- 1◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:02:49
バレンタインデー。
それは“ありがとう”を伝える日であったり、“おめでとう”を祝う日だったり。
はたまたいつもと変わることのない日常の延長線上の日だったり。
思いに想ったオモイを、思い切って伝えちゃう日だったり。
この間までのファル子なら、いつも応援してくれるファンの皆にお礼できる絶好の機会なんだから気合いをいれてイベントの準備♪
そして最後はお世話になっているファン1号さんにチョコとミニライブ☆
けど今年はちょっと事情が違う。具体的にはファン1号さんにチョコを送るという所。
これが今の私の悩みのタネ。いつも通りに渡すわけにはいかない。
だって、私たちの関係がいわゆる『そういう』ところに入り始めたのなら。
この一大イベント、意識しないわけにはいかないでしょう? - 2◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:03:16
去年の聖夜に不意にこぼれてしまった思いが、少しずつ形になっていったような、そうじゃないような。
ちょっとずつ、だけど確実に近づき始めたと思う距離。
そんな折に迎えるバレンタイン。
せっかくの日だからオトメ的にはこの『スキ』を届けたいし。ちゃんと意識をしてほしいものだ。
けどそれってどんな風にすればいいんだろう。そんな脳内会議が開かれたけど踊ってばっかりで進む様子が見られない。
こういう時はやっぱりその道の先輩に聞いてみるのが一番。
「ということで、力を貸してくださいファルコンさん!」
「なるほど、最近いつもより3割ほど口が開きっぱなしだと思っていましたが…。
事情はわかりました。」
同室のフラッシュさん。とてもしっかり屋さんでこれまでも色んなことでお世話になってきた。
ウマドル活動、普段の生活、恋の相談、etc...。 - 3◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:03:28
「懐かしいですね…。私もトレーナーさんと付き合ってから初めてのバレンタインは色々と悩みました。ですので今回はアドバイスくらいにしておきましょう。これはファルコンさんとトレーナーさんのバレンタインですから。
それに本当に大事なのは『モノ』ではなくて相手に『込めた思い』が伝わるか、ですからね」
そう言うと考えるべきところをピックアップしてくれる。流石のフラッシュ先生。
時間、場所、渡すモノ。基本的だけど大事なところ。もう一度最初から振り返って考える。
…うん。ちょっと光がみえてきたかも。
「どうですか?少しはお力になれたでしょうか?」
「うん!やっぱりフラッシュさんに相談してよかった!
これならバレンタインに間に合いそう☆」
少しは進み始めたバレンタインの計画。続きを考えようかと思っていると、
「そういえばバレンタインデーですが、私は外泊をしますのでよろしくお願いします…」
少し頬を赤くして言ってくるフラッシュ先生。今年のバレンタインデーは金曜日。週末ということは。
…進んでるなぁ。 - 4◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:03:39
そして迎えたバレンタインデー当日。
予定していた感謝イベントは盛況で幕を閉じ、いつものトレーナー室に一度戻ってきた。
そして今年のバレンタインの贈り物を送りたいなんて言って、向かいあってソファに座る二人。窓からさす夕日が少し眩しい。
少しは意識してくれているのかちょっとソワソワしてるトレーナーさん。あんまり見ない光景なのでなんだか新鮮だな。
それじゃ、ミッションスタート。
「ではトレーナーさん、ハッピーバレンタイン!」
「ありがとう!今年は何かなぁ…」
これまでは手を変え品を変え色んなモノを送っていた。マカロン、キャンディ、カップケーキ。どれもこのオモイに気付いてほしくて送ったモノ。
けれど今年は互いに思いあってるのなら、答えは簡単。直球勝負でいくだけ。
箱を開けたトレーナーさんの動きが少し止まって、ゆっくりとこっちを見てくる。
今年はチョコ。ハート形の一枚板の上に『LOVE』の文字のデコレーション。 - 5◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:03:57
「…食べてもいいかな?」
「どーぞどーぞ、召し上がれ!」
一口ずつ、ゆっくりと食べ進めるトレーナーさん。もちろんチョコの大きさは食べきれるように小さくしています、ファル子は出来るウマ娘なんです。
そしてここからも計画の内。
「食べながらでいいから、聞いてくださいトレーナーさん。クリスマスの日はうまく言えなかったから。改めてこの思いを言わせてください。私の言葉で伝えさせてください。
…好きです。アナタの事が、好きなんです。」 - 6◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:04:11
あの日は思わず出てしまって、半ば泣きじゃくりながらだったし。
中途半端な感じだったから、ちゃんと伝えたくて告白リベンジ。
私の告白を聞いた後もゆっくり、味わうようにチョコを食べるトレーナーさん。
実は計画したのはここまで。あとはアドリブ勝負。
少ししてチョコを食べ終えたトレーナーさんと目が合う。沈黙が広がるトレーナー室。
さっきから心臓が痛いくらい叫んでる。頭がグワングワンしている感じ。
まるで永遠に感じられる時間の中、ふとトレーナーさんが目をつむる。
そして目を開ける。来る。答えあわせの時間。
「ありがとう、ファル子」
沈黙を破る一言。そのまま言葉を続けるトレーナーさん。
「ちゃんと伝わったよ。ごめんね、待たせちゃって。
いや、本当はクリスマスの時から分かっていたんだ。心から想ってくれてるって。
ただ、自分が目を逸らしていただけかもしれないな」 - 7◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:04:24
そういって、不意にファル子の右手を取るトレーナーさん。そのまま、いわゆる、その。恋人握りっていう握り方をしてくる。突然のことでパニックな脳内ファルコンピューター。そんな私の目を見つめ続けながら言葉を続けるトレーナーさん。
「14日。来月の14日。空けておいてくれ。もう少し待たせてしまうけれどちゃんと返事をしたいんだ。今度は自分からファルコンへの、キミへの想いを言わせて欲しい。
この『スキ』を、キミに伝えさせてくれ」
覚悟を決めたような顔をして見つめてくるトレーナーさん。夕日に照らされているせいかわからないけれど、少し顔が赤い気がする。
3月14日。つまり、そういうことで。
「…ぅぁい」
あまりの出来事の連続でキャパオーバーしてしまった今の私の頭じゃ、情けない声で応えることしか出来なかった。 - 8◆TppWZDMBiH1R25/02/14(金) 20:04:36
そこからはもうどこかフワフワで。
お互いあまあまな雰囲気をどこか味わいながら寮に帰って。
一人部屋に戻ってベットに潜る。潜りはしたんだけれど、頭の中じゃ今日の光景がずーっとずっとフラッシュバック。
残っている握った手の感触に、トレーナーさんの初めてみるような顔。
来月の14日まであと一ヶ月。短いような、とても長い一ヶ月のカウントダウンが始まる。
…うん、ダメ。今夜は眠れそうにないなぁ。 - 9謝意っ☆25/02/14(金) 20:06:10
- 10二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:14:44
真剣な話をする時はファルコン呼びになるのいいね…
- 11二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 20:21:10
バージルかと思っちゃった
- 12二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:17:47
すごくすごい良かった…
地の文が本当にファル子っぽくてめちゃくちゃ満足感ありました…
ファン1号くんはファル子をちゃんと大事にしてあげろよ! - 13二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:19:26
照れ隠しに膝で殴ったりしないか不安なスレタイだったが杞憂でよかっ
- 14二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:24:08
ごめん…勘違いだったらすまんけど 力を貸してくださいフラッシュさん じゃないか?
- 15二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:25:45
- 16二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 21:32:09
あっあっ砂糖吐く
あまあまで穏やかで初々しい二人ってのはいいものですねぇ