[オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….3

  • 1125/02/16(日) 23:28:12

    前スレあらすじ


    既に廃校となったルイスパリッシュ統合学園にて

    いなくなった友達を探しに迷い込んでしまった先生とマナ

    唯一の手掛かりを見つけ、次の目的地であるセイブル地区に赴く。


    デルタ地区を抜ける途中、傷ついた牛が泣いていた。

    「次も同じ場所に行ったら、鳴いてるんだよ…眠らせた時と同じ、抉った腹を晒しながら

     苦しげな声を上げてさ。それを見てオレ達の誰かが言った…ここは時間が止まった悪夢だって。」


    夜のルイスパリッシュで先生を危険な地に同行させる理由を知る

    ここの特異な現象と相まって、私達だけの発信では限界があるって、だから…」

    "シャーレ、ひいては連邦生徒会の公的機関である、私の立場を使おうと…?"


    辿り着いたセイブル地区に迷い込んでいた見知った生徒

    「せ、先生!」

    「先生、どうしてここに…?」

    "無事でよかった…アズサ、ヒフミ。"


    陽が差し込む闇の中で

    黒い蛾の集合体、アサシンが刃を向ける。

    「撃ってアズサちゃん!」

    一発の銃弾がアサシンの頭を貫き

    ぽろぽろとその体が、煤の様な黒い物体となり崩れていく。

    「Vanitas vanitatum…」

    聖句が唱え終わるとともに、アサシンは完全に崩れ落ちた。


    と言う感じのイベスト概念?ssスレです。

    前スレ

    [オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….2|あにまん掲示板あらすじトリニティに来ていた先生に入った報せ、ブラックマーケットに行きたがっている生徒がいると聞き話を聞くことに「と、友達を探しているんです… トリニティに入学前にいなくなった友達を…」友達を探してい…bbs.animanch.com
  • 2125/02/16(日) 23:30:30

    人物・組織


    「シャーレ」

    先生

    言わずと知れたシャーレの先生

    生徒の頼みを聞き、廃校となった呪われた学園へと

    友達探しを手伝うことになる。


    「トリニティ」

    日向マナ

    トリニティ総合学園1年生

    入学数か月前にいなくなった友達を探しに

    呪われた学園へと関わっていく。

    本人の特技として、"夜目"が効くとのこと。


    使用銃器

  • 3125/02/16(日) 23:32:37

    [ルイスパリッシュ観光協会]

    周藤リコ

    ルイスパリッシュ観光協会の協会長

    本人曰くお飾り会長

    迷い込んだ先生とマナを歓迎し力を貸す。


    木ノ下サヨコ

    観光協会の実質的なNo.2でまとめ役

    迷い込んだ先生とマナが最初に会った協会員

    キヴォトスでは珍しく槍を使う。

    現ミレニアムサイエンススクール2年生。


    使用銃器


    籔島ニィナ

    迷い込んだ先生とマナが最初に出会った協会員の一人

    平坦で間延びした口調が特徴的な現ヴァルキューレ警察学校2年生。


    使用銃器

  • 4125/02/16(日) 23:35:22

    >>3

    山城リリ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている。

    明るく快活な人物だが、鉄道復興の想いは強い。

    現ゲヘナ学園2年生、ゲヘナでも小さな鉄道を営んでいる

    前スレ53が考案してくれた生徒


    使用銃器


    桂城スズ

    ルイスパリッシュ観光協会で鉄道復旧委員会をやっている

    黒い狼耳が特徴的な長身スレンダーな現ゲヘナ学園2年生

    前スレ85が考案してくれた生徒


    一五呂イコ

    ルイスパリッシュ観光協会で広報を担当している、現トリニティ総合学園3年生。

    丁寧な口調だが、言葉に含みを持たせがちな天然のカッコつけ


    「???」

    三木クシロ

    いなくなってしまったマナの友達

    ようやく見つかった日記にて、闇の中に呼ばれてしまっているようである。


    「ルイスパリッシュ統合学園」

    三つの学園が一つに統合されてできた学園で

    三大校に匹敵するとも言われていたが、

    突如現れた異形達により学園が荒廃、尽力及ばず土地ごと閉鎖という

    異例の措置をもって閉校となった。

    在籍していた生徒たちは例外なく他行へ編入している。

  • 5125/02/16(日) 23:36:58
  • 6125/02/16(日) 23:38:29

    アズサが最後に放った弾丸が決め手となって
    ひとまず、ターゲットの沈静化には成功した。
    また、なにか手掛かりがみつかるかもしれないと
    考えていると、サヨコは膝から力が抜けるのを
    槍を杖代わりにして堪えている。
    私とリリはすぐさま、サヨコに手を貸す。

    "やっぱり…"
    「ヒルでしょ、サヨコちゃん。
     吸われてなきゃ、あそこで肉頭が来るわけないし。」
    「…軽い貧血だよ。」
    「その状態で二手に分かれてたら、
     ホントに駄目になるかもしれなかったんだからね!」
    "リリの言うとおりだよ。
    君はヒフミたちとマナ、両方の望みを聞こうとしていたんだろうけど
    だからと言って君自身を蔑ろにしてはいけないよ。"

    俯いて小さく頷くサヨコを見て、安心したのもつかの間
    ヒフミの困惑した声が聞こえ、そっちを見ると
    心ここにあらずといったマナが、何かを呟きながら覚束ない足取りで歩いている。

  • 7125/02/16(日) 23:39:01

    「光が…目の前に…クシロ、なの……?」
    「マナちゃん、どうしたんですか?」
    「マナ、大丈夫か?」
    「あっ、ま、待って!」

    マナは心配する二人を置き去りにして走り出してしまった。

    「マナ!」
    「ちょっ、サヨコちゃん
     激しい動きしちゃダメだって。」
    「私達で追いかけます!」
    "お願い、ヒフミ、アズサ。"

    闇の中で、ずっと追い求めていた光がマナの先を歩く。
    がむしゃらに届きそうで届かない光を追う。

    「待って…待って、クシロ…」

    いくら呼びかけても、それは止まることも
    捕まえることもできず、まるでそういう遊びのように
    マナの先をゆらゆらと行く。

  • 8125/02/16(日) 23:39:39

    走るごとに息が吐き出され、思考が単調化していくのをマナは感じている。
    追いかけなきゃ、見つけなきゃ、クシロを…マナの頭はそれだけになっていき
    先程までいた貨物倉庫から飛び出していることも
    暗視をしていないのに闇が見えていることにも気づかず…
    1つの考えに支配されている頭に、誰かの呼ぶ声が聞こえてくる。
    誰の声だっけ…今は、光を追わなきゃ…けど、どんどん大きくなる。
    マナは次第に大きくなる声の主が気になり始め…
    気が付いたらアズサがマナの肩を掴んで呼びかけていた。

    「マナ!しっかりしろ、マナ!」
    「はっ……あ、アズ、サ…先輩?」
    「やっと止まってくれました…」
    「ヒ、ヒフミ先輩…、えっ…私、いったい…」
    「もう、急に走り出してびっくりしたんですよ!?」

    アズサの目を見ると、その通りと言わんばかりに無言で頷かれる。
    我に返り、纏まらない思考で先程の光は何だったのか、
    問うようにマナは改めて暗視を使った。
    光は既に目の前に無く、遠く離れた場所を再び刺している。
    暗視を解除したマナは、あの光はクシロだったの…?と
    不思議がっていると、足元に小さく光るものが落ちているのを見つける。

  • 9125/02/16(日) 23:40:14

    「これ…」

    マナは拾い上げたそれを見ると固まった。

    「これって、十字架…ですか?」

    ヒフミの問いに頷いて返すと
    マナは小さく手を震わせながら、腰に差している散弾銃を取り出す。
    散弾銃のグリップに点けた酷似したデザインの十字のアクセサリーが揺れる。

    「クシロと…い、一緒に買った…十字の、アクセサリー…
     なんで…ここ、に…」
    「…マナ、ひとまず戻ろう。
     先生も心配している。」

    マナは静かに頷くと、ヒフミたちに連れられ
    力なく来た道を戻る。
    沈みゆく空気の中、マナは包みこむように握りこんだ
    お揃いのアクセサリーを手の中で感じながら
    まだ見つからない友達に想いを馳せた。

  • 10125/02/16(日) 23:40:53

    "マナ、大丈夫だった?"
    「……。」

    アズサとヒフミに連れられて戻ってきたマナは
    意気消沈といった様子で、力なく頷いた。
    ヒフミに聞いてみると、どうやらまたマナと友達に関する物が
    見つかったらしい。

    「ふぅ…浄化終わり。」

    倒したアサシンを浄化し終えたリリはその跡から、証拠を回収している…
    そういえば、クシロの日記はターゲットの跡から見つかった。
    だが、今回は離れたところで見つかっている。
    ターゲットとマナが見ている光は同一ではない可能性はずっと考えていた。
    マナやサヨコたちルイスパリッシュの生徒達によると、暗視で見える光は
    自分が探したい物、探している物…ターゲットという異形も彼女らには光として把握できる
    探し物自体がそれを理解していたら…?暗い深海で魚が自身を疑似餌にするみたいに……

  • 11125/02/16(日) 23:41:19

    ぐるぐると思考の海に潜りそうになるのを
    サヨコとリリの会話が引き戻す。

    「オレはここで体調が戻るまで休んでるから
     早く駅舎に戻って。」
    「駄目、全員で戻るの。
     第一、観測所が近くにあればいいけど
     こんな連絡手段も無い場所で一人で過ごそうだなんて
     サヨコちゃんも危険性は分かってるでしょ。」

    貧血でダウンしているサヨコは自分を置いて
    5人で戻れと言っているのを、リリは断固として拒否している。
    5人で戻るのは私も反対だ。
    時間はかかるが、私が彼女を背負って観測所までいければと
    提案するのを思考がぐっと押しとどめる。
    私は新たに生まれた小さな疑問をリリに聞いてみた。

    "リリ、ここは線路が走ってるよね?"
    「えっ、うん、そうだよ先生…待って、線路…?」

    線路という発言に、リリはしばし考え込むと
    何か思いついたのか急に明るい声で捲し立てた。

  • 12125/02/16(日) 23:41:55

    「そうだよ線路だよ、先生!あーしとしたことが気づかなかったなんて…
     大丈夫、セイブルに来た時よりも早く帰れるかも。
     アズサちゃん、ちょっと手伝ってくれる?」

    すぐ戻ってくるから!と、リリはアズサを連れて
    倉庫から駆け出していった。

    暫くすると、ビリビリと小さく建物が揺れているのが床越しに伝わってくる。
    全員、一つに固まって警戒していると、サヨコの無線に連絡が入ったらしい。
    サヨコは一階に降りるように伝える。
    サヨコに肩を貸して、全員で一階に降りた。
    線路から離れるよう言われ、待っていると
    どんどん揺れと音が大きく、地面から伝わってくる。

    「そろそろ来るって。」
    「来るって、も、もしかして…」
    "うん、多分、想像通りだよ。"

    ピィーっという甲高い警笛と共に
    倉庫に這う線路の上を車輪を滑り止める音とともに
    私達の目の前にそれは現れた。

  • 13125/02/16(日) 23:42:20

    「待たせたね、みんな!
     セイブル観光トロッコ、非常事態により緊急出発!」
    「音に引き寄せられて、人影がこっちに寄ってくるのが見えた。
     先生達も早く乗って。」

    一両の客車をけん引した通常の列車よりも一回り小型の
    機関車からリリとアズサが顔を出す。
    私達は、異形に気づかれる前に急いで乗り込んだ。

    「前ヨシ!後ろヨシ!デルタ地区へ出発いたしまーす!」

    リリの号令と共に、響くような振動を震わせて
    私達を乗せた機関車は動き出した。

  • 14125/02/16(日) 23:43:01

    "すごい、こんなものがあるなんて…"
    「でしょ?あーしもすっかり忘れてたんだけど、
     さっきまでいた炭坑はもう活動していなくてさ。
     採掘用に使っていた線路を使って、観光用の順路にしようって計画されていたんだ。
     で、走る予定だったのが同じく採掘用に使われていたこの子。
     また走れたみたいで良かったぁ…」

    計器が埋め込まれたパネルを撫でながら
    安堵したようにリリは語る。
    ガタゴトと少し荒々しく揺れながら、
    窓から流れる景色は移ろう時のように
    ゆるやかに変わっていく。
    それにしても…

    "やっぱり、こういう機械の操作盤はかっこいいね。"
    「おっ、先生も分かる?いやぁ~、いいよね。
     レバーを通して伝わる油圧の感覚、震える計器
     この数畳のスペースにぎっちり詰まってるのが堪らないよね!」

    リリから運転席の説明を聞いていると
    あっ、と思い出したように突然話を変えた。

    「そうそう、こっちが燃料計だけど、
     今ギリギリしかないからデルタ地区近くまでしか持たないんだ。」
    "…えっ?"

  • 15125/02/16(日) 23:43:44

    「わぁ!アズサちゃん、風が気持ちいですよ。」
    「あぁ…しかしこう見るとルイスパリッシュはとてもきれいな場所だな。
     さっきまで見ていた光景が嘘みたい。」

    ある意味衝撃的な発言を聞いた後、
    客車に戻るとアズサとヒフミが
    列車からの景色を楽しんでいた。
    隣の席には、横になっているサヨコと
    俯き静かに座っているマナがいた。
    私はマナの隣に座る。

    マナはずっと、手の中の小さな十字を見つめていた。

    "マナ、それって…"
    「……は、はい、私の、お守りに着けているものと
     いっしょです…以前、クシロと一緒におそろいのを買って…」
    「…せ、先生、少し考えて、しまうんです……
     クシロは、も、もう…いないんじゃないかって、けど…それよりも…
     これを見つけた時、強くよぎったんです…ク、クシロは私を…き、嫌っているんじゃないかなって…」

    あの日記を見ても、クシロという子はマナに悪感情を抱いている訳じゃない。
    会ったことのない私からしたら憶測以外の何物でもないけれど、それは違うと言おうとした瞬間
    列車がガタンと強く撥ねた。

  • 16125/02/16(日) 23:44:13

    『ごめん、線路上の異形を引いたみたい。
     みんな、大丈夫?』

    天井に設置された拡声器から、リリの声が聞こえる。
    サヨコは無線で大丈夫と代わりに答える。
    リリは、この先も揺れるかもしれないから注意してねと残し
    拡声器を切った。

    サヨコはマナにボルトと小さな包みをマナに投げ渡した。

    「考えるのは良いことだ…けど煮詰めるのは良いとはいえない。
     この先の分岐点を無理矢理動かすために火薬の調整をする必要がある…
     頼める…マナ。」
    「……は、はい。」

    マナは席を立って、後ろの座席に移動した。

    "ありがとう、サヨコ。"
    「ま、ね…」

    ふぅっ…とサヨコが一息つくと
    無線が入ったようで通話を入れた。

  • 17125/02/16(日) 23:44:50

    「はい、こちらサヨコ……スズ?
     車輪の音がする?
     そ、迷い込んだ他校の生徒を連れて
     使われてなかった機関車でデルタ地区まで向かってる。
     会長は?…手が離せない、そう…えっ、向かう!?
     何言ってるのスズ…スズ?」
    「……スズは?飛び出していった…?
     分かった。状況は聞いてる…うん、了解。
     そっちもお願い…オーバー。」
    "なんか慌てていたみたいだけど"
    「スズが駅から飛び出したみたい…一応他の協会員に引継ぎはしたから
     たぶん、大丈夫…。」

    時折、ガタンと撥ねることはあっても
    特にトラブルも無く列車は線路を走る。
    拡声器からリリが分岐点の近くに来たことを知らせる。

    『そろそろ分岐点が見えるよ、準備は出来てる?』
    「いま、行く。」

    起き上がろうとしたサヨコを
    アズサが引き留める。

    「私が代わりにやる、要はグレネードランチャーだろう。」
    「いや、オレが……分かった、お願い。
     リリ、ボルトは?」
    「は、はい、出来て…ます。」

  • 18125/02/16(日) 23:45:48

    アズサはサヨコとリリから槍とボルトを預かると
    機関車と客車の間を抜けて屋根に上がる。
    事前に教えてもらっていた線路の分岐、
    その間に備えられた人一人分程の大型レバーに狙いを合わせる。
    静かに息を吐き出し、狙いの精度を上げていく。
    列車が緩やかなカーブに差し掛かり視界が開けた瞬間…ボルトが放たれた。

    放物線を描き高く飛び上がったボルトは、先端が下を向くにつれ
    狙いを定めたカワセミのように、急降下していく…そして、
    レバーの根元に突き刺さった。
    アズサは屋根の適当な取っ手につかまり身を低くする。
    合わせたように爆発音が響く、アズサは衝撃から身を守り
    すぐさまレバーを確認する。
    威力が強すぎたのかレバーは途中で折れていたが、しっかりと分岐方向に倒されていた。

    『まもなく、デルタ地区、デルタ地区に到着しまーす!
     アズサちゃん、ヒフミちゃんもう少しだよ。』

  • 19125/02/16(日) 23:46:30

    無事、線路の分岐に成功し私達はデルタ地区まで戻ってきていた。

    "ありがとう、アズサ。"
    「オレからもありがとう、助かった。」
    「やれることをしただけだ、先生、サヨコ。」

    皆でアズサを労う。
    アズサとヒフミにとっては今日は長い一日になったと思う。
    ゴールはすぐそこだ、だけどまだ気は抜けない。
    リリが停車のアナウンスをして数秒後、機関車の速度がどんどん落ちてきて
    ガクンと揺れた。

    『デルタ地区、デルタ地区です、足元にお気を付けて降車してね。』

    駅ではなく、まだ線路途中の地点で停車した列車から
    異形が来ていないか警戒しながら降りる。
    いまだ貧血気味のサヨコをゆっくり降ろす。
    リリは機関車の確認を終えてから降りるとのことで
    私達は、異形が集まる前に即座に機関車から離れた。

    "アズサはリリの援護、マナとヒフミは周辺の警戒をお願い。"
    「了解した。」
    「は、はい…!」
    「分かりました。」

  • 20125/02/16(日) 23:46:52

    現状、機関車周辺に異形の影は見えない。
    リリが体を出した瞬間、アロナから走ってくるなにかが近づいてくると警告が入る。
    シッテムの箱に表示された方向を見ると、機関車がたどった線路を沿うように
    頭部が白骨化した全身隅のように黒い細身の人型の異形が猛追してきている。

    「異常者…こんな時に、どうする?
     一度撃って足を止めるか…いや、炎が引火するかも…」
    "サヨコ、まずは無線を…サヨコ!"

    貧血のせいか、正常な判断が難しくなっているサヨコ。
    サヨコの言葉によると、あの異形を撃つと炎が出るらしい…
    どうすれば、アズサも会話を聞いていたのかいつでも撃てるように
    指をかけている。

    リリは未だ気づかず、異形との距離もどんどん近くなっていく…
    アズサに撃つように指示しようとした瞬間、私達の後ろを
    黒い影が通り過ぎた。

  • 21125/02/16(日) 23:47:18

    "今のは、スズ…?"

    黒い影もといスズは速度を落とすことなく
    異形に向かい、左手でリボルバーを抜き
    シリンダーが2回まわる。
    弾丸を浴びた異形は、自分を抱くように腕を交差させ
    縮こまると周囲に火の粉のような赤い粒子が見える。
    あれが、炎…?
    スズは気にせず脚に力を込め、両手に構えたショットガンごと
    異形に近づき、ゼロ距離で引き金を引いた。
    異形は次の段階に移ることも無く、頭を粉砕されて沈静化した。

    リリは銃声で異形に気づいたらしく、振り向くと既に事は終わっていた。

    「えっ、スズちゃん…!?」
    「リリ、無事?」
    「ぶ、無事だけど…」
    「良かった。」
    「うわっ…!ちょっと苦しいよ、スズちゃん。」

    私達の目の前で、スズはリリを抱きしめる。
    身長差から完全にリリを覆ってしまっていたが
    リリもスズも気にしていないようだ。

  • 22125/02/16(日) 23:48:36

    「あわわ…だ、大胆ですね…」
    「おぉ…コハルはあれをしようとすると
     すぐ逃げるんだ。」
    「た、ただの…ハグ、ですよね…?」

    抱きしめあってる2人の前に、ふらつく足取りでサヨコが近寄った。

    「来てくれて助かった、けど…スキンシップは後でね。」
    「あっ、サヨコ…大丈夫か?無線の時、声が落ち込んでた。」
    「ヒルに餌を上げ過ぎた…。」

    私達も彼女達に合流する、スズ曰く先行して駆け付けたけど
    機関車を動かしたこともキチンと伝えている。
    協会はやむを得ない事態であること、協会本部からまだ影響の無い範囲ということもあって、
    周辺の調査を強化する事に決めたという。

    「それくらいしか俺たちにはできる事はないからな。」
    「悲しいことにね…」
    「ま、そういうこと。
     他の異形が来る前に協会本部に戻ろう。」

    シッテムの箱で周辺の異形を確認しながら
    私達は、安全を確保しながら観光協会の本部に戻った。

  • 23125/02/16(日) 23:49:05

    「おかえりぃ、みんな。
     疲れただろう、そちらのトリニティのお嬢さんたちも。
     ひとまず、お疲れ様だよぉ。」

    出迎えてくれたリコは普段と違い、
    エプロン姿で私達に労いの言葉をかける。

    "り…リコ…?"

    正直、今まで外で起きていたことから
    場違いともいえる格好のリコに思わず困惑の声が出る。

    「ん?あぁ…この格好かい?
     ちょっとルイシアンから回収した物があってねぇ…
     まぁ、見てもらった方がはやいかねぇ。」

    リコの後ろから同じくエプロンを付けた
    アズサと同じくらいの身長の濃いピンク髪の生徒が顔を出した。

  • 24125/02/16(日) 23:50:17

    「帰ってきてたんですか。
     しかも、後輩達も一緒じゃないですか。」
    "君は?"
    「先生とは、ちゃんとした挨拶がまだでしたね。
     私は一五呂イコ、ルイスパリッシュ観光協会で広報を担当しています。
     今はトリニティのいち生徒です。」

    セイブルで聞いていた、イコ先輩本人から
    丁寧にあいさつされる。
    私も改めて挨拶しなおし、マナを含めたトリニティに通うヒフミたちは
    イコが3年と知り、かしこまった態度でお辞儀をするのをイコが止める。

    「会長、強壮剤とかありますか。」
    「あったとしても、人前には出さないよぉ。」
    「じゃあ、これとかどうですか?」

    貧血のサヨコの申し出に、イコは代替案を文字通り出した。

    「はい、栄養満点の成長剤だぜ。」
    「……ま、いいか。」

    たっぷりの瓶牛乳をサヨコはためらいなく流し込む。

    「君達の話を聞きたいけど、疲れてお腹も減ってるだろうしねぇ
     丁度いいから、食べながら聞こうかねぇ…。」

  • 25125/02/16(日) 23:50:49

    リコとイコに案内されて、私達は駅舎内の広間に通される。
    先に座るように促されて座って待っていると
    リコとイコがパンとスープを配膳してくれた。

    「ルイシアンに調査に行ってくれてた子達が
     使えそうな物をいくつか持ち帰ってくれてねぇ。
     その中にサワードウがあったから久々に作ってみたんだよぉ。」
    「そっちはオクラとトマトとチキンブイヨンのスープです。
     トリニティの後輩にこれくらしかもてなせなくてごめんね。」
    「いえ、とんでもないです!」
    「あぁ、むしろありがたいくらいだ。」

    みんなでテーブルを囲んで手を合わせ、ありがたく食事を頂く。

  • 26125/02/16(日) 23:51:30

    まずは、丸々とした薄茶色のパンを手で一口大にちぎる。
    焼きたてのパンからは割けたとこから、湯気が昇り酸味がある香りがほのかに立ち上がる。
    口に運び咀嚼してみると、普段口にするパンと比べて甘さよりも酸味が目立つ風味
    強いもっちりとした弾力と詰まった生地、だけど噛めば噛むほどほんのりとした甘みが顔を出す
    野性的だけど優しい味わいだ。

    次に口の中の水分を補給するためにスープに口を付ける。
    鶏とトマトの強いうま味が駆け抜けるが、溶けた野菜の甘みと
    オクラのとろみが後味をまろやかにしてくれる。
    ちぎったパンを付けて食べてみてみれば酸味が味変として役立ち
    ふやけたパンも食べやすくより美味しく食べれる。

    「お、美味しい……。」

    隣に座ったマナがしんみりと呟く。
    あれから、ずっと元気がなかったけど
    少しは回復したみたいで良かった。
    目の前に座っていたリコも微笑んでこちらを見ていた。

    「不思議な味のパンだ、美味しい。」
    「初めての味ですけど美味しいですね、アズサちゃん。」
    「喜んで頂けて良かったです。」

    「あぁ~、懐かしいなぁ…この味。」
    「探せば同じパンは売ってるけど、味は売ってないからね。」

    ヒフミたちは珍しい味を楽しみ、サヨコとリリは懐かしの味に舌鼓を打っていた。

  • 27125/02/16(日) 23:52:00

    ひととおりパンとスープを楽しんだ後、私はリコに今回の事の仔細を説明した。

    「なるほどねぇ…ターゲットとお嬢さんが見ている光は別…ねぇ。
     そして、その十字のアクセサリーが光が落としていったものかい?」
    「はい…。」
    「前回はノートでしたよね?
     今回はアクセサリー、マナさんの友達のもの以外という
     共通点は見当たりませんね。」

    クシロの証拠は出るが、理由という一点だけは
    未だに謎のまま、アズサとヒフミは追加して
    マナが光を追っていったことを話した。

    「その時、暗視は?」
    「つ、使っていません…けど、そ、その時は闇の中しか
     見えませんでした…。」

    ルイスパリッシュの生徒のみが使える暗視…
    不確定で不確実なもののみが積み重なって
    いまいち、これらの事象が像として結びつかない。
    だが、前回、今回と何かが引っかかる気がする…
    思考で静かになった広間でアズサがポツリと呟いた。

  • 28125/02/16(日) 23:53:07

    「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている…」
    「あ、このまえのテストでハナコちゃんが教えてくれたことですね。」
    「うん、戦場だと被害を増やすために敵の所持品をあえて残すこともある。
     誰かが物品を漁っている時は、他の誰かがその機会を狙っている…。」
    「あはは、あってるような、間違ってるような…」
    「む、そうなのか?」

    要はミイラ取りがミイラになる、けど
    アズサの発言的には囮の事をさしてるようにも聞こえる。
    マナが見える光…そこから落とされる物…

    「日記は記憶…アクセサリーは思い出…ねぇ…」

    連想ゲームのようにリコが繋げた言葉に
    私は思わず脳裏によぎった言葉を声に出す。

    "クシロの…いや、マナとの繋がりを捨て去ろうとしている?"

    「っ!」

    不意に出てしまった言葉に自分を殴りたくなる。
    例え推測だとしても、横にいるマナに聞かせるべき言葉では無かった。

  • 29125/02/16(日) 23:53:31

    マナは俯いた後、急に残ったパンとスープを口に入れ飲み干した。
    突然の行動に呆然としていると、マナは問いかけた。

    「クシロは、わ、私を嫌いだから…私との繋がりを、断とうとしているのを
     ひ、否定はできません…けれど、それでもクシロに会えるまで…
     会って話を聞くまで、探すのを止めません。
     た、例えクシロが私を嫌っていても、本当はもう…いなくなっていたとしても
     諦める理由にはなりませんから…そ、そうですね、アズサ先輩…。」
    「あぁ…もちろんだ!マナ。」

    決意を再確認したマナには強い意志を感じる瞳が宿っていた。
    私は生徒をちゃんと見ていなかったのかと自分を恥じる。
    やっぱり、マナは強い子だ。

  • 30125/02/16(日) 23:54:00

    「悪いねぇ先生、お皿洗い手伝ってもらっちゃって…」
    "気にしないで、リコ達にはお世話になってるからね。
    これぐらいはさせて欲しいな。"
    「いやぁ、お客様にこんなことさせるのは
     さすがに忍びないよぉ。」

    食事をごちそうになった代わりに
    使った食器の皿洗いを手伝う。
    冷たい水が、汚れと泡を次々に流す。

  • 31125/02/16(日) 23:54:30

    「先生…ルイスパリッシュは暗視といい
     いま起きている異形達と言い、ぼくが言うのもなんだけど
     不可思議なことばっかりだよねぇ…」
    「他の協会の子たちは、どう思ってるか分からないけどねぇ
     ぼくは自然に近いものだと思っているよぉ。
     どうしようもない理不尽も可能な限り人の手で対処できるかもしれない
     小さな希望を自然と言う言葉に押し込めて
     現実逃避していると言われれば…それまでだけどねぇ…」

    カチャリと洗い終わった皿が重なり上がる。

  • 32125/02/16(日) 23:55:42

    「今日の事で、ひとつだけ分かったことがある…
     今まで、あの闇から来た者たちには敵意があった…敵意しかなかった…
     けれど…明らかに今起きていることには、"悪意"が垣間見えるよぉ…」
    "敵意じゃなくて…悪意…"

    リコは静かに頷く。
    語られた考察は流れる水のように
    スッと私の中に入っていき信憑性を強める。

    水の冷たさは未だ体温に馴染まず
    相反した感情を持たせる。

    私は、リコが最初に言った「お客さん」という言葉が
    流れることなく陰りとなって頭の中に残り続けた。
    洗っていた皿は泡も汚れも見当たらず水滴が白の表面を伝っていく。


    To Be Continued…

  • 33125/02/16(日) 23:57:49

    更新終わり。
    はぁ…長くなり過ぎた。というわけで、物語は佳境に入ります。
    セイブルよりかは尺的にさっぱりとした話になるかもしれません。

    また、次の更新まで長くなるかも…

  • 34二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 00:18:52

    お疲れ様ですよ
    謎が謎を呼ぶ…
    物語は佳境へと進むわけですが
    果たしてルイスパリッシュは、そしてマナちゃん達はどうなるのか
    楽しみですね!

    何気にトロッコ列車の機関車はラピュタに出て来た可愛い箱形の機関車を想像しちゃいました(彼方は蒸気機関車でしたけど)

  • 35二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 08:19:35

    物騒だ

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 17:56:11

    光に導かれたマナはアズサが止めなかったら危ない感じだったかな?

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/17(月) 23:48:44

    サヨコは前スレでヒルに血を吸われて貧血になったけど、あの時はそうしないと密猟者をどうにかできなかったから仕方ないね

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 09:10:35

    このレスは削除されています

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 18:37:00

    セイブル地区でもマナの友人、クシロは見つからなかったか

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/18(火) 23:27:54

    観光トロッコを使って帰れるのは時間短縮になっていいね

  • 41125/02/19(水) 01:42:45

    陽射しの気持ちい晴天のある日、
    ルイスパリッシュ観光協会の駅舎の表で
    清潔なござを引いて、3人の協会員が
    大小複数のナイフを広げているのを見つけた先生は声をかける。

    "やぁ、なにをしているのかな。"
    「あっ、先生、こんにちは。」
    「こんにちは、先生。
     いま、装備の手入れをしているんです。」
    「最近、通ってる学校が忙しくて
     顔を出せてなかったから、今日にまとめてやっちゃおうって。」

    鈍く光を反射する抜身のナイフを見せながら
    研磨道具を準備する生徒達。
    ふと、先生はとある疑問を口にした。

    "やっぱり、他のルイスパリッシュの生徒達も
    異形に対処するためにナイフが必須なんだね。"

    サヨコとリコを思い浮かべながら言った言葉に
    即座に否定が入る。

    「先生、アレといっしょにしないでください。」
    "あ…アレって…。"
    「あのですねぇ先生、ルイスパリッシュでは音を出さないように動くのが常とはいえ
     ここはキヴォトスですよ?なにかあったら、コレの方が早いし安全に決まってるじゃないですか。」

    指をピストルの形にして何度も撃つ。
    それに同調し何度も頷きながら、1人が語る。

  • 42125/02/19(水) 01:43:22

    「確かに私達もナイフ使って倒したりしますけど…
     基本的に奇襲時であって、正面きって挑むことはほとんどないよ。」
    「むしろ、銃持ってるのにメインで刀と槍使ってるあっちが異常なんです。
     普通にサブか予備ですよ。」
    「ルイスパリッシュは自然多いから、廃校になる前から
     もしもの時用に持ってる人もいたので馴染みはあるけどさぁ。
     だからってクマに遭遇したら、ナイフでやってやろうとは思わないでしょ。」

    矢継ぎ早に繰り出される言葉の応酬に先生はたじたじになる。

    "じゃ、じゃあ…なんでリコとサヨコは刀と槍を?"
    「それはなんとも…まぁ、おかしいけど、ここだと音が最小限で
     弾の消費が抑えられるってのはかなりのアドだからね。」
    「そのためって訳じゃないけど、
     うちだと銃剣とか近接を想定したカスタムも結構あるよね。」
    「迷走してるんじゃないかってのもある気がするけど…
     使い勝手に関しては…まぁ、人による…かな…?
     少なくとも私は、ナイフ持った方がいいなって思った。」

    近接想定のカスタムという言葉に
    個人的な興味が湧いた先生は話を掘ってみる。

  • 43125/02/19(水) 01:43:59

    "例えばどんな装備を施しているの?"
    「そうだなぁ、銃身切ったライフル銃があるんだけど
     反動きついし次弾まで微妙に時間かかるから、
     グリップエンドにメイスを取り付けたのとか?」
    「それ使ったことある、使うたびに持ち替えなきゃいけないから面倒だった。」
    「無難に銃剣つけることもあれば、斧とか取り付けてたね、散弾銃に。」
    「私、未だに分からないのがハンドガンのグリップエンドにナイフつけてるのと
     ライフルのストックに刃付けたのはちょっと理解が追い付かない…。」

    各々、特徴的な仕様を語りあってるなか
    先生はまたも疑問を口にする。

    "そういえば、ニィナはナイフじゃなくて
    ナックルダスターを使うよね…もしかしてそれも"
    「はい…変です。」
    「私としては論外。」
    「そうかなぁ、結構便利だけど。」

    同意が続く中、最後の一人が爆弾発言を落とした。

  • 44125/02/19(水) 01:44:23

    「正気かお前?」
    「えっ、ひどい…けど、会長やサヨコみたいに
     メインで使ってるわけじゃないからね。
     ほら、見てこれ。」

    彼女が取り出したリボルバーにはトリガーガードから
    グリップエンドにかけて護拳のように、ナックルダスターが取り付けられていた。

    「うわぁ…」
    「えぇ…」
    「結構いいよ?
     近づかれたら、そのまま殴ればいいもん。」

    合理的に見えるが、彼女達の感情面は追い付かない。
    先生だけは実物の複合武器(マルチプルウェポン)に軽く目を輝かせていた。

    「ま、まぁ…こんなところかなぁ。」
    「あけすけと色々言ったけど、重宝してるといえばしてるし
     ただ一つ重大な欠点を言うと…」

    勿体ぶりながら、先生にとってはロマンあるそれの
    欠点を彼女は語った。

  • 45125/02/19(水) 01:44:59

    「ほら銃って私達にとって、肌身離さず持ってるものだからさ
     それ持ったのに気づかないまま、外にでちゃうの…」
    「うん……いや、それお前だけだよ。」
    「いーや!絶対、私以外にもやってるね!」
    "それ、大丈夫だったの?"
    「外に出てさ、しばらくしたら後ろから
     すいません、その銃は…って声かけられるじゃん?
     銃見るじゃん?でかでかと主張する刃物が見えるじゃん?」

    あっ、終わった…といいながら手首を合わせて
    手錠をかけられたジェスチャーをした。

    "捕まったの!?"
    「声かけてきたのはニィナだったので事なきを得ましたよ、先生。」
    「こっちはめっちゃ焦ったのに、アイツ半笑いだったんだぞ!」
    「持つべきものは公権力の身内…はっきりわかるね…。」

    1人自爆した彼女は、話題を変えるように話し出す。

  • 46125/02/19(水) 01:45:56

    「と、ところで、会長とサヨコが一番異質だけど
     先生は会長が廃校前から刀を使ってたのは知ってた?」
    "えっ…そうなの?"
    「そうだよ、サヨコは廃校になった後に
     うちにあるハープーンガンっていうのを改造して、あの槍にしたし。」
    「入学当初から使ってたとか言われてるけど
     詳細は誰も知らないんじゃない?」
    「会長と刀に着いては逸話はいくつかあるけど
    そのなかでも面白い話があってさ…会長は刀で散弾を全て防いだって話があるんだ。」
    "刀で!?"
    「そう、刀1本で。」

    そんなことある訳ないのにねぇと生徒3人はけらけら笑う。

    「会長もあんな人だから、この話を信じるか信じないかは…」




    「あなた次第って事ですね、先生。」

    突如背後から帰ってきた続きに全員が振り返る。
    そこには、茶目っ気ある笑顔で佇むイコが
    バットを肩にかけて立っていた。

  • 47125/02/19(水) 01:46:30

    "こんにちは、イコ。"
    「なんの用、イコ。」
    「なんだ、イコ先輩か。」
    「どうしました?先輩。」

    「なんか反応に差がある気がしますね…」

    イコは広報について聞こうと思ったらしく
    先生を呼びに来たのだという。
    先生は先程まで話していた事から
    イコがバットを持っていることが気になった。

    "そういえば、イコはナイフじゃなくてバットを持ってるね。"
    「えぇ、ナイフは音が出ませんが近づくとなるとこっちも危ないですから。
     その点バットは、程よい長さと固さ、そして入手のしやすさがあるので
     私は気に入っています。」

    私自身、体躯が良いほうではないのでとイコは付け加えた。

    「それに……入手がしやすいって事はそれだけ身近と言うことなんです。
     どういうことか分かりますか?」

    先生は首を振る。

    「…何をしても、怪しまれがたい…と言うことですよ。」

  • 48125/02/19(水) 01:47:09

    「イコ先輩……もしかして誰かヤっちゃいました?」
    「ヤってないです。」
    「分かりました言い方を変えます…殺りました?」
    「殺ってないです!!
     というか、撃った方が早いですから必然的にこれは予備みたいなものですよ。」

    先生、行きますよ。とイコは先生を連れて足早にその場から去っていった。
    3人は特に悪びれも無く、からかい過ぎたなと減らない口で思った。
    唯一彼女たちはある一言だけは、心の中にとどめていた。





    (((どっちかっていったら、あんた積極的にバットで殴りに行く方だよなぁ……)))

  • 49125/02/19(水) 01:54:52

    また、本編更新長くなりそうなので

    ルイスパリッシュモブと先生による

    ルイスパリッシュの近接事情です。

    時系列的には本編後の後日談。


    下地にしたゲームは魅力的な古くさい銃が多いけど

    書くにあたって採用しきれないのもあるから幕間という形で出しました。

    ゲームを知ってもらって、あわよくばプレイしてもらえたらなという

    思惑もあるので…。

    以下、会話に登場した銃+αのスクショです


    メイス付きオブレツ


    斧付散弾銃


    ナイフ付きハンドガン


    刃付きレバーアクション


    ナックルダスター付きリボルバー


    木製バット


    ハープーンガン

  • 50二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 10:04:12

    銃って色々あるんだなぁ()

  • 51二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 19:37:53

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 20:54:38

    ナックルダスター付きの銃は昔やってた近未来スチームパンク氷河期アポカリプスな設定のソシャゲで
    頭を破壊すると確実に仕留めれるゾンビ軍団に対抗する為に開発された
    武術の専用銃として出て来てた(主役級キャラのメイン武装)から思い出に残ってるなぁ・・・

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 21:29:22

    >>52

    もしかして、凍京NECRO

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 21:46:11

    >>53

    正解、正確には本編の外伝作品がソシャゲになってた奴だけど

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/19(水) 23:06:15

    ナックルダスター付きリボルバーは使いやすそうだね

  • 56二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 08:26:44

    銃って殴っていいものなのか

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 10:21:38

    >>56

    基本的に部品が歪んで壊れかねないので直接はやるべきじゃないと思われる

    上記の画像の奴とか話題に上がってたソシャゲの奴とかは

    銃と同時にダスター装備出来るようににしてるだけの加工だったりその為の専用設計してるから影響が薄かったり問題無いだけかと

  • 58二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 20:24:11

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん25/02/20(木) 23:41:50

    結構危ない場面も多かったけど、なんとか帰ってこられたマナ達に美味しいご飯を振舞ってくれるリコとイコいいね

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 08:27:14

    このレスは削除されています

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 15:54:49

    >>56

    昔々のフリントロックやマッチロックの拳銃は

    弾を撃ったらグリップの尻で敵の頭をかち割るのが戦い方だって聞いたけど

    今の銃でそんな事したらグリップが痛んだりするし

    ライフルのストックでぶん殴る事もあったけど

    何度も殴るとへし折れるから推奨されないねえ

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 23:37:26

    刃付きレバーアクションは慣れないと怪我しそうで怖いね

  • 63二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 09:22:40

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 17:10:55

    アズサのアドバイスのおかげで、マナもクシロを探すのを諦めないで捜索を続けられそうだね

  • 65125/02/22(土) 23:33:11

    全然本編書き進んでいませんし、なんなら次も幕間になりそうです…

    保守代わりにリコとイコがふるまった料理の説明を


    サワードウ・ブレッド

    サワー種という小麦粉とライ麦粉を

    水で混ぜたものが発酵してできるパン種を用いて作られる

    酸味が強い、いわゆる黒パン。

    主に北欧やアメリカの一部、サンフランシスコ等で食べられる。


    ガンボ

    下地にしたゲームの舞台と同じ、ルイジアナ州発祥のシチュー

    肉もしくは甲殻類でとった濃いめの出汁に、聖なる三位一体と呼ばれる

    セロリ、ピーマン、タマネギの三種の野菜のとろみがついたスープ。

    とろみ付けは小麦粉ではなく、オクラかフィレパウダーを使うが

    近年はルーが主流。原型はフランスのブイタベースと言われている。

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 00:06:08

    期待と共に捕手

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 09:20:03

    良いな美味しそう

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 12:25:36

    いいねえ

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:59:20

    サワードウ・ブレッド結構おいしそうだね

  • 70二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:09:22

    >>69

    美味しいよ黒パン系

    酸味があるからそれに合わせてスープとかジャムとかチーズとか用意すると良いかも

  • 71125/02/24(月) 08:47:01

    >>69

    昨日買ってきて食べてみましたが

    予想より酸味がきつくなくて美味しかったです。

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:11:50

    >>71

    食べやすいアタリを引いたんだね

    酸味が強いのはホントに強いから

    慣れてないとすっぱいって思っちゃうのよ

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:09:34

    こんな時間なのにお腹空いてくる画像だ

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 00:28:11

    ルイジアナではザリガニ食べるのもポピュラーなんですね
    暖かいから良く育つのかな

  • 75二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 09:14:45

    色々な料理があるね

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 18:44:21

    いつの間にか飯テロされてるのに驚きながら保守

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 00:26:53
  • 78二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 00:27:30

    >>70

    >>71

    味を教えてくれてありがとう、食べる機会があったら食べてみるよ!

  • 79125/02/26(水) 01:14:01

    「っ……」

    壊れかけのブラウン管テレビの様に
    現実と闇が無意識に切り替わる。
    マナは片頭痛みたいにもどかしく思いながら片目を抑えた。
    その様子を見逃さなかった先生は気遣いながらマナの気分を問う。

    "昨日は眠れた?"
    「は、はい……いえ…あまり眠れた気はしていない、ですね…
     ふふっ…ぜ、前回も同じ話を、しましたね…。」

    そうだっけ?と先生はわざとらしくおどける。
    気遣われているのをなんとなく察したマナは話を変える。

    「ヒ、ヒフミ先輩とアズサ先輩…探していたものが貰えてよかった、です。」
    "そうだね、これで暫くは危険な場所に近づかなければいいけど。"

  • 80125/02/26(水) 01:14:46

    先日、迷い込んだヒフミとアズサをトリニティに送り届ける前に
    ルイスパリッシュに迷い込んだ経緯を聞いていたスズが
    現地調査で回収してきた幾つかの物資から、
    ピッチフォークを担いだ白い鳥のぬいぐるみと
    テンガロンハットを被りライフルを持った
    デフォルメが効いた黒い骸骨のぬいぐるみを
    ヒフミとアズサに渡した。

    「あげる、本部にも同じのがあるからな。」
    「こ、これは…牛飼いペロロ様!
     しかも、ルイスパリッシュの校章入りの地区限定品!!」
    「スカルマンだ、こっちも校章が着いている…
     可愛いな…!」

    ありがとうございます!と2人は目を輝かせながら
    スズ含めたルイスパリッシュ観光協会員達にお礼を述べて
    先生、マナと共にトリニティに帰っていった。

  • 81125/02/26(水) 01:16:28

    線路の砂利を二つの足音がジャリジャリと鳴らす。
    回顧も終わり、寂しい木漏れ日が先生とマナを包む。

    マナはずっと片目を抑えていた手を下ろし、まばたきを数回した。
    瞼の暗闇から開けた視界には、光が色取り取りの景色を映している。
    マナは暗視を使うことも無く、真っすぐ線路の先を見据えながら呟いた。

    「お…おそらく、これが…さ、最後になると…思います。
     そ…そんな気が、します…。」
    "わかった…会いに行こう。
    今日こそ、君の友達に。"

    呼ばれているのか、踏み入れるのか
    それすらも曖昧なまま短くも馴染み深くなった駅舎に着いた。
    呪われた地の入り口…日常と異常の分水嶺に…。



    To Be Continued…

  • 82125/02/26(水) 01:20:35

    短いけど更新。最終話プロローグ的な…

    どの視点で書くか迷ったのでここだけ三人称。


    >>78

    宣伝っぽくなってしまうけど

    サワードウとガンボを再現した物の

    詳細な味のレビューはこのスレでやってます。

    3連休もあと1日しかないな、ユズ…|あにまん掲示板サワードウ・ブレッドを食べるぞ!https://bbs.animanch.com/img/4587584/44bbs.animanch.com
  • 83二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 10:09:08

    >>82

    乙、SSも食レポも楽しかった


    …ふと、ルイスパリッシュにある物を探し求めていると

    ブラックマーケットからワープしちゃうのかな、なんて思ったり

    意識的にせよ無意識的にせよ

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 19:00:05

    ho

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 23:27:46

    >>82

    サワードウ・ブレッドとガンボ、どっちも美味しそうだね!

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 06:00:05

    結構早いけど保守も兼ねてスクショを

    スズの武器、セミオートショットガンと


    複合リボルバー

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 13:39:30

    >>86

    かなり変わったカスタムが施されたレマットだね

    ドラマのプロップガンでなら中折れ式はあったけど

  • 88二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 22:11:05

  • 89125/02/27(木) 22:45:55

    >>87

    多分、中折れ機構はショットシェル用。

    拳銃弾は他のソリッドフレームのリボルバーと同じで

    エジェクターで押し出して排莢してた


    一応、この動画の6:25がレマットのモーション

    HUNT Showdown 1896 - All Weapons


  • 90二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 23:09:57

    いやぁ面白いねえ

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 01:12:49

    マニアックな装備もあってびっくりだ

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 10:27:52

    しゅほ

  • 93二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 10:29:40

    ヒフミとアズサはルイスパリッシュ限定ペロロ様とスカルマンを手に入れられて良かったね

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 18:13:00

    思えば異形を倒せば金に成るって何所から流れた話なんでしょうかねぇ…
    怖い怖い

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 22:15:33

    ついに最終話か…

  • 96二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 23:19:23

    このレスは削除されています

  • 97125/02/28(金) 23:21:29

    >>94

    (…考えてなかったなぁ)


    いや、まぁ…下地にしたゲームの方でも特にこれと言った設定無くて……

  • 98二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 00:56:10

    まぁ無いなら無いで突っ走りましょう

  • 99二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 08:34:28

    ほっし

  • 100125/03/01(土) 17:21:36

    また保守代わりのスクショを…

    イコが使ってる武器

    コンパクトカスタムがなされたポンプアクションと


    木製バット

  • 101二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 22:13:50

    >>94 >>97

    偶然迷い込んで"ターゲット"を倒した事で"証拠"を手に入れた奴が脱出した後に

    貴金属の類だと思って売ろうとしたら偶々オーパーツ類を買い漁って回収していたゲマトリア辺りに

    『非常に希少で奇妙なテクストを宿した稀有な物品』として異常なまでの高額での取引を提示された事例が有って

    その話が変な形で薄れた結果『ルイスパリッシュに現れる化け物を倒すと金になる物を落とす』って噂に変わって行ったとか?

  • 102二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 23:33:10

    キヴォトスでも野球はあるみたいだからバットは入手しやすい近接武器だね

  • 103二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 03:25:40

    >>101

    中々ソレらしくて良い感じのバックストーリーですね

  • 104二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 09:32:33

    >>101

    話が広まっていくことで内容が抜けたり尾ひれがついていくから結構ありそうでいいね

  • 105二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 15:30:26

    ルイスパリッシュの謎や噂に尾ひれが付いて
    やがてお金目当ての悪党が…って
    典型的な治安悪化だなぁ

  • 106125/03/02(日) 16:10:31

    >>101

    いい案ありがとうございます。


    何かしらで持ち出されたがやっぱり自然ですかね?

    観光協会についていけなくなった元ルイスパリッシュ生徒とかも

    考えていました…重くなりそうなので一回片隅に放置していますけど…


    ブラックマーケットでゲマトリアの誰かが露店巡りしてるって考えると

    ふふっwてなるのが問題。

  • 107二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:17:29

    絵面が面白い

  • 108二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 00:01:03

    >>106

    個人的には神秘やテクストを感知する技術を使う事でブラックマーケットをゆっくりと回りながら

    時に掘り出し物を時に一見何の価値も無い様に見えるガラクタをピンポイントに見つけ破格の高値をつけて集めていく謎の集団って書くと

    ブラックマーケット側からすれば金払いが良い太客では有るがそれと同じ位全く意図が読めない不気味な存在に見えなくない?

  • 109125/03/03(月) 01:16:00

    >>108

    あっ、なるほど…。

    書き方見せ方大事ですね。


    仮にルイスパリッシュ側が手放したとしても

    出所不明の貴金属なんて、裏のブローカー達も扱いに困りそう。

    そして流れに流れて…いや、これだとややこしいかな?

  • 110二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 10:51:44

    保守の時間

  • 111二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 19:28:29

    色々あるんだなぁ(他人事)

  • 112二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 00:21:35

    保守るね

  • 113二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 08:21:52

    今夜は更新あるかな

  • 114二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 17:01:42

    夕方の保守

  • 115二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:46:19

    ルイスパリッシュ産の遺物は扱いに困っても貴金属であるなら溶かして普通のやつと一緒に出来るかな?

  • 116125/03/05(水) 00:44:19

    青空の下、アスファルトと清潔な摩天楼が近未来的な植生を築いている。
    ミレニアムサイエンススクールその一角、記念物レベルで緑生い茂るこの場で、
    オレとリコ先輩はドローンと共に育てている野菜の観測記録を付けていた。

    「久しぶりー、サヨー。」
    「ニィナ…」

    様にはなっている新しい学園の制服を着たニィナは
    突然遊びに来たかと思ったら銃をぶっ放したりと相変わらず自己完結した様子だった。
    別れ際の言葉も含めて…

    「このままじゃ、死んじゃうかもねー…リコさん。」

    1st.EP「発足前夜」


    一部が瓦礫と化した校舎、すべてを消そうと燻る火
    絶え間なく聞こえてくる銃声とどこかから聞こえる誰かの声…
    私はひとまず声の方へ走った。
    それが楽園が失楽園へと堕ちかける瀬戸際だったとしても

    「トリニティとゲヘナに、ガスマスクの集団なんていた?」
    「いま暗視で見えたのって…もしかして、取り残された生徒がこんなに!?」
    「ルイスパリッシュでいつもやっている事ですよ、2人とも…
     生徒の保護にあたります。」

    「過程も結果も虚しいのに、レコンキスタですか…今は、いちトリニティ生ですが…
     理不尽に追い出された者同士…虚しくヤろうぜ?Strangers.」

    2nd.EP「エスケープアウトヘイヴン」

  • 117125/03/05(水) 00:45:18

    どこまでも青く透き通る空の下、
    彼女たちは新たな場所で新たな青い記録を紡いでいる。

    「この土地は酸性に傾いてるねぇ…」
    「有機化学研究部から試供された肥料使ってみます?」

    ある生徒は叡智と技術の学園で

    「イコ先輩、友達から美味しいタルトの店を紹介されたんで行きませんか?」
    「いいですね…また、広報が煮詰まってたところです。気分転換と行きましょう。」

    ある生徒は格式と調和の学園で

    「次はヒノム火山温泉地前、ヒノム火山温泉地前にご到着します。」
    「お降りの際は足元にご注意ください…なお、
     当列車及び路線を妨害するならご利用を改めてもらう。」

    ある生徒は混沌と自由の学園で

    今日も何処かで、かの地の生徒達は新たな1ページを描いている。
    そこから外れた誰かが何処かにいても…

    3rd.EP「Where are they Louissparish?」

  • 118125/03/05(水) 00:45:29

    本編更新まだ時間かかりそうなので
    代わりに本編書き終わって余力あったら
    書こうかなと思いついたの…

    上から観光協会が出来る前の話
    エデン条約時のイコの話
    それぞれの学園での話となっています。

  • 119二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 00:49:49

    良いですねぇこう言うサイドストーリー
    ワクワクしますよ

  • 120二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 10:03:27

    ルイスパリッシュの外での各生徒達の生活風景も面白そうだね

  • 121二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 19:47:40

    不穏なふいんき

  • 122二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 00:34:51

    マナの友人探しもいよいよ大詰めになるみたいだけど、どうなるのか楽しみ

  • 123二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 08:00:12

    ルイスパリッシュの未来にも関わりそうでワクワクするね

  • 124二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 17:43:38

  • 125125/03/07(金) 00:10:19

    今週末には本編更新できればいいなぁ…

    という訳で、保守代わりのスクショを

    リコの武器

    ライフル弾を装填できる、レ・マットと


  • 126二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 00:45:32

    >>125

    フレームがブチ壊れちゃいそうなレマットですねえ

  • 127二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 08:45:55

    アメリカが舞台のゲームなのに日本刀が出てくるの
    ちょっとシュールよね

  • 128125/03/07(金) 17:30:27

    >>127

    なんか、侍バンドルとかって言って急にアプデで来たんですよね

    日本刀…

    しばらくぶりに起動したら、連射仕様のクロスボウはともかく

    連弩とか追加されてました。

  • 129二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 19:10:56

    >>128

    連弩ってまた珍しい…

  • 130二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 00:36:09

    刀はロマンがあるからね

  • 131二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 09:51:16

    刀は皆大好きだから仕方ない

  • 132二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 12:34:46

    きっとこの元ネタのゲームの世界じゃ刀が名産品として輸出されてるのかな

  • 133二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 22:14:18

    ほしゅーしゅっしゅ

  • 134二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 00:29:48

    次は一体何が待ち構えてるかな…

  • 135二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 01:47:29

    モンスターが山ほど出て来たりして

  • 136二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 11:08:08

    大丈夫かな

  • 137二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 14:17:18

    >>136

    信じる他無いさ

  • 138125/03/09(日) 20:49:48

    さすがに二週間更新無しはまずいと思うので
    短くても、多少の更新はします。
    寝るギリギリまでは目標のシーンまでは書く予定ですけど…

  • 139二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 21:08:46

    待ってるよ

  • 140二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:05:48

    楽しみ

  • 141二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 00:07:47

    今夜少しは来るのかな

  • 142125/03/10(月) 01:43:33

    「ひ、光はこっちの方向に…見えます…
     セイブル地区の時よりは、大きい…です。」
    「ありがとうお嬢さん…やっぱり次はルイシアンだねぇ…」

    駅長室にて、次の目的地をマナに示してもらい
    リコを含めた協会員達は、すぐさま地図を広げて場所を絞る。
    それにしても…

    "ここも、今日はなんか静かだね。"
    「リリが持ってきたディーゼル車周辺の調査や密猟者、
     それに…なんだか異形の数が活発になってねぇ…」

    協会員が多く出払っているんだよぉ。と
    温和な表情を崩さずに、暗に異常事態とリコは伝える。
    前回、セイブルに向かった時から…いや、もしかしたら
    マナが来たことで確実に何かが動いている…

    サヨコは地図から顔を上げて、私とマナに呼びかける。

    「ま、場所はだいたい絞れたかな…
     先生、マナ、準備が出来たら行こうか。」
    「あの……リ、リリさんは…?」

    マナの言う通り、これまで探索に付いてきてくれていた
    リリの姿が見えない。

  • 143125/03/10(月) 01:44:23

    「リリはスズと一緒にセイブルから戻ってきた時の
     機関車周辺の調査をしてる。」
    "そっか、なら今回はマナ、サヨコと私の3人かな?"

    なんだか一株の寂しさと心細さを感じる。
    マナを見ると心細さを抑えるように手に力が入っている。
    力が入り過ぎるのもよくない、力を抜かせないと…


    「どうもー。」


    "うわっ!"
    「きゃっ!!!」

    突如背後から現れた声に
    なんとも情けない声を上げてしまった。
    意識が明後日に向いている間に、
    私達の後ろから声をかけてきたニィナは
    平坦な声と表情だけど、してやったりと雰囲気が語っていた。

    「久しぶりー、マナちゃん、先生ー。」
    「ニィナ……
     ま、そういうことで今回はニィナも同行する。」
    「よ、よろしく…お願いします…!」
    "よろしく、ニィナ。"

    挨拶もほどほどに、マナ達は探索前の最終確認をする。
    ニィナのいたずらには驚いたけど、マナの表情が和らいでるのを見るに
    いい感じに力は抜けたみたいだ。

  • 144125/03/10(月) 01:45:50

    私も地図の確認をしておこうとすると、リコに小さく呼び止められる。

    「先生、異常が起きているこの学園は今日はいつにもまして騒がしい…
     だから…これを渡しておくよぉ。」

    リコから空き缶ほどの小瓶を渡される。
    少し曇ってるガラス面を目を凝らしてみると
    中では何かが蠢いていた。

    "これって…蟲?"
    「そう…感染者から採取した蟲だよぉ。
     ちょぉっといろいろやって生かしておいてねぇ…
     それには、ぼくの血を覚えさせてるよぉ…いざとなったら小瓶を割って。
     すぐにそっちに行くからねぇ…。」

    ふふ、と微笑みながらもリコの目は据わっているかのように笑っていない。
    それだけ、今日の事は異常事態ということらしい。
    背後から準備を終えたサヨコ達から声がかかる。
    私はわかったと強く頷いて小瓶をしまい、彼女達に合流する。

    「気を付けてねぇ。
     何かあったらすぐ連絡するんだよぉ。」

    リコの言葉を背に私たちは駅から出発した。


    To Be Continued…

  • 145125/03/10(月) 01:46:32

    目的のシーンまで間に合わなかったけど
    ひとまず更新。明日か明後日にはそこまで投下したい。
    では、おやすみ。

  • 146二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 09:42:14

    最終章のプロローグって感じですね

  • 147二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 17:04:05

    蟲に血の味を覚えさせるって
    中々に恐ろしい情景
    指先をナイフで切って飲ませたのかな…?痛そう

  • 148二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 00:03:37

    続きを期待しつつおやすみ
    待ってるよ

  • 149125/03/11(火) 00:18:41

    いつも以上に静謐なルイスパリッシュの地だけど
    今日だけは、銃声が時折聞こえてきていた。

    「今日は騒がしいねー。」
    「異形の出現数が増えてるとの報告だ。
     前回、セイブルに行ったときの感覚は間違ってなかったみたい。」

    それにあの時の密猟者も…とこぼし、
    ルイシアンにある目的地までデルタ地区を
    迂回するように私達は進んでいた。
    時折、マナに場所を聞きながらサヨコとニィナは
    地図を見合わせて目的地の場所を確実にしていく。

    「ひ、光は少し小さく…なっています…
     け、けど場所は…同じ、です。」
    「ありがとー、マナちゃんー。
     場所はチャーチで決まりかなー。」
    "チャーチってことは教会があるの?"
    「そ、デルタ寄りのとこにあるルイシアンの名所
     といっても、文化会館みたいなとこだよ。
     礼拝堂が広いからイベントとかある時に…っと危ない。」

    危ないと呟きながらもサヨコは
    背後から現れた歩兵を肩で押し出し、ひるんだ瞬間を槍で突いた。
    未だルイシアンには着いていないが既に6回も異形に遭遇している。

  • 150125/03/11(火) 00:19:27

    「ほんとに多いねー。」
    「あ、あの、近いならここから最短で向かうのは…?」
    「チャーチ周辺は開けてるから、ルイシアン側から回ったほうが
     身を隠せる場所も多くてまだ安全…それに…」

    話の途中で入った無線をサヨコが取ると、彼女の眉間が少し険しくなる。
    サヨコに尋ねてみると、複数の密猟者がルイシアン側で見られたそうだ。

    「はぁ……嫌なことってのは…」
    「どうしてこうも重なるんだろうねー。」

    サヨコの言葉の続きをニィナはどこか楽しそうに代弁する。
    ニィナに冷たい視線を刺しながら、サヨコの先導で
    私たちはルイシアン地区に足を踏み入れた。

    「マナちゃん大丈夫ー?」
    「は、はい…大丈夫です。」

    ルイスパリッシュに向かうとき同様
    時折、片目を抑えるそぶりを見せるマナをニィナは気遣う。
    それにしても…

    "初めて会った時からマナを気にかけてるような…"
    「気持ちは分からなくもないけど…ニィナがあんな態度をとるのは…
     まぁ、珍しいことじゃない…何かしら思うところがあるんでしょ。」

    私が考えていたことはどうやら口に出ていたみたいで
    サヨコに聞かれていた。

  • 151125/03/11(火) 00:20:02

    サヨコによると、ニィナは良くも悪くも人を見ているそうで
    マナに構っているのもなにかしら感じるところがあるかららしい。
    実際、私から見ても目の前のニィナはマナを気遣いながらも
    ルイシアンの様子を楽し気に伝えていた。

    「お、大きいですね…この植物…それにいっぱい…
     ここは、は、畑ですか?」
    「そうだよー、トウモロコシ畑ー。
     今は管理できないからー、好き放題伸びてるねー。」
    「えっ?こ、これって…とうもろこしなんですか…!?」
    「あれー、生えてるトウモロコシって初めてー?」

    マナは少し恥ずかしそうに頷く。
    たしかに私もトウモロコシが茎から生えているのは
    テレビや写真でしか見たことが無い。
    大人の私以上の高さもあるくらい立派だとは思わなかった。

    「良かったら食べてみるー。」
    「えっ、た、食べれるんですか…?」
    「食べれるよー、家畜の飼料用だから美味しくないけどー。」

    その発言に私もマナも思わず苦笑いをしてしまう…

    「ま…こんなやつだから、真に受けすぎるのもね。」

    先程のフォローを台無しにするような言葉を口にし
    なんとも言えない視線をうけても、ニィナはどこ吹く風と気にしてないようだ。

  • 152125/03/11(火) 00:20:47

    サヨコが呆れ、マナも愛想笑いで空気を誤魔化していると
    銃声が近くから複数響き渡る。
    この音…セイブルの時に聞いた気が…

    「セイブルの時と同じ銃声…?」
    「みんなー、ひとまずこっちー。」

    ニィナに促され、私達はトウモロコシ畑の中に身を隠す。
    びっしりと生えたトウモロコシの群れは、
    視界を占有し、少しでも気を抜けば平衡感覚を失ってしまいそうな感覚に陥る。

    「トウモロコシ畑の中で下手に動かないで。
     いま先生とマナを見失うと対処に遅れるから。」
    "分かった。"
    「は、はい…」

    姿勢を低くしながら、トウモロコシの中を進む。
    葉をかき分ける音と土のジャリつきが小さくなるが
    耳を澄ますと、かすかに私達以外がこの音を発しているのが聞こえる。
    異形か密猟者か…そのどちらかはサヨコ達ならわかるだろうか…

    サヨコとニィナは暗視を使いながら
    私とマナを安全圏まで連れ出そうとしてくれている。
    こちらが一歩一歩歩み進める度に、倍の速さで
    トウモロコシ畑の中を進む音が聞こえてくる。
    トウモロコシの隙間から光が漏れているのが見えてきた。
    畑を抜けれるのだろうとした瞬間、目の前にオートマタが飛び出してきた。

  • 153125/03/11(火) 00:21:27

    「チッ!」
    "ッ!?"

    サヨコに抱えられ転がり込むように光の先に飛び出す。
    同時に銃声が私達がいた場所を貫いた。
    回る視界を頭を振って、無理矢理矯正すると隣に
    同じようにニィナ抱えられたマナが目を回していた。

    "サヨコ、今のって…"
    「密猟者、しかも…」

    「お前、あの時のガキか…」

    開けた場所に出た私達の目の前にはセイブルで出会った
    オートマタの密猟者が私達に銃口を向けていた。

    「あなたも…ところで一緒に来ている5人…前は見なかった。
     もしかして、セイブルにいた時の仲間は逃げ出した?」

    サヨコの言葉に密猟者のリーダーは答えだと言わんばかりに
    足元に威嚇射撃を行う。

    「ふざけるな!まったく金を得るだけなのに…邪魔も化物も多すぎる!
     悪いがお前らの会話に付き合う暇はないんでね!」

    苛立ちながらも銃口はブレることなく私達を見据える。
    どうする…サヨコ達を傷つけることなく、この場を収めるには…
    考える私を尻目にニィナは一歩前に出た。

  • 154125/03/11(火) 00:22:08

    「どうもー、ヴァルキューレです。」

    ニィナはヴァルキューレの警察証を見せながら私達と
    密猟者の間に立つ。

    「は?ヴァルキューレ?」
    「貴方たちはー、立ち入り禁止区域に不法侵入しているー
     けどー、いまここから立ち去れば―、見逃してあげるー。」

    自身の立場を使って、ニィナは密猟者にルイスパリッシュから出ていくように促す。

    「不法侵入?それはアンタたちも同じだろう?」
    「俺らと同じ穴のムジナが何を偉そうに。」

    密猟者たちが吐き捨てるように反論する。
    ニィナは反論することも無く、静かに用件を続ける。

    「みっつ数えるからー、その間にー
     回れ右してねー。」
    「何を勝手な…!オイ!」

    「さーん…」

    ニィナがカウントダウンを始めるが
    密猟者達は知ったことかトリガーに指をかけ始める。

    "ニィナ!"

    私が叫ぶよりも先に1つの銃声が響いた…。

  • 155125/03/11(火) 00:23:13

    「えっ…」

    密猟者たちの手から銃が消えている。
    響く音が消えたころ、カランと地面に密猟者たちの銃が転がった。

    「にーい…いーち…ぜーろー…。」

    ニィナの手にはいつの間にかリボルバーが握られており
    銃口から煙を吐いていた。
    密猟者の手から落ちた銃と煙を上げるリボルバー…
    あの時聞こえた銃声は、一発に聞こえるくらいの速さで
    ニィナが6発の弾丸で密猟者の銃を打ち落としていた。

    未だ事態を飲み込めていない密猟者に
    ニィナはゆっくりと弾を込め直しながら密猟者に再度促す。

    「いますぐー、回れ右すればー…見逃すよー?」

    密猟者はようやく銃が落とされた事実を認識する。

    こちらを睨みつけた後、すぐさま銃を拾おうと手を伸ばす。
    だが、足元に転がった銃はどこかから飛んできた弾丸に弾かれてしまった。

    "今のは…?"
    「そこまでですよ、密猟者の皆さん。」
    「あっ!イコ先輩ー。」

  • 156125/03/11(火) 00:24:26

    イコは私達にも気づかれること無く密猟者の背後に現れ
    密猟者も突如背後からの声に動くことが出来なくなる。

    「貴方たちに既に選択権はありません。
     大人しくここから立ち去ることをお勧めしますよ。」
    「だ、誰が…!そんなことを…。」

    未だ抵抗の姿勢を崩さない発言をする密猟者に
    イコは肩に担いでいたバットを地面に数度当て、コツコツと音を鳴らす。

    「あぁ…それでも別に構いませんよ。
     ただ、脅威をそのままにしておくのは危険なので
     私達は手段を奪います…」

    イコはバットで密猟者の足を撫でる。

    「貴方たちにとっての脅威は私達、観光協会以外にもここにはたくさんいます。
     いいんだぜ?誰かの声も、叫びも届かない場所で静かに口を噤みつづけるのも…」
    「ッ!!」

    密猟者は勢いよくイコに向き直り、その小さな体の頭めがけて横なぎに蹴りを入れる。
    イコは体を屈めて、足元に入り込むとバットで軸足を刈り取り
    密猟者を転ばせる。
    頭を上げた密猟者の目の前に、ショットガンの銃口が刺さる。

    「ッ………!!か、帰るぞ!
     こんなとこにいられるか!イカれた奴らめ!!」

    リーダーの一喝にいそいそと銃を拾い直し
    密猟者たちは一目散にイコの横を通り過ぎていった。

  • 157125/03/11(火) 00:24:54

    "ありがとう、助かったよイコ。"
    「気にしないで下さい先生、これも観光協会の仕事ですから。」

    イコは特に気にした様子もなく私からのお礼を返す。

    「助かったー、ありがとー、イコ先輩―。」

    ニィナはおつかいを成功した子供を労うように
    お礼を言いながらイコの頭を撫でようとするのをやんわりと止められている。

    「イコ先輩、あの密猟者は…」
    「私と近くで待機してる子達で見送るから安心して。
     先生、マナさん…既に把握してると思いますが…
     予想以上に異形が活発になっています。くれぐれもお気をつけて…」

    イコは私達に一礼すると、密猟者達を追うように
    林の中に姿を消していった。

  • 158125/03/11(火) 00:25:46

    トウモロコシ畑を抜けて、崩れかかった桟橋を渡る。
    周囲は水没した様子で水面には建物の一角が顔を覗かせ
    辺りには水草や蓮が浮かび、荒廃していながらも
    不思議と綺麗と思わせる神秘的な雰囲気を醸し出している。

    「こ、これも…異形の影響……?」
    "…やるせないね。"
    「あっ、ここは関係ないよー。」

    マナと私は、えっ…と目を丸くする。

    「ルイシアン地区は多湿なんだけど一部地盤が緩くてさ。
     ここは3校時代に、地震が起きて地面が液状化…今じゃ立派な湿原。」
    "そ、そうなんだ…"

    見当外れな事に顔が熱くなる。
    マナを見ると帽子に隠れた顔が赤くなっていた。
    水辺のひんやりとした空気が気持ちいなぁ…

    「ここの蓮根美味しいのにねー、今は食べれない―。」
    「水と泥の栄養が高いからなぁ、水辺にウォーターデビルがいるから
     採取も面倒…諦めてニィナ。」

  • 159125/03/11(火) 00:26:58

    ありし日を語りながら、サヨコとニィナは先を歩く。
    ボロボロの桟橋は、ギィギィと危なげに軋みながらも
    私達を目的地まで導いてくれる。

    「先生、マナ、見えてきた。」

    サヨコが指をさす先には、瀟洒な造りの教会
    鐘を含めた櫓の一部が木々の間から荘厳さを覗かせていた。



    教会に近づくにつれて、建物も植物も少なく
    視界が拓けていく。
    同様に異形もこちらを見つけやすくなり襲ってくるのを
    サヨコとニィナが槍とナックルダスターで淡々と処理していく。

    「マナちゃん、どうー?」

    教会にたどり着いた私達は、正面扉の前で
    最後の確認を行う。

    「はい…この中に、光が…見えます。」
    "周辺には異形は見えないね…
    アロナにも中の様子は分からないみたい。"
    「了解…準備が出来たら突入する。いい?」
    「そのまえにー」

    サヨコの確認にニィナは待ったをかける。

  • 160125/03/11(火) 00:27:28

    「マナちゃん…見えてるー?」
    「え…?あ、あの…」
    "マナ、ここに来るときもずっと目を気にしていたよね。
    もし、君の体になにかが起きてるなら無理をさせることはできない。"

    マナは少し俯くと、深呼吸をして自身に起きていることを話した。

    「そ、その…暗視を使ってないのに…見えるんです、闇の中が…」
    「それって、セイブルの時の?」

    マナは頷いた。

    「今は大丈夫です…多分、呼ばれているんだと…思います…。
     日記のクシロと…ううん、クシロに…呼ばれてる…」

    片目を抑えながら、そう答えるマナに私は目を合わせて尋ねた。

    "マナ、いま私たちは見えているかい?"
    「はい…。」
    "うん、よかった。絶対に無理はしないでね。"
    「憂いは全部話した?それじゃ、行くよ。」

    改めて私とマナは頷く。
    サヨコは扉に手をかけ、ゆっくりと力を入れる…
    が、扉は何かに引っかかる音を上げるのみで
    うんともすんとも言わなかった。

  • 161125/03/11(火) 00:28:11

    「え?」
    「サヨー、カギ閉めたの忘れてたー?」
    「いや、ここはずっと開いてたはず…
     ニィナ裏口を見てきて。」

    サヨコの指示に従いニィナは裏口へ向かったが
    少しして、開かなかった―。といいながら戻ってきた。

    「ど、どうしますか…?」
    "他に入り口はあるの。"
    「あぁ、ある。
     そこが駄目だったら扉か窓でも壊そうか…」


    サヨコに案内され教会の外周を回ると
    外壁に沿うようにひっそりと地下へ続く階段が
    手招きをしているように大口を開けていた。

    階段を下りた先は薄暗く埃っぽい
    ひんやりとした空気が体を包む中
    サヨコを先頭に礼拝堂までの階段を目指す。

    「い、異形は…見えませんね…」
    「上のターゲットだけだね…
     こんな暗いとこで襲われるよりはマシかな。」

  • 162125/03/11(火) 00:28:59

    見つからないように、音も光も最小限にして進む。
    それにしても随分と立派な地下室だ。
    ライトを周囲に照らしてみると、埃や布で見えにくいが
    大型で金属っぽい樽の様な物も見える。

    "ここって貯蔵庫だったりする?"
    「先生、突然だねー…えっと、ここはねー」
    「大方その通りだよ、避難所みたいな扱いでもあったから
     いざとなったらって事で…」

    ニィナの言葉にサヨコが被せるように答える。
    わざわざ被せて答えることなのかな…と不思議に思いながらも
    礼拝堂に繋がる階段に辿り着いた。

    「さて、ここから先にターゲットがいる。」
    「扉も動くのは確認済みー。」
    「だ、大丈夫です…!」
    "うん、準備は出来てるよ。"

    お互い一度目を合わせると、
    ゆっくりと扉を開けて、礼拝堂に入り込む。

  • 163125/03/11(火) 00:29:21

    埃や煤が目立つが、長方形の広々とした空間に
    薄汚れたステンドグラスから淡い光が差し込む。
    荒れていても神聖な雰囲気を未だ醸し出している空間に
    不規則で不釣り合いに有刺鉄線が撒かれている。
    正面扉の対岸、祭壇には大柄の成人男性程の人影が見えた。

    「スクラップビークかー…」

    ニィナが呟いた瞬間、ペストマスクの様な頭部を持つ異形
    スクラップビークは雄たけびを上げるかの如く体を仰け反らせると
    背部のバックパックから手斧を取り出しこちらに向かってくる。
    私はシッテムの箱を起動させた。

    "サヨコは前に!ニィナはその後ろ、マナは2人のフォローをお願い!"
    「了解。」
    「おっけー。」
    「は…はい!」

  • 164125/03/11(火) 00:30:08

    手斧を振りかぶり向かってくるスクラップビークを
    サヨコとニィナはライフルで迎え撃ち、がら空きの体に銃弾が撃ち込まれていく。
    嫌がるようにスクラップビークは腕を振りながら向きを変え
    柱の陰に隠れていく。
    暗視で柱の向こう側を見透かしながら、サヨコとニィナは挟み撃ちをしようと
    両側から柱の後ろを伺う。

    サヨコが姿を捉えた瞬間スクラップビークは
    手斧を投げ不意打ちを狙うが、サヨコは倒れこむように転がり回避するが
    ライフルを取り落としてしまう。
    だが、背後からもニィナがスクラップビークを狙う。
    充分な選択のはずだった…

    「がら空…って、おっとー!?」

    ニィナは横から伸びてきた爪にすぐさま反応し
    ライフルを引くようにして体を半回転させて回避する。

    "サヨコ!ニィナ!異形の反応が室内に出てる!"
    「嘘!?」
    「えー!」

  • 165125/03/11(火) 00:31:05

    ニィナを襲ったのは突如現れた装甲兵で
    よたよたと走りながらニィナに向かう。
    効果が薄いと分かりながらもライフルで足を撃ち抜き
    装甲兵の速度を落とす。
    即座にニィナは狙いをスクラップビークに変え
    サヨコの援護に入る。
    マナは鈍くなった隙を逃さず装甲の隙間に弾丸を通し
    装甲兵を倒すが、その直後に今度は歩兵が柱の影から姿を現すのと
    先生がそれの出現を伝えるのは、ほぼ同時だった。

    「どうなってる!?ターゲットがいる室内に異形は出ないはずだ!」
    「わかんないー、対処するしかないよー。」

    ニィナがスクラップビークの注意を引いている間に
    サヨコはライフルを回収し距離をとるが、
    床に撒かれた有刺鉄線といつのまにか現れる異形に
    足を取られ思うように退がれない。

    『先生、後ろです!』
    "うわっと…!"

    背後から振りかぶる歩兵の攻撃をすんでのとこで
    回避した先生にもう一体の歩兵が襲い掛かろうとするのを
    マナのリボルバーがくいとめる。

  • 166125/03/11(火) 00:31:41

    「せ、先生…大丈夫ですか!」
    "大丈夫…マナ、危ない。"

    マナの頭を庇うように抑えつけると
    その上を手斧が通り過ぎる。
    スクラップビークが手薄になったこちらを狙うが
    異形を振り切ったサヨコが文字通り横槍を入れ
    再度注意を自身に向ける。

    「先生ー、一度立て直すー?」
    "駄目だ、扉に有刺鉄線が撒かれてる!"
    「開かなかったのはそういうことね…!」

    槍を振るって装甲兵ひるませると、片手に構えたライフルで
    先生とマナに向かう歩兵を撃つ。
    近づく異形にたいし足払い、ライフルのストックで殴りつけ
    ニィナはどうにかサヨコとマナのカバーに入る隙を作りだすが
    そこをスクラップビークの投擲が邪魔をする。
    リボルバーを抜いたニィナは片手というのを物ともしない早撃ちを披露する。

    「サヨー、これってー!」
    「分かってる、いつもと違う!入れ知恵されてる!?」
    "2人とも、ひとまずこっちに!"

    異形を倒すのも程ほどに、合流を優先するサヨコとマナ
    2人のカバーにマナが入るが手数が足りない。
    ここに来て、マナ達3人の装填が安易ではない銃を使っている弊害が出てしまった。

  • 167125/03/11(火) 00:32:40

    「先生、これで扉を破壊する!」

    サヨコは槍の穂先を正面扉に向けるが、瞬間手斧が飛んできて
    すぐさま穂先を翻し斧を叩き落とす、
    扉には、いつのまにか陣取るようにスクラップビークが立っている。

    "サヨコ!"

    一瞬の気を取られたサヨコに歩兵の魔の手が迫る。
    先生は咄嗟に懐からこぼれ落ちたガラス瓶を拾い歩兵に投げつけた。
    頭部に命中した歩兵はよろめき、マナの弾丸が歩兵を貫いた。
    サヨコは異形達の間に、ボルトを撃ちこむとタイミングを見計らって飛び出した。
    ボルトは炸薬し撒かれた有刺鉄線ごと異形を片付けるが
    それでも形成はよくならない。

    「チッ、弾が…キツイかも…」
    「サヨは槍があるでしょー」
    「わ、私はまだ…大丈夫です!」

    マナはスピードローダーを使い、すぐさま再装填するが
    装甲兵が歩兵を守るように前に出ていて
    数を考慮してもリボルバー程度では話にはならない。

  • 168125/03/11(火) 00:34:17

    じりじりと追い詰められる先生達…
    状況を打破するには、サヨコのボルトが有用と先生は考えるが
    スクラップビークがいる限り逃走経路を有刺鉄線で奪われる。
    全員の心に最悪の焦燥感が生まれ始める。

    スクラップビークが新たに取り出した手斧を振りかぶる瞬間、
    ステンドグラスがけたたましい音を奏でた。

    汚れと陽に染みた鋭角の結晶はそれでも、
    広く差し込んだ光を豊かに反射して礼拝堂内に降り注ぐ…
    1つの影と共に…


    "リコ。"


    異形と先生の間には、ルイスパリッシュ観光協会会長
    周藤リコが色彩の破片と共に静かに降雨した。


    To Be Continued…

  • 169125/03/11(火) 00:35:30

    更新ここまで。
    また、次更新するのに時間かかりそうです。
    場合によっては次スレかもしれない…

  • 170二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 09:15:13

    密猟者…南無

  • 171二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 12:51:42

    密猟者もしつこいですなぁ

  • 172二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 19:21:17

    スレの残り微妙だけど保守

  • 173二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 00:22:14

    リコが先生に渡した瓶が役に立ったね

  • 174二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 08:36:44

    保守

  • 175125/03/12(水) 18:15:05

    保守代わりの裏話
    144でリコが渡した蟲は当初の予定では無かった。
    けど、突然助けに来るのは整合性が取れないなと思って
    急遽それっぽいアイテムをゲームの方から拝借。

    元になった物は、毒デバフを与えるホーミング付きのアイテム

  • 176二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 00:03:39

    >>175

    ダニの様な何というか…

    不気味な虫だねえ

  • 177二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 09:40:57

    >>175

    うおキモ

  • 178二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 16:14:19

    一応保守

  • 179125/03/13(木) 17:51:25

    ちょっと他人任せになるけど、
    明日明後日には、次スレ建てるので
    保守等スレ落ちないようにしてもらってもいいですか?

  • 180二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 23:25:30

    次スレが建ったら保守しますよ!

  • 181二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 00:19:28

    お待ちしてますよ

  • 182二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 09:09:42

    保守

  • 183二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 17:33:54

    ターゲットと異形の同時出現というイレギュラーが発生しているせいで先生達は苦戦してるね

  • 184二次元好きの匿名さん25/03/14(金) 23:26:21

    室内で逃げ道を塞がれているのも厄介だね

  • 185二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 07:38:23
  • 186125/03/15(土) 13:21:05
  • 187二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 17:41:36

    建ておつです

  • 188二次元好きの匿名さん25/03/15(土) 23:32:46

    ルイシアン地区はトウモロコシや蓮根が出てきて元々は農業校という特徴が出てるね

  • 189二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:40:14

    このレスは削除されています

  • 190二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:49:09
  • 191二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:49:39

     立て乙


     …ところで今更ですけれど、オリキャラの苗字の読みを添えているのは初登場時だけでしたっけ?

     冒頭の紹介文にも書いてくださると助かりますが…(Writeningにまとめた物でも可)

    Writening テキストページを一瞬で作成ユーザー登録不要。テキストを入力すると、共有可能な専用URLが即座に発行されるテキスト共有サービスです。writening.net
  • 192二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 08:58:31

    いつもと違う状況のせいでリロードが追い付かないのは、それだけイレギュラーなことが起きてるって感じだね

  • 193二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 18:32:24

    感染者から蟲を採取して、いざというとき使えるようにしていたリコ会長やるな!

  • 194二次元好きの匿名さん25/03/16(日) 23:30:38

    埋め

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