- 1二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:07:27
- 2二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:18:46
昨晩、まずはスレ主のSSが来ると学んだので期待してます
- 3二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:31:10
何事も手本が必要だろ手本が
- 4二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:36:34
えっ今日は激重アイドル→P書いていいのか!?
- 5二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 21:39:38
- 6二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:15:51
何故プロデューサー寮にはエレベーターが付いていないのかと、下校時にはいつも思う。重く辛い足を上げながら、ようやく玄関まで着いて、鍵を差し込めばまたあの感覚。
あぁ、またかと思いながら、鍵を抜いて扉を開ければ、食欲をそそるいい匂いと、玄関からすぐ傍にあるキッチンで立つ担当アイドルの姿が。
「────お? Pっちお帰りー。疲れたっしょ? 晩御飯、もう少しでできるからねー」
清夏さんはよく似合うエプロンを揺らしながら俺の元まで来ると、持っていた鞄に手をかける。俺はそれになされるがままなのも、もうすっかり日常になってしまった。
「また来ていたんですか、清夏さん。疲れているのに無理しなくても……」
「いーんだって。あたしも好きでやってるし。そ・れ・に? Pっちすぐカップラーメンとかで済ませるから、逆に心配なんだよ」
「返す言葉もありませんね」
「そーそ、甘えるうちに甘えておきなって。……あ、そだ。お風呂のお湯もう張っておいたから、先に入ってくれば?」
お風呂も入れておいてくれたなんて、なんて出来た人なんだろう。きっと将来、清夏さんと一緒になる人は幸せ者だ。
俺は清夏さんの好意に甘えて、お風呂に先に入ることにした。
「それにしても、清夏さんは週に一回は必ず来てるな……最近は結構な頻度で来てくれるし」
湯船の気持ちよさに浸りながら、俺はとあることを考える。
清夏さんが来るようになったのは、つい最近のことでもない。生活リズムが終わっている俺を、清夏さんが心配してご飯を作ってくれるようになったのが始まりだ。以来、清夏さんは俺の部屋に来ては、ご飯とこうしてお風呂を張ってくれる。
…………ふとその時、一つ気になった。
プロデューサー寮は、全体的に古く、給湯器で沸かし蛇口からお湯を張る仕組みだ。つまり、結構冷めるのが早い。
だけど、清夏さんがお風呂の準備をしてくれた時は、決まって張りたてのように熱々で気持ちがいい。
ご飯だって、いつも俺が帰宅する頃くらいに毎回出来上がる。俺の帰る時間は不規則なのに、まるで、俺が帰る時間が分かるかのように────
「────なんて、変なこと考えるのは清夏さんに失礼か」
清夏さんだって、善意でやってくれてるんだ。俺はそれを、ありがたく受け取っておくとしよう。
清夏さん専用のシャンプーとリンスを眺めながら、俺は湯船の心地良さに身を任せた。 - 7二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:16:54
役目は終えました。寝ます
- 8二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:26:53
清夏は強かにこういうことすると思う
- 91/225/02/21(金) 22:52:06
最近、星南さんの距離が近い。いや近すぎると言ってもいいだろう。
ほぼ密着と言ってもいいくらいの距離感……特に俺自身はそれが不快になるということはないがトップアイドルの姿として人目も憚らずに担当しているプロデューサーと密着しているのは如何なものだろうか。
それに加えて隣にいる時間も長い。時間さえあれば側にいる気がする。思い返してみれば彼女が生徒会での業務以外で俺の側を離れている記憶がほとんどない。
「ということで、適切な距離感にしましょう」
生徒会室で行う二人でのミーティングもいつの間にか向かい合う形から隣合う様子になっている。
今回の主題はコレのため、早々切り出すと星南さんはキョトンとした顔でなんのことかと首を傾げた。とても可愛らしい反応でこれも撮って十王星南のプロモーションにしたいがそれは抑えよう。
「そんな心当たりが全くないような顔はやめてください」
「いえ、だって私と先輩の距離感はこれが……あ、そういうことね!」
顎に手を当て一瞬だけ思考を巡らせたであろう星南さんはしっかり理解してくれたらしく席を立って俺の隣から俺の両足間、少しだけある椅子のスペースに座り始めた。
星南さんの髪の毛の心地よい香りが鼻腔をくすぐる。
「先輩! こういうことね!」
「……違います」
前後にいるため顔は見えないがきっと自信満々の、目を輝かせた顔であろう。それが見られないのは残念だが今はそんなことを考えている暇はない。 - 102/225/02/21(金) 22:52:22
「それなら……こうかしら?」
反転し、今度は俺の膝の上に乗る。向かい合った形になり、距離感が近くなった最近よりも更に近い。こうアプローチされてしまったら否が応でも反応せざるを得ない。何か言葉を出そうとしても動揺してただ唾を飲むことしかできなかった。
「先輩がいけないのよ? 意地の悪いことを言うのだから……」
「……俺と星南さんはあくまでプロデューサーとアイドル、プロデューサーとしても先輩と後輩の関係です」
理性で抱きしめたくなる本能を抑え、なんとか説得をする。
すると星南さんの瞳が潤み、目を伏せ、口を噤んでしまった。
こういう顔はさせたくない。
「だって……永遠に私のモノだって……約束したじゃない……」
理性が白旗を上げた。もしかしたら誰かが訪れてしまうかもしれない生徒会室で俺は担当アイドルである星南さんを力いっぱい抱きしめた。
「申し訳ありません。星南さんの気持ちを考えていませんでしたね。気が済むだけいいですよ」
「本当に? もう私から離れようとしない?」
「ええ、星南さん相手に嘘はつきませんよ」
「そう! なら今から手筈を整えるわね!!」
パァ! と擬音でも出そうなほどの満面の笑みになった彼女はスマートフォンを取り出して何処かへと連絡した。
「あなたの引っ越しを十王家の方に取り付けたわ! 私と同じ部屋はさすがに止められたけれど……それでも隣の部屋よ!」
「……もしかしてずっとこれを?」
「ふふっ、先輩が案外押しに弱くて助かったわ! ……嫌ならやめるけれど……」
ああ、そんな目をされたら断れるわけがない。
「いえ、これからもよろしくお願いします」
「ええ! 永遠に、よろしくお願いするわ。私だけの先輩」 - 11二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 22:54:37
主が言ってるであろう前回のスレ貼っとくね。
自分はもう寝るので|あにまん掲示板朝起きたら沢山の愛が重いプロデューサーが担当に向けて独占欲発揮してるSS見れるようにこのスレに書いてってください。お願いします。bbs.animanch.com曰く朝起きたら沢山SS見たいから書いてってって話らしい。皆頑張って書こう!
- 12二次元好きの匿名さん25/02/21(金) 23:01:28
P→アイドルも書きつつ、アイドル→Pも書く
両方しないといけないのが、カプ厨のしんどいところだぜ - 13二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 03:19:50
プロデューサーさんは本当のあたしを見つけてくれた
落ちこぼれで、ギリギリで学園に合格した、すごいお姉ちゃんとは大違いのあたしをアイドルにしてくれた
ちょっぴりえっちだけどかっこよくて、すごく頼りになる大切な人…
『…はぁ、佑芽さん。貴方にはがっかりです』
「ま、待ってくださいプロデューサーさん!あたしは、まだ…」
『俺はこれから咲季さんのプロデュースをすることになりましたので、ではさようなら』
「行かないでください!お願いします…プロデューサーさん…」
体が、足が思うように動かない
あたしは捨てられた
また、お姉ちゃんに、負けた
スポーツなら別の競技でリベンジを目指すことも出来る
でもプロデューサーは一人しかいない
奪われた。奪われた。
あたしのプロデューサーさんが
なんで?
なんでお姉ちゃんはあたしの欲しいものを持っていっちゃうの?
あたしのプロデューサーはあたしのモノなのに… - 14二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 03:20:26
「ん、んぅ…あれ…ゆめ?」
時計の針は午前2時過ぎを指している
今見ていたものが文字通りの悪夢だったということが分かり胸を撫で下ろした
一方で消えていない不安が心に刻まれてしまっている
「プロデューサーさん…」
早く寝ないと怒られてしまう
夢の言葉が反響する
『さようなら』
捨て、られる…?
彼がそんなことを言わないとわかっていても不安が連鎖しておかしくなりそう
「いやぁ…捨てないで…」
結局、その後は寝られなかった
朝、今日はあまりコンディションが良くないが不安をかき消すために、あたしが捨てられないためにも日課のトレーニングをこなす
一刻も早く彼に会いたい。会って話がしたい。
学園に向かい、プロデューサーさんの事務所へ足を運ぶ
授業にはまだ早い時間だが、彼は既に来ていた
「お姉ちゃん…?」
悪夢がフラッシュバックする
「えっ、な、なんで??」
幻想だと思っていたものが形を帯びてくる
「いや、イヤ、イヤ…プロデューサーさんはあたしの…あたしの…あたしが先に好きになったのに…!」 - 15二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 03:22:12
「おはようございます、佑芽さん」
「はい!今日も頑張りましょう!」
「今日はやけに気合いが入ってますね」
「えへへー!あたしは何時でもやる気まんまんですよ!」
「佑芽さんらしいですね」
「そういえばプロデューサーさん、聞きたいことがあるんですけど!朝、お姉ちゃんと一緒にいましたよね?」
「朝ですか、確かに咲季さんが来ましたが…」
「あたしのこと捨てるんですよね?」
「はい?どういうことですか?」 - 16二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 03:24:16
「あたしのこと、いらなくなったんですよね?」
「すみません佑芽さん、話が見えてこないのですが…とりあえず一度落ち着いてください」
「あたしはすごく落ち着いてますよ?これからはお姉ちゃんの担当をするんですよね?それであたし、考えたんです。どうしたらプロデューサーさんと一緒に居られるか。そしたら気づいたんです、アイドルやめたらプロデューサーさんと付き合えるって。だから今から既成事実を作ってプロデューサーさんと付き合います!えっちなことはした事ないですけど…あたしは"最高の肉体"ですからね!きっと気持ちよく出来ると思います!だからプロデューサーさんは何も気にせずに気持ちよくなってください♡」
「違っ、俺と咲季さんはそんなことはして…」
「えへへ〜♡大好きですよ"お姉ちゃんの"プロデューサーさん♡」
思ったより長くなってた上読みにくくて申し訳ないです… - 17二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 04:17:49
「そんなに浜から離れると流されますよ」
「大丈夫。今の所、平気。少しはバランス感覚が身についたみたい。」
「真夏じゃなければ海も大丈夫。」とのことで、今日は広さんと海に来ている。
友人を誘わないのかと聞いても「2人で行く。」の一点張り。おかげで日焼け止めを塗らされるハメになった。
「流されなくてもケガをすると大変なんですから。もう少し近場で遊んでください。」
「じゃあプロデューサーが連れ戻して。」
……少しの間なら荷物も大丈夫だろう、ということで仕方なく彼女の言葉に乗せられることにした。
もっとも、この辺りはほとんど人気がないのだが。 - 181725/02/22(土) 04:24:41
こちらが近づいていくと、予想通り彼女は更に浜から離れていく。
流石に追いつく方が早いはずだが。
「わっ」
……足を波に取られたのか案の定転んだ。急いで駆け寄り、水面から顔を出させる。
「だから言ったでしょう……」
「ふふ。ごめん、ね。」
「さあ、戻りますよ。」
「うん。」
そうは答えたものの、彼女はなぜか浜とは逆方向に引っ張ろうとする。もちろん、実際にはこちらの力に抗いようがなく浜まで連行されていくわけだが。 - 191725/02/22(土) 04:31:39
「……何の真似ですか、あれは。」
「……遠くまで行ってみたかった。」
「あれ以上は危険です。わかっているでしょう?」
「……それでもよかった。あのまま2人で流されてもいいな、って。」
「何を馬鹿なことを……」
「どこかで読んだ。愛し合った2人が、永遠にその時間を守るためにするんだって。」
「はぁ。そんなことをする意味がわかりませんね。」
「ふふ。わたしたちの場合は、そう。だけど、想像してみてほしい。わたしたちが絶対に結ばれないような関係だったら、って。」
「それでも関係ありません。アイドルとそのプロデューサーとして、共にいます。」
「なるほど。」 - 201725/02/22(土) 04:47:40
「もし、あなたがいつかそういった終わりを迎えたくなったとしても、何度でも引きずり戻します。俺たちの趣味は、そんな風に終わっていいものではないので。」
「そんなに趣味が、大事?」
「……2度言わせないでください。俺は夢を諦めてるんですよ?」
「そうして、あなたを選んだんです。そう簡単に手放していいものではないんですよ。……ちょっと、どこへ行くんですか広さん。」
「……プロデューサーのせいで体が熱いから海で冷やしてくる。」
「今度は俺も行きますよ。遠くへ行かれると面倒です。」
「プロデューサー。」
「何です?」
「わたしは……もし、ままならない趣味の日々がなくなるとしても……あなたと一緒なら、いいって思ってる。それでも……着いてくる?」 - 211725/02/22(土) 04:53:44
「それは……無理、ですね」
その言葉を聞いた彼女の反応は……涙ぐんだ顔で振り向いてからのタックルだった。
「う゛……」
「あなたの身体ですよ。タックルなんてしても自滅するだけです。」
「だって……だって、プロポーズのつもりだったのに!」
「であればお受けできません。あなたの好意は少々行き過ぎているところがあるので。一過性のものかもしれませんよ。」
「嘘。そうじゃないこと、1番よく知ってるくせに。」
「……はぁ。まあ受けられない理由は他にもあるんですが。」
「じゃあ、何。」
「ままならない日々が終わることはないからです。無くなりそうになっても、俺が用意します。必ず。」
「……むぅ。プロポーズ返しはずるい。」
「断じてプロポーズではありません。」 - 221725/02/22(土) 05:01:04
「そう。……ふぅ。」
「落ち着きましたか?」
「うん……予想以上の成果だった。」
「は?」
「儚い恋をする人間の体験。やってみたいなと思ってたんだけど……ふふ、思ってたのと結構違う展開になって、これはこれで……」
「まさか、そのために海に……?」
「6割ぐらいは、そうだね。もちろん普通に2人で海を楽しみたかった、っていうのもあるけど……」
「……ちなみに、体験をしてみたかったとは言ったけど。話の中で嘘はついてない、よ。プロデューサーも……そうだよね?」
……相変わらず、我が担当アイドルには振り回されっぱなしだ。
「……『ない』ものを『ある』とは言わないようにしているので」
終わりです - 23二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 14:30:35
保守
- 24二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 20:00:51
保守
- 25二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:10:10
ダメだ全然イチャイチャしてない
_最近、担当アイドルの月村さんの様子がおかしい。
まず、やけに痩せたのだ。
月村さんは元々アイドルとしては少し太っていて、減量を行っていた。だから喜ばしい事、
と言えばそうなのかもしれないが。
それでも急激に、そして予想よりも痩せすぎている。
食事メニューは俺がある程度決めているが、このペースでこうはならない。
また不思議な事がもう一つある。ペースとしては彼女本人が俺の食事メニューとは別に何かしている、というのが
妥当だろう。しかし月村さんは、「食べたい」と欲を口に出す事すらなくなったのだ。
痩せ続けている期間を見れば、彼女なら限界がきてもおかしくないというのに。
それに加えて問題なのが、月村さんの体調と態度だ。
体重が急激に落ちてきた所から、月村さんは日に日に体調が悪くなっていった。
また態度もどんどん暗くなっていき、尖っていっている。掛ける言葉が今までより、攻撃的になった気がするのだ。
その上今までは強い言葉を掛けると、同じくらいか倍くらいの強い言葉を返してきたが
今はそう言うとすぐしおらしくなり、こちらが謝る羽目になっている。
「はあ、担当アイドルと話がしたい...と。」
「お願いします、真央さん。
月村さんは何かを隠しているんです。でも、学校内じゃどうしても内緒話を出来る場所は少ない。
誰が来るか分からない。だから、部屋で腹を割って話したいんです。」
「腹を割って、って...
...まあ、今回は特別に許可しましょう。実はボクも、あの子の事が心配だったんです。」
「えっ?」
「最近、ずいぶん急激に痩せていましたし。しかも、前と違って元気がない。
でもボクじゃ限度がありますから。...今回はあなたを特別に、入れてあげましょう。」
「...ありがとうございます!」 - 26二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:32:28
女子寮に入り、月村さんの部屋番号を教えてもらった。
こんこん、と月村さんの部屋をノックしてみる。
「すみません、プロデューサーです。今大丈夫ですか?」
「っ!?!?!??!?プ、プロデューサー!?!?!??!」
「はい。入っても...」
「っぜ、絶対ダメ!!!ちょっと待ってて!!!」
「...すみません、着替え中でしたか?」
「そうじゃないけどっ...あ」
「では入りますね」
「ちょっ_!」
「...は?」
_部屋に入って一番に見えたのは、
机に置かれた、大量のホットスナックと菓子だった。
「...月村さん、なんですかこれ」
「え、っと、これはその...っ」
そう月村さんを問い詰めつつも、どういう事なのかは少し検討がついていた。
どうしてここまで食べているのにもかかわらず、なぜあんなに痩せたのか。
あの性格の変化と、かすかに漂う、お世辞にも良いとは言えない匂い。
匂いの主は、黒いポリ袋から。
「...月村さん」 - 27二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:39:02
「あなた、過食症でしょう」
「_っ」
「...図星ですか」
「ごめ、ごめんなさっ...」
もう既に泣いている月村さんを優しく抱きしめて、背中をさする。
「謝罪も大事ですが、先にこうなった経緯を聞かせてもらえますか?」
「...はじめは、」
「SyngUp!が解散した時、なの。とにかくたくさん食べた」
「...ええ、そうでしょうね」
「特に解散してからすぐの時は、っ量が増えたとかじゃない。
...その、やけ食いみたいな感じで。とにかく、いろんなものを大量に食べた。」
「それで、何回か吐いちゃって。でも、そしたら思ってたよりは体重が増えなかった。」
「...それで、この間また、...食べちゃったんだけど。それでその事を思い出したの。
...その分吐いたら、体重、増えなくて済むかなって。」
「...そしたら、どんどん歯止めがきかなくなっちゃって。しかも、食べてなかった時期より痩せたし_」
「馬鹿なんじゃないですか?」
「......うっ...そうかも、だけど。」
「やっぱり馬鹿ですね。アイドルの風上にも置けません。」
「うぐっ...
(そう、なのかも...。食べては吐くなんて事、私の憧れた『アイドル』は、絶対しないもん)」 - 28二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:43:29
「そういう所です」
「へ?」
「少し語弊がありましたね。今のあなたは_『月村手毬』ではありません。」
「...どういう事?」
「今までの月村さんなら、馬鹿と言えば馬鹿と言う方が馬鹿だと返してきたでしょう。
アイドルの風上にも置けない、なんて負けてもいない日に言われたら大激怒するに決まっています。」
「...そう、かも」
「そんな態度になったのも、過食症のせいです」
「!!...そう、なんですか?」
「はい、過食症になると、特に吐いた後は自己嫌悪や抑うつ感を感じると言われています。
また普段でも情緒がいくらか不安定になり、日常生活に支障をきたす、と」
「...そ、そうなんだ...」 - 29二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 22:51:32
「いいですか、月村さん。痩せる事も大事ですが、あなたはそれ以前に『月村手毬』を見失ってはいけません。」
「プライドが高くて、見栄っ張りで、我儘で口が悪い。」
「...それ、戻らなくてもいいやつじゃないの?」
「口の悪さはむしろ悪化してましたよ。」
「えっ...」
「というか、戻ってもらわないと困ります。
今の月村手毬を、俺はプロデュースしたくありません。」
「...うそ、」
「嘘じゃありません」
そう言うと、月村さんの瞳からはもう一度、いや先程よりも大粒の涙がぼろぼろと流れてきた。
「ごめ、プロデューサー、ごめんなさあっ...!!
そんな、っ事言わないでぇっ...!!ずっと、ううっ、わたしの事プロデュースしててよぉっ...!」
「_じゃあ、このままで良いとか言わずに、治すと約束してくれますよね?治す気があるなら、俺も手伝います」
「ううう〜〜〜〜っ、約束、する!する!するからぁ〜〜〜〜っ!」
月村さんは泣いて声をあげ、俺の服に縋り、握りしめた。
「ちょっ、落ち着いて下さい。近所迷惑...」
「うああっ、ふっ、あ、ごめ、ごめんなさ、」
「ああっ、俺には謝らなくていいですから。ほら、落ち着いて...」
さっきのように背中をさすりつつ、今度は頭も撫でる。
すると、いくらか落ち着いたようで、静かに涙を零すようになった。 - 30二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 23:06:35
月村さんを宥め続け、どれほど経っただろうか。
ふと、月村さんが口を開いた。
「_プロデューサーっ、きょうは、わたしの部屋に泊まって」
「...いやっ、無茶言わないでください。」
「嫌なの?」
「いえ、今の月村さんを置いておくのはもちろん気が引けますが...流石に男、
しかもプロデューサーが泊まったら交際していなくても大問題ですよ。」
「...じゃ、わたしが寝るまででいいから、ここにいて、
...あとできれば...明日、ランニングするから、迎えに来て。」
「...4時ですか?」
「うん。お願い...」
「....っわかりましたよ。今はもうちょうど8時ですし、俺も寝るまではここにいるので寝て下さい」
「ほんと?やった...」
そう言うと月村さんはすごすごとベッドに入り、布団をかぶる。俺は椅子を借りてベッドに近づき、頭を撫でた。
月村さんはいかにも心地よさそうに目をつむり、段々呼吸もゆっくりになっていく。
...もうそろそろ、寝ただろうか。
手を離すと、月村さんがゆっくりと目を開けた。
そしてこちらを向き、これまたゆっくりと口を開く。
「ずっと、わたしの側にいてね、プロデューサー」
返事をする暇もなく月村さんは目をもう一度つむり、俺が撫でずとも文句を言わず、目を開ける事もなかった。
もう一度、その頭を撫でる。
「...はい」
自分でも驚くほど、しっかりとした声が出た。 - 31二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 23:08:24
終わりです てまりかわいい