の鋼が槍のように突き出て人々の営みを蹂躙し尽くしている。詞術だが、息(ブレス)ではなかった。

    竜(ドラゴン)は非常に永い歳月の中を生きる存在だ。当然、詞術を極めようとする個体も現れる。
    工術だ。トツト市は今や沈黙する鉄塊であった。


    (こんな、理不尽が)

    人間(ミニア)が竜(ドラゴン)を倒すことはできない。
    竜を殺せるのは、竜だけだ。

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:56:05

    「【トツトの風へ───】」

    ジテはテレシアスの埃塵の魔剣を構えた。それが何になるというのだ?
    確かに竜鱗をも突破する可能性を秘めた魔剣だ。塵で竜の肉を貫く事も出来るかもしれない。

       ・・・・
    ───その程度で、竜(ドラゴン)は殺せない。
    彼らには翼があって、爪があって、息(ブレス)があるのだ。手の届かない遠方から、一方的に攻撃を浴びせる無敵の城塞。

    ジテが一歩踏み出すよりも疾く、詞術が紡がれた。

    「【怒れる嵐を醒ませ】」

    力術の息(ブレス)が吹き荒れた。
    20mはあろうかという鋼の槍塔が吹き飛ばされて、一人の人間(ミニア)と一つの魔剣を瓦礫で潰して殺した。
    こうして一つの略奪市が滅んだ。

    「怪談退治と行こうか。私もまた、人々の良き隣人となるのだ」
         ・・
    生存者は、一名。

    それは地平の最強種として余りある膂力を有する。
    それは尽く生命を絶命させて余りある滅殺の息(ブレス)を持つ。
    それは地形を塗り替えて余りある逸脱の工術を自在に扱える。
    永き生と天賦の才を併せ持つ、純粋なる暴力の高みである。

    工術師(アーキテクト)。竜(ドラゴン)。

    花憧れるテレスター。

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:27:44

    串刺しとなり、血が滴る路地に佇む一つの影の気配をテレスターは感知した。
    地平の最強種はその知覚に関しても最強種である。僅かな風の乱れが彼女にその存在を教えた。

    瓦礫の中からテレシアスの埃塵の魔剣を拾い上げながら竜鱗に包まれた貌に笑みを浮かべた。
    酷く凶暴な笑みである。一般的に大鬼に遭遇した場合は30m以内なら先ず助からないとされているが、竜ならばたとえ300m離れていても殺すまでに数瞬も要らないだろう。

    「まさか、彼の魔剣の怪談が小人(レプラコーン)だったとはね」

    三つもの異なる魔剣が路地に突き立てられている。周囲はまるで魔剣の墓場だ。
    巨大な竜(ドラゴン)と、矮小な小人(レプラコーン)が対峙する。言葉はなかった。魔剣殺しの伝説は既に標的を殺すと決めており、そして彼の剣術は竜の息(ブレス)よりもずっと速い。

    「バージギールの毒と霜の魔剣」

    接触した生体に感染し、微細な結晶体とする魔剣が振るわれる。竜(ドラゴン)に対してではなく魔剣士の血液に対してだ。
    一滴の血液が即座に置換され、しかし重力に従って落下軌道を描いて。

    「神剣ケテルク────“砂嚢”」

    ゾワリ、とテレスターの右胸の竜鱗が結晶と化して湧き立った。

    竜(ドラゴン)の知覚を以ってすら追えぬ切り替えと斬撃の速度で、一滴の血液が遠方に位置する一柱の最強種に接触した。距離は防壁にはならない。

    「──貴様、何をした!?」

    結晶化した竜鱗を一瞬で爪が削ぎ落とした。音速突破の膂力が暴風を生んだ。
    しかし、生体に感染する結晶は竜の爪すらも浸食し始めている。テレスターは人族で言う所の凡そ手首に相当する部位を自ら噛み砕いて感染源を切除し、埃塵の魔剣と共にバージギールの毒と霜の魔剣に浸食されて結晶と化した生体が舞い散った。

    「ムスハインの風の魔剣」

    淡々と声が響く。魔剣士は次の魔剣を構えている。

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:40:49

    「“渡り”」

    舞い散った竜鱗の成れの果てである結晶体が爆発的な空気の渦に巻き込まれて更に吹き飛ばされた。
    寸分違わずに結晶体がテレスターの全身に付着している。詠唱を行えない。それだけの余裕がない。

    魔剣にしか不可能な技を。空を飛んでも、方向も関係ない。魔剣がまるで生き物のように彼女を殺そうとする。

    「何だ……………貴様は、何だ!?それほどの力を持ちながら、何故無辜の民すらも殺す!?」

    魔剣士は何も答えない。錯乱する竜(ドラゴン)への返答の代わりに彼は鋼の槍を伝って高く跳んだ。
    竜鱗は竜の肉体とは別の層である。バージギールの毒と霜の魔剣のような一撃必殺の魔剣であっても、即座の有効打にはならない。

    魔剣士はテレスターが取り落とした魔剣を掴んだ。

    「テレシアスの埃塵の魔剣」

    暴風に巻き込まれて細かく砕け、テレスターの全身に付着した無数の結晶体が一斉に竜鱗の内側に食い込んだ。
    それだけだった。全てが終わった。

    トツト市を一日と経たず滅ぼした竜(ドラゴン)は、一日と経たずに死んだ。


    おぞましきトロア。それは呪いの運命を取り立てる死神である。

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:21:33

    >>55

    竜に等しい災厄~~~~!かっこいい~~~~!

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:43:12

    ああこれかい?偉大なるアウル王の御姿を彫り込んだ銅板だ、こいつを同志に配ってるのさ
    この間鳥竜に襲われて死んだ客人の言ってた…何だ、ほら、『ふぁんくらぶ』ってやつだよ

  • 58二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:46:51

    時系列についてはあえてガチガチにしてないところもあるみたいだよね 妄想スレだしその辺は適宜というか


    >>51

    ジンナグラス生術使い説、おもしれー

    生体電流に干渉する魔剣だとテミルルクがあるから、あながちあり得ないラインじゃないんだよな

  • 59二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:51:25

    こうして見るとトロア周りって二次創作というか妄想のし甲斐ありすぎる

    魔剣のロマン設定がいいんかね?

    >>53

    まさかのエスターに憧れたファンドラゴン概念…クソ迷惑なのも含めて笑う

    ジテくんの(こういう異修羅準モブいるわ…)ぶりも埃塵の魔剣の渋みも初代トロアについての描写を拾いまくったバトルも旨みがすげぇ〜

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:06:06

    何気にオリ奥義?のバージギール+ケテルクのコンボがえげつなくて吹く
    そっか初代ってまだ見せてない奥義あってもおかしくないんだ

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:13:50

    >>20

    あの人は恩人だよ、王国の…竜騎兵って言ったっけか?うちの村も助けてくれたんだ

    はぐれの鳥竜が集まって群れを作っててさ、普通の…巣を狙う鳥竜狩りが全く通じなくて…もう村を捨てるしかないのかもって…みんな諦めてたよ。でも、あの人は違った

    でっけえ弩を工術で作って…そいつで、鳥竜どもを、地面じゃなくて、空へ追い込んで殺すんだ あんなの初めて見たぜ

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:21:46

    >>22

    あのカヤムが死んだのか…里じゃあ次の年の天気や気候だとか、森の異変だとかをよく言い当ててたが…

    いったい何を見ちまったってんだ…?

  • 63二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:44:31

    >>8

    「それじゃあ…天穹のユシドがどうなったのか、あなたも知らないのね」

    「…確かに、イガニアへ向かったっきり、帰らねえ……だがよ…あいつが負けるなんて、俺には考えられねえ。同じ槍手だからわかる。あいつの槍は、稲妻みてぇに速くて、稲妻よりも鋭かった!!」

    「……個体によっては、稲妻さえも殺せるのが、竜族よ。少なくとも…私が『彼方』で見てきた、どんな生物の肉体構造でも説明できない…」

  • 64二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:49:35

    >>43

    えっ、あんたもかい?あたしも、紅果の取れ高だとか、最近の市の様子だとか…ずいぶんと話が盛り上がっちゃってねえ

    見たところ、商人ってわけでもなさそうだったけど、なんだったんだろうねぇあの子は…

  • 65二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 11:53:57

    腕に覚えの者を招く看板に釣られて、南の荒れ地へ出向いた戦士が次々死んでるって話聞いたか?
    何でも"彼岸"を名乗る狼鬼の武闘家にやられたって話だが…

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:07:19

    (参加はしたもののすぐ落ちそうな気がしてたのに普通に盛り上がっててSSまで投下されてる…これは嬉しい予想外)

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:33:03

    中央王国の第二将であるオスロー
    が率いる精鋭さえも錯乱した一柱の個体で蹂躙してしまえる竜
    を殺せる強さを誇る魔剣殺しの怪談であるトロア
    を倒して光の魔剣を奪っていった星馳せアルス
    を窮地での成長でもなく予め備えていた潜在能力で殺してみせた冬のルクノカ
    をも恐らくは完全に屠り去れるであろう魔才である世界詞のキア
    にも決して折れずに試合での勝利を掴み取った偉大にして誰もが知る黄都の第二将。武勇の頂。真なる騎士。絶対なるロスクレイ

    異修羅世界は地獄ぜよ

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:37:12

    鬼族の混成による、強襲型の大規模野盗団…通称を〈皿と臓(はらわた)〉。
    「懐と腹とを同時に満たす」と謳い、旅路ゆく人族を震え上がらせていたその一党を、たった一人の傭兵が、その日、壊滅せしめた。
    岩と砂地の合間に転がる、屍、屍、屍の群れ。
    頭頂、両の目、喉元、胸──急所から、変哲もない短刀をそれぞれ生やした、その異様な死に様は……辺り一帯に、銀(しろがね)の雨が降り注いだかのような。
    唯一、命の火のわずか燃え残った──そして間もなく消え伏すであろう──青息吐息の大鬼(オーガ)が、去りゆく傭兵に向かい、血泡と共に零す。

    「…ま、客人って、のは……化け物しか、いねぇのか……
    た、たかが投げナイフで…数十人を……」

    何も応えぬまま、赤錆びた風に翻える外套の背は、おぼろと霞んでゆく。

    「さ、五月雨……の……アル……ば……」

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 14:19:52

    >>64

    儂の所へも来たぞ、まったく人懐こい小僧じゃて…

  • 70二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 14:37:28

    構文スレとはまた違った高揚感があるな

  • 71二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 16:36:01

    最近鳥竜の冒険者が名を上げてるそうだな
    鳥竜のくせに武器や魔具を使うんだとよ

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 17:04:55

    >>65

    あの話は本当だ!

    おぞましきトロアや冬のルクノカみたいな、本当にいるんだかいないんだかわからねぇ、御伽噺みたいな奴らとは違う…!

    岳脚のシュディークも、蓮座拳のガロも、あの狼鬼に殺られたんだからな…!

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 17:23:52

    「駒柱」のやろぉーッ!!
    俺達を使い捨てやがーげぼぉっ!
    …………そうかよ、次は「黒曜の瞳」か…
    黒曜、の…雇い主を、間違えたぜ、あんたら…先、に、地獄で待っ、て…ぜ…

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 17:50:09

    き、聞いたか?灼焔のネウラが討たれたって!なんでも、黒髪の森人に手も足も出ずに、最期は自分の詞術に焼かれて死んだって…信じられるか?いくつもの国を焼き滅ぼしたあの魔王自称者が、ただの森人の、しかもガキにだ!

  • 75二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:28:53

    これもう実質おぞましきトロア(先代)の活躍捏造スレだろ
    もっとくれ

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:34:57

    >>74

    考えられん…熱術による破壊と嗜虐において最も優れた術士と謳われたあの"灼焔"が、だと…!?

    聞くだに恐るべき多重詠唱の仕掛けをどう突破したというのだ…剰えそれ自体を奴へ逆流させるなど…!

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:36:57

    影喰みのシュカは準修羅級の強さだから構文考えてるんだけどクラスが思いつかない…
    光を操る事に特化した詞術使いに似合うクラスって何だろう…?

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:49:21

    >>35

    おぞましきトロア知らないとか赤ん坊か客人でもないなら情弱すぎだろ

    あいつは奪った魔剣を片っ端から身体に括り付けて自在に操るらしい

    正体があるとしたら大鬼かデカい山人だろうな

  • 79二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:46:50

    「さ、寒い…………尋常ではない寒さ!極めて自然な生体反応の発露として全身が震えてしまう!?“星馳せ”は何だってこんな所にいるんだ…………!」

    白杖のトゥエルは肩を震わせた。
    カイワ塔嶺と呼ばれる巨大な山脈である。つい先日に星馳せアルスが移動を観測した近隣の市が出した応援要請に応え、中央王国の武官である彼が派遣を命じられた。

    体を幾重もの防寒装備に包みながらも思わず全身が震える寒さである。
    千年前からのカイワ塔嶺の気象だ。異常な量の積雪が続き、にも関わらず常に下降気流が卓越して異邦人を押し潰す。

    ──トゥエルの側には、白銀熊が鮮血を溢れさせながら倒れている。
    慣れない環境下で、人間(ミニア)よりも身体能力に優れる獣を、無傷で討ち果たす。『正統なる王』が統べる中央王国にはそのような手練が数多く存在していた。“本物の魔王”以前の時代である。

    (カイワ塔嶺は“冬”の時代よりあった迷宮だぞ。誰も踏破を成し得なかった迷宮だ………それを、鳥竜(ワイバーン)が攻略してしまうと云うのか?)

    地平の全てを暴こうとする最強の冒険者(ローグ)は、極限の環境すら障害としないというのか。
    肌を刺す痛みが氷雪の寒さによるものなのか、それとも己の裡から湧き上がる恐怖によるものなのかも判然としない。“白織”は雪山登山を趣味としているらしいが、トゥエルには向いていないようだった。

    トゥエルはふと、吹雪に覆い尽くされた視界の端に灯りを捉えた。
    寒さから逃れる為にか誘蛾灯に群がる蟲めいて光に導かれて、トゥエルはその灯りの正体を把握した。


    「山小屋!?一体誰がこんな辺境の中でも更に最悪の立地に山小屋を建てたのでしょう!?ずっと雪が降っているんですから誰も来ませんよこんな所に私を除いては有り難く善意を受け取るとしましょうか!」

    白杖のトゥエルは逡巡を挟まずにその山小屋に踏み込んだ。戦場では迅速の判断で以って知られている武官である。


    「おや、珍しい客人ですね」

    踏み込んだ先には巨大な質量を誇る白い毛が山小屋の中を埋め尽くしており、トゥエルは全身を毛皮に包まれた。

  • 80二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:03:41

    >>67

    ロスクレイさぁ…「絶対なる」とかいくらなんでもデカく出すぎだろ

    ホラ吹くにしてももう少し説得力ってもんがないと演劇としても突飛すぎ

    というかちょっと面がよくてちょっとモテるからって不撓のオスロー超えの竜殺しはねーわwww

    現実を見ろよwww

  • 81二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:22:18

    「えぇっ!?私の耳が機能不全を起こしていなければ今の言葉は恐らくこの毛の奥側から聴こえたものの筈ですが、こんな辺鄙に誰が暮らしているのでしょうか?もしや私と同じく氷雪に困ってこのような山小屋に!?」

    「いえいえ。この山小屋は僕が建てたものですのでそのようなことは。紅茶でも淹れましょうか?」

    毛皮の主が動いて、白い毛がトゥエルの身体の表面を擦れていった。
    丁度振り返る動作で、毛皮の主の全貌がトゥエルと向かい合った。

    6mにも及ぶ巨躯を持ち、全身を白い長い毛に覆われている獅子の如き鬣を具えた猿のような獣だ。
    五本の指には刃に対して垂直な柄を有する短い刺突剣を持っている。鋼の杭めいた指先は、しかし毛を編んで長縄にするだけの器用さをも兼ね備えているようであった。

    (大鬼(オーガ)にしては大きいし角もない、巨人(ギガント)にしては小さいし毛が多い。何なんだコイツ?図体から推測するに寒冷地に適応した獣族か?)

    「失礼かもしれませんがぁ、ご種族は?残念ながら今まで会った事もなくてですねぇ!」

    「あぁ、“客人”ですよ。なので親は人間(ミニア)という事になるでしょうか?随分と大きく生まれてしまって、“彼方”の言葉を覚える前にコチラに来てしまいました」

    「へぇ!それはまた、やはり珍しい」

    トゥエルはチラリと仕込み杖に視線を向けた。
    大鬼(オーガ)ならばこの距離まで近付かれている時点で負けである。ましてや、大鬼よりも巨大な目の前の相手ならば刃を抜き放つ間もなく挽肉になるだろう。

    白杖のトゥエルは戦闘を諦め、情報蒐集に徹する事にした。“玻璃のシグナ”、“吝嗇なるヴィクトル”、最近では“精髄のバーナード”。“客人”は激変を齎す存在だ。


    「所でぇ、今は何をしていらっしゃるんですかぁ?もし良ければ教えて頂いても?」

    「編み物さ。友人と“賭け”をしていてね、それに勝つ為に準備をしているのさ」

  • 82二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:22:48

    >>80

    (魔王到来後の非モテは去れ!)

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:29:14

    《暗号文文字起こし》

    観測ス。
    竜。二。予測進路重ナレリ。
    激突ハ不可避ト思ワレル。

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:02:27

    ──ふと、未知の新種は顔を上げてトゥエルを掴み上げた。抵抗を試みようとする頃には白い毛皮の中に埋められて方向感覚が狂乱している。
    重い衝突音。鈍い音を立てながら山小屋の壁が質量に弾き飛ばされて砕けた。


    「地走りは消えずとも冷気を完全に融かすまでには至らない、だからもう少しの時間が要るかと思っていましたが……コレはキヲの手ですね!?」

    「もう少し説明をしてくれないかねぇ!?何を目的にして走り出したのとかぁ!」

    「“星馳せ”が『柱』を折りました!"澪卵"が墜ちてきます!」

    先程までは山小屋から出ても一切感じていなかった寒気が一気にトゥエルの肌を刺す。
    冷気に長時間触れたから、というよりも冷気自体が強大化しつつある感覚だ。白杖のティエルは背後を振り返った。

    「なっ…………んだねアレはぁ!?」

    巨大な塔にも似た岩石の柱がへし折られて倒れつつある。その頂上に浮かぶ水晶に似た質感の球体が蒼に輝くのが見えた。
    澪卵という名の魔具だ。周囲を極限まで冷却して、冷却した空気によって魔具よりも低高度に存在する全てを冷凍する魔具である。

    星馳せアルスは当初地走りによる解凍による突破を試したが失敗した。その原因を考えた。対策した。
    キヲの手によって聳える『柱』をへし折り、高度を強引に下げる攻略法だ。

    長縄によって頂上まで登り詰めようとした白き獣とは真逆の手法。トゥエルは今までの如何なる戦場と比べても命の危機に晒されていた。

    「しっかり掴まってて下さいね!」

       ・・・
    巨躯が跳ねた。異常とも言える身体能力を発揮して雪の獣が──“凍峰、ヴィジャヤ”がトゥエルを毛皮に沈めたまま背後から墜ちる『柱』の側面の僅かな凹凸に指をかけてクルリと反転する。

    轟音。山嶺の只中に倒れ込んだ巨大な石の『柱』は雪を津波めいて巻き上げて、しかしその上に立つ獣と人には一切の損傷を与えなかった。
    冷えた空気が下に流れてゆく。雪原と比べてすら、比較にならぬ冷気が上昇する事はない。

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:20:17

    薄く息を吐いてから、白い雪のような獣は上空へと声を張り上げた。千年もの間、誰にも攻略されなかった迷宮を攻略した冒険者(ローグ)に。

    「──アルス!“星馳せアルス”!賭けは君の勝ちだ!僕よりも先に澪卵を手に入れたな!」

    「……そう」

    三本腕の鳥竜(ワイバーン)はその場に留まりながら雪の獣の言葉を聴いた。
    ヴィジャヤは短い刺突剣に結び付けていた彼の毛を編み込んだ長縄を外して、刺突剣が自ら飛び立つ。それからトゥエルは漸くその事実に気付いた。

       ・・  
    「……魔剣だと?」

    「“慄き鳥”はこれでもう君のものだ。好きに扱ってくれ。
    ──それから、次は何処に行くんだい?君と同じ所に行っては先を越されかねないから参考までに聞きたいのだが」

    「……ネシリ遺棄平原」

    星馳せアルスは一言だけ答えてから、澪卵をキヲの手で掴んでヴィジャヤとトゥエルのいる方向とは別の方向へと飛び去っていった。

    シトロカリ機動賽の存在する地域である。星馳せの次の目的地を誰よりも疾く掴みながら、トゥエルは不可解そうな目をヴィジャヤに向けた。

    「かっ………勝てた筈ではないのか?」

    その通りだ。ヴィジャヤは『柱』の表面を滑るように走り抜けている。魔剣を命綱代わりにせずとも、登れたのだ。
    未だ世界に定着していない新種の“客人”はその獅子とも猿とも似つかない貌に笑みを浮かべた。

    「だって、魔剣を持っていたらおぞましきトロアが来てしまうだろう?」

    無論、星馳せアルスならば負けないだろうと思っているが。そう呟いた“客人”が自らを助けた理由を、トゥエルは理解した。
    つまりは、“広告“である。魔剣殺しの怪談の魔の手から逃れるための。

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:20:35

    それはおよそ存在し得る一切の高度に適応する肉体を持つ。
    それはおよそ存在し得る一切の経路を見抜く観察眼を持つ。
    それはおよそ存在し得る一切の獣と人の長所を兼ね備える
    極境踏破の全ての資質を具えた、二重の世界逸脱を有する新種の突然変異である。
    登山家(クライマー)。雪獣(イエティ)。

    凍峰、ヴィジャヤ

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:31:31

    ・凍峰、ヴィジャヤ

    『肉体由来の種族的逸脱(例:ニグヒル)』と『才能由来の技巧的逸脱(例:ソウジロウ)』の両方を併せ持って生まれた“客人”。

    本来は蜘獣(タランチュラ)に次ぐくらいの肉体的性能に加えて、人間(ミニア)が巨人(ギガント)並みの膂力を発揮する逸脱を掛け合わせているので異常なまでに純粋に強い。


    逸脱の登山家にして異修羅世界に現れた最初の逸脱種の一つ。
    “冬のルクノカ”の息(ブレス)の余波(気圧の変動による低酸素、暴風、地形の陥没、気温の低下)の影響下でも平然と生きられる。直撃したら消し飛ぶけれども。


    (※ギリギリまで雪鬼(ヴァンディゴ)と迷ったけどアルスがダンジョンを塩攻略する姿を見たかったので合わせました。
    恐らく“本物の魔王”によって彼の種族は定着せずに終わります)

  • 88二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:32:31

    教団の中でも異端派である『イブトリクス山の御子』
    “彼方”と“客人”に関する知識を半ば強引な手段で掻き集めるその一派の行動は、教団に対する市民の印象を著しく悪化させていた。
    中でも『永久歴のウィーフィ』は教団の成立以降、初めての教団所属の『魔王』であった。

    教団が『永久歴のウィーフィ』を破門しなかったのには理由があった。
    教団幹部の中に、少なからず彼の思想を支持する者がおり、一定の妥当性を抱いていたからだ。

    だが詞神を後ろ盾とし正なる王を頂点とする『中央王国』としては静観できるものでは無かった。
    『中央王国』から遠く離れた経度0°の地点を基準とした『本初子午線』の定義、『世界標準時』の制定。

    それらは中央王国と教団の神聖を貶める“魔”の所業。
    故に『中央王国』の王より直々に『魔王』と認定されるに至った。

    『中央王国』より出頭を要請されてはいるが、『永久歴のウィーフィ』の処遇をどうするかの意見は未だ教団内で定まっていない。

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:38:59

    >>87 そうか、UMAを逸脱種とする発想はなかったな

    黒獣や角獣やらも元はそういうのだもんな

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 23:40:06

     ヨコトキ湾村は中央王国領にありながら、その位置は北方正統王国に近い、飛び地の村である。
     村の教団施設は当然のように人手不足で、そのくせ、潮風に侵された土壌に詞術を掛けたり、頻繁に姿を現す深獣(クラーケン)の"溶け日のチェグスター"を鎮める仕事に、神官達は日々酷使されていた。

    「おい!ノロマ!サボり魔!邪魔神官!」
     教会の長椅子にて聞く耳を持たぬ若い神官を執拗に罵倒する子供がいた。名を"ヤワイト"という。教団に身を寄せる孤児であった。
    「お前!俺の村から出てけよ!俺より走るの遅いし、教典も分かんないしさ!」
    「……神官になるといいよ」
     若い神官は数拍遅れて答える。
    「だ・か・ら・さ!俺の話を聞けよ!」
     朝に起こしに行った時にも同じ文言を聞いている。サイナの遊びを断り、古着の取り合いを見送って、洗濯の時間に抜け出して、今日の全てを費したというのに、この男は今も朝と同じく寝惚けたままなのだろうか。
    「やーめた!」
     こんな説得よりももっと有意義なことはたくさんある。今から行ってもサイナは遊びに混ぜてくれるだろうか。
     ヤワイトは駆け出している。もうこの男になど用は無い。
    「さっさと出てかねぇと俺が追い出すからな!覚えてろよ!"ノロマのノフトク"」

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 00:20:07

    >>90

     長椅子の木目に逆らって手を左右させて、感触を確かめる。ダランと長椅子の背にもたれ掛かって、教会の高い天井を支える支柱を眺める。それから、ノフトクはそのままの体勢でヨコトキ湾村に来る前の食事を思い出す。この村に来てからはずっとそうしていた。

     生まれ持って備わっていた横着さに痺れを切らした先輩の神官に、遥か田舎の村へと教会の運営視察に送り出されてしまった。

     根の張った根獣(マンドレイク)よりも鈍いとも自負するその性根のせいで、長く辛い旅路を強行させられた。

    (帰るのはまた、大一ヶ月後でもいいかなぁ)

     ノフトクは全く何にもやる気の無い男であった。この年になってまだ、二つ目の名すら無い。誰にも劣る緩慢さ以外には物覚えの良さしか取り柄がなかった。


     "神官になればいい"自分を目の敵にする子供に返した言葉である。"俺より走るのが遅いし、教典もわからない"くだらない子供の自慢話だ。


    "俺より走るのが遅いし、教典もわからない"

    "お前より速く走れるし、教典だって覚えてる"だから、お前より俺の方が、視察員に"神官"にふさわしい。

     今の教団は豊かだ。寄付は増加の一途を辿り、教団施設は三王国の力を借りて、各地の孤児に教育と愛情を注ぎ続けている。

     神官になればいい。平和な世には、子供はどんな夢を抱いても許されるのだから。

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 01:12:33

    >>91

    二次創作だとしても、この想いを抱いていたノフトクがあの“暮鐘”に至るの、しんどいものがありますね…

  • 93二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 05:18:28

    >>73

    ……この男、『駒柱』と言っていたな…


    ああ、何でも最近来た「客人」 らしい

    仲間をまるで駒のごとく扱うとか…

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 05:23:49

    >>86

    おもろかった、登山家かあ トゥエルもいいキャラしとる

    アルスの慄き鳥ゲットの背景二次創作であったか…上にもあるけど彼方のUMAや幻獣が獣族になってるのいかにもありそうでワクワクするね

    シトロカリ機動賽の登場もだけど何気に澪卵の命名センスがすごい珪素っぽい…

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 05:51:16

    鞴のショアニスと花憧れるテレスター好き
    特にショアニスの色々やれそうな性能とモリオとのさらりとした会話で垣間見えるキャラが

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 05:56:03

    気さくだけどアルスに賭けなんて言ってのけたり武官を利用する強かさもあるヴィジャヤさんも良き
    あと何気にニグヒルに倣う「定着しなかった新種」の理由にあれをさらっと覗かせるの背が冷えたし、スレの趣旨的にもイイネ

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 06:04:41

    あぁそうだ、例えば『嵐火』に『花憧れ』……最強の種族の一柱でありながら、他種の内に生じた「外れ値」に討たれた竜の例は、歴史上確かに存在する……言っとくがね、竜たちが弱かったなんてことはないよ。嵐火なんぞは、熱術と力術を複合した恐ろしい息《ブレス》を操ったそうだ。
    『影食み』に魔剣狩りの死神……「外れ値」どもがやばいのさ……私ぁ、それを観測するのが趣味のちんけな客人《まろうど》だがね……
    ひひっ、あんたは例の「星馳せ」もいずれそうなると言うんだね?そしてそれを、あんたが倒すと……はは、男なら夢は大きく行きてぇもんだね……

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 07:07:11

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  • 99二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 07:09:40

    いやーひと仕事終えた後の酒ってのは格別だ!
    ナナガ領近くから東へ突っ切る強行ルートだったけどよう、無事に輸送も終わって一安心だぜ。ん?襲撃はそりゃあったさ。雇った護衛が優秀だった。
    「落燕のイランダ」。あんたも聞いたことがあるだろ、とんでもない魔槍の使い手さ。口数の少ない穏やかな女だったけど……いつ、どこから射掛けられた弓矢でも、撃たれた礫でも、全部打ち落としちまうんだ。戦うとなりゃ、相手の剣の速さに、まるで槍が生きてるみたいに合わせる。ファイマの護槍だったか、すげぇ得物だよ、まったく!!

  • 100二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 07:10:17

    >>88

    本初子午線に世界標準時!教団所属の魔王!ヴィクトルとかバーナードとか、文化や技術の革新で魔王になる系客人に痺れるタチだからウィーフィの魔の所業ストライクだわ


    >>91

    「暮鐘」の二つ名がまさに人生の暮れ時に付けられたものかもしれないって解釈、ノフトクの解像度が高い…

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 07:11:21

    「冒険者(ローグ)だと?それも鳥竜(ワイバーン)の?」
    長きにわたる暴虐と簒奪の果て、蓄えた宝の山を守る城を築き上げた辺境の〈魔王〉、千枝万穴セレベステは、その横長の肥満体を震わし、幅広の口角を歪めながら、鼻で笑った。
    「空の小虫如きに何ができるというのだ。我が迷宮はまさしく難攻不落──」
    枝分かれしながら地下へと広がる、不落の要塞にして未踏の宝物庫。
    〈セレベステの蟻の迷宮〉は、文字通り人族のサイズに拡大された蟻の巣穴のごとき様相を呈するが、その本領は毛細の構造ではない。
    通路の全てに認識の虚を突く致死の罠を備え、迷宮内にて朽ちた探索者たちの屍から自然生成され増え続ける無数の骸魔(スケルトン)が兵隊蟻として徘徊し、極めつけに機魔の刻印を応用した相互の自動修復機構──死角なく散りばめられた死の仕掛け、それこそが脅威。
    「……中へ入ったが最後、罠にかかるか、骸魔どもに殺されるか、迷い狂うか。或いは彷徨のあげく餓死するか……そのいずれかだ。『星馳せ』とて例外ではない」
    無数の通路の全てを一息に通すようなあり得ざる技をでも用いぬ限り、迷宮に攻略の光はない──蟻の魔王は、最奥の一室にて、冒険者の無謀を呵々大笑した。

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 07:38:41

    「『ゼラよりディミトの流れへ。軸は右心、逆巻く流紋。導きの影は滔々たれ。落花流水。回りの透徹。歪みし戴天。――遡れ』」
    小高い丘の上より、逆巻く流れに呑まれて滅びゆく都市を眺めながら、ひとり考え込む人間(ミニア)の姿がある。名を、放浪のゼラという。
    「――ふむ。成程な。第一の証明は、成ったか」

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:34:50

    如何にも地走りに蒸し焼きにされそうな蟻の魔王も放浪のゼラの詞術詠唱のカッコ良さも素晴らしいし魔剣の由来や本編キャラの過去も掘り下げが良くて好き

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:53:38

    >>102

    う、嘘だ…こんな、こんな事が現実に起きるわけが…て、天地の理と詞神様の加護において…あぁ、あぁ…廻る、廻る、廻る…全部が…逆巻く…

    ──一夜にして澱みに消えた都市の民、最後の言葉

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 11:56:19

    や、やられた…「影食み」や「五月雨」ほどの手練れを雇う金がないからってケチりすぎた…あの小人、荷物全部持ってずらかりやがった!!
    せめてオカフを通すんだった…!!

  • 106二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 11:58:40

    「――そうか、判決は死刑だ」
    嗄れた声。木槌が振り下ろされる音。
    それだけで終わりだった。暗殺者の剣は、主の喉笛を容易く貫いて、絡んだ肉が嫌な音を立てる。黒ずんだ赤い流れが上等な絨毯に染み込んで、奇怪な模様を描き出していく。
    どうと倒れ伏すその影を、客人はもはや見ていない。ゆっくりと、扉に手をかけた。
    禿頭に、閉じているかのように細められた目。がっしりとした大柄な体躯。不吉さと謹厳さを等しく纏う、翻る黒衣。右手に握った木槌では、人を殺すことなど出来ないというのに。
    ただ言葉ひとつでその場の空気を支配し、承諾などあり得ざる命令を遂行させる、それがその客人の逸脱である。

    それは一瞥のうちに相対した者が過去と未来に成す罪を見抜く、逸脱の裁定の才を持つ。
    それはただの一言と木槌の鳴る音を以て、あらゆる人間に命令を下し従わせることが出来る。
    それは彼方にて積み上げられた、人を裁く数多の法を知悉し、またそれを自在に振るう。
    生まれた世界の法則から逸脱し、故に自らの法とともにある、謹厳なる法廷そのものである。
    人間(ミニア)。裁判官(ジャッジマン)。
    傾ぐ天秤のヘルムート。

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:06:28

    無法なようでいて恐らく判決出すには厳格な法の縛りがありそうなのと木槌の音を聞かせる条件でバランス取れてそうなキャラだヘルムート

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:15:19

    >>77

    オプティシストとか?

    漢字は思いつかないけど

  • 109二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:35:34

    このレスは削除されています

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 12:36:45

    >>108

    opticist(光学研究者)はかっこいいな

    学者の字面だと影食みのやってることとそぐわないなら、いっそ調律師や調香師から捏造して調光師(オプティシスト)とか…?

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:14:47

    玻璃のシグナ先生のことかい?"客人(まろうど)"らしく随分と変わり者だったけれど…凄い人だったよ。"彼方"の知識が…この世界を一変させてゆくところを、あたしはこの目で見た…

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:40:47

    「中央王国の南の空にはよう、毎晩流れ星が見えるってよ」
    旅の商人からこの話を聞いた青年、指針星のヨウキは北方正統王国の故郷の街を出発した。大三ヶ月程の旅を終えて中央王国の宿で荷物を下ろし、街のはずれの草原に向かった。草原からは地平線に山が連なるのが見える。山脈の奥には大きな川があるという。
    この日の晩は新月。大きな月も小さな月も浮かばないため、星の瞬きがよく見える。ヨウキが腰を下ろした直後。
    「わ……綺麗だ」
    地平線の向こうから、一条の光が地上から天空へと流れていくのが見えた。光は数瞬の輝きを見せた後消え入り、一拍置いて二発、三発と美しい光が尾を引いて流れていく。噂話になるのが頷ける景色だった。
    「大三ヶ月かけて来た甲斐があったよ。あの光の正体は何だろうな……」
    指針星のヨウキは世が明けるまで地平線の向こうを眺めていた。

  • 113二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:47:09

    このレスは削除されています

  • 114二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:48:31

    __中央王国衛生局十三分院より、緊急通達。

    血鬼による屍鬼化を予防するワクチン開発に失敗した

    秘密裏に確保した親個体…血鬼から採取した細菌を弱毒化し、あえて感染させることで新たな感染を防ぐことができるはずだった…

    親個体からの命令受信の機能を削除した所までは上手くいった
    だが…それがダメだった
    命令系統を失った屍鬼(ドローン)は全ての制御を離れて暴走した
    自我を失い、基本的な生存本能…おそらくは食欲のみを満たそうと職員に噛みつき、捕食しようとした。
    傷口から粘膜接触した職員もまた感染し、爆発的に数を増やした。
    もはや何人が無事でいるのかも分からない

    当施設はこれより職員を含む全設備を焼却処分とする
    万が一にでも施設から漏れ出た生物が居たのならば…全て焼却処分として欲しい


    それは感染者をあらゆる制御から分断し、生命の機能不全を誘発する
    それは粘膜接触を介した拡散、増殖のみを目的とする
    それは遍く有機生命を汚染する最悪の生物災害としての記録のみが残る
    死滅の確認が未だ成されていない、水面下の脅威である

    妨害者(ジャミング)、病魔(バグ)
    症例、ペルティタス

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:49:19

    ……17年後、サカオエ大橋街の橋の下で男の死体が発見された。指針星のヨウキという名の男だった

  • 116二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:49:22

    >>112

    めちゃくちゃ粋な掌編というか風景スケッチですき

    星の正体いいよね…

  • 117二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:51:08

    >>116

    >>115

    酷い流れだ…

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:52:55

    >>112>>115は両方とも俺が書いた。魔王の時代が来るならこうなるよね

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:52:55

    >>115

    あ…あ…ああ〜〜


    >>114

    屍鬼が旧表記のドローンなのがかえって味があるな

    というか根絶確認されてねえのやべぇ

  • 120二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:55:48

    (このスレの趣旨を思い出させてくれやがって…いいよね!
    しかし気づけばアレ到来まで半分切っててこわい…
    そこまでスレが続けばだがこれ200よりちょい前、たとえば170辺りから徐々に…なレスしてもいいんだろうか教えてイッチ)

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:57:54

    >>114

    >>115


    並んでるせいで、ちょっとゾンビ映画の不穏なラストみたいに見えた

  • 122二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:00:08

    >>121

    あの実験台の犠牲者にしても良かったかもしれん。オリキャラのヨウキ君には悪いが

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:20:27

    気にしちゃダメだよ。君は何にも悪くないんだ。
    高校生にもなって他人にこんなしょうもない嫌がらせしてるような連中がおかしいんだから。
    きっと君があんまりにも綺麗だからビビって正面から物も言えないんだ。いんや絶対そうに決まってる。
    うーん。やめやめ。話は変わるけど、気晴らしにどっか寄りたい所とかある?何か一緒に食べに行かない?

    相原さんはどうしたい?

  • 124二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:24:27

    カイディヘイーーーそれは羊肉や薬の名産地として有名な土地であった。戦乱とは無縁な場所であったはずがーーー

    「星馳せ!テメェの宝、全部掻っ攫ってやるよ!」
    「その鞭……欲しいな……」

    この日、カイディヘイは二人の強者の戦場となった。一人は地上全土を馳せる鳥竜の冒険者、星馳せアルス。もう一人は星馳せの宝を狙う盗賊、空歩のジュリアス。ジュリアスの右手には魔鞭“キヲの手”が握られていた。

    アルスは上空から歩兵銃を構え、ジュリアスに向けて発砲。撃った弾は摩天樹塔の毒の魔弾。命中すれば神経を溶かす必殺の魔弾をーーーキヲの手が獲物を飲み込む蛇のように蠢いて弾いた。キヲの手は無数の刃が連結したような魔鞭で、通常の鞭では有り得ざる軌道で振るう事ができる。ジュリアスはアルスが次弾を装填する前にキヲの手を振るい、アルスの手から歩兵銃を叩き落とした。何故50メートル上空の鳥竜に鞭が届いたのかーーー

  • 125二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:28:50

    >>123

    なんだこれ…日本の学校?同カテのどっか別のラブコメ系作品スレへの誤爆かな?

    いやぁ青春っていいよね

  • 126二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:35:07

    【ジュリアスよりカイディヘイの風へ。流れの階段。硝子の大地。受けよ】

    ジュリアスは力術で風を操り空中に固定することでアルスに向かうための足場を作っていた。見えざる階段を登った事により、魔鞭を届かせる事ができた。

    アルスが飛翔し銃を拾おうとするも、ジュリアスがそうさせない。魔鞭の射程の内はジュリアスの思うがままの領域だ。

    「空はお前だけの領域じゃねェんだよ!くたばれ!」

    ジュリアスはアルスの周囲にキヲの手を巻き付かせる。キヲの手にはさらなる機能があり、巻きついた対象を強度に関係なく捩じ切る事ができる。ジュリアスが魔鞭を引き、星馳せを両断するーーー

  • 127二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:43:31

    「……死者の巨盾」

    星馳せアルスを捩じ切る事ができない。ジュリアスはその事実に驚愕し、動きを止めてしまう。アルスの胸元には装飾品の形をした魔具が煌めいていた。死者の巨盾といい、激痛と侵食を代償としてあらゆる攻撃を防ぐ最強の盾。そして動きを止めたジュリアスの頭が柘榴の様に弾けた。

    「慄き鳥」

    騒音を撒き散らしながら飛来した魔剣が、ジュリアスの頭を貫いてアルスの手元に戻った。死者の巨盾を解き、ジュリアスの手から離れたキヲの手を回収する。地上に落ちた歩兵銃を拾った後、星馳せアルスは次なる土地へと飛び立った。

    ーーー星馳せアルスの伝説はまだまだ続く。

  • 128二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:56:05

    >>127

    そういや戦き鳥はクゼと同じ動く必要がないので死者の巨盾のリスクを踏み倒せるのか。基本飛んでるアルスは落下するからこのコンボを発揮する機会がなかっただけで

    >>101機魔を作る機魔があるならそりゃ屍魔を作る洞窟もあるか

  • 129二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:01:46

    >>120

    (※問題ありません…………!

    本編に突入すると謀略!盤外戦術!社会系修羅の掌の上くーるくーるさせられて二次創作の難易度が一気に跳ね上がると思ったので“本物の魔王”襲来前にして難易度を下げよう、という趣旨だったので)

  • 130二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:05:20

    (このスレが完走できたら“本物の魔王”到来後から本編までのスレとかもあってもいいかも)

  • 131二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:09:25

    >>129

    (回答感謝、ありがたい!)

  • 132二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:12:01

    キヲの手の元の使い手いいね…
    見誤った交錯の一瞬で決着がつくの、すごく異修羅の修羅VS非修羅っぽい
    つーかあくまで二次創作といえそれっぽい背景や戦闘捏造するのみんな上手いな…

  • 133二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:43:21

    おい、例の"客人"と話してきたぜ。
    知ってんだろ? メステルの旦那さ。単つのメステル。無害なおっさんみたいな面してやがるけど、ありゃ相当のイカれだぜ。まぁ"客人"なんざそんなもんってのはそうなんだが……あいつ、俺と話してるときですら"彼方"の兵器の図面を開いてそれから目を上げやしねえ。俺ぁ学がねえから何やってんだかちんぷんかんぷんだったけどよ……

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 17:02:25

    見事な工術?
    私は使えないぞ。
    これはどうやって作ったかって?
    生術と力術で材料を集め適当に整形して、熱術で融かしてやれば部品はできる。
    確かに設計図を知っていれば設備抜きに何でも作れる工術は魅力的ではあるが……やりようと言うのは何にでもあるものだ

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 17:19:16

    『ああお前か。相も変わらず小さいものだ。地を二足で歩く者らでも特に小さい。此度は何だ。己れ(おれ)の無聊を慰めにでも来たか』
    海が喋っている。
    より正確に言えば、夜行蟲のような無数のプランクトンの群れが、海面を震わせて喉のような役割を見せている。その音は『己れ』と、群体ではなく個体を自称した。光るこの夜の海にて、その者は小舟に乗った一人の少年に語りかけていた。
    「えぇ。そうなりますかね。ですが先ずは礼を。先日はありがとうございました。アーシラさんも助かったと言っていましたよ」
    『なにだ。それは』
    「漁師の────」
    『あぁあの漁りか。分かった。戯れに波で呑んでやろうかと思ったが』
    「おやおや。それは…………少々困ってしまいます」
    『それで。何だ』
    「"昏想"の居場所に目星が付きました」
    海が突如荒れ出した。
    小舟の横では一軒家さえ飲めそうな大波が立った。大時化の様相の最中、小舟は飛沫を浴びるのみ。強くは揺れるが、呑まれることはあり得なかった。
    脅迫である。だがこの声の主の気が変われば、少年の小舟は海の藻屑となる。
    『………………。お前は己れを欺くのか?』
    「いえ。こちらで色々と調べた結果、明らかに不自然な地点を十五ほど割り出しました。恐らく、"昏想"はそこに居ます。あなたにとっても目障りな、あの。不確定であることは留意して頂けると幸いではありますが」
    『お前が嘘を吐いたか否かは重要でない。お前が真実でないことを宣ったか否かが重要。探して居ないなら。居ないならお前を弑すぞ。浜辺を濡らし平原を沈め山を呑んできっとお前を弑すぞ』
    「構いません。ですから、貴方が"昏想"を討伐せしめた暁には、水先の案内を頼みたいのです。どうでしょうか」
    『そうか。何処へ行きたい。聞いておいてやろう』
    「新大陸」
    少年の名は、逆理のヒロトと云う。

    それは、海中に於いて最多の生命体を統御出来る。
    それは、何者も及ばぬ速度で海中を航行出来る。
    それは、力術によって天災を起こし、意のままに操ることが出来る。

    統率者。竜。
    暗き光のメストゥーツァ

  • 136二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 18:51:33

    “鋭きガルヅァー”は舌打ちをした。
    正統北方王国の将である。歳はもう五十になる程度だろうか。白髪が半分を占めても、その厳しい顔と雄々しい武勇は微塵も衰えていなかった。

    蜘獣(タランチュラ)の討伐戦を完遂した事もある猛将だ。だが、そんな彼ですらもこのような存在は初めてだった。

    (畜生。魔族か鬼族かは知らんが、正統なる王に歯向かう愚か者が……殺戮を繰り広げるのが、そんなに愉しいか?)

    ガルヅァーは差別主義者ではない。寧ろ人族主義の『王国』の中でもその寛容で知られる人物であったが、そんな彼でも眼前に広がる光景は許し難い生命への冒涜だった。
    虚な眼をした民衆が素手で兵士に掴み掛かり、息の根を止めようとする。鎧を爪が引っ掻いた。厚い鉄は爪を通しもしないが、民衆は止まらない。血の線が滲んで、兵士が返す刃で民衆の一人を斬殺して。


    「……ひっ」

    斬殺された民衆が内側から“爆ぜて”血煙と生温い霧が辺りを覆い包んだ。
    “蒼氓のカルジック”の群勢よりもずっと悍ましい。彼方はまだ人の姿に留まっていたが、此方は内側がもはや極彩色の菌糸に置き換えられている。

    微かな悲鳴を上げて一歩退がった兵士の一人が霧を吸い込んで、痙攣した。
    ガルヅァーは直ぐに刃を蛇腹剣を振るって10m先にいた彼を斬殺した。一度吸い込んでしまえば二度と戻らぬと判明している。

    “石斧のケヒト”。歳は二十二。三年前に結婚して、今年で一歳になる娘がいる。ガルヅァー率いる部隊に若くして入隊した将来有望な快男児だったが。

    (……畜生)

    部隊兵の一人一人を家族のように知悉している。
    その上で、任務のために容赦なく切り捨てられる。だが心が痛まない訳がなかった。
    彼の家族に、結婚したばかりの彼の妻とまだ幼い娘に何と説明すれば良いのだろう。ガンヅァーは心身共に疲弊しつつあるが、刃の鋭さは決して衰えずに敵を斬って捨てた。

    ナワキ行路都市。三日前に血鬼(ヴァンパイア)が現れたと通報した都市は既に滅ぼされていたが、彼は確信している。

    (コイツは血鬼ではない)

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 18:55:27

    彼方より放逐された生命達は無事我等が創造したこの星の海で育ち、子を産み、大地へと版図を広げつつある。
    この星での我等の役目は終わった。既に姉妹の多くは役目の為に次の星に向かい旅立ってしまった。私ももうこの星を離れようと思う。
    ナスティークよ、お前はいつ迄この星に居るつもりなんだ。

    正気か?……何がお前をそこまでさせる……
    幾百億の昼と夜の先の一体何を待ち望んでいる……

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:00:12

    >>65

    ――荒涼とした台地に、ふたつの影が踊る。

    ひとつは砂人(ズメウ)の女だ。しなやかな身体を銀色の鱗が覆い、蛇のような顔つきをしている。長い尾が揺れて、今砂埃を舞わせた。

    「――来い、"彼岸"ッ!」

    「クゥ、クゥ。言われずとも――」

    対峙する別の影――まだ若さを残す風貌をした狼鬼(リカント)が、流れるような回転運動で斧を薙ぎ払う。背骨から諸手を大きく反らせ、打撃に速度を乗せる。迅速の連撃――ゼ―エフの戦士はこの技を"双つ斧・瞼"と呼ぶ。

    砂人の女はその絶技を、だがしかし鮮やかに回避している。尋常ではない肉体の柔軟性を以て身体を反らし、最初の二つを。残る三つを、尾を前へと振った反動で後ろへと飛び退って。

    「――見事。音に聞こえし穽尖のカレラスエの名は伊達ではないか――!」

    「ハッ、そりゃ光栄だよ、"彼岸"ッ!」

    長身を軽々と宙返りさせながら、カレラスエと呼ばれた砂人の女は再び構える。尾が――砂人としても異様に長い尾が、撓む。鱗で覆われたその先端に、細い槍のような刃を嵌め込んでいる。

    "彼岸"は避けられた技の残心を解き、滑るような足取りでカレラスエへと近づく。

    「――シッ!」

    力を溜めた尾の刺突。その初速は目で追えぬ。

    だが、これは弾かれる。"彼岸"は両手に携えた斧の円盤じみた刃を合わせて威力を殺した。

    「まだまだ!」

    叫ぶカレラスエの声と同時に、その刃は引き戻され、突き込まれ、また引き戻されて、次第にその速度を増していく。

    「クゥ、クゥ、クゥッ――!」

    "彼岸"の斧から、火花が弾ける。都度弾き、いなし、逸らしている。

    そして、一瞬の膠着を、一撃が破る。

    カレラスエの尾が、"彼岸"の防御を突き崩す。斧の刃が下へと逸れて、喉笛に刃が突き刺さる。同時にその機を逃さず、砂人の鉤爪が狼鬼の毛並みを散らし、肉を深々と抉って吹き飛ばした。

    ――風が吹いた。

    カレラスエは肩で息をつき、放り捨てられていた自分の外套を羽織ろうとして――

    「……『ネフトの鼓動へ。煙は冷雫と帰せ。淡い新緑。陽光逆軌。――巡れ』」

    「嘘、だろ」

    「クゥ、クゥ。まさか。儂が死ぬとでも思うたか。この"彼岸"が。ゼ―エフが一なる闘士、この彼岸のネフトが、この程度で、死ぬとでも」


    ――穽尖のカレラスエ、という砂人の戦士はこの日を最後に消息を断つ。それは南の大地の腕試しに挑んだ、他の数多の戦士と同じように。

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:01:22

    並み居る強者の屍の上で、その狼鬼は。人族の未だ知らぬ、その強者は。静かに待っていた。

  • 140二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:03:51

    >>108 >>110 ありがとう!


    「【シュカより冷たい星へ。天涙の瞬き。傾きの陽。集え!】」

    閃光が炸裂し、竜が倒れた。

    竜は衝撃で吹き飛ばされ、竜鱗に覆われていない部分が酷く焼け爛れている。

    しかし竜、嵐火のリリアスにとってはこの程度の傷は問題ない。熱術、力術、工術、生術。全ての詞術を等しく扱える異端なる竜、それが嵐火のリリアスだった。

    「【リリアスへ。波立つ血潮を正せーー】」

    生術の息で傷を癒し、この人間を絶望させてやろうーー。

    そう考えていた彼を驚愕が襲った。

    傷が治らない。

    生術をかけた筈の傷口に微塵も変化が起こらないのだ。

    「き、傷が… なぜ治らぬ…!」

    その疑問に答えたのは目の前の人間だった。

    「生術で放射線の影響力を強めた。お前はもう助からない。」

    強烈な放射線を浴びたことでリリアスの全身の細胞は機能不全を起こしていた。治らないのは当然だった。

    「バ…バカな… 竜たるこの嵐火のリリアスが… 人間なぞに…」

    意識が急速に薄れていく。即死する量の放射線を浴びていながら動けたのは流石は竜の生命力と言えるだろう。

    しかし、それでも尚逃れられない死が迫りつつある。

    それを成したのは目の前の人間の少女だった。

    「影喰みのシュカ、それがお前を倒した人間の名だ。」

    少女、影喰みのシュカの勝利宣言を聞きながら異端なる竜、嵐火のリリアスは苦悶の内に死んだ。


    それは一音をもって遍く光を支配し、自在に操る力を振るう事ができる。

    それは見えざる光すらも己の認識下に置く、常識を逸脱した知覚を有する。

    それは遥か先ですら精度を一切落とす事なく光を紡ぐ事を可能とする、絶大なる想像力を持っている。

    瞬きのうちに閃光を調律する光の詠い手である。


    調光師(オプティシスト)。人間(ミニア)。


    影喰みのシュカ。

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:20:42

    >>123

    これに何を返したとしても恐ろしいの、すごい。

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:54:47

    >>135

    デクスイノスこの会話すら知ってそうで怖いな……

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 20:01:01

    「不思議に思ったことはないかね」
    暗窟のティットは三本筆のアーチに向けてゆったりと話す
    「いくら詞術によって意思疎通が可能とはいえ文字文化があまりにも未熟過ぎると」
    「うーん?そうなのかい?オイラにゃあピンと来ないけど」
    「音声言語についてもそうだ。詞術の恩恵と弊害だけでは説明し切れない部分があると思う」
    狭い馬車の中、彼らの会話を聞く者は他に居ない。

    「…おそらくは何かを恐れている」
    「恐れ?」
    「記録に残すこと、広域に情報を広めるという行動に関して、我々にはなんらかの制限があるのだと思うんだ」
    「それじゃあラジオはどうなんだい?」
    「詞術による情報伝達には例外的に制限が無い。これは“彼方”に由来する現象によるものだとしたら一応の説明がつく」
    心ではなく音声と文字で意思疎通をする“彼方”。
    そこから放逐された現象によって文字、音声文化が阻害されている。
    心による“詞術”を本質的に理解し切れない為に、詞術に対してはその阻害が及んでいないのだという。
    「我々が向かう先は2つ」

    詞術ではない不明な音声通信をラジオ鉱石発見以前から発し続けているという南海の果て。“サレ島の通信局”
    ゴカシェ砂海のどこかにあるのだという、“彼方”より放逐されたという書物の宝庫“砂の迷宮”
    「答えがあるのかは分からないが…なんらかの手がかりにはなるだろう」
    「ふーん…まっ、先生が言うんならそうなんだろうね。オイラも付いてくさ」

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 20:25:59

    群がる民衆の形をした病毒の擲弾を蹴散らし終わる頃には、出立した際に百人はいたガルヅァーの部隊が十三人にまで数を減らしている。
    他ならぬガルヅァー自らが手を下した。

    誰もが沈黙している。盃を交わした同胞の死を目の当たりにしながらも、彼らの敬愛する隊長こそ最も傷付いていると知っているから。

    ──“鋭きガルヅァー”は足を止めた。
    赤と青の月が屍山血河に塗れた都市を見下ろす。夜になった。夜は、怪物の時間だ。

    「貴様が、この惨劇の主だな。二つ目の名を名乗ると良い、墓標に刻んでやる」

    「赫夜。赫夜のイルエル」

    凛として澄んだ声音が寒空に響いた。
    夢か幻なのか、思わず息を飲んでしまうだろう白く柔らかな肌と艶やかな黒い髪に彩られた少女が月光に照らされている。
    何処か憂鬱げな碧の瞳の色が彼女が何者であるかを示していた。

    「【イルエルの形へ。甦る胎。万華色彩。重なる音が雫と化す──移ろえ】」

    魔族。詞術によって命と心を与えられた人造生命だ。その中でも心を持ち、詞術を扱う魔族の生成は限られた“魔王”にしか行えぬ神業だ。

    ジジジジッッ、と鋭い破断音が鳴った。音速突破の轟音である。発条のようにしなった樹木の如き生体組織が容易く堅牢な鎧を貫通して、十二人の兵士が溶けた。
    ガルヅァーは“枝”を切り払っている。音速の刺突に真っ向から対応し、切断を果たす技量を持った猛将であった。

    「……根獣(マンドレイク)の枝と毒だと?」

    「【イルエルの形へ。甦る胎。万華色彩。重なる音が雫と化す──移ろえ】」

    人の形をした魔族、イルエルの肉の器が沸騰した。
    膨らみ、整形され、それは一つの形態を……つまりは竜(ドラキュラ)を象る。
    ──ガルヅァーは稲妻よりも疾く跳び、疾風よりも鋭く刃を振るってイルエルの首を切り落とした。

  • 145二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 20:51:02

    竜鱗の生成よりも疾くイルエルの首が落とされた。そして絶命よりも疾く切り落とされた首から下の胴が竜の形を象って再生した。
    鱗も、翼も、爪も、牙も。紛れもなく竜のそれ。であるのに碧の眼差しだけが輝いている。

    (……有り得ない)

    無詠唱で、詞術が使える訳がない。そんな思い込みではない。
    “鋭きガルヅァー”は蛇竜(ワーム)特有の骨伝導による詞術伝達も知悉している。そういった類いの力だろうと推測できる。

    だが血鬼(ヴァンパイア)は変身などしないし、陽の光に怯えもしないのだ。
    疫病の逸脱種よりも“吸血鬼”じみているその権能の正体が掴めない。

    竜が踏み込んだ。思考の速度は間に合わず、全ての豪剣を凌駕する爪がガンヅァーを直撃した。
    残虐な破砕の音が響いた。

    「オオオオッッ!!!」

    並みの竜よりも強い力。生術の強化を重ねられて、城壁すらも一撃で撃ち砕く威力の爪撃をガンヅァーは斜めに逸らした。
    おぞましい程の力を受けた関節は一瞬にして弾け、音速突破の斬風が老将の顔面を削ぎ落として右上半身を消し飛ばした。生きている。


    「【イルエルの形へ。甦る胎。万華色彩。重なる音が雫と化す──移ろえ】」

    竜の爪は一瞬にして霧散した。文字通りの赤黒い霧が露出した断面から辛うじて残った左の肺を食い荒らして、ガンヅァーは一つの街を絶滅させた魔族の生成者を確信した。
    ガンヅァーの身体を囓る肉食細菌が血管を経由して大脳を侵しつつある。意識が次第に薄れて、地獄の苦痛の中で老将の心が生き絶える。
    遍く生類に備わる異物排除のシステムを欺瞞し、同種の群体を、或いは種すらも異なる生体を統合する技。

    ──誰かが、討たねばならない。
    誰かに討って欲しいと祈っている。

    “魔王”を。

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:02:04

    >>136

    >>144

    >>145

    ガルヅァー将、めちゃくちゃに優秀な御仁だったのに……

    異修羅世界らしく優秀な人間であろうと死ぬときは無惨に死ぬのだなぁ

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:15:40

    理由の無い恐怖?
    ふむ。何だ。続け給えよ。
    最近何かが怖くて堪らない、けれどその何かが分からない。精神病の類……………では無さそうだな。むぅ。

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:20:11

    ごく普通の旅装束に身を包んだ、くたびれた中年の男に見える──イルエルは、彼を待っていた。

    「ハハハハ!さっすがイルエル!時間ぴったり!お出迎えの準備はもキッチリ済ませてるじゃーん?」

    正統北方王国の都市を滅ぼしたイルエルは、ずっと彼を待っていた。一人の人間(ミニア)を。
    イルエルには絶えず行使され続ける生術による不死身と、変身によって得られる竜の膂力を用いて彼を殺せた。
    或いは転がる屍体の神経に肉食の細菌を介して伝達を行わせて、街一つの物量で彼を擦り潰せた。


    だが彼女には彼を、“魔王”を殺せない。

    確固とした自我を持たされながら、その自由を封じられていた。
    生まれつき、“勇気”の機能を持たされていない。
    恐怖の機能はあった。彼女は嗜虐に抗えない。

    幻想めいて美しい月夜の少女が、ポロポロと細い涙を流しながら哀願した。

    「御願いします、御慈悲を………どうかイルエルを御赦し下さい……………」

    「ん〜どうッしよッかなぁ〜?」

    「お父様っ!」

    「ハハハハハハ!厭だ!だってお前、いつまで経っても慣れねェーじゃん!ハハハハハハハハハ!」

    屍魔で作り上げた、肉を腐食させる生ける鞭で中年の男は目の前に立つ少女を叩いた。皮が削がれ、肉が抉れる。竜鱗が零れ落ちた。

    蛇竜の骨伝導を用いた恒常的な全再生の詞術を寿命限界の存在しない魔族と組み合わせ、ついでに蛇竜だけでなくより多くの素材を手に入れられるように模倣の機能を付け加えた。
    国を滅ぼせる戦闘能力なんて副産物に過ぎない。彼が欲しかったのは無限に素材が手に入る肉だけ。

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:21:14

     ・・・・
    「ご主人様って呼んでみな〜?」

    「ご、ご主人様……!どうか、どうか御慈悲を……お願いします……!」

    「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!じゃあ次は深獣(クラーケン)になってくれよ!ちょっと材料が足りなくてさぁ!」

    表面から刻まれゆく少女の悲鳴を聞きながら、心底愉快そうに笑う。
    そのような悲惨と残酷を、この世の誰よりも楽しむ事のできる男であった。

    “本物の魔王”が現れる以前。彼らこそが魔王と呼ばれていた。
    彼らは“正なる王”ではなかったが、必ずしも悪しき者たちではなかった。
    王たる彼らには、その理想に付き従う仲間が、民があった。

    彼は違った。

    いかなる仲間も必要としない。軍勢が必要ならば、それを作り出すことができた。
    信念も理想も持たない。そこに目的などなく、無軌道に破滅を撒き散らし、悲惨を楽しむことができた。
    あらゆる世界を自分の色へと染め上げる悪意。

    かつての世界に、最悪の魔王と呼ばれた男が存在した。
    魔王自称者。色彩のイジックという。

  • 150二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:21:45

    それは絶えず再生し続け、決して根絶されざる構造を有する。
    それは変幻自在なる肉体で地平全ての生命の形への変化を可能とする。
    それは全身を病原とし、死にながらに動く屍軍を作り上げる。
    鮮血の伝承を具現した、最悪の魔王が生み出した血喰らいの夜である。

    擬魔(ミミック)。生術士(クリエイター)/奴隷(スレイブ)。

    赫夜のイルエル。

  • 151二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:24:55

    ザイヴ殿下はお優しい御方だ、俺たちのような庶民でさえ気に掛けてくださる。
    つくづく第二皇子なのが惜しいなぁ、あんな御方が王になって下されば、俺たちの未来もきっと安泰だろうに……。

  • 152二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:26:55

    心術で素材の脳から生前の記憶と人格を再現して擬似的な死者蘇生とかイジックなら出来そうだよね
    そしてそれを利用して生者も死者も辱める

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:29:13

    >>148

    (超厄介な怪物だけど死因がありありと想像できる造形いいね)

  • 154二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:36:24

    ・赫夜のイルエル

    実親にDVされてる擬魔(ミミック)。
    最悪の魔王たる“色彩のイジック”の手によって常に肉体の内側に蛇竜(ワーム)の骨が存在しており、駆動する全再生の詞術が恒常的に損傷を修復し復元する。自死の自由すら与えられていない哀れな娘。

    不死身の竜としてだけでなく地平を埋め尽くす肉食細菌の工場としても振舞える魔族。

    オゾネズマが『自ら最強の部位を継ぎ合わせて強化を繰り返す』戦闘生命だとすればコチラはより発展した『状況に応じた最強の部位を思考して模倣して使える』戦闘生命。


    えっ!?既に下された詞術の命令を書き換える異能ってナニ!?!?

    (※最終的には“汚れた地のルメリー”と“移り馘剣のユウゴ”のコンビによって死亡。
    「イジックって蝗害の屍魔で都市を滅ぼすのが常套だったらしいけど原材料は何処から来てるの?」が発想元)

  • 155二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:54:34

    このレスは削除されています

  • 156二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:08:24

    「ほうほォう、成程なァ。糸口は掴めたぞ。竜鱗を抜くことは竜自身の爪にも容易くはない。――あァ、それは確かだろう。ならばその衝撃を浸透させれば――。そうすれば、竜鱗は意味をなさない。成程、人間(ミニア)どもの使う武術とやらも捨てたものではないなァ、クククッ。ならば我はなんと名乗ろうか――竜殺し、ではちと短絡に過ぎるか? ――――あァ、貴様もずいぶんと役立ってくれた。我が息(ブレス)の癒やしを施してやろう。何せ――クククッ、お前にはまだまだ役に立ってもらわねばならんからなァ?『ダルウェンの鼓動へ――消えゆく波紋を滾らせよ』」

  • 157二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:12:22

    (元々身体機能として言語に依らない意思疎通能力持ち+自己暗示によるマインドセットの切り替えで詞術を使う客人を考えてたけど設定上やっぱり難しいかな……)

  • 158二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:42:25

    幼い小人は、鍋いっぱいに作られたスープを小皿によそい口をつける。隣にいる彼の母も同じように味見をした。
    「……違う」
    「そう?とても美味しいわよ」
    「母さんが作った方が美味しい」
    調味料に漬け込んでおいた猪肉を月菜と一緒に煮込んだスープ。一見単純なようで、調味料の合わせ方や漬け込む日数。煮込む時間で味の変わる奥が深い料理だ。
    幼い小人は彼にとって一番の好物であるそれの作り方を、小二ヶ月前から母に教わっている。
    けれど未だに納得のできるものは一度も作れていない。教わった通りに作っているはずなのに、出来上がるスープは母の作るものとはまるで違う。
    「母さん次だ。次こそ絶対……」
    「……ふふ」
    思わずといった様子で笑みをこぼす母を、幼い小人は不思議そうに見上げた。
    「母さん、どうしたんだ?」
    「私もこんな風に、お母さんにこのスープの作り方を教わったな~って」
    母の手が、慈しむように幼い小人の頭を撫でる。
    窓から差し込む暖かな日差し。鳥の鳴き声。小さな村での、穏やかで平和な日々。
    それらは、幼い小人にとっての聖域だった。
    「あなたもいつか、あなたの子供にこのスープの作り方を教えてあげてね」

  • 159二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:45:08

    >>158

    (アカン)

  • 160二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:52:14

    「漸くだ。漸く戦争が始まる」
    哨のモリオは独り言ちた。
    戦争経済の時代が来る。

  • 161二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:14:18

    「――うん。まぁ、これでひとまずは大丈夫な筈だよ。無論今すぐ走り回れるようになるとはいかないが、動くに支障は無いはずだ。立てるかい?」
    朴訥とした風貌に丸眼鏡を掛けた、ひょろ長い風貌の男がそう幼子に声を掛ける。おそるおそる、幼子は寝台から脚を下ろし――ぱぁっ、と顔を輝かせて、地面に体重を預ける。
    「――うん! すごい、おれ、立ってる! ありがとう、おじさん!」
    「ふふ。容易いことだ。しばらくは走ったり跳んだりは控えるように。それと、これからは足元にもようく気を付け給えよ」
    ――男の名を、星図のロムゾという。

  • 162二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 06:41:59

    ちょっと見ないうちに凄い伸びてるな…1じゃないけど異修羅二次創作大好きマンで各サイトの僅かな供給を啜りながら渇いていた身には夢みてえなスレだ…好きなやつへまとめて横から感想投げるけどうざかったらすまん(残りレス数的にもあとは自重するので…)


    >>133

    造人の材料だった客人、キヤズナに進んで協力した説を取るなら絶対こういうやつだったんだろうな感がすごい良妄想だ ただなんか俺も虚実のガチャ結果とかで勘違いしてたんだけど、Wikiや本編で見返すと「メステル」って装甲兼ねた機魔の方を指すっぽい…?「エクシル」が造人の方で客人はそっち担当とすると、「単つのメステル」に対応させて「零余のエクシル」とかか…?


    >>134

    非生物で何かを造るなら工術って固定観念あったけど、そうか別にそれ一辺倒に限らないというかそういう発想するやつも出てくるのか…思考の流動ってこれかというか目から鱗な気分がする


    >>135

    ヒロト掘り下げ!デクスイノス絡めてくるのびっくりしたけどよく考えたら海を介して現状一番関わりあると言っても過言じゃないな…

    メストゥーツァさん海の竜族って独自性もだけど脳内イメージでもめっちゃ幻想的な発光性プランクトン使役・発声と二つ名のお洒落さよ…これ昏想に向かってってどうなったかの結末も気になりすぎる


    >>136

    ガルヅァー将のキャラと地の文がひたすら渋くてカッコいい+このわずかな描写で悲劇っぷりがわかるから蒼氓のカルジック含めて前後の戦乱も読みたくなるが、そこからのイルエルのヤバさと最後の流れからの構文とお前かーーい!!に興奮した

    血喰らいの夜=赫夜の二つ名のハマり方もだし、骨伝導詠唱他の各種特性の悪魔合体がすごいイジックってか珪素先生のやりそうな…というか本人含めて悲惨でえげつない描写がキマりすぎだろ…(ルメリーが特攻になるのもいい)あと上のシュカVSリリアスとかゼラのもだけどなんでかっこいい詞術詠唱が皆そんなぽんぽん出てくるの…

  • 163二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 06:42:18

    >>138

    上のシュディークやガロのレスも併せて、アバウトに投げた彼岸の青空殺戮道場にめっちゃカッコいい肉付けしてもらって嬉しい…カレラスエ、名前の響きの気持ちよさにシンプルな尾+刃+カラテのスタイルがめっちゃ刺さる 空歩のジュリアスもだけど一瞬の判断で退場するキャラの魅せ方に異修羅イズムを感じるぜ…

    ゼーエフってネフトが敗走してから興した群れの名じゃなかったっけと思ったけど、(この話だと)元々狼鬼の文化で戒律を表す称号の一つだったって感じの解釈がされてたんだっけね(原作で言及済だったらスマン)


    >>140

    シュカ、このスレの初期からちょいちょい出てるだけあってリリアスとの一戦わくわくさせられるな…リリアスが四系統適性+ハイネみたいな複合での息も使う?強者っぽいからなおさら影食みのヤバさが際立つ

    「瞬きのうちに閃光を調律する光の詠い手」ってフレーズに痺れる


    >>143

    ティット先生とアーチ君の問答、すごい好き(こういう世界観掘り下げ問答いいよね)砂の迷宮と並べられた「通信局」の伝説とか物凄いワクワクするわ

    俺はこういう「設定面での特異な部分にもう少し踏み込んで理由づけする」二次創作が超好物なんだ…

    しかもスレ的にも完璧な布石になってるのがうまい…


    >>156

    一発でディアーギンとわかるセリフの内容…何気に鱗貫きの二つ名名乗る理由の妄想にもなってて洒落て…人体実験ならぬ竜体実験グロっ!!

    竜におけるアミバって言われるだけあるなこいつってなるしダルウェンさん哀れ…


    >>158

    急に穏やかで幸せな…というかかつてあったはずの遠い昔の光景を挟んでくるのやめてくれ…

    聖域の二つ名の背景として刺さるし本編の彼の猪肉のスープに無限の文脈が乗ってしまう…


    >>160

    >>161

    モリオの(硝煙臭いけど)苦労滲む独白とロムゾ先生の子どもから見ても優しくて頼りになる先生ぶりいいなぁそれぞれこの後も魔王として戦争で儲けたり人々を助ける人生を歩んでいったんだろうなぁ(白目)

  • 164二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 06:45:42

    >>151

    これの意味するところに気づいてウワーッとなった

    ああ…

  • 165二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 06:46:13

    【ガルサよりヤカラカの鐘へ!先駆けの雫、目覚めの水冠、波紋は遠大にして縹渺。鳴らせ!】
    放牧のさかんな辺境、緑の海のように美しい草原。その中心に裸足で立つ人間(ミニア)から、清麗なる音色が、風に乗って四辺へ響き渡る。
    翔羚のガルサ。生まれた時より身につけている鈴鐘に自身の心の動きを共鳴させ、音に乗せて遠く広く届かせることのできる少女である。
    澄んだ青空の日に聴くことのできる、誰へ向けるでもない、彼女の詠唱と美しい鐘の音。
    鐘の音に詞(ことば)はないが、それゆえに混じり気のない純粋な調べが、この土地に暮らす者、この土地を行き過ぎる者全てに、素朴な生の喜びと感動を伝えていた。

  • 166二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 07:25:50

    "岬の果て"、"凍る汀"、"灼焔"、"千枝万穴"…あれほどまでに強かった魔王たちが、それよりもさらに強い者たちによって討たれていった。
    また、"吝嗇"の結末を思わせる話で言えば、"精髄"と組んで蒸気に蠢く未知の国を興したあの"棺の布告"もいつからか魔王と呼ばれ、王国との資源戦争に明け暮れているらしい。
    もちろん、人族の生など我関せずとばかり、次々と産み落とす機魔の危険性で以て地平に知られた、"軸"の変わらぬ脅威もある。

    しかし、やはり…この地平において、最も悪に満ち、人々に恐怖を引き起こす、真の魔なる王といえば……あの"色彩"になるのだろう。
    大義もない悪意のままに、目を覆うような惨烈と酸鼻の色でこの世界を端から塗り潰さんとしている、地上最悪の屍術士(タイラント)。確実にその恐怖は、世界を覆いつつある。まだこんなものではない。何か…今以上に恐ろしい予感がある。
    そしていずれ必ず、この地平の勇気ある英雄・強者たちと、雌雄を決する時が来るのだろう。

    美しいと思わないかね?
    里遠いこんな寂しい屋敷に、隠者の如き日々を送っているとは言え……君も、そんな二つ名を名乗り、『あのようなもの』を描き続けている以上は。
    そうだろう、アウグスティーノ。我が友人。

  • 167二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 08:48:49

    >>99

    血に塗れた数多の罪業の狭間、おぞましきトロアは、朧な夢を見る。


    炎のなかの記憶がある。

    「──死神さん……貴方との、決着……つけられなく、なって、しまった…わね…」

    音に聞こえた護りの槍使い・落燕のイランダは、トロアの腕の内で、弱々しく呟く。

    脇腹に開いた傷から、はらわたの粗方が零れ落ち、既に致命とわかる傷であった。

    「……もういい。無理をして喋るな」

    炎の魔王と謳われし、灼焔のネウラ。彼の作り出した唯一の魔族にして、放逐され人里を思うさま蹂躙していた「失敗作」崩燈ヴィルヴィスグ。巨大な粘獣(ウーズ)の死骸に特殊な脂を混ぜて作られたという命ある消えぬ炎の塊を、神と崇めた狂信徒たち。

    彼らによって狙われた無辜の村を救わんと奮戦していたイランダと、彼女の持つ「ファイマの護槍」を狙って現れたトロアは、奇妙な一時共闘の果て、ついに「崩燈」を討ち果たした。

    しかし──その戦いの引き換えとして、イランダは。

    「ファイ、マの……槍………」

    命の去りゆくうつろな瞳、燃え残る戦火の橙を映した彼女の視線の先には、柄はすでに失われ、ほぼ穂先のみで転がる魔槍。

    槍折れ策尽きた時、その異能が刃のみでも発動しうると気づき咄嗟の判断で施された、急場の改造の成れ果てであった。

    「……だれかを……護るための、私の、相棒……

    こんな、姿に、なってしまったけれど……持っていって……」

    自身の刀疵を戦いのさなか忘れるためだけに用いてきた、未熟で不慣れな生術で、せめても痛みの緩和を試みていたトロアに、彼女は、最期の息で語りかける。

    「あな…たは……

    ほん、とう、は……きっと……」

    言葉のさなかに、その手が静かに落ちた。

    光を失った目を閉じてやり、地に横たえてから、やがて、無言で立ち上がる。

    (いいや──俺は……)

    槍であった、それの穂先を、拾い上げる。

    ファイマの護槍は、銀色に鈍く光りながら、魔剣殺しの死神へと、彼女の言葉の続きを語りかけているようにも見えた。

  • 168二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:02:31

    「聞いたかよ。落燕のイランダが、死神に……おぞましきトロアに殺されたらしい。ファイマの護槍も奪われていたってよ」
    「確か、トロアが炎の魔剣で、村ごと焼き払ったんだろ?目撃者も、誰も生き残れなかったって聞いたぜ。おっかねえ……」
    「あんな…あんないい子がねえ……やっぱり、どんな理由があっても、魔剣なんて持つものじゃないのかねえ……」
    「西連合王国が収めた何年か前の戦も、魔剣を巡って起きたそうだからな。恐ろしい話だよ……」

  • 169二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:12:39

    「殺してやる……殺してやるぞ!惨夢の境のエスウィルダ!」

    惨夢の境のエスウィルダ。悪名高き森人の英雄。人間の軍を斃し無数の人里を焼き払った熱術士。そのエスウィルダに殺意を抱く男は風水のジレンという。彼はエスウィルダの故郷の里を訪れていた。

    「故郷を失う苦しみをこの魔剣で味わえ!蛮族の殺戮者が……!」

    ジレンの手には二又に分かれた異形の魔剣、バージギールの毒と霜の魔剣がある。剣身が触れた生体を結晶が侵食する驚異の魔剣。森の中にある森人の集落で使用すれば結晶の地獄が誕生するだろう。ジレンは迷わず魔剣を振った。

    「う……腕が……!私の腕が!」
    「助けてくれ……!助けてくれ!」
    「嫌だよ……お兄ちゃん!起きて!起きてよ!」

    数多の罪なき森人の住民が結晶に呑み込まれる。悲鳴と怒号が飛び交い、結晶の彫像が出来上がっていく地獄絵図。エスウィルダに故郷を焼かれたジレンは、皮肉にもエスウィルダと同じ穴の貉となった。そして当のジレンはーーー

    森の中心に結晶に侵食されたジレンがいた。ジレンは復讐を終えた後に生きるつもりがなかった。彼は復讐をするためだけに生きてきた。森の全てが結晶に呑み込まれた時には、もう誰の声も響かず、ただ一本の毒と霜の魔剣だけが残った。

  • 170二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:15:44

    エスウィルダが自分の故郷の惨状を知ることはなかった。エスウィルダは“冬”に挑むためにイガニアへと向かっていたからだ。ジレンが命を捨てて行った復讐は、復讐対象に苦しみを与えられなかった。

    そして結晶の森に残されたバージギールの毒と霜の魔剣は、死神の手に渡ることになるーーー

  • 171二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:49:51

    >>22

    遠見の魔眼。

    ……未来が視える、と言っても、それはけっして万能の予見でもなければ、自在の睥睨でもない。

    あくまで、やがて来たるべきヴィジョンのほんの一欠片だけが、カヤムの瞳のうちに、幻のごとく仄視えるだけ。

    ゆえに、その時もまた──遠見のカヤムの目に映ったのは。

         ・・・・・・・・・・・・

    軽く翻る、見たこともない生地の布端と。

    ・・・・・・・・・

    ひどく艷やかな黒髪の一部だけだった。

  • 172二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:50:22

    ――ねえ、■■さん。恐怖と友達になることはできない?

    この世でただ一人、■■だけが私の心を分かっていた。
    やっと私だけが、■■の心を分かった。

  • 173二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 09:54:10

    「『アレトーよりヘレークの風へ。月を分け咲く。窮を結ぶ風。萎縮の破綻。――寄せろ』」
     暗い夜道に、立て続けに倒れる音が響く。
     道の中心に立つ――先ほど詞術を唱えていた森人(エルフ)の男のほかに、近くに意識を保ったままのものはいない。
     男――藪望のノルトの持つ剣は、魔剣である。銘をザイロルトの滲みの魔剣。奇妙に幾重にも湾曲した刃を持つ、杖のような、木剣のような魔剣であった。刀身を濡らす樹液を――わずかに吸入するだけでも昏倒しかねぬ強い鎮静作用を備えたそれを、風の詞術で撒き散らす。
    「――これで、全員。面倒だが殺しておくか」
     魔剣を狙ってきたと思しき賊がことごとく倒れ伏したことを、その鋭い耳が知覚している。
     ――否。
     ひたり、ひたり、と。藪望のノルトは、もう一つの近づいてくる足音を。――人間(ミニア)のそれよりも軽い、だが異様に不吉な足音を。
     聞いた。

  • 174二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:01:09

    なんだか最近、森の獣どもがやたらと騒がしいんだよ。天気も悪くねえってのになあ。

    シソギ通商路で聞いた話じゃ、クタ白銀街の近くで、空から鳥の雨が降ったらしいぞ。死にかけながら地面で泡吹いてたって。

    なんだそれ?気味悪ぃなあ、ははっ。

  • 175初っ端間違えてた……25/02/16(日) 10:18:20

    >>173

    「――まだ残りがいたのか。『ノルトよりヘレークの風へ。月を分け咲く。窮を結ぶ』」

    「――"ムスハインの風の魔剣"」

     ノルトの詞術より疾く。その小人は強く湾曲した剣を引き抜いている。緑色の風が、山林の空気を薙いだ。滲みの魔剣の樹液を変性させた昏倒の靄が、ノルトに殺到する。

     だが、それは効かぬ。

     ノルトは髙襟の外套と旅人に隠した顔に防毒面を被っている。"客人"の商人から買い付けた、信頼の置ける品であった。

    「――ッ! まさか、そんな、はずは!」

     ノルトはその隙間から目を見張る。

     夜闇を見通す目が、その小人の姿を捉えている。闇に紛れる黒い外套を羽織り、周囲に墓標めいて無数の魔剣を突き立てた、その姿を。

    「――おぞましき、トロアだとでも言うのか」


     数日後、この道を通った一隊の隊商がひとつの死体を見つけ出した。左半身を焼き焦がされ、首筋を無惨に裂かれて死んだ、薮望のノルトという森人の骸。彼が常に振るっていた奇妙な魔剣は持ち去られて、ただ割れた、奇妙な仕掛けの付いた面だけがその素性を語っていた。

  • 176二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:24:03

    『次のニュースです。先月から東京周辺で大規模な暴動が発生しており、収まる見込みがありませんーーー』
    『埼玉で一家心中が相次いで発生してーーー』
    『横浜の火力発電所で火災が発生。火の周りは周辺にも及びーーー』

    近頃こんな報道ばかりだ。平和からかけ離れている感じがする。まるで何かを恐れているようなーーー






    ーーー映像がある少女を捉えたとき、世界中で恐怖が爆発した

  • 177二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:32:45

    「少し前に……緑の時節祭に先駆けて、教団で猪の死体処理をやっただろう、確か」
    「あぁ、小さいのを壁に向かって投げて潰して遊ぶやつか。子どもたちも喜んでたよな」
    「その時に、猟師たちが首をひねってたんだよ。猪どもは全部、見つけた時には生きてたのに、狩る前には全部死んでたんだと」
    「なんだそりゃ?獣が自殺でもしたってのか?」
    「外傷はなかったそうだが、よく見たら親も子も自分で自分の舌を噛み切ってたそうだ。とっくの昔に息が詰まってて、近づいたらばたばた倒れたらしい」
    「おいおい、何かの毒の生術でも食らってたんじゃねえだろうな!?俺、猪鍋めちゃくちゃ食っちまったぞ!?」
    「それは当然調べてからくれたってさ。だいたい、今に至るまでどうともなってねえだろうが。
    ……この頃になると食い物目当てに北の森の方から渡ってくる、いつもの猪の群だったはずっていうがな…」

  • 178二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:36:10

    このレスは削除されています

  • 179二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:37:46

    (この大陸で何かが起こり始めている……新大陸に戻った方がいいな)

  • 180二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 10:42:00

    >>177

    異修羅世界特有の動物愛護団体が裸足で逃げ出す価値観がよく現れているな

  • 181二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:06:38

    >>22

    先見がそれに囚われる……残念ながらありがちなことだ


    ああ、でも……嫌だ

  • 182二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:18:30

    >>173

    >>175

    (藪望のノルト&ザイロルトの滲みの魔剣のこの「工夫してやりくりしてるいい塩梅の在野の魔剣士」感よ……抜きん出て強いキャラ妄想も楽しいけどこういうのいいよね)


    …山知らずジゴウによる、北西の辺・ムノー辺境砦の襲撃事件は、砦に雇われた客人・五月雨のアルバートと、魔王・哨のモリオが斥候を兼ねて派遣した老傭兵・血報弾ルベロの手によって鎮圧された。

    長き時を旅と共に生き、複雑な鏡屈折と特殊な工術の仕掛けにより千里の果てまで見通せるという愛用の遠目鏡でもって流れの観測手としても親しまれた、老いたる巨人の突然の狂乱は、人々の間に深い悲しみと困惑を残し……。


    「……片付いたな」

    口元までを隠す黒の外套の裏へと銀の刃を収めながら、アルバートが呟く。

    「はん。結局戦闘の殆どは手前がやっちまったじゃあねえか。客人ってのはこれだから困る」

    鍔広の帽子の下から、皺深い面立ちと鷹の如き目を覗かせた老銃士──ルベロは、「畜生が。俺の腕は老けて錆びついても、『彼方』産のこいつは、先祖代々錆びたことは無えのによ……」と、リボルバー拳銃をホルスターへ戻しつつ、ぶつぶつ毒づく。

    「孫が待つと言ったな。死線など潜らぬに越したことはない」

    「馬鹿野郎。ラーキの奴もいずれ俺から二つ名を継ぐんだ。いちいち泣くような育て方はしてねェよ…」

    呟きつつ、ルベロは先刻打ち倒した巨人──ジゴウの屍の元へと、その目をやった。

    「……古馴染みだったんだ。剣呑な俺なんぞには勿体ねぇ、気のいい奴だったよ。いくら耄碌したからって──こんな馬鹿みてぇなことをやらかす奴じゃねえ」

    「完全に、精神に異常をきたしていた。お前のことも──きっとわかってはいなかったろう」

    「いっぱしに気を遣うんじゃねえよ。こんな稼業だ、珍しい話じゃねェ……だが」

    「何が、"山知らず"をそうさせたか…だな」

    「ああ。話によると、ジゴウは遠目鏡で、ずいぶん遠くの一角を眺めてたらしい──」

    二人の男が、空を見やる。

    灰色がかった曇天は、彼らにも、何か、得体のしれぬものを孕んでいるように思えた。……

  • 183二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:39:40

    (ちょくちょく出ていた"山知らず"の人も死んでしまった……と思ったら先代の"血報弾"とアルバートさん出てきてめちゃくちゃアツいな)

  • 184二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:54:12

    《鳥竜が…鳥竜があちこちでとんでもない大暴れを起こしてる!!ギラノの近場で、村が3つも食い荒らされた…!大人も子どもも、片端だけ齧られた格好で放置されてる…あれは食うために襲ってるんじゃない!
    討伐隊を…"静寂"の将率いる屠竜砲の部隊の出動を乞う!!》
    《ふだん絶対に近寄らない、氷に閉ざされたイガニアの方へ飛んでいく群れも見たそうだ…オヌマの近くに野営していた、"凍峰"からの情報だ!》

  • 185二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:02:18

    世界に「近代法」の概念を齎し、"客人"の身でありながらラーレオ商街の評議会の一人であった逸脱の法律家、傾ぐ天秤のヘルムートが死んだ。
    ラーレオ商街を、無数の蝗の魔族が襲った日。出向いた先から帰る最中の馬車を、巨大な蛇竜(ワーム)の屍魔に押し潰されて死んだのだという。世界逸脱の"客人"の、それはあまりに呆気ない最期であった。
    ――最悪の魔王、色彩のイジック。彼がまだ「魔王」の名を許されていた時代の、最後の虐殺である。

  • 186二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:06:25

    平和な粘獣の集落で、住民の全てが一つに結合しようとしてそのまま死んでいるのが発見された。

    百年もの間、地に潜み暮らしていた蛇竜が、白日のもとで自らの長大な身を自らで締め縊り殺していた。

    未踏の森より這い出してきた、大鬼と山人の女と無数の人族の骸を接合した冒涜的な混獣が、無数の目を『自らの内側』へと無理やり向けようとして、そのまま自壊した。

    確かに、何かが、起こり始めていた。

  • 187二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:20:57

    >>185

    (あぁ…ヘルムートさんが…

    近代法を持ち込んだ法の番人が単なる無軌道な暴力を前にあっけなく散る事件が、曲りなりにも善悪のはっきりしてた時代の終わりとそれまでの善悪の構図すら破壊される混沌の序章に位置してるの皮肉すぎるな…)


    逸脱の俊足で知られた『韋駄天のヤチヨ』が、異変を探るための遠駆けの帰り、持てるだけの爆薬を携えたまま、通商地点へと飛び込んで爆死した事件もまた、混沌のさなかで起きた異常な出来事であった。

    なお、ヤチヨと交流を持ち、この時にトラウマを抱えながらも生き残った少年は、のちに『緑帯』の二つ名を持つ俊足の工兵として知られることとなる。

  • 188二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:25:27

    >>97

                         ・・

    逸脱…それどころじゃない…とんでもねぇのが来た。

    私にゃあわかるんだ。

    ひひ、ひひひひ…他に取り柄のねぇ私だが…「外れ値」の観測と捕捉にだけは、間違いはない。

       ・・・・

    あれはとびきりだ。

    ひひっ、ひひひひっ、ひひひひひ!!!

    何だこの涙は、何だこの鉄の味は?

    何で、私ゃあ、こんなに、震えてるんだ…?

  • 189二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:27:01

    (このスレって200行く前に落としたほうがいいんじゃないスか? 忌憚のない意見ってやつっス)

  • 190二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:28:17

    い…イジックだ!!間違いない!!
    こんな、こんな酷ぇことが…こんな、恐ろしくてどうしようもない気持ちが、最悪の魔王以外のことで、起きるわけがない!!
    し、色彩のイジックを……殺さないと…!!!

  • 191二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:29:16

    >>165

    【が、ガルサ、より…や、ヤカラカの、鐘へ……さ、さ、先駆けの雫…ふ、うふふ…なんで、なんで……め、目覚めの、水冠……あああ、あ、あ、怖い……あ、あ、あ、怖い怖い怖い怖い…波紋は、え、遠大にじでッ、縹渺……な゛ッ…鳴らせ!!!】


    ──狂乱した人と獣が生きたまま喰らいあう、無惨な肉の群。悪夢を描いた絵画のように赤く燃え盛り、黒く焼け落ちてゆく草原。

    その中心に、肉は裂け骨すら見える裸足で立ちながら、謳い踊り狂う人間(ミニア)。

    ごぼごぼと赤い泡の絡んだ、醜く悍ましい音色が、腥い血と汚物の香、火の粉の混じった風に乗って、四辺へと響き渡る。


    翔羚のガルサ。鈴鐘に自身の心の動きを共鳴させ、音に乗せて、遠く、広く、届かせることのできる少女であった。


    ──そのような彼女が、静かにこの世界を蝕み始めた、正体不明の恐怖によって、いち早く心を呑まれたならば。


    鐘の音に詞(ことば)はなく──それゆえに混じり気のない純粋な、恐ろしい、怖ろしいという感覚が、その音色を聴いてしまった者を、次々と震わせていった。


    【鳴らぜ。鳴ら゛ぜ。な゛ら゛ぜ。な゛ら゛ぜな゛ら゛ぜああああ───】


    もはや二度と晴れることのない彼女の空に、誰へ向けるでもない、彼女の慟哭と、絶えざる絶望が幾度も谺し、それは、もはや永遠に絶ゆることがないように思われた。

  • 192二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 12:39:50

    >>135

    「"メストゥーツァより海へ。穿つ形は渦巻くこと"」

    『"メストゥーツァより海に遍くもの。震えるならばそれは断つだろう"』

    『"メストゥーツァより海に遍くもの────』

    海中のプランクトンの振動伝達、それによる詞術詠唱。

    そんな離れ業を何度繰り返せども、『昏想』との戦いは未だ続いていた。

    彼の息吹は無際限の振動である。単純威力によって星深瀝鋼さえ傷つける。そうでなくとも刹那の間、膨大な試行回数によって共振崩壊を引き起こす。

    そのような芸当を持ち合わせども、この戦いは今日で一週間を迎えた。

    海は常に大時化の様相を見せている。

    『昏想』の討伐を請願した逆理のヒロトは、その大時化が止んで、その時漸く新大陸へと向かった。

    『昏想』と『暗き光』がどうなったのか、知る術はどこにも無い。

  • 193二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:14:11

    「あ、あッ……こッ、こんなことが………」

    雪獣(イエティ)は呻いた。
    "凍峰"はその有り余る膂力でまた一つの家屋を蹴り飛ばした。6mにも及ぶ質量を指一つだけで支えて崖を登り詰める逸脱の身体能力だ。弾けた瓦礫は雨のように都市に降り注ぎ、音よりも疾く人々を絶命させる。

    イガニア氷湖に向かう鳥竜(ワイバーン)を石礫で撃ち落としたのと同じ技業であったが、今の彼は山ではなく平野でその技業を使っている。
    四肢が弾け、臓物が散乱し、分厚い瓦礫に押し潰された脂肪が糸を引いた。

    まるで、獣になってしまったようだ。竜をも上回る膂力で縦に引き裂いた兵士を鎧諸共に噛み砕いて、ヴィジャヤは懺悔の涙を流している。

    「ごッ、ごめんなさい……」

    山嶺に適応した新種には如何なる対象でも捕食するための消化器官が備わっていた。
    噛み砕いた骨が喉に刺さることもない。だがそんな悪虐非道を何故成しているのかはヴィジャヤ自身にも分からなかった。

    彼は、人と共存する“客人”であった筈なのに。確かな知性と社会性を有する雪獣(イエティ)は、或いは獣族と人族の繋ぎ橋になる可能性もあったのに。

    テキーア市に常駐する兵士が弓矢を構えて、剣を手に暴れ狂う雪獣(イエティ)に突っ込む。
    分厚い毛皮には矢の一切が通じず、大鬼(オーガ)よりも優れた身体能力は兵士達を羽虫を潰すようにプチプチと圧し殺せた。
    厳崖に突き立てる杭の如き指先が鉄の鎧を貫き、肉に穴を開ける。そのまま臓器を掻き出す。消化器官や酵素を生成する器官。
    失血死しして仕舞わぬように、ゆっくりと。生きたままに長く苦しめる術を知っていた。

    「ご、ごめんなさい…ごめんなさい……ごッ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

    兵士達は退かない。誰よりも眼前で哭きながら暴れ狂う雪獣(イエティ)を恐れているのに、なのに足が動かない。足を踏み込んでしまう。自分の身体が、意思とは真逆に動く。

    「ごめんなさい……」

    ヴィジャヤは兵士の群れに突っ込んだ。一瞬にして全員が死亡して、彼は人間(ミニア)の肉を喉へと詰め込み続けた。遥かな高峰でも生存し続けられる肺が酸素限界を迎えるまで、延々と。小七ヶ月もの間、貪り続けた。

  • 194二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:15:14

    逸脱の登山家でもある雪獣(イエティ)は過酷な大自然の最中ではなく、ありふれた人工物に囲まれて死んでいった。

    “凍峰、ヴィジャヤ”の種族は雪鬼(ウェンディゴ)として記録されたが、その記録すらも狂乱の中に散逸した。

    ──こうして、雪獣(イエティ)は終わった。

  • 195二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:15:15

    (157です。最後なのでやってしまいます)

    「我詞わずして万象へ応え(sine cantu loqui, cantare sine loqui)」
    「されど詞いて奇びのわざを(magicae in manibus)」

    うたわれるは「彼方」の言葉、それも最早日常から消えた古きもの。そして、意識が切り替わる。

    「【パルニクよりレミファの石へ(parnich io remifa) 祝福の鐘(aisteoh)、6軸から3(6 iu 3)、格子戸の陽(alculsevusilmy)、冬先月の銀(aruslanefr)、夢幻境の関(farthnhinth)、刻の鍵を回す(tesval)、鎖せ(lucumo)】」

    今兆す「恐怖」は、詞術に依らぬ感応を持つ自分には分が悪い。影響を制御できる自信と、破滅の予感とを天秤にかけて後者が勝った。これより「装置」の内に入り、低温と生術とで心身を停止させ、いつ醒めるとも分からぬ冬の眠りに入る。

    隠し遺されるは客人の手で生まれながら、一切の逸脱無く、しかし物理法則の限界に挑戦するような性能の品々。工術士の手による物のようでありながら、一切工術は使われていない。

    それは詞術抜きに万象と通ずる機能を持つ。
    それは工術に依らずして何物をも組み上げる。
    それは客人でありながら詞術を操る。
    世界より拒絶されし万能の才。

    人間(ミニア)。技師(エンジニア)。無語(むご)のパルミク。

  • 196二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:21:17

    >>189

    語り合いましょう

    誰しもに言葉の通ずる詞術を詞神様は与えてくださったのですから

    言葉と言葉で通じ、手と手を取り合えば克服できない試練はありません

    生きとし生ける誰もが平等であるように、詞神様は、言葉を与えてくださったのです

  • 197二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:22:44

    >>196

    よくわからんが恐ろしいから“教団”をぶっつぶせぇっ!

  • 198二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:32:43

    「…………あれ?ここ、何処だろう」

  • 199二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:33:24
  • 200二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 13:33:30

    来た。

オススメ

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