- 1二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:39:47
「うん、ごきげんようミカ。……なんで後ろから抱き着いてるの?」
キョトンとした顔で、彼女が振り返る。
肩越しに見える瞳は純朴な輝きに満ちていた。それを見るたびに、自分が胸の内に秘めた想いがいかに穢れたものかを思い知らされる。
首筋に顔を埋め、深く息を吸う。かすかに花の香りがした。いつもの、アッちゃんの香り。
「じゅーでん☆ アッちゃんパワーをたっぷり吸って、私は動くんだよ?」
「じゃあもっとたくさんくっつかないと。ぎゅーってしておく?」
くるりと体ごと振り向いて、彼女が言った。
現シスターフッドの権力者の血を引き、アリウス分派の領袖として次のティーパーティー入りも噂される絶世の美少女。
私とは二つ離れた幼馴染だった。
「やった、ぎゅーっ」
「ぎゅーっ」
無邪気に笑う彼女に、このまま浚って閉じ込めてしまいたい衝動に駆られる。
私がパテルの長でなかったら、もしかしたらそうしてしまっていたかもしれない。そのくらい、彼女には恐ろしいほどの魅力がある。
トリニティ成立当初、弾圧され秘境に逃げ隠れたアリウス分派。そこから長い時間をかけてトリニティとの和解を成立させ、私たちの時代にはかつての行いはすっかり歴史書の中だけの話になっている。
それでも、旧ユスティナと現アリウス、二つの大きな組織にとっての重要人物として、依然としてアッちゃん──秤アツコには強い影響力が残っていた。
もっとも、私が彼女に惹かれているのは、そんな権力がどうのと言ったことではないけれど。
「……いよし、充電完了~☆ ありがと、アッちゃん。今日はナギちゃんたちとお茶会だけど、アッちゃんも来るんだよね?」
「うん、美味しいスコーンを焼いていくね。ミカの好きな奴もいっぱい持っていくから」
「えへへ、やった。さっすが私のお姫様!」
「ふふ、ミカのお姫様なら私幸せ者だね」
嬉しそうに笑う姿に、ずきりと胸が痛む。
きっと、特別な意味などない。幼馴染として、友人として、ただのじゃれ合いなんだから。
だから、この想いは表に出してはいけない。別々の派閥の長同士、同性の友人同士、大事なこの関係を崩したくなくて。
私は今日もおどけてみせる。かみさま、どうか私の想いが伝わってしまいませんように。そう祈りながら。 - 2二次元好きの匿名さん25/02/16(日) 17:48:36
アツコの儚そうな仕草にどぎまぎしているミカに押せ押せアツコからガン攻めアプローチをですね