- 1ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:54:25
- 2ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:55:54
【歴代スレ Part.1~3】
【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線|あにまん掲示板おやおやおやおや・・・連邦生徒会長が失踪ですか。それは早急な対処が必要ですね。・・・えぇ、リン行政官。1.護手(ケルビム)2.防衛室スタッフ3.監視者(オーバーシア)dice1d3=@2 (2)@──…bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.2|あにまん掲示板【あらすじ】カイザーと防衛室 勢力の暗闘まで秒読み。bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.3【建て直し】|あにまん掲示板【あらすじ】ミレニアム編がゴズとの暗闘に。bbs.animanch.com - 3ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:56:37
- 4ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:57:36
- 5ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:59:06
ミサキ:
「姉さん、私───」
───── ドンッ
サオリは、ミサキをアツコの側へ突き飛ばした。
サオリ:
「───諦めろ。
お前は ずっと そうだっただろう?」
ミサキ:
「・・・違う、違うの。 姉さん、私は───」
サオリ:
「っ・・・! カヤ!!」
サオリが その名を呼ぶと、暗闇の底から、誰かの手が伸び、ミサキの口を抑えた。 - 6ホットドリンク大好き25/02/21(金) 18:59:38
カヤ:
「───遅かったようですね、それも致命的に。」
ミサキ:
「!! 姉さん! 私! 私は ただ───」
遂にその先を口に出来ることなく、ミサキは何者かの黒い手によって暗闇の底へと引き摺られていった。
ヒヨリ:
「ひぃ!? 一体何が・・・!」
慌てるヒヨリに、サオリは優しい声色で語りかける。
サオリ:
「・・・安心しろ。 味方だ。
きっと美味しい食べ物を出してくれる。 付いていくといい。」
ヒヨリ:
「そ、そうなんですか? そういうことなら・・・へへ。」 - 7ホットドリンク大好き25/02/21(金) 19:00:35
カヤ:
「えぇ、飴もクッキーも用意して あります。 ───ですから、こちらへ。」
暗闇から伸びた黒い手に引かれて、どこかへと消えていくヒヨリ。
その様子をボンヤリと眺めていたサオリは、自分の手が誰かに掴まれたことで現実に引き戻された。
アツコ:
「サッちゃん・・・何を・・・!」
サオリ:
「・・・ずっと、こうすべきだった。
弱い私が、家族を手放したくない私が、それを邪魔していた。 ・・・許して欲しい、姫。」
アツコ:
「・・・何を言っているの??」
サオリ:
「私の居ない世界で、光差す世界で、姫だけの幸せを見つけるといい。
・・・今まで ずっと私のワガママに付き合ってくれて、ありがとう。」 - 8ホットドリンク大好き25/02/21(金) 19:01:06
アツコ:
「・・・なんで そんなこと言うの・・・? まるで これが最期みたいな───」
縋るように詰め寄るアツコに、サオリは優しく微笑んだ。
それが答えだった。
アツコ:
「っ!? サッちゃ───」
カヤ:
「時間切れです。」
アツコの口が、ミサキと同じように暗闇から這い出てきた黒い手によって塞がれる。
カヤ:
「これ以上は、ベアトリーチェの手から奪い取るのが難しくなります。」
アツコ:
「サッちゃん───!!」
サオリの手をアツコは掴んだ。
しかし その手は、他ならぬサオリ自身の手で振りほどかれた。 - 9ホットドリンク大好き25/02/21(金) 19:03:24
サオリ:
「さようならだ、姫。
・・・皆に、愛していると伝えて欲しい。」
アツコ:
「!!!」
暗闇から伸びる手に抵抗を試みるアツコだったが、幾ら手を振りほどこうと次から次へと暗闇の底から手が伸びてきて、遂には それに呑み込まれるようにして消えていった。
サオリ:
「・・・。」
サオリは違和感を感じて顔を手で拭った。
すると、手の平にヒンヤリとした感触が伝わっていた。
その感触が涙によるものだと理解するには、数秒の時間が必要だった。 - 10ホットドリンク大好き25/02/21(金) 19:04:12
サオリ:
「・・・独りか。」
ずっと恐れていたはずの孤独が、今は清々しいもののように感じた。
カヤ:
「私がいますよ。」
サオリ:
「・・・そうだったな。
それで首尾はどうだ?」
カヤ:
「万事問題ありません。
『複製(ミメシス)』のパスは通りました。 今は貴方が彼女らの主です。」
サオリ:
「そうか。 それなら良い。
・・・これで思い残すこともない。」
サオリの躰は、ゆっくりとヒトの形を失っていった。
──────────────────── - 11二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 19:16:15
サオリー!?
- 12二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 19:30:11
やめろー!
- 13二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 19:38:44
ばにたす・・・
- 14二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 00:49:37
だっ誰かー!誰かー!
- 15二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 08:44:09
誰でもいい!サオリを助けてくれー!!
- 16二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 09:52:51
大人のカードで何とかなるやろ
- 17二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 10:23:13
カヤを信じるんだ。
きっとサオリも救ってくれるはずだと - 18二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 13:47:29
- 19ホットドリンク大好き25/02/22(土) 16:29:54
マエストロ:
「・・・。」
マエストロは自身の作品に異物が入り込んだことを感じ取った。
マエストロ:
「これは・・・『憎悪』? なぜ このような感情が、いや それ以上に───」
マエストロは天啓を覚え、自身の作品に入り込んだ異物を抽出した。
───── ボゥッ
それは赤黒い炎だった。
通常の炎とは別種の熱さを持つ、光を生まぬ漆黒の炎。
自身が失敗作としたアンブロジウスが生み出す黒炎とも異なる、真の地獄の炎。 - 20ホットドリンク大好き25/02/22(土) 16:30:15
マエストロ:
「・・・なるほど。
これこそがマダムの力の源か。
諦観、虚無、怒り、軽蔑・・・ヒトの本質であり、もっとも醜い部分。
・・・なるほど、実に興味深い題材だ。」
言葉とは裏腹に、マエストロは その炎を握り潰した。
マエストロ:
「嗚呼、しかし今は異物でしかない。
少し時間は掛かるだろうが・・・私の作品からは除去するとしよう。」
マエストロは再び制作作業に戻り始める。
マエストロ:
「・・・しかし、現行で活動をしているものに関しては その限りではないな。
取り除くには、あまりに『憎悪』が入り込み過ぎた・・・。」
──────────────────── - 21二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 18:28:56
取り除く…ってことは元に戻せるのか?
- 22二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 00:49:04
不知火カヤ自身もサオリが犠牲になることは躊躇ってる気がする
- 23二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 08:21:33
- 24二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:45:03
実はこれくらい感情込めて言っていたかもしれない
- 25二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 15:45:35
実はところどころ感情を露わにしている描写があるカヤ
好き - 26ホットドリンク大好き25/02/23(日) 17:32:21
────────────────────
セイア:
「先生、私はカヤのようには成れないよ。
いや、成ろうとしたけど失敗したというべきかな。」
”・・・。”
セイア:
「私はエデン条約を通じて、ミカの言う通り巨大な武力組織を築こうとしていたんだ。
それこそが終末を回避すべき最善策であると・・・カヤの後追いをした。
・・・だけど彼女、アズサが やって来る未来を知って・・・アリウスの憎悪を知って、全てに絶望した。
最初から、いや私が足掻き始めた段階で、我々の未来には王手が掛かっていたのだと。
・・・そんな『巨大な怪物(リヴァイアサン)』の成り損ないに、今更 何が出来るというんだい?」
”・・・そうか、セイアは そんなに頑張っていたんだね。”
セイア:
「・・・。」
”それだけ頑張って、全部ダメだったのなら全てを諦めたくなるかもしれない。
・・・でも、セイア。
自分自身を信じることは諦めないで。”
セイア:
「私・・・自身を・・・?」 - 27ホットドリンク大好き25/02/23(日) 17:34:06
”私は行くよ、セイア。
例え全てが無駄だとしても、最期の1秒まで生徒を助けたいから。”
セイア:
「ま、待ちたまえ・・・!
・・・ただ信じたところで何も変わりはしない・・・!
私が私自身を信じたところで、そこには何の意味もないだろう・・・!?」
”・・・。”
セイア:
「・・・。」
”───水着じゃなくて下着だと思えば、それは下着だから。”
セイア:
「・・・は・・・? ・・・え、下着・・・? 何を・・・それは一体どういう───」
”私は行くね、セイア。” - 28ホットドリンク大好き25/02/23(日) 17:34:34
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セイア:
「・・・・・・行ってしまったか。」
セイアは瞳を閉じて、先程の先生の言葉の意味を───下着と水着の関連性については深く考えずに───吟味する。
セイア:
「・・・そうだね、先生。
今は、私が足掻いて引き寄せた未来の結末を見届けることが・・・この惨劇を招く最初の一石を投じた者の義務なのだと、私は信じることにするよ。」
セイアは意識を夢の底から、現実へと向けた。
──────────────────── - 29二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 23:36:32
- 30二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 08:56:23
先生という変数が加わった
物語はまだ分からない
まだサオリたちは終わっていない - 31二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 13:06:58
まだ希望はある!
- 32ホットドリンク大好き25/02/24(月) 15:12:57
────────────────────
カヤ:
『・・・おや、ミカは『果実』を口にしなかったのですか。』
I.O.正員:
『いかが致しましょう?』
カヤ:
『構いません。
彼女には彼女の道があります。
・・・今回は私で代用しましょう。』
I.O.正員:
『では・・・。』
灰の巨人は、光の巨人に緑の果実を差し出した。
青りんごのようなソレは、しかし通常のモノとは違い中から柔らかな光を放っていた。
カヤ:
『正式な対ではないので効率が悪いのですが・・・まぁ、誰かが負担しなければサオリが人に戻れなくなってしまいますからね。』 - 33ホットドリンク大好き25/02/24(月) 15:13:38
光の巨人は光輝く青りんごを口に放り込んだ。
光の巨人は、その巨大な顎で青りんごを一口で噛み砕く。
───── ドクンッ
ソレを取り込んだ光の巨人の瞳が輝き始める。
───── アァッ
光の巨人本来の声が、声帯から漏れる。
───── メキッ バコッ
光の巨人の装甲───拘束が外れた。
カヤ:
『───さぁ、エゼキエル。 起きて下さい。
預言通り、滅びを齎すときがやって来ました。』
光の巨人の背から、後光のような光輪───ヘイローが発生する。
目覚めゆく光の巨人の前に、無数の灰の巨人が跪いた。
I.O.正員:
『【人の仔】よ。
我々は貴方に従います。
いまこそ【乾いた骨の復活】を・・・。』 - 34ホットドリンク大好き25/02/24(月) 15:16:44
エゼキエルの栄光:
【・・・。】
光の巨人が目の前に跪いた灰の巨人たちに手を翳す
───── メキメキッ
灰の巨人達の拘束具が外れ始めた。
目も、まるで生きているかのように生気を帯び始める。
そして、その背から鳥類の翼のようなものと、頭部にヘイローが出現した。
イザヤの希望A:
【預言の成就を───】 - 35ホットドリンク大好き25/02/24(月) 15:17:00
イザヤの希望B:
【『神の栄光』を───】
イザヤの希望C:
【民に裁きを───】
イザヤの希望D:
【そして許しと回復を・・・今こそ。】
エゼキエルの栄光:
【─────民よ、私は試練である。
─────私は滅びを与える。
─────全ては灰燼に還る。
─────自らの過ちを悔い改めよ。
─────そして行動を起こすのだ。
─────さもなくば、今一度『箱舟』は大いなる1に還るだろう。】
雨が、降り始めた。
──────────────────── - 36二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 17:04:51
- 37二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:48:33
振り出した恵みの雨になるのかそれとも…果たして…
- 38二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 06:03:23
■■ナ「…雨、降ってきましたね…」
- 39二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 08:24:22
- 40二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 13:51:41
- 41二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 22:38:33
待機
- 42ホットドリンク大好き25/02/25(火) 22:53:39
────────────────────
赤眼のミメシスA:
「─────! ─────!!」
赤眼のミメシスB:
「─────! ─────!!」
赤眼のミメシスC:
「─────! ─────!!」
正義実現委員A:
「こちらAブロック!
これ以上は持ち堪えられません!」
正義実現委員B:
「赤い眼のヤツが来てる! メッチャいるよ!!」
正義実現委員C:
「無理無理! あの数は無理だって!! 撤退っ! 撤退ぃっ!!」
正義実現委員D:
「あ、ちょっ、もう勝手に!! しょうがないっ、後退! 後退して!!」 - 43ホットドリンク大好き25/02/25(火) 22:54:02
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・順調だ。 このままトリニティ領を削りきってしまえ。】
鉄塔の上に陣取った、無数の触手がヒトの形をとったような怪物が独りごちた。
ヒトでいう顔にあたる位置に どこまでも底のない虚ろな闇を冠した その怪物は、静かにトリニティの戦況を見つめている。 - 44ホットドリンク大好き25/02/25(火) 22:55:11
- 45ホットドリンク大好き25/02/25(火) 23:19:46
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【ゲヘナの状況は・・・良さそうだな。】
怪物は手元の、相変わらず充電がギリギリで ヒビ割れた画面のスマホからニュースを見る。
指先サイズの極めて見難い画面からは、空を舞う有翼巨人達の空襲に為す術も無く潰走するゲヘナ戦力が見て取れた。
そしてその背後で、見極めるように戦況を眺める後光の差した光の巨人も。
このまま何事も無ければゲヘナもトリニティも早晩落ちるだろう。
怪物からすれば都合の良いことだが、カヤにとっては残念らしい。
計画が上手く進むのだから、一体何が悪いというのか。
─────もっとも、本当に何事も無く終わるはずもない。
─────パシャ(靴が水溜まりを弾く音)
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【そうか・・・やはり、どうあっても お前が来るのか。】
未だ昼前だというのに、怪物の顕現で闇夜に包まれた世界で、一人の小柄な影が怪物の前に現われた。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【トリニティで出来た友達と避難でもしていれば良いものを・・・。
・・・いや、お前の性格で それは無理な相談だったな。 アズサ。】
怪物は鉄塔から飛び降り、アズサの前に立つ。
そして素知らぬフリをして、赤の他人のように振る舞った。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【誰だか知らないが、消えろ。 ここに居座るのならヘイローの保証は出来ないぞ?】 - 46ホットドリンク大好き25/02/25(火) 23:22:15
アズサは目の前の怪物を───
1.サオリだと認識している。
2.サオリだとは思っていなかったが、声のトーンで気付く。
3.完全に頭に血が上っている。 ヤロウブッコロシテヤラァ!
dice1d3=3 (3)
- 47二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 23:56:16
アズサァァァァァァ!落ち着いてくれぇぇぇぇ!
- 48二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 23:59:18
せめてもう1人いれば…
- 49二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 04:52:36
アズサ鈍い!
- 50二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 07:25:00
保守
- 51二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 08:30:27
トリニティで出来た友達…まだ近くにいるかも
- 52二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 11:57:58
- 53二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 15:01:38
先生とかヒフミとか誰でも良いから止めろ!
- 54二次元好きの匿名さん25/02/26(水) 22:34:12
サ…サオリ?
- 55ホットドリンク大好き25/02/26(水) 22:40:08
────────────────────
アズサ:
「・・・敵の動きから分かる。 お前が指揮官だな?」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・その通りだ。 だが、それがどうした?】
アズサは銃を構えた。
アズサ:
「・・・お前を、仕留める。 例え刺し違えても。」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・それは出来ない。 残念だが───】
アズサは怪物の忠告を聴くことなく、アサルトライフルの引き金を引いた。
怪物は触腕を縦横無尽に振り回して全ての弾丸を弾く。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
(お前に正面からの白兵戦は難しいと教えたはずだがな、アズサ。)
とはいえ、慣れない体の肩慣らしには悪くない。
怪物は少しの間、アズサの相手をすることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 56二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 00:00:16
『怪物は少しの間、アズサの相手をすることにした』
先生!サオリは怪物じゃないよしてくれ! - 57ホットドリンク大好き25/02/27(木) 00:09:05
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【───慣れたな。】
怪物は独りごちると、ヒトでいう顔にあたる部分に広がる虚空を手で覆った。
アズサ:
「・・・なにを───」
アズサが訝かしげに疑問を口にするよりも早く、怪物の頭から赤い閃光が走った。
すると、次の瞬間アズサの躰は鉛のように重くなり、瓦礫の山の上に倒れ込んでしまう。
アズサ:
「ぐっ・・・!」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【無駄だ、諦めろ。】
必死に立ち上がろうとするアズサに、怪物が声を掛ける。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【イノクラティア・オクルスの首領が持つ『真理の呪言』とはワケが違う。
もう、お前は戦えない。 ・・・そこで 大人しくしていろ。】
怪物は再び鉄塔に上った。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【時間だ。 『乾いた骨の復活(レズレクティオ・オッシウム・アリドルム)』を実行する。】
──────────────────── - 58ホットドリンク大好き25/02/27(木) 00:10:46
- 59二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 06:07:13
悲しいな...
- 60二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 07:59:29
サッちゃん…
- 61二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 14:46:37
保守
- 62二次元好きの匿名さん25/02/27(木) 18:57:51
姿形は問題じゃない!
大事なのは魂だ! - 63二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 00:15:43
ヒフミ「い…急がないと!」
- 64二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 06:45:51
保守
- 65ホットドリンク大好き25/02/28(金) 07:34:52
────────────────────
エゼキエルの栄光:
【───・・・。】
光の巨人は空を見上げた。
夜と見紛う程の曇天に、真っ赤な月が輝いていた。
エゼキエルの栄光:
【───・・・困った、晴れない。】
本当に困ったように呟く光の巨人の頭の上に、数体の有翼巨人が集まってくる。
イザヤの希望A:
【どうする? 同じ幻視を宿す者よ───】
イザヤの希望B:
【月が赤く染まった───】
イザヤの希望C:
【誓約の時だ───】 - 66ホットドリンク大好き25/02/28(金) 07:36:00
頭上で羽ばたく有翼巨人の言葉に、光の巨人は腕を組んで熟考の構えを見せる。
そうして数秒唸った後、諦めたように頷いた。
エゼキエルの栄光:
【───・・・本意ではないが。】
イザヤの希望D:
【それは我らも同じ───】
イザヤの希望E:
【過ちは自らの手で償われてこそ───】
イザヤの希望F:
【それを我らの手で裁くなど───】
光の巨人が浮かび上がり始める。
やがて有翼巨人と並び、そして更に上へと上がった。
頭が曇天につこうかというところで、光の巨人の上昇は止まる。
エゼキエルの栄光:
【───よい。
───未だ希望が完全に消え失せたワケでもない。
───『乾いた骨の復活』の幻視を実現させる・・・それが完全に為されるまでは。
───・・・同じ幻視を宿す者達よ、位置へ。】 - 67ホットドリンク大好き25/02/28(金) 07:37:14
イザヤの希望G:
【・・・主に栄光を───】
その場で急降下を始め、地面に足をつく有翼巨人の一体。
すると その有翼巨人の足が粘土のように溶け始め、やがて根のようにゲヘナの大地に自らを固定する。
イザヤの希望G:
【最初の爆心地が定められた───】
イザヤの希望A:
【では、我らも───】
そう言って、有翼巨人達はゲヘナ自治区だけでなくトリニティ自治区にも散っていく。
エゼキエルの栄光:
【───全てを灰燼に還し、全てを再生する。
───そうして新たに大きな一つに・・・。】
光の巨人は空を見渡した。
エゼキエルの栄光:
【───・・・未だ、空は晴れない。】
──────────────────── - 68二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 08:48:11
早く止めないと色彩案件クラスのヤバさになりそう…((((;゚Д゚)))))))
- 69二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 14:58:35
あれ?けっこうやばい?
- 70二次元好きの匿名さん25/02/28(金) 16:16:41
空が最終章みたいにとんでもないことになってそう
- 71ホットドリンク大好き25/02/28(金) 17:50:21
────────────────────
イザヤの希望A:
【2番目の爆心地が定められた───】
イザヤの希望B:
【3番目の爆心地が定められた───】
イザヤの希望C:
【4番目の爆心地が定められた───】
イザヤの希望D:
【5番目の爆心地が定められた───】
イザヤの希望E:
【6番目の爆心地が定められた───】
イザヤの希望F:
【7番目の爆心地が定められた───】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 72ホットドリンク大好き25/02/28(金) 19:05:17
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・もうすぐ・・・もうすぐ世界は変わる。
そうすれば、私の・・・私の家族は幸せに───】
???:
「・・・家族が、いるのか?」
一人、また一人と世界に根付いていく巨人達を鉄塔の上から眺めていた怪物は、突然 隣から声を掛けられた。
慌てて声のした方を向くと、そこには呆然とした顔で怪物の顔───そこに広がる虚空を見つめるアズサがいた。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・何故 立ち上がった? どうして鉄塔を登った?
もう お前に そんな体力は無いだろう。 今も地獄のように苦しいはず───】
アズサ:
「答えて。」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・。】
怪物は、少し逡巡した後、口を開いた。 - 73ホットドリンク大好き25/02/28(金) 19:06:10
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・あぁ、家族がいる。
私の命より大切な家族だ。】
アズサ:
「・・・そう、なのか。」
奇妙な沈黙が、二人の間に流れた。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・お前にも家族はいるのか?】
アズサは遠くを見つめた。
視線の先では、また一人の有翼巨人が建物の影に消えていった。
アズサ:
「うん、いる。
大切な家族が。 ・・・まだ、そう伝えたことは無いけれど。」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・そうか。】
怪物もまた、遠くを眺める。
新たな有翼巨人の一団が、空の霞みへと消えていく。 - 74ホットドリンク大好き25/02/28(金) 19:22:46
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【大丈夫だ。 まもなく世界は変わる。
きっと、お前の家族も幸せになれるだろう。】
アズサ:
「・・・人を傷つけて?」
怪物は頤あたりの虚空を掻いて考え込むポーズをとった。
やがて結論が出たのか再び口を開く。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・あぁ。 そこまでして初めて、家族の未来が拓く。】
怪物はアズサの躰を掴んだ。
アズサ:
「ぐっ・・・!」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【その躰では何も出来ない。
そして、この鉄塔から落とされて気絶しないだけの気力も無い。】
アズサ:
「!?」 - 75ホットドリンク大好き25/02/28(金) 19:25:42
アズサは怪物の掌の中で藻掻くが、人外の膂力から逃れることは叶わなかった。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・次に目覚めたとき、きっと お前は私を忘れているだろう。 だから最期に───】
サオリ:
「・・・ありがとう、家族と言ってくれて。
私は・・・お前に受け入れられていないと思っていた。
分かった気になっていたが・・・私は最期までお前のことを分かっていなかったらしい。」
アズサ:
「!! お前は───」
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・さようならだ。】 - 76ホットドリンク大好き25/02/28(金) 19:26:30
怪物が拳を開く。
アズサの躰は空中に投げ出され、重力加速に従って頭から地面に落ちていく。
そうして 直ぐに衝撃と共にアズサの意識は暗転し───
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
アズサ:
(・・・?)
しかし、衝撃が来ることは無かった。
それどころか、不思議と柔らかい感触がアズサを包んでいる。
恐る恐るアズサが目を開けると、そこには見慣れた───しかし明らかに不機嫌そうな友達の顔があった。
アズサ:
「・・・ヒフ、ミ? どうして こんなところに・・・?」 - 77二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 00:33:57
さあヒフミのターンだ!
- 78二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 01:36:17
ヒフミ!やるんだな?今ここで!
- 79二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 09:05:12
ヒフミ「えぇ!! 勝負は今!! ここで決めます!!」
- 80二次元好きの匿名さん25/03/01(土) 18:22:32
- 81ホットドリンク大好き25/03/01(土) 20:48:07
サオリ:
「・・・裏切り?
最初から私達は喰うか喰われるかの関係だっただろう、マダム。」 - 82ホットドリンク大好き25/03/01(土) 22:15:41
────────────────────
エゼキエルの栄光:
【───『悪魔の王』よ、なぜ そこまで戦う?
───過ちが正されなければ、貴方の戦いには何の意味も無いというのに。】
ヒナ:
「意味なんて必要無い。
私は ただ、先生に頼まれたから戦うだけ。」
一方ゲヘナ自治区では、ヒナが風紀委員を率いて戦っていた。
天から雷を落とす光の巨人に対抗して、風紀委員達が対空砲で稲妻のような轟音を響かせていた。
エゼキエルの栄光:
【───『先生』・・・。 なるほど彼の者の采配か。 ならば───】
光の巨人が両手を広げた。
すると、空に無数の光の点が展開される。
それは膨大なエネルギーを内包した小太陽だった。
エゼキエルの栄光:
【───彼の者の真意、見定めさせて貰おう。】
ヒナ:
「!! 総員! 対空防御!!」
ヒナの指揮が響いた次の瞬間、空が光に包まれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 83ホットドリンク大好き25/03/01(土) 22:38:13
エゼキエルの栄光:
【───・・・。】
光の巨人は文字通り灰となった地上を睥睨する。
パッと見では、地上の生命は消え失せたように思える光景ではあった。
───── チッ
光の巨人の頬を、一筋の光が掠める。
見れば少し煤けたヒナが、その機関銃を構えていた。
エゼキエルの栄光:
【───なるほど、一筋縄ではいかないということか。】
ヒナ:
「・・・。」
エゼキエルの栄光:
【───しかし『悪魔の王』よ。
───もはや貴方に付き従う軍団はない。
───運命を受け入れ、楽になるといい。】
光の巨人の言葉通り、ヒナに付き従っていた風紀委員達は救助活動で手一杯といった様子だった。
もはや撤退を余儀なくされていることは疑いようもない。 - 84ホットドリンク大好き25/03/01(土) 22:39:22
ヒナ:
「お断りするわ。」
エゼキエルの栄光:
【───そうか。 では・・・。】
光の巨人が、光の槍を手にする。
そしてその穂先をヒナに向けた。
エゼキエルの栄光:
【───滅びよ。】
ヒナ:
「!!」 - 85ホットドリンク大好き25/03/01(土) 22:39:40
光の槍は亜光速で射出され、次の瞬間ヒナを捉えるかに思えた。
しかし、その光の槍が放つ熱量が、ヒナを包み込むことは無かった。
???:
「いやぁ~、まいっちゃうね。
こんなの おじさんでも何発も受け切れないよ~。」
ヒナ:
「・・・貴方は───」
ホシノ:
「やぁ、風紀委員長ちゃん。
先生に頼まれて援軍に来たよ。」
何故か覆面を付けた状態のホシノ(単品)が、光の槍を受けた盾の熱をブンブン振り回して冷ましながら言った。
──────────────────── - 86二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 02:07:43
- 87二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 09:13:45
ベアおば「貴様なんぞにぃぃぃぃ‼︎」
- 88二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 09:21:14
サオリ「地獄でやってろ」
- 89二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 17:25:56
ヒナ…ホシノ…最強格が集結していく…
- 90二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:08:48
ホシノとカヤのピンク髪コンビの絡みとか何か好き
- 91二次元好きの匿名さん25/03/02(日) 23:09:57
- 92二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 01:12:13
- 93ホットドリンク大好き25/03/03(月) 05:45:23
────────────────────
<ファウストの下りの後>
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【・・・アビドスか。
既に砂漠に埋もれた学園と聞いていたが・・・なるほど予想外だ。
・・・アズサは良い友達に恵まれたらしい。】
アズサ:
「サオリ・・・私は───」
何かを言おうとするアズサを、怪物は手で制した。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【やめろ、アズサ。
敵を前にしたとき躊躇をするなと教えたはずだぞ?】
アズサ:
「・・・。」
ヒフミ:
「アズサちゃんの お姉さんなんですよね?
今ならまだ間に合います。 投降して頂けませんか?」
ヒフミの背後には、補習授業部を筆頭に正義実現委員会などのトリニティ勢力が続々と集結していた。
- 94ホットドリンク大好き25/03/03(月) 05:46:50
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【間に合う? 今更なにが間に合うと?】
ヒフミ:
「・・・。」
怪物は嗤った。
その背後には、ガスマスク越しからでも分かるほど眼が爛々と赤く輝く『複製(ミメシス)』が集結しつつある。
繧オ繝ェ繧ィ繝ォ縺ョ谿コ諢:
【もう・・・誰にも止められない。
世界は灰燼に還る。 ゲヘナ、トリニティ・・・その全てが!】
───── ボゥ
怪物の躰が赤黒い炎に包まれる。
その炎は、まるで解放を喜ぶかのように踊り狂った。
サリエルの殺意:
【───さぁ、来い! アリウスの『怨嗟』・・・その真髄を教えてやる!!】
怪物がヒフミ達に飛び掛かる。
それと同時にヒフミ達も銃を構える。
怪物に率いられた赤眼のミメシスが、怪物に続く。
ヒフミ達に率いられたトリニティ兵力が、ヒフミ達に続く。
たった独りの軍勢と、トリニティの軍勢が衝突した。
──────────────────── - 95二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 09:06:03
『たった独り』の軍勢か…虚しいな…
- 96二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 13:08:12
保守
- 97二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 14:25:38
「まるで解放を喜ぶか」か…楽にしてやるべきかそれとも…
- 98二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 18:11:44
サオリもそうだけどカヤも自分の意思を増やしていくって点では当てはまるよね...
- 99ホットドリンク大好き25/03/03(月) 22:15:22
────────────────────
エゼキエルの栄光:
【───おぉ、『最古の神聖』よ。
───天空に座す異教の神聖、この世界の創造主よ。
───貴方ともあろうものが随分と弱っているようだ。】
ヒナとホシノの二人を相手にすべく地上に降りた光の巨人は、その手に持った光の槍を無造作に振るった。
太刀筋にあったビルが、圧倒的な熱によって両断される。
ホシノは それを軽く しゃがんで躱した。
熱風がホシノの頬を撫でる。
エゼキエルの栄光:
【───貴方は弱くなった。 私如きに手間取るほどに。
───『最高の神聖』たる貴方が、『人の仔』程度に煩わされるとは。】
ホシノ:
「・・・五月蠅いなぁ。 そういうのが最近の流行りなの? おじさん、そういうのに疎いんだからさぁ~・・・。」
建物の間をスパイダーマンのように飛び回って光の巨人に銃弾の雨を浴びせていた人影───空崎ヒナがホシノの横に立つ。
そして 視線を光の巨人に向けたままホシノに声を掛けた。
ヒナ:
「小鳥遊ホシノ、合わせて。」
ホシノ:
「あいよ。 ホシノで良いよ?」 - 100ホットドリンク大好き25/03/03(月) 22:15:46
ヒナ:
「ならまず、私の名前を覚えることね。」
ホシノは盾を頭上に構えた。
ヒナが その上に飛び乗る。
ホシノ:
「えっと・・・シナちゃんだっけ?」
ヒナ:
「・・・。」
ホシノが盾を瞬間的に上へプッシュする。
その勢いのまま、ヒナは盾を蹴った。
悪魔特有の翼を大きく広げ、空を掻き、更に高くへと飛ぶ。
その高度は、光の巨人の眼前まで迫った。
エゼキエルの栄光:
【───貴方が空を支配することはない、悪魔の王よ。】
光の巨人が、見覚えのある動作で両手を広げた。
次の瞬間、ヒナの周りには無数の小太陽が発生する。
ヒナ:
「それはもう見た。」 - 101ホットドリンク大好き25/03/03(月) 22:16:43
しかしヒナは慌てることなく、冷徹に機関銃の銃身を振り抜いた。
紫の閃光が走り、次の瞬間 展開された小太陽群が 吹き消された蝋燭の火のように消え去る。
エゼキエルの栄光:
【───なるほど。 主の旧敵は健在か。】
ホシノ:
「私を忘れて貰っちゃ困るなぁ。」
エゼキエルの栄光:
【───おぉ。】
ホシノは いつの間にか光の巨人の肩に立ち、その眼球に散弾銃を突きつけていた。
ホシノ:
「この先はウチの子達には見せられないねぇ~・・・。」
ホシノは引き金を引いた。 - 102二次元好きの匿名さん25/03/03(月) 22:17:10
このレスは削除されています
- 103ホットドリンク大好き25/03/03(月) 22:21:29
───── ガシャンッ
光の巨人の眼球部分のテクスチャが崩壊する。
ホシノは電光石火の早業で再び地上に戻り、ヒナもまた、近くの建物の上に着陸する。
光の巨人は砕けた眼球のテクスチャを気にする素振りもなく、ただ残りの瞳 全てでホシノを見つめた。
エゼキエルの栄光:
【───『ホルス』よ、貴方が良く見えました。
───貴方は『心の病』を患っている。 その病が、貴方を弱くしている。
───教えて下さい、貴方は何故 自らを縛り付けているのですか?】
ホシノ:
「・・・お前には分からない、この痛みは。」
ホシノは一瞬鋭い眼光を宿し、吐き捨てるように言う。
ヒナ:
「・・・。」
その様子を、ヒナは少し離れた高所から眺めていた。
──────────────────── - 104二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 03:52:29
保守
- 105二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 08:00:32
わざと名前を間違えて相手の反応を見てその人の人となりを知るホシノ
- 106二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 08:00:52
hosyu
- 107二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 13:54:11
- 108二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 13:55:43
カヤホシが出会って間もない頃
「カヤちゃん。
初めて会ったとき私のこと『ホシノ』じゃなくて『ホシナ』って呼んでたでしょ。」
「まあそうカリカリしないでくださいよ。
名前なんて間違うものじゃないですか。」
「ふざけないでよ。」
「ふざけてないですよ。
名前を間違えたときに色々なことが分かるんです。
貴女はすぐに言い返しました。
『私はホシノ』って。」
「それで何が分かるの?」
「頑固。
子供っぽい。
自己主張が強い。
まあ、そんなところでしょうか。」
「ほっといてよ。」
「そう怒らないでください。
上手くやっていきましょう。
私たちはパートナーになるんですから。」
「笑わせないでよ。」 - 109二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 22:01:53
- 110二次元好きの匿名さん25/03/04(火) 23:57:26
- 111ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:02:07
────────────────────
ツルギ:
「キヒヒ!!」
サリエルの殺意:
【邪魔だ!!】
怪物は その鋭い爪をツルギへと振り下ろす。
しかし それはバックステップによって難なく躱された。
───── ドドドドドドッ
サリエルの殺意:
【ぐっ・・・!】
次の瞬間、怪物を砲弾の雨が襲う。
それはトリニティの砲兵隊からの集中砲火だった。
サリエルの殺意:
【舐めるな・・・!】
爆煙の中で、怪物の頭部にあたる虚空が赤い光を放ち始める。
すると砲兵隊の場所から無数の、血のように赤黒い水球が発生した。
それは夜空に輝く星々のように砲兵隊の生徒の周囲を漂う。 - 112ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:04:39
サリエルの殺意:
【爆ぜろ。】
次の瞬間、赤黒い水球が弾けた。
握り潰された果実から飛び散る果汁のように、血のような液体が周囲に撒き散らされる。
それを浴びた生徒は藻掻き苦しんで気絶し、牽引式の砲身は強力な酸に触れた金属のようにドロドロに溶けた。
サリエルの殺意:
【アリウスの呪い、存分に味わうがいい。】
───── パシャ
不意に背後から水溜まりを弾く足音が聞こえた。
振り返ると、見慣れた小柄な影が自身に突撃してくるところだった。
アズサ:
「サオリぃぃぃ~~~!!!」
サリエルの殺意:
【お前に正面からの白兵戦は不利だと教えたはずだぞ、アズサぁ!!】
そこでふと疑問が浮かぶ。
果たしてアズサは ここまで学習をしないアホの子だっただろうかと。
いや、むしろ自分より頭が良い節があったはずだ。
だからこそ、アズサは自分の力で自らの正義を見出したのだから。 - 113ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:07:01
───── パシャ
サリエルの殺意:
【(・・・!)】
そこまで考えたところで、不意に背後から二人目の足音が聞こえた。
怪物の、常人より圧倒的に広い視野角が その影を捉える。
それは雑兵だと思って見逃していた、アズサの友達───ヒフミだった。
サリエルの殺意:
【大人しくしていれば良いモノを!!】
挟み撃ちの形になった怪物は、先にヒフミを沈黙させようと その存在しない虚空の瞳をヒフミに向ける。
そうして先刻アズサにそうしたように、瞳から赤い閃光を走らせた。
サリエルの殺意:
【寝ていろ!】
アズサ:
「ヒフミ!」
赤いエフェクトを直に浴びたヒフミは、まるで糸の切れた人形のように前のめりに倒れ───ない。 - 114ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:08:12
ヒフミ:
「まだ寝るには早い時間です!」
サリエルの殺意:
【(耐えた・・・!?)】
かなり強い強制力を持つはずの『邪視』が弾かれたことで、怪物の注意が一気にヒフミへと向く。
───それが隙を生んでしまった。
ヒフミ:
「今です、アズサちゃん!」
アズサ:
「うん!」
サリエルの殺意:
【しまっ───】
───── ダダダダッ
いつの間にか懐に入り込んでいたアズサが、怪物の腹部に1マガジン分の銃弾を撃ち込む。
サリエルの殺意:
【ぐぉ・・・!】
怪物は思わず腹部を押さえた。 - 115ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:14:25
蹲る怪物の前にアズサが立つ。
その瞳は真っ直ぐに、怪物の───変わり果てたサオリの見えないはずの瞳を捉える。
アズサ:
「分かっている、サオリ。 私 独りが正面からの白兵戦で勝つのは難しい。」
アズサはポケットからグレネードを取り出し、そのピンを抜いた。
アズサ:
「でも、私は独りじゃない。」
サリエルの殺意:
【・・・そうか。】
怯んだ怪物の下にグレネードが投げ込まれた。
爆発する。
吹き飛ぶ怪物。
サリエルの殺意:
【・・・そうだな。 お前は もう独りで戦っているワケではないんだったな・・・。】
地べたを這いつくばる怪物。
───その前に、小さな手が差し出された。
アズサ:
「もう止めよう、サオリ。
何も独りで戦うことはないだろう? ・・・私も一緒に罪を償うから、だから───」
サリエルの殺意:
【・・・。】 - 116ホットドリンク大好き25/03/05(水) 04:15:12
少しの逡巡の後、怪物の大きな黒い手が、アズサの小さな白い手に差し出される。
そうしてアズサが怪物の───サオリの手を掴もうとしたところで、その手は他でもないサオリの手によって振り払われた。
アズサ:
「───! サオリ!」
サリエルの殺意:
【10秒待ってやる。 早く銃を構え直せ。】
怪物は起き上がり、アズサから ゆっくりと距離をとる。
アズサ:
「どうして!」
サリエルの殺意:
【・・・私自身の、エゴの為だ。】
サオリ:
(『家族の幸福』という、これ以上のないエゴの為に・・・な。)
──────────────────── - 117二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 08:43:21
アズサ「サオリも家族だ!サオリも幸福であるべきだ!」
- 118二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 15:30:59
ほしゅ
- 119二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 15:33:20
うじゅぎょうぶ
- 120二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 16:20:55
サオリを止めるんだ!補習授業部!
- 121二次元好きの匿名さん25/03/05(水) 22:50:38
"あと一人誰か忘れちゃいませんかってんだ"
- 122ホットドリンク大好き25/03/06(木) 00:40:15
────────────────────
───── ドンッ
サリエルの殺意:
【!?】
エゼキエルの栄光:
【───これは・・・。】
2体の怪物の背が ぶつかる。
いつの間にか二人は、戦いの果てに とある場所へと流れ着いていた。
サリエルの殺意:
【・・・古聖堂か。】
エゼキエルの栄光:
【───・・・。】
光の巨人は、何かを待つように動きを止めた。
ただ その瞳だけはヒナとホシノから離さずにいる。
ホシノ:
「うへぇ~・・・ここまで押し込むのは大変だったよ~。 先生も年寄りの扱いが荒いねぇ・・・。」
ヒナ:
「・・・私と同い年じゃなかったかしら?」
怪物は光の巨人と背中合わせになりながら、二人の軽口に耳を澄ませていた。
何か・・・自身の想定にないことが起こっている。 - 123ホットドリンク大好き25/03/06(木) 00:41:11
サリエルの殺意:
【(押し込む・・・? なぜ、どうして・・・───)】
そこまで考えて、ふと自分達が ねじ曲げた条約とカヤの言葉が思い出された。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
カヤ:
「───もし先生が生き残れば、きっと私達のプランAは頓挫するでしょうね。」
サオリ:
「・・・なぜだ? あれは只の『善い大人』だろう? 確かに指揮能力は脅威だが───」
カヤ:
「分かっていませんね、サオリ。
例えどれだけ『善い』存在であろうと、『大人』であることに変わりは無いのです。
『契約を都合の良いように曲解し、ねじ曲げ、改ざんする』・・・その側面だけは、師ともベアトリーチェとも変わりません。
その手口───『大人の やり方』の恐ろしさは、貴方が一番分かっているのではありませんか?」
サオリ:
「・・・。」
カヤ:
「私が思うに、『善い大人』とは『悪い大人』より ある意味ずっと恐ろしい。
覚えておいて下さい、サオリ。 約束事を利用することにおいて、どうあっても『大人』には勝てないのです。」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ - 124ホットドリンク大好き25/03/06(木) 00:46:15
サリエルの殺意:
【───『先生』・・・。 なるほど、生きていたのか。】
怪物はトリニティの軍勢を舐め回すように見つめた。
砂場に落とした一粒のゴマを見つけようとするように、ギョロギョロと虱潰しに探る。
サリエルの殺意:
【いたな。】
そうして遂に、怪物は『先生』を見つけた。
”・・・。”
サリエルの殺意:
【何を企んでいる? 私と人形を一ヶ所に集めて。】
怪物は前傾姿勢をとる。
それは鎌首をもたげた蛇のように殺意に満ちていた。
サリエルの殺意:
【まぁいい。 何かする前に・・・今度こそ仕留める。】
そうして怪物が纏う赤黒い炎が より一層燃え盛り、怪物の足が土を蹴ろうとした次の瞬間───
怪物の前にアズサが立ちはだかった。
先生を庇うように両手を広げる。 - 125ホットドリンク大好き25/03/06(木) 00:55:47
アズサ:
「先生は やらせないぞ、サオリ。 ・・・もう二度と、やらせない。」
サリエルの殺意:
【・・・お前に私は止められない。 お前を轢き飛ばしてでも、私は あの大人を消す。】
ドス黒い殺意の前で必死に耐えるアズサの前に、更に別の人影が立った。
先生を庇うアズサと同じように、両手を広げてアズサを庇う。
ヒフミ:
「アズサちゃん だけじゃありませんよ?」
ハナコ:
「私達もいます♡」
コハル:
「わ、私も・・・。」
サリエルの殺意:
【・・・。】
怪物の中に、(妹と、その友達を纏めて轢き飛ばすのか・・・?)という人間らしい躊躇と、背後にツルギが控えているのを見て(このまま動いても普通に逸らされそうだな・・・。)という冷静な計算が巡る。
捨て去ったはずの迷いと、シンプルな戦術上の難問が、サオリを思考の海へと引き摺り込んだ。
ヒフミ:
「・・・サオリさん、私の話を聞いて下さい。」
少し語気の強いヒフミの言葉で、怪物は我に返る。
その言葉に対する返答はとうに決まっていた。
今更 話し合いの余地などない。 答えは当然NO─── - 126ホットドリンク大好き25/03/06(木) 00:57:43
エゼキエルの栄光:
【───よい、話せ。】
サリエルの殺意:
【───!? なぜだ!!】
突然 背後から光の巨人に肩を押さえられた。
身動きがとれない。
心境的には背後から刺されたも同然だった。
エゼキエルの栄光:
【───許せ、『月の支配者』よ。
───民の意思を、我らは今一度 確かめたいのです。】
サリエルの殺意:
【誓約か・・・!】
エゼキエルの栄光:
【───その通り。
───さぁ、民よ。 その代表者よ。
───話すといい。 それを誰も止めることは出来ない。】
ヒフミ:
「はい。」
ヒフミは光の巨人に促されて怪物の───サオリの前に歩み寄る。
どこか心配そうなアズサとは対象的に、その目は静かな怒りを宿していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 127二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 06:08:00
ほしゅ
- 128二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 06:12:13
ほ
- 129二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:43:30
お
- 130二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:43:49
ぷ
- 131二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 07:54:48
希望を捨てちゃ駄目だ!
- 132二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 12:21:16
自分の命を粗末にしないでください!
- 133二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 17:35:20
(´;ω;`ヒフミ)
サオリさんのバカ! - 134二次元好きの匿名さん25/03/06(木) 22:51:25
光の巨人も本心ではサオリを早く元に戻したいと思ってそう
- 135ホットドリンク大好き25/03/07(金) 02:10:26
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒフミ:
「サオリさん、私は凄く怒っています。 どうしてだか分かりますか?」
サリエルの殺意:
【・・・エデン条約の調印式を襲撃した、トリニティを攻撃した・・・理由は幾らでも考えられる。】
ヒフミ:
「違います、そんなことは どうでも良いんです。」
サリエルの殺意:
【なら・・・何故だ。 私は お前を最近 知った。 お前も、私を最近まで知らなかったはずだ。】
ヒフミ:
「そうですね。 アズサちゃんから貴方のことを聞くまで、私は貴方の名前も知りませんでした。」
サリエルの殺意:
【そうだろうな。 それなのに私を憎むことが出来ると?】
ヒフミ:
「・・・本当に分かっていないんですね。
私は貴方を憎んでいるんじゃありません。 ただ、怒っているんです。」
サリエルの殺意:
【・・・何が違うというんだ。
怒りとは憎悪であり軽蔑だ。 私はお前よりも ずっと それを知っている。】 - 136ホットドリンク大好き25/03/07(金) 02:11:12
ヒフミ:
「いいえ、何も分かっていません。
私が怒っているのは、貴方がアズサちゃんを傷つけているからです。」
サリエルの殺意:
【そんなことは分かっている。
今まで ずっと私はアズサを傷つけてきた。 だから───】
ヒフミ:
「『今まで』じゃないです。 『今』です。
私は貴方が どんな人なのか知りません。 ですが、いなくなってしまうとアズサちゃん が悲しむ人だということは分かります。」
サリエルの殺意:
【・・・問題ない。 私は もう直ぐ『存在していなかった』ことになる。 だから、アズサが悲しむことは無い。】
ヒフミ:
「・・・なんで そんなに簡単に言えるんですか?
『家族の幸せ』を願っていた貴方の言葉は嘘だったんですか?」
サリエルの殺意:
【嘘なものか。 私は何よりもソレを願っている。】
ヒフミ:
「・・・貴方が消えることがアズサちゃんの幸福だとでも?
貴方がいなくなったら、貴方の家族は幸せになれないことが どうして分からないんですか!」 - 137ホットドリンク大好き25/03/07(金) 02:17:14
サリエルの殺意:
【お前に何が分かる!
何を! どう足掻いても不幸にしかならなかった!!
幸せにしようと足掻けば足掻くほど苦労を背負わせた!!
私が存在している限り!! 私の家族が幸せになれないことなんて誰よりも分かっている!!!】
ヒフミ:
「分かってません!
貴方の言う家族は! きっと貴方を信じているからこそ一緒に苦労を背負ったんです!
そうじゃなきゃアズサちゃんが悲しむはずありません!」
サリエルの殺意:
【その『信頼』が一番厄介だと何故分からない!
私は どこまでも底に沈んでいく泥船そのものだ!
信じて しがみついていれば不幸にしかならない!
『信頼』が・・・私が家族を不幸にするというのなら! そんなものは最初から無かった方が良かったんだ!!
この凄惨な物語を終わらせ! 新しい幸福な物語を再構築する!! 私という『疫病神』がいない物語に!!!】
ヒフミ:
「そんなことさせません・・・!
そんな・・・そんなBAD ENDは、絶対に認めません!!
私の好きなHAPPY ENDは、誰一人欠けていない大団円なんです!!
・・・いなかった方が良かったなんて、絶対に否定してみせます!!
終わりになんて させません!! まだまだ続けていくんです!!
『私達』の物語・・・!! 『私達』の、『青春の物語(ブルーアーカイブ)』を!!!」
──────────────────── - 138二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 07:54:29
ブルアカ宣言
明るくなる空 - 139二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 09:08:50
やっぱりヒフミは主人公だな
- 140二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 09:33:06
- 141二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 11:59:46
- 142二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 12:25:52
これにはあの地下生活者も大号泣
- 143二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 17:23:49
- 144二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:07:32
完成度が高い!すごい!
- 145二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:10:57
そういえばカンナやユキノは今どこにいるんだっけ?
- 146二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:12:13
サオリが元のサオリに戻れたときカヤの口元に笑みが溢れてそう
- 147二次元好きの匿名さん25/03/07(金) 22:55:28
- 148ホットドリンク大好き25/03/08(土) 04:28:49
────────────────────
”ここに宣言する。”
”私達が、新しいエデン条約機構(ETO)。”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エゼキエルの栄光:
【───あぁ・・・空が晴れた。】
光の巨人は感慨深そうに空を見上げる。
そして ゆっくりと怪物の拘束を解いていった。
サリエルの殺意:
【・・・これは・・・『憎悪』が・・・? いや、人形・・・貴様・・・!】
拘束を解かれた怪物だったが、暴れることもなく、むしろグッタリと倒れ込んだ。
そして少しずつ怪物としての躰が溶けていることに気が付く。
エゼキエルの栄光:
【───過ちは正され、誓約は清算された。
───もはや全てを灰燼に還す必要などない。
───民は、既に自らの足で歩き始めた。
───・・・『外なる太陽』も やがて気付くだろう。】 - 149ホットドリンク大好き25/03/08(土) 04:30:50
───── ジュッ
光の巨人は手に持つ光の槍を腹部にあてると、怪物を───その内のサオリを見つめた。
エゼキエルの栄光:
【───『月の支配者』よ、『死を見守る者』よ。
───代償は私が連れていく。
───どうか貴方の行く末に溢れんばかりの祝福のあらんことを。】
光の巨人は自らの腹部を光の槍で貫いた。
直視に耐えないほどの光が、傷口から溢れる。
サリエルの殺意:
【待て・・・! まだ、消えるな! 私は まだ・・・まだ戦える・・・!】
エゼキエルの栄光:
【───戦いとは、生きることである。】
その言葉を最後に、光の巨人は腹部に刺さった光の槍とは別の もう一本の槍で自ら首を焼き切った。
巨人の首がボトリと落ちる。
そして光の巨人は後光のようなヘイローと光を失って骸となった。
各地に根を張った有翼の巨人達も、そのヘイローを失って枯れた植物のようにグッタリと項垂れる。 - 150ホットドリンク大好き25/03/08(土) 04:31:43
サリエルの殺意:
【ガァッ・・・!】
倒れ込んでいた怪物もまた、肉が腐って地面に吸い込まれていくかのように消えていった。
そうして最後に、怪物だった汚泥の中から一人の人影が這い出てくる。
サオリ:
「まだだ・・・まだ・・・諦めるワケには・・・。」
”・・・サオリ、終わりにしよう。”
先生がサオリに声を掛ける。
サオリは既にボロボロだった。
炎に包まれていた怪物だった時は目立たなかった無数の傷が、サオリに致死量レベルの出血を強いる。
サオリはもう、執念だけで立っていた。
サオリ:
「・・・先生。 正直、お前を舐めていた。
『悪い大人よりも善い大人の方が ずっと恐ろしい』・・・その言葉の意味を、私は あまり理解できていなかったようだ。
・・・いや、今も理解できていないのかもしれないな。」
サオリは震える足で倒れそうになりながらも、ゆっくりと後ろに下がる。
その先には古聖堂があった。 - 151ホットドリンク大好き25/03/08(土) 04:32:45
サオリ:
「・・・エデン条約機構(ETO)が二つ存在しているせいで、『複製(ミメシス)』の制御が乱れている・・・。
もう・・・これは使い物にならないだろう。」
サオリはピタリと止まった。
血が、ボタボタと瓦礫に染みこんでいく。
サオリ:
「───だが、まだだ。 まだ、終わっていない。」
サオリは尋常では無い出血には目もくれず、本来は走れるはずもない躰で古聖堂へと一気に駆け出した。
”サオリ! 待って、その怪我じゃ───”
サオリ:
「知ったことか!」 - 152ホットドリンク大好き25/03/08(土) 04:32:59
血の足跡を残しながら、サオリは古聖堂の影へと消えていく。
その出血量では、放っておけば死ぬことは明白だった。
アズサ:
「サオリ・・・。」
哀しそうな目でサオリの消えた古聖堂を見つめるアズサの手を、ヒフミが握った。
ヒフミ:
「行きましょう、アズサちゃん!
あの人を、サオリさんを救けるんです!
そしてもう二度と自分の命を粗末に出来ないように、目一杯 叱りつけちゃいましょう!!」
アズサ:
「・・・! うん!!」
──────────────────── - 153二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 08:02:52
セナー!ミネー!
救護の準備をー! - 154二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 16:49:23
サオリを死なせるなー!
- 155二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 23:36:28
救護ー!
- 156二次元好きの匿名さん25/03/08(土) 23:37:05
ᓀ‸ᓂ「サオリを助けるぞ!」
- 157二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 07:08:58
ほ、
- 158ホットドリンク大好き25/03/09(日) 08:11:33
────────────────────
サオリ:
「よし・・・これで───」
アズサ:
「サオリ!」
古聖堂の地下で何らかの操作盤を触っていたサオリは、ゆっくりと振り返る。
血を流しすぎたようで、操作盤に血をベットリと付けながら、背をつけて崩れ落ちた。
サオリ:
「・・・終わらせよう、アズサ。 これで・・・最後だ。」
サオリの後ろには、黒い巨人が拘束されていた。
それは『聖徒の交わり』の失敗作、アンブロジウスに良く似た、しかし全く異なる個体だった。
まるで『玩具として与えられた誰かが魔改造した』かのように異形と化している。 - 159ホットドリンク大好き25/03/09(日) 08:12:02
- 160ホットドリンク大好き25/03/09(日) 08:32:59
魔改造アンブロジウス:
【オォォォォォ!!】
拘束が外れ、黒い巨人は暴れ狂う本質のままに近くの剣を手に取った。
魔改造アンブロジウス:
【アァァァァァァァァ!!!】
そして古聖堂の地下全体に響き渡るかのような咆吼を上げる。
黒い巨人の背後に、後光のようなヘイローが展開された。 - 161ホットドリンク大好き25/03/09(日) 08:33:22
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有翼巨人A:
『───最終プランの信号を確認。
ダミーヘイロー、起動。
プロトコル『乾いた骨の復活(レズレクティオ・オッシウム・アリドルム)』を再設定・・・。
爆心炉の再加熱を開始します。』
有翼巨人B:
『───最終プランの信号を確認。
ダミーヘイロー、起動───』
有翼巨人C:
『───最終プランの信号を確認。
ダミーヘイロー、起動───』
有翼巨人D:
『───最終プランの信号を確認。
ダミーヘイロー、起動───』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
各地に根を張っている有翼巨人が、再び息を吹き返した。
その頭部にヘイローが現われ、全身が少しずつ光を帯び始める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 162二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 09:04:03
ᓀ‸ᓂ「サオリ!死ぬな!」
- 163ホットドリンク大好き25/03/09(日) 09:07:14
サオリ:
「ただの玩具人形だが・・・幸いにも器としては十分だ。
コレが存在している限り、この物語の破壊は避けられない。
・・・アズサ、お前に・・・いや、お前達に止められるか?」
サオリの赤く染まっていく視界の先には、アズサの他にも何人もの人影が見えていた。
ただ、もはや目が霞んで顔までは分からない。
アズサ:
「止めるよ、何としても。 ・・・行こう、皆。」
ヒフミ:
「任せて下さい!」
コハル:
「倒せるかな、あんなの・・・。」
ハナコ:
「うふふっ、大丈夫ですよ。
私達は もっと厳しい試練を超えてきたじゃないですか。
そう・・・例えば あの夜・・・誰もいない体育館で あられもない姿を晒し合った───」
コハル:
「いやっ、あれは他に着れる服が無かったから仕方なく───っていうか あられもないって何!?
ただのスクール水着でしょ!? 変な風に言わないで!!」 - 164ホットドリンク大好き25/03/09(日) 09:12:49
サキ:
「あぁ・・・あれはキツかったな。」
ミヤコ:
「えぇ・・・誰かさんが非常訓練だ とか言って大雨の中 テントを・・・。」
サキ:
「・・・悪かったな。」
モエ:
「そうそう、下着まで濡れちゃったからテントの中で裸になって肌を寄せ合って───」
ハナコ:
「すみません、その話 詳しく。」
ミユ:
「・・・結局 朝まで起こし合ったよね。
寝ちゃったら凍えて死んじゃうから・・・。」 - 165ホットドリンク大好き25/03/09(日) 09:13:29
ミヤコ:
「ミユの口から魂的なものが出てきたときは、本当に どうしようかと思いましたよ。」
サキ:
「だから! 悪かったって!!」
ハナコ:
「テントの中、4人で一体ナニを? どうやって起こし合ったのですか? 是非 教えて下さい、さぁ早く!」
”みんな余裕そうだね。”
アズサ:
「うん、心強い。」
──────────────────── - 166二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:27:34
ほしゅ
- 167二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 16:29:21
うじゅぎょうぶ
- 168二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 18:19:15
集結!
- 169二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 23:26:19
いつも通りのテンションになる余裕がある
すなわち勝ちフラグ - 170二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 23:33:17
あぁ、補修授業部の勝ちだ!
- 171二次元好きの匿名さん25/03/09(日) 23:35:15
やめろ負けフラグっぽく聞こえちゃうだろ!
- 172ホットドリンク大好き25/03/10(月) 02:32:36
────────────────────
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
魔改造アンブロジウス:
【オォォォォォ!!】
異形のアンブロジウスは その3対の腕に持った巨剣を振り回し、無数の真空刃を発生させる。
それが古聖堂の地下を切り裂いた。
地震のような揺れと共に、無数の岩片が崩落してくる。
サキ:
「危なっ! 早くアイツを仕留めないと、ここが崩壊するぞ!!」
ヒフミ:
「分かってます! ミヤコさん!!」 - 173ホットドリンク大好き25/03/10(月) 02:33:03
ミヤコ:
「───総員! 巨人の足元を狙って下さい!!」
───── バババッ
───── ドォンッ
魔改造アンブロジウス:
【オォォォォォ・・・】
ゆっくりと膝を突いて倒れ込む異形のアンブロジウス。
その先には岩陰に身を潜めていたアズサがいた。
アズサ:
「─── チェックメイトだ。」
───── バァンッ
アズサの放った銃弾が、異形のアンブロジウスのフードの中の闇へと消えていく。
一見なんの変化も見られないが、アズサには確かに仕留めたという確信があった。
倒れゆく躰を支えることもなく、うつ伏せに倒れる異形のアンブロジウス。
光を吸い込む暗黒の肌には一切の外傷が見られないので 皆が動き出すのを警戒する中、異形のアンブロジウスはアズサの直感の正しさを証明するかのように、ゆっくりと その形を崩壊させていった。 - 174ホットドリンク大好き25/03/10(月) 03:39:53
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
───── コツコツコツ・・・
アズサは血塗れで倒れ込むサオリの前に立った。
その顔から感情は窺い知れない。
ただ、怒っているような哀しんでいるような複雑な顔はしていた。
サオリ:
「・・・私の負けだ、アズサ。 ・・・強く、なったな。」
アズサ:
「・・・今それを言われても ちっとも嬉しくないよ、サオリ。」
アズサはサオリの側に寄る。
噎せ返るような鉄臭さがアズサの嗅覚に訴えた。
───血を流しすぎている。
アズサ:
「・・・大丈夫、直ぐに良くなるよ。」
サオリはアズサの言葉を聞いて笑った。 - 175ホットドリンク大好き25/03/10(月) 03:40:36
サオリ:
「嘘が、下手だな。 自分の躰のことは・・・自分が一番良く分かってる。」
───── ベチャッ
アズサは自身に血が付着することも厭わずにサオリに抱きついた。
サオリ:
「おい・・・。」
血液感染のリスクを理解しているサオリは、もう指先の感覚が無い腕で無理やりアズサを引き剥がそうとする。
しかし、アズサは微動だにしなかった。
アズサ:
「嫌だ・・・死なないでサオリ・・・。」
サオリ:
「・・・。」
サオリは引き剥がすのを諦めて、あやすようにアズサの背に手を回した。
サオリ:
「泣くな、アズサ。 『疫病神』が勝手に死ぬだけだ。 だから───」
サオリが最後まで言い切ることは無かった。
その前に、アズサが涙を流しながら自分を睨んでいることに気が付いたから。 - 176ホットドリンク大好き25/03/10(月) 03:41:13
アズサ:
「・・・二度と・・・二度と自分のことを『疫病神』なんて言わないで・・・!」
サオリ:
「だが、私は お前達に苦労を───」
アズサ:
「お願い・・・。」
サオリ:
「・・・。」
サオリは天を仰いだ。
ここにきて ようやく、ヒフミの言葉の真意が理解できたから。
サオリ:
(そうか・・・私は、愛されていたのか・・・。)
サオリの胸の中で、アズサが祈りの言葉を口にする。
アリウスでは禁じられた、家族への慈悲を請う祈りだった。
アズサ:
「───主よ、どうか私の家族を連れて行かないで下さい・・・。
冷たくて、暗くて、痛かった世界で、私を助けてくれた大切な人なんです・・・。
私より優しくて、強くて・・・家族を守る為に誰よりも足掻いていました・・・。
だから、どうか・・・どうか慈悲を・・・。
・・・どうか・・・慈悲を・・・。」 - 177ホットドリンク大好き25/03/10(月) 03:42:14
サオリ:
(・・・。)
サオリは自らに抱き縋るアズサの小さな震える背中を、幼子にそうするように ゆっくりと叩く。
サオリ:
「・・・分かった。 約束する。 何とか生きてみせる。 ・・・だから泣くな。」
アズサ:
「ほ、本当か・・・?」
アズサが自身の血に濡れた手で眼球を擦ろうとするのを、反射的に止める。
血液感染のリスクは、少ない方がいい。
サオリ:
「あぁ・・・手はある。 消えるつもりだったから、必要がないと思っていたが・・・。」
そう言って、サオリはポケットの中から1本の真っ赤なナイフを取りだした。 - 178ホットドリンク大好き25/03/10(月) 03:43:11
サオリ:
「『皮剥の凶刃(フレンザー)』・・・これが役に立つとはな。」
サオリは震える手でナイフを握る。
アズサ:
「サオリ・・・? 何を───」
───── ドンッ
サオリはアズサを蹴り飛ばした。
そしてアズサに見えないように首を手で隠しながら、『皮剥の凶刃』の赤い刃を当てる。
アズサと目が合った。
絶望したような顔で、必死に自分の方へと手を伸ばすアズサを安心させる為に、サオリは笑った。
過去 例を見ないほど、悪どい笑みだった。
そうして大事なことを口にする。
サオリ:
「───逃げろ。」
───── プシュッ
何かが弾けた音がした。
──────────────────── - 179二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 08:03:51
カヤ!何か手はないのか!
- 180二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 10:54:48
カヤと同じ(恐怖に反転)になるってことか?
- 181二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 12:25:44
元に戻す方法があることをカヤが仄めかしてたな
カヤなら何とかしてくれるかも
あるいは先生か
他の誰かか - 182二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 18:13:42
サオリ…
…人は本当にピンチな時こそ笑うと聞くが… - 183二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 19:22:51
先生なら…先生ならなんとかしてくれる!!
- 184ホットドリンク大好き25/03/10(月) 23:07:39
- 185二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 23:08:16
建て乙
- 186二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 23:47:56
うめうめ
- 187二次元好きの匿名さん25/03/10(月) 23:48:16
このレスは削除されています
- 188二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 00:33:59
たて乙うめうめ
- 189二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 08:10:13
- 190二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 17:50:20
暗躍するカヤ?
- 191二次元好きの匿名さん25/03/11(火) 22:28:40
梅
- 192二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 00:37:56
う
- 193二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 01:43:44
うめうめ
- 194二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 01:44:20
願わくば彼女らに一抹でも希望が在らんことを
- 195二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 02:02:42
カヤ様なら全て救ってくださる
- 196二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 10:51:25
- 197二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 17:13:16
カヤ様を信じよ〜
- 198二次元好きの匿名さん25/03/12(水) 23:07:47
ラスボス系主人公のカヤ様大好きです
- 199二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 07:51:50
味方でいるうちは頼もしすぎる
- 200二次元好きの匿名さん25/03/13(木) 16:50:46
200ならカヤ様シンパが増える