【閲注】相澤先生関連のSSを書いていく・18

  • 1125/02/13(木) 19:54:15

    相澤先生最推しで雑食なスレ主が先生関連のSSを書いていく
    CP無夢クロスBLNL左右非固定何が飛び出てくるかわからねえ 覚悟してくれ
    CP関係はBLは右寄りでNLは左寄りだったはずだが女攻めも普通にあるごめんな

    今は転生ドル澤が佳境!
    完結するまでは他のやつを書かないと思うので実質ここが感想スレになるよ!
    好きなだけ妄想とか感想とか書いてくれると嬉しい!
    平日昼間は来れないので保守がてら雑談してくれると嬉しいぜ

  • 2125/02/13(木) 19:55:04
  • 3125/02/13(木) 19:55:25
  • 4125/02/13(木) 19:55:44
  • 5二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 19:56:59

    たておつ〜

  • 6125/02/13(木) 19:59:18
  • 7125/02/13(木) 20:00:33

    ちゃんとまとまった時間がないと続きは書けないけどこういうドルパロ澤の軽いやつはいくらでも書けそうなので量産しては話題を繋げる材料として持ってくるね

  • 8125/02/13(木) 20:17:03
  • 9125/02/13(木) 20:18:04

    設定をこねこねするとどうしても「こんなんなくてもええやろ」って場所まで作ってしまう
    皆も楽しんでくれると嬉しい
    暫く私のドル澤の熱が熱いんや

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 20:18:56

    突然の推しに声出た
    相変わらず対抗意識バリバリで流石だぜ…

  • 11125/02/13(木) 20:20:06

    ありがとやで
    なんか質問とかあったら全然受け付けてるので好きなタイミングでしてくれると嬉しい
    色々設定継ぎ足していくの大好きなので

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 20:27:28

    光木のオタクが新規に優しいの解釈一致 初現場へのわくわくとか、新規が増える嬉しさとかのキラキラした気持ちが伝わってきて幸せだよ〜

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 20:32:12

    光木はそっか芸歴長いからファンもなんか入ってる人が多いんだ
    新規を囲め囲めってやるのどのジャンルでも心当たりがあってニコニコになる
    白ロリィタのショータのオタク絶対地雷系だろうなって思うのにめちゃくちゃ優しいの良い現場なんやろな…

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 20:38:51

    声出して笑った

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:04:08

    公式チャンネルがくろばこハウスなの可愛すぎ
    みんなのぐだぐだした日常とか時々やる生配信の配信切り忘れで拓哉のガチ恋がファンにバレたりして欲しい

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:36:56

    完全なifの話なんだけど拓哉がショータに手を出しちゃってその後なんだかんだ恋人としてうまく行く話とか見てえな…になってたりする
    すごい本音を言うと中身先生なのに見た目が少年なショータが未成年の体を好き放題開発されるところがみてえ

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:38:19

    頷きたい気持ちになったが最新の展開がめちゃめちゃ思考にノイズかけてくる

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:38:07

    ショータ1発のやらかしがドデカいのと割と紙一重で古参達に受け入れてもらえてるっぽいの笑っちゃった
    バラエティで意図せず大暴れしてる回見てみたいぜ

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 07:16:28

    みつきのオタクが新規に優しいのもちょっと落ち着いた雰囲気なのもめっちゃ分かる
    他のメンバーのファンの雰囲気とかも気になるな
    なんか拓哉、蓮はギャルとかキャピキャピした子に好かれそう

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:01:45

    蓮がギャルに好かれてるの想像つく
    彰は「まあ私だけがあの子の良さをわかってあげてるんだけどね」みたいなファンついてそう

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 08:02:45

    このグループに走るアクスタとかトンチキグッズ出して欲しい
    メンバープロデュースグッズでショータが監修した防災バッグとかも出してくれ

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:23:13

    みつきオタク年齢層高めでショータと推しの絡みを温かい目で見てくれてそうなの良いな
    ショータがバラエティ慣れしてないせいで大暴れしてんのはほんまに草

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 12:49:52

    逆に引っかかったドッキリとかあるのかな?
    個人的には食べ物系かなぁって思ってるんだけど

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 18:33:58

    ドッキリでよくある入りが人助け系でくるやつは引っかかりやすそう

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 19:53:08

    小ネタ更新されてる〜!
    物間が通常運転で笑っちゃった
    そりゃA組がみんなで推してたらこいつが来ないわけがないよな

    URLの方は規制かからないから外からいじること出来るのか

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:04:18

    メンバーに男子小学生2名いるの笑ったしショータは違う、そうじゃないだしTAKUYAはショータと抱き合わせのグッズ出してくるの本当安定してるな

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:12:01

    光木が無難な商品作って一人浮いてるの草
    たぶんこれ光木以外のメンバーのグッズが発表された時トレンド入りしただろうな
    光ってペンラにできるアクスタは普通に欲しい

  • 28二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:22:56

    相澤先生とSHOTAを重ねてないのに100万のスニーカーをあげる心操くん……

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:28:02

    先生と重ねてないのにそんだけ貢ぐのは逆に不健全では

    拓哉がメンバープロデュースグッズなのにメンバーと抱き合わせにしてんのマジ通常運転すぎる

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:36:12

    みんなが好き勝手しすぎて光木ちょっと怒ってるの新鮮でいいな
    こう言うこともいたんだ

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:45:45

    グッズ発表動画を公式チャンネルで上げてたらカオスすぎて神回になってそう

  • 32125/02/14(金) 21:35:15
  • 33二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:57:34

    彰ノルウェージャンフォレストキャット2匹も飼ってんの!?
    先生が入り浸ってしまう

  • 34二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 22:14:54

    起きたらマグロ漁船は本当に意味わからなくて笑う
    アイドルに仕掛けるドッキリにしては体張りすぎてる
    光木が恋愛してる側なの意外だけど絶対バレないだろうなって信頼はある

  • 35125/02/14(金) 23:02:18

    マグロ漁船は一通りキレたあと
    スタッフ「帰りますか?」
    SHOTA「帰れるんですか?」
    スタッフ「今日の夕方帰れます」(現在朝5時)
    SHOTA「それ帰れるって言わねえんだよ」

    って罵倒した後しっかり労働して船長と握手してから帰る
    テレビのギャラとマグロ漁船分のギャラ両方もらう

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 01:52:56

    しっかりと働かされるの面白すぎる
    しかもちゃんと働いたから船長と信頼関係築けてるのも面白い

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:13:17

    番組から弄られまくるショータ可愛い
    よくよく考えたら高校生をマグロ漁船に乗せる番組エゲツないな

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:28:44

    チョロQにつけてアクスタ競争させる動画とか撮って欲しい
    ショータが一番小さいから空気抵抗少なくて一番早くゴールして「俺が一番格好いいと言うことで(足が早いのはかっけーから」とか言い出して欲しいな

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 10:34:16

    グッズ集めてるなら拓哉の家にショータ考案プロヒ監修防災バッグがあるかもしれないということか
    ていうか家来た時グッズ類隠すの大変だっただろうな

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 11:42:33

    スレ主がそこまで考えてるかわかんないんだけどショータが泣いちゃうのって先生と違ってドライアイじゃないからでは…?

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:35:44

    全員成人済みの中に放り込まれてる16歳あまりにも赤ちゃんすぎて可愛いな
    だんだんみんなに馴染んできて年下って感覚が薄れてきた頃に「あれショータ今日はやくね?」「今日期末試験だから」とかぶっ込まれて「コイツそういえば高校生だな…ってなっててほしい

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 17:47:20

    ダンス練習でたまに体操ズボンにTシャツ着てる回があって欲しい

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:22:21

    ショータのご両親それなりに厳しそうなタイプなのに息子が他所の男性の家にほぼ転がり込んでるみたいな生活してるのよく許してるなと思ってたけど、あれか、実兄の親友の家ならそりゃ許すよな
    今やっと理解できたわ

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:27:16

    あーそっか
    マイクは白雲の墓参りに行った描写もあるしそこらへん信頼関係ありそうだよな
    ショータだけなんも知らなかったのより一層キツいな…

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 07:52:48

    謎に規制されて感想も保守もてきない…!
    最後の話楽しみにしてるけど小ネタも楽しい

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 08:27:39

    楽しい小ネタが追加されるたびに最新話を思い出してしまうから早く月曜になってほしいと思うと同時にまだ終わらないで欲しいとも思ってしまう

  • 47二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 11:52:55

    幸せになって欲しいけど見た目を黒髪黒目にしたり芸名をショータにしたりまだ前世の自分に縋り付いてる部分の報いが来るじゃないかって怖くなる時がある

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:37:39

    >>42

    これ想像したら可愛すぎて悶える

    「なんか体操服みたいですね」「これ高校指定の体操着」って言われてダメージ受けるミツキいそう

  • 49二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 18:40:55

    1人高校生のショータ本当に赤ちゃん過ぎて可愛い
    まだまだ成長期で背が伸びてく様子をメンバーとファンに見守られててくれ

  • 50二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 19:04:48

    更新された公式動画のタイトルが「去年から5センチ身長伸びました」だったらめちゃくちゃ気持ち悪い笑い方してしまう

  • 51二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 19:13:14

    ショータ抜いたら1番背の低いTAKUYAが健やかに育って微笑ましい気持ちと自分の身長越されるかヒヤヒヤしてる気持ちで板挟みになってたら面白い

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 19:46:57

    白雲が高校2年で187cmとかなりガタイ良かったからショータもさらに大きくなってもおかしくない

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 19:47:55

    明日だね…更新…
    めっちゃドキドキする

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 21:34:14

    みんなを抜いて一番背がデカくなるショータ概念めちゃくちゃ可愛いな
    そんな成長目の前にしたらライブで泣く自信あるわ

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 22:14:50

    ショータBL映画に出されそうになった時は抵抗したけど健全なBL系の映画なら「まあ仕事だしな」と思って普通に受けそうなんだよな
    そこでイケメン俳優とかとのキスシーン捩じ込まれて両親とマイクに呼び出しくらって欲しい

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 23:53:54

    メンバーにもしっかり注意されるだろうな
    特に光木と彰
    拓哉は脳破壊されるけど普通におかずにできちゃって泣くし蓮は流石にお前断れよって引いてそう

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 06:08:57

    末っ子仕草をすると言うこと聞いてくれるみんなに味を占めるショータ見たい
    「お兄ちゃんお願いって言うと大体なんでもやってくれるんですよ」とかテレビで言って界隈をざわつかせて欲しい

  • 58二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 07:30:33

    ドッキリの隠し撮りとかでメンバーだけの時に末っ子やってる映像が全国に流されちゃったら面白い
    お菓子やご飯盛分けられた時に俺の小さい……とかそっちの美味そうだなとか我儘言ってるとこ流されて頭抱える

  • 59二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 10:54:12

    末っ子ショータで逃避行してたけど続き見れるの怖い嬉しいでぐちゃぐちゃだ

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 12:45:01

    また前世に縋り付いてる報いが来るんじゃないかっていうレスあってヒェッてなった…やめて怖いこと言わないで…

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 13:09:12

    3本立てになりそうって言ってたから今日来るのは前編かな
    話が進むの楽しみだけど怖え

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 13:32:51

    こんな長い文章書いてなんで整合性取れてるんだろうな
    ほんまスレ主すごいわ
    ラストも期待してる

  • 63125/02/17(月) 19:56:22

    ただいま~
    今日は22時くらいに持ってくるよ~!

  • 64二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 20:51:53

    やったー!
    ゆっくり待機する!

  • 65125/02/17(月) 22:01:21

    出していくぜ!


     晴れた青空が良く見える屋上で相澤はフェンスに凭れ掛かって座っていた。ミニパックの牛乳はずろろと音を立ててもう中身がないことを教えている。細いストローから口を離し、ゴミ袋代わりにしているレジ袋にそれを折りたたんで放り込んだ。

    「もうすぐ卒業だなあ」
    「そうだな」

     隣から声が聞こえる。
     青い空に良く映える雲のような髪をした友人が、柄にもなく黄昏るようにそう言った。
     相澤は返事をしつつ、レジ袋の口を締める。

    「みんなで事務所作るとしてもやっぱ最初はいろんなヒーローのところで修行積んでからの方が良いかあ?」
    「白雲がそう言うの珍しいな」
    「そりゃ中途半端な実力で新人三人の事務所作れるほど世の中甘くないってわかってるからな」

     そう言って隣に居た白雲は額にできた大きな傷跡を見せて来た。約一年前、インターンで負った傷を彼は名誉の負傷だと言っているが、同時にヒーローとして気を引き締めるきっかけになったとことあるごとに見せてくる。
     少し格好つけた白雲の語りに相澤は口の端だけを釣り上げる笑いを見せる。

    「ショータはどうする?」

  • 66125/02/17(月) 22:01:41

    >>65



    「そうだな、俺はキラキラしてみんな笑っちゃうような人になりたいかな」



    .

  • 67125/02/17(月) 22:02:09

    >>66

     あれ。

    「は……?」


     自分の口を抑える。

     思ったこともない自分の心に、相澤は愕然とした。


    「え、ぁ……なんだ……」


     そして、自分の口を抑えていた手が捕縛布を扱って硬くなったヒーローのそれではなくなっていることにも気づく。触れる顔の感触は雄英高校の卒業を目前に控えたケアのされていない男のそれではなく、しっかりと保湿をして整えられた物になっている。

     顔の端に映る髪の色が、白く輝いていた。まるで、白雲と同じような。


    「そっか!」


     相澤消太ではない自分に、白雲はにかっと眩しい笑顔を見せるばかりだ。顔をあげて彼を見ると、さっきよりも随分遠いところに居る。

     気が付けばそこは、屋上ですらない。


    「白雲!」

    「ショータ、頑張れよ!」

    「待ってくれ、待て、白雲! 待て!」


     どんどん、彼が遠ざかっていく。

     腕を伸ばして、走って追い付こうとしても全然前に進むことができない。

     こっちを見る白雲は眉根を寄せて、何かを堪えるような顔をした。白雲のそんな顔を見るのは初めてだった。


    「ショータ、俺はいつだって──」


     言葉はそこで途切れて聞こえなくなる。

     相澤は……【彼】は暗闇の中に放り出された。

  • 68125/02/17(月) 22:02:45

    >>67


     ‡


     揺れる車内で目を覚ました【彼】は眠気眼を擦ってリクライニングを元に戻す。フルフラットになっているおかげで長旅も快適に過ごすことが出来た。

     窓の外に視線を投げると昔よく見た景色が八十キロ程度の速度で流れている。やけに近くに見える富士山だけが動いていないようだった。


    「起きたかい? まだ到着まで時間があるから寝てて構わないぜ」

    「いえ……大丈夫です、よく寝ました」


     隣から聞こえてきた声は今度こそ実体を伴う物だった。寝起きでうまく力を入れられないが、きちんと会釈をすると運転をしていた男性は痩せた顔で元気よく笑う。


    「そうか、それなら良かった!」


     男性──オールマイトはいつも着ているストライプ柄のスーツではなく、パーカーにジーンズと言ったラフな格好で運転をしていた。

     【彼】は何も気にした様子のないオールマイトを見てから、サイドミラーに映った自分を確認して口を引き結ぶ。


    「……その、すみません。いきなりこんなこと」

    「構わないさ。呼んでくれて寧ろ助かったくらいだ」


     携帯を握りしめようとして、置いてきたことを思い出す。緊急時用のGPSが仕込まれているそれはいつもならば有難く身に付けているが、今は傍に置いておきたくなかった。

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:04:16

    最初から飛ばすねスレ主…
    好きだわ

  • 70125/02/17(月) 22:06:17

    >>68

    「いえ……あんな急に……それにメンバー達にもしかしたら、オールマイトのことを誤解されてしまったかもしれませんし」


     今から三時間ほど前、【彼】は耐えきれなくなってオールマイトに助けを求めた。するとかつてのナンバーワンヒーローは颯爽と駆けつけ、何も言わずに【彼】を車に乗せて発進した。

     その時、車を見つけて駆け寄ってきたメンバーを振り切る形になってしまったことが、【彼】を苦しめていた。

     オールマイトは豪快に笑った。


    「気にすることはないさ。君が寝ている間にマネージャー殿には連絡をつけさせてもらった。彼女経由で色々と話は行っているだろう」

    「そうなんですか。……マネさんにはなんと?」

    「大舞台を前にナーバスになっているから、本番まで心を落ち着けられるように私が保護をすると伝えてある。ご両親やマイクにも許可をとってあるから大丈夫だ」


     マイク。

     出てきた名前に心臓がうるさくなった。顔色が変わったことに気付いたのだろう、オールマイトが前方から視線を外さずに問いかけた。


    「マイクとは……喧嘩でもしたのかい?」

    「いえ……喧嘩って言うか……俺が、ガキみたいな駄々をこねちまって」

  • 71125/02/17(月) 22:07:07

    >>70

     自分で口にすると一層惨めな気持ちになる。

     冷静に考えれば、黙っていたマイクに他意があったわけがない。【彼】だって同じ状況ならばそうするだろう。だが、【彼】はそれを受け入れることはできなかった。頭ではそれしかないのだとわかっているのに、心が認識をするのを拒絶していた。

     オールマイトは「そうか」と深く突っ込まずにそこで終えた。きっと聞きたいことは山ほどあるだろうに、こうして無関心を装ってくれるのは有り難い。

     【彼】は話題を変えようと車の進行先を訪ねる。


    「ええと……どこに、向かっているんですか?」

    「私の別荘だよ。以前とある理由で購入したんだけど、すぐ使わなくなってしまってね。大戦の時一度更地になったんだが復興時に復元されて……それでそのまま残っているんだ」


     告げてから慌てて彼は「資産管理とか出来ないからずっと放置しちゃってるんだよね、安心してくれ、税金はちゃんと払ってる……はず」と若干不安の残る口調で照れ臭そうに笑う。オールマイトの事務仕事の出来なさを知っている【彼】からすれば、特に意外なことではなかった。

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:07:11

    口調が…!

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:08:03

    このレスは削除されています

  • 74125/02/17(月) 22:08:29

    >>71

     暫く進んでいくと、昔見慣れた繁華街を抜けて閑静な住宅街に入る。そこからさらに進み、人の手入れがされた人工的な森の中へと導かれた。

     森を抜けると、木々に覆われた神秘的な一軒家が【彼】を出迎える。まるでおとぎ話に出てくるような外観の家はオールマイトにはあまり似合わないが、入り口やドアの大きさがオールマイトサイズだった。

     すでに誰かいるのか、あまり雰囲気には似つかわしくない安っぽい軽自動車が停められている。

     その横に車を停めて降ろされ、【彼】はおっかなびっくり建物に近づいていく。建造物というよりかはアトラクションのような感覚に、現実と非現実の区別がつかなくなりそうだった。


    「こっちだよ」


     玄関の前に立ったオールマイトが手招きをして呼んでいる。古臭い建物に似つかわしくないカード型のロックキーを取り出すと、アンティーク調の鍵穴に見せかけたそこにスライドさせて扉を開けた。

     室内は外観に似た雰囲気が漂っているが年代を感じさせる埃っぽさはない。木の軋む音一つしない床に驚いていた。


    「ここにセーフハウスを建てたいって言った時、依頼を受けたデザイナーがやけに張り切ってしまってね。いやはや私には似合わないデザインになってしまったのさ。こんなファンタジーみたいな姿だけど、実際設備は最新だし不便をさせることはないと思う」

    「は、はあ……」

    「君の部屋は二階だ。階段を上がって右手側の扉になる、荷物を置いてくると良い」

    「わかりました」

  • 75125/02/17(月) 22:09:08

    >>74

     言われて階段を上り、言われた通りの部屋を開ける。木の香りがする室内は経年を感じさせる木材が使われているが、先ほどの話を踏まえるとウェザリングが施されているのだろう。

     着の身着のままで飛び出してきたから荷物と言っても途中事務所に寄って持ってこれた鞄一つしかない。それをベッドに置いて錆一つない窓を開ける。


    「はあ……」


     夏の蒸し暑い空気が頬を撫でる。湿気を多分に含んでいるそれは少々気持ち悪さを感じさせたが、長い間冷房に当たり続けた体にはちょうど良かった。

     荷物も置いたし、これからのことをオールマイトと話さなければならない。心を落ち着ける為深呼吸をしてから後ろを向くと【彼】は思わずぎょっとする。


    「おわっ……」

    「わっ、わっ、ごめん! 黙ってみてるつもりはなかったんだけど!」


     そこにはオールマイトではない別の人が居た。

     四十をギリギリ超えて良そうな壮年といった具合の男性は、【彼】を見るなり驚いて後ずさる。四つん這いのその姿に、【彼】は見覚えがあった。


    「ぁ……」

    「い、いやあ! 本当にSHOTAだ! 俺芸能人ってあんまり見たことないからキンチョーしちゃって! ごめんね、俺こう見えてちゃんとプロヒーローやってて」


    「ザ・クロウラー……?」


    「いや苦労マンじゃなくってクロウラ……ってええ!? 久しぶりにちゃんとヒーロー名で呼ばれた!?」

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:11:16

    マジで⁉

  • 77125/02/17(月) 22:11:51

    >>75

     騒がしい男は【彼】を見て驚いていた。

     いや、【彼】も十分に驚いていた。この男と【彼】はかかわりはないが、イレイザーヘッド時代にはある。イレイザー時代最後に会ってから二十年近く経ち、すっかり年を取った男だが、その面影も、“個性”もそのまましっかりと残っている。


    「え、芸能人に知られてるなんて嬉しい~! お、俺のことどこで知ったの!?」

    「あ、えっと……昔の鳴羽田での事件を、見て」

    「ああ~、それか~。俺がヒーローごっこしてた時のやつね! いやでもさ、俺今全然あの頃よりもしっかりしてて滅茶苦茶頼りになるからさ! どーんと頼ってくれると嬉しいって言うか」


     クロウラーはヒーローごっこをしていた時、と言ったが彼の名前を出してそれ以外を想像できる人は少ないだろう。ザ・クロウラーと言えばそういう男だ。

     本名、灰廻航一。

     大学生時代鳴羽田にて危険な自警団……ヴィジランテ活動を行っていた。活動のさなか現れた巨大敵との戦闘にて非合法な“個性”使用を何度も行い、鳴羽田に甚大な被害をもたらす。

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:11:58

    クロウラー!?

  • 79二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:12:16

    コーイチ!?

  • 80125/02/17(月) 22:12:55

    >>77

     その敵騒動に起因した訴訟や賠償請求から逃れるためアメリカにて正式なヒーロー認可を受け活動を行い、市民から『ヒーロー』として受け入れられることで多くの裁判で賠償額を最小限に抑えることに成功した、ヒーローの鑑のような敵のような、何とも評価が難しい人物だ。

     実際ニュースのコメンテーターも、彼の評価には厳しい顔をするし、功績をあげてもヒーローチャートはあまり上がらない。

     世間での彼の評価は、そういうものだった。

     だが、イレイザーヘッドの記憶を持つ【彼】にとっては手のかかる正義感を持った、お人好しで天然で大バカ者の男だ。

     【彼】は若干の嫌な予感を覚えた。


    「今日はどうしてここに?」

    「ああそうそう! オールマイトから君の護衛を頼みたいって連絡が来てさ! 急いで駆けつけたってわけ!」

    「護衛……?」


     胃が少し痛む。

     護衛。

     ザ・クロウラーが、護衛。渋面を作りそうになるのを必死に堪えた。肝心の灰廻が芸能人と出会えたことに浮かれてニコニコとしているせいだ。この男は人の感情に死ぬほど鈍いが蔑ろにするのは【彼】も本意ではない。

  • 81125/02/17(月) 22:16:07

    >>80

    「あれ、二人とももう挨拶は済んだのかい?」

    「八木さ……オールマイト! お久しぶりです! 今日は呼んでくれてありがとうございます!」

    「いや私の方こそ急な招集に来てくれてありがとう」


     一向に降りてこない【彼】にオールマイトが階段を使って上がってきた。灰廻の存在を認めると、オールマイトは朗らかに笑って握手に応じる。

     そういえばイレイザーヘッドも灰廻も、この姿のオールマイトとは「八木」として接したことがあった。そういう気安さも含めているのだろうか。


    「すまないね、私も長くはここに居られないんだ。今日も東京にとんぼ返りしないといけなくて。守ることなら一番頼りになるヒーローと思って、彼を呼んだんだよ」

    「そう、ですか」


     それは過大評価ではないだろうか。

     【彼】は言葉をどうにか飲み込んだ。どれだけ思っていても口に出すべきではないことはある。

     オールマイトは仕事の顔つきでザ・クロウラーを見た。


    「一番対策しないといけないのはパパラッチだけど、このあたりは雄英高校が近くて大戦以降マスコミ対策が強化されててあまり他所の人は近寄らないんだ。だから実際やることはあんまりないと思うけど……」

    「了解です! 明後日のお昼まででしたっけ。夜からステージがあるんですよね」

    「ああ。その時間になったら新幹線に乗らないといけないから、彼を駅まで連れて行ってくれ」

  • 82二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:17:57

    コーイチの口調って難しいと思うのに凄いなスレ主

  • 83125/02/17(月) 22:19:11

    >>81

     他に幾つかの注意事項を説明して、オールマイトは【彼】の肩を叩く。その力が存外強くて、驚いて顔をあげるとオールマイトは【彼】に目線を合わせて膝を折った。


    「確認をするが、ステージには出るんだね?」

    「出ます」


     【彼】は力強く頷いた。後ろで灰廻が「出る以外にあるんですか……?」と聞いているが無視をする。オールマイトは【彼】の手を握った。


    「SHOTA少年、もし何かあって間に合わなくなったら私を呼んでくれ」

    「え、いや……」

    「何があっても必ず君を会場まで連れていく」


     力強い言葉を目をそらさずに告げ、オールマイトはSHOTAの肩を叩いた。そして「それじゃあ、行ってくるよ」と背を向け乗ってきた車に乗り込んで出ていった。

     怒涛の嵐が過ぎ去ったような感覚に陥った二人は顔を見合わせる。

     ぐう、と【彼】の腹が鳴った。既に時刻は十二時を回っており、朝から飯を何も食べていない【彼】は腹を抑える。


    「……とりあえず、ご飯食べる?」

    「はい……」


     年下の子供にするように笑顔を向けられて、【彼】は抵抗せずに頷いた。リビングまで降りてくると「じゃあ座ってて」と言われ、灰廻はキッチンへと駆けていく。

     高級な革張りのソファに腰かけて、【彼】は天井を見上げた。アンティーク調の吊り下げ式の照明が暖かい光で【彼】を照らしている。

     とりあえず、今日を含めて三日間の猶予が出来た。それまでに心の整理をつける必要がある。

  • 84125/02/17(月) 22:19:59

    >>83

     ……とはいえ、幸先は悪い。

     自分が何者なのか、という答えのない問いは勿論のこと、光木の過去に実害を齎していたという事実がある。あの感じでは光木はきっと許してくれるだろうが、【彼】は自分を許せそうになかった。

     ぼんやりと考えていると思考が悪い方へと流れていきそうになる。

     地に足がつかない気持ちの悪い浮遊感が身を苛む。目を瞑り思考を中断しようとすると、その横からカレーの匂いが流れて来た。


    「……?」

    「あ、ごめん寝てた!? ちょうどカレーの材料あったから作ったんだけど食べれそう?」

    「は……い」

    「良かった~! じゃあこっち座って座って!」


     甘いカレーの匂いに惹かれて相澤はテーブルに着く。どんなゲストにも対応できるように座ると大きさが可変する椅子に腰かけると、目の前にカレーが置かれた。

     子供が食べる、黄色味が強いカレーだ。


    「甘口だけど大丈夫?」

    「だい、じょうぶです。何でも食べます」

    「そっか良かった! ウチの子供は絶対甘口じゃないとカレー食べたくない! って言うんだよね」

    「お子さん、いるんですか?」


     思わず、声が上ずる。

     だが灰廻にとっては大したことではないのか「うんそうだよ」と突っかかりなく肯定した。すぐに携帯を取り出して画像フォルダをつける。

  • 85125/02/17(月) 22:21:14

    >>84

     そこには、鳴羽田でよく見たピンク色の髪の女性が子供を抱きかかえてこちらにピースをしていた。


    「こっち嫁さん、こっちが子供。今年でえーと……八歳!」

    「……ポップ☆ステップ?」

    「えっ、ポップのことも知ってんの!? さては君結構俺のファンだな?」

    「違います」


     【彼】の中のイレイザーヘッドが安堵の息を漏らす。ポップ☆ステップ、本名羽根山和歩……ザ・クロウラーと共にヴィジランテ活動をしていた少女だが、ある敵に標的にされ一時は意識不明の重体となっていた。一命をとりとめたとは聞いていたが、まさか二人が結婚していたとは。

     敵にやられた左目の痛々しい傷跡が彼女の半生を物語っているが、写真の中で子供と一緒に映る彼女は幸せそうだった。

     その姿を、灰廻は非常に訝し気に見つめていた。


    「……まさか、ポップのファン?」

    「なんでそうなるんですか」

    「いやポップ一時期アイドル活動みたいなことやってたから。映像は軒並み消されちゃったけど、もしかしてどっかで見つけてそれで……」

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:22:20

    【彼】っていう表現辛いな…
    SYOTAか相澤か白雲か存在が揺らいでるからだと思うけど…

  • 87125/02/17(月) 22:22:21

    >>85

    「なんでそうなるんです……貴方の活動見てたら自然と目に入っただけですよ」

    「ええ~本当~? だってポップの昔の格好ってやっぱり男だったら誰だって夢中になるもんじゃない?」

    「なるほど、それが馴れ初めですか」

    「ああ~! 待って待って今の嫁さんには内緒ね!」


     確かに当時のポップ☆ステップの衣装は少々過激なところがあったが、イレイザーヘッドの一つ上の先輩を想えば大したことはない、常識の範囲内だ。

     灰廻は腕を組んで少し得意げな顔をする。


    「まあアイドルのポップが好きなら今の彼女にはあんまり興味ないと思うけどね」

    「そうなんですか」

    「そう! 何故なら今ポップは芸能プロデューサーになってるからね! 『カナリアプロダクション』といえば今は飛ぶ鳥を落とす勢いの芸能事務所で」


     【彼】は灰廻の話を聞きつつ、聞いたことのない芸能事務所の名前に胡乱な目をした。一人くらいは知っている人が居るかとホームページを検索してみる。

     きちんと外注して作られた形跡のあるHPの「所属タレント」の欄をタップして、【彼】は思わずカレーのスプーンを取り落した。


    「ぇ……」

    「え、どうした? あ、ウチの事務所見てくれてるんだね、有難う! 誰か気になる子いる? 共演したくなりそうな子とか~」

  • 88125/02/17(月) 22:23:33

    >>87

     下心が見える灰廻の言葉も届かない。

     頭の奥がガンガンとなってうるさかった。【彼】はとあるタレントが表示されたページを見て固まっている。そこを灰廻が覗き込んで「おっ」と希望に満ちた声を出した。


    「ガールズバンド『BRAVE』! いやあ、お目が高い! 流石は一流アイドル! 女の子との共演……は難しいか、じゃあ生演奏レコーディングなんてどうです? 臨場感があって素敵ですよ~! ボーカルの子なんてベース弾きながらボーカルも出来る器用な子で~」


     シンプルな『BRAVE』というロゴと一緒に写真に写っている女性は、真っ白な髪をセンターに分けてこちらを見つめていた。額の右側には角が生えており、真っ赤なヒイラギの目が可愛らしい姿を残しつつ聡明な印象を与えている。

     灰廻の声が遠くに聞こえた。瞳に涙が溜まりそうになる。無言で涙目になる【彼】を見て、調子のいいことを言っていた灰廻の口が止まった。


    「わ、わ、大丈夫? ごめんそうだよね仕事で嫌なことあったからここに来たのに無神経だった!」

    「いえ……」


     【彼】は感情を抑え込んで首を振る。

     携帯を伏せて、皿の上に転がったスプーンを取り直しカレーを口に含んだ。甘口のカレーが涙のしょっぱさを緩和して、心に平穏を運んでくれる。

     腹が満たされる感覚に目を閉じて、懸命に咀嚼した。

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:24:32

    エリちゃんッ??!!!

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:24:35

    色々繋がってる…!

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:24:43

    ここでエリちゃん…!!???

  • 92125/02/17(月) 22:25:40

    >>88


     ‡


     時はさかのぼり四時間ほど前。

     ライムは真っ青な顔をしてBLACK CASE事務所の一室に居た。外が俄に騒がしくなり、みんなが帰ってきたことを知って顔をあげる。

     扉が開いて光木を先頭に全員が現れるが、そこにショータの姿はなかった。


    「……彼は」

    「……オールマイトの車で出かけました。どこにいるかは、マネさんが今追ってます」


     光木は努めて冷静に話した。

     彼は感情を隠すのが上手い。付き合いの長いライムですら、今怒っているかどうかわからなかった。ただ、自分の出来ることが思いつかず立ち上がって頭を下げる。


    「取りかえしのつかないことになってしまった、本当に申し訳ない」

    「いや謝られてもよ……」

    「蓮」


     ライムを非難する蓮に、光木が柔らかく注意をする。

     ライムには刺すような視線が注がれていたが、光木だけは首を緩く横に振った。


    「まず、ライムさん」

    「ああ……」

    「僕の為に怒ってくださって、有難うございます」

    「は……?」


     言われるとは思っていなかった言葉に、ライムは驚いて顔をあげる。他のメンバーも信じられないような顔をするが、あまりにも驚いて声が出ていなかった。

     光木はしっかりと背筋を正した。

  • 93125/02/17(月) 22:26:15

    >>92

    「事件の原因となったショータを、何も知らせず僕と同じグループに入れておくことは、遠からず何らかのトラブルを招く可能性になっていたに違いありません。実際、貴方が怒って下さらなければ僕がマネさんに詰め寄っていたと思います。僕本人が怒りを露にする場面をショータが目撃すれば、BLACK CASEは本当に解散を免れなかったかもしれません」

    「い、いや……俺は……」

    「そのうえで、あの怒り方には賛同できません」


     光木はゆっくりと説明をする。

     その時漸く、この室内にいる人々は彼が怒っているのだと理解した。


    「怒りには正当性がありました。けれど、それは近くに意識を失うほどストレスをかけられた少年が居る場で行わなければいけないことだったでしょうか。あとで僕と一緒にマネさんに話をしに行くだけでも良かったのではないですか?」

    「そ、れは」

    「ライムさん、貴方は僕の為という隠れ蓑を使って自分の怒りの正当性を示したかっただけではないですか。勿論、本当に僕のことも考えてくださってはいたでしょうが、少なくとも僕にはそう思えました」


     光木の手がぎゅうと握られる。

     柔和な瞳が普段と一切色を変えていないのに、口調だけが厳しくなっていく。この部屋に入るまで怒りに支配されていた拓哉の背を冷たい汗が伝った。


    「貴方は僕の仲間を傷つけました。十七歳という若さで必死にグループに尽くしてくれる、かけがえのない仲間を自分の怒りに任せて攻撃しました。僕はBLACK CASEのリーダーとして貴方を許すことはできません」

  • 94125/02/17(月) 22:27:06

    >>93

     強い言葉に部屋の空気がピリついていく。ライムは顔を俯かせていた。唾を飲み込む音ですら聞こえてきそうだった。

     光木の頭がゆっくりと下がっていく。ライムからは彼のつむじが奇麗に見えた。


    「今回限りで、縁を切らせていただきたい」


     ライムはゆっくりと目を閉じる。

     メンバーたちが息をするのすら忘れる緊張感の中「ああ」と重苦しく返事をするので精いっぱいだった。



    「それはちょっと待ってもらおうか」



     室内に、突風のような声が舞い込む。

     顔を跳ね上げて声がしたほうを見れば、黒髪をポニーテールにまとめたマネージャーが息を切らして部屋に入ってきた。

     彼女の姿を見ると、光木はすうっと目線を細める。


    「なんですか」

    「なんですか、じゃあない。お前にとっては許せない相手だろうが、今後仕事のやり取りが出来なくなるのは困る」

    「それは事務所の都合でしょう」


     ここまで感情的になる光木は珍しい。

     もとはと言えばマネージャーが二人に事情を話さずにいたことが原因ではないか。ライムは無表情を崩さない彼女を見る。この暑い中走ってきた彼女は化粧が崩れるのも厭わず汗を拭いた。

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:28:20

    相澤消太時代の人々がちゃんと前に進んでるのを良すぎるな…

  • 96125/02/17(月) 22:28:56

    >>94

     そして全員から送られる批難の視線をものともせず「まず」と切り出した。


    「信じてもらえないだろうが、私が今回のことを知ったのはライム氏が演出をすることが決まってからだった」

    「えっ」


     全員が顔を見合わせる。

     付き合いは短いが、このマネージャーはアイドルたちに対して真摯であることは間違いなかった。ここでウソをつくとは思えない。


    「大事な舞台の直前に話して、君たちを動揺させたくはなかった。だから黙っていた。……こんなことになってしまって申し訳ないとは思っている」


     そのうえで「だが」と続けた。


    「だからこそ、ライム氏と我々の関係については、まだ話し合いをしなければいけないと思っている」

    「どういうことですか」

    「まだ我々はショータの気持ちを聞いていない」


     ぶわりと、拓哉の周りに熱が集まり始めた。

     今にも炎を吐きそうな異形“個性”の彼が、マネージャーを睨みつける。


    「ショータに聞いたら気にしてないって言うに決まってるじゃないですか!」

    「では関係を勝手にこちらで断ったことを事後報告して彼が「良かった、俺の為に怒ってくれたんだな」って言うと思うのか?」

    「それは……!」

  • 97125/02/17(月) 22:32:21

    >>96

     メンバーが言葉に詰まる。

     ライムも彼のことを思い出していた。確かに、自分の言葉でショータは酷く傷ついただろう。だがそれを理由にしてメンバーが勝手に人間関係を変えてしまったら、彼はそれを許せるだろうか。

     ライムは光木以外の人間のことは分からない。だが、ショータという人間は自分の判断を大切にする人間だ、それは間違いなかった。

     マネージャーは至極冷静に光木に語り掛ける。


    「光木、お前のやっていることは一見仲間想いの行動だが、本質は人に聞こえるように怒鳴っていたライム氏と変わらない」

    「っ……!」

    「お前が許せない気持ちはわかる、そしてそれは自由だ。お前の怒りもお前だけの物で、決して誰かに侵害されていいものではない。だが、グループ全体に関わることを全員が揃っていない場所で勝手に決めるな」

    「……でもっ」

    「光木、落ち着けって」

    「そうだよ、マネさんの言ってることもたぶん正しい気がするし」


     口を挟んできたのは彰と蓮だった。ずっと黙っていた彼らが声を出したことに、ライムは驚く。拓哉が更に言葉を足した。

     先ほど怒りを露にしたばかりの拓哉が、悔しさに歯ぎしりをしながらも「一回落ち着こう」と光木の肩を抱いた。


    「俺も、この人のことは絶対に許せない」


     憎悪ににじんだ声だ。だが、その怒りを攻撃にしてぶつけることなく、拓哉は光木を諭す。


    「これは全員で話し合うことだよ。頭に血の登った俺たちが勝手に決めて良いことじゃない、傷ついたのはショータなんだから。アイツを抜きに話すのはダメだよ」

    「拓哉まで……っ」

  • 98125/02/17(月) 22:33:17

    >>97

     全員から諭されると、彼は酷く傷ついた顔をした。

     光木は顔を歪ませて立ち上がり、外へと出て行った。他のメンバーが追いかけようとするが「今は一人にしてやれ」と動きを止める。

     だが一人、蓮は彼を追って出て行った。そのあとを、誰も追うことはなかったが。

     彼女は今度ライムに向き直った。


    「……当てつけのような会話をしてしまい、申し訳ない」

    「い、いえ」

    「私としても、弊社のタレントをあそこまで傷つける原因となった貴方を許すことはできない。……だが、貴方に悪意がなかったことも、今回の件が誰かを悪者にすれば終わるわけでもないこともわかっているつもりだ」


     彼女は頭を下げない。

     目を見つめて、淡々と話す。


    「今回の件についてはBLACK CASE全員で話し合い、そのうえで今後の付き合いを含めて検討していきたい。勿論、貴方の方からこんな事務所とやり取りなどできないと言われても仕方ないほどのことはしてしまっているので、貴方の意見も踏まえてのことになるが」

    「いや、それで良い」


     ライムとしてはもうこの事務所の敷居をまたぐなと言われてもおかしくないと思っていた。彼女の後ろで彰と拓哉が腑に落ちない顔をしているが、口に出すことはない。

  • 99125/02/17(月) 22:36:36

    >>98

     全員で話し合うというのは彼らにとって大事な事なのかもしれない。


    「……何か?」


     ぽかんとしていると、不審に思ったマネージャーが声をかけてくる。


    「ああいえ、光木よりも……メンバーの皆さんが随分と冷静だな、と思って」

    「いやまあ、あんだけブチギレてる人目の前にしたら逆に冷静になるよな」

    「俺は怒ってますけどね」


     彰と拓哉がじっとりとした視線を向けつつ苛立ちを隠さないで言葉にした。特に拓哉の言葉には棘が多く含まれている。


    「でも」


     彼は角をカリカリと掻いた。


    「アイツは俺がいなくてもちゃんと言葉にして嫌なことは嫌って言えるなと思い出したんですよね。前に嫌な映画の役が回ってきたとき、一人で断ったって言ってたし」

    「あと勝手に仕事受けて公開ラジオでメッセージ性の強い曲を歌ったりな。案外自己主張がはっきりしてるんですよショータって」

    「へえ……」


     それは知らないことだった。ダウナーで流されがちなところがあると思っていただけに、驚くことが多い。


    「だから、今回のこともちゃんとアイツの話を聞かないとダメだなって思うんですよ。光木が代わりに怒ってくれたのは嬉しかったけど、それは俺の気持ちでショータの気持ちじゃないし」

    「な。さっきのままだと光木feat俺らって感じでBLACK CASEの総意って言われるとまた違うし」


     彰は肩を竦めた。

     拓哉ほど怒りの表情はないが、彼にも思うところはあるはずだ。それを押し殺して平常心で接してくれていることに有難さを覚える。

     そして、光木を中心に回っていると思っていたBLACK CASEにとって、ショータという人物がとても大切な一人であることを痛感させられた。

  • 100125/02/17(月) 22:37:38

    >>99

    「……改めて、深く謝罪をする」


     ライムは席を立って深く頭を下げた。


    「君たちの大切な仲間を傷つけてしまって申し訳ない。話し合いの結果がどうなっても、受け入れよう」


     彼らは一度息をのんで、そのあとに小さく「はい」と答えた。後悔が強く腹の奥に渦巻いている。

     ライムが頭を下げ終わると、「そうだ!」と拓哉が声をだす。


    「怒涛過ぎて話す隙間なかったんだけど! ショータは結局今どこに居るの!? オールマイトに誘拐されたんだけど!」

    「誘拐じゃない、保護だ保護」

    「同じようなもんじゃん! ショータってオールマイトのお気に入りだし、変なことされてるんじゃ……!」

    「お前じゃないんだししないよ。オールマイトはそういう人じゃない。もうマイクにもご両親にも話は行ってる」


     かつてのナンバーワンヒーローを誘拐犯呼ばわりとは。世代ではないというのは恐ろしい物だった。


    「明後日のステージには「どんな手を使っても」戻すと言っていた。だから、問題はない」

    「そ、そう」

    「が」

    「が?」


     マネージャーは手に持っていたペンを握りしめた。それはぐしゃりと音を立てて歪んで壊れる。眼鏡越しの瞳は、怒りに燃えていた。

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:38:40

    一件落着かと思いきや…
    マネージャー!何があった!

  • 102125/02/17(月) 22:39:44

    >>100

    「マネさん……?」

    「彼のやったことは人助けだ、責められることじゃあない。だが、安心させたいからと言ってGPSを放棄して連れ去るだなんて我々のことを少し見くびっていると思わないか?」

    「ま、まあ俺らって暫定加害者なんで……」

    「だとしても、だ!」


     マネージャーは怒りのまま机を叩く。ここまで感情的な彼女も初めて見た。ライムの付き合いが短いせいかと思ったが、どうやら二人の怯え方を見るに違うらしい。


    「ショータが望んでいるいないに関わらず、明後日は必ず来る! その時ステージに立つ彼とメンバーの関係が万全の状態でないなどあってはならない……あってはならんのだ!」

    「そ、そうだね……?」

    「だからこそ、我々は話し合いを先延ばしにすることは許されない。今すぐにでも会いに行く必要がある」

    「そ、そうかも……?」


     とんでもないマネージャーの剣幕に、二人はたじろぐ。


    「で、でもほら、光木のこととかあるし、今会うのは良くないんじゃ……」

    「アイツの心の問題は正直根深い。はっきりいってたかだか数日で片付く問題ではないだろう」

    「ならなおさら」

    「だがあいつは明後日ステージに戻ってくると言った。もう辞めたいではなく、戻るまでの時間が欲しいと言ったんだ」

  • 103125/02/17(月) 22:40:39

    >>102

     マネージャーはその黒い瞳を悔しそうに歪める。

     こぶしを握り締め、下唇を血が出そうなほど噛み締めた。


    「アイツはアイドルを諦めていない。ならば、仲間であるお前たちが傍に居てやらないでどうする」

    「それのせいで悪化しちゃうかもしれないじゃん」

    「いいや、アイツは一人でいるほうが危うい」


     まるで確信しているようなマネージャーの言葉に二人は一歩引く。

     この感覚にはライムにも覚えがあった。時々彼女は不確定要素に思えることを確定事項のように話すきらいがある。実際この断定口調をする時はそれが当たっている場合ばかりで、気味が悪かった。

     だが今は、頼もしさがある。


    「マネさんは、俺たちならショータを連れ戻せるって思ってるってこと?」

    「そうだ」


     拓哉は据わった目で問いかける。そしてその問いに間髪入れず彼女の返答が届いた。彰と拓哉は目を見合わせて、ため息を吐く。


    「……わかった、光木たちのことは任せて。絶対に話し合いに行かせて見せる」

    「頼むぞ」

    「代わりにマネさんはちゃんと場所聞き出しとけよ、オールマイト相手に話せるかはわからんけど」

    「問題はないさ」


     彼女は意味深にほほ笑んだ。

     オールマイトと個人の連絡など、簡単にできるわけもないのにどうしてそんな笑っていられるのだろうか。

     だが、それを深く追求することはライムには出来なかった。

     ただ、全てが上手くいってほしいと祈るばかりだった。

  • 104125/02/17(月) 22:42:53
  • 105二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:43:36

    今回も凄かったな

  • 106二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:43:39

    ひええ…
    凄すぎるよスレ主…

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:44:28

    >>86

    確かに【彼】っていうのはどこか第三者感があるな…

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:45:48

    正直A組の誰かが先生の背中を押してくれるんだなと思ってたからここでコーイチとエリちゃん出てくんのは予想外すぎて胸熱

  • 109125/02/17(月) 22:47:09

    感想ありがたいぜ!
    次書きに来れるのが金曜か土日あたりだと思う!
    ちゃんと完結させるから安心して待っててくれ~!

    寝るぜ

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:47:47

    お休みスレ主!
    終末が楽しみ

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:48:15

    >>110

    誤字

    終末→週末

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:48:48

    ヴィジで先生のこと好きになったからコーイチとの絡みが見られて嬉しい 相澤消太の精神的に成長し続けるところが好きだからきっと【彼】も今回の件を乗り越えて成長できると思うしその姿が楽しみ

  • 113二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:51:27

    たしかに相澤消太の話をするならヴィジとエリちゃんの話は不可欠だと思ってるけどまさかここでぶっ込んでくるとは思わなかった…

  • 114二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:51:53

    色んな展開予想してたけど全くの別方向からぶっ込まれてわくわく止まらん
    週末が楽しみ

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:53:38

    そういえばドルパロの原点ってこれだったよね…
    ここからこんな展開になるとは夢にも思わなかったスレ民です

  • 116二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:57:59

    >>115

    もはや原型が大戦直後に死んだ以外なくなってて草

    こっからここまで話を広げて風呂敷畳み始めてんのスレ主すげえよ…

  • 117二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:58:56

    >親に愛され育ち

    そうだね!(白目)

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 22:59:40

    今までほか4人にとってのショータは描かれたけどミツキにとってのショータはまだ描かれてないんだな…

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:01:04

    光木が案外独善的な感じなのびっくりしたな
    リーダーシップがあるって言うか自分がやらなきゃってタイプなのかな

  • 120二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:01:55

    なあもしかして意味深なところ見るにマネさんの過去も回収する感じか…!?

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:17:25

    コーイチ出てくるのはガチで予想外だったからびっくりした
    でもあの絶妙に空気を読み違える緩さがこういう場面では緩和剤になっていいな

  • 122二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:40:17

    なんか先生が生まれ変わってることを知ってるオールマイトがこの状況でもSHOTAのことは遠くから見守るって姿勢を貫いてるのがかっこいいな
    この距離感のおかげでショータの逃げ場になれてるのも本当ありがたい

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 00:11:08

    記憶を持って転生して自分が何者なのか揺らいでるって状況だと普通なら原作キャラもしくはオリキャラとインモラルな関係になると思うんだけど
    コーイチが出てきたことで絶対そんなことないと思えるの心強いな
    あとオールマイトはずっと格好いい

  • 124二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 07:26:33

    なんか光木がブチギレてるの見て嬉しかった
    身内を害した人間には容赦ないの流石は昔ヤンチャしてた男やな

  • 125二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 08:12:37

    話がどんどん終わりに近づいてるのをひしひしと感じる…
    次の更新楽しみや

  • 126二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 12:26:31

    ミツキがみんなから賛同を得られなくて逃げ出すの意外だったな
    早くメンバー全員揃って欲しいと思うと同時にまだ終わらないで欲しい…の気持ちになってる
    週末早く来ないかな

  • 127二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 19:09:06

    あのオールマイトを下心ある誘拐犯扱いする拓哉に笑ってしまったしお前じゃないんだしのツッコミにも笑った
    本当世代じゃないって恐ろしいわ

  • 128二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 19:22:05

    マジでみんなオールマイト世代じゃないんだなあってなるよな
    なんか昔すごかった人くらいの感覚
    この世界だと「オールマイトってあれでしょ?なんか骸骨みたいなタレントのおじさん」とか言う人がいるんやろな

  • 129二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 19:31:32

    拓哉にとっては二百万するコートを贈ってるヤバいおじさんでもあるからな
    恐らくパパ活おじさんくらいに思ってるんじゃないか?

  • 130二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 20:41:11

    なんならマイクに対しても同じようなこと思ってそう
    あとナイトハイド
    プロヒーローばっかだな…

  • 131二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 22:30:07

    たしか拓哉はショータ周りのプロヒ達にしっかり嫉妬してたからマイクは要注意人物筆頭になってそう

    ミツキの解決パートも気になるしメンバー達がショータを繋ぎ止めることになりそうなのめっちゃ胸熱

  • 132二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 22:42:14

    どうして相澤先生の魂?は霞の体に入ってたんだろうと今更ながら疑問を抱いてしまった
    …もしかして霞とは双子とかだったのかな

  • 133二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 07:40:44

    読んでて思ったけどコーイチってオールマイトとは違ったタイプの安心感あるな
    オールマイトがほっとするならコーイチは肩の力抜けるみたいなかんじ

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 08:12:07

    ポップが芸能プロデューサーしてるのぽさがあって良いな
    ここら辺の絡みもみてえ

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 12:18:26

    喧嘩した時絶対に折れてくれるマイクに「俺はもう対等な存在じゃないんだな…」って思うこともあったのかな
    でも同じくらい「は?ガキが駄々捏ねてんだから頼みくらい聞けよ」ってふてぶてしいショータも見てえな…
    喧嘩した時どうなるのか知りたい そもそも喧嘩すんのか?

  • 136二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 18:42:06

    可愛い可愛いって甘やかされまくったショータがなんかあるごとに「可愛い俺の言うことが聞かねえのか?」って相澤時代の剣幕で詰め寄るところとかなんぼでも見たい

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 19:39:23

    ショータNGないらしいから年末とかのローションに塗れて階段登るようなバラエティに出てくれねえかな
    口が悪くなって相澤が出てしまうショータ

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 20:57:14

    ショータに愛着が湧きすぎてショータにすけべな目にあって欲しくてしゃーない
    中身の相澤先生がケツの快感に翻弄されてこんなの知らないダメ泣いちゃうところが見てえ

  • 139二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 22:38:45

    分かる
    子供らしい健全なショータも見たいしどすけべな目にあってるショータも見たい
    心がふたつある

  • 140二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 08:00:25

    ショータには幸せになってほしいはずなのにスポンサーに枕強要されて逆らえないドスケベショータも見たいんだよな
    もちろん幸せになって欲しいのは嘘じゃないんだが

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 17:13:11

    まだ遠いけど同じ業界にエリちゃんがいるのいいな
    転生したから年が近くなってるのもいい
    いつか音楽番組で共演とかしてほしい

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 17:15:25

    クイズ番組とかで昔の知識とかが試される問題をバンバン正解していくショータ見たいな
    アラフィフ司会者から「これ俺の年代やぞ!?」って驚かれる本人は(同年代だからな)って思ってる

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 19:16:22

    ショータがどんな感じで売られてんのかわかんないんだけどミステリアス系で売られてたら映像見るたびにマイクが爆笑してそうだな

  • 144125/02/20(木) 20:12:11

    ただいま
    多分明日の日付変わる前くらいには来れると思う

    ショータのすけべは…考えてなかった
    でもifなら何やっても良いと思うから完結した後時間があったらやるぜ

    ショータは髪とか目の色のパーツ以外は父の家系似で線が細いから儚い美少年として売り出されてたんだけどお察しの通り1本目のバラエティで化けの皮全部剥がれたよ
    マネさんはまあええかって思ってる

  • 145二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 21:24:07

    スレ主おかえり!
    儚い美少年は大戦後澤のメンタルから一番遠いイメージで笑った
    線の細い少年がスタッフにブチギレながらマグロ漁船で働かされてたの面白すぎるだろ

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 22:05:09

    スレ主お疲れ様
    儚い雰囲気のある美少年が意外と芯の強くて達観した考え方してるのは沼すぎる
    たまにおっさんくさい一面出してきて見た目とのギャップで頭バグりそう

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 07:28:34

    ビジュ発表で新メンバーが線の細い儚い美少年と思ってたらバラエティで暴れ回る逞しい少年だったと知った時のファンの戸惑い凄そうだな
    SNSで横転しまくってそう

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 08:01:43

    こんな儚そうな子供が荒れまくってるウチにきて大丈夫なのか…!?ってファンがした心配全部杞憂になるのおもろいな

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 11:22:50

    普段は逞しいのにふとした瞬間儚げになるからオタクはギャップで死ぬことが頻繁にありそう

  • 150二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 17:11:02

    白雲の家系で線が細ければ儚い美少年系統だろうな…
    ドラマで病弱な少年役とかやってたらマイクとメンバーが死ぬほど笑ってそう

  • 151二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 20:29:27

    あかん寝起きでマグロ漁に連れ出される高校生儚げアイドルショータあまりにもおもろい
    スタッフ相手に「てめえ!!!」とか言っててくれ

  • 152125/02/21(金) 20:59:33

    ただいま〜
    みんな保守とか感想とかほんまありがとう〜
    ただごめん今日クソ労働すぎてちょっと書けるかわかんない
    みんな先寝ててくれ…

    もし来れそうになかったら明日来るね…

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:24:20

    またスレ主が労働に痛めつけられている…

  • 154二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:22:02

    おかえりスレ主労働お疲れ様やで
    無理せずゆっくり休んでくれ……

  • 155125/02/21(金) 22:30:22

    ごめんやっぱ今日書けない眠さが勝った
    みんな待っててくれてありがとやで
    明日書きにくるぜ

    ところでこれは寝言なんだけどAmazonプライムにポケモン映画が追加されたからみんな良ければ見てね

  • 156二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:43:17

    おやすみスレ主いっぱい寝てくれ
    俺らはアマプラでポケモン映画見ながら待つやで

  • 157二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 08:06:02

    気になってたルカリオ見るで〜
    スレ主はゆっくり休んでくれ
    失踪しない抱かれたら俺らはそれで良いから(切実

  • 158二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 08:08:23

    波導の勇者見てスレ主のポケモンクロス見返してたけどこの傷ついた子リオルがあんなに凛々しいルカリオになった日には先生も感激するだろうな

  • 159125/02/22(土) 17:09:22

    おはよう〜
    光木の過去編が想像以上に長くなりそうだから一度あとでURLで出しにくるぜ

  • 160二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:47:32

    おはよう…!?

    続き嬉しい!
    ミツキの過去待ってるぜ

  • 161二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:46:02

    おはようスレ主
    みつき過去編楽しみ!!

  • 162125/02/22(土) 20:07:18

    22時に過去編持ってくるよ~!
    間に合えば
    なんか想像以上に長くなりすぎて全然終わらん
    オリキャラの過去編にこんな時間使ってほんMoney申し訳ない

  • 163二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 20:57:29

    もうメンバー達にもゴリゴリ感情移入してるからむしろ嬉しいぞ
    個人的にミツキが一番つかみどころないキャラだから過去編楽しみ

  • 164125/02/22(土) 21:52:39

    ごめんなさい終わりませんでした
    日付変わるくらいに持ってきます
    代わりに鱗滝左近次と冨岡義勇が腹を切ります

  • 165125/02/23(日) 00:01:09

    ごめん鱗滝さんと冨岡さんもうちょい腹切っててくれ!

  • 166二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 00:17:17

    唐突に切腹を申しつけられた2人に涙が止まらない

  • 167二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 00:36:22

    もうちょい腹切っててとかいうパワーワード好き
    いくらでも待つからスレ主のペースで書いてくれたらいいんやで

  • 168125/02/23(日) 01:07:55

    鱗滝さん!冨岡さん!もう腹切らなくていいよ!

    今までよく耐えた!


    というわけで光木過去編と言う名のBLACK CASE発足までの話です

    なんと2万字ある 嘘みたい

    これ最初3000字くらいで終わらせるはずだった

    光木過去編 | Writening 本当は、学校の先生になりたかった。  小学校の僕の夢が永遠にかなわないものになったのは、三つ離れた姉が僕の履歴書を事務所に送ったことがきっかけだった。僕の顔はどうやらとても可愛いみたいで、周り…writening.net
  • 169二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 01:12:40

    長いのはわかってたけど想像超えてきたな…
    心して読むぜ

  • 170二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 01:52:47

    光木がかなりの野心家で完璧主義的なプライドの高さを持った一面があるのには驚いたけど今回の話で結構好きになったかも
    事務所とぼんぼん5人にいいように扱われてる光木見て悲しくなったから脱退して今のグループで活動できて本当に良かったって心から思ったわ

  • 171二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 02:00:37

    光木最初は俺が俺が!って感じだったのに完全に途中から心壊れちゃったのつれえ
    お前も一緒にトップアイドルになるんだよ

  • 172二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 02:14:07

    光木責任感の強さが尋常じゃないから何か問題が起きるたびに自罰的な諦め思考になってくのが辛い
    ていうか元事務所の光木の消費の仕方もエグいけどDD9の白メンわざわざ最後に煽り文句言いにきたの相当性格極まってんな

  • 173二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 03:02:36

    二回目読んだけどなんかもう人生が悲しすぎる
    虚勢はって演劇に縋り付いてそれも無意味になって自分のやりたいことわかんなくなって3人をトップアイドルにする目標を立てたのにそれすら自分にはできなくてって売れてるのになんでこんなに挫折を突きつけられ続ける人生なの

    あと光木目に関する個性とか食生活とか昔先生になりたかったとか相澤先生っぽさがちょっとあるよな

  • 174二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 06:25:25

    言葉が…でねぇ…
    色々と辛すぎんか光木の人生…

  • 175二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 09:02:03

    自分のやりたいことは置いとかれて周りが勝手に進路決めてそこで目標見つけて軌道乗った辺りで毎回挫折がやってくるの辛すぎる
    みんな幸せになってほしいけど光木は本当切実に幸せになってくれ………ってなる

  • 176二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 09:16:34

    新規に優しかったお姉さん本当に初期の初期から光木のこと応援し続けてたんだな
    お姉さんも光木もみんな努力が報われて幸せになってほしい

  • 177二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 11:54:04

    何度も読み返してるんだけどこの過去編のおかげで本当にファンも4人もBLACK CASEにショータが入って仕事が入るようにしてくれたこと感謝してるんだろうなって思えるよな
    だからこそ今の状況ほんまやるせねえ…全員幸せになってくれ…

  • 178二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 12:08:12

    途中でてきた「バラエティはまだ嫌いか?」「ほどほどでございます」でこの2人が本当に仲良くなったんだなって思えた後のライブよ…
    ショータも4人もみんな辛い経験を経てやっとBLACK CASEっていう居場所を手に入れたのにやるせねえ

  • 179二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 19:14:55

    初っ端の家族に悪気なく勝手に芸能界入らされたとこも結構キツかったけどそれから日の目を浴びずに芸能界で消費されまくって荒んでる光木を見てると本当に悲しくなってくる

  • 180二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:08:21

    光木推しのお姉さん本当にずっと応援してくれてたんだな…そのうえ新規にも優しい
    普段アイドルを推す側の人間だからこういうファンの貴重さと有り難さがわかるしお姉さんに感情移入して当時どれだけ辛かったかと思うと泣けてくる

  • 181125/02/24(月) 05:06:26

    ちょっとだけ書いていくぜ
    時間軸現代に戻ります

    「僕が、彼を追いつめたんです」

     僕を追って来て連れ戻そうとした蓮を、どうにか近くの空き部屋に連れ込み、僕は今までのことを吐露し始めた。
     こうなった以上、もう僕はここに居られないから。
     本当は君たちをみんな見下していたこと、目標を見つけられなくなったから君たちをトップアイドルに育てることをやりがいにしていたこと。
     そして

    「僕はその役割をショータに押し付けようとしました」

     自分の至らなさを、干支一回り以上離れた少年に尻拭いさせようとしたこと。

    「僕は皆さんに慰めてもらえるような人間じゃありません。ただでさえ過酷な芸能界に子供を入れて、炎上するとわかり切った仕事を任せました」

     僕の代わりとして見つけたショータは、想像以上の働きをしてくれた。天性のアイドルともいえる彼は瞬く間に人々を魅了して、一気にアイドルとしての名声を得た。
     僕ではできなかった三人の認知度上昇やBLACK CASE全体の仕事量増加などを次々に達成していった。彼しかいなかった。このチームをこれから引っ張っていけるのは。
     だからショータに全部押し付けた。仕事も、役割も。僕はリーダーとして上っ面だけを貸していた。殆どその役割をしていたのは彼だった。仕事量をセーブしようとマネージャーに持ち掛けたのは本当だけど、それは所詮ポーズだった。あの生真面目な子が仕事を減らす決断なんてすると思わなかったから。

  • 182125/02/24(月) 05:06:55

    >>181

     結果として彼を追いつめて、この一番大事な時期に仕事量だって減らすことになった。今回のことを引き起こしたのは僕の至らなさが招いたことなのに、ライムさんに八つ当たりをした。

     僕の激白は部屋の中に響き渡った。

     そして、暫くの間を持ってから蓮が右手を挙げる。


    「あの、発言して良い?」

    「……? どうぞ」


     何の許可を求められているのかわからなかったけれど、余りにもテンポの悪い発言に動揺し、それ以上聞くことが出来ず許可だけ出してしまう。

     蓮は一度咳払いをした。


    「えーとさ。ごめんあんま良くわかんなかったんだけど、要するに光木はショータが最強アイドルだと思ってるってことで良い?」

    「最強……と言うか、みんなをトップアイドルに出来るだけの逸材だと思っていますし、そう思ったから僕はオーディションで彼を推しました」

    「そっかそっか……あのさあ、あんま光木にこういうこと言いたくねえんだけど……」


     蓮は一回言葉を区切って、口を閉じた。

     そして少しだけ迷ったそぶりを見せて閉じた口を開ける。


    「ショータが最強アイドルってのはちょっと無い、っていうか」


     無い。

     僕は首を傾げた。ショータのアイドルとしての才能は彼も知るところのはずだ。実際、彼が加入してからこのグループは飛躍的に上昇した。

     蓮は手や体を動かす。難しいことを説明する時、勝手に動くのだと言っていた。

  • 183125/02/24(月) 05:07:28

    >>182

    「いやさ、アイツ凄いよ。バラエティでも爪痕残すし、ファンが欲しい言葉出せるし。あとすげーマメ」

    「で、でしょう?」

    「でもそれってアイツがアイドルを仕事だと思ってこなしてるからだと思うんだよな」


     また首をかしげる。

     それの何がいけないというのだろうか。


    「それの何がいけないんですか?」

    「いや悪くはないんだけどさあ。アイツは仕事の為ならそれらしく見せることができるだけで、別にアイドル向いてるわけじゃないってことが言いたくて」


     あまりにも衝撃的な言葉に口元の表情筋が固まる。

     考えたこともない発言だった。


    「アイドルに……向いてない……? ショータが、ですか?」

    「いや向いてないって。マジ向いてない。アイツってみんなを虜にする生まれつきのアイドル! って感じじゃなくて必殺仕事人アイドルって感じじゃん」

    「必殺仕事人……」

    「アイツは滅茶苦茶真面目でさ、自分がどんな行動したら相手にどう見えるのかとかすげー合理的? に考えてんだよね。要するに見える自分を逆算してるって言うか。どうしたら人が喜ぶか、じゃねえんだ。どうしたらアイドルとして相応しいかって感じで動いてる。だから俺はアイツをアイドルとして凄いって言うより、人としてすげえって思ってんだけど、光木は違う?」


     質問を投げかけられて、僕は考える。

     僕がショータをアイドルとして素晴らしいと思ったのは、蓮が言う通り仕事をきちんとこなす勤勉さを評価してのことだ。だがそれ以上に、彼自身の本質に僕は惹かれた。

  • 184125/02/24(月) 05:08:29

    >>183

    「ショータが、人として優れていてつまるところアイドルじゃなくても結果が出せる人だというのは僕も同感です」

    「だよな」

    「僕はだからこそ、彼がアイドルに固執する姿が素晴らしいアイドル像であると思ったんです」


     どういうこと? とわからない顔をする蓮に、僕は出来るだけ分かりやすい言葉を使った。


    「彼には執念があります」


     僕が思い出すのはあのオーディションに送られてきたテープ。これから先考え付かないほどの未来があるのに、それらをすべて捨ててでもこの業界に身を投じたいと思う執念。

     僕にはない、アイドルとしての素質だ。


    「アイドル以外で十分成功できる素質がありながら、絶対にアイドルじゃなければいけないと執念を燃やしていました。その精神が、僕の考える最高の」

    「待って待って待って待って。それはおかしいって」


     いつもはちゃんと話を聞いてくれる蓮が僕の言葉を遮る。とても困惑したような彼の顔に、僕も同じように困惑してしまう。


    「な、なにがおかしいと」

    「いやそれはさあ! ただの好み!」

    「こ、このみ」


     あまりにもあんまりな言葉で一刀両断されて狼狽える。

     好み、好み……!?


    「それ単に光木が好きなアイドルがハングリー精神マシマシでアイドルじゃないと生きていけない! ってタイプなだけ! あいつがすげーアイドルって言うことじゃない!」

    「え……いや、それは」

    「あーもーびっくりした。光木結構思想強いんだな」

    「しそう……」

  • 185125/02/24(月) 05:10:12

    >>184

     人に相談をするということを、人生で一度もしたことがないから自分の考えを否定された時なんて反論すればいいのかわからない。そんなわけない、と声高に言いたいのに頭の中に言葉が溜まって口は動かなかった。

     蓮は完全に固まった僕を見て、頭を掻いた。


    「ショータはすげえやつだよ。俺だって思う、だって俺がアイツくらいの歳の時あんな真面目じゃなかったし。でもアイドルとしてだったら俺の方がずっと魅力的だと思うよ、そりゃファン数ではかなり差ぁつけられてっけどさ」


     蓮は腰に手を当てた。彼の使っているユニセッ クスな香水の香りがふわりと香る。


    「アイツマジでクソガキだし、ファンからのあからさまな下ネタ流せねえし、炎上目的の釣りにマジになるし、ノリわりぃし、時々あからさまに「お前マジか……」って顔するし」

    「それは君にも非があるでしょう……」

    「まあとにかく! アイツがめちゃすげーアイドルってのには俺は賛成できない! 俺にとってすげーアイドルってのはデビューしてから今まで光木だよ」


     目を見て言われて、どきりとした。

     蓮は視線を外さない、いつもは気まずくなるとすぐ逸らしてしまうのに。


    「なんか最初の方に俺らを見下してたとか言ってたけどさあ、あの状況で見下さない奴いる!? 俺二時間遅刻したりしてたんだけど。寧ろ今まで我慢して黙ってた方がスゲーよ」

    「い、いや……どんなことがあっても人を見下すのは良くないことですよ」

    「いや良いやつ過ぎる。ほんとに、冗談抜きで」

  • 186125/02/24(月) 05:10:50

    >>185

     なぜ今僕は褒められているんだろう。

     褒めてほしくてこの話をしているわけではないのに。……いや、では僕はなんでこのことを蓮に今話してるんだろうか。彼が気を遣って否定することが考えられなかったわけじゃないのに。

     どんな言葉を出しても、まるで自分が慰めてほしいかのような言い訳になってしまいそうで口に出すことができない。自分の意見を言わないといけないのに、それを口に出せない。

     ぎゅっと口元を引き結んでしまう。


    「たぶん光木、今までこういうこと言いたくても我慢してたんだよな」


     蓮が何でもないことのように言うから驚く。


    「が、まん?」

    「え、違う?」


     さっきから彼の言葉には驚かされてばかりだ。

     我慢……我慢? あまりピンとこない。今まで自分の考えを表に出さなかったのは、なんて言えばいいかわからないせいだ。それを我慢と言うのだろうか。


    「僕、我慢してたんですか?」

    「それも無自覚? やべーって。よく今までストレスで死ななかったな」


     またあまり馴染みのない言葉だ。

     ストレスと言う物を最後に感じたのはいつだっただろう。自分でも良く覚えていない。

  • 187125/02/24(月) 05:11:19

    >>186

    「ストレスってどういう物でしたっけ」

    「そっから? ガチで言ってる? ちょっとそれやべーって。明後日のフェス終わったら病院行きなよ」

    「病院ですか……これって病院に行くようなことなんでしょうか」

    「ストレスの感じ方わからないって結構ヤバいと思う」


     蓮に真面目な顔をされると少し怖くなる。自分はそこまでおかしい状態なのだろうか。黙っていると、彼はため息をもう一度ついた。


    「あのさあ光木。ぶっちゃけこんだけ話したけど、俺光木がどんな思いでここにいてくれたのか、正直あんまりちゃんと理解できてねえの」

    「はあ……」

    「そういや俺ら仕事のこと以外ってあんま喋ったことなかったよな。まあそんなことしてる余裕がなかったのもあったと思うけど」

    「そう……ですね。たしかにそうです」

    「これからちゃんと話してこうな。因みに俺の趣味は散歩だよ」


     話す必要がなかったからとか、そう言うわけではない。ただ単に話すという選択肢がなかった。仕事以外で彼らに関わってはいけないと思っていた。


    「でさ、今回光木がちゃんと話そうって思ってくれたのって、多分ショータのおかげだと思うんだよね」

    「ショータの」

    「アイツめっちゃ思ったことずばずばいうじゃん? うちに居なかったタイプっしょ、だからちょっと感化されたんじゃね?」

  • 188125/02/24(月) 05:12:10

    >>187

     感化された、と言われると少しむず痒い。

     僕は彼を利用していた立場だ。そしてBLACK CASEに必要な存在が壊されたことに怒って、ライムさんに八つ当たりをした。そんな彼に影響を受けていたと言われるのは罪悪感がある。


    「光木は自分のやったことでショータを苦しめたって言ってたけど、アイツが爆発したのってどう見ても光木が原因じゃないでしょ」

    「それは……違うでしょう。仕事のセーブもしませんでしたし、心配をしても口だけでした」

    「でも仕事減らしたとき絶対文句言わなかったじゃん。口だけの心配っつったって、もしショータが相談して来たらちゃんと対応したんじゃねえの?」


     そんな好意的にとられても困る。けど、相談をされたら確かに対応をしただろう。嘘を吐くことは出来なくて、それでも肯定することは難しかった。


    「あー……と、だからさあ」


     彼の手の振り方は少し大人しくなった。動きが少なくなったということは考えがまとまったのだろう。



    「とりあえずこれからショータのところ行かね?」



     出てきた言葉には驚かされたが。

     考え付かなかった突拍子もない提案だ。もしかして彼は僕の話を聞いていなかったのではないだろうか。


    「あ、あの、僕はショータを利用して追いつめた自認があると言っているんですが」

    「聞いた聞いた。で、俺から見たらンなことなくね? って今話したじゃん?」

    「そうですね……?」

    「だからもうショータに決めて貰おうぜ。アイツがいや気にしてねえけどって言ったらこの話これで終わりな!」


     そんな横暴な。

     それにショータは凄い周りが見える子だ。こんな話をリーダーからされて、怒れるわけがない。きっとグループの為に一層追い詰めてしまう。伝えることが負担になるかもしれない。

  • 189125/02/24(月) 05:12:51

    >>188

    「ダメですよそんなの。だってそんなのショータに嫌な思いをさせるだけで」

    「もう既に嫌な思いして逃げ出してんじゃん。そんで光木はその原因自分だと思ってんだろ? だから一回ちゃんと謝ろうぜ。で、ショータが「は? お前がなんで謝んだよ」みたいに言ったら光木の考えすぎだったねで良いじゃん」


     なんだろう、彼の言い分が正しい気がしてきた。

     拒否する言葉を見つけられずにいると「じゃ、決定ってことで」と蓮が笑顔になる。相変わらず人を否定するだけの材料を持っていない僕は、曖昧な笑みを浮かべてしまう。

     だが確かに、ここで押し切られなければいけない気もした。この場に居てもショータとの関係に進展は望めないし、僕が原因ではないなら彼を支える人が必要だ。

     そしてそれはきっと、BLACK CASEの誰かだと思うから。


    「い、行きましょう」

    「やったー! じゃあマネさんたちに伝えて来るわ! たぶんショータの居場所わかるっしょ!」


     そう叫んで彼は部屋を飛び出していく。スケジュールを確認すると、フェス直前の調整の為にあいさつ回り以外の仕事は入ってなかった。

  • 190125/02/24(月) 05:13:32

    >>189


     ‡


     勢いよく飛び出していった蓮を物陰から見つめていた二人は、彼の足音が無くなったのを確認して出てくる。彰と拓哉は、お互い目配せをして息をついた。


    「なんか俺らが出る幕なかったな」

    「ね」


     二人は蓮と光木が部屋に入ってからずっと耳をそばだてていた。部屋でされた会話ももちろん聞いていたが、取り立てて二人で何かを話すこともなく、蓮と違う方向から部屋へと戻る。

     その間に拓哉はマネージャーに「俺らはトイレ行ってたってことにしてください」とメッセージを送っていた。


    「光木って結構気にしいだよね」

    「あのメンタルで良く芸能界生きてこれたわ」

    「ほんとほんと」


     会話の途中、二人の声が鼻声になる。目元が腫れては蓮に言い訳が出来ないので、弱気の証拠がこぼれないように上を向いた。


    「相談、乗ってもらえるよう頑張ろっか」

    「そうだな」


     二人はそれきり黙って部屋へと戻った。結局、先に戻っていた蓮に「連れションで泣いたんか?」と言い訳のしづらいことを聞かれることになる。

  • 191125/02/24(月) 05:17:10

    >>190

    幕間ここまで!

    今日の昼くらいに起きてきたら次スレ立てる予定!

    続きはまだ書けないのでその時は小ネタあたりを持ってこようかなあと思ってる


    >>170>>171>>172>>173>>174>>175>>176>>177>>178>>179>>180

    感想ありがとう~!

    自己満極めたオリキャラの話だから反応貰えて嬉しいぜ


    朝来てどっから話が始まったかわからない人へ

    >>181から始まってます

  • 192二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 07:42:41

    スレ主おはよう
    あんだけ挫折が続いたから仕方ないけど光木めちゃくちゃ自己評価低いな
    光木を最初に追いかけたのが蓮でよかったよ
    驚くくらいの単純さ素直さに助けられた

  • 193二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 09:12:03

    初めて光木に人間らしさを感じた
    このまま大団円行って欲しいけどもうひと修羅場ありそう…
    それはそうと思ってた以上に光木の精神状態悪くて絶句
    ストレス感じないのは本当にヤバい

  • 194二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 12:33:45

    光木のメンタルがもう壊れかけてて辛い…
    蓮のショータは仕事人で光木がアイドルって感覚めっちゃ分かる
    今まで理想を演じてたとか個性が魅了とか関係なく光木は素で人を惹きつける力がめちゃくちゃあると思う

  • 195125/02/24(月) 13:10:21

    おはよう~


    >>192>>193>>194

    感想有難う!

    スレ作ってくるぜ

  • 196125/02/24(月) 13:11:56
  • 197二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:13:54

    19スレか感慨深いな
    埋め

  • 198二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:14:35

    うめ

  • 199二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:16:58

    埋め埋め

  • 200二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:17:29

    200ならショータも光木もBLACK CASEもみんな幸せ

オススメ

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