「あ…先生…。」｜あにまん掲示板

ある日、先生が部室に遊びに来てくれた。
アリスちゃんがいつものように無邪気な笑顔で先生の膝の上でゲームをしている。

「今日のアリスは先生によってバフされています！今ならユズにだって勝てるかもしれません！」
「今日のアリスちゃんは絶好調だね……」
「悔しい～！もぉ～、ユズ！調子に乗ったアリスを懲らしめてやって！」

そう言ってモモイが渡してきたコントローラーを受け取りながら、ついついアリスちゃんの方を見てしまう。
正確には、アリスちゃんを膝に乗せながら優しい笑みを浮かべる先生の事を向いてしまう。

この気持ちはなんなのだろうか……。
わたしはゲーム開発部のみんなが好き。
モモイも、ミドリも、アリスちゃんのことも、大切な仲間だと思っているし、わたしがロッカーから出てお話をできる様になった数少ない友達です……。

それなのに最近は少しおかしい。
──気軽に先生に声をかけてここまで連れてこられるモモイが羨ましい。
──さりげなく先生に飲み物を入れたりと気配りができるミドリが羨ましい。
──躊躇いなく先生の膝の上に座って甘えられるアリスちゃんが、とても羨ましい……。

わたしは昔から内向的な性格で自分から何かをすることができなかった。
誰かに声をかけるなんてできなかったし、気を配るどころか常に気を使われていたし、しまいには皆わたしの相手が面倒になって甘えるどころか誰もいなくなっていた。
そんなわたしにもできた仲間たちに、今どうしようもなく羨ましく感じていた。

「うわーん！今日のユズ、なんだか容赦ないです！」
「ご、ごめんねアリスちゃん……」

ちょっとやり過ぎたと反省していると不意に肩をトントン、と突かれた。
"ユズ、ちょっといいかな"