- 1主です25/02/15(土) 09:36:20
- 2二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:37:21
立て乙
- 3二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:37:55
たておつ かわいい
- 4主です25/02/15(土) 09:38:16
- 5二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:45:20
10まで保守
- 6二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:46:27
埋めろ埋めろ〜
- 7二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:56:11
立て乙
- 8二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 09:56:22
うめうめ
- 9二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 10:01:46
10まで保守
- 10二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 10:05:32
保守!
- 11主です25/02/15(土) 11:35:34
ぽつぽつ投下していきます
感想とかがあれば舞い上がります - 12主です25/02/15(土) 11:40:27
私達の静寂を破ったのは、ケイちゃんだった。
「……確かに、痛かったです」
「そう、だよね……」
「嫉妬でどうにかなりそうでしたし、どうしようもなく惨めで……何度も、自分の存在理由がわからなくなりました」
「……本当に、ごめんね」
私の口から出た謝罪は、自分でも驚くほど小さな声だった。いつの間にか床だけを映している視界も霞み、鼻の奥がツンと痛む。
ケイちゃんが一歩下がり、肩に置いていた私の手が宙を彷徨う。置き場を失ったそれは、重力に従って垂れ下がった。その勢いに任せて、私は膝から崩れた。
「……何故、貴方が謝るのですか」
無機質な声が頭上から聞こえる。抑揚のほとんどないその音の中に、少しの困惑が入っていたような気がした。
「痛みも、辛さも、妬みも、悲しみも、全ては貴方が経験したことでしょう」
「そう……だけど、それを貴方にまで…………」
「道具にすぎない私のことなど、どうでもいいのです」
きっぱりと、そう言われてしまった。 - 13主です25/02/15(土) 11:41:16
だけど、それは違う──そう言いかけて目線を上げると、ケイちゃんは今にも泣きそうな顔をしていた。
「何故、貴方は他人ばかりを優先するのですか……!」
泣きそうな、それでいて怒りを含んだ声が耳に響く。
「…………私には、何の価値もないから……」
「……価値なんて……」
「お姉ちゃんに勝って、私はすごいんだ、私はお姉ちゃんの隣にいてもいいんだ、私にだって価値があるんだって……そう思いたかった」
誰かに……お姉ちゃんに見てほしかった。私はここにいてもいいんだって、そう思える自信がほしかった。自分自身を認められるようになりたかった。
「負けた私には……何の価値もない」
結局、ダメだった。頭を抱えて蹲る。視界に映るものがなくなった。世界もこのくらい暗くて、狭くて、何もなかったらいいのに……なんて思った。
「このまま消えてなくなりたい…………」
そっと、抱きしめられる感覚がした。温もりは感じなかったが、冷たくはなかった。
「私がいます」
どこまでいっても、その声は無機質だ。きっとそれは、事実しか語らない機械の音でしかない。だけど、今の私にはそれが何よりも救いだった。
さらに強く抱きしめられ、身体が密着する。
現実世界で"同期"しているケイちゃんの感覚が、私にも伝わってくる。
『私の話を聴いてほしいんだ』
朧気な思考の中に、先生の声が差し込まれた。 - 14主です25/02/15(土) 12:13:31
「大人の戯言など信用できません……!結局は私を、この子を騙して、裏切って、傷つける」
「戯言か……たとえそうであったとしても、私は先生として綺麗事を、夢を、希望を語らなくちゃいけないんだ」
「何が先生ですか……目の前にいる生徒一人救えないくせに……!」
明確な拒絶が、音となってその場にいる全員の耳へと届く。
「……そうだね。私はダメな大人だよ」
それでも、先生は臆さずに言葉を紡ぐ。
「君達に辛い思いをさせて……私自身には何の力もないから、一人じゃ何も解決できない。そんなちっぽけな人間だ」
確かに、先生はキヴォトスの住人と比べるとあまりにも無力だ。銃弾一発がその命に関わり、力も生徒に大きく劣っている。生徒達の直接の力になれないことが、とても悔しい。 - 15主です25/02/15(土) 12:13:45
きっと、その無力感はこれからも変わらず感じ続けるだろう。
「でも、私は"先生"だ」
それでも、"先生"としての譲れない意地が、信念が、私にもある。
「先に生きる者としての責任が、私にはある」
「なら……私にだって与えられた役目があります。それを貴方に邪魔される筋合いはありません」
「その役目は、本当にケイが望んだこと?」
「……何が言いたいんですか」
「ケイは本当に世界を滅ぼしたいの?」
「……そのために私は作られました。私の意志など関係なく、私はそうあるべきなのです」
「それは違う。たとえ始まりがそうであっても、一番大事なのはケイが今どうしたいかだよ」
優しく諭すように、先生はケイへと言葉を紡ぐ。
「でもね、それが本当にケイがしたいことなら────」
「どうして、ケイはそんなに辛そうな顔をしているの?」 - 16主です25/02/15(土) 12:45:36
「……ッ」
ケイの目に困惑が走る。
──そんなわけがない、とそう思っているのだろうか。先生がケイ達へと歩を進める。
「ヤヨイもずっと辛そうな顔をしていたよ」
「知ったような、口を……」
「君達は強い子だ。自分で考えて、納得して、結論を出して、行動できる。今みたいにね」
「違う……私は、強くなんか……」
一瞬、ケイの雰囲気が変わった。今にも先生達を撃たんとする敵意は消え、震える声で己を否定する。
座り込むケイと未だ目を覚まさないヤヨイの前で、先生は首を横に振った。
「それはすごいことだよ。誰にでもできることじゃない。でもね────」
『すごい』。その言葉にケイ達は唇を引き締めた。
今にも泣いてしまいそうな顔をしているケイ達とは対照的に、先生はどこまでも優しい笑みを浮かべて────
「それはすごく、寂しいんじゃないかな」 - 17主です25/02/15(土) 12:45:48
先生が、手を前へと差し出した。
「私なんかが君達を救えるとは思っていない」
今も引き金さえ引いてしまえば、目の前の大人は命を落とす。このキヴォトスでは吹けば消えてしまう、そんな脆い人間の筈だ。
「だけどね────」
それなのに、何故自分は手を下せないのか。ケイにとって、ヤヨイにとって"大人"は憎むべきもので……信じてはいけないのに……
「辛いなら、痛いなら、悲しいなら、寂しいなら……私を、皆を頼ってほしいんだ」
縋りたくなる。
その手を、取りたいと思ってしまう。
「こんなダメな私でも一緒に悩むことならできる」
「私にはそんな価値なんて……この子の痛みを、貴方なんかに……!」
「君達のその痛みを、私にも背負わせてくれないかな」
震えるケイの腕の中で、閉ざされたヤヨイの目から、一粒の涙が零れ落ちた。 - 18主です25/02/15(土) 12:57:43
それを見たケイはピタリと動きを止めて────
「────もう、いいです」
止まっていた機械が、再び動き出す。
「……やっぱり、私は無力だ」
向けられた銃口の先で、先生がそう呟く。ただ、その顔に絶望の色はない。先生は、満足気に微笑んで……
「今だよ!リオ!チヒロ!」
その瞬間、機械の時が再び停止する。
ミレニアムの"天才"達によるハッキング。それでも作れる時間は数秒にすぎない。圧倒的な速さで、ケイに主導権を奪われる。だが、その数秒があれば充分だ。
「アカネ!」
「お待ちしておりました、先生」
頭上で爆発が起こる。
天井には風穴が空き、美しい夜空が視界一杯に広がる。しかし、その夜空の中に一等目を引く存在があった。
「コールサイン"00"」
──夕焼けの色が、夜空に際立つ。
「コールサイン"04"」
──熱を帯びた"太陽"が、未だ仄かに光っている。
倒れた筈の最強達が、"友"のためにそこに立っていた。 - 19二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 13:01:21
問題の根本はいつもディスコミュニケーション
一先ずは肉体言語で対話をするところからはじめよう - 20主です25/02/15(土) 13:12:16
『二人とも気をつけて。その状態で戦えるのはもってあと数分よ』
「上等だ。それで全部片してやる」
「イエス、マム」
二人は機械のもとへ着地し、次々にそれらを薙ぎ倒していく。その光景を、ケイは為す術なく眺めていた。
"同期"の欠点は二つある。
一つは"同期"する際の使用者への『明星ヤヨイ』の記憶の追体験、及び精神的な負荷。
もう一つは、使用者を守るために作られた保護プログラムだ。本体に大きな負荷がかかるだろうと判断されたものは、自動的に同期が切られ、痛みや苦しみから使用者を保護する。
だから、本体とアンドロイドの思考にはほんの一瞬のラグがある。限りなく0に近いそれは、キヴォトスで最上位の実力を持つ彼女達の前では致命的な隙となる。
「……無駄です。まだこの都市には有り余る程の機械が────」
「ヤヨイ!!!」
絶え間なく響く銃声の中、その声だけは確かにケイ達の耳へと届いた。
「アリス、突撃します!!」
「っ……王女……!」
声がした方へと振り向くと、ヒマリを背負ったアリスがこちらに走って来ている。
この二人は放っていても問題ない。そうわかってはいるのに、目が離せない。煮詰められた感情が、"明星ヒマリ"を無視することを許してくれない。
判断が、鈍る。 - 21主です25/02/15(土) 13:24:26
「まさか、今日負けたくらいで諦めるつもりですか!」
気がつけば、目の前にアリスが迫っていた。
アリスがケイを抑え、ヒマリがヤヨイを抱きかかえる。
「聴こえているのでしょう?戻ってきなさい、明星ヤヨイ!」
"妹"というフィルターを外して、ヤヨイを見る。
ヒマリにとって、初めてこことだった。自分を称え見上げるだけでもなく、仲間として力を合わせるわけでもなく、知恵を乞い願うこともしない……ただ純粋に『超えたい』と思われたのは。
周りには恵まれている。対等な友人も、自慢の妹だって傍にいる。だけど、心のどこかでずっと……少しだけ退屈だと思っていた。
嬉しかった。
ヤヨイに『超える』と言われて。
楽しかった。
あんなに白熱した電脳戦ができて。
だから、こんなところで終わらせるわけにはいかない。
「私に、勝つと言ったじゃないですか!!!」
この気持ちがどうか貴方へと届くように。
明けがかった空に、明けの明星へと願う。 - 22二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 13:42:30
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 13:53:19
皮肉は置いといて投下を楽しもうぜ?
- 24二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 13:53:31
ヒマリが誰かに「超えたい」と心から思われて妹とか関係なく嬉しくなっちゃうの解釈一致だわ
- 25主です25/02/15(土) 14:04:43
「……あ」
目を開くとお姉ちゃんがいた。
現実で目を覚ましたということは、ケイちゃんが"同期"を解いたのだろう。
そのケイちゃんは、視界の端でアリスに揉まれている。私は視線をお姉ちゃんへと戻した。
「お姉ちゃん」
「何ですか?ヤヨイ」
私の太陽へと問う。
「私は、ここにいてもいいのかな……?」
「当たり前です。いてくれなきゃ困ります」
「でも私はいい子じゃないし、トキみたいに強くもないし、お姉ちゃんみたいに頭もよくないよ。今日だってお姉ちゃんに、アリスに、リオ先輩に、先生に……皆に迷惑をかけて……傷つけて……」
──私は、何も成し遂げることができない。
何をやってもうまくいかなくて、何をやっても人より劣っていて、『全知』と謳われる貴方には程遠い。そんな情けない妹だ。
「それでも、私はヤヨイに傍にいてほしいです」
「…………どうして……?」 - 26二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:05:08
この物語の、ケイの、なによりヤヨイの終着点がどうなるのか気になるところさんですよ!!
- 27主です25/02/15(土) 14:06:54
「貴方に『勝つ』と。そう言われたからです」
それは、あまりにも……あまりにも酷な理由だった。
私は確かにお姉ちゃんに勝つと、そう宣言した。……そして負けた。
だがお姉ちゃんは言った。たった一度の負けで諦めるのか、と。私の全力を上回った上でさらに"次"を、そのさらに上を求めているのだ。
「それに、貴方以外ではきっと退屈でしょうから」
「…………ずるいよ」
初めて、明星ヒマリが私を見てくれた。
「私を楽しませてくださいね、ヤヨイ」
理不尽で、残酷で、身勝手な脅迫だ。
あぁ……でも、妹だからとか、愛してるからとか、そんな上っ面だけの理由よりはマシだ。
「うん。ありがとう、ヒマリお姉ちゃん」
私は、お姉ちゃん達の……明星ヒマリの手を取った。 - 28二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:09:15
妹だからとか、愛してるからとか、そんな上っ面だけの理由よりはマシだ
ここ好き。100回くらいイイね!押したい - 29主です25/02/15(土) 14:23:38
一旦投下ストップして、続きは夜に投稿します
それで最後です
みんな感想ありがとう!!もうちょっとだけ付き合ってください!! - 30二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:24:18
一旦おつです
- 31二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:25:39
Hey! 動画化する人へ 人間誰しも誤字脱字くらいあるから出来れば修正してやってくれ!
- 32二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:30:52
後日談とか幕間みたいなのも気になるところね
- 33二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:54:33
このレスは削除されています
- 34二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:58:15
このレスは削除されています
- 35二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 14:59:15
- 36二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:25:30
というかまだケイ以外はヤヨイが黒服の手で過酷な人体実験を受けてたことを知らないんだよな
アイツからしてみたら公正な取引なんだから文句を言われる筋合いはないんだろうけど - 37二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:27:19
- 38二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:39:08
- 39二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 15:40:41
- 40二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:17:35
リンじゃなかったです。カヤです。
- 41二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 16:59:28
いつかミレニアムのイベントみたいに色んな格好のヤヨイちゃんが見てみたい...個人的に白亜の予告状でメイド服姿があったら良いな...
- 42二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 19:47:26
平和に終わったら誰かに描いてもらおう?後日談的なアレで
- 43二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:10:16
- 44二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 21:19:42
- 45二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:26:22
- 46二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:36:54
ヒマリがヤヨイとどう向き合うって言うより、ヤヨイが姉とどう向き合う方が重要なんじゃないか?
実際上難しいとはいえ、正面からぶつかることを避け劣等感拗らせたのは妹の子供っぽさでしかないし、それをヒマリに察しろというのは酷な話だしね - 47二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:46:04
なんかみんなケイちゃんの煽りのエミュ上手くない?
- 48二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 22:47:19
ヤヨイクローン達から口々に今までの鬱憤だとかヒマリの気づいていない事とかの感情ぶつけられたらヒマリ壊れそうな気がするな
- 49二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:05:31
俺は自分に失望した…っ!いい感じの雰囲気になっているのにっ、ヤヨイ本人が納得してるのにっ、憧れが行き過ぎて無力感から恨みや嫌悪に変わっていたから本質はプラスなのは分かっていたのにっ、もっとヤヨイがヒマリへ純粋な悪感情を持っていて欲しいと思ってしまった事に失望した…ッ!!
- 50二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:45:04
- 51二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:45:32
お前ら………w
- 52二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:48:07
ぶっちゃけ投稿まだ終わってないのにこうなったほうが良かっただのああなったほうが好きな展開だっただの書き込んでるやつ失礼すぎない?
- 53二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:48:50
俺は無量空処を食らった宿儺みたいに同期の負荷に耐えきれず目と鼻と口から血が垂れ流れるのを想像してた…
- 54二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:49:23
スレ主が感想書き込んでくれてありがとうって言ってるんだから批判もバンバン書き込むのが正義だろ引っ込んでろ
- 55二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:50:23
スレ主が後日談やバッドエンドイフを余裕があれば書いてくれると明言してるのありがたすぎる…
- 56二次元好きの匿名さん25/02/15(土) 23:57:52
それな、だからこそ私はヤヨイにメイド服を着てもらいヒマリがご主人様って呼ばせようとするイベントの妄想が捗る。
ヒマリ「ヤヨイ、私の事はご主人様って呼んでも良いんですよ」
ヤヨイ(メイド)「嫌だ、大嫌いお姉ちゃん」
ヒマリ「うぐっ...」😇 - 57二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 00:09:56
ヤヨイアンドロイドは、必要とする全てのミレニアム生の隣に居ます。
(私にはヤヨイが居るので必要ありませんね)
「……とか思ってそうな姉にはヤヨイは渡しませんよ」
とかでケイとヒマリが火花を散らす一幕は面白かったね(存在しない記憶) - 58二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 02:00:19