[他作品ネタ注意] 「オル、今日からトレーナーさんが出張なんだよ」

  • 1スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:28:10

    「…そうか」

    トレセン学園の寮の一室で交わされる、何気ない姉妹の日常の会話。
    しかし妹はーーオルフェーヴルは何かを察していた。

  • 2スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:28:49

    (これは…[来る]な)

    紅茶を啜り、目を閉じる彼女。
    その横で、姉ーードリームジャーニーは息を深く吸い込み、

  • 3スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:29:11

    「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

  • 4スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:29:43

    (始まったか…)

    「やだっ!やだっ!やだっ!」

    ピコピコと身体を左右に揺らしながら、泣き叫び始めたーー!

    「やぁぁぁだぁぁぁぁぁ!うあぁぁぁぁーーっ!」

    GIF(Animated) / 103KB / 800ms

  • 5スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:30:02

    最早慣れた様子で何も言わず、紅茶を啜り続けるオルフェーヴル。
    しかし。

  • 6スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:30:21

    「…と、今までの私なら取り乱していただろうね」

  • 7スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:31:10

    「んぐッ!?」

    スッ…という効果音が出ていそうなほどに冷静さを取り戻し澄まし顔となった姉の変わり様に、思わずえっほえっほとむせ返る。

    「ああ、ごめんよオル。驚かせてしまったようだね」
    「と、突然落ち着くでない…っ」

    そうして姉に背中をトントンと叩かれ、ようやく落ち着いたオルフェーヴルは問う。

    「…で、何故今回はそんなにも平気そうなのだ?」

    「よく聞いてくれたね、オル」

    それを聞いたドリームジャーニーは、待ってましたと言わんばかりにふふふ、と含み笑いを始める。

    「勿体ぶらずに教えよ」

    自信満々な姉の態度を訝しみつつ、さらに問うオルフェーヴル。

    「実はね、遠征支援委員会の活動の一貫として、トレーナーさんにはある物のテスターになってもらったんだ」
    「ある物?」
    「これさ」

    そう言ってドリームジャーニーが取り出したのは、彼女がいつも使っている携帯端末。
    オルフェーヴルが覗き込むと、そのディスプレイに、何かが表示されるーー

  • 8スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:31:35

    『ええと、キミはオルフェーヴルだね。始めまして、でいいのかな』

  • 9スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:31:58

    軽くお辞儀し、挨拶するそれは、ドリームジャーニーそっくりのウマ娘の3Dモデル。
    しかし、その細部は違う。
    彼女らの知り合いであるゴールドシップが身につけているようなヘッドギアめいたものや、サイバーチックなスーツを身につけているのだ。

  • 10スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:32:18

    「驚いたかい?オル」
    「姉上、これは…?」

    驚きを隠せない様子で、ディスプレイと姉を交互に見比べるオルフェーヴル。

    「これはね、色んな筋の協力を得て開発した遠征支援プログラム…その名も」

  • 11スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:32:37

    「[ジャーニーチャンエグゼ]だ」

  • 12スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:32:58

    目をまん丸に見開いたまま、フリーズするオルフェーヴル。
    そしてしばらくして、口を開いた。

  • 13スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:33:35

    「……ロックマーー」
    「オル?」
    「!!」

    カウンター気味に放たれたプレッシャーに、身体が麻痺したかの如き感覚に襲われるオルフェーヴル。

    「……で、このジャーニーチャンエグゼ?がどうだというのだ」
    ごほん、と気を取り直し尋ねる彼女。

  • 14スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:34:06

    ジャーニーは語る。

    「これは擬似的な人格を備えた新世代型AIでね。スケジューリングや移動法の提案など、効率的な活動支援を行ってくれるネットナビなんだ」
    (今ネットナビと認めたな…)
    「彼女はトレーナーさんのスマホの中にも入っていてね。彼が今どうしているか、なども共有してくれるんだ」

  • 15スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:34:43

    「それは、かんーー」
    「オル」
    「うむ」

    「だから今後、私が取り乱すことはないと思ってもらっても過言ではないよ」
    「そ、そうか…」

    しかし、オルフェーヴルは考えるーー

    (これは…一悶着起きそうだ)

    とーー

  • 16スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 02:37:38

    というわけで突然思いついたままに立てました、
    『ロックマンエグゼ』に登場するネットナビ的なものをトレーナーに(テスターという名目で)渡したドリームジャーニー中心のギャグSSスレとなります。
    話そのものは短く終わらせるつもりでございますのでどうかお付き合いくださいませ

  • 17スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 07:11:31

    夜。
    ホテルの一室にて、スマホを取り出すスーツの男性が一人。
    現在出張中の、ドリームジャーニーの担当トレーナー(通称:ジャニトレ)である。

    「えーと…ジャーニーチャン…だっけ」
    『何でしょうか、ジャニトレさん』

    画面が起動し、下からぴょこんとフェードインするように映し出されるのは、件のAIーージャーニーチャンエグゼ(以下、J.EXEと呼称)。

    「いや、明日の予定を教えて欲しいなって」
    『明日ですか…ちょっと待っててくださいね』

    そう言ってJ.EXEは目を瞑り、ヘッドギアを光らせる。
    そしてしばらくしてから目を開け、喋り出す。

    『11時より他のトレーナーさん達との合同会議、16時よりVRウマレーターの追加システムについての講義となっています』

  • 18スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 07:12:11

    「そっか、ありがとうジャーニーチャン……って」
    そこまで言うと、苦笑いを見せるジャニトレ。
    『どうかしましたか?』
    不思議そうに首を傾げるJ.EXE。
    そんな彼女へ、ジャニトレは言う。

    「この呼び方、ちょっと照れくさくて…」
    『ふふふ、そうですか』
    その言葉に、微笑みと共に返すJ.EXE。

    「さて、僕はもう寝るよ。9時には起こしてね」
    『わかりました、おやすみなさい』
    「おやすみ」

    そんな会話ののち、ジャニトレは眠りについたーー

  • 19スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 07:13:07

    朝はここまで、続きは夕方頃にでも…

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 10:14:42

    期待

    あと>>4がツボった

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/22(土) 15:48:34

    楽しみ

  • 22スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:18:27

    そして翌日の夕暮れ頃。
    トレセン学園、学生寮の一室ではーー

    「ハッ!」
    「ふん、甘いぞ姉上」

    3×3のマス目状のエリア内で繰り広げられる攻防ーーオルフェーヴルとドリームジャーニーの姉妹は、何やらゲームの対戦中であった。

  • 23スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:18:46

    「中々やるね、オル。けど、これはどうかな?」
    近接攻撃をカウンター付きの防御技で返されたドリームジャーニー。
    しかし彼女は冷静に次の手を選ぶ。

    そうして互いに選択が終わり、次のターンへと移行した瞬間。
    二つのシルエットが重なり、ドリームジャーニーの操作キャラの姿が変わったーーかと思えば、オルフェーヴルの操作キャラが立つ位置以外のマスに穴が空く。

  • 24スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:20:42

    二門の大砲を持つその姿を目にしたオルフェーヴルは、焦りを覚えた。
    (ナパームカオス、それにデスマッチ2だと…まさか!)
    そして、次の瞬間。無数の隕石が1マスとなった彼女側のエリアに降り注ぐ!
    そして同時に繰り出される、対魔の太陽銃!
    オルフェーヴルの操作キャラのHPはみるみるうちに減ってゆき、そしてーー
    「くっ…」
    電子音と共に爆散した。

  • 25スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:21:03

    「私の勝ちだね、オル」
    「流石姉上だ、まさか対人戦であのコンボを決めるとは」
    「オルの方こそ、あの時のシラハドリの差し込み方は見事だったよ」
    「うむ。だが対戦バランスはやはり[6]の方が良いな」
    「ふふ…ならそうだ。また今度、実家からあれを引っ張り出してこようか」
    「あれ…か。と、いうことは…」
    「ああ。周辺機器ありのレギュレーションだ」
    「ほう…良いのか?余のカーネルフォースが火を噴くぞ」
    「望むところだよ」

    ゲーム機を置き、談笑する二人。
    そんな中、ジャーニーのスマホから着信音が鳴り響く。

  • 26スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:21:26

    「姉上、オート電話だぞ」
    オルフェーヴルが言い終わると同時に、ディスプレイにJ.EXEが現れる。

    「どうしたんだい?」
    ジャーニーが尋ねると、
    『ジャニトレさんからメッセージを預かったので、連絡しようかと』
    と返す。
    「ありがとう。早速聞かせておくれ」
    『では、読み上げますね』

  • 27スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:21:48

    『[ジャーニーが渡してくれたこのAI、すごく重宝しているよ。バスに乗り損ねて走って行くことになった時も最短ルートを教えてくれたおかげで遅刻せずに済んだんだ。本当にありがとう]…だそうです』

    「ふふ…それはよかった」
    『私も、喜んでいただけて嬉しい限りです』
    メッセージに上機嫌な二人(?)の姿。
    それを眺めていたオルフェーヴルはーー

    (似た顔に似た声が二人は……やはり慣れぬ)

    と、思うのであったーー

  • 28スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/22(土) 16:22:15

    夕方の更新はここまでです!
    次は深夜〜朝になります。

  • 29スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 00:18:19

    現在仕事終わりで帰るの遅くなりそうなので一旦保守

    ネタは浮かんだので帰ったらちゃんと更新する予定

  • 30スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 02:54:30

    ーーそれから、明くる日。
    「姉上」
    ジャーニーを呼びつつ、自室のドアをノックするオルフェーヴル。しかし、返事はない。
    「ええい、もう入るぞ」
    何度か試したのち、痺れを切らした彼女は部屋へと入る。その瞬間、彼女の表情は無となった。
    何故か?

    (……ゴンズイ……)

    己の姉が、ベッドの上に体を丸めて突っ伏していた故であった。その姿に連想するはゴンズイか、はたまたウミウシかーーとにかく、普段の理知的なウマ娘ドリームジャーニーからは想像できない姿であった。

    「…さん」
    さらに、ウマ娘特有の高い聴覚がそのか細い声を拾う。
    オルフェーヴルは姉に近づき、問うた。
    「どうした?」
    「トレーナーさんが……」
    「ああ、姉上のトレーナーが?」
    「トレーナーさんが……」
    「そうだ、トレーナーがどうしたのだ?」
    「トレーナーさんが……」
    「落ち着け、落ち着け?」

    「AIと浮気してた……」

    ーー部屋に一陣のコガラシが吹く。
    オルフェーヴルはパチクリと目を開き、閉じ、思考を駆け巡らせる。そしてしばらくしてから単語の意味を理解しーー

    「……は?」
    首を捻って、呟いたーー

  • 31スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 02:56:18

    一旦ここまでです。
    ちょっと洋画のパロディ入ってます。
    好きな映画のワンシーンを思い出したものでして

  • 32スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 10:05:45

    「ううむ…」

    カフェテラス。
    オルフェーヴルは人目も憚らず、頭を悩まさせていた。
    周囲では、そのあまりにも珍しい光景に人だかりができている。

    「コラー見せんモンじゃねぇぞー」
    「はーい、解散っすよー」

    見かねたゴールドシップとウインバリアシオンがその中に割って入り、集団を解散させる。

    「…貴様ら」
    顔を上げ、二人を見つめるオルフェーヴル。
    「で、どしたよ?」
    「見てられないっすよ、そんな姿」
    そうしてオルフェーヴルを挟むように両隣に座った二人は彼女へ尋ねる。
    「………」
    オルフェーヴルは少し眉間に皺を寄せた後、しばし思い悩んでからーー

    「実は、姉上がな」

    ぽつりと呟き、話を始めたーー

  • 33スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 10:06:22

    ーードリームジャーニー曰く。

    出張から帰ってきてからというものの、彼女のトレーナーはJ.EXEを構う時間が増えたのだという。
    そしてそんな彼を見つめるJ.EXEの表情は、好意を持つ者のそれであったとも。
    そして一瞬、ほんの一瞬だけ自身へ向けた顔はーー獲物を掠め取る捕食者の顔であったと。

  • 34スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 10:07:01

    「……考えすぎじゃないっすか?」
    そこまで聞いて、ウインバリアシオンがバッサリと意見する。
    「余もそう思う」
    深く頷くオルフェーヴル。
    「だが、あのような姉上を見ていられぬのもまた事実。何とか立ち直らせる方法は無いものか……」
    溜め息を吐き、頭を抑えるオルフェーヴル。
    そんな彼女へ、ゴールドシップは言った。
    「んじゃあさ、トレーナー賭けて勝負すりゃいいんじゃね?」
    「勝負だと?どうやるのだ、相手はプログラムだぞ」
    「へ?VRウマレーターあんじゃん」

    「……!」
    目と口を開き、「その手があった」という表情のまま固まるオルフェーヴル。
    どうやら、相当に頭が回っていなかったようであるーー

    かくして本人らの預かり知らぬところで決定されたこの勝負。
    果たしてこの結末やいかにーー?

  • 35スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 10:07:49

    朝の更新はここまでです。
    続きはおそらく仕事から帰ってから…

  • 36スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 17:07:32

    休憩中保守

    二人がやってるのはアドコレ版5です

  • 37スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/23(日) 23:55:31

    仕事終わりだけど落ちるまでに帰れる気がしないので延命

    みんなも買おう、ビーストリンクゲート(ダイマ)

  • 38スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 03:55:55

    風がそよぎ、芝を揺らす。
    天候、晴れ。
    状態、良。
    そんなこの電脳ターフで、譲れぬものを賭けた戦いが今、始まらんとしていたーー

  • 39スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 03:56:44

    「さてまもなく出走の[トレーナー争奪杯]。実況はあたし、ウインバリアシオンが務めさせてもらうっす」
    「解説のオルフェーヴルだ」
    「…って、なんであたしがこんなことしなくちゃなんないんすか!」
    ウインバリアシオンは思わずメモを机へ叩きつけ、虚空へツッコミを入れる。
    「そう言いながら、随分と流暢な実況をするではないか」
    半分煽りを伴って言うオルフェーヴル。
    「あんたのほうこそ、随分と乗り気っすね」
    反撃するウインバリアシオンへ、彼女は鼻を鳴らして言った。
    「他の者ならばいざ知らず、姉上の戦いだ。興が乗らぬ訳があるまい」
    ずずいと迫るオルフェーヴルに、少し気圧されるウインバリアシオン。
    「へ、へぇ…そうなんすね」
    「うむ」

    解説席の二人がそんなコントを繰り広げる中ーー

  • 40スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 03:57:37

    「………」

    ターフでは、異様なほどの闘気が渦巻いていた。
    その中心にいるのは、他でもないドリームジャーニー。
    黙りこくってはいるものの、その全身からはもはや殺気と呼んでも良いほどの圧力を発している。
    その対象はもちろんーー

    「そんな怖い顔をしないで下さいよ、ね?」
    件のAIプログラム、J.EXE。
    そう。
    先程実況が述べた通り、これから行われるは[トレーナー争奪杯]。
    ドリームジャーニーとJ.EXE。この二人のどちらかが、ジャニトレを得る権利を得られる勝負であった。

    「やるからには負けません」
    力強く意気込むJ.EXE。
    それに対し、ジャーニーはと言うとーー

    「………」

    黙り込んだまま目を見開き、カタカタと身体を振動させていたーー

  • 41スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 03:58:10

    「掛かってしまっているようだな」
    「あれ掛かってるで済ましていいんすか、今すぐにでも襲いかかりそうなんすけど大丈夫なんすかあれ」
    「姉上に限ってそれはない。安心せよ」
    「ほんとっすかね…?」

    そんなこんなで、時は経ち。

    「さぁ各ウマ娘、ゲートに入りました」
    「どちらが勝つか、見ものではあるな」
    アナウンスが響き渡る。

    「負けませんよ!」
    「……渡しません」

    今まさに、意地を賭けた決戦の幕が開こうとしていたーー!

  • 42スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 03:58:56

    今回はここまでです。
    続きは多分深夜か明日の朝…
    できれば夕方にしたいけど望み薄っす

  • 43スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 09:08:57

    朝の保守

    オル実装&ジャーニー誕生日おめでとう

  • 44スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 16:00:19

    オルを引けたのでちょっと解像度が上がる気がしてきた保守

    仕事終えてから深夜には更新したい

  • 45スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/24(月) 23:55:49

    書き溜め中の保守
    明日の夕方〜夜で完結させたい

  • 46スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/25(火) 06:39:14

    「さて、各ウマ娘、出走準備は整ったようだな」
    実況席からは、オルフェーヴルのアナウンス。

    緊張による静寂が、ターフを支配する。
    ゲートで時を待つドリームジャーニー、そしてJ.EXEの呼吸音が響くほどの静けさは、嵐の到来を暗示しているかのようだ。
    1秒がひたすらに長く、長く引き延ばされるような感覚。
    鼓動は高まり、自然と汗が滴り落ちる。
    そしてついにーーゲートが開いた。

  • 47スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/25(火) 06:39:45

    「スタートっす……ってあれ?」
    レースの開始直後。ウインバリアシオンは違和を感じ、首を捻る。
    「ううむ…」
    オルフェーヴルもまた、眉間に皺を寄せていた。
    その訳とはーー

    「えーと、なんとドリームジャーニー、いきなりの加速!……でもあの人の適性って確か……」
    「左様。追込だ」
    「っすよね。でもあれじゃあ逃げっすよ、それも大逃げ」
    「姉上め、掛かりが過ぎたな。あそこまで冷静さを欠くとは……らしくない」
    「落ち着きを取り戻せるといいんすけど……」

    実況と解説の説明通り、ドリームジャーニーはスタート直後からいきなりの急加速を見せていた。
    そのおかげかJ.EXEを大きく突き放せはした。が、彼女の脚質に合う走りとは異なるこの走法は、果たしていかなる結果を招くのであろうかーー?

  • 48スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/25(火) 06:40:29

    続きます。
    後もうちょいで完結です

  • 49スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/25(火) 13:32:01

    昼休憩保守

    レース描写これで大丈夫なのだろうか

  • 50スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/25(火) 23:07:07

    保守る

  • 51スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:15:16

    「さあ第四コーナーを回ってまもなく最終直線に入るっす。解説、どう見るっすか」
    「……J.EXEの優勢だな。姉上は……」

    そう言ってドリームジャーニーを見やるオルフェーヴル。
    そこにはーー

    「くっ……!!」

    今にもスタミナが尽きそうな彼女の姿があった。

    「長距離適性は高い方とは言え、本来なら追込のところを序盤でアクセルを踏んでしまったせいで体力が危うい。掛かりの結果がこれとは……本当にらしくないな……」

    顔を覆い、首を振るオルフェーヴル。

    「ここから逆転できる芽はあるんすか?」
    おずおずと尋ねるウインバリアシオン。
    が、オルフェーヴルは渋い顔のまま。
    「……難しいだろうな」
    と溢す。


    「どうにか、頑張って欲しいところっすね……」
    「……」

    そして二人は固唾を飲んだのち、事の結末を見守るように黙り込む。

  • 52スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:15:43

    ゴールまで後わずか。
    ドリームジャーニーはこのまま、トレーナーを奪われてしまうのか?
    そんな考えが実況席の二人によぎった、その時ーー

  • 53スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:16:06

    「頑張れーーっ!」

    声が、響いた。
    ドリームジャーニーにとって、見知った声が。

  • 54スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:16:40

    (トレーナー、さん)
    それはまぎれもなく、ジャニトレのものであった。

    「君はそんなものじゃないはずだろーっ!ドリームジャーニーーッ!」

    強く強く、言い聞かせるようにーー名を呼び続ける彼。

    それを聞いたジャーニーはーー

    (ああ、貴方はやはりーー優しい方だ)

    大地を踏み込む蹄鉄に、振り絞ったありったけの力を込めた。

    (こんな無様を晒した私を、それでも信じ続けようとしてくれる……だからこそ)

    脚を進めるドリームジャーニー。
    その全身からはなんと、光が溢れ始めている。
    それは次第にリング状へと集束してゆき、

    (応えたくなる!)

    彼女へ、最高の力を与えた!

  • 55スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:17:14

    「ドリームジャーニー、この局面で再加速!信じられないっす!」
    「どういうことだ…!?姉上のスタミナは既に……!それにあの光の輪はーー」
    ジャーニーの変化に、困惑と歓喜の入り混じった声を漏らす実況席。

    (……ふふ)

    後方から迫り来るジャーニーの姿を捉え、J.EXEは小さく微笑んだーー

    そしてここにーー

    「ドリームジャーニー、ドリームジャーニー追い抜いた!ドリームジャーニー先頭!そのままゴールイン!!勝ったのはドリームジャーニー!奇跡の末脚を見せつけ、勝ちをもぎ取ったっす!」

    勝敗は、決したーー!

  • 56スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 07:18:38

    お待たせしました、ひとまずここまでです。
    次の更新ぐらいで最後の予定ですのでどうかお付き合いくださいませ…

  • 57スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:39:07

    「ハァッ…ハァッ…」
    脚を止め、息を切らすドリームジャーニー。

    「素晴らしい追い上げでした、ジャーニーさん」
    そんな彼女へにこやかな笑みを浮かべながら近づくのは、J.EXE。
    「それに……新しい力も身につけられたようで」
    「…?」
    そう言われ、辺りを見渡すドリームジャーニー。
    「これは……」
    自身の身体を中心として浮かぶ光輪を目にし、驚くジャーニー。

  • 58スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:39:30

    「ええ、[フルシンクロ]です」
    「フルシンクロ……」

    フルシンクローーそれは[ロックマンエグゼ ]において、ネットナビとオペレーターとが心を一つにする現象。
    ということは、つまりーー

    「私とトレーナーさんとの心が、一つに?」
    「ええ、その通りです」

    ジャーニーは未だ湧き上がる力を確かめるように、手を開き、握る。
    J.EXEはそんな彼女を見つめたまま、笑顔を向けていた。

    「さて、早くプラグアウトしましょう。トレーナーさんがお待ちですよ」

    J.EXEが促すと、ジャーニーを始め、実況席の二人もまた電脳空間を後にしたーー

  • 59スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:39:52

    ーーそして、現実空間。
    時は少し経ち、夕暮れ頃。
    ドリームジャーニーとそのトレーナーは横並びになり、ベンチに座っていた。

    「……勘違い?」
    「うん…俺がジャーニー以外のウマ娘に靡くことがあるはずないだろう?」
    「ですが、出張から帰った後もあのAIと親しげにーーそれに私に隠れてどこかへお出かけまで」
    「ああ、それはね……」
    そこまで言うと、ジャニトレは何かを取り出した。
    それはーー小さな長方形の箱。

    「これは」
    「開けてみて」
    言われるままに箱を開いたドリームジャーニー。
    その中にあった物はーー万年筆。

  • 60スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:40:20

    「彼女にこれを選ぶの、付き合ってもらってたんだ。ジャーニーをモデルにしたAIなら、より君が喜んでくれるのを探せると思って」

    「そう、だったんですね……てっきり私は」
    己の行動を振り返り、恥じらうジャーニー。
    そんな彼女を、ジャニトレは優しく撫でた。

    「遅くなったけど……誕生日おめでとう、ジャーニー」
    「トレーナーさん…私からも良いでしょうか」
    「何だい?」

    「……これからもずっと、私の側で……旅路を共にしてくだされば嬉しいです……なんて」
    顔を真っ赤にしたまま、ドリームジャーニーはトレーナーへと抱きつき、顔を埋める。

    「ジャーニー……うん。もちろんだよ」
    彼女を優しく抱きしめ返し、頷くトレーナー。

  • 61スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:40:46

    そのような和やかな光景を、遠方より見つめる影が一つ。

    「貴様、あれはどういうことだ?」

    オルフェーヴルである。
    彼女はスマホを手に、何者かへ問いかけていたーー

    『ああでもしないと、あの方は自分に素直になれませんから』

    J.EXEである。彼女は笑顔でオルフェーヴルへと答えていた。

    「何?……ということは貴様、姉上をわざと焚き付けたのか?」
    『その通りです。遠征支援……つまり旅路を支えるのが私の仕事ですから。……もちろん、恋の旅路も、です♪』
    「……全く、人騒がせな……」
    誇らしげなJ.EXEに、呆れるオルフェーヴル。

    「それにしては、随分と回りくどいやり方だ」
    『生憎、この方法しかデータがないもので』
    「……あぁ、そうか」
    『あ、見てくださいよあれ』

  • 62スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:41:12

    「ジャ、ジャーニー?もういいんじゃ……ちょっと恥ずかしくなってきた…」
    「ダメです」
    「人目もあるから、ね?」
    「イヤです」

    抱きついたまま離れようとしないドリームジャーニーと、彼女を諭すトレーナー。
    夕陽に照らされたそんな二人の表情は、輝きに満ちていたーー

  • 63スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:41:38

    それから、幾許かが経ったのち。

    「気をつけるんだよ」
    『ええ』

    空港のロビーにて会話を交わすのは、ジャーニーとJ.EXE。
    二人がこんなところにいる理由、それはーー

  • 64スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:42:43

    「よし、そろそろ行くぞ」
    「アネゴ、彼女をどうかよろしくお願いします」
    「おう、任せとけ」

    アネゴーーつまりステイゴールドにJ.EXEを預けるためであった。

    『海外調査、頑張ってきますね』
    「ああ。旅の無事を祈ってるよ」
    『困ったらご連絡を。私たちはいつでも、つながってますから』
    「ああ、そうさせてもらうよ」

    この度のテスター期間を経て、結果を示した遠征支援プログラムは、更なる改良と将来的な実用化に向け、海外での活用を視野に入れた実地調査を行うこととなった。
    そのテスターとして選ばれたのがーードリームジャーニーらの関係者であり、今も世界中を飛び回るステイゴールドだったという訳だ。

  • 65スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:43:24

    「ああ、そうだ。向こうの知り合いにAIとかインターネットの開発研究をしてる博士がいるんだけど……その人にこいつ、見せても構わないか?」
    「博士、ですか?」
    「えーと確かな……そうそう」

    「[光]って名前だったな」

    「え」

    「あ、時間だ。じゃあまたな!」

    「アネゴ、ちょっと……ああ、行ってしまった」

    小さくなっていくステイゴールドの背中を眺めながら、しばし呆然とするドリームジャーニー。

    彼女は天を仰ぎ、呟いた。

    「ネットワーク社会の進化は、もうすぐ近くまで来ているのかもしれないな……」

    とーー

  • 66スレ主◆FOrlrXcMrw25/02/26(水) 15:46:14

    というわけで、このSSはこれで終了となります。
    正直全体的に疎い文章な上、後半はかなり巻きましたがいかがでしたでしょうか…
    ですが一応書きたかった部分は書けたかな、と思ってるので満足です。
    お付き合いいただき、誠にありがとうございました…!

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